説明

蓋付容器

【課題】開封に先立って容器本体の開口が開放されたことを容易に判別できることや良好な操作性を維持しつつ、チャイルドプルーフ機能を付与する蓋付容器を提供すること。
【解決手段】内容物が収容される容器本体2と、基端部がヒンジ3、4を介して連結され、容器本体2の開口2Aを開閉する第1及び第2蓋体5、6と、第1蓋体5に弱化部43を介して接続され、第1及び第2蓋体5、6の先端部間にある隙間内に嵌挿された嵌挿片7と、を備え、第1及び第2蓋体5、6には、容器本体2内に着脱自在に嵌合される長辺側壁部23、33が形成され、長辺側壁部23、33には、容器本体2に形成された係合孔部13A、14Aと係合する係合突出部23A、33Aが形成され、容器本体2が、短辺壁部15、16が径方向内側に押し込まれたときに、長辺壁部13、14が径方向外側に変位するように弾性変形可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
錠剤が収容される容器体と、枢着部を介して容器体に回動可能に連結され、容器体の開口を開閉する蓋体と、容器体に破断部を介して連結され、蓋体の回動を阻止する封止板と、を備え、破断部を破断することによって封止板を除去した後に、蓋体において枢着部とは反対側に設けられた操作部を操作することによって、容器体の開口を開閉する錠剤容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような錠剤容器では、封止板によって蓋体の回動を阻止することにより、錠剤容器の流通時などで不正に容器体の開口が開放されることを防止すると共に、破断部の状態を視認することで、開封に先立って容器体の開口が開放されたことがあるかを容易に認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−157103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような錠剤容器では、蓋体に操作部が設けられており、また、単にこの操作片を操作して蓋体を枢着部回りで回動させることによって容器体の開口を開放できるため、封止板を除去した後に、幼児などに容易に開口を開放させないようにするチャイルドプルーフ機能を付与することに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、開封に先立って容器本体の開口が開放されたことを容易に判別できることや良好な操作性を維持しつつ、チャイルドプルーフ機能を付与する蓋付容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の蓋付容器は、有底筒状をなし、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体において容器軸を径方向で挟んで互いに対向する位置に基端部がヒンジを介して連結され、前記容器本体の開口を開閉する一対の蓋体と、前記一対の蓋体のいずれか一方に弱化部を介して接続され、前記一対の蓋体の先端部同士の間にある径方向の隙間内に嵌挿されて前記蓋体の前記ヒンジ回りの回動を規制する嵌挿片と、を備え、前記一対の蓋体には、前記容器本体内に着脱自在に嵌合される嵌合部が形成され、前記嵌合部には、前記容器本体に形成された第1係合部と係合する第2係合部が形成され、前記容器本体が、前記ヒンジが配設された周方向に沿う部分が径方向内側に押し込まれたときに、前記第1係合部が形成された部分が径方向外側に変位するように弾性変形可能に形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、嵌挿片を除去していない状態では、一対の蓋体間の隙間に嵌挿された嵌挿片によって蓋体のヒンジ回りの回動が阻止され、また、嵌挿片が弱化部を介して一方の蓋体に接続されていることを確認することによって開封に先立って容器本体の開口が開放されたことがあるか否かを判別できる。
また、嵌挿片を除去した状態でも、一対の蓋体が容器本体の開口を閉塞している状態では、容器本体に形成されている第1係合部と蓋体の嵌合部に形成されている第2係合部とが係合しているので、一対の蓋体がヒンジ回りに回動して容器本体の開口が開放されることが規制される。そして、容器本体のうち一対のヒンジが配設された周方向に沿う部分を径方向内側に押し込むと、容器本体のうち第1係合部が形成されている部分が径方向外側に変位して第2係合部から径方向外側に離れるので、第1係合部と第2係合部との係合が解除される、または緩む。この状態で、一対の蓋体をヒンジ回りに回動させることにより、容器本体の開口を開放できる。そして、蓋体をヒンジ回りに回動させて第1係合部と第2係合部とを再度係合させることによって、容器本体の開口を閉塞する。
このように、容器本体の開口を開放するために、蓋体だけではなく内容物を収容する容器本体の上記部分を径方向内側に押し込みながら一対の蓋体をヒンジ回りに回動させる必要があるので、この開放の仕方が外観上だけでは分かりにくくなり、内容物を取り出す容器本体の開口を容易に開放させないようにすることができる。
以上より、開封に先立って容器本体の開口が開放されたことを容易に判別できることや良好な操作性を維持しつつ、チャイルドプルーフ機能を付与することができる。
【0008】
また、本発明の蓋付容器では、前記容器本体の上端部が、横断面で長方形状をなしており、前記容器軸を径方向で挟んで互いに対向する一対の長辺壁部及び一対の短辺壁部を有しており、前記第1係合部が、前記長辺壁部に形成され、前記ヒンジが、前記短辺壁部に配設されていてもよい。
この場合では、長辺壁部が、短辺壁部よりも周方向の大きさが大きいため、短辺壁部と比較して径方向で変形しやすい。これにより、ヒンジが配設されている一対の短辺壁部を径方向に押し込む際に、第1係合部が形成されている一対の長辺壁部が径方向外側に向けて弾性変形しやすくなる。また、長辺壁部よりも周方向の大きさが小さい短辺壁部にヒンジを配設することで、一対の短辺壁部を径方向内側に弾性変形することを抑制しながら短辺壁部全体を径方向内側に変位させることができる。したがって、チャイルドプルーフ機能を付与しつつ、第1係合部と第2係合部との係合解除が容易になり、操作性が向上する。
【0009】
また、本発明の蓋付容器では、前記蓋体には、当該蓋体を前記ヒンジ回りで前記容器軸に沿う前記容器本体の外側に向けて付勢する付勢部が設けられてもよい。
この発明では、容器本体の上記部分を径方向内側に押し込むだけで第1係合部と第2係合部との係合を解除すると同時に蓋体が付勢部によってヒンジ回りに回動して持ち上げられて蓋体の回動を補助する一方で、容器本体の上記部分を径方向内側に押し込まなければ第1係合部と第2係合部との係合が維持されて蓋体がヒンジ回りに回動しない。また、いったん第1係合部と第2係合部との係合を解除した後に容器本体の上記部分の押し込みを解除しても、付勢部が設けられた蓋体の第2係合部と容器本体の第1係合部とが再度係合することが防止される。そのため、容器本体の開口を容易に開放させないようにしつつ、いったん開放の仕方を理解すれば容器本体の開口を容易に開放できるので、操作性がさらに向上する。
【0010】
また、本発明の蓋付容器では、前記一対の蓋体の一方には、前記一対の蓋体の他方における前記嵌合部を前記容器軸に沿う前記容器本体の内側から支持する支持突出部が設けられてもよい。
この発明では、支持突出部が他方の蓋体を容器軸に沿う容器本体の内側から支持するので、他方の蓋体に対して容器軸に沿う容器本体の外側から力が掛かったときに第1係合部と第2係合部との係合が解除されることを防止できる。
【0011】
また、本発明の蓋付容器では、前記容器本体には、前記一対の蓋体のうち少なくとも一方における前記嵌合部を前記容器軸に沿う前記容器本体の内側から支持する支持部が設けられてもよい。
この発明では、支持部が一対の蓋体の少なくとも一方を容器軸に沿う容器本体の内側から支持するので、この蓋体に対して容器軸に沿う容器本体の外側から力が掛かったときに第1係合部と第2係合部との係合が解除されることを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる蓋付容器によれば、開封するために弱化部を破断して嵌挿片を除去する必要があり、また、容器本体の開口を開放する場合には、容器本体のうちヒンジが配設されている部分を径方向内側に押し込みながら一対の蓋体をヒンジ回りに回動させる必要がある一方で、容器本体の開口を閉塞する場合には、一対の蓋体をヒンジ回りに回動させるだけでよい。そのため、開封に先立って容器本体の開口が開放されたことを容易に判別できることや良好な操作性を維持しつつ、チャイルドプルーフ機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における蓋付容器を示す軸方向断面図である。
【図2】図1の蓋付容器を示す他の軸方向断面図である。
【図3】図1の蓋付容器を示す上面図である。
【図4】図1の蓋付容器の一部を示す拡大上面図である。
【図5】図1の蓋付容器の一部を示す断面図である。
【図6】図1の蓋付容器の開口の開放方法を示す上面図である。
【図7】図1の蓋付容器の開口の開放方法を示す軸方向断面図である。
【図8】図1の蓋付容器の開口の開放方法を示す上面図である。
【図9】図1の蓋付容器の開口の開放方法を示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明における蓋付容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0015】
本実施形態における蓋付容器1は、図1から図3に示すように、内容物が収容される容器本体2と、容器本体2に基端部がヒンジ3、4を介して連結された容器本体2の開口2Aを開閉する第1蓋体(一方の蓋体)5及び第2蓋体(他方の蓋体)6と、第1及び第2蓋体5、6の先端部間の隙間内に嵌挿された嵌挿片7と、を備えている。
容器本体2は、横断面が長方形状の有底四角筒状をなしており、長方形状の底壁部11と、底壁部11の外周縁から上方に延設された四角筒状の筒壁部12と、を備えている。本実施形態では、容器本体2の中心軸線を容器軸Oとし、容器軸Oに沿って第1及び第2蓋体5、6側を上方、その反対側を下方とし、容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸O回りの方向を周方向とする。
【0016】
筒壁部12は、容器軸Oを挟んで径方向で互いに向かい合う長方形状の一対の長辺壁部13、14と、同様に容器軸Oを挟んで径方向で互いに向かい合う長方形状の一対の短辺壁部15、16と、を有する。長辺壁部13、14の上端部は、図1及び図2に示すように、短辺壁部15、16の上端部よりも上方に突出している。
【0017】
長辺壁部13の上端部における周方向の中央部には、図1から図3に示すように、周方向に長い長方形状の係合孔部(第1係合部)13A、13Bが周方向に間隔をあけて形成されており、長辺壁部14の上端部における周方向の中央部には、周方向に長い長方形状の係合孔部(第1係合部)14A、14Bが周方向に間隔をあけて形成されている。なお、係合孔部13A、13B及び係合孔部14A、14Bそれぞれは、周方向で離間して形成されているが、繋がって1つの係合孔部を構成してもよい。
また、長辺壁部13、14は、周方向の両端部から中央部に向けて径方向外側に向けて若干膨出するように湾曲板状をなしている。さらに、長辺壁部13、14は、短辺壁部15、16よりも周方向の幅が広くなっており、短辺壁部15、16と比較して径方向に変形しやすくなっている。なお、長辺壁部13、14は、平坦な板状であってもよい。
長辺壁部13の周方向の中央部内面には、上下方向に延在して第1及び第2蓋体5、6を下方から支持する支持リブ部(支持部)13C、13Dが周方向に間隔をあけて形成されており、長辺壁部14の周方向の中央部内面には、同様に、支持リブ部(支持部)14C、14Dが周方向に間隔をあけて形成されている。これら支持リブ部13C、13D、14C、14Dは、長辺壁部13、14の下端から上方に向けて直線状に延在しているが、形状を適宜変更してもよい。
【0018】
短辺壁部15の上端部は、ヒンジ3を介して第1蓋体5に連結されており、短辺壁部16の上端部は、ヒンジ4を介して第2蓋体6に連結されている。したがって、ヒンジ3、4は、係合孔部13A、13B、14A、14Bを回避した位置に配設されている。短辺壁部15、16は、長辺壁部13、14よりも周方向の幅が狭くなっており、長辺壁部13、14と比較して弾性変形しにくいので、短辺壁部15、16全体として径方向に変位しやすくなっている。
【0019】
第1蓋体5は、横断面が長方形状の有頂四角筒状をなしており、平面視で長方形状の天壁部21と、天壁部21の外周縁から下方に延設された四角筒状の周壁部22と、を備えている。
周壁部22は、長辺壁部13、14が向かい合う方向で互いに向かい合う一対の長辺側壁部(嵌合部)23、24と、同様に短辺壁部15、16が向かい合う方向で互いに向かい合う一対の短辺側壁部25、26と、を有する。
【0020】
長辺側壁部23、24それぞれは、長辺壁部13、14の内周面に沿って延在しており、容器本体2内に嵌合されている。なお、長辺側壁部23、24は、天壁部21や短辺側壁部25、26よりも薄くされている。
また、長辺側壁部23、24それぞれの上端部には、径方向外側に向けて係合突出部(第2係合部)23A、24Aが突設されている。係合突出部23Aは、径方向内側から係合孔部13Aと係合しており、係合突出部24Aは、径方向内側から係合孔部14Bと係合している。
さらに、長辺側壁部23の下端は、支持リブ部13Cの上端に当接または近接しており、長辺側壁部24の下端は、支持リブ部14Dの上端に当接または近接している。
【0021】
短辺側壁部25の下端部は、ヒンジ3を介して短辺壁部15の上端部に連結されている。また、短辺側壁部25の下端部には、図1に示すように、第1蓋体5をヒンジ3回りで上方に向けて付勢する板バネ部(付勢部)25Aが設けられている。板バネ部25Aは、下方に向かうにしたがって径方向外側に向けて湾曲していると共に(例えば図7参照)、その下端部が短辺壁部15に当接しており、短辺壁部15を径方向内側から付勢することによって第1蓋体5をヒンジ3回りで回動させることができる。
短辺側壁部26は、図1及び図3に示すように、短辺側壁部25よりも第2蓋体6側に配設されており、上下方向に沿って長辺側壁部23、24の下端まで延在している。
【0022】
第2蓋体6は、図1から図3に示すように、第1蓋体5と同様の構成を有しており、天壁部31と、周壁部32と、を備えている。
周壁部32は、周壁部22と同様に、一対の長辺側壁部33、34と、一対の短辺側壁部35、36と、を有する。
長辺側壁部33、34それぞれの上端部には、係合突出部(第2係合部)33A、34Aが突設されている。係合突出部33Aは、径方向内側から係合孔部14Aと係合しており、係合突出部34Aは、径方向内側から係合孔部13Bと係合している。また、長辺側壁部33の下端は、支持リブ部14Cの上端に当接または近接しており、長辺側壁部34の下端は、支持リブ部13Dの上端に当接または近接している。
【0023】
短辺側壁部35の下端部は、ヒンジ4を介して短辺壁部16の上端部に連結されている。短辺側壁部36は、短辺側壁部26と隙間を介して容器軸Oを挟んで径方向で互いに向かい合っている。また、短辺側壁部36の下端には、短辺側壁部26と向かい合う方向で短辺側壁部26の下端に向けて支持突出部36Aが延設されており、この支持突出部36Aは、短辺側壁部26の下端を下方から支持する。
【0024】
嵌挿片7は、断面L字状をなす板状部材であり、図1から図5に示すように、第2蓋体6の天壁部31の上面に沿って延在する板状の操作部41と、操作部41の径方向内側の端部から下方に向けて延設され、第1及び第2蓋体5、6の先端部間の隙間内に嵌合挿入されて第1及び第2蓋体5、6の回動を規制する嵌挿部42と、を有する。操作部41は、第2蓋体6がヒンジ4回りに回動することを規制する機能も果たす。また、嵌挿部42の上端部は、弱化部43を介して短辺側壁部26の上端部に連結されている。
なお、操作部41は、第1蓋体5の天壁部21の上面に沿って延在すると共に、弱化部43は、短辺側壁部36の上端部に連結されてもよい。この場合、第1蓋体5の回動は、操作部41によって規制される。また、第2蓋体6をヒンジ4回りに回動させようとしても、支持突出部36Aが短辺側壁部26の下端に対して下方から当接し、この短辺側壁部26の下端によって第2蓋体6のヒンジ4回りの回動が規制される。
【0025】
次に、以上のような構成の蓋付容器1における開口2Aの開放方法について説明する。
まず、操作部41と天壁部31との間の間隙に指などを掛けて操作部41を引き上げ、弱化部43を破断する。これにより、嵌挿片7を除去する。ここで、嵌挿片7が弱化部43を介して第1蓋体5に接続されていることを視認することで、開封に先立って容器本体2の開口2Aが開放されたか否かが判別される。
この状態で、第1及び第2蓋体5、6それぞれをヒンジ3、4回りに回動させようとしても、長辺壁部13、14の係合孔部13A、13B、14A、14Bと周壁部22、32の係合突出部23A、34A、33A、24Aとが係合しているので、第1及び第2蓋体5、6それぞれをヒンジ3、4回りに回動させることが規制される。そのため、容器本体2の開口2Aを開放する動作が規制される。
【0026】
そのため、容器本体2の開口2Aを開放するためには、まず、図3の矢印Aに示すように、容器本体2の一対の短辺壁部15、16を径方向内側に押圧する。
一対の短辺壁部15、16を互いに径方向内側に押し込むと、長辺壁部13、14それぞれの周方向両端部が互いに接近移動するので、図6の矢印Bに示すように、長辺壁部13、14が互いに離間するように径方向外側に向けて弾性変形し、係合孔部13A、13B、14A、14Bが係合突出部23A、34A、33A、24Aから離間するように径方向外側に向けて変位する。
【0027】
このとき、短辺壁部15、16は、長辺壁部13、14よりも周方向の幅が狭くなっているので、長辺壁部13、14と比較して弾性変形しにくくなっている。そのため、短辺壁部15、16の周方向中央部を径方向内側に押し込んでも、押し込む際に掛けた力が短辺壁部15、16を径方向内側に弾性変形させずに、短辺壁部15、16全体を径方向内側に変位させる。一方、長辺壁部13、14は、短辺壁部15、16よりも周方向の幅が広くなっており、また、長辺壁部13、14が湾曲板状をなしているので、径方向内側に向けて陥没変形することを防止しつつ確実に径方向外側に膨出変形させる。
【0028】
これにより、係合孔部13A、13B、14A、14Bと係合突出部23A、34A、33A、24Aとの係合が解除される、または緩むので、第1及び第2蓋体5、6のヒンジ3、4回りの回動の規制が解除される。
このように係合孔部13A、13B、14A、14Bと係合突出部23A、34A、33A、24Aとの係合を解除すると、第1蓋体5は、図7に示すように、板バネ部25Aが復元変形することによってヒンジ3回りで回動して持ち上がる。そのため、短辺壁部15、16を径方向内側に変位させる力を解除しても、第1蓋体5の係合突出部23A、24Aが係合孔部13A、14Bと再度係合してしまうことを規制する。
その後、図8に示すように、第1蓋体5をヒンジ3回りに回動させ、同様に、図9に示すように、第2蓋体6をヒンジ4回りに回動させ、容器本体2の開口2Aを開放する。以上のようにして、容器本体2の開口2Aを開放する。
【0029】
容器本体2の開口2Aを閉塞する際には、第1及び第2蓋体5、6それぞれをヒンジ3、4回りに回動させ、係合孔部13A、13B、14A、14Bと係合突出部23A、34A、33A、24Aとを係合させる。これにより、容器本体2の開口2Aを閉塞すると共に、第1及び第2蓋体5、6のヒンジ3、4回りの回動を再度規制する。
容器本体2の開口2Aを閉塞している状態では、第2蓋体6の支持突出部36Aが第1蓋体5の短辺側壁部26を下方から支持すると共に、支持リブ部13C、13D、14C、14Dが第1及び第2蓋体5、6それぞれの長辺側壁部23、34、33、24それぞれを下方から支持する。そのため、第1及び第2蓋体5、6に対して上方から外力が加わっても、この外力によって係合孔部13A、13B、14A、14Bと係合突出部23A、34A、33A、24Aとの係合が解除されて、第1及び第2蓋体5、6が下方に押し込まれることを防止する。
【0030】
以上のような構成の蓋付容器1によれば、嵌挿片7が弱化部43を介して第1蓋体5に接続されていることを視認できるので、開封に先立って容器本体2の開口2Aが開放されたか否かを判別できる。
また、容器本体2の開口2Aを開放するために、容器本体2のうち一対の短辺壁部15、16を径方向内側に押し込みながら第1及び第2蓋体5、6をヒンジ3、4回りに回動させる必要があり、さらに、容器本体2の開口2Aを閉塞するために、第1及び第2蓋体5、6をヒンジ3、4回りに回動させるだけでよいので、容易に判別できることや良好な操作性を維持しつつ、チャイルドプルーフ機能を付与することができる。
【0031】
また、係合孔部13A、13B、14A、14Bを長辺壁部13、14に形成すると共にヒンジ3、4を短辺壁部15、16に配設することで、短辺壁部15、16を径方向内側に弾性変形することを防止しながら短辺壁部15、16全体を径方向内側に変位させることができると共に、長辺壁部13、14を径方向外側に膨出変形させやすくすることができる。
さらに、第1蓋体5に板バネ部25Aを設けることで、係合孔部13A、13B、14A、14Bと係合突出部23A、34A、33A、24Aとが係合しているときには容器本体2の開口2Aを容易に開放させないようにしつつ、係合を解除したときに第1蓋体5のヒンジ3回りの回動を補助するので、いったん開口2Aの開放の仕方を理解すれば開口2Aを容易に開放できるようになり、操作性がさらに向上する。
その上、支持突出部36A及び支持リブ部13C、13D、14C、14Dを設けることで、第1及び第2蓋体5、6に上方から外力が加わっても、この外力によって第1及び第2蓋体5、6が下方に押し込まれて係合孔部13A、13B、14A、14Bと係合突出部23A、34A、33A、24Aとの係合が解除されることを防止できる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、容器本体及び蓋体の形状は、四角筒状でなく、他の形状であってもよい。また、嵌合部は、係合突出部が形成されていれば、筒状でなく、他の形状であってもよい。
係合孔部は、長辺壁部における周方向の中央部に形成しているが、ヒンジを周方向で回避した位置に配設されていれば、他の箇所に配設されてもよい。
嵌挿片は、断面L字状をなす板状部材であるが、隙間に嵌挿されて第1及び第2蓋体のヒンジ回りの回動を規制できればよく、他の形状であってもよい。また、弱化部は、第1蓋体に接続されているが、第2蓋体に接続されてもよく、第1及び第2蓋体双方に接続されてもよい。
【0033】
板バネ部は、第1蓋体に設けられているが、第2蓋体に設けられてもよく、第1及び第2蓋体双方に設けられてもよい。また、蓋体をヒンジ回りで上方に付勢すれば、板バネ部に限らず、他の構造であってもよい。さらに、付勢部を設けなくてもよい。
支持突出部は、第1蓋体の短辺側壁部を下方から支持するが、蓋付容器の外部から容器本体の内部に異物が混入することを防止できればよく、第1蓋体の短辺側壁部に当接するのみで短辺側壁部を下方から支持しない構成であってもよい。また、第1蓋体に支持突出部を設けて第2蓋体の短辺側壁部を下方から支持するような構成としてもよい。さらに、支持突出部を設けなくてもよい。
支持部は、第1及び第2蓋体を支持するが、第1及び第2蓋体の少なくとも一方を支持するように構成されていればよく、容器本体の長辺壁部以外の箇所に設ける構成としてもよい。また、支持部を設けない構成としてもよい。
【0034】
長辺側壁部は、長辺壁部の径方向内側に配設されており、外部に露出していないが、上端部が長辺壁部から露出する構成であってもよい。
第1係合部と第2係合部とは、互いに係合すればよく、第1係合部を係合凹部とする構成や、第1係合部を係合突出部とすると共に、第2係合部を係合孔部または係合凹部とする構成など、他の形状であってもよい。また、容器本体に一対の係合孔部が形成されると共に、各蓋体に一対の係合突出部が形成されているが、少なくとも1つの係合孔部と係合突出部とが形成されていればよい。
第1及び第2蓋体には、第1及び第2蓋体をヒンジ回りに回動させるための操作部となる指掛け突起部などを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明によれば、開封に先立って容器本体の開口が開放されたことを容易に判別できることや良好な操作性を維持しつつ、チャイルドプルーフ機能を付与する蓋付容器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0036】
1 蓋付容器、2 容器本体、2A 開口、3,4 ヒンジ、5 第1蓋体(一方の蓋体)、6 第2蓋体(他方の蓋体)、7 嵌挿片、13,14 長辺壁部、13A,13B,14A,14B 係合孔部(第1係合部)、15,16 短辺壁部、23,24,33,34 長辺側壁部(嵌合部)、23A,24A,33A,34A 係合突出部(第2係合部)、O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状をなし、内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体において容器軸を径方向で挟んで互いに対向する位置に基端部がヒンジを介して連結され、前記容器本体の開口を開閉する一対の蓋体と、
前記一対の蓋体のいずれか一方に弱化部を介して接続され、前記一対の蓋体の先端部同士の間にある径方向の隙間内に嵌挿されて前記蓋体の前記ヒンジ回りの回動を規制する嵌挿片と、を備え、
前記一対の蓋体には、前記容器本体内に着脱自在に嵌合される嵌合部が形成され、
前記嵌合部には、前記容器本体に形成された第1係合部と係合する第2係合部が形成され、
前記容器本体が、前記ヒンジが配設された周方向に沿う部分が径方向内側に押し込まれたときに、前記第1係合部が形成された部分が径方向外側に変位するように弾性変形可能に形成されていることを特徴とする蓋付容器。
【請求項2】
前記容器本体の上端部が、横断面で長方形状をなしており、前記容器軸を径方向で挟んで互いに対向する一対の長辺壁部及び一対の短辺壁部を有しており、
前記第1係合部が、前記長辺壁部に形成され、
前記ヒンジが、前記短辺壁部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付容器。
【請求項3】
前記蓋体には、当該蓋体を前記ヒンジ回りで前記容器軸に沿う前記容器本体の外側に向けて付勢する付勢部が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋付容器。
【請求項4】
前記一対の蓋体の一方には、前記一対の蓋体の他方における前記嵌合部を前記容器軸に沿う前記容器本体の内側から支持する支持突出部が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋付容器。
【請求項5】
前記容器本体には、前記一対の蓋体のうち少なくとも一方における前記嵌合部を前記容器軸に沿う前記容器本体の内側から支持する支持部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の蓋付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−112369(P2013−112369A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260051(P2011−260051)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】