説明

蓄熱スリッパ及びその加熱装置並びにそれらを利用した足温装置

【課題】スリッパに電気ヒータを設けることなく、足を保温できるコードレスタイプの蓄熱スリッパ及びその蓄熱スリッパに蓄熱するための加熱装置並びにそれらを利用した足温装置を提供する。
【解決手段】蓄熱スリッパ2は、足裏を覆う底板部4と、足の甲から爪先を覆う甲板部5と、甲板部5の内部に充填した蓄熱材7を備えており、加熱された蓄熱材7の放熱によって足の甲から爪先を一定時間保温する。蓄熱スリッパ2の蓄熱材7を加熱するための加熱装置3は、基台から所定角度傾斜した状態で上方に突出し、蓄熱スリッパ2を吊下支持した状態で甲板部5の内側から蓄熱材7を加熱する左右一対の加熱手段10と、加熱手段10に電力を供給すると共に蓄熱材7の加熱を制御するコントローラ11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冬季に足先を冷やさないように保温するための蓄熱スリッパ及びその加熱装置並びにそれらを利用した足温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冬季に足を冷やさないようにするための保温器として、電気ヒータが内蔵されたスリッパ状の足温器が知られている(例えば特許文献1)。このような足温器は家庭でパソコン操作するなどあまり足を動かさない環境で利用するには有効である。しかし、電源コードを接続しているため、足を頻繁に動かしたり、移動しなければならない場合には利用することができない。
【0003】
またスリッパに電気ヒータを設けると共にスリッパ内部に蓄熱材を充填しておき、通常は電源コードを接続して電気ヒータで足を保温すると共に蓄熱材を加熱しておき、必要に応じて電源コードを外す場合には蓄熱材で足を保温することによりコードレスタイプとしても使用可能なスリッパも提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3115594号公報
【特許文献2】特開2001−299800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献2の場合にはスリッパに電気ヒータを内蔵しているため、コードレスタイプとして使用する場合にスリッパ自体が重く、足に違和感を感じたり、スムーズな歩行が行えない。またスリッパ自体に電気ヒータを内蔵すると歩行などの動きが原因で電熱線が切れる場合があり、足温器としての機能を果たさなくなる。また電熱線を保護する被覆材が破れることもあり、剥き出しとなった電熱線に触れれば火傷の可能性もある。このような事情に鑑みると、スリッパ自体に電気ヒータを内蔵するのは好ましくない。また蓄熱材を充填する場合にも、足裏を覆うスリッパの底板部内側に蓄熱材を充填してしまうと、使用者の体重が掛かり、蓄熱材を充填した袋が破れるという問題がある。更には電源コードの抜き差しは面倒で使い勝手が悪いという問題もある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決することを目的としてなされたものであり、スリッパに電気ヒータを設けることなく、足を保温できるコードレスタイプの蓄熱スリッパを提供すると共に、その蓄熱スリッパに蓄熱するための加熱装置、及びそれらを利用した足温装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る蓄熱スリッパが解決手段として採用したところは、足裏を覆う底板部と、足の甲から爪先を覆う甲板部と、前記甲板部に設けた蓄熱材とを備えた点にある。かかる構成により、蓄熱スリッパを使用する際、あらかじめ蓄熱材を加熱しておけば蓄熱材からの放熱により足の甲から爪先を保温できる。またかかる構成においては、蓄熱材は甲板部の内部に充填し、甲板部は蓄熱スリッパの外側に面する外装部に熱伝導率の低い部材を設けると共に、蓄熱スリッパの内側に面する内装部に外装部よりも熱伝導率の高い部材を設けた構成とすることが好ましい。これにより、蓄熱材からの放熱は外装部よりも寧ろ内装部を介して行われるため、足の保温に寄与しない無駄な放熱を抑制できると共に、甲板部の内側の足の甲から爪先に対して効率的に放熱が行われる。
【0008】
また本発明に係る加熱装置が解決手段として採用したところは、足裏を覆う底板部と、足の甲から爪先を覆う甲板部と、前記甲板部の内部に充填した蓄熱材とを備えた蓄熱スリッパの前記蓄熱材を加熱する加熱装置であって、基台から所定角度傾斜した状態で上方に突出し、前記蓄熱スリッパを吊下支持した状態で前記甲板部の内側から前記蓄熱材を加熱する左右一対の加熱手段と、前記加熱手段に電力を供給すると共に前記蓄熱材の加熱を制御するコントローラとを備えた点にある。かかる構成において前記加熱手段は、前記基台から突出して両端に開口を有する筒状の支持部材と、前記支持部材の外周面に設けた電気ヒータ部とを備え、前記電気ヒータ部によって加熱された前記支持部材内側の空気を前記支持部材の上端開口から外部に流出させる構成とすることが好ましい。この場合、加熱装置は前記電気ヒータ部を覆う被覆部材を更に備えた構成であることがより好ましい。
【0009】
また上記構成の加熱装置において、コントローラはタイマを備えた構成とし、加熱手段に電力を供給してから蓄熱材が融解温度よりも高温の所定温度となるタイミングで加熱手段に供給する電力を停止又は低下させるように制御することが好ましい。
【0010】
更に本発明は上述した構成の蓄熱スリッパと加熱装置から成る足温装置をも対象としている。この場合の蓄熱スリッパ及び加熱装置のそれぞれの構成は上述したものと同様である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓄熱スリッパに電気ヒータを設けることなく、足を一定時間保温できるコードレスタイプの蓄熱スリッパが実現される。すなわち、本発明の蓄熱スリッパは、甲板部に設けた蓄熱材を予め加熱蓄熱しておくことにより、使用時には足の甲から爪先の部分を甲板部からの放熱により一定時間保温するので、蓄熱スリッパを履いた状態で自由に足を動かしたり、歩行することができる。このとき甲板部には使用者の体重は掛からないので使用中に蓄熱材が漏れ出すこともない。
【0012】
また本発明の加熱装置は、加熱手段が基台から所定角度傾斜した状態で上方に突出しており、蓄熱スリッパを吊下支持した状態で甲板部の内側から蓄熱材を加熱するので、蓄熱スリッパの甲板部内側を加熱手段に近接させた状態で効率的に蓄熱材を加熱することができる。特に、加熱装置が蓄熱スリッパの蓄熱材を加熱する際、或いは加熱装置によって蓄熱された蓄熱スリッパを使用する際には、コードの抜き差しなどは必要でなく使い勝手が良い。
【0013】
また加熱手段が、基台から突出して両端に開口を有する筒状の支持部材と、支持部材の外周面に設けた電気ヒータ部とを備え、電気ヒータ部によって加熱された支持部材内側の空気を支持部材の上端開口から外部に流出させる構成とすることにより、蓄熱スリッパの加熱時に底板部と甲板部の内側空間に暖気を充満させることができ、この暖気によっても蓄熱材を加熱することができる。またかかる構成の加熱装置は、蓄熱スリッパの蓄熱材に蓄熱するためだけでなく、靴等を乾燥させる乾燥装置としても利用できる。
【0014】
また電気ヒータ部を覆う被覆部材を設けた構成の場合には、電気ヒータ部を保護することができると共に、電気ヒータ部に手などが直接触れることを防止できる。
【0015】
また加熱装置のコントローラはタイマを備えた構成とし、蓄熱材が融解温度よりも高温の所定温度となるタイミングで加熱手段に供給する電力を停止又は低下させることにより、蓄熱材が所定温度以上に加熱されることを防止することができ、安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。図1及び図2は本発明にかかる足温装置1の一例を示す図であり、図1はその正面図を、図2は図1のA−A断面図を示している。この足温装置1は、左右一対の蓄熱スリッパ2と、蓄熱スリッパ2に蓄熱するための加熱装置3とを備えて構成される。図2に示すように蓄熱スリッパ2は、足裏を覆う底板部4と、足の甲から爪先を覆うようにして底板部4の前方側周縁部に接合した甲板部5とを備えており、底板部4のほぼ中央に甲板部5の開口縁5aが設けられ、この開口縁5aから底板部4と甲板部5の間の空洞部に足先を挿入して使用するものである。そして甲板部5には蓄熱材7が設けられている。具体的には甲板部5はその全体が袋状のカバー部材6で被われており、そのカバー部材6の内部に蓄熱材7が充填される。甲板部5は足の甲を上から覆うので、蓄熱スリッパ2を使用中に体重が甲板部5に掛かることはなく、カバー部材6が破れることはない。そのため、蓄熱スリッパ2を履いた状態で歩行などを行っても蓄熱材7が漏れ出すといった不具合が生じることはない。
【0017】
蓄熱材7は、例えば潜熱蓄熱材が使用され、その融解温度及び凝固温度が人の体温(約36℃)よりも高温であって常温で固体又はゲル状である。そして融解温度よりも高温に加熱することで固体から液状若しくはゲル状に、或いはゲル状から液状に相転移する。このような蓄熱材6としては例えば床暖房などに利用される酢酸ナトリウム・3水塩(CHCOONa・3HO)を使用することができ、融解温度が43℃であり、凝固温度が40℃であるので、これを加熱することにより固体から液体に相転移する。またパラフィン系蓄熱材なども使用することができる。このような蓄熱スリッパ2は、後述する加熱装置3などの適宜の手段を用いて甲板部5に充填した蓄熱材7を予め融解温度以上に加熱しておくことで、使用の際には蓄熱材7からの放熱作用により、足の甲から爪先を保温する。
【0018】
カバー部材6は単層若しくは多層構造とされており、内部に充填した蓄熱材7がゲル状又は液状に相転移したときにも外部に漏れないように液密状に封止する。例えばカバー部材6は、蓄熱スリッパ2の外側に面する外装部6aに熱伝導率の低い部材を設け、蓄熱スリッパ2の内側に面する内装部6bに熱伝導率の高い部材を設けた構成とする。これにより甲板部5の外側表面から蓄熱材7の放熱が行われることを抑制できると共に、甲板部5の内側にある足の甲から爪先に対して効率良く熱を伝えることができ、保温性能が向上する。この場合、カバー部材6の外装部6aに断熱シートなどを設けて甲板部5の外側表面からの放熱を抑制しても良い。
【0019】
底板部4は通常のスリッパと同様の構成であり、必要に応じてクッション材等が内部に充填される。この底板部4には蓄熱材7は充填されないため、使用者の体重が作用しても蓄熱材7が漏れ出ることはない。
【0020】
加熱装置3は、上記の蓄熱スリッパ2がセットされた状態で蓄熱材7を加熱蓄熱するように構成され、所定角度θで傾斜した天板を有する基台9と、この基台9に取り付けられ所定角度θで傾斜した状態で基台9から上方に突出し、蓄熱スリッパ2を吊下支持した状態で甲板部5の内側から蓄熱材7を加熱する左右一対の加熱手段10と、この加熱手段10に電力を供給すると共に蓄熱材7の加熱を制御するコントローラ11とを備えている。
【0021】
加熱手段10は蓄熱スリッパ2を吊下支持したとき甲板部5の内側に近接する状態となって、甲板部5の内部に充填された蓄熱材7を効率的に加熱する。この加熱手段10は、例えば並設した2本の金属製円筒管を互いに接合して基台9から上記所定角度θで突出させると共に両端に開口12a,12bを有する筒状の支持部材12と、支持部材12の外周面に巻回した電熱線から成る電気ヒータ部13と、電気ヒータ部13を被覆する被覆部材14とを備えている。支持部材12はその先端を蓄熱スリッパ2の甲板部5の内側に差し込んだ状態で蓄熱スリッパ2を吊下支持する。このとき支持部材12は所定角度θで傾斜しているので、蓄熱スリッパ2の踵部分は自重によって垂れ下がった状態となり、図2に示す如く甲板部5の内側が支持部材12の先端に設けた電気ヒータ部13とほぼ接触するようになる。尚、本実施形態では所定角度θは45度とした場合を例示しているが、これに限定するものではなく、例えば30〜80度程度の範囲であれば良い。
【0022】
支持部材12の外周面に設けられる電気ヒータ部13は、支持部材12の先端位置から蓄熱スリッパ2が吊下支持された状態で甲板部5の開口縁5aとほぼ一致する位置或いは開口縁5aを超えて更に下方の位置まで設けられており、蓄熱材7を加熱する際には甲板部5の内側全体をほぼ均等に加熱することができるように構成されている。被覆部材14は耐熱性部材によって構成され、支持部材12に設けられた電気ヒータ部13の全体を被覆し、電気ヒータ部13の熱を分散させると共に、電気ヒータ部13を保護するものである。また被覆部材14は加熱装置3の作動中に手などが電気ヒータ部13に直接触れることを防止して安全性を確保する。この被覆部材14は支持部材12の上端開口12aを閉塞しないように設けている。
【0023】
上述のように支持部材12は所定角度θで傾斜しているため、発熱部13が発熱すると、支持部材12の内部の空気が加熱され、暖められた空気が上端開口12aから外部に流出する。これに伴い、支持部材12の下端開口12bからは冷気が支持部材12の内部に流入し、電気ヒータ部13によって加熱される。従って、加熱装置3を作動させると、支持部材12の上端開口部12aからは暖気が継続的に放出され、吊下支持された蓄熱スリッパ2の内側空間15に空気の対流を生じさせる。この暖気による対流は、蓄熱スリッパ2の爪先部分を加熱し、その部分に充填された蓄熱材7を加熱する。
【0024】
従って、支持部材12が蓄熱スリッパ2を吊下支持した状態で加熱装置3を作動させると、加熱手段10は蓄熱スリッパ2との接触部分を介して蓄熱材7を直接的に加熱する共に、蓄熱スリッパ2の内側空間15に充満する暖気によって蓄熱材7を間接的に加熱することもできる。よって、蓄熱スリッパ2の甲板部5に充填した蓄熱材7はその全体がほぼ均等に加熱され、昇温していく。
【0025】
図3はコントローラ11の構成を示す回路ブロック図である。コントローラ11は、加熱装置3を作動させるための操作部17と、操作部17の操作に連動して計時動作を開始するタイマ18と、加熱手段10に対して電力を供給する電力供給手段19とを備えている。操作部17が操作され加熱手段10への電力供給が指示されると、操作部17はタイマ18の計時動作を開始させると共に、電力供給手段19は内部スイッチをオンに切り換えて加熱手段10に対する電力供給を開始する。電力供給手段19は常に一定の電力を加熱手段10に供給することにより電気ヒータ部13から一定熱量が発せられるように制御する。そのため電力供給手段19による電力供給が開始されてからの時間経過に比例して加熱手段10がそれまでに発生した総熱量は増加する。タイマ18は加熱手段10から発せられた総熱量が所定値となるタイミングで電力供給手段19の内部スイッチをオフに切り換え、加熱手段10による加熱を停止させる。また内部スイッチをオフに切り換えることに代えて、タイマ18が電力供給手段19の供給電力を低下させることにより加熱手段10を保温加熱状態に切り換えるようにしても良い。
【0026】
図4は蓄熱材7の温度特性の一例を示す図であり、縦軸は温度を、横軸は熱量を示している。図例の場合、蓄熱材7の融解温度は43℃であり、凝固温度は40℃である。この蓄熱材7は昇温時には図中の実線ラインに沿って次第に温度上昇し、放熱時には破線ラインに沿って次第に温度降下する。蓄熱スリッパ2を加熱装置3にセットして加熱すると、甲板部5に充填した蓄熱材7は、与えられた熱量に応じて図4の実線ラインに沿って昇温し、融解温度まで上昇すると熱量は潜熱に費やされるので一定時間温度上昇が止まる。そして蓄熱材7が完全に相転移すると、再び温度上昇が始まる。その後、蓄熱材7が所定温度(例えば50℃前後)にまで上昇すると、タイマ18の機能によって加熱手段10は発熱機能を停止或いは低下させ、蓄熱材7の温度がそれ以上に上昇しないように制御される。
【0027】
融解温度以上に加熱された蓄熱材7は、加熱装置3から取り外されて放熱を開始すると、時間経過に伴ってほぼ一定の割合で凝固温度まで温度が降下する。そして凝固温度に至ると、蓄熱材7は温度降下が一旦止まり、ほぼ一定の温度を一定時間持続する。蓄熱材7の凝固温度は体温よりも高温であるので、凝固温度を一定時間持続することにより、蓄熱スリッパ2の内側に挿入した足の甲から爪先部分の保温効果が持続する。したがって、冬季において蓄熱スリッパ2を使用する際、予め加熱装置3を使用して蓄熱スリッパ2の蓄熱材7を融解温度以上に加熱昇温させておけば、保温効果が長時間持続する。このとき蓄熱スリッパ2には電気コードなどは全く接続されていないので自由に足を動かしたり、歩行することができる。また蓄熱スリッパ2そのものは加熱手段を具備しないため、蓄熱スリッパ2を履いたときにも違和感は生じない。尚、保温効果が持続する時間は、蓄熱材7によって異なるが、2〜3時間程度あれば十分実用可能である。
【0028】
以上のような足温装置1によれば、蓄熱スリッパ2に蓄熱する際には、加熱装置3の基台9から斜めに突出した支持部材12の先端に蓄熱スリッパ2をセットして加熱させるだけで良く、また蓄熱スリッパ2を使用する際には支持部材12から蓄熱スリッパ2を抜き出すだけで良いため、面倒なコードの抜き差しなどは必要でなく、使い勝手が良い。蓄熱スリッパ2の甲板部5に充填される蓄熱材7は潜熱蓄熱材を使用するので繰り返し使用が可能である。また足温装置1の加熱装置3は、蓄熱スリッパ2の蓄熱材7を加熱するだけでなく、靴やスリッパの乾燥装置としても利用することができる。すなわち、支持部材12の先端開口12aから放出される暖気が靴やスリッパの内部で対流を生じさせ、靴の乾燥やスリッパの乾燥を促進する効果を発揮するのである。
【0029】
尚、上記実施形態においては、加熱装置3のコントローラ11がタイマ18を備える場合を例示したが、タイマ18は必須の構成要素ではない。例えば加熱装置3が蓄熱材7を50℃に昇温させる場合、加熱手段10の温度が常に50℃で維持されるのであれば、タイマ18を設ける必要がない。この場合、蓄熱材7は加熱手段10によって50℃まで昇温して蓄熱した後、50℃の温度をキープする。
【0030】
また上記実施形態では、蓄熱材7の融解温度が43℃であり、凝固温度が40℃である場合を例示したが、これに限定されるものではない。冬季において足の爪先は人体のうちで最も冷えを感じる部分のひとつであり、爪先部分の温度は身体の体温よりも低くなると考えられる。そのため蓄熱材7の融解温度及び凝固温度は爪先部分の体温よりも高い温度であれば足温効果は発揮されるので、必ずしも身体の体温よりも高温である必要はなく、例えば35℃程度であっても保温効果を期待できる。
【0031】
また上記実施形態では、蓄熱材7を甲板部5に設けたカバー部材6に充填する場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば蓄熱スリッパの内部空間15に面する甲板部5の内側にシート状の蓄熱材或いは袋に充填した蓄熱材を貼着することにより甲板部5に蓄熱材を設けた構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】足温装置の一例を示す正面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】コントローラの構成を示す回路ブロック図である。
【図4】蓄熱材の温度特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 足温装置
2 蓄熱スリッパ
3 加熱装置
4 底板部
5 甲板部
6 カバー部材
6a 外装部
6b 内装部
7 蓄熱材
10 加熱手段
11 コントローラ
12 支持部材
13 電気ヒータ部
14 被覆部材
18 タイマ
19 電力供給手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏を覆う底板部と、足の甲から爪先を覆う甲板部と、前記甲板部に設けた蓄熱材とを備えることを特徴とする蓄熱スリッパ。
【請求項2】
前記蓄熱材は前記甲板部の内部に充填されており、前記甲板部は蓄熱スリッパの外側に面する外装部に熱伝導率の低い部材を設けると共に、蓄熱スリッパの内側に面する内装部に前記外装部よりも熱伝導率の高い部材を設けて成る請求項1記載の蓄熱スリッパ。
【請求項3】
足裏を覆う底板部と、足の甲から爪先を覆う甲板部と、前記甲板部の内部に充填した蓄熱材とを備えた蓄熱スリッパの前記蓄熱材を加熱する加熱装置であって、
基台から所定角度傾斜した状態で上方に突出し、前記蓄熱スリッパを吊下支持した状態で前記甲板部の内側から前記蓄熱材を加熱する左右一対の加熱手段と、
前記加熱手段に電力を供給すると共に前記蓄熱材の加熱を制御するコントローラとを備えることを特徴とする加熱装置。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記基台から突出して両端に開口を有する筒状の支持部材と、前記支持部材の外周面に設けた電気ヒータ部とを備え、前記電気ヒータ部によって加熱された前記支持部材内側の空気を前記支持部材の上端開口から外部に流出させることを特徴とする請求項3記載の加熱装置。
【請求項5】
前記電気ヒータ部を覆う被覆部材を更に備える請求項4記載の加熱装置。
【請求項6】
前記コントローラはタイマを備えており、前記加熱手段に電力を供給してから前記蓄熱材が融解温度よりも高温の所定温度となるタイミングで前記加熱手段に供給する電力を停止又は低下させることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の加熱装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の蓄熱スリッパと、請求項3乃至6のいずれかに記載の加熱装置とを備えることを特徴とする足温装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−66039(P2009−66039A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235162(P2007−235162)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【出願人】(391063905)三京株式会社 (2)
【Fターム(参考)】