蓄積位置エネルギーおよび可変流動抵抗器を使用して流体を注入するためのシステムおよび方法
蓄積された位置エネルギーおよび可変流動抵抗器を使用して、流体を注入するためのシステムおよび方法。本開示の一態様において、ある量の流体が中でプランジャーの下流表面と容器との間に収容され得るチャンバーを画定するように、容器内に位置付けられるプランジャーを含む注入装置が提供される。本注入装置は、プランジャーが、そこに作用する力によって変位すると、チャンバー内の流体が通って分注され得る流出路をさらに含む。可変流動抵抗器は、流出路内に位置付けられ、プランジャーに作用する力が減少する際に、容器からの流体の流速が実質的に一定に維持されることを可能にするように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2010年3月4日に出願された、米国特許仮出願第61/310,601号に対する優先権を主張し、本出願の全体は、その中における教示のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物を注入するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、注入を通じて一定の流速で薬物を注入するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
注入は、医療において遍在し続け、幅広い範囲の病状、物質、投与部位、および場所に広がっている。経口および他の薬物送達法(例えば、経皮的、吸入)の進化にもかかわらず、多くの重篤な治療は、依然として静脈内(IV)注入を必要とする。米国においては、1日あたり100万回の注入が行われていると推定される。入院患者の90%超が、IV注入を受ける。
【0004】
注入される物質には、薬物(例えば、抗生物質、化学療法、鎮痛剤、局所麻酔、血管作用薬、生物製剤)、流体(例えば、晶質、コロイド、非経口栄養)、および血液製剤(例えば、赤血球、血漿、血小板)が挙げられる。これらの物質は、典型的に、一定時間(数分から数時間)にわたる単回のボーラス投与量(数ミリリットルから数リットル)、またはより長期間(数時間から数日)にわたる固定速度もしくは滴定速度(典型的範囲1分あたり0.05mlから5ml)で送達される連続注入として注入される。
【0005】
注入は、様々な経路を通じて投与することができ、最も一般的には静脈内であるが、動脈内、皮下、胸膜内、関節内、硬膜外、および髄腔内であってもよい。幅広い範囲のカテーテルおよび移植可能ポートが、これらの様々な経路を通じて注入を容易にするために利用可能である。
【0006】
注入は、従来的に、入院環境において投与されてきたが、外来注入センターおよび自宅で注入を受ける患者が増えている。これらの後者の環境は、より少数かつ熟練度の低い臨床職員を有するため、静脈内の抗生物質、特定の化学療法剤、術後疼痛管理のための局所麻酔、および特定の麻薬性鎮痛剤を含む、特定の注入のみが、このような非入院環境において投与することが安全であると判断される。
【0007】
現在の医療的注入技術は、典型的に、重力、能動的変位電動ポンプ、または非電動使い捨てエラストマーポンプの使用を伴う。しかしながら、これらのアプローチには特定の不利点が存在する可能性がある。重力駆動の注入は、資本および処分費用が低いが、看護士による注意深い監視を必要とし、正確ではない場合があり、患者の可動性を制限する可能性があり、患者の安全機能を有しない。電動ポンプは、正確であり(±3%)、論争可能な効果の安全機能が組み込まれているが、高価で、嵩高く、人的要因に影響されやすい可能性があり、可動性が限定される。使い捨てのエラストマーポンプは、便利で極めて安価であるが、しばしば、患者の安全機能に欠け、非常に不正確な可能性があり(±15〜40%)、したがって、入院ベースの注入における役割がほとんどないか、またはない。
【0008】
転機をもたらした1999年の米国医学研究所の報告書「To Err is Human」は、米国で1年あたり40〜100,000の死亡が医療ミスに起因すると考えた。投薬ミスは、その40%が深刻で、生命に関わるかまたは致命的であり、最も一般的な医療ミスであり、医療システムに、1年あたり何十億ドルの負担をかける。静脈内の投薬ミスは、最も一般的な投薬ミスであり、これらの35%以上が、注入ポンプに関連する。研究は、革新的に特徴を詰め込んだ「高性能ポンプ」にも関わらず、人的要因、ソフトウェアおよびハードウェアの問題が、深刻なミスを助長していることを示している。FDAのMAUDE有害事象報告システムは、電動および使い捨て両方の注入ポンプのミスに関連する深刻な負傷および死亡の例を多数有している。過去4年間において、2つの大手製造業者からの600,000個を超える電動注入ポンプが、患者の負傷および死亡につながる主要なソフトウェアおよびハードウェア問題のために回収されている。
【0009】
医療注入の現在の状態は、したがって、以下のように要約することができる。病院、外来センター、および自宅での注入が、現代の医療注入の中心であるとはいえ、注入ポンプのミスは、依然として重大な問題であり、医療ミスの人的および経済的な大きな負担を助長する。電動注入ポンプは、不明瞭な利点の善意の「高性能な」特徴を有する、高価、高性能、かつ複雑な技術的装置となった。使い捨て注入ポンプは、多数の魅力的な特徴を有するが、大半が、依然として不正確であり、基本的な患者の安全機能を欠く可能性があり、ほとんどの静脈内注入に対し、不適切となる。
【発明の概要】
【0010】
本開示の一態様において、ある量の流体をプランジャーの下流表面と容器との間に収容することができるチャンバーを画定するように、容器内に位置付けられるプランジャーを含む、注入装置が提供される。注入装置は、プランジャーが、そこに作用する力によって変位されると、チャンバー内の流体を、そこを通じて分注することができる、流出路をさらに含む。可変流動抵抗器は、流出路内に位置付けられ、チャンバーからの流体流動抵抗を変化させ、プランジャーに作用する力が減少する際に、容器からの流体流速度を実質的に一定に維持するように構成される。
【0011】
本開示の別の態様において、プランジャーの下流表面と、プランジャーがその中に位置付けられる容器との間に画定されるチャンバー内に、送達されるある量の流体を提供するステップを含む、流体を送達するための方法が提供される。次に、容器内のプランジャーを変位させるように、プランジャーに力を作用させることができ、そうして流体がチャンバーから分注される。流体が分注される際、流動抵抗は、プランジャーへの力が減少する場合に、流体が通ってチャンバーから分注される通路内で変化することができ、それによって実質的に一定の分注速度を維持する。
【0012】
本開示のさらに別の態様において、プランジャーの下流表面と容器との間に、ある量の流体を中に収容することができるチャンバーを画定するように、容器内に位置付けられるプランジャーを含む、注入装置が提供される。装置はまた、チャンバー内の流体が、プランジャーがそこ作用する力によって変位されると、通って分注される、流出路を含むことができる。可変流動抵抗器は、流出路の下流に位置付けられ、チャンバーから流体を受容するように構成されてもよく、抵抗器は、その中に実質的に一定の圧力を維持するように構成され、それによって、このような圧力は、プランジャーに作用する力が減少する際に、実質的に一定の速度で、抵抗器から流体を送達するように作用することができる。
【0013】
本開示のさらなる態様において、プランジャーの下流表面およびプランジャーが中に位置付けられる容器によって画定されるチャンバー内に、分注されるある量の流体を提供することを含む、流体を送達するための方法が提供される。次に、プランジャーに力を作用させて、プランジャーを容器内に変位させ、それによって流体がチャンバーから分注される。その後、環境から流体を分注するように作用可能な圧力を、実質的に一定に維持するように設計される環境で、チャンバーから分注された流体を受容することができる。次のステップにおいて、流体は、開口部の上流および下流に実質的に一定の圧力差異を維持しながら、環境から分注することができ、それによって、プランジャーへの力が減少する際に、一定した流速の流体を患者に提供することができる。
【0014】
本開示の別の態様において、吸入空洞およびハウジングを含む、圧力調節器が提供される。プランジャーは、プランジャーの下流表面とハウジングとの間の流出空洞を画定するように、ハウジング内に位置付けることができる。装置はまた、吸入空洞と流出空洞との間の流体連通のためのチャネルを含み、それによってプランジャーの各側面上に作用する力の均衡の平衡を維持する。流体は、ハウジング内の排出口からの流出空洞から分注されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の注入装置の容器の断面描写である。
【図2A】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2B】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2C】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2D】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2E】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図3A】流体チャンバーが満杯(図3A)、部分的に空(図3B)、および完全に空(図3C)、の3つの異なる位置にある、空の容器内のプランジャーシステム23を示す。
【図3B】流体チャンバーが満杯(図3A)、部分的に空(図3B)、および完全に空(図3C)、の3つの異なる位置にある、空の容器内のプランジャーシステム23を示す。
【図3C】流体チャンバーが満杯(図3A)、部分的に空(図3B)、および完全に空(図3C)、の3つの異なる位置にある、空の容器内のプランジャーシステム23を示す。
【図4A】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4B】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4C】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4D】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4E】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図5A】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図5B】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図5C】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図5D】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図6A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図6B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図6C】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図6D】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図7A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を使用しての、注入のシミュレーション結果を示す。
【図7B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を使用しての、注入のシミュレーション結果を示す。
【図8A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図8B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図8C】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図9A】図8A〜8Cの可変流動抵抗器において使用可能なカニューレ構成要素の実施形態を示す。
【図9B】図8A〜8Cの可変流動抵抗器において使用可能なカニューレ構成要素の実施形態を示す。
【図9C】図8A〜8Cの可変流動抵抗器において使用可能なカニューレ構成要素の実施形態を示す。
【図10】ムーディ線図を提示する。
【図11A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図11B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図11C】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図12A】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図12B】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図12C】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図12D】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図13】本開示の一連の注入装置を有する注入システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、薬物および/または流体を患者内に注入するための、本発明の装置10の実施形態を提示する。
【0017】
注入される流体には、幅広い範囲の薬物、流体供給、生体療法、他の物質、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
注入される流体は、静脈内、腸内、動脈内、心室内へ直接、皮下的、筋肉内、別の非経口経路を通じて、または腹膜腔、胸膜腔、心膜腔、関節腔、硬膜外腔、脊髄腔、もしくは脳室を含むがこれらに限定されない、体腔内へ投与されてもよい。
【0019】
一実施形態において、装置10は、1つ以上のチャンバーを有する容器11を含んでもよい。
【0020】
もちろん、容器11は、所望の、任意の形状または寸法であってもよい。
【0021】
容器11は、耐久性、使い捨て、または再生利用可能な材料から作製されてもよい。
【0022】
一実施形態において、容器11は、中に含まれる、加圧流体、ガス、または他の物質を安全に封入するために、堅い殻の外装を有してもよい。
【0023】
例えば、容器11は、携帯性を高めるために、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン)、金属、ガラス、または任意の他の軽量材料で作製することができる。
【0024】
一実施形態において、装置10の容器11は、主チャンバー12を含むことができる。
【0025】
幾何学的に言って、主チャンバー12は、立方、円筒、または任意の他の三次元構造等の、既定の高さをまたぐ固定断面を有する直角柱であってもよい。
【0026】
したがって、主チャンバー12は、上壁14、底壁15、および1つ以上の側壁16を有してもよい。
【0027】
容器11の側壁(1つまたは複数)16は、一実施形態において、主チャンバー12の上壁14を超えて延在して、ベイ22を形成することができる。
【0028】
ベイ22は、制御モジュール、管、コネクタ、アダプタ、および注入装置10の機能性を強化するための他の周辺機器を保持するために提供されてもよい。
【0029】
さらに、流出路13の高さに適合するように側壁16を延在させることによって、装置10は、実質的に実用的な、人間工学的形状を確保することができる。
【0030】
前述のように、装置10の容器11は、チャンバー12と流体連通する流出路13を含むことができる。
【0031】
一実施形態において、流出路13は、容器11の縁部に沿って位置付けることができる。流出路13は、主チャンバー12の幅よりも実質的に狭い幅で提供されてもよい。流出路13は、一実施形態において、主チャンバー12の上壁14を越える距離で隆起してもよい。容器11の一部として図示されるが、流出路13は、主チャンバー12から離れていてもよく、例えば、管によって、主チャンバー12に流動的に接続されていてもよいことに留意されたい。
【0032】
ここで図2A〜2Eを参照して、主チャンバー12の断面は、上述のように、長方形、円形、楕円形、または他のより複雑な形状を含むが、これらに限定されない任意の形状をとることが可能である。図2B〜2Eは、図2Aの点線Aのレベルで、主チャンバー12の形状が異なる容器のいくつかの実施形態の断面を示す。非限定的な例として、容器11は、長方形(図2B)、円形(図2C)、もしくは曲がった長方形、細長い長方形(図2E)で提供されてもよく、または容器11は、弾丸型(図2D)をしていてもよい。特定の実施形態において、流出路13の深さは、図2Bおよび2Cに示されるように、主チャンバー12の深さよりも短くてもよく、または、図2Dおよび2Eに示されるように、主チャンバー12の深さと同じであってもよい。
【0033】
ここで、図3A〜3Cを参照して、本開示の装置10の実施形態において、プランジャーシステム23は、容器11内に存在してもよい。プランジャーシステム23は、チャンバー12を、ある量の流体を蓄積するための流体チャンバー26と、容器11内でプランジャーシステム23を変位させるための機構を収納するための圧力チャンバー27とに分割することができる。図3Aは、流体チャンバー26が実質的に満杯の場合に、プランジャーシステム23が位置され得る、主チャンバー12内の点にあるプランジャーシステム23を示す。図3Bは、流体チャンバー26が部分的に空の場合に、プランジャーシステム23が位置される可能性のある、主チャンバー12内の点にあるプランジャーシステム23を示す。図3Cは、流体チャンバー26が実質的に空の場合に、プランジャーシステム23が位置される可能性のある、主チャンバー12内の点にあるプランジャーシステム23を示す。
【0034】
プランジャーシステム23は、一実施形態において、主プランジャー24を含むことができる。主プランジャー24は、主チャンバー12内に存在し、標準的シリンジ内のプランジャーに類似の可動壁として機能することができる。プランジャー23は、その下流表面と容器との間で、流体チャンバーを画定する。主プランジャー24は、主チャンバー12内で、軸方向に移動し、流体チャンバー26および圧力チャンバー27の相対体積をそれぞれ変更することができる。さらに、それが主チャンバー12内で移動する際、主プランジャー24は、主チャンバー12の壁に、実質的に密封を提供し、流体チャンバー26と圧力チャンバー27との間の、ガスまたは流体の漏れを阻止することができる。そのためには、主プランジャー24は、主チャンバー12内で自由に摺動することができながらも、主プランジャー23がこのような密封を提供することを可能にするように、適切な形状および構造をとることができる。一実施形態において、主プランジャー24は、容器11の主チャンバー12と実質的にぴったりとした適合を形成して、主チャンバー12内で主プランジャー24を移動させるために十分に低い可能性のある、主プランジャー24および主チャンバー12の壁との間の摩擦係数を提供することができる。一実施形態において、主プランジャー24は、シリコーン、ラテックス、または他のゴム材料等の柔軟な材料で作製されていてもよい。別の実施形態において、主プランジャー24は、ゴムまたはシリコーン等の柔軟な材料で作製された外部ガスケットを有する、プラスチックまたは金属等の剛体材料で作製されてもよい。一実施形態において、主プランジャー24は、流体チャンバー26および圧力チャンバー27を、互いから分離するようにさらに促進するための、ガスケットを含むことができる。ガスケットは、主プランジャー24が、主チャンバー12内で自由に移動することを可能にするように十分に潤滑されていてもよい。主チャンバー12は、一実施形態において、主プランジャーが主チャンバー12を横断する際に、主プランジャー24を安定させるための、1つ以上の誘導機構を含むことができる。このような誘導は、一実施形態において、主チャンバー12の中心を通る柱、あるいは主チャンバー12の側壁(1つまたは複数)の内側面の隆起部および/または溝であってもよい。
【0035】
主プランジャー24を変位させるために、圧力チャンバー27は、一実施形態において、位置エネルギーを蓄積し、容器11内でプランジャーシステム23を変位させるために位置エネルギーを放出するように構成される、駆動機構を収納することができる。このような駆動機構は、その性質上、いずれの外部電源、ポンプ、または重力をも必要とせずに、患者内に流体を注入するために十分に主プランジャー24を変位させるのに十分な量の位置エネルギーを蓄積することができる。位置エネルギーは、一実施形態において、所望の流速で、流体チャンバー26から流出路13を通じて、患者に流体を投与するために十分な力を、主プランジャー24に与えることができる。駆動機構に十分な位置エネルギーを提供するために、流体チャンバー26を流体で満たして、流体チャンバー26を膨張させることができ、主プランジャー24を圧力チャンバー27に向かって駆動させることができる。そのようにして、駆動機構は圧縮され、後の注入のために放出可能な、必要位置エネルギーを駆動機構に蓄積させることができる。
【0036】
駆動機構は、一実施形態において、図4Aに示されるように、圧縮性ガス28の形状をしていてもよい。圧縮ガス28がその壁に与える力に耐えるために、容器11は、一実施形態において、プラスチックまたは金属等の、十分に丈夫な材料から作製することができる。さらに、プランジャーシステム22と容器11の内部壁との間の密封は、圧縮ガス28が、圧力チャンバー27内に留まり、流体チャンバー26または流出路13内に漏れないように十分に、しっかりとしている必要がある。一実施形態において、ガス28は、空気、二酸化炭素、窒素、またはヘリウムを含むがこれらに限定されない、任意の医療用の不燃性ガスであってもよい。さらに、ガス28は、膨張可能な場合に、ガス28が適切な力をプランジャーシステム23上に生成して、それを流体チャンバー26内に駆動し、流体チャンバー26内の流体を患者内に注入することができるように、十分に圧縮することが可能であってもよい。
【0037】
所望の初期駆動圧力を主プランジャー24にもたらすのに十分なガス28の量は、ガス28が理想気体として機能すると仮定して、ボイルの法則(Boyle’s Law)を使用して決定することができ、
【数1】
式中、mgは、ガス容器29内のガス28の質量であり、P0は、初期容器圧力であり、V0は、注入される流体チャンバー26内の初期体積であり、MWgは、ガス28の分子量であり、Rは、理想気体定数であり、CRは、注入開始時のガス28の圧縮比率であり、Tは、絶対温度である。
【0038】
一実施形態において、図4Aに描写されるように、ガス28は、圧力チャンバー27内の空間を単純に満たすことができる。別の実施形態においては、図4Bに示されるように、ガス28は、圧力チャンバー27内に配置される不浸透性弾性ガス容器29内に存在していてもよい。ガス28をこのような完全に封入されたガス容器29内に位置付けることによって、容器11の外側または流体チャンバー26内へガス28が漏れる危険性なしに、ガス28が膨張および収縮することを可能にすることができる。これは、圧力チャンバー27内で、より高い圧力が生成されることを可能にすることができる。それは、本開示の装置の製造および組み立てもまた促進することができる。一実施形態において、ガス容器29は、満たされ、大気圧で密封され、次いで外部の機械力で容器11内に押し込められ、そうして、容器11への高圧ガスポートの必要性を排除することができる。図4Dに示される実施形態において、ガス容器29は、主プランジャー24の上部でプランジャーシステム23に結合することができ、そうしてその連結した全体を、後に単体として容器11内に設置することができる。
【0039】
図4Cに示されるように、その中立状態(すなわち、非圧縮)において、容器11の外側が大気圧にある状態で、ガス容器29は、主チャンバー12の形状と概ね整合する形状、すなわち上壁30、底壁31、および1つ以上の側壁32を提供される。この中立状態において、ガス容器29の高さは、ガス容器29が、注入の継続期間を通じて加圧されたままであってもよいため、主チャンバー12のものよりも高い可能性がある。一実施形態において、ガス容器29の断面形状は、主チャンバー12と同一であってもよいが、主チャンバー12内で自由に膨張することができるように、わずかに小さい面積を有する。ガス容器29は、膨張および収縮を容器の軸寸法に限定する、アコーディオンまたは蛇腹様の構造を有する、プラスチック(ポリウレタン、ポリプロピレン、PTFE、PBAX等)等の、非柔順、不透過性、柔軟材料から作製することができる。上壁30および底壁31は、単一の軸方向寸法への容器の膨張および収縮をさらに強制するために、プラスチック、ガラス、または金属等の剛体材料で補強することができる。ガス容器29に弾性または半弾性材料を使用することで、同様の機能性を達成することができるが、側壁(1つまたは複数)32が外側へ膨張する傾向は、製造および組み立てを、より煩雑にしている。
【0040】
別の実施形態において、図4Eに示されるように、圧力チャンバー27は、主チャンバー12の上壁15と、主プランジャーとの間に位置付けられる、1つ以上のバネ33等の機械装置内に、その位置エネルギーを蓄積することができる。1つ以上のバネを使用して、プランジャーシステム23を駆動するための所望の力を提供することができ、その選択は、フックの法則(Hooke’s Law)に基づいていてもよい。
【0041】
一実施形態において、圧力チャンバー27は、圧力チャンバー27が膨張する際に、空気の吸入口を提供するために、大気と連通する1つ以上の通気口を含むことができる。圧力チャンバー27の通気は、その存在により圧力チャンバー27の膨張を妨害する可能性のある真空が、圧力チャンバー27内で生成されることを阻止することができる。圧力チャンバー27の通気はまた、プランジャーシステム23を駆動する機構の過熱を回避することを助けることができる。通気は、ガス容器29と、主チャンバー12の内部壁との間に閉じ込められるいずれの空気の除去も、さらに支持することができる。
【0042】
図5A〜5Dを参照して、一実施形態において、本開示の装置は、1つ以上の吸入ポート34、排出ポート35、統合管36、端子コネクタ37、およびアダプタ38を含むことができる。これらのポートは、必要な際に開口部を密封するためのキャップ、または流体もしくはガスを追い出される方向に移動させるためのバルブを含むことができる。吸入ポート34、排出ポート34、端子コネクタ37、およびアダプタ38は、装置10の操作および/または注入流体40の分注に有用な、ルアーロック、ねじ式、バヨネット、または他の「即時接続」式の機構等の特定の接続機構を有することができる。例えば、吸入ポート34を使用して、流体チャンバー26を満たすか、またはガス容器29を満たすことができる。排出ポート35は、脱気中に流体および空気が容器を出、注入中に流体が出ることを可能にすることができる。統合管36は、患者に到達するのに適切な長さを有することができ、その好ましい実施形態においては、それがより人間工学的になるように、コイル状をしている。端子コネクタ37は、患者のカテーテル39またはポートに、直接で、または既にカテーテルもしくはポートに接続済みの整合アダプタ38を使用して、装置を接続することができる。
【0043】
図5Aを参照して、一実施形態において、完全に組み立て、チャージ済みだが空の注入装置10が、充填の準備ができて示される。容器11は、ガス28を有するガス容器29を含む、部分的にチャージされた圧力チャンバー27が示される。ガス28は、主チャンバー12内で完全に膨張し、それによって流体チャンバー26の体積は、実質的にゼロになる。示されるように、流出路13および統合管36は、空気で満たされており、端子コネクタ37は、未だカテーテル39に取り付けられていない。図5Bは、注入流体40で充填済み、脱気済みの、注入開始の準備ができた同一の装置を示す。特に、容器11は、圧力チャンバー27内のガス8が圧縮された状態で示される。流体チャンバー26、流出路13、および統合管36は、一方で、実質的に流体で満たされ、空気が欠乏した状態で示される。図5Bに示される実施形態において、主プランジャー24は、その最高位置にあり、内部壁20の縁部と隣接している。主プランジャー24のこの位置は、流体チャンバー26の最大体積、圧力チャンバー27の最小体積、および全チャンバー内の最大圧力と対応する。図5Cおよび5Dは、注入流体40の注入の50%および100%が完了した後の、装置を示す。
【0044】
注入流体40が主プランジャー24の変位によって、流体チャンバー26から分注される際、注入流体は、流出路13に入ることができる。一実施形態において、図3A〜3Cおよび5A〜5Dに図示されるように、流出路13は、容器11の壁20aと20bの間に形成することができる。流出隔膜17を、流出路13内に配置することができる。一実施形態において、流出隔膜17は、容器11の構造内に完全に統合することができる。一実施形態において、流出隔膜17は、容器とは別に製造され、組み立ての際に容器内のスロット型チャネル内に挿入されてもよい。これにより、既定寸法の容器が、それぞれがそれ自体の抵抗性質を有する複数の流出隔膜17のうちの1つに結合することを可能にし、その特定の注入装置に対する所望の流速を達成することができる。
【0045】
流出路13は、流出隔膜17によって、外部流出チャネル18および内部流出チャネル19の、2つの並行流出チャネルに分けることができる。流出チャネル18は、流出隔膜17と壁20aとの間の空間によって画定することができる。流出隔膜17は、流出路13の遠位端から下向きに、容器11の底壁15までだがやや短く延在して、主チャンバー12から外部流出チャネル18内への流路を提供することができる。外部流出チャネル18は、流出路13の遠位端で、終端として終結してもよい。内部流出チャネル19は、流出隔膜17と壁20bとの間の空間によって画定することができる。壁20bは、主チャンバー12内へ、その上壁14からある距離で延在して、内部流出チャネル19の壁の一部分を形成することができる。内部流出チャネル19は、流出口21において、流出路13の遠位端で終結してもよい。流出隔膜17の一区分は、透過性であり、外部流出チャネル18から内部流出チャネル19内への流動を可能にすることができる。
【0046】
注入装置10は、一実施形態において、プランジャー延在部25をさらに含むことができる。プランジャー延在部25は、主プランジャー24の1つの縁部から直角に延在する葦様の突出部であってもよい。主プランジャー24と同様に、プランジャー延在部25は、全体的にゴムもしくはシリコーン等の柔軟材料から、またはガスケットを形成するためにゴムもしくはシリコーンの外部層を有するプラスチックもしくは金属等の剛体材料から、作製することができる。プランジャー延在部25は、流出路13の内部流出チャネル19内に存在してもよく、内部流出チャネル19内でしっかりとした密封を形成し、流体またはガスの、流体チャンバー26もしくは圧力チャンバー27内への漏れを阻止することができる。プランジャー延在部25の長さは、図3Cに示されるように、流体チャンバー26が空の場合に、主プランジャー24が主チャンバーの底壁15に突き当たる長さであってもよく、プランジャー延在部25は、密封を維持するのに十分な重なりを有して、内部流出チャネル19内に係合したまま留まることができる。流体チャンバー26が流体で満たされる際、プランジャー延在部25は、内部流出チャネル19内高くに延在することができる。一実施形態において、プランジャー延在部25は、図3Aに示されるように、流出口21を閉塞しないように、チャネルの端部よりも短くてもよい。主チャンバー12の内部壁20は、プランジャーシステムが浮上して流出口21を閉塞することを阻止するように、寸法決めすることができる。主プランジャー24が、主チャンバー12の底壁15に向かって移動する際、それは、プランジャー延在部25をそれと共に引っ張ることができる。プランジャー延在部25が、内部流出チャネル19内で近位方向に移動する場合、それは、流出チャネル19の高さを増加させることができる。プランジャー延在部25はまた、流出隔膜17に沿って摺動して、内部および外部流出チャネル18および19の両方と連通する隔膜の領域を増大させることができる。
【0047】
一実施形態において、本発明の注入装置10は、流出路13内に配置される可変流動抵抗器を含むことができる。可変流動抵抗器は、高度の正確性を有する注入の際に、一定流速の維持を支持することができる。従来の使い捨て注入ポンプは、典型的に、一般的にポンプと患者との間に配置される口径の狭い管である、固定流動抵抗器を、注入回路内に組み込むことによって、既定の流速を送達するように試みる。典型的にエラストマー膜またはバネの反動によって提供される、これらのポンプの駆動力は、しかしながら、一定ではなく、注入期間を通じて変化する可能性があり、注入の終了に向かって減少する場合がある。流動抵抗が一定であるため、このようなポンプからの流速は、駆動力が変化すると、変化する可能性がある。例えば、いくつかの使い捨て注入ポンプにける瞬間流速偏差は、±40%程度の高さであることが示されている。流出路13内に可変流動抵抗器を提供することによって、駆動力が変化する場合でさえも、注入流体を、注入期間の間、実質的に一定の流速で患者内に注入することができる。
【0048】
図6A〜6Dを参照して、一実施形態において、本開示の装置の可変流動抵抗器60は、流出隔膜17の透過性部分とプランジャー延在部25との相互作用によって、形成することができる。一実施形態において、流出隔膜17は、透過性領域41および透過性領域42によって画定される、透過性部分を有することができる。隔膜17にこのような透過性領域を提供することによって、プランジャー延在部が流出口21から離れて流出隔膜17に沿って摺動する際に、流出隔膜17の透過性区分の増加部分が露出され、内部流出チャネル18と外部流出チャネル19との間の流動が、速い速度で生じ、プランジャーによって流体チャンバー26内の流体に及ぼされる力におけるいずれの減少にも対応することを可能にすることができる。
【0049】
流出隔膜17の透過性区分は、一実施形態において、初期透過性領域41および調整可能透過性領域42の、2つの領域に分けることができる。注入の開始時において、図6Aに示されるように、プランジャー延在部25は、その最高点にあってもよい。そのために、プランジャー延在部25は、プランジャー延在部25がその最高点にあり得る場合に、調整可能透過性領域42を実質的に被覆することができる。初期流動は、流出口21に正反対の、プランジャー延在部25の最高点に遠位の流出隔膜17上に位置付けられる、初期透過性領域41を通じて進行することができる。透過性領域41は、示されるように、調整可能透過性領域42と同一の材料で作製することができ、調整可能透過性領域42と隣接していてもよい。あるいは、初期透過性領域は、別個であり、異なる材料で作製することができる。この初期透過性領域41の流動抵抗が、初期流速を決定することができる。
【0050】
注入が進行するにつれて、図6Bに示されるように、プランジャー延在部25は、排出口26から内部流出チャネル19内へ移動して、調整可能透過性領域42の増大部分を露出することができる。均質の透過性材料を通じて流体流動を統率する、ダルシーの法則(Darcy’s law)によると、調整可能透過性領域42の流動抵抗は、露出領域に対して反比例する。したがって、注入が進行するにつれて、流体チャンバー26内の注入流体への力が減少する場合、注入装置からの注入流体の実質的に一定の流速の維持を可能にするためには、透過性領域を増大させて抵抗を下げる必要がある。注入が、実質的に完了する際、図6Cに描写されるように、プランジャー延在部25は、流出隔膜17上で、その最低点にあってもよく、調整可能透過性領域42の全てが、露出されていてもよく、流動抵抗は、最低であってもよい。
【0051】
流出隔膜17は、容器11と同様に、プラスチックまたは金属等の剛体の不透過性材料で作製することができる。図6Dに描写される実施形態において、透過性領域41および42は、流出隔膜17の壁の切取り部分に埋め込まれた、既定の形状の透過性材料を含むことができる。材料は、本装置の既定の実施形態の流動に所望の抵抗を達成する、適切な透過能力指標を有する、プラスチック、金属、セラミック、または繊維等の、任意の多孔質材料43であってもよい。別の実施形態において、透過性領域41および42は、流出隔膜17を通して細孔模様を作り出すことによって、作り出すことができる。初期透過性領域41は、実際、流動に適切な初期抵抗を提供するために、適切な直径の単一の細孔であってもよい。調整可能透過性領域42は、既定の密度で既定の領域にわたって広がる固定または可変寸法の格子状44の微細孔を有することができる。微細孔の密度は、固定または可変であってもよい。別の実施形態において、透過性領域41および42は、全体が多孔質材料43または44から作製される、流出隔膜17で開始し、透過性領域41および42の形状の切り出しを用いて、流出隔膜の各側面に不透過性マスクを適用することによって、作り出すことができる。
【0052】
可変流動抵抗器60は、注入が進行するにつれて、プランジャーシステム23に作用する力の減少を追跡することができ、一定の流動を維持するために、流出路13内の注入流の流動抵抗を減少させることができる。可変流動抵抗器は、可変流動抵抗器28の調整可能透過性領域42の露出部分の高さを増加させることによって、それを行うことができ、それによって、予測可能な様式で、抵抗を減少させる。抵抗と露出された高さとの間の関係は、装置内でガスと流体とを統率する、ボイルの法則(Boyle’s Law)およびポアズイユの法則(Pouseille’s Law)の、2つの法則から導くことができる。この関係が決定されると、透過性領域41および42の形状は、ダルシーの法則(Darcy’s Law)を使用して決定することができ、図6Bにおいて示されるように、領域の幅と高さとの間の関係が確立される。
【0053】
ボイルの法則(Boyle’s Law)は、圧力チャンバー27内のガス28の圧力と体積との間の関係を統率する。ガス28は、理想気体であると仮定することができ、ボイルの法則(Boyle’s law)によると、圧力の生産およびガスの体積は一定である。流体は、非圧縮性であると仮定され、ガスの圧力は、静止状態下において、容器全体の圧力と同一であってもよい。層流を仮定して、ポアズイユの法則(Pouseille’s Law)は、流体への駆動圧力と、流動抵抗および流速との間の関係を統率する。一定の流速において、圧力と抵抗との比率は、一定であってもよい。
【0054】
これらの2つの法則を使用して、可変流動抵抗器の調整可能領域42の露出の高さhと、それに伴う全抵抗Rとの間の関係は、次のように決定することができ、
【数2】
式中、P0およびP1は、それぞれ初期および最終容器圧であり、V0は、注入される流体チャンバー26内の初期体積であり、Aは、主チャンバー12の断面積であり、したがって、流体チャンバー26および圧力チャンバー27の断面積であり、Ppは、患者に注入される場所での圧力(例えば、静脈内圧)であり、Q0は、初期流速およびしたがって標的流速である。幅広い種類の初期条件、ならびに容器の寸法および形状にわたって、10,000回までの反復を使用する、本装置の数値シミュレーションにおいて、この抵抗関数に従って全抵抗を変化させるにより、0.001%未満の許容誤差内で、一定の流速をもたらすことができる。図7Aは、典型的なシミュレーションの結果を示す。注入が進行するにつれて、抵抗は着実に下落し、圧力チャンバーは減圧され、一定の流動をもたらす。
【0055】
流体路全体にわたる全流動抵抗は、複数の異なる抵抗器として表すことができる。1つは、流出チャネル18および19、排出ポート35、統合管36、端子コネクタ37、アダプタ38、および患者のカテーテル39を含む、流体路の全固定抵抗である。可変流動抵抗器を全固定抵抗と直列に接続してもよい。可変流動抵抗器は、初期透過性領域41に対応する初期抵抗、および調整可能透過性領域42の露出部分に対応する可変構成要素の、並列接続される2つの構成要素を有することができる。
【0056】
図6A〜6Cに示される実施形態において、透過性領域41および42は、均質の多孔質材料または微細孔模様で満たされた流出隔膜17の部分であってもよい。初期透過性領域41は、狭い長方形として示されるが、排出隔膜17の上部内に適合する任意の形状であってもよい。その領域は、精密な初期抵抗を生成して、装置の初期抵抗を生成するためのものである。領域は、以下のように決定することができる。
【数3】
式中、μは、流体粘度であり、tは、流出隔膜17の厚さであり、κは、調整可能透過性領域42の透過性である。
【0057】
調整可能透過性領域42は、台形として図6A〜6Cに示されるが、上述の抵抗関数を達成することが要求されるその形状は、より複雑であり、容器の初期条件および性質に依存する。その領域の透過性が、調整可能透過性領域42全体にわたって、および流出隔膜17の厚さを通じて均質であると仮定する場合、ダルシーの法則(Darcy’s Law)を使用して、上述の抵抗関数を生成し、注入期間を通じて一定の流速を維持する領域の精密な形状を決定することができる。その形状は、次の通り、調整可能透過性領域42の幅とその領域の既定の露出高さhとの間の関係によって表すことができる。
【数4】
幅広い種類の開始条件にわたり、10,000回までの反復を使用する、多数の装置シミュレーションにおいて、上述の関数は、0.001%未満の許容誤差内の一定流動をもたらす、抵抗の減少を生成する。図7Bは、示される1組の初期条件を使用して、上述の形状関数から導かれる透過性領域42の形状を示す。
【0058】
圧力チャンバー27が、ガスの代わりにバネを使用する実施形態において、同様の抵抗関数および形状関数が導くことができる。この場合において、フックの法則(Hooke’s Law)は、力がバネ変位に比例する、その線形範囲内で機能すると仮定されるバネの特性を統率する。結果として、抵抗関数は線形である。
【数5】
【0059】
固定透過性領域41の面積は、ガスのものに対するものと同一である。
【数6】
この実施形態の調整可能透過性領域42の形状は以下である。
【数7】
【0060】
別の実施形態において、図8A〜8Cに示されるような機械的可変流動抵抗器が、流出路13内に提供される。このような実施形態において、流出路は、受動的可変流動抵抗器60と接続する上述の流出路13の実施形態とは異なり、単純な通路であってもよい。患者への注入流体40を一定の流速に維持するために、機械的可変流動抵抗器は、一実施形態において、注入流体40が、流体チャンバー26から中に移送され得る流出路13内に、中間チャンバーを提供することができる。本発明の機械的流動抵抗器は、中間チャンバー内で、所望の圧力差異を維持することができ、注入時に、注入期間を通じて一定の流速で、患者への注入流体40の注入を可能にする。本発明の機械的流動抵抗器は、フィードバックループ、ならびに中間空洞内の圧力および注入時の圧力の変動を修正することを可能にする機構を提供されてもよく、そうすることで所望の圧力差異が、注入期間を通じて維持されるようになる。注入流体40は、中間空洞から一定の開口部を通して分注されるため、注入流体40は、したがって、プランジャーシステム23への力が減少する場合でさえも、注入期間を通じて一定の流速で患者に投与可能である。
【0061】
ここで図8A〜8Cを参照して、機械的可変流動抵抗器80の実施形態が示される。抵抗器80は、装置10の流体チャンバー26と流動連通する吸入空洞81を含み、注入流体40が流体チャンバー26から吸入空洞81へ移送されることを可能にすることができる。注入流体40は、一実施形態において、主プランジャー24によって注入流体40に及ぼされる圧力に対応する圧力で、注入流体40の移送においてより少ない圧力低下で、吸入空洞81内に蓄積することができる。
【0062】
機械的可変流動抵抗器80は、ハウジング87をさらに含むことができる。ハウジング87は、ハウジング89を、流出空洞91および駆動空洞92の、2つの構成要素に分割するように摺動可能に配置される、プランジャー89を含むことができる。流出空洞91は、吸入空洞81から注入流体40を受容するように構成することができる。駆動空洞92は、一方で、駆動機構86を収容するように構成することができる。機構86は、位置エネルギーを蓄積および放出する能力のある、バネまたは圧縮ガスであってもよく、このようなバネまたは圧縮ガスは、ハウジング87内でプランジャー89を変位させるためのものである。
【0063】
ハウジング87は、一実施形態において、吸入空洞81の壁111が、流出空洞91の壁113に隣接するように、吸入空洞81内に一列で位置されてもよい。そのために、流出空洞91は、注入流体が、吸入空洞81から中に移送され得る中間チャンバーとして機能することができる。一実施形態において、注入流体40は、吸入空洞81と流出空洞91との間で、カニューレ97を通じて移送することができる。
【0064】
一実施形態において、カニューレ97は、図9Aに図示されるように、密封された近位端および遠位端101および103、ならびに側壁内に複数の穿孔を有してもよい。一実施形態において、複数の穿孔は、吸入穿孔105が排出穿孔107から離れた状態で、吸入穿孔105および排出穿孔107の群に分けることができる。一実施形態において、図9B〜9Cに示されるように、透過性挿入部98を、カニューレ97内に挿入することができる。透過性挿入部98は、吸入穿孔105、排出穿孔107、または両方と連携して、カニューレ97全体の圧力低下を調節するために、カニューレ97を通る流動に抵抗を提供することができる。
【0065】
図8Aに示されるように、カニューレが吸入空洞81と流出空洞91との間に位置される場合、吸入穿孔105のうちの少なくともいくつかを、吸入空洞81内に露出することができ、一方で排出穿孔107のうちの少なくともいくつかを、流出空洞91内に露出することができ、それによって注入流体40が吸入空洞81から流出空洞91内へ流れることを可能にする。一実施形態において、注入流体40は、隔膜93によって被覆される穿孔を通じて流れない場合がある。一実施形態において、注入流体40は、吸入空洞81から吸入穿孔105を通じてカニューレ97内に入り、排出穿孔107を通じて流出空洞91内へ、カニューレ97から退出してもよい。
【0066】
実質的に一定の流速を制御または維持するために、カニューレ97は、プランジャー89に接続することができ、それによって、プランジャー89は、ハウジング87と吸入空洞81との間でカニューレ97を移動させて、流出空洞91内への注入流体40の流速を変更することができる。図8Bに示されるように、カニューレ97を吸入空洞81内へ移動させることにより、追加の吸入穿孔107を露出させることができ、したがって、吸入空洞81から流出空洞91内への注入流体40の流速が増加することを可能にする。一方で、図8Cに示されるように、カニューレ97を吸入空洞81の外へ移動させることにより、隔膜93が、追加の吸入穿孔105を被覆することを可能にし、したがって、吸入空洞81から流出空洞91内への注入流体40の流速を減少させることができる。
【0067】
流体が注入流体40が吸入空洞81と流出空洞91との間でカニューレ9のみを通じて移送され得ることを確実にするために、一実施形態において、隔膜93を、吸入空洞81と流出空洞91との間に提供することができる。隔膜93は、流体密封であってもよい。カニューレ97は、隔膜93を通じて摺動可能であり、このような隔膜93は、いくつかの吸入終端部を被覆し、被覆された穿孔を通じての注入流体40の流動を妨害することができる。
【0068】
注入流体40は、流出空洞91から、バルブ117を有する管109を通して患者に分注することができる。一実施形態において、注入流体40は、第1の管110を通じて、バルブ117を通じて、第2の管112からt−コネクタ114へ流動することができる。注入流体40は、t−コネクタ114から、第3の管116を通じて、患者に接続される統合管36内へ流動することができる。一実施形態において、第4の管118は、駆動空洞92に接続し、第3の管116を通じて統合されてもよく、それによって、注入流体40の患者への注入時の圧力は、以下に詳細に記載されるように、プランジャー89に対する背圧を提供することができる。
【0069】
一実施形態において、バルブ117は、注入流体40が一定の所定開口部を通じて分注されることを可能にすることができる。ポアズイユの法則(Pouseille’s law)によると、一定の流速は、一定の開口部上の一定の圧力差異によって、次のように生成することができ、Q=kA(Pd−Pu)、式中、Qは、患者への注入流体40の流速であり、kは、注入流体40の動的粘度であり、Aは、注入流体40が通って分注されるバルブ117の開口部の直径であり、Pdは、開口部の下流圧力であり、Puは、開口部の上流圧力である。すなわち、患者への注入流体40の流速は、バルブ117の下流圧力とバルブ117の上流圧力との間の差異に比例してもよい。注入流体40の所望の流速が選択されると、手順の詳細に応じて、所望の流速を維持する必要のあるバルブ117の下流圧力とバルブ117の上流圧力との間の差異は、ポアズイユの法則(Pouseille’s law)に従って、決定することができる。
【0070】
吸入バルブ117の下流および上流の圧力は、圧力低下を考慮して、流出チャンバー91内の圧力および注入時の圧力から、それぞれ決定することができる。一実施形態において、吸入バルブ117の下流圧力は、流出チャンバー91内の圧力P1と実質的に同等であってもよく、一方で、流動バルブ117の上流圧力は、本明細書で患者の圧力、P2として称される、患者に投与される流体に作用する背圧と実質的に同等であってもよい。流出チャンバー91内の圧力である圧力P1は、流体チャンバー26内の注入流体40の圧力に対する圧力およびカニューレ97の設計に依存してもよい。図8Aを参照して、吸入チャンバー内の圧力P0は、流体チャンバー26と吸入空洞81との間のいずれの圧力低下も度外視して、流体チャンバー26内の注入流体40の圧力に対応することができる。さらに、カニューレ97内の穿孔上の圧力低下は、以下のダルシー−ワイズバッハ(Darcy−Weisbach)の方程式、および図10に提示されるムーディ線図(Moody Diagram)から計算することができ、
【数8】
式中、fは、摩擦係数であり、ρは、流体密度であり、Vは、平均流体速度であり、lは、カニューレ壁部の厚さであり、dは、穿孔直径である。患者の圧力は、実験的に決定されるか、または文献から試算することができる。
【0071】
注入流体40を一定の速度で患者に分注するために、実質的に一定の差異を、流出チャンバー91内の圧力と、患者の圧力との間で維持することができる。本開示の機械的可変流動抵抗器80は、一実施形態において、フィードバックループを含んで、機械的可変流動抵抗器80が、流出チャンバー91内の圧力と患者の圧力との間で実質的に一定の差異を維持することを可能にすることができる。機械的可変流動抵抗器は、流出チャンバー91内の圧力と、患者の圧力との間で所望の差異が維持される場合に、プランジャー89を、ハウジング87内で平衡位置に位置することができるように、設計されてもよい。例えば、平衡位置は、図8Aに図示されるように、カニューレ97内の吸入穿孔105のうちの全てではなくいくつかが、吸入空洞81内の隔膜93の外側に置かれる場合、プランジャーの位置であってもよい。
【0072】
プランジャー89が、静止している場合、プランジャー89に作用する力の均衡は、概して以下のように定義することができ、
【数9】
式中、Rは、プランジャー89の外側半径であり、P1は、流出チャンバー内の圧力であり、P2は、患者の圧力であり、Fmechは、機構86によってプランジャーに及ぼされる力である。プランジャー89を駆動するためにバネが利用される実施形態において、バネ89によってプランジャー89に及ぼされるFmechは、フックの法則(Hooke’s law)に従って計算することができる。圧縮空気を使用してプランジャー89を駆動する別の実施形態において、空気によってプランジャー89に及ぼされるFmechは、ボイルの法則(Boyle’s Law)に従って計算することができる。プランジャーの右方向への変位、すなわち、流出チャンバーの膨張をもたらすプランジャーの変位をもたらすプランジャーに作用する力は、正数として定義される。上述の方程式は、以下のように再編成することができ、
【数10】
R、P1、P2は、試算されるかまたは既知であるために、P1とP2との間の所望の差異でプランジャー89を平衡位置に維持することができる好適な機構86が選択されるか、あるいは逆も可能である。
【0073】
一実施形態において、好適な機構86は、プランジャー89を平衡位置に維持するために必要な場合に、プランジャー89に作用可能なバネを含んでもよい。バネによってプランジャーに及ぼされる力は、フックの法則(Hooke’s Law)に従って、以下のように計算することができ、
【数11】
式中、Fspringは、バネがプランジャーに及ぼし得る力であり、kは、バネ定数であり、Dは、バネが事前圧縮されている量であり、xはプランジャーが、プランジャーを平衡位置に保つために移動することのできる量である。一実施形態において、バネは、P1とP2との間の差異が変化する場合等のバネの小さな動きが、バネ力を変化させないように、事前圧縮される。
【0074】
注入の間に、P1とP2との間に所望の差異が維持される場合、機構86は、プランジャー89を平衡位置に実質的に静止して保つことができる。しかしながら、例えば、主プランジャー25に作用する力の減少のために、P1とP2との間の差異が減少する場合、プランジャー89およびカニューレ97は、図8Bに示されるように、平衡位置から左方向、すなわち、駆動空洞92を膨張させる方向に強制移動させられる場合がある。カニューレ97のこのような変位は、追加の吸入穿孔105を吸入流体空洞81内で露出させ、それによって、吸入空洞81から流出空洞91への注入流体40の流速の増加を可能にすることができる。流出空洞91への増加した流速は、P1の増加を可能にし、それによってプランジャー89を移動させて平衡位置へ戻すことができる。一方で、例えば、患者の圧力の減少のために、P1とP2との間の差異が増加すると、プランジャー89およびカニューレ97は、図8Cに示されるように、平衡位置から右方向、すなわち、駆動空洞92を圧縮する方向に、強制移動させられる場合がある。カニューレ97のこのような変位は、追加の吸入穿孔105が、隔膜93によって妨害され、したがって、吸入空洞81から流出空洞91への注入流体40の流速を減少させる場合がある。流出空洞91への減少した流速は、P1を減少させ、それによってプランジャー89を移動させて、平衡位置へ戻すことができる。この様態において、本開示の機械的可変流動抵抗器80は、流出空洞91内の圧力と患者の圧力との間の実質的に一定の差異を維持することができる。
【0075】
本開示の機械的可変流動抵抗器の別の実施形態は、図11A〜11Cに示される。一実施形態において、11Aに示されるように、機械的可変流動抵抗器1100は、注入流体40の流体チャンバー26から吸入空洞1101への移送を可能にするために、流体チャンバー26と流動接続する吸入チャンバー1101を含むことができる。注入流体40は、吸入空洞1101内で、主プランジャー24によって注入流体40に及ぼされる圧力に対応する圧力まで、注入流体40の移送のためにより少ない圧力低下で、加圧されてもよい。
【0076】
機械的可変流動抵抗器1100は、ハウジング1103をさらに含むことができる。ハウジング1103は、ハウジング1103の上壁1106内の吸入開口部1105を通じて、吸入空洞1101およびハウジング1103の底壁1110内の排出開口部1111を通じて管1109と、流動連通にあってもよい。プランジャー1107は、ハウジング1103内に可動に配置することができる。ハウジング1103はまた、位置エネルギーを蓄積および放出する能力のある、機構1104を含むことができ、このようなバネまたは圧縮ガスは、ハウジング1103内でプランジャー1107を変位させるためである。機構1104は、ハウジング1103内の駆動空洞1108内に配置することができる。
【0077】
一実施形態において、プランジャー1107は、第1の側面1112、およびブリッジ1115によって第1の側面1112に接続される第2の側面1113を有するH型をしていてもよい。プランジャー1107は、第1の側面1112と第2の側面1113との間の流出空洞1117を画定することができる。ブリッジ1115は、流出空洞1117を、第1の空隙1119および第2の空隙1121に分割することができる。第1の空隙1119は、吸入開口部1105を通じて吸入空洞1101との流動連通にあってもよく、第2の空隙1121は、排出開口部1112を通じて管1109との流動連通にあってもよい。第1の空隙1117および第2の空隙1121は、ブリッジ1115を通じてチャネル1123によって接続することができる。
【0078】
上述のように、注入流体40に作用する圧力は、吸入空洞1103から第1の空隙1117に注入流体を、流動させことができる。注入流体40は、次いで、チャネル1123を介して第2の空隙1119内へ、第2の空隙1123から出て管1109内へ流動することができる。一実施形態において、注入流体40は、次いで、第1の管1125を通じて、バルブ1127を通じて、第2の管1129を通じて、t−コネクタ1131へ流動することができる。注入流体40は、t−コネクタ1131から、第3の管1133を通じて統合管36内へ流動することができる。上述のバルブ117と同様に、バルブ1127は、注入流体40が、一定の、所定開口部を通じて分注されることを可能にすることができる。一実施形態において、注入流体40は、バルブ1127の一定の開口部を通じて患者に分注されるため、注入期間にバルブ1127の下流圧力P1と、バルブ1127の上流圧力P2との間に実質的に一定の差異を維持することにより、注入流体40が、注入期間に実質的に一定の流速で注入されることを可能にする。
【0079】
所望の圧力差異P1−P2を維持することができる場合、プランジャー1107は、平衡位置に静止して保つことができる。平衡位置は、一実施形態において、第1の側面1111が、吸入開口部1105の一部分を中で妨害する、プランジャー1107の位置を参照する。例えば、主プランジャー25に作用する力の減少のために、圧力差異が減少する場合、プランジャー1107は、平衡位置から左方向、すなわち、駆動空洞1108を膨張させる方向に、強制移動させられる場合がある。プランジャー1107のこのような変位は、吸入開口部1105の妨害部分を減少させることができ、それによって、図11Bに示されるように、吸入空洞1101から流出空洞1117内への注入流体40の流速を増加させる。流出空洞1171内への増加した流速は、P1の増加を可能にし、プランジャー1107を移動させて、平衡位置に戻すことができる。一方で、P1とP2との間の差異が、例えば、患者の圧力の減少によって増加する場合、プランジャーは、右方向、すなわち、駆動空洞1108を圧縮する方向に強制移動させられる場合がある。プランジャー1107のこのような変位は、図11Cに示されるように、吸入開口部1105の妨害部分を増加させることができ、それによって、吸入空洞1101から流出空洞1117への注入流体40の流速を減少させる。流出空洞1117内への減少した流速は、P1を減少させることができ、プランジャー1107が平衡位置へ戻ることを可能にする。この様態において、本開示の機械的可変流動抵抗器1100は、流出空洞1117内の圧力と患者の圧力との間に実質的に一定の差異を維持することができる。
【0080】
図12Aに示される実施形態において、本発明の注入装置は、集積型不揮発性メモリチップ44、ならびに容器11に付属し、そのメモリチップ44と通信する、非使い捨てまたは多目的使い捨ての電子制御モジュール45を用いて、プログラム可能であってもよい。一実施形態において、メモリチップ44は、SmartCardリード等の電子リード/コネクタ46を通じて、または標準的なUSB型コネクタを通じて、様々な装置と通信する能力があってもよい。メモリチップ44は、上述のリード/コネクタ46を介して、デスクトップ/ノート型コンピュータまたは携帯端末によってプログラム可能である。メモリチップ44内のデータは、適切な整合リード/コネクタを有する様々な装置によって読み取り可能である。
【0081】
図12Bに概略的に示されるように、一実施形態において、電子制御モジュール45は、統合管36の特定の区分48と相互作用し、容器から物質の流出を制御する、ピンチバルブ等の、(完全に開放、または完全に閉鎖、デフォルトは閉鎖の)バイナリ流動バルブ47と、バイナリ流動バルブ47の操作、ならびに使い捨て容器の不揮発性メモリユニットから患者および注入のデータを読み取るためのマイクロプロセッサ回路49とを含むことができる。電子制御モジュール45はまた、注入を制御するためのボタン50(例えば、「実行」、「停止」、「上」、「下」等)、注入の状態を操作者に知らせるための単純な可視指示器51または音声指示器(例えば、LED、警告音)および/または単純な電子表示52(例えば、LED、LCD)、ならびに流動、空気、周辺温度、大気圧等を検出するための単純な検知器を含むことができる。
【0082】
一実施形態において、電子制御モジュール45は、患者を肯定的に識別するためのシステムを含む。このような患者識別システムは、図12Cに示されるように、フラッシュメモリ電子キー44等の有線技術を使用し、それによって、患者に取り付けられる固有のこのような電子キー44(例えば、ネックストラップ、リストストラップ)を、キー44から患者の情報を読み取る電子制御モジュール45上のコネクタ内に挿入することができる。あるいは、患者識別システムは、図12Dに示されるように、無線周波数識別(RFID)技術等の無線技術を使用し、それによって、電子制御モジュール内のRFID読み取り機/受信機45が、患者の識別タグ(例えば、リストバンド)に組み込まれる固有の受動的RFID送信機46、注入カテーテルまたは移植注入ポート上のコネクタから、信号を受信する。組み込み型RFID送信機および長期注入カテーテルまたは移植ポートを有することは、それが、患者が注入治療を要する期間中、容赦なく、物理的に患者に連結しているため、特に魅力的な場合がある。一実施形態において、長期用カテーテルまたは移植注入ポートは、注入アルゴリズムに組み込むために、カテーテル/ポート特性および患者の静脈圧等の追加のデータを、患者識別と共に電子制御モジュール45に伝送することができる、圧力センサーを含んでもよい。
【0083】
速度調整可能のプログラム可能注入装置の流速は、「デジタル注入」アルゴリズムを使用して、制御することができ、それによって固定マイクロボーラス量の物質が、所望の流速を達成するために、既定の頻度で注入される。各マイクロボーラス量は、物質を容器の最大流速で注入することができる、固定期間の間、バイナリバルブ機構を開放することによって送達することができる。マイクロボーラス量vは、
【数12】
である。
【0084】
式中、Qmaxは、容器の最大流速であり、tはマイクロボーラスの期間である。所望の流速Qを達成するために、マイクロボーラスは、頻度fで投与される。
【数13】
【0085】
この頻度を達成するために、バイナリ流動バルブ47は、以下のtopenおよびtclosedに対する開放と閉鎖との間で変化することになる。
【数14】
【数15】
【0086】
別の実施形態において、本開示の装置(示されない)は、従来の注入システム47(IVバッグを吊るした、電動または使い捨ての注入ポンプ)と共に使用して、本発明の注入装置の患者安全機能のうちのいくつかを提供するように設計された、独立型電子制御モジュール45を含むことができる。この実施形態において、独立型電子制御モジュール45の主要目的は、患者を識別し、整合が確認されたかどうかに応じて、従来の注入システムからの流動を許可または阻止することである。本装置は、プログラム可能であってもよいが、注入の流速は従来の注入システム47によって決定されるため、速度調整可能ではない。本装置は、電子制御モジュール45のバイナリ流動バルブ47と相互作用するように設計される接合区分49を含む、完全な装置における統合管36に類似の、配置可能な長さの専用管48を提供されてもよい。管は、従来の注入システム47から出る従来の静脈内管51に取り付けるための様々な近位コネクタ50(例えば、ルアーロック、スパイク)、ならびに患者の注入カテーテルまたはポートに取り付けるための遠位コネクタ52(例えば、ルアーロック、針、無針ハブ)を提供されてもよい。電子制御モジュール45のバイナリ流動バルブ47は、初期状態において閉鎖であり、従来の注入システム47からの流動を閉塞していてもよい。電子制御モジュール45は、接続される患者に取り付けられる電子キー44等の有線患者識別システム、または患者に取り付けられる固有の受動的RFID送信機46から信号を受信するRFID読み取り機/受信機45等の無線患者識別システムを含むことができる。患者識別システムは、患者が、注入の対象の人物であるかどうかを判定することができる。整合が起こる場合、電子制御モジュール45のバイナリ流動バルブ47が開放し、従来の注入システム47がそれ自体の設定に従って進行することを可能にする。整合がない場合は、バイナリ流動バルブ47は、その初期閉鎖位置に留まり、注入は進行することができない。患者識別機能を、単純、小型、単一目的または多目的の使い捨て独立型電子制御モジュールに提供することによって、本開示の装置は、既存の従来の注入装置の安全性を改善することができる。
【0087】
別の実施形態において、図13に示されるように、本開示の注入装置は、複数の、同時の、独立した、調整可能な注入を処理する能力があってもよい。このような注入装置は、上述の容器11のうちの1つ以上を中にドッキングすることができる、複数のスロット54を有するドッキングトレイ53を含むことができる。ドッキングトレイは、それぞれがマルチルーメン統合管56のうちの1つのルーメンと連通する、複数の(例えば、2〜5個)の別個の流出路55を有してもよい。一実施形態において、ドッキングトレイ53は、担体流体(例えば、食塩水、デキストロース)を、全流出路55内へ、低い一定流速で注入する、1つの専用注入容器を有することができる。
【0088】
複数注入のドッキングトレイ電子制御モジュール57は、前述のものに類似し、それぞれがそれ自体のバイナリ流動バルブ、制御回路、メモリチップ読み取り機、スイッチ、指示器、表示部等を有する、連結した一連の個別容器電子制御モジュール45を含むことができる。中央電子制御モジュール57は、共通の有線または無線患者識別システム、個別容器モジュールと通信する回路、それ自体のバイナリ流動バルブ(担体流体を制御するため)、スイッチ、指示器、表示部等を含むことができる。中央モジュールは、患者識別システムが整合を確認するかどうかに基づいて、個別容器注入を進行することができるかどうかを決定することができる。
【0089】
各容器11からの流体は、既知の薬物適合性データに基づいて、流出路55のうちの1つに配向することができる。装置は、これを手動または自動で達成することができる。一実施形態において、ドッキングトレイ内の各スロットは、操作者が容器11から適切な流出路55へ流体を配向することを可能にするための、手動スイッチを有してもよい。別の実施形態において、このプロセスは、自動で処理することができる。各容器に対する電子制御モジュール45は、各流出路55に対して1つのバイナリ流動バルブを有してもよい。一実施形態において、中央電子制御モジュール57は、各容器の電子制御モジュール45に、どのバイナリ流動バルブを開放するかを伝え、適合性のある薬物を同一の流出路55内に送ることができる。
【0090】
一実施形態において、本開示の注入装置を準備および使用して、患者に薬物および/または流体を送達するための方法が、提供される。一実施形態において、本発明の、固定速度の非プログラム式の装置は、製造業者または商業薬局によって準備することができる。適切な寸法および形状の容器11を、選択することができる。一般的に、容器11の底壁15は、様々な中間構成要素を組み立てることができるように、取り外し可能であってもよい。
【0091】
既定の注入タイプについては、限定範囲の容器寸法が、一般的に提供される。例えば、静脈内注入装置については、ポートフォリオは、一般的に利用可能な静脈内流体バッグに類似の流体チャンバー26体積(例えば、50ml、100ml、250ml、500ml、1000ml)を有する、一連の容器を含むことができる。既定寸法の容器11について、最大流速の範囲は、異なる臨床計画の需要に応じるように提供可能である。例えば、外傷蘇生中に数分間にわたる急速注入のために設計される、1000mlの流体を有する容器11は、毎分500mlの最大流速を提供することができるが、数日間にわたる、維持流体注入のために設計される別のものは、毎分0.3mlの最大流速を提供してもよい。
【0092】
一実施形態において、既定設計(寸法、形状、ガス圧縮率)の容器11に対する最大流速は、流出隔膜17内に含まれる可変流動抵抗器28の特徴(形状、透過性)によって、先ず決定することができる。製造および組み立てを単純化するために、一実施形態において、流出隔膜17は、別個に作製されて、容器11内のスロット型、ガスケット型チャネル内に挿入されてもよい。そのようにして、既定寸法の容器11は、所望の最大流速を達成するように設計される既定の可変流動抵抗器28を有する特定の流出隔膜17に結合することができる。上述の実施例を使用して、単一の1000ml容器11は、2つの異なる流出隔膜17と共に提供することができる。第1の流出隔膜17は、この容器11と共に使用される際、外傷蘇生適用に高流速を提供することができる、高い透過性の可変流動抵抗器28を含むことができる。第2の流出隔膜17は、同一の容器11と共に使用される際に、維持流体適用に低い速度を提供することができる、より低い透過性の可変流動抵抗器28を含むことができる。
【0093】
一実施形態において、完全に充電された空の注入装置は、図5Aに示されるように組み立てることができる。適切な容器11、流出隔膜17、ガス容器29、およびプランジャーシステム23が選択可能である。流出隔膜17は、容器のそのスロット型、ガスケット型チャネル内に挿入することができる。ガス容器29は、主チャンバー12内に、続いてプランジャーシステム23に挿入可能である。プランジャー延在部25は、内部流出チャネル19内に挿入することができる。図4aに示されるように、ガス容器29は、主プランジャー24に結合されて、単体として提供することができる。組み立てを完成させるために、底壁15をさらに取り付けることができる。
【0094】
ガス容器29は、いくつかの手段のうちの1つによって、ガス28で充填することができる。一実施形態において、ガス容器29は、ガス28の最終量(上に示されるように、質量mg)で事前充填され、密封されて提供することができる。大気圧において、充填済みガス容器29は、容器11の主チャンバー12よりも有意に大きな体積を有してもよい。それが主チャンバー12内に挿入される際に、圧縮力を、ガス容器29および取り付けられたプランジャーシステム23に適用することができる。力の適用は、底壁15が容器に固定されるまで、継続してもよい。
【0095】
別の実施形態において、ガス容器29は、圧縮なしにプランジャーシステム23と共に主チャンバー12内へ挿入できるように、空または部分的に充填されて提供されてもよい。底壁15が取り付けられた後、ガス容器は、吸入ポート33を通じて残りの量のガス28で充填することができる。
【0096】
次に、空であるがチャージされている容器11を有する注入装置は、実質的に全ての空気を容器および管から除去しながら、適切な担体流体(例えば、食塩水、デキストロース溶液)で充填することができる。これは、流体チャンバー26と連通する吸入ポート33を通じて行うことができる。流体はもちろん、プランジャー22を圧力チャンバー27内へ駆動させ、ガス容器29内のガス28を最終圧力P0まで圧縮するために、圧力下で注入されてもよい。薬物が注入される場合、商業薬局または院内薬局の薬局職員は、充填済みかつチャージ済みの容器を取り、濃縮薬物の少量アリコートを容器内に注入し、容器内の薬物の最終濃度が医師の指示と一致するようにする。関連する患者、薬物および注入のデータを有する、人的ならびに任意的に機械可読(例えば、バーコード)形式のラベルが、取り外せないように添付されるか、容器の外側に直接印刷されてもよい。
【0097】
装置は、薬局から、院内、院外施設、または自宅にいる可能性のある患者に送達することができる。患者自身を含む、看護士または他の適切に訓練された人物は、装置を受け取り、それが、その患者に対する正しい注入であることを確認することができる。これは、容器ラベル上の情報を、整合患者識別タグ(例えば、バッジ、リストバンド)上のものと視覚的に比較することによって行うことができる。あるいは、容器ラベル上の機械可読(例えば、バーコード)データおよび患者識別タグを、携帯型読み取り機(例えば、バーコード読み取り機)によって比較することができる。適切な整合が確認されると、操作者は、単純に、統合管36上の端子コネクタ37を、注入カテーテルまたは既に患者内にある移植注入ポートに取り付けられた、提供済みの整合コネクタに接続することができる。装置内の薬物/流体が、既に加圧されている実施形態において、注入は、接続がなされるとすぐに開始することができ、容器が空になるか、またはコネクタが係脱されるまで、一定の流速で継続する。
【0098】
別の実施形態において、本開示の調整可能速度のプログラム可能装置を使用して、薬物および/または流体を患者に送達するための方法が提供される。一実施形態において、容器11上の不揮発性メモリチップおよび別個の電子制御モジュール45が提供されてもよい。装置は、上述のものと同一の様式で、製造業者、商業薬局、または中央院内薬局によって、組み立て、加圧し、担体流体で充填し、脱気することができる。指示される場合、濃縮薬物の適切な量が、上述のように、医師の指示に従って、薬局職員によって添加されてもよい。関連する患者、薬物および注入のデータを有するラベルが、上述のように、容器上に置かれてもよい。
【0099】
容器の不揮発性メモリチップ44は、その電子リード/コネクタ46を通じて薬局のコンピュータに接続することができる。コンピュータは、総合的な薬物/流体データベース、完全な注入データ(速度範囲、量、時間等)、ならびに全ての関連する患者の情報(固有の患者識別、病歴、現在の腎臓/肝臓機能、既知の薬物副作用、および現在の投薬を含むがこれらに限定されない)を含むことができる。コンピュータが、特定の様式での特定の薬物/流体の注入が、特定の患者に対して安全であることを確認すると、コンピュータは、容器11の不揮発性メモリユニット35内に、適切な患者および注入のデータを記憶することができる。
【0100】
次に、適切な電子制御モジュール45を選択して、バイナリ流動バルブ47が容器の統合管36の専用区分48と接触した状態で、容器11に取り付けることができる。電子制御モジュール45はまた、不揮発性メモリチップ44と、そのリード/コネクタ46を通じて電気的に接触していてもよい。
【0101】
充填済み、チャージ済み、脱気済み、ラベル付け済み、プログラム済みの、完成した注入装置は、次いで、また院内、院外施設、または自宅にいる可能性のある患者に、薬局から送達することができる。看護士または他の適切に訓練された人物は、管上の端子コネクタを、注入カテーテルまたは既に患者内にある移植注入ポートに適用される、提供済みの整合コネクタに接続することができる。注入装置と患者との間の整合は、上述のように、まずは操作者によって、容器ラベルと患者の識別タグを視覚的に比較することによって、手動で確認することができる。同時に、電子制御モジュール45が、その患者識別システムを使用して、自動で整合を確認してもよい。電子制御モジュール45が、有線システムを使用する場合、患者の固有電子キー44は、電子制御モジュール45内に挿入されてもよく、マイクロプロセッサ回路49が、キーから患者の情報を読み取る。電子制御モジュール45が、無線システムを使用する場合、患者の識別タグまたは注入カテーテル/ポートにデジタル的に組み込まれた受動的なRFID送信機46は、患者の識別情報を、電子制御モジュール45内のRFID読み取り機/受信機45に送信することができる。
【0102】
操作者は、次に、容器11の統合管36上の端子コネクタ37を、注入カテーテルまたは既に患者内にある移植注入ポートに取り付けられた提供済みの整合コネクタに接続することができる。操作者は、次いで、電子制御モジュール45上の「実行」ボタンを押すことができる。モジュールが、その患者識別システムを通じて、整合を確認すると、モジュール45は、バイナリ流動バルブ47を開放し、注入がプログラムされた速度で進行することを可能にすることができる。モジュール45が、整合を確認しない場合は、バルブは閉鎖したままであり、注入は開始を許可されず、操作者は、LED型指示器の照明、音声エラー信号の生成、またはLED/LCD表示部52上にエラーメッセージを表示することによって、エラー通知を受ける。
【0103】
注入装置が。薬局によって速度調整可能にプログラムされる場合、操作者は、電子制御モジュール45上の「上」または「下」を押すことによって、プログラムされた範囲内で、注入速度を増加または減少させることができる。電子制御モジュール45は、マイクロボーラス量注入の頻度を増加または減少させることによって、デジタル化注入アルゴリズムを使用して、流速を変更することができる。前述のように、各マイクロボーラスの量は、バイナリ流動バルブ47を一定期間開放することによって、送達されてもよい。流速が操作者によって調整されている場合、電子制御モジュール45は、LED/LCD表示部52上に、現在の流速を示すことができる。一実施形態において、流速が既にプログラム済みの最高(最低)流速である場合、「上」(「下」)ボタンは、効力を有しない。LED指示器またはLED/LCD表示部52は、最高もしくは最低流速に達したことを操作者に通知することができる。装置は、ソフトオーバーライドボタンを含み、操作者が、より広い2次的なプログラム範囲で流速を増加および減少させることを可能にすることができる。一実施形態において、モジュール37は、しかしながら、薬物/流体の安全性プロファイルに基づいて、操作者が、ある所定のプログラム範囲を超える値に速度を変更することを阻止することができる。注入は、容器が空になるか、コネクタが係脱されるか、または操作者が「停止」ボタンを押すまで、指定の流速で継続することができる。
【0104】
別の実施形態において、本開示の独立型電子制御モジュール45を有する従来の注入システム47を使用して、患者に薬物および/または流体を送達するための方法を提供する。従来の注入システム47は、医師の指示に従って、薬局および看護職員によって準備することができる。例えば、単純な重力駆動注入の場合において、適切な量の処方薬は、所望の濃度を達成するために、既定量の適切な担体流体と共に、IVバッグ内に投入することができる。職員は、上述のように、薬局のコンピュータに接続され、適切な患者および注入のデータを用いてプログラムすることができる、適切な独立型電子制御モジュール45を選択することができる。職員は、次に、正しい近位コネクタ50(この場合においては、IVバッグのスパイク)および遠位コネクタ52と共に、適切な配置可能な長さの専用管48を選択することができる。専用管48は、IVバッグに接続可能であり、少量の流体が、それを脱気するために、そこを通じて流動することができる。プログラムされた独立型電子制御モジュール45は、次に、管にラッチし、そうして専用管48の接合区分49が、バイナリ流動バルブ47内に位置することができる。
【0105】
次に、組み立て済み注入装置を、患者に送達することができる。操作者は、遠位コネクタ52を患者の注入カテーテルまたはポート上の整合コネクタに接続し、従来の注入システムを、この例においては、単純にIV袋をポールに吊るすことによって、開始することができる。有線の患者識別システムが使用される場合、患者の固有電子キー44が、電子制御モジュール45内に挿入されてもよく、そのマイクロプロセッサ回路49は、患者の情報をキーから読み取ることができる。電子制御モジュール45が、無線システムを使用する場合は、患者の識別タグまたは注入カテーテル/ポートにデジタル的に組み込まれる受動的RFID送信機46が、電子制御モジュール45内のRFID読み取り機/受信機45に患者の識別情報を送信することができる。準備が整うと、操作者は、電子制御モジュール45上の「実行」ボタンを押すことができる。電子制御モジュール45が整合を確認すると、それは、バイナリ流動バルブ47を開放し、注入が従来の注入システム47によって(この例においては、重力によって)決定される速度で進行することを可能にする。それが整合を確認しない場合、バイナリ流動バルブ47は、閉鎖に留まることができ、注入は、開始を許可されず、操作者は、LED型指示器の照明、音声エラー音の生成、またはエラーメッセージの表示およびLED/LCD表示部52によって、エラーを通知される。
【0106】
別の実施形態において、複数注入ドッキングトレイおよび個別の薬物/流体を含有する複数の個別容器を使用して、複数の薬物/流体を同時に患者に注入する方法を提供する。それ専用の担体流体容器を有するドッキングトレイ53は、容器、複数の流出路55、およびマルチルーメン統合管56から実質的に全ての空気を除去しながら、適切な担体流体(例えば、食塩水、デキストロース溶液)で満たされた容器を装填することによって、製造業者、商業薬局、または院内薬局によって準備することができる。薬局職員は、次に、注入される各開始薬物に対する別個の充填済み、脱気済み、チャージ済みの容器11と共に、適切な充填済み、脱気済み、チャージ済みのドッキングトレイ53を選択することができる。各濃縮薬物の少量のアリコートを、そのそれぞれの容器内に投入し、各薬物の最終濃度が医師の指示通りになるようにすることができる。
【0107】
ドッキングトレイおよび各容器は、次に、総合的な薬物/流体データベース、各薬物の注入データ、および全ての関連する患者情報を有する、薬局のコンピュータに接続することができる。コンピュータが、特定の様式での各薬物/流体の注入が、特定の患者に対して安全であることを確認すると、コンピュータは、適切な患者および注入のデータを、ドッキングトレイ53および各容器11の不揮発性メモリユニットに記憶することができる。適切な複数注入ドッキングトレイ電子制御モジュール57が選択され、複数注入装置は、次に、それを準備済みおよびプログラム済みのドッキングトレイに接続することによって、完成することができる。人的、および任意的には機械可読(例えば、バーコード)型の、関連する患者、薬物および注入のデータを有するラベルは、ドッキングトレイおよび各容器11の外側上に添付されるか、または印刷することができる。
【0108】
その付属電子制御モジュール57を有する準備済みのドッキングトレイ53および個々の準備済み容器11は、次に、患者のベッドサイドまで送達することができる。ベッドサイドの操作者は、まず、マルチルーメン統合管56を、ドッキングトレイから、既に患者内にある注入カテーテル上のそれぞれのポートへ接続することができる。有線の患者識別が使用される場合、操作者は、固有の患者電子キー44をドッキングトレイ電子制御モジュール57上の適切なコネクタ内に挿入することができる。操作者は、ドッキングトレイ電子制御モジュール57上の「実行」スイッチを押すことができ、有線または無線システムを使用して、肯定的な患者識別が確認されると、その固定速度でのドッキングトレイ担体流体の注入が開始される。操作者は、次に、各容器11をドッキングトレイの適切なスロット54にドッキングすることができる。電子制御モジュール57は、容器11を検出し、容器のメモリユニット35から、患者および注入のデータを読み取ることができる。電子制御モジュール57は、容器の不揮発性メモリユニット35上の患者の情報を、ドッキングトレイのメモリユニットのものと比較して、肯定的な患者識別を確認することができる。操作者は、ドッキングトレイ電子制御モジュール上のそのスロット54の「実行」ボタンを押し、そのスロットのバイナリ流動バルブ47を開放し、その注入の開始を可能にすることができる。
【0109】
一実施形態において、操作者は、容器を挿入する各スロットが、ドッキングトレイ53内の1つの特定の流出路55と連通する選択肢を提供されてもよい。操作者は、適合性のある薬物のみが、同一の流出路を共有することを確実にするように、スロットを選択することができる。別の実施形態において、制御モジュール57は、各注入を特定の流出路55内に送る能力があってもよく、記憶された薬物適合性データに基づいて、それを行う。
【0110】
既定の容器からの注入が、調整可能な場合、操作者は、ドッキングトレイ上のスロット54と対応する制御モジュール57上の「上」および「下」ボタンを押すことによって、指示/プログラムされた範囲内で、流速を調整することが可能であってもよい。
【0111】
容器11が空の場合、容器11は除去することができ、その薬物の注入が、継続される場合は、容器11は、新しい、充填済み、チャージ済み、脱気済み、およびプログラム済み容器11に置き換えることができる。新しい薬物が処方される場合、その薬物に対する個別の容器11が、薬局で準備およびプログラムされ、患者のベッドサイドに送達されてもよい。操作者は、単純に、ドッキングトレイ53上の空のスロットに容器を挿入し、「実行」を押すことができる。ドッキングトレイ電子制御モジュール57は、新しい容器11の不揮発性メモリユニット35上の患者情報を読み込み、以前に有線または無線の患者識別システムを通じて患者と整合されている、ドッキングトレイの不揮発性メモリユニット35のものと比較することができる。肯定的な識別が確認されたと仮定して、新しい注入が、操作者によってか、または制御モジュールによって自動で決定される、適切な流出路55内で開始してもよい。システムは、特定の緊急用薬物(例えば、昇圧薬)を含有する、完全に充填済み、チャージ済みで、使用の準備が整っているが、特定の患者情報を有しない容器を、コードカートまたはユニットの投薬室において利用可能にすることができる。ドッキングトレイの制御モジュールは、これらの薬物を含有する容器が、明確な状況下(例えば、操作者オーバーライド)において、限定期間の間、患者情報を要求することなしに、進行することを可能にすることができる。
【0112】
別の態様において、機械的可変流動抵抗器を最適化するための方法が、提供される。上述のように、プランジャーに作用する全ての力に対する力の均衡の方程式は、正数が右側に作用するものとして定義され、次の方程式(1)
【数16】
にあるように提示することができ、式中、Rはプランジャーの半径であり、P1およびP2は、プランジャーの各側面上の圧力である。方程式(1)によると、このシステムを駆動する圧力の減少により、プランジャーは、単調に左側に移動する場合がある。
【0113】
さらに、Fspringは、フックの法則(Hooke’s law)から決定することができ、次のように方程式(2)
【数17】
に提示され、式中、Dは、バネが事前圧縮されている量であり、xは、プランジャーが吸入圧力を補うために移動しなければならない量である。摩擦力は、方程式(3)から次のように見出すことができ、
【数18】
、式中P0は、最大駆動圧力、ならびにプランジャーと壁との間のコンプライアンス圧力の両方であり、Lは、ハウジングの壁部と相互作用するプランジャーの合計長さである。したがって、方程式(1)は、方程式(4)
【数19】
に提示されるように、再編成することができる。方程式(4)によってシステムを駆動する圧力差異ΔPは、方程式(5)で、以下のように提示される。
【数20】
【0114】
事前圧縮のバネの量が、D>>xであり、spring項が、friction項よりも大きくなるようなものであると仮定して、方程式(5)は、方程式(6)
【数21】
に提示されるとおりの定数として、開口部上に圧力差異を有するように、単純化することができ、方程式(6)は、ここで、システムの性能を試算するために使用することができる。次に、friction項が、spring項よりも小さいという仮定により、方程式(7)
【数22】
が得られる。再編成および数学の数個のステップにより、方程式(7)は、
【数23】
に単純化することができる。方程式(8)を使用して、システムの設計を最適化することができる。例えば、小さい半径プランジャー(R)、小さいコンプライアンス圧力(P0)、小さいプランジャー相互作用距離(L)、ならびに大きなバネ定数(k)および大きな圧縮距離(D)を有するバネを有することが望ましい場合があることが、方程式(8)からわかる。
【0115】
本発明は、その特定の実施形態のみに関連して記載されてきたが、さらなる修正が可能であることを理解されたい。例えば、チャンバー26内の流体およびチャンバー27内のガスは、それぞれ、各チャンバー内に位置付けられるように設計される、カートリッジ内に蓄積されてもよい。このようにして、流体カートリッジまたはガスカートリッジのうちのいずれかが、実質的に空になると、空のカートリッジは、除去および処分することができ、流体または気体で充填された新しいカートリッジを、それぞれのチャンバー内で置き換えることができる。さらに、本出願は、本発明が属する当該技術分野における既知または慣習的な実践の範囲内にあるような本開示からの展開等を含む、本発明のいずれの変形、使用、または適応にも及ぶように意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2010年3月4日に出願された、米国特許仮出願第61/310,601号に対する優先権を主張し、本出願の全体は、その中における教示のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物を注入するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、注入を通じて一定の流速で薬物を注入するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
注入は、医療において遍在し続け、幅広い範囲の病状、物質、投与部位、および場所に広がっている。経口および他の薬物送達法(例えば、経皮的、吸入)の進化にもかかわらず、多くの重篤な治療は、依然として静脈内(IV)注入を必要とする。米国においては、1日あたり100万回の注入が行われていると推定される。入院患者の90%超が、IV注入を受ける。
【0004】
注入される物質には、薬物(例えば、抗生物質、化学療法、鎮痛剤、局所麻酔、血管作用薬、生物製剤)、流体(例えば、晶質、コロイド、非経口栄養)、および血液製剤(例えば、赤血球、血漿、血小板)が挙げられる。これらの物質は、典型的に、一定時間(数分から数時間)にわたる単回のボーラス投与量(数ミリリットルから数リットル)、またはより長期間(数時間から数日)にわたる固定速度もしくは滴定速度(典型的範囲1分あたり0.05mlから5ml)で送達される連続注入として注入される。
【0005】
注入は、様々な経路を通じて投与することができ、最も一般的には静脈内であるが、動脈内、皮下、胸膜内、関節内、硬膜外、および髄腔内であってもよい。幅広い範囲のカテーテルおよび移植可能ポートが、これらの様々な経路を通じて注入を容易にするために利用可能である。
【0006】
注入は、従来的に、入院環境において投与されてきたが、外来注入センターおよび自宅で注入を受ける患者が増えている。これらの後者の環境は、より少数かつ熟練度の低い臨床職員を有するため、静脈内の抗生物質、特定の化学療法剤、術後疼痛管理のための局所麻酔、および特定の麻薬性鎮痛剤を含む、特定の注入のみが、このような非入院環境において投与することが安全であると判断される。
【0007】
現在の医療的注入技術は、典型的に、重力、能動的変位電動ポンプ、または非電動使い捨てエラストマーポンプの使用を伴う。しかしながら、これらのアプローチには特定の不利点が存在する可能性がある。重力駆動の注入は、資本および処分費用が低いが、看護士による注意深い監視を必要とし、正確ではない場合があり、患者の可動性を制限する可能性があり、患者の安全機能を有しない。電動ポンプは、正確であり(±3%)、論争可能な効果の安全機能が組み込まれているが、高価で、嵩高く、人的要因に影響されやすい可能性があり、可動性が限定される。使い捨てのエラストマーポンプは、便利で極めて安価であるが、しばしば、患者の安全機能に欠け、非常に不正確な可能性があり(±15〜40%)、したがって、入院ベースの注入における役割がほとんどないか、またはない。
【0008】
転機をもたらした1999年の米国医学研究所の報告書「To Err is Human」は、米国で1年あたり40〜100,000の死亡が医療ミスに起因すると考えた。投薬ミスは、その40%が深刻で、生命に関わるかまたは致命的であり、最も一般的な医療ミスであり、医療システムに、1年あたり何十億ドルの負担をかける。静脈内の投薬ミスは、最も一般的な投薬ミスであり、これらの35%以上が、注入ポンプに関連する。研究は、革新的に特徴を詰め込んだ「高性能ポンプ」にも関わらず、人的要因、ソフトウェアおよびハードウェアの問題が、深刻なミスを助長していることを示している。FDAのMAUDE有害事象報告システムは、電動および使い捨て両方の注入ポンプのミスに関連する深刻な負傷および死亡の例を多数有している。過去4年間において、2つの大手製造業者からの600,000個を超える電動注入ポンプが、患者の負傷および死亡につながる主要なソフトウェアおよびハードウェア問題のために回収されている。
【0009】
医療注入の現在の状態は、したがって、以下のように要約することができる。病院、外来センター、および自宅での注入が、現代の医療注入の中心であるとはいえ、注入ポンプのミスは、依然として重大な問題であり、医療ミスの人的および経済的な大きな負担を助長する。電動注入ポンプは、不明瞭な利点の善意の「高性能な」特徴を有する、高価、高性能、かつ複雑な技術的装置となった。使い捨て注入ポンプは、多数の魅力的な特徴を有するが、大半が、依然として不正確であり、基本的な患者の安全機能を欠く可能性があり、ほとんどの静脈内注入に対し、不適切となる。
【発明の概要】
【0010】
本開示の一態様において、ある量の流体をプランジャーの下流表面と容器との間に収容することができるチャンバーを画定するように、容器内に位置付けられるプランジャーを含む、注入装置が提供される。注入装置は、プランジャーが、そこに作用する力によって変位されると、チャンバー内の流体を、そこを通じて分注することができる、流出路をさらに含む。可変流動抵抗器は、流出路内に位置付けられ、チャンバーからの流体流動抵抗を変化させ、プランジャーに作用する力が減少する際に、容器からの流体流速度を実質的に一定に維持するように構成される。
【0011】
本開示の別の態様において、プランジャーの下流表面と、プランジャーがその中に位置付けられる容器との間に画定されるチャンバー内に、送達されるある量の流体を提供するステップを含む、流体を送達するための方法が提供される。次に、容器内のプランジャーを変位させるように、プランジャーに力を作用させることができ、そうして流体がチャンバーから分注される。流体が分注される際、流動抵抗は、プランジャーへの力が減少する場合に、流体が通ってチャンバーから分注される通路内で変化することができ、それによって実質的に一定の分注速度を維持する。
【0012】
本開示のさらに別の態様において、プランジャーの下流表面と容器との間に、ある量の流体を中に収容することができるチャンバーを画定するように、容器内に位置付けられるプランジャーを含む、注入装置が提供される。装置はまた、チャンバー内の流体が、プランジャーがそこ作用する力によって変位されると、通って分注される、流出路を含むことができる。可変流動抵抗器は、流出路の下流に位置付けられ、チャンバーから流体を受容するように構成されてもよく、抵抗器は、その中に実質的に一定の圧力を維持するように構成され、それによって、このような圧力は、プランジャーに作用する力が減少する際に、実質的に一定の速度で、抵抗器から流体を送達するように作用することができる。
【0013】
本開示のさらなる態様において、プランジャーの下流表面およびプランジャーが中に位置付けられる容器によって画定されるチャンバー内に、分注されるある量の流体を提供することを含む、流体を送達するための方法が提供される。次に、プランジャーに力を作用させて、プランジャーを容器内に変位させ、それによって流体がチャンバーから分注される。その後、環境から流体を分注するように作用可能な圧力を、実質的に一定に維持するように設計される環境で、チャンバーから分注された流体を受容することができる。次のステップにおいて、流体は、開口部の上流および下流に実質的に一定の圧力差異を維持しながら、環境から分注することができ、それによって、プランジャーへの力が減少する際に、一定した流速の流体を患者に提供することができる。
【0014】
本開示の別の態様において、吸入空洞およびハウジングを含む、圧力調節器が提供される。プランジャーは、プランジャーの下流表面とハウジングとの間の流出空洞を画定するように、ハウジング内に位置付けることができる。装置はまた、吸入空洞と流出空洞との間の流体連通のためのチャネルを含み、それによってプランジャーの各側面上に作用する力の均衡の平衡を維持する。流体は、ハウジング内の排出口からの流出空洞から分注されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本開示の注入装置の容器の断面描写である。
【図2A】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2B】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2C】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2D】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図2E】本開示の注入装置の容器のいくつかの実施形態の、(図2Aに点線によって示されるレベルでの)水平方向の断面を示す。
【図3A】流体チャンバーが満杯(図3A)、部分的に空(図3B)、および完全に空(図3C)、の3つの異なる位置にある、空の容器内のプランジャーシステム23を示す。
【図3B】流体チャンバーが満杯(図3A)、部分的に空(図3B)、および完全に空(図3C)、の3つの異なる位置にある、空の容器内のプランジャーシステム23を示す。
【図3C】流体チャンバーが満杯(図3A)、部分的に空(図3B)、および完全に空(図3C)、の3つの異なる位置にある、空の容器内のプランジャーシステム23を示す。
【図4A】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4B】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4C】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4D】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図4E】プランジャーを駆動するための機構の様々な実施形態を示す。
【図5A】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図5B】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図5C】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図5D】様々な状態での本発明の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図6A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図6B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図6C】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図6D】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図7A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を使用しての、注入のシミュレーション結果を示す。
【図7B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を使用しての、注入のシミュレーション結果を示す。
【図8A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図8B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図8C】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図9A】図8A〜8Cの可変流動抵抗器において使用可能なカニューレ構成要素の実施形態を示す。
【図9B】図8A〜8Cの可変流動抵抗器において使用可能なカニューレ構成要素の実施形態を示す。
【図9C】図8A〜8Cの可変流動抵抗器において使用可能なカニューレ構成要素の実施形態を示す。
【図10】ムーディ線図を提示する。
【図11A】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図11B】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図11C】本開示の可変流動抵抗器の実施形態を示す。
【図12A】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図12B】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図12C】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図12D】本開示の注入装置の様々な実施形態を示す。
【図13】本開示の一連の注入装置を有する注入システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、薬物および/または流体を患者内に注入するための、本発明の装置10の実施形態を提示する。
【0017】
注入される流体には、幅広い範囲の薬物、流体供給、生体療法、他の物質、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
注入される流体は、静脈内、腸内、動脈内、心室内へ直接、皮下的、筋肉内、別の非経口経路を通じて、または腹膜腔、胸膜腔、心膜腔、関節腔、硬膜外腔、脊髄腔、もしくは脳室を含むがこれらに限定されない、体腔内へ投与されてもよい。
【0019】
一実施形態において、装置10は、1つ以上のチャンバーを有する容器11を含んでもよい。
【0020】
もちろん、容器11は、所望の、任意の形状または寸法であってもよい。
【0021】
容器11は、耐久性、使い捨て、または再生利用可能な材料から作製されてもよい。
【0022】
一実施形態において、容器11は、中に含まれる、加圧流体、ガス、または他の物質を安全に封入するために、堅い殻の外装を有してもよい。
【0023】
例えば、容器11は、携帯性を高めるために、プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン)、金属、ガラス、または任意の他の軽量材料で作製することができる。
【0024】
一実施形態において、装置10の容器11は、主チャンバー12を含むことができる。
【0025】
幾何学的に言って、主チャンバー12は、立方、円筒、または任意の他の三次元構造等の、既定の高さをまたぐ固定断面を有する直角柱であってもよい。
【0026】
したがって、主チャンバー12は、上壁14、底壁15、および1つ以上の側壁16を有してもよい。
【0027】
容器11の側壁(1つまたは複数)16は、一実施形態において、主チャンバー12の上壁14を超えて延在して、ベイ22を形成することができる。
【0028】
ベイ22は、制御モジュール、管、コネクタ、アダプタ、および注入装置10の機能性を強化するための他の周辺機器を保持するために提供されてもよい。
【0029】
さらに、流出路13の高さに適合するように側壁16を延在させることによって、装置10は、実質的に実用的な、人間工学的形状を確保することができる。
【0030】
前述のように、装置10の容器11は、チャンバー12と流体連通する流出路13を含むことができる。
【0031】
一実施形態において、流出路13は、容器11の縁部に沿って位置付けることができる。流出路13は、主チャンバー12の幅よりも実質的に狭い幅で提供されてもよい。流出路13は、一実施形態において、主チャンバー12の上壁14を越える距離で隆起してもよい。容器11の一部として図示されるが、流出路13は、主チャンバー12から離れていてもよく、例えば、管によって、主チャンバー12に流動的に接続されていてもよいことに留意されたい。
【0032】
ここで図2A〜2Eを参照して、主チャンバー12の断面は、上述のように、長方形、円形、楕円形、または他のより複雑な形状を含むが、これらに限定されない任意の形状をとることが可能である。図2B〜2Eは、図2Aの点線Aのレベルで、主チャンバー12の形状が異なる容器のいくつかの実施形態の断面を示す。非限定的な例として、容器11は、長方形(図2B)、円形(図2C)、もしくは曲がった長方形、細長い長方形(図2E)で提供されてもよく、または容器11は、弾丸型(図2D)をしていてもよい。特定の実施形態において、流出路13の深さは、図2Bおよび2Cに示されるように、主チャンバー12の深さよりも短くてもよく、または、図2Dおよび2Eに示されるように、主チャンバー12の深さと同じであってもよい。
【0033】
ここで、図3A〜3Cを参照して、本開示の装置10の実施形態において、プランジャーシステム23は、容器11内に存在してもよい。プランジャーシステム23は、チャンバー12を、ある量の流体を蓄積するための流体チャンバー26と、容器11内でプランジャーシステム23を変位させるための機構を収納するための圧力チャンバー27とに分割することができる。図3Aは、流体チャンバー26が実質的に満杯の場合に、プランジャーシステム23が位置され得る、主チャンバー12内の点にあるプランジャーシステム23を示す。図3Bは、流体チャンバー26が部分的に空の場合に、プランジャーシステム23が位置される可能性のある、主チャンバー12内の点にあるプランジャーシステム23を示す。図3Cは、流体チャンバー26が実質的に空の場合に、プランジャーシステム23が位置される可能性のある、主チャンバー12内の点にあるプランジャーシステム23を示す。
【0034】
プランジャーシステム23は、一実施形態において、主プランジャー24を含むことができる。主プランジャー24は、主チャンバー12内に存在し、標準的シリンジ内のプランジャーに類似の可動壁として機能することができる。プランジャー23は、その下流表面と容器との間で、流体チャンバーを画定する。主プランジャー24は、主チャンバー12内で、軸方向に移動し、流体チャンバー26および圧力チャンバー27の相対体積をそれぞれ変更することができる。さらに、それが主チャンバー12内で移動する際、主プランジャー24は、主チャンバー12の壁に、実質的に密封を提供し、流体チャンバー26と圧力チャンバー27との間の、ガスまたは流体の漏れを阻止することができる。そのためには、主プランジャー24は、主チャンバー12内で自由に摺動することができながらも、主プランジャー23がこのような密封を提供することを可能にするように、適切な形状および構造をとることができる。一実施形態において、主プランジャー24は、容器11の主チャンバー12と実質的にぴったりとした適合を形成して、主チャンバー12内で主プランジャー24を移動させるために十分に低い可能性のある、主プランジャー24および主チャンバー12の壁との間の摩擦係数を提供することができる。一実施形態において、主プランジャー24は、シリコーン、ラテックス、または他のゴム材料等の柔軟な材料で作製されていてもよい。別の実施形態において、主プランジャー24は、ゴムまたはシリコーン等の柔軟な材料で作製された外部ガスケットを有する、プラスチックまたは金属等の剛体材料で作製されてもよい。一実施形態において、主プランジャー24は、流体チャンバー26および圧力チャンバー27を、互いから分離するようにさらに促進するための、ガスケットを含むことができる。ガスケットは、主プランジャー24が、主チャンバー12内で自由に移動することを可能にするように十分に潤滑されていてもよい。主チャンバー12は、一実施形態において、主プランジャーが主チャンバー12を横断する際に、主プランジャー24を安定させるための、1つ以上の誘導機構を含むことができる。このような誘導は、一実施形態において、主チャンバー12の中心を通る柱、あるいは主チャンバー12の側壁(1つまたは複数)の内側面の隆起部および/または溝であってもよい。
【0035】
主プランジャー24を変位させるために、圧力チャンバー27は、一実施形態において、位置エネルギーを蓄積し、容器11内でプランジャーシステム23を変位させるために位置エネルギーを放出するように構成される、駆動機構を収納することができる。このような駆動機構は、その性質上、いずれの外部電源、ポンプ、または重力をも必要とせずに、患者内に流体を注入するために十分に主プランジャー24を変位させるのに十分な量の位置エネルギーを蓄積することができる。位置エネルギーは、一実施形態において、所望の流速で、流体チャンバー26から流出路13を通じて、患者に流体を投与するために十分な力を、主プランジャー24に与えることができる。駆動機構に十分な位置エネルギーを提供するために、流体チャンバー26を流体で満たして、流体チャンバー26を膨張させることができ、主プランジャー24を圧力チャンバー27に向かって駆動させることができる。そのようにして、駆動機構は圧縮され、後の注入のために放出可能な、必要位置エネルギーを駆動機構に蓄積させることができる。
【0036】
駆動機構は、一実施形態において、図4Aに示されるように、圧縮性ガス28の形状をしていてもよい。圧縮ガス28がその壁に与える力に耐えるために、容器11は、一実施形態において、プラスチックまたは金属等の、十分に丈夫な材料から作製することができる。さらに、プランジャーシステム22と容器11の内部壁との間の密封は、圧縮ガス28が、圧力チャンバー27内に留まり、流体チャンバー26または流出路13内に漏れないように十分に、しっかりとしている必要がある。一実施形態において、ガス28は、空気、二酸化炭素、窒素、またはヘリウムを含むがこれらに限定されない、任意の医療用の不燃性ガスであってもよい。さらに、ガス28は、膨張可能な場合に、ガス28が適切な力をプランジャーシステム23上に生成して、それを流体チャンバー26内に駆動し、流体チャンバー26内の流体を患者内に注入することができるように、十分に圧縮することが可能であってもよい。
【0037】
所望の初期駆動圧力を主プランジャー24にもたらすのに十分なガス28の量は、ガス28が理想気体として機能すると仮定して、ボイルの法則(Boyle’s Law)を使用して決定することができ、
【数1】
式中、mgは、ガス容器29内のガス28の質量であり、P0は、初期容器圧力であり、V0は、注入される流体チャンバー26内の初期体積であり、MWgは、ガス28の分子量であり、Rは、理想気体定数であり、CRは、注入開始時のガス28の圧縮比率であり、Tは、絶対温度である。
【0038】
一実施形態において、図4Aに描写されるように、ガス28は、圧力チャンバー27内の空間を単純に満たすことができる。別の実施形態においては、図4Bに示されるように、ガス28は、圧力チャンバー27内に配置される不浸透性弾性ガス容器29内に存在していてもよい。ガス28をこのような完全に封入されたガス容器29内に位置付けることによって、容器11の外側または流体チャンバー26内へガス28が漏れる危険性なしに、ガス28が膨張および収縮することを可能にすることができる。これは、圧力チャンバー27内で、より高い圧力が生成されることを可能にすることができる。それは、本開示の装置の製造および組み立てもまた促進することができる。一実施形態において、ガス容器29は、満たされ、大気圧で密封され、次いで外部の機械力で容器11内に押し込められ、そうして、容器11への高圧ガスポートの必要性を排除することができる。図4Dに示される実施形態において、ガス容器29は、主プランジャー24の上部でプランジャーシステム23に結合することができ、そうしてその連結した全体を、後に単体として容器11内に設置することができる。
【0039】
図4Cに示されるように、その中立状態(すなわち、非圧縮)において、容器11の外側が大気圧にある状態で、ガス容器29は、主チャンバー12の形状と概ね整合する形状、すなわち上壁30、底壁31、および1つ以上の側壁32を提供される。この中立状態において、ガス容器29の高さは、ガス容器29が、注入の継続期間を通じて加圧されたままであってもよいため、主チャンバー12のものよりも高い可能性がある。一実施形態において、ガス容器29の断面形状は、主チャンバー12と同一であってもよいが、主チャンバー12内で自由に膨張することができるように、わずかに小さい面積を有する。ガス容器29は、膨張および収縮を容器の軸寸法に限定する、アコーディオンまたは蛇腹様の構造を有する、プラスチック(ポリウレタン、ポリプロピレン、PTFE、PBAX等)等の、非柔順、不透過性、柔軟材料から作製することができる。上壁30および底壁31は、単一の軸方向寸法への容器の膨張および収縮をさらに強制するために、プラスチック、ガラス、または金属等の剛体材料で補強することができる。ガス容器29に弾性または半弾性材料を使用することで、同様の機能性を達成することができるが、側壁(1つまたは複数)32が外側へ膨張する傾向は、製造および組み立てを、より煩雑にしている。
【0040】
別の実施形態において、図4Eに示されるように、圧力チャンバー27は、主チャンバー12の上壁15と、主プランジャーとの間に位置付けられる、1つ以上のバネ33等の機械装置内に、その位置エネルギーを蓄積することができる。1つ以上のバネを使用して、プランジャーシステム23を駆動するための所望の力を提供することができ、その選択は、フックの法則(Hooke’s Law)に基づいていてもよい。
【0041】
一実施形態において、圧力チャンバー27は、圧力チャンバー27が膨張する際に、空気の吸入口を提供するために、大気と連通する1つ以上の通気口を含むことができる。圧力チャンバー27の通気は、その存在により圧力チャンバー27の膨張を妨害する可能性のある真空が、圧力チャンバー27内で生成されることを阻止することができる。圧力チャンバー27の通気はまた、プランジャーシステム23を駆動する機構の過熱を回避することを助けることができる。通気は、ガス容器29と、主チャンバー12の内部壁との間に閉じ込められるいずれの空気の除去も、さらに支持することができる。
【0042】
図5A〜5Dを参照して、一実施形態において、本開示の装置は、1つ以上の吸入ポート34、排出ポート35、統合管36、端子コネクタ37、およびアダプタ38を含むことができる。これらのポートは、必要な際に開口部を密封するためのキャップ、または流体もしくはガスを追い出される方向に移動させるためのバルブを含むことができる。吸入ポート34、排出ポート34、端子コネクタ37、およびアダプタ38は、装置10の操作および/または注入流体40の分注に有用な、ルアーロック、ねじ式、バヨネット、または他の「即時接続」式の機構等の特定の接続機構を有することができる。例えば、吸入ポート34を使用して、流体チャンバー26を満たすか、またはガス容器29を満たすことができる。排出ポート35は、脱気中に流体および空気が容器を出、注入中に流体が出ることを可能にすることができる。統合管36は、患者に到達するのに適切な長さを有することができ、その好ましい実施形態においては、それがより人間工学的になるように、コイル状をしている。端子コネクタ37は、患者のカテーテル39またはポートに、直接で、または既にカテーテルもしくはポートに接続済みの整合アダプタ38を使用して、装置を接続することができる。
【0043】
図5Aを参照して、一実施形態において、完全に組み立て、チャージ済みだが空の注入装置10が、充填の準備ができて示される。容器11は、ガス28を有するガス容器29を含む、部分的にチャージされた圧力チャンバー27が示される。ガス28は、主チャンバー12内で完全に膨張し、それによって流体チャンバー26の体積は、実質的にゼロになる。示されるように、流出路13および統合管36は、空気で満たされており、端子コネクタ37は、未だカテーテル39に取り付けられていない。図5Bは、注入流体40で充填済み、脱気済みの、注入開始の準備ができた同一の装置を示す。特に、容器11は、圧力チャンバー27内のガス8が圧縮された状態で示される。流体チャンバー26、流出路13、および統合管36は、一方で、実質的に流体で満たされ、空気が欠乏した状態で示される。図5Bに示される実施形態において、主プランジャー24は、その最高位置にあり、内部壁20の縁部と隣接している。主プランジャー24のこの位置は、流体チャンバー26の最大体積、圧力チャンバー27の最小体積、および全チャンバー内の最大圧力と対応する。図5Cおよび5Dは、注入流体40の注入の50%および100%が完了した後の、装置を示す。
【0044】
注入流体40が主プランジャー24の変位によって、流体チャンバー26から分注される際、注入流体は、流出路13に入ることができる。一実施形態において、図3A〜3Cおよび5A〜5Dに図示されるように、流出路13は、容器11の壁20aと20bの間に形成することができる。流出隔膜17を、流出路13内に配置することができる。一実施形態において、流出隔膜17は、容器11の構造内に完全に統合することができる。一実施形態において、流出隔膜17は、容器とは別に製造され、組み立ての際に容器内のスロット型チャネル内に挿入されてもよい。これにより、既定寸法の容器が、それぞれがそれ自体の抵抗性質を有する複数の流出隔膜17のうちの1つに結合することを可能にし、その特定の注入装置に対する所望の流速を達成することができる。
【0045】
流出路13は、流出隔膜17によって、外部流出チャネル18および内部流出チャネル19の、2つの並行流出チャネルに分けることができる。流出チャネル18は、流出隔膜17と壁20aとの間の空間によって画定することができる。流出隔膜17は、流出路13の遠位端から下向きに、容器11の底壁15までだがやや短く延在して、主チャンバー12から外部流出チャネル18内への流路を提供することができる。外部流出チャネル18は、流出路13の遠位端で、終端として終結してもよい。内部流出チャネル19は、流出隔膜17と壁20bとの間の空間によって画定することができる。壁20bは、主チャンバー12内へ、その上壁14からある距離で延在して、内部流出チャネル19の壁の一部分を形成することができる。内部流出チャネル19は、流出口21において、流出路13の遠位端で終結してもよい。流出隔膜17の一区分は、透過性であり、外部流出チャネル18から内部流出チャネル19内への流動を可能にすることができる。
【0046】
注入装置10は、一実施形態において、プランジャー延在部25をさらに含むことができる。プランジャー延在部25は、主プランジャー24の1つの縁部から直角に延在する葦様の突出部であってもよい。主プランジャー24と同様に、プランジャー延在部25は、全体的にゴムもしくはシリコーン等の柔軟材料から、またはガスケットを形成するためにゴムもしくはシリコーンの外部層を有するプラスチックもしくは金属等の剛体材料から、作製することができる。プランジャー延在部25は、流出路13の内部流出チャネル19内に存在してもよく、内部流出チャネル19内でしっかりとした密封を形成し、流体またはガスの、流体チャンバー26もしくは圧力チャンバー27内への漏れを阻止することができる。プランジャー延在部25の長さは、図3Cに示されるように、流体チャンバー26が空の場合に、主プランジャー24が主チャンバーの底壁15に突き当たる長さであってもよく、プランジャー延在部25は、密封を維持するのに十分な重なりを有して、内部流出チャネル19内に係合したまま留まることができる。流体チャンバー26が流体で満たされる際、プランジャー延在部25は、内部流出チャネル19内高くに延在することができる。一実施形態において、プランジャー延在部25は、図3Aに示されるように、流出口21を閉塞しないように、チャネルの端部よりも短くてもよい。主チャンバー12の内部壁20は、プランジャーシステムが浮上して流出口21を閉塞することを阻止するように、寸法決めすることができる。主プランジャー24が、主チャンバー12の底壁15に向かって移動する際、それは、プランジャー延在部25をそれと共に引っ張ることができる。プランジャー延在部25が、内部流出チャネル19内で近位方向に移動する場合、それは、流出チャネル19の高さを増加させることができる。プランジャー延在部25はまた、流出隔膜17に沿って摺動して、内部および外部流出チャネル18および19の両方と連通する隔膜の領域を増大させることができる。
【0047】
一実施形態において、本発明の注入装置10は、流出路13内に配置される可変流動抵抗器を含むことができる。可変流動抵抗器は、高度の正確性を有する注入の際に、一定流速の維持を支持することができる。従来の使い捨て注入ポンプは、典型的に、一般的にポンプと患者との間に配置される口径の狭い管である、固定流動抵抗器を、注入回路内に組み込むことによって、既定の流速を送達するように試みる。典型的にエラストマー膜またはバネの反動によって提供される、これらのポンプの駆動力は、しかしながら、一定ではなく、注入期間を通じて変化する可能性があり、注入の終了に向かって減少する場合がある。流動抵抗が一定であるため、このようなポンプからの流速は、駆動力が変化すると、変化する可能性がある。例えば、いくつかの使い捨て注入ポンプにける瞬間流速偏差は、±40%程度の高さであることが示されている。流出路13内に可変流動抵抗器を提供することによって、駆動力が変化する場合でさえも、注入流体を、注入期間の間、実質的に一定の流速で患者内に注入することができる。
【0048】
図6A〜6Dを参照して、一実施形態において、本開示の装置の可変流動抵抗器60は、流出隔膜17の透過性部分とプランジャー延在部25との相互作用によって、形成することができる。一実施形態において、流出隔膜17は、透過性領域41および透過性領域42によって画定される、透過性部分を有することができる。隔膜17にこのような透過性領域を提供することによって、プランジャー延在部が流出口21から離れて流出隔膜17に沿って摺動する際に、流出隔膜17の透過性区分の増加部分が露出され、内部流出チャネル18と外部流出チャネル19との間の流動が、速い速度で生じ、プランジャーによって流体チャンバー26内の流体に及ぼされる力におけるいずれの減少にも対応することを可能にすることができる。
【0049】
流出隔膜17の透過性区分は、一実施形態において、初期透過性領域41および調整可能透過性領域42の、2つの領域に分けることができる。注入の開始時において、図6Aに示されるように、プランジャー延在部25は、その最高点にあってもよい。そのために、プランジャー延在部25は、プランジャー延在部25がその最高点にあり得る場合に、調整可能透過性領域42を実質的に被覆することができる。初期流動は、流出口21に正反対の、プランジャー延在部25の最高点に遠位の流出隔膜17上に位置付けられる、初期透過性領域41を通じて進行することができる。透過性領域41は、示されるように、調整可能透過性領域42と同一の材料で作製することができ、調整可能透過性領域42と隣接していてもよい。あるいは、初期透過性領域は、別個であり、異なる材料で作製することができる。この初期透過性領域41の流動抵抗が、初期流速を決定することができる。
【0050】
注入が進行するにつれて、図6Bに示されるように、プランジャー延在部25は、排出口26から内部流出チャネル19内へ移動して、調整可能透過性領域42の増大部分を露出することができる。均質の透過性材料を通じて流体流動を統率する、ダルシーの法則(Darcy’s law)によると、調整可能透過性領域42の流動抵抗は、露出領域に対して反比例する。したがって、注入が進行するにつれて、流体チャンバー26内の注入流体への力が減少する場合、注入装置からの注入流体の実質的に一定の流速の維持を可能にするためには、透過性領域を増大させて抵抗を下げる必要がある。注入が、実質的に完了する際、図6Cに描写されるように、プランジャー延在部25は、流出隔膜17上で、その最低点にあってもよく、調整可能透過性領域42の全てが、露出されていてもよく、流動抵抗は、最低であってもよい。
【0051】
流出隔膜17は、容器11と同様に、プラスチックまたは金属等の剛体の不透過性材料で作製することができる。図6Dに描写される実施形態において、透過性領域41および42は、流出隔膜17の壁の切取り部分に埋め込まれた、既定の形状の透過性材料を含むことができる。材料は、本装置の既定の実施形態の流動に所望の抵抗を達成する、適切な透過能力指標を有する、プラスチック、金属、セラミック、または繊維等の、任意の多孔質材料43であってもよい。別の実施形態において、透過性領域41および42は、流出隔膜17を通して細孔模様を作り出すことによって、作り出すことができる。初期透過性領域41は、実際、流動に適切な初期抵抗を提供するために、適切な直径の単一の細孔であってもよい。調整可能透過性領域42は、既定の密度で既定の領域にわたって広がる固定または可変寸法の格子状44の微細孔を有することができる。微細孔の密度は、固定または可変であってもよい。別の実施形態において、透過性領域41および42は、全体が多孔質材料43または44から作製される、流出隔膜17で開始し、透過性領域41および42の形状の切り出しを用いて、流出隔膜の各側面に不透過性マスクを適用することによって、作り出すことができる。
【0052】
可変流動抵抗器60は、注入が進行するにつれて、プランジャーシステム23に作用する力の減少を追跡することができ、一定の流動を維持するために、流出路13内の注入流の流動抵抗を減少させることができる。可変流動抵抗器は、可変流動抵抗器28の調整可能透過性領域42の露出部分の高さを増加させることによって、それを行うことができ、それによって、予測可能な様式で、抵抗を減少させる。抵抗と露出された高さとの間の関係は、装置内でガスと流体とを統率する、ボイルの法則(Boyle’s Law)およびポアズイユの法則(Pouseille’s Law)の、2つの法則から導くことができる。この関係が決定されると、透過性領域41および42の形状は、ダルシーの法則(Darcy’s Law)を使用して決定することができ、図6Bにおいて示されるように、領域の幅と高さとの間の関係が確立される。
【0053】
ボイルの法則(Boyle’s Law)は、圧力チャンバー27内のガス28の圧力と体積との間の関係を統率する。ガス28は、理想気体であると仮定することができ、ボイルの法則(Boyle’s law)によると、圧力の生産およびガスの体積は一定である。流体は、非圧縮性であると仮定され、ガスの圧力は、静止状態下において、容器全体の圧力と同一であってもよい。層流を仮定して、ポアズイユの法則(Pouseille’s Law)は、流体への駆動圧力と、流動抵抗および流速との間の関係を統率する。一定の流速において、圧力と抵抗との比率は、一定であってもよい。
【0054】
これらの2つの法則を使用して、可変流動抵抗器の調整可能領域42の露出の高さhと、それに伴う全抵抗Rとの間の関係は、次のように決定することができ、
【数2】
式中、P0およびP1は、それぞれ初期および最終容器圧であり、V0は、注入される流体チャンバー26内の初期体積であり、Aは、主チャンバー12の断面積であり、したがって、流体チャンバー26および圧力チャンバー27の断面積であり、Ppは、患者に注入される場所での圧力(例えば、静脈内圧)であり、Q0は、初期流速およびしたがって標的流速である。幅広い種類の初期条件、ならびに容器の寸法および形状にわたって、10,000回までの反復を使用する、本装置の数値シミュレーションにおいて、この抵抗関数に従って全抵抗を変化させるにより、0.001%未満の許容誤差内で、一定の流速をもたらすことができる。図7Aは、典型的なシミュレーションの結果を示す。注入が進行するにつれて、抵抗は着実に下落し、圧力チャンバーは減圧され、一定の流動をもたらす。
【0055】
流体路全体にわたる全流動抵抗は、複数の異なる抵抗器として表すことができる。1つは、流出チャネル18および19、排出ポート35、統合管36、端子コネクタ37、アダプタ38、および患者のカテーテル39を含む、流体路の全固定抵抗である。可変流動抵抗器を全固定抵抗と直列に接続してもよい。可変流動抵抗器は、初期透過性領域41に対応する初期抵抗、および調整可能透過性領域42の露出部分に対応する可変構成要素の、並列接続される2つの構成要素を有することができる。
【0056】
図6A〜6Cに示される実施形態において、透過性領域41および42は、均質の多孔質材料または微細孔模様で満たされた流出隔膜17の部分であってもよい。初期透過性領域41は、狭い長方形として示されるが、排出隔膜17の上部内に適合する任意の形状であってもよい。その領域は、精密な初期抵抗を生成して、装置の初期抵抗を生成するためのものである。領域は、以下のように決定することができる。
【数3】
式中、μは、流体粘度であり、tは、流出隔膜17の厚さであり、κは、調整可能透過性領域42の透過性である。
【0057】
調整可能透過性領域42は、台形として図6A〜6Cに示されるが、上述の抵抗関数を達成することが要求されるその形状は、より複雑であり、容器の初期条件および性質に依存する。その領域の透過性が、調整可能透過性領域42全体にわたって、および流出隔膜17の厚さを通じて均質であると仮定する場合、ダルシーの法則(Darcy’s Law)を使用して、上述の抵抗関数を生成し、注入期間を通じて一定の流速を維持する領域の精密な形状を決定することができる。その形状は、次の通り、調整可能透過性領域42の幅とその領域の既定の露出高さhとの間の関係によって表すことができる。
【数4】
幅広い種類の開始条件にわたり、10,000回までの反復を使用する、多数の装置シミュレーションにおいて、上述の関数は、0.001%未満の許容誤差内の一定流動をもたらす、抵抗の減少を生成する。図7Bは、示される1組の初期条件を使用して、上述の形状関数から導かれる透過性領域42の形状を示す。
【0058】
圧力チャンバー27が、ガスの代わりにバネを使用する実施形態において、同様の抵抗関数および形状関数が導くことができる。この場合において、フックの法則(Hooke’s Law)は、力がバネ変位に比例する、その線形範囲内で機能すると仮定されるバネの特性を統率する。結果として、抵抗関数は線形である。
【数5】
【0059】
固定透過性領域41の面積は、ガスのものに対するものと同一である。
【数6】
この実施形態の調整可能透過性領域42の形状は以下である。
【数7】
【0060】
別の実施形態において、図8A〜8Cに示されるような機械的可変流動抵抗器が、流出路13内に提供される。このような実施形態において、流出路は、受動的可変流動抵抗器60と接続する上述の流出路13の実施形態とは異なり、単純な通路であってもよい。患者への注入流体40を一定の流速に維持するために、機械的可変流動抵抗器は、一実施形態において、注入流体40が、流体チャンバー26から中に移送され得る流出路13内に、中間チャンバーを提供することができる。本発明の機械的流動抵抗器は、中間チャンバー内で、所望の圧力差異を維持することができ、注入時に、注入期間を通じて一定の流速で、患者への注入流体40の注入を可能にする。本発明の機械的流動抵抗器は、フィードバックループ、ならびに中間空洞内の圧力および注入時の圧力の変動を修正することを可能にする機構を提供されてもよく、そうすることで所望の圧力差異が、注入期間を通じて維持されるようになる。注入流体40は、中間空洞から一定の開口部を通して分注されるため、注入流体40は、したがって、プランジャーシステム23への力が減少する場合でさえも、注入期間を通じて一定の流速で患者に投与可能である。
【0061】
ここで図8A〜8Cを参照して、機械的可変流動抵抗器80の実施形態が示される。抵抗器80は、装置10の流体チャンバー26と流動連通する吸入空洞81を含み、注入流体40が流体チャンバー26から吸入空洞81へ移送されることを可能にすることができる。注入流体40は、一実施形態において、主プランジャー24によって注入流体40に及ぼされる圧力に対応する圧力で、注入流体40の移送においてより少ない圧力低下で、吸入空洞81内に蓄積することができる。
【0062】
機械的可変流動抵抗器80は、ハウジング87をさらに含むことができる。ハウジング87は、ハウジング89を、流出空洞91および駆動空洞92の、2つの構成要素に分割するように摺動可能に配置される、プランジャー89を含むことができる。流出空洞91は、吸入空洞81から注入流体40を受容するように構成することができる。駆動空洞92は、一方で、駆動機構86を収容するように構成することができる。機構86は、位置エネルギーを蓄積および放出する能力のある、バネまたは圧縮ガスであってもよく、このようなバネまたは圧縮ガスは、ハウジング87内でプランジャー89を変位させるためのものである。
【0063】
ハウジング87は、一実施形態において、吸入空洞81の壁111が、流出空洞91の壁113に隣接するように、吸入空洞81内に一列で位置されてもよい。そのために、流出空洞91は、注入流体が、吸入空洞81から中に移送され得る中間チャンバーとして機能することができる。一実施形態において、注入流体40は、吸入空洞81と流出空洞91との間で、カニューレ97を通じて移送することができる。
【0064】
一実施形態において、カニューレ97は、図9Aに図示されるように、密封された近位端および遠位端101および103、ならびに側壁内に複数の穿孔を有してもよい。一実施形態において、複数の穿孔は、吸入穿孔105が排出穿孔107から離れた状態で、吸入穿孔105および排出穿孔107の群に分けることができる。一実施形態において、図9B〜9Cに示されるように、透過性挿入部98を、カニューレ97内に挿入することができる。透過性挿入部98は、吸入穿孔105、排出穿孔107、または両方と連携して、カニューレ97全体の圧力低下を調節するために、カニューレ97を通る流動に抵抗を提供することができる。
【0065】
図8Aに示されるように、カニューレが吸入空洞81と流出空洞91との間に位置される場合、吸入穿孔105のうちの少なくともいくつかを、吸入空洞81内に露出することができ、一方で排出穿孔107のうちの少なくともいくつかを、流出空洞91内に露出することができ、それによって注入流体40が吸入空洞81から流出空洞91内へ流れることを可能にする。一実施形態において、注入流体40は、隔膜93によって被覆される穿孔を通じて流れない場合がある。一実施形態において、注入流体40は、吸入空洞81から吸入穿孔105を通じてカニューレ97内に入り、排出穿孔107を通じて流出空洞91内へ、カニューレ97から退出してもよい。
【0066】
実質的に一定の流速を制御または維持するために、カニューレ97は、プランジャー89に接続することができ、それによって、プランジャー89は、ハウジング87と吸入空洞81との間でカニューレ97を移動させて、流出空洞91内への注入流体40の流速を変更することができる。図8Bに示されるように、カニューレ97を吸入空洞81内へ移動させることにより、追加の吸入穿孔107を露出させることができ、したがって、吸入空洞81から流出空洞91内への注入流体40の流速が増加することを可能にする。一方で、図8Cに示されるように、カニューレ97を吸入空洞81の外へ移動させることにより、隔膜93が、追加の吸入穿孔105を被覆することを可能にし、したがって、吸入空洞81から流出空洞91内への注入流体40の流速を減少させることができる。
【0067】
流体が注入流体40が吸入空洞81と流出空洞91との間でカニューレ9のみを通じて移送され得ることを確実にするために、一実施形態において、隔膜93を、吸入空洞81と流出空洞91との間に提供することができる。隔膜93は、流体密封であってもよい。カニューレ97は、隔膜93を通じて摺動可能であり、このような隔膜93は、いくつかの吸入終端部を被覆し、被覆された穿孔を通じての注入流体40の流動を妨害することができる。
【0068】
注入流体40は、流出空洞91から、バルブ117を有する管109を通して患者に分注することができる。一実施形態において、注入流体40は、第1の管110を通じて、バルブ117を通じて、第2の管112からt−コネクタ114へ流動することができる。注入流体40は、t−コネクタ114から、第3の管116を通じて、患者に接続される統合管36内へ流動することができる。一実施形態において、第4の管118は、駆動空洞92に接続し、第3の管116を通じて統合されてもよく、それによって、注入流体40の患者への注入時の圧力は、以下に詳細に記載されるように、プランジャー89に対する背圧を提供することができる。
【0069】
一実施形態において、バルブ117は、注入流体40が一定の所定開口部を通じて分注されることを可能にすることができる。ポアズイユの法則(Pouseille’s law)によると、一定の流速は、一定の開口部上の一定の圧力差異によって、次のように生成することができ、Q=kA(Pd−Pu)、式中、Qは、患者への注入流体40の流速であり、kは、注入流体40の動的粘度であり、Aは、注入流体40が通って分注されるバルブ117の開口部の直径であり、Pdは、開口部の下流圧力であり、Puは、開口部の上流圧力である。すなわち、患者への注入流体40の流速は、バルブ117の下流圧力とバルブ117の上流圧力との間の差異に比例してもよい。注入流体40の所望の流速が選択されると、手順の詳細に応じて、所望の流速を維持する必要のあるバルブ117の下流圧力とバルブ117の上流圧力との間の差異は、ポアズイユの法則(Pouseille’s law)に従って、決定することができる。
【0070】
吸入バルブ117の下流および上流の圧力は、圧力低下を考慮して、流出チャンバー91内の圧力および注入時の圧力から、それぞれ決定することができる。一実施形態において、吸入バルブ117の下流圧力は、流出チャンバー91内の圧力P1と実質的に同等であってもよく、一方で、流動バルブ117の上流圧力は、本明細書で患者の圧力、P2として称される、患者に投与される流体に作用する背圧と実質的に同等であってもよい。流出チャンバー91内の圧力である圧力P1は、流体チャンバー26内の注入流体40の圧力に対する圧力およびカニューレ97の設計に依存してもよい。図8Aを参照して、吸入チャンバー内の圧力P0は、流体チャンバー26と吸入空洞81との間のいずれの圧力低下も度外視して、流体チャンバー26内の注入流体40の圧力に対応することができる。さらに、カニューレ97内の穿孔上の圧力低下は、以下のダルシー−ワイズバッハ(Darcy−Weisbach)の方程式、および図10に提示されるムーディ線図(Moody Diagram)から計算することができ、
【数8】
式中、fは、摩擦係数であり、ρは、流体密度であり、Vは、平均流体速度であり、lは、カニューレ壁部の厚さであり、dは、穿孔直径である。患者の圧力は、実験的に決定されるか、または文献から試算することができる。
【0071】
注入流体40を一定の速度で患者に分注するために、実質的に一定の差異を、流出チャンバー91内の圧力と、患者の圧力との間で維持することができる。本開示の機械的可変流動抵抗器80は、一実施形態において、フィードバックループを含んで、機械的可変流動抵抗器80が、流出チャンバー91内の圧力と患者の圧力との間で実質的に一定の差異を維持することを可能にすることができる。機械的可変流動抵抗器は、流出チャンバー91内の圧力と、患者の圧力との間で所望の差異が維持される場合に、プランジャー89を、ハウジング87内で平衡位置に位置することができるように、設計されてもよい。例えば、平衡位置は、図8Aに図示されるように、カニューレ97内の吸入穿孔105のうちの全てではなくいくつかが、吸入空洞81内の隔膜93の外側に置かれる場合、プランジャーの位置であってもよい。
【0072】
プランジャー89が、静止している場合、プランジャー89に作用する力の均衡は、概して以下のように定義することができ、
【数9】
式中、Rは、プランジャー89の外側半径であり、P1は、流出チャンバー内の圧力であり、P2は、患者の圧力であり、Fmechは、機構86によってプランジャーに及ぼされる力である。プランジャー89を駆動するためにバネが利用される実施形態において、バネ89によってプランジャー89に及ぼされるFmechは、フックの法則(Hooke’s law)に従って計算することができる。圧縮空気を使用してプランジャー89を駆動する別の実施形態において、空気によってプランジャー89に及ぼされるFmechは、ボイルの法則(Boyle’s Law)に従って計算することができる。プランジャーの右方向への変位、すなわち、流出チャンバーの膨張をもたらすプランジャーの変位をもたらすプランジャーに作用する力は、正数として定義される。上述の方程式は、以下のように再編成することができ、
【数10】
R、P1、P2は、試算されるかまたは既知であるために、P1とP2との間の所望の差異でプランジャー89を平衡位置に維持することができる好適な機構86が選択されるか、あるいは逆も可能である。
【0073】
一実施形態において、好適な機構86は、プランジャー89を平衡位置に維持するために必要な場合に、プランジャー89に作用可能なバネを含んでもよい。バネによってプランジャーに及ぼされる力は、フックの法則(Hooke’s Law)に従って、以下のように計算することができ、
【数11】
式中、Fspringは、バネがプランジャーに及ぼし得る力であり、kは、バネ定数であり、Dは、バネが事前圧縮されている量であり、xはプランジャーが、プランジャーを平衡位置に保つために移動することのできる量である。一実施形態において、バネは、P1とP2との間の差異が変化する場合等のバネの小さな動きが、バネ力を変化させないように、事前圧縮される。
【0074】
注入の間に、P1とP2との間に所望の差異が維持される場合、機構86は、プランジャー89を平衡位置に実質的に静止して保つことができる。しかしながら、例えば、主プランジャー25に作用する力の減少のために、P1とP2との間の差異が減少する場合、プランジャー89およびカニューレ97は、図8Bに示されるように、平衡位置から左方向、すなわち、駆動空洞92を膨張させる方向に強制移動させられる場合がある。カニューレ97のこのような変位は、追加の吸入穿孔105を吸入流体空洞81内で露出させ、それによって、吸入空洞81から流出空洞91への注入流体40の流速の増加を可能にすることができる。流出空洞91への増加した流速は、P1の増加を可能にし、それによってプランジャー89を移動させて平衡位置へ戻すことができる。一方で、例えば、患者の圧力の減少のために、P1とP2との間の差異が増加すると、プランジャー89およびカニューレ97は、図8Cに示されるように、平衡位置から右方向、すなわち、駆動空洞92を圧縮する方向に、強制移動させられる場合がある。カニューレ97のこのような変位は、追加の吸入穿孔105が、隔膜93によって妨害され、したがって、吸入空洞81から流出空洞91への注入流体40の流速を減少させる場合がある。流出空洞91への減少した流速は、P1を減少させ、それによってプランジャー89を移動させて、平衡位置へ戻すことができる。この様態において、本開示の機械的可変流動抵抗器80は、流出空洞91内の圧力と患者の圧力との間の実質的に一定の差異を維持することができる。
【0075】
本開示の機械的可変流動抵抗器の別の実施形態は、図11A〜11Cに示される。一実施形態において、11Aに示されるように、機械的可変流動抵抗器1100は、注入流体40の流体チャンバー26から吸入空洞1101への移送を可能にするために、流体チャンバー26と流動接続する吸入チャンバー1101を含むことができる。注入流体40は、吸入空洞1101内で、主プランジャー24によって注入流体40に及ぼされる圧力に対応する圧力まで、注入流体40の移送のためにより少ない圧力低下で、加圧されてもよい。
【0076】
機械的可変流動抵抗器1100は、ハウジング1103をさらに含むことができる。ハウジング1103は、ハウジング1103の上壁1106内の吸入開口部1105を通じて、吸入空洞1101およびハウジング1103の底壁1110内の排出開口部1111を通じて管1109と、流動連通にあってもよい。プランジャー1107は、ハウジング1103内に可動に配置することができる。ハウジング1103はまた、位置エネルギーを蓄積および放出する能力のある、機構1104を含むことができ、このようなバネまたは圧縮ガスは、ハウジング1103内でプランジャー1107を変位させるためである。機構1104は、ハウジング1103内の駆動空洞1108内に配置することができる。
【0077】
一実施形態において、プランジャー1107は、第1の側面1112、およびブリッジ1115によって第1の側面1112に接続される第2の側面1113を有するH型をしていてもよい。プランジャー1107は、第1の側面1112と第2の側面1113との間の流出空洞1117を画定することができる。ブリッジ1115は、流出空洞1117を、第1の空隙1119および第2の空隙1121に分割することができる。第1の空隙1119は、吸入開口部1105を通じて吸入空洞1101との流動連通にあってもよく、第2の空隙1121は、排出開口部1112を通じて管1109との流動連通にあってもよい。第1の空隙1117および第2の空隙1121は、ブリッジ1115を通じてチャネル1123によって接続することができる。
【0078】
上述のように、注入流体40に作用する圧力は、吸入空洞1103から第1の空隙1117に注入流体を、流動させことができる。注入流体40は、次いで、チャネル1123を介して第2の空隙1119内へ、第2の空隙1123から出て管1109内へ流動することができる。一実施形態において、注入流体40は、次いで、第1の管1125を通じて、バルブ1127を通じて、第2の管1129を通じて、t−コネクタ1131へ流動することができる。注入流体40は、t−コネクタ1131から、第3の管1133を通じて統合管36内へ流動することができる。上述のバルブ117と同様に、バルブ1127は、注入流体40が、一定の、所定開口部を通じて分注されることを可能にすることができる。一実施形態において、注入流体40は、バルブ1127の一定の開口部を通じて患者に分注されるため、注入期間にバルブ1127の下流圧力P1と、バルブ1127の上流圧力P2との間に実質的に一定の差異を維持することにより、注入流体40が、注入期間に実質的に一定の流速で注入されることを可能にする。
【0079】
所望の圧力差異P1−P2を維持することができる場合、プランジャー1107は、平衡位置に静止して保つことができる。平衡位置は、一実施形態において、第1の側面1111が、吸入開口部1105の一部分を中で妨害する、プランジャー1107の位置を参照する。例えば、主プランジャー25に作用する力の減少のために、圧力差異が減少する場合、プランジャー1107は、平衡位置から左方向、すなわち、駆動空洞1108を膨張させる方向に、強制移動させられる場合がある。プランジャー1107のこのような変位は、吸入開口部1105の妨害部分を減少させることができ、それによって、図11Bに示されるように、吸入空洞1101から流出空洞1117内への注入流体40の流速を増加させる。流出空洞1171内への増加した流速は、P1の増加を可能にし、プランジャー1107を移動させて、平衡位置に戻すことができる。一方で、P1とP2との間の差異が、例えば、患者の圧力の減少によって増加する場合、プランジャーは、右方向、すなわち、駆動空洞1108を圧縮する方向に強制移動させられる場合がある。プランジャー1107のこのような変位は、図11Cに示されるように、吸入開口部1105の妨害部分を増加させることができ、それによって、吸入空洞1101から流出空洞1117への注入流体40の流速を減少させる。流出空洞1117内への減少した流速は、P1を減少させることができ、プランジャー1107が平衡位置へ戻ることを可能にする。この様態において、本開示の機械的可変流動抵抗器1100は、流出空洞1117内の圧力と患者の圧力との間に実質的に一定の差異を維持することができる。
【0080】
図12Aに示される実施形態において、本発明の注入装置は、集積型不揮発性メモリチップ44、ならびに容器11に付属し、そのメモリチップ44と通信する、非使い捨てまたは多目的使い捨ての電子制御モジュール45を用いて、プログラム可能であってもよい。一実施形態において、メモリチップ44は、SmartCardリード等の電子リード/コネクタ46を通じて、または標準的なUSB型コネクタを通じて、様々な装置と通信する能力があってもよい。メモリチップ44は、上述のリード/コネクタ46を介して、デスクトップ/ノート型コンピュータまたは携帯端末によってプログラム可能である。メモリチップ44内のデータは、適切な整合リード/コネクタを有する様々な装置によって読み取り可能である。
【0081】
図12Bに概略的に示されるように、一実施形態において、電子制御モジュール45は、統合管36の特定の区分48と相互作用し、容器から物質の流出を制御する、ピンチバルブ等の、(完全に開放、または完全に閉鎖、デフォルトは閉鎖の)バイナリ流動バルブ47と、バイナリ流動バルブ47の操作、ならびに使い捨て容器の不揮発性メモリユニットから患者および注入のデータを読み取るためのマイクロプロセッサ回路49とを含むことができる。電子制御モジュール45はまた、注入を制御するためのボタン50(例えば、「実行」、「停止」、「上」、「下」等)、注入の状態を操作者に知らせるための単純な可視指示器51または音声指示器(例えば、LED、警告音)および/または単純な電子表示52(例えば、LED、LCD)、ならびに流動、空気、周辺温度、大気圧等を検出するための単純な検知器を含むことができる。
【0082】
一実施形態において、電子制御モジュール45は、患者を肯定的に識別するためのシステムを含む。このような患者識別システムは、図12Cに示されるように、フラッシュメモリ電子キー44等の有線技術を使用し、それによって、患者に取り付けられる固有のこのような電子キー44(例えば、ネックストラップ、リストストラップ)を、キー44から患者の情報を読み取る電子制御モジュール45上のコネクタ内に挿入することができる。あるいは、患者識別システムは、図12Dに示されるように、無線周波数識別(RFID)技術等の無線技術を使用し、それによって、電子制御モジュール内のRFID読み取り機/受信機45が、患者の識別タグ(例えば、リストバンド)に組み込まれる固有の受動的RFID送信機46、注入カテーテルまたは移植注入ポート上のコネクタから、信号を受信する。組み込み型RFID送信機および長期注入カテーテルまたは移植ポートを有することは、それが、患者が注入治療を要する期間中、容赦なく、物理的に患者に連結しているため、特に魅力的な場合がある。一実施形態において、長期用カテーテルまたは移植注入ポートは、注入アルゴリズムに組み込むために、カテーテル/ポート特性および患者の静脈圧等の追加のデータを、患者識別と共に電子制御モジュール45に伝送することができる、圧力センサーを含んでもよい。
【0083】
速度調整可能のプログラム可能注入装置の流速は、「デジタル注入」アルゴリズムを使用して、制御することができ、それによって固定マイクロボーラス量の物質が、所望の流速を達成するために、既定の頻度で注入される。各マイクロボーラス量は、物質を容器の最大流速で注入することができる、固定期間の間、バイナリバルブ機構を開放することによって送達することができる。マイクロボーラス量vは、
【数12】
である。
【0084】
式中、Qmaxは、容器の最大流速であり、tはマイクロボーラスの期間である。所望の流速Qを達成するために、マイクロボーラスは、頻度fで投与される。
【数13】
【0085】
この頻度を達成するために、バイナリ流動バルブ47は、以下のtopenおよびtclosedに対する開放と閉鎖との間で変化することになる。
【数14】
【数15】
【0086】
別の実施形態において、本開示の装置(示されない)は、従来の注入システム47(IVバッグを吊るした、電動または使い捨ての注入ポンプ)と共に使用して、本発明の注入装置の患者安全機能のうちのいくつかを提供するように設計された、独立型電子制御モジュール45を含むことができる。この実施形態において、独立型電子制御モジュール45の主要目的は、患者を識別し、整合が確認されたかどうかに応じて、従来の注入システムからの流動を許可または阻止することである。本装置は、プログラム可能であってもよいが、注入の流速は従来の注入システム47によって決定されるため、速度調整可能ではない。本装置は、電子制御モジュール45のバイナリ流動バルブ47と相互作用するように設計される接合区分49を含む、完全な装置における統合管36に類似の、配置可能な長さの専用管48を提供されてもよい。管は、従来の注入システム47から出る従来の静脈内管51に取り付けるための様々な近位コネクタ50(例えば、ルアーロック、スパイク)、ならびに患者の注入カテーテルまたはポートに取り付けるための遠位コネクタ52(例えば、ルアーロック、針、無針ハブ)を提供されてもよい。電子制御モジュール45のバイナリ流動バルブ47は、初期状態において閉鎖であり、従来の注入システム47からの流動を閉塞していてもよい。電子制御モジュール45は、接続される患者に取り付けられる電子キー44等の有線患者識別システム、または患者に取り付けられる固有の受動的RFID送信機46から信号を受信するRFID読み取り機/受信機45等の無線患者識別システムを含むことができる。患者識別システムは、患者が、注入の対象の人物であるかどうかを判定することができる。整合が起こる場合、電子制御モジュール45のバイナリ流動バルブ47が開放し、従来の注入システム47がそれ自体の設定に従って進行することを可能にする。整合がない場合は、バイナリ流動バルブ47は、その初期閉鎖位置に留まり、注入は進行することができない。患者識別機能を、単純、小型、単一目的または多目的の使い捨て独立型電子制御モジュールに提供することによって、本開示の装置は、既存の従来の注入装置の安全性を改善することができる。
【0087】
別の実施形態において、図13に示されるように、本開示の注入装置は、複数の、同時の、独立した、調整可能な注入を処理する能力があってもよい。このような注入装置は、上述の容器11のうちの1つ以上を中にドッキングすることができる、複数のスロット54を有するドッキングトレイ53を含むことができる。ドッキングトレイは、それぞれがマルチルーメン統合管56のうちの1つのルーメンと連通する、複数の(例えば、2〜5個)の別個の流出路55を有してもよい。一実施形態において、ドッキングトレイ53は、担体流体(例えば、食塩水、デキストロース)を、全流出路55内へ、低い一定流速で注入する、1つの専用注入容器を有することができる。
【0088】
複数注入のドッキングトレイ電子制御モジュール57は、前述のものに類似し、それぞれがそれ自体のバイナリ流動バルブ、制御回路、メモリチップ読み取り機、スイッチ、指示器、表示部等を有する、連結した一連の個別容器電子制御モジュール45を含むことができる。中央電子制御モジュール57は、共通の有線または無線患者識別システム、個別容器モジュールと通信する回路、それ自体のバイナリ流動バルブ(担体流体を制御するため)、スイッチ、指示器、表示部等を含むことができる。中央モジュールは、患者識別システムが整合を確認するかどうかに基づいて、個別容器注入を進行することができるかどうかを決定することができる。
【0089】
各容器11からの流体は、既知の薬物適合性データに基づいて、流出路55のうちの1つに配向することができる。装置は、これを手動または自動で達成することができる。一実施形態において、ドッキングトレイ内の各スロットは、操作者が容器11から適切な流出路55へ流体を配向することを可能にするための、手動スイッチを有してもよい。別の実施形態において、このプロセスは、自動で処理することができる。各容器に対する電子制御モジュール45は、各流出路55に対して1つのバイナリ流動バルブを有してもよい。一実施形態において、中央電子制御モジュール57は、各容器の電子制御モジュール45に、どのバイナリ流動バルブを開放するかを伝え、適合性のある薬物を同一の流出路55内に送ることができる。
【0090】
一実施形態において、本開示の注入装置を準備および使用して、患者に薬物および/または流体を送達するための方法が、提供される。一実施形態において、本発明の、固定速度の非プログラム式の装置は、製造業者または商業薬局によって準備することができる。適切な寸法および形状の容器11を、選択することができる。一般的に、容器11の底壁15は、様々な中間構成要素を組み立てることができるように、取り外し可能であってもよい。
【0091】
既定の注入タイプについては、限定範囲の容器寸法が、一般的に提供される。例えば、静脈内注入装置については、ポートフォリオは、一般的に利用可能な静脈内流体バッグに類似の流体チャンバー26体積(例えば、50ml、100ml、250ml、500ml、1000ml)を有する、一連の容器を含むことができる。既定寸法の容器11について、最大流速の範囲は、異なる臨床計画の需要に応じるように提供可能である。例えば、外傷蘇生中に数分間にわたる急速注入のために設計される、1000mlの流体を有する容器11は、毎分500mlの最大流速を提供することができるが、数日間にわたる、維持流体注入のために設計される別のものは、毎分0.3mlの最大流速を提供してもよい。
【0092】
一実施形態において、既定設計(寸法、形状、ガス圧縮率)の容器11に対する最大流速は、流出隔膜17内に含まれる可変流動抵抗器28の特徴(形状、透過性)によって、先ず決定することができる。製造および組み立てを単純化するために、一実施形態において、流出隔膜17は、別個に作製されて、容器11内のスロット型、ガスケット型チャネル内に挿入されてもよい。そのようにして、既定寸法の容器11は、所望の最大流速を達成するように設計される既定の可変流動抵抗器28を有する特定の流出隔膜17に結合することができる。上述の実施例を使用して、単一の1000ml容器11は、2つの異なる流出隔膜17と共に提供することができる。第1の流出隔膜17は、この容器11と共に使用される際、外傷蘇生適用に高流速を提供することができる、高い透過性の可変流動抵抗器28を含むことができる。第2の流出隔膜17は、同一の容器11と共に使用される際に、維持流体適用に低い速度を提供することができる、より低い透過性の可変流動抵抗器28を含むことができる。
【0093】
一実施形態において、完全に充電された空の注入装置は、図5Aに示されるように組み立てることができる。適切な容器11、流出隔膜17、ガス容器29、およびプランジャーシステム23が選択可能である。流出隔膜17は、容器のそのスロット型、ガスケット型チャネル内に挿入することができる。ガス容器29は、主チャンバー12内に、続いてプランジャーシステム23に挿入可能である。プランジャー延在部25は、内部流出チャネル19内に挿入することができる。図4aに示されるように、ガス容器29は、主プランジャー24に結合されて、単体として提供することができる。組み立てを完成させるために、底壁15をさらに取り付けることができる。
【0094】
ガス容器29は、いくつかの手段のうちの1つによって、ガス28で充填することができる。一実施形態において、ガス容器29は、ガス28の最終量(上に示されるように、質量mg)で事前充填され、密封されて提供することができる。大気圧において、充填済みガス容器29は、容器11の主チャンバー12よりも有意に大きな体積を有してもよい。それが主チャンバー12内に挿入される際に、圧縮力を、ガス容器29および取り付けられたプランジャーシステム23に適用することができる。力の適用は、底壁15が容器に固定されるまで、継続してもよい。
【0095】
別の実施形態において、ガス容器29は、圧縮なしにプランジャーシステム23と共に主チャンバー12内へ挿入できるように、空または部分的に充填されて提供されてもよい。底壁15が取り付けられた後、ガス容器は、吸入ポート33を通じて残りの量のガス28で充填することができる。
【0096】
次に、空であるがチャージされている容器11を有する注入装置は、実質的に全ての空気を容器および管から除去しながら、適切な担体流体(例えば、食塩水、デキストロース溶液)で充填することができる。これは、流体チャンバー26と連通する吸入ポート33を通じて行うことができる。流体はもちろん、プランジャー22を圧力チャンバー27内へ駆動させ、ガス容器29内のガス28を最終圧力P0まで圧縮するために、圧力下で注入されてもよい。薬物が注入される場合、商業薬局または院内薬局の薬局職員は、充填済みかつチャージ済みの容器を取り、濃縮薬物の少量アリコートを容器内に注入し、容器内の薬物の最終濃度が医師の指示と一致するようにする。関連する患者、薬物および注入のデータを有する、人的ならびに任意的に機械可読(例えば、バーコード)形式のラベルが、取り外せないように添付されるか、容器の外側に直接印刷されてもよい。
【0097】
装置は、薬局から、院内、院外施設、または自宅にいる可能性のある患者に送達することができる。患者自身を含む、看護士または他の適切に訓練された人物は、装置を受け取り、それが、その患者に対する正しい注入であることを確認することができる。これは、容器ラベル上の情報を、整合患者識別タグ(例えば、バッジ、リストバンド)上のものと視覚的に比較することによって行うことができる。あるいは、容器ラベル上の機械可読(例えば、バーコード)データおよび患者識別タグを、携帯型読み取り機(例えば、バーコード読み取り機)によって比較することができる。適切な整合が確認されると、操作者は、単純に、統合管36上の端子コネクタ37を、注入カテーテルまたは既に患者内にある移植注入ポートに取り付けられた、提供済みの整合コネクタに接続することができる。装置内の薬物/流体が、既に加圧されている実施形態において、注入は、接続がなされるとすぐに開始することができ、容器が空になるか、またはコネクタが係脱されるまで、一定の流速で継続する。
【0098】
別の実施形態において、本開示の調整可能速度のプログラム可能装置を使用して、薬物および/または流体を患者に送達するための方法が提供される。一実施形態において、容器11上の不揮発性メモリチップおよび別個の電子制御モジュール45が提供されてもよい。装置は、上述のものと同一の様式で、製造業者、商業薬局、または中央院内薬局によって、組み立て、加圧し、担体流体で充填し、脱気することができる。指示される場合、濃縮薬物の適切な量が、上述のように、医師の指示に従って、薬局職員によって添加されてもよい。関連する患者、薬物および注入のデータを有するラベルが、上述のように、容器上に置かれてもよい。
【0099】
容器の不揮発性メモリチップ44は、その電子リード/コネクタ46を通じて薬局のコンピュータに接続することができる。コンピュータは、総合的な薬物/流体データベース、完全な注入データ(速度範囲、量、時間等)、ならびに全ての関連する患者の情報(固有の患者識別、病歴、現在の腎臓/肝臓機能、既知の薬物副作用、および現在の投薬を含むがこれらに限定されない)を含むことができる。コンピュータが、特定の様式での特定の薬物/流体の注入が、特定の患者に対して安全であることを確認すると、コンピュータは、容器11の不揮発性メモリユニット35内に、適切な患者および注入のデータを記憶することができる。
【0100】
次に、適切な電子制御モジュール45を選択して、バイナリ流動バルブ47が容器の統合管36の専用区分48と接触した状態で、容器11に取り付けることができる。電子制御モジュール45はまた、不揮発性メモリチップ44と、そのリード/コネクタ46を通じて電気的に接触していてもよい。
【0101】
充填済み、チャージ済み、脱気済み、ラベル付け済み、プログラム済みの、完成した注入装置は、次いで、また院内、院外施設、または自宅にいる可能性のある患者に、薬局から送達することができる。看護士または他の適切に訓練された人物は、管上の端子コネクタを、注入カテーテルまたは既に患者内にある移植注入ポートに適用される、提供済みの整合コネクタに接続することができる。注入装置と患者との間の整合は、上述のように、まずは操作者によって、容器ラベルと患者の識別タグを視覚的に比較することによって、手動で確認することができる。同時に、電子制御モジュール45が、その患者識別システムを使用して、自動で整合を確認してもよい。電子制御モジュール45が、有線システムを使用する場合、患者の固有電子キー44は、電子制御モジュール45内に挿入されてもよく、マイクロプロセッサ回路49が、キーから患者の情報を読み取る。電子制御モジュール45が、無線システムを使用する場合、患者の識別タグまたは注入カテーテル/ポートにデジタル的に組み込まれた受動的なRFID送信機46は、患者の識別情報を、電子制御モジュール45内のRFID読み取り機/受信機45に送信することができる。
【0102】
操作者は、次に、容器11の統合管36上の端子コネクタ37を、注入カテーテルまたは既に患者内にある移植注入ポートに取り付けられた提供済みの整合コネクタに接続することができる。操作者は、次いで、電子制御モジュール45上の「実行」ボタンを押すことができる。モジュールが、その患者識別システムを通じて、整合を確認すると、モジュール45は、バイナリ流動バルブ47を開放し、注入がプログラムされた速度で進行することを可能にすることができる。モジュール45が、整合を確認しない場合は、バルブは閉鎖したままであり、注入は開始を許可されず、操作者は、LED型指示器の照明、音声エラー信号の生成、またはLED/LCD表示部52上にエラーメッセージを表示することによって、エラー通知を受ける。
【0103】
注入装置が。薬局によって速度調整可能にプログラムされる場合、操作者は、電子制御モジュール45上の「上」または「下」を押すことによって、プログラムされた範囲内で、注入速度を増加または減少させることができる。電子制御モジュール45は、マイクロボーラス量注入の頻度を増加または減少させることによって、デジタル化注入アルゴリズムを使用して、流速を変更することができる。前述のように、各マイクロボーラスの量は、バイナリ流動バルブ47を一定期間開放することによって、送達されてもよい。流速が操作者によって調整されている場合、電子制御モジュール45は、LED/LCD表示部52上に、現在の流速を示すことができる。一実施形態において、流速が既にプログラム済みの最高(最低)流速である場合、「上」(「下」)ボタンは、効力を有しない。LED指示器またはLED/LCD表示部52は、最高もしくは最低流速に達したことを操作者に通知することができる。装置は、ソフトオーバーライドボタンを含み、操作者が、より広い2次的なプログラム範囲で流速を増加および減少させることを可能にすることができる。一実施形態において、モジュール37は、しかしながら、薬物/流体の安全性プロファイルに基づいて、操作者が、ある所定のプログラム範囲を超える値に速度を変更することを阻止することができる。注入は、容器が空になるか、コネクタが係脱されるか、または操作者が「停止」ボタンを押すまで、指定の流速で継続することができる。
【0104】
別の実施形態において、本開示の独立型電子制御モジュール45を有する従来の注入システム47を使用して、患者に薬物および/または流体を送達するための方法を提供する。従来の注入システム47は、医師の指示に従って、薬局および看護職員によって準備することができる。例えば、単純な重力駆動注入の場合において、適切な量の処方薬は、所望の濃度を達成するために、既定量の適切な担体流体と共に、IVバッグ内に投入することができる。職員は、上述のように、薬局のコンピュータに接続され、適切な患者および注入のデータを用いてプログラムすることができる、適切な独立型電子制御モジュール45を選択することができる。職員は、次に、正しい近位コネクタ50(この場合においては、IVバッグのスパイク)および遠位コネクタ52と共に、適切な配置可能な長さの専用管48を選択することができる。専用管48は、IVバッグに接続可能であり、少量の流体が、それを脱気するために、そこを通じて流動することができる。プログラムされた独立型電子制御モジュール45は、次に、管にラッチし、そうして専用管48の接合区分49が、バイナリ流動バルブ47内に位置することができる。
【0105】
次に、組み立て済み注入装置を、患者に送達することができる。操作者は、遠位コネクタ52を患者の注入カテーテルまたはポート上の整合コネクタに接続し、従来の注入システムを、この例においては、単純にIV袋をポールに吊るすことによって、開始することができる。有線の患者識別システムが使用される場合、患者の固有電子キー44が、電子制御モジュール45内に挿入されてもよく、そのマイクロプロセッサ回路49は、患者の情報をキーから読み取ることができる。電子制御モジュール45が、無線システムを使用する場合は、患者の識別タグまたは注入カテーテル/ポートにデジタル的に組み込まれる受動的RFID送信機46が、電子制御モジュール45内のRFID読み取り機/受信機45に患者の識別情報を送信することができる。準備が整うと、操作者は、電子制御モジュール45上の「実行」ボタンを押すことができる。電子制御モジュール45が整合を確認すると、それは、バイナリ流動バルブ47を開放し、注入が従来の注入システム47によって(この例においては、重力によって)決定される速度で進行することを可能にする。それが整合を確認しない場合、バイナリ流動バルブ47は、閉鎖に留まることができ、注入は、開始を許可されず、操作者は、LED型指示器の照明、音声エラー音の生成、またはエラーメッセージの表示およびLED/LCD表示部52によって、エラーを通知される。
【0106】
別の実施形態において、複数注入ドッキングトレイおよび個別の薬物/流体を含有する複数の個別容器を使用して、複数の薬物/流体を同時に患者に注入する方法を提供する。それ専用の担体流体容器を有するドッキングトレイ53は、容器、複数の流出路55、およびマルチルーメン統合管56から実質的に全ての空気を除去しながら、適切な担体流体(例えば、食塩水、デキストロース溶液)で満たされた容器を装填することによって、製造業者、商業薬局、または院内薬局によって準備することができる。薬局職員は、次に、注入される各開始薬物に対する別個の充填済み、脱気済み、チャージ済みの容器11と共に、適切な充填済み、脱気済み、チャージ済みのドッキングトレイ53を選択することができる。各濃縮薬物の少量のアリコートを、そのそれぞれの容器内に投入し、各薬物の最終濃度が医師の指示通りになるようにすることができる。
【0107】
ドッキングトレイおよび各容器は、次に、総合的な薬物/流体データベース、各薬物の注入データ、および全ての関連する患者情報を有する、薬局のコンピュータに接続することができる。コンピュータが、特定の様式での各薬物/流体の注入が、特定の患者に対して安全であることを確認すると、コンピュータは、適切な患者および注入のデータを、ドッキングトレイ53および各容器11の不揮発性メモリユニットに記憶することができる。適切な複数注入ドッキングトレイ電子制御モジュール57が選択され、複数注入装置は、次に、それを準備済みおよびプログラム済みのドッキングトレイに接続することによって、完成することができる。人的、および任意的には機械可読(例えば、バーコード)型の、関連する患者、薬物および注入のデータを有するラベルは、ドッキングトレイおよび各容器11の外側上に添付されるか、または印刷することができる。
【0108】
その付属電子制御モジュール57を有する準備済みのドッキングトレイ53および個々の準備済み容器11は、次に、患者のベッドサイドまで送達することができる。ベッドサイドの操作者は、まず、マルチルーメン統合管56を、ドッキングトレイから、既に患者内にある注入カテーテル上のそれぞれのポートへ接続することができる。有線の患者識別が使用される場合、操作者は、固有の患者電子キー44をドッキングトレイ電子制御モジュール57上の適切なコネクタ内に挿入することができる。操作者は、ドッキングトレイ電子制御モジュール57上の「実行」スイッチを押すことができ、有線または無線システムを使用して、肯定的な患者識別が確認されると、その固定速度でのドッキングトレイ担体流体の注入が開始される。操作者は、次に、各容器11をドッキングトレイの適切なスロット54にドッキングすることができる。電子制御モジュール57は、容器11を検出し、容器のメモリユニット35から、患者および注入のデータを読み取ることができる。電子制御モジュール57は、容器の不揮発性メモリユニット35上の患者の情報を、ドッキングトレイのメモリユニットのものと比較して、肯定的な患者識別を確認することができる。操作者は、ドッキングトレイ電子制御モジュール上のそのスロット54の「実行」ボタンを押し、そのスロットのバイナリ流動バルブ47を開放し、その注入の開始を可能にすることができる。
【0109】
一実施形態において、操作者は、容器を挿入する各スロットが、ドッキングトレイ53内の1つの特定の流出路55と連通する選択肢を提供されてもよい。操作者は、適合性のある薬物のみが、同一の流出路を共有することを確実にするように、スロットを選択することができる。別の実施形態において、制御モジュール57は、各注入を特定の流出路55内に送る能力があってもよく、記憶された薬物適合性データに基づいて、それを行う。
【0110】
既定の容器からの注入が、調整可能な場合、操作者は、ドッキングトレイ上のスロット54と対応する制御モジュール57上の「上」および「下」ボタンを押すことによって、指示/プログラムされた範囲内で、流速を調整することが可能であってもよい。
【0111】
容器11が空の場合、容器11は除去することができ、その薬物の注入が、継続される場合は、容器11は、新しい、充填済み、チャージ済み、脱気済み、およびプログラム済み容器11に置き換えることができる。新しい薬物が処方される場合、その薬物に対する個別の容器11が、薬局で準備およびプログラムされ、患者のベッドサイドに送達されてもよい。操作者は、単純に、ドッキングトレイ53上の空のスロットに容器を挿入し、「実行」を押すことができる。ドッキングトレイ電子制御モジュール57は、新しい容器11の不揮発性メモリユニット35上の患者情報を読み込み、以前に有線または無線の患者識別システムを通じて患者と整合されている、ドッキングトレイの不揮発性メモリユニット35のものと比較することができる。肯定的な識別が確認されたと仮定して、新しい注入が、操作者によってか、または制御モジュールによって自動で決定される、適切な流出路55内で開始してもよい。システムは、特定の緊急用薬物(例えば、昇圧薬)を含有する、完全に充填済み、チャージ済みで、使用の準備が整っているが、特定の患者情報を有しない容器を、コードカートまたはユニットの投薬室において利用可能にすることができる。ドッキングトレイの制御モジュールは、これらの薬物を含有する容器が、明確な状況下(例えば、操作者オーバーライド)において、限定期間の間、患者情報を要求することなしに、進行することを可能にすることができる。
【0112】
別の態様において、機械的可変流動抵抗器を最適化するための方法が、提供される。上述のように、プランジャーに作用する全ての力に対する力の均衡の方程式は、正数が右側に作用するものとして定義され、次の方程式(1)
【数16】
にあるように提示することができ、式中、Rはプランジャーの半径であり、P1およびP2は、プランジャーの各側面上の圧力である。方程式(1)によると、このシステムを駆動する圧力の減少により、プランジャーは、単調に左側に移動する場合がある。
【0113】
さらに、Fspringは、フックの法則(Hooke’s law)から決定することができ、次のように方程式(2)
【数17】
に提示され、式中、Dは、バネが事前圧縮されている量であり、xは、プランジャーが吸入圧力を補うために移動しなければならない量である。摩擦力は、方程式(3)から次のように見出すことができ、
【数18】
、式中P0は、最大駆動圧力、ならびにプランジャーと壁との間のコンプライアンス圧力の両方であり、Lは、ハウジングの壁部と相互作用するプランジャーの合計長さである。したがって、方程式(1)は、方程式(4)
【数19】
に提示されるように、再編成することができる。方程式(4)によってシステムを駆動する圧力差異ΔPは、方程式(5)で、以下のように提示される。
【数20】
【0114】
事前圧縮のバネの量が、D>>xであり、spring項が、friction項よりも大きくなるようなものであると仮定して、方程式(5)は、方程式(6)
【数21】
に提示されるとおりの定数として、開口部上に圧力差異を有するように、単純化することができ、方程式(6)は、ここで、システムの性能を試算するために使用することができる。次に、friction項が、spring項よりも小さいという仮定により、方程式(7)
【数22】
が得られる。再編成および数学の数個のステップにより、方程式(7)は、
【数23】
に単純化することができる。方程式(8)を使用して、システムの設計を最適化することができる。例えば、小さい半径プランジャー(R)、小さいコンプライアンス圧力(P0)、小さいプランジャー相互作用距離(L)、ならびに大きなバネ定数(k)および大きな圧縮距離(D)を有するバネを有することが望ましい場合があることが、方程式(8)からわかる。
【0115】
本発明は、その特定の実施形態のみに関連して記載されてきたが、さらなる修正が可能であることを理解されたい。例えば、チャンバー26内の流体およびチャンバー27内のガスは、それぞれ、各チャンバー内に位置付けられるように設計される、カートリッジ内に蓄積されてもよい。このようにして、流体カートリッジまたはガスカートリッジのうちのいずれかが、実質的に空になると、空のカートリッジは、除去および処分することができ、流体または気体で充填された新しいカートリッジを、それぞれのチャンバー内で置き換えることができる。さらに、本出願は、本発明が属する当該技術分野における既知または慣習的な実践の範囲内にあるような本開示からの展開等を含む、本発明のいずれの変形、使用、または適応にも及ぶように意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置であって、
容器内に位置付けられるプランジャーであって、ある量の流体を中で前記プランジャーの下流表面と前記容器との間に収容できるチャンバーを画定する、プランジャーと、
前記チャンバー内の前記流体を、前記プランジャーがその上に作用する力によって変位する際に、通って分注することができる、流出路と、
前記流出路内に位置付けられ、かつ前記チャンバーからの流体流動抵抗を変化させ、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記容器からの流体流速を実質的に一定に維持するように構成される、可変流動抵抗器と、を備える、注入装置。
【請求項2】
前記プランジャーに作用する前記力が、放出された蓄積位置エネルギーである、請求項1に記載の注入装置。
【請求項3】
前記可変流動抵抗器が、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記流体流動抵抗を低下させるように作用する、請求項1に記載の注入装置。
【請求項4】
前記可変流動抵抗器が、互いに対して移動し合うように設計される、固形部材と透過性部材とを含み、それによって、前記プランジャーに作用する力が減少する際に、前記流出路内の流体が通って流れることができる前記透過性部材上の領域を増大させる、請求項1に記載の注入装置。
【請求項5】
前記固形部材は、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記プランジャーの前記変位が前記固形部材を透過性部材に対して移動させて、前記流出路内の流体が通って流れることができる前記前記透過性部材上の領域を増大させるように作用するように、前記プランジャーに取り付けられる、請求項4に記載の注入装置。
【請求項6】
前記容器からの前記流体の前記流速を事前設定するために、電子制御モジュールをさらに備える、請求項1に記載の注入装置。
【請求項7】
患者についての情報に基づいて、前記容器からの事前設定された流速の前記流体を分注するように構成される、電子制御モジュールをさらに備える、請求項1に記載の注入装置。
【請求項8】
請求項1に記載の一連の注入装置を備える注入システムであって、前記各装置が、電子制御モジュールによって制御され、マルチルーメン管のルーメンと流体連通する、注入システム。
【請求項9】
流体を送達するための方法であって、
チャンバー内に、プランジャーの下流表面と前記プランジャーが中に位置付けられる容器との間に画定される、送達されるある量の流体を提供することと、
前記容器内で前記プランジャーを変位させるように、前記プランジャーに力を作用させ、それによって前記流体が前記チャンバーから分注されるようにすることと、
前記プランジャーへの前記力が減少する際に、実質的に一定の分注速度を維持するように、前記流体が前記チャンバーから分注されている通路内の流動抵抗を変化させることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記力を作用させるステップにおいて、前記プランジャーに作用する前記力は、放出された蓄積位置エネルギーである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
変化させるステップにおいて、前記可変流動抵抗器が、前記プランジャーへの前記力が減少する際に、前記流体流動に対する抵抗を低下させるように作用する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記変化させるステップが、互いに対して移動し合うように設計される、固形部材および透過性部材を備える可変流動抵抗器を提供することを含み、それによって前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記流出路内の流体が通って流れることができる、前記透過性部材上の領域を増大させる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
注入装置であって、
容器内に位置付けられるプランジャーであって、ある量の流体を中で前記プランジャーの下流表面と前記容器との間に収容できるチャンバーを画定する、プランジャーと、
前記チャンバー内の前記流体を、その上に作用する力によって前記プランジャーが変位する際に、通って分注することができる、流出路と、
前記流出路の下流に位置付けられ、かつ前記チャンバーから前記流体を受容するように構成される可変流動抵抗器であって、前記抵抗器が、その中に実質的に一定の圧力を維持するように構成され、それによって、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、このような圧力が、実質的に一定の速度で前記抵抗器から前記流体を送達するように作用することができる、可変流動抵抗器と、を備える、注入装置。
【請求項14】
前記可変流動抵抗器が、前記流体が通って前記可変流動抵抗器から分注され得る、所定の開口部を有するバルブと流体連通する、請求項13に記載の注入装置。
【請求項15】
患者についての情報に基づいて、前記容器から事前設定された流速の前記流体を分注するように構成される、電子制御モジュールをさらに備える、請求項13に記載の注入装置。
【請求項16】
流体を送達するための方法であって、
チャンバー内に、プランジャーの下流表面と前記プランジャーが中に位置付けられる容器とによって画定される、分注されるある量の流体を提供することと、
前記容器内で前記プランジャーを変位させるように、前記プランジャーに力を作用させ、それによって前記流体が前記チャンバーから分注されるようにすることと、
実質的に一定の圧力を維持するように設計される環境において、前記環境から前記流体を分注するように作用する、前記チャンバーから分注される前記流体を受容することと、
前記開口部の上流および下流の圧力に実質的に一定の差異を維持しながら、前記環境から前記流体を分注し、それによって前記プランジャーへの前記力が減少する際に、患者に一定流速の流体を提供することと、を含む、方法。
【請求項17】
圧力調節器であって、
吸入空洞と、
前記吸入空洞と連通するハウジングと、
前記ハウジング内に可動に配置されるプランジャーと、
前記プランジャーの表面と前記ハウジングとの間で画定される、流出空洞と、
前記吸入空洞と前記流出空洞との間の流体連通のためのチャネルであって、それによって、前記プランジャーの各側面に作用する力の平衡を維持する、チャネルと、
前記流体が、前記流出空洞から通って分注され得る排出口と、を備える、圧力調節器。
【請求項18】
前記吸入空洞と前記排出空洞との間の流体の前記流動を修正して、前記プランジャーの各側面に作用する力の平衡を維持するための、フィードバックループをさらに備える、請求項17に記載の圧力調節器。
【請求項19】
前記プランジャーを平衡位置に実質的に定常して維持するように、前記プランジャーに力を及ぼすように作用する機構をさらに備える、請求項17に記載の圧力調節器。
【請求項20】
前記チャネルが、前記吸入空洞と連通する1組の穿孔と、前記流出空洞と連通する第2の組の穿孔とを有するカニューレを含み、前記吸入空洞から前記流出空洞内へ前記流体が流れることを可能にする、請求項17に記載の圧力調節器。
【請求項1】
注入装置であって、
容器内に位置付けられるプランジャーであって、ある量の流体を中で前記プランジャーの下流表面と前記容器との間に収容できるチャンバーを画定する、プランジャーと、
前記チャンバー内の前記流体を、前記プランジャーがその上に作用する力によって変位する際に、通って分注することができる、流出路と、
前記流出路内に位置付けられ、かつ前記チャンバーからの流体流動抵抗を変化させ、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記容器からの流体流速を実質的に一定に維持するように構成される、可変流動抵抗器と、を備える、注入装置。
【請求項2】
前記プランジャーに作用する前記力が、放出された蓄積位置エネルギーである、請求項1に記載の注入装置。
【請求項3】
前記可変流動抵抗器が、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記流体流動抵抗を低下させるように作用する、請求項1に記載の注入装置。
【請求項4】
前記可変流動抵抗器が、互いに対して移動し合うように設計される、固形部材と透過性部材とを含み、それによって、前記プランジャーに作用する力が減少する際に、前記流出路内の流体が通って流れることができる前記透過性部材上の領域を増大させる、請求項1に記載の注入装置。
【請求項5】
前記固形部材は、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記プランジャーの前記変位が前記固形部材を透過性部材に対して移動させて、前記流出路内の流体が通って流れることができる前記前記透過性部材上の領域を増大させるように作用するように、前記プランジャーに取り付けられる、請求項4に記載の注入装置。
【請求項6】
前記容器からの前記流体の前記流速を事前設定するために、電子制御モジュールをさらに備える、請求項1に記載の注入装置。
【請求項7】
患者についての情報に基づいて、前記容器からの事前設定された流速の前記流体を分注するように構成される、電子制御モジュールをさらに備える、請求項1に記載の注入装置。
【請求項8】
請求項1に記載の一連の注入装置を備える注入システムであって、前記各装置が、電子制御モジュールによって制御され、マルチルーメン管のルーメンと流体連通する、注入システム。
【請求項9】
流体を送達するための方法であって、
チャンバー内に、プランジャーの下流表面と前記プランジャーが中に位置付けられる容器との間に画定される、送達されるある量の流体を提供することと、
前記容器内で前記プランジャーを変位させるように、前記プランジャーに力を作用させ、それによって前記流体が前記チャンバーから分注されるようにすることと、
前記プランジャーへの前記力が減少する際に、実質的に一定の分注速度を維持するように、前記流体が前記チャンバーから分注されている通路内の流動抵抗を変化させることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記力を作用させるステップにおいて、前記プランジャーに作用する前記力は、放出された蓄積位置エネルギーである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
変化させるステップにおいて、前記可変流動抵抗器が、前記プランジャーへの前記力が減少する際に、前記流体流動に対する抵抗を低下させるように作用する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記変化させるステップが、互いに対して移動し合うように設計される、固形部材および透過性部材を備える可変流動抵抗器を提供することを含み、それによって前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、前記流出路内の流体が通って流れることができる、前記透過性部材上の領域を増大させる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
注入装置であって、
容器内に位置付けられるプランジャーであって、ある量の流体を中で前記プランジャーの下流表面と前記容器との間に収容できるチャンバーを画定する、プランジャーと、
前記チャンバー内の前記流体を、その上に作用する力によって前記プランジャーが変位する際に、通って分注することができる、流出路と、
前記流出路の下流に位置付けられ、かつ前記チャンバーから前記流体を受容するように構成される可変流動抵抗器であって、前記抵抗器が、その中に実質的に一定の圧力を維持するように構成され、それによって、前記プランジャーに作用する前記力が減少する際に、このような圧力が、実質的に一定の速度で前記抵抗器から前記流体を送達するように作用することができる、可変流動抵抗器と、を備える、注入装置。
【請求項14】
前記可変流動抵抗器が、前記流体が通って前記可変流動抵抗器から分注され得る、所定の開口部を有するバルブと流体連通する、請求項13に記載の注入装置。
【請求項15】
患者についての情報に基づいて、前記容器から事前設定された流速の前記流体を分注するように構成される、電子制御モジュールをさらに備える、請求項13に記載の注入装置。
【請求項16】
流体を送達するための方法であって、
チャンバー内に、プランジャーの下流表面と前記プランジャーが中に位置付けられる容器とによって画定される、分注されるある量の流体を提供することと、
前記容器内で前記プランジャーを変位させるように、前記プランジャーに力を作用させ、それによって前記流体が前記チャンバーから分注されるようにすることと、
実質的に一定の圧力を維持するように設計される環境において、前記環境から前記流体を分注するように作用する、前記チャンバーから分注される前記流体を受容することと、
前記開口部の上流および下流の圧力に実質的に一定の差異を維持しながら、前記環境から前記流体を分注し、それによって前記プランジャーへの前記力が減少する際に、患者に一定流速の流体を提供することと、を含む、方法。
【請求項17】
圧力調節器であって、
吸入空洞と、
前記吸入空洞と連通するハウジングと、
前記ハウジング内に可動に配置されるプランジャーと、
前記プランジャーの表面と前記ハウジングとの間で画定される、流出空洞と、
前記吸入空洞と前記流出空洞との間の流体連通のためのチャネルであって、それによって、前記プランジャーの各側面に作用する力の平衡を維持する、チャネルと、
前記流体が、前記流出空洞から通って分注され得る排出口と、を備える、圧力調節器。
【請求項18】
前記吸入空洞と前記排出空洞との間の流体の前記流動を修正して、前記プランジャーの各側面に作用する力の平衡を維持するための、フィードバックループをさらに備える、請求項17に記載の圧力調節器。
【請求項19】
前記プランジャーを平衡位置に実質的に定常して維持するように、前記プランジャーに力を及ぼすように作用する機構をさらに備える、請求項17に記載の圧力調節器。
【請求項20】
前記チャネルが、前記吸入空洞と連通する1組の穿孔と、前記流出空洞と連通する第2の組の穿孔とを有するカニューレを含み、前記吸入空洞から前記流出空洞内へ前記流体が流れることを可能にする、請求項17に記載の圧力調節器。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図7A】
【図7B】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13】
【図7A】
【図7B】
【図10】
【公表番号】特表2013−521069(P2013−521069A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556278(P2012−556278)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027298
【国際公開番号】WO2011/109779
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512228783)パビリオン・ホールディングズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】PAVILION HOLDINGS LLC
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027298
【国際公開番号】WO2011/109779
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512228783)パビリオン・ホールディングズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【氏名又は名称原語表記】PAVILION HOLDINGS LLC
【Fターム(参考)】
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