薄型ディスプレイ用のヒートシンク
【課題】製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型ディスプレイ用のヒートシンクを提供する。
【解決手段】薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされている。
【解決手段】薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、薄型ディスプレイ用のヒートシンク、特に、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシを備えた薄型ディスプレイ用のヒートシンクに関する。
【背景技術】
【０００２】
テレビ受像機用の表示装置として陰極線管（ＣＲＴ）に代わり、液晶表示装置や、プラズマディスプレイ等の非常に薄型化された表示装置が実用化されてきた。液晶表示装置においては、カラーフィルタを備えた透過型の液晶表示パネルを背面側から面状に照明するバックライト装置によって照明することによって、カラー画像を表示させるバックライト方式が主流になっている。バックライト装置の光源としては、蛍光管を使用して白色光を発光する冷陰極蛍光管（ＣＣＦＬ：Ｃｏｌｄ Ｃａｔｈｏｄｅ Ｆｌｕｏｒｅｓｃｅｎｔ Ｌａｍｐ）や、発光ダイオード（ＬＥＤ：Ｌｉｇｈｔ Ｅｍｉｔｔｉｎｇ Ｄｉｏｄｅ）が使用されている。
【０００３】
透過型カラー液晶表示装置は、一般に、透過型のカラー液晶表示パネルと、カラー液晶表示パネルの背面側に設けられたバックライト装置とからなっている。透過型のカラー液晶表示パネルは、ガラス等で構成された２枚の透明な基板（ＴＦＴ基板、対向電極基板）を互いに対向配列させ、その間隙に、ＴＮ（ツイステッドネマチック）液晶を封入した液晶層を設けている。
ＴＦＴ基板には、マトリックス状に配列された信号線、走査線、信号線および走査線の交点に配列されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ、および、画素電極が形成されている。対向電極基板には、その内表面に対向電極およびカラーフィルタが形成されている。
【０００４】
バックライト装置は、光源や、光源から出射された光を白色光へと混色するために、バックライト筐体内に、拡散板、拡散板上に重ねて配列される拡散シート、プリズムシート、偏光変換シート等の光学機能シート群を備えている。
光学機能シート群は、例えば、入射光を直交する偏光成分に分解する機能、光波の位相差を補償して広角視野角化や着色防止を図る機能、入射光を拡散させる機能、輝度向上を図る機能などを備えたシートからなっている。
【０００５】
液晶表示パネルの背面側に組み合わされて照明光を照射するバックライト装置は、液晶表示パネルの背面と概ね同じ大きさの外形寸法を有しており、背面フレーム部材に組み合わされるバックシャーシと、バックシャーシに取り付けられ、複数の発光素子を光源として照明光を照射する光源ブロックと、バックシャーシと対向間隔を介して取り付けられ光学機能を有する光学機能シート群とを有している。
【０００６】
上述した透過型カラー液晶表示装置としての薄型ディスプレイにおいては、その性能が高まるにつれて、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を無視することができず、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を効果的に処理することが必要である。
【特許文献１】特開２００７−３２２６９７号公報
【特許文献２】特開２００５−２０２０３６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上述した透過型カラー液晶表示装置としての薄型ディスプレイにおいては、その性能が高まるにつれて、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を無視することができず、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を効果的に処理することが必要である。
従来、光源がＣＣＦＬの場合であっても、ＬＥＤの場合であっても、光源が背面全体から照射されていた。このように発熱素子がバックライト装置の全体にわたって配列されている場合でも、高い能力を要求されるが故に、薄型ディスプレイの放熱処理が問題になってきている。
【０００８】
最近では、バックライト装置において光源が、薄型液晶装置の両側端部、または、上下端部から照射されるようになってきている。
このように、薄型液晶装置の両側端部、または、上下端部から照射されるようになってくると、発熱素子がバックライト装置の両側端部、または、上下端部のみに熱的に接続され、発熱素子の発熱密度が高くなり、薄型ディスプレイの冷却が難しくなってきている。
【０００９】
したがって、本発明の目的は、製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型ディスプレイ用のヒートシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
発明者は上述した従来の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されている、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護するバックシャーシの裏面（外側）に直接熱的にヒートシンクを接続すると、バックシャーシの他方の面には、複数の発光素子を光源として照明光を照射する光源ブロックが取り付けられているので、発光素子の熱を効率的に放熱することができることが判明した。
【００１１】
更に、バックシャーシには強度を補完する柱状部材が複数本備えられているので、複数の放熱フィンを柱状部材に沿って配置すると、放熱フィンに沿って自然対流が生じ、効果的な放熱が可能になることが判明した。この発明は上述した研究結果に基づいてなされたものである。
【００１２】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第１の態様は、薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１３】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第２の態様は、前記バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、前記ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、前記放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１４】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第３の態様は、前記ヒートシンクは、一部が前記放熱フィンに熱的に接続された少なくとも一つのヒートパイプを備えており、前記ヒートパイプは前記バックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１５】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第４の態様は、前記ヒートパイプは略直線状部分を有しており、前記略直線状部分は前記バックシャーシに略水平方向に半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１６】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第５の態様は、前記バックシャーシは、強度を補完する複数の柱状部材を備えており、前記放熱フィンを複数個、前記柱状部材の近傍に沿って配置し、前記ヒートパイプが複数の前記放熱フィンに熱的に接続されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１７】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第６の態様は、薄型ディスプレイ装置の正面側に複数個のLED光源が配置されており、前記LED光源の配列に沿って前記ヒートパイプが配置されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１８】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第７の態様は、前記放熱フィンの長さが前記薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一で、前記柱状部材に沿って配置されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１９】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第８の態様は、前記放熱フィンが底面部と垂直面部からなる断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなっており、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００２０】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第９の態様は、前記放熱フィンが底面部、垂直面部および上面部からなる概ねコの字形の金属部材からなり、前記放熱フィンが前記柱状部材との間で中空空間を形成するように配置されて、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００２１】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第１０の態様は、前記ヒートパイプが前記バックシャーシの前記基板側に配置されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００２２】
この発明の薄型ディスプレイ装置は、上述したヒートシンクが備わった薄型ディスプレイ装置である。
【発明の効果】
【００２３】
この発明によると、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されている、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護するバックシャーシの裏面（外側）に直接熱的にヒートシンクを接続するので、バックシャーシの他方の面に取り付けられている、光源としての発光素子の熱を効率的に放熱することができる。
【００２４】
バックシャーシには強度を補完する柱状部材が複数本備えられているので、複数の放熱フィンを柱状部材に沿って配置すると、放熱フィンに沿って自然対流が生じ、効果的な放熱が可能になる。
更に、この発明によると、製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型ディスプレイ用のヒートシンクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２５】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクについて図面を参照しながら説明する。
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様は、薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされていてもよい。
【００２６】
図１は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様を説明する図である。バックシャーシ２は、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されて、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護する。バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面には、光源として複数の発光素子が取り付けられている。図１に示すように、バックシャーシ２には、垂直方向に、バックシャーシ２の強度を補完するために複数の柱状部材３（図の態様では、３本）が設けられている。
【００２７】
バックシャーシ２は、上述したように各種基板等の変形を抑制し、これらを保護する機能を備えているので、亜鉛メッキ鋼板等の強度の大きい鋼板が使用されている。亜鉛メッキ鋼板は、半田によってアルミニウム等の金属板材を容易に接合することができる。従って、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様においては、ヒートシンク４がバックシャーシ２に、直接熱的に接続されている。
【００２８】
図１に示すように、柱状部材３に沿って、複数の放熱フィン４がバックシャーシ２の表面に直接熱的に接続されている。放熱フィン４は、柱状部材３の片方に沿って設けられてもよく、柱状部材３の両側に沿って設けられてもよい。放熱フィン４が配置される位置は、発熱密度の高い部位が好ましく、バックシャーシ２の上部に配置されると効果的である。
【００２９】
このようにバックシャーシ２に放熱フィン４を直接熱的に接続すると、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って放熱フィン４に伝わり、大気中に放熱される。
【００３０】
放熱フィン４は、例えば、図７に示すように、底面部６および垂直面部７からなる断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなっており、複数の放熱フィン４が並列配置されて使用される。このように複数の放熱フィン４を並列配置すると、複数の底面部６が合わさって平らな受熱面を形成する。複数の放熱フィン４は例えば垂直面部７を貫通する固定部材を備えていてもよく、個々の放熱フィン４に凹凸部を設けてこれらを相互に嵌合させて固定してもよい。このように形成された平らな受熱面が柱状部材３に沿って、バックシャーシ２に半田等によって直接接合される。
【００３１】
図１に示すこの発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンク１の態様では、放熱フィン４がバックシャーシ２の上部にのみ配置されているが、複数の放熱フィン４を所定間隔で柱状部材３に沿って垂直方向に並べて配置してもよい。
図２は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの別の態様を示す図である。この態様では、バックシャーシ２に備えられた柱状部材３に沿って、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４が熱的に接合されている。この態様においても、放熱フィン４は、柱状部材３の片側に沿って配置してもよく、柱状部材３の両側に沿って配置してもよい。
【００３２】
図１および図２に示すこの発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの態様では、バックシャーシ２に直接放熱フィン４を取り付けている。従って、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って放熱フィン４に伝わり、大気中に放熱される。
【００３３】
図１に示すように、柱状部材３の片側または両側に沿って、複数の放熱フィン４を垂直方向に配置する、または、図２に示すように、柱状部材３の片側または両側に沿って、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４を配置すると、発光素子の熱がバックシャーシ２を介して放熱フィン４に伝わり、温まった空気が薄型ディスプレイの垂直方向に沿って上方に流れ、冷たい空気が薄型ディスプレイの下部から流れ込み、空気の自然対流が起きる。これによって、放熱フィン４に伝わった熱が効率よく大気中に放散される。
【００３４】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様は、ヒートシンクは、一部が放熱フィンに熱的に接続された少なくとも一つのヒートパイプ５を備えており、ヒートパイプ５はバックシャーシ２に半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００３５】
図３は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図３に示すように、この態様では、ヒートパイプ５を更に備えている。即ち、柱状部材３に沿って、複数の放熱フィン４がバックシャーシ２の表面に直接熱的に接続されている。それぞれの放熱フィン４にはヒートパイプ５の一部が熱的に接続され、ヒートパイプ５の残りの部分は、バックシャーシ２の表面に半田付けされている。ヒートパイプ５はマイクロヒートパイプ、扁平型ヒートパイプ等を使用することができる。図では、ヒートパイプ５は概ね水平に配置されているが、バックシャーシ２の形状に対応して、適宜変更して配置してもよい。その際、放熱フィン４側が高い所謂ボトムヒートモードが好ましい。
【００３６】
なお、上述したように、薄型ディスプレイ装置の正面側に複数個のLED光源が配置されているので、LED光源の配列に沿ってヒートパイプ５が配置されていることが好ましい。このように配置すると、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って、ヒートパイプ５の受熱部に伝わり、ヒートパイプ５によって放熱フィン４に熱が移動される。
【００３７】
ヒートパイプ５の内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。即ち、ヒートパイプ５の吸熱側において、ヒートパイプ５を構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプ５の放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動（還流）する。このような作動流体の相変態や移動によって、大量の熱の移動が行われる。
【００３８】
図４は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図４に示す態様は、図２に示したこの発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンク１にヒートパイプ５を備えている。即ち、図４に示すように、バックシャーシ２に備えられた柱状部材３に沿って、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４が熱的に接合され、それぞれの放熱フィン４に複数のヒートパイプ５の放熱部が熱的に接続されている。ヒートパイプ５の残りの部分は、バックシャーシ２の表面に半田付けされている。この態様においても、バックシャーシ２の形状に対応して、適宜変更して配置してもよい。その際、放熱フィン４側が高い所謂ボトムヒートモードが好ましい。
【００３９】
このように配置すると、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って、ヒートパイプ５の受熱部に伝わり、ヒートパイプ５によって放熱フィン４に熱が輸送される。
【００４０】
図５は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図５に示す態様においては、柱状部材３の両側に沿って複数の放熱フィン４が配置され、２つの放熱フィン４間をヒートパイプ５が熱的に接続している。このように柱状部材３の両側に沿って配置された複数の放熱フィン４間をヒートパイプ５熱的に接続すると、LED光源の配列に沿って配置されたヒートパイプ５によって、温度の低い方の放熱フィン４に熱が輸送され、全体として効果的な放熱が行われる。
なお、ヒートパイプ５は全て直線的に配置する必要はない。ヒートパイプ５は略直線状部分を有しており、略直線状部分はバックシャーシ２に略水平方向に半田付けされる。
【００４１】
図３から図５に示した態様においても、柱状部材３の片側または両側に沿って、複数の放熱フィン４、または、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４を配置すると、発光素子の熱がバックシャーシ２を介して放熱フィン４に伝わり、温まった空気が薄型ディスプレイの垂直方向に沿って上方に流れ、冷たい空気が薄型ディスプレイの下部から流れ込み、空気の自然対流が起きる。これによって、放熱フィンに伝わった熱が効率よく大気中に放散される。
【００４２】
図６は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図６に示すように、この態様では、複数の放熱フィン４がバックシャーシ２の両側部に、柱状部材３に沿って配置されている。放熱フィン４にはヒートパイプ５の受熱部が熱的に接続され、バックシャーシ２の表面には、長さの異なる複数のヒートパイプ５が半田付けされている。ヒートパイプ５は、LED光源の配列に沿って配置され、一部はバックシャーシ２の中央部に延伸している。複数の放熱フィン４を柱状部材３に沿って配置する代わりに、バックシャーシ２の両側部にそれぞれ、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４を配置してもよい。
【００４３】
上述した放熱フィン４が底面部８、垂直面部９および上面部１０からなる概ねコの字形の金属部材からなり、放熱フィン４が柱状部材３との間で中空空間を形成するように配置されて、底面部８がバックシャーシに半田付けされていてもよい。
【００４４】
図８は、概ねコの字形の金属部材からなる放熱フィンを説明する図である。図８に示すように、放熱フィン４は、底面部８、垂直面部９および上面部１０からなる概ねコの字形からなっている。個々の放熱フィンは、固定部材または相互に嵌合される爪部、爪受け部１１によって固定される。このように形成された断面概ねコの字形の放熱フィン４を柱状部材３に沿って配置すると、柱状部材との間で中空空間を形成し、空気の自然対流を容易にすることができる。
【００４５】
上述したように、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されている、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護するバックシャーシの裏面（外側）に直接熱的にヒートシンクを接続するので、バックシャーシの他方の面に取り付けられている、光源としての発光素子の熱を効率的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】図１は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様を説明する図である。
【図２】図２は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの別の態様を示す図である。
【図３】図３は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図４】図４は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図５】図５は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図６】図６は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図７】図７は、断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなる放熱フィンを説明する図である。
【図８】図８は、概ねコの字形の金属部材からなる放熱フィンを説明する図である。
【符号の説明】
【００４７】
１ 薄型ディスプレイ用のヒートシンク
２ バックシャーシ
３ 柱状部材
４ 放熱フィン
５ ヒートパイプ
６ 底面部
７ 垂直面部
８ 底面部
９ 垂直面部
１０ 上面部
１１ 爪部、爪受け部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、薄型ディスプレイ用のヒートシンク、特に、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシを備えた薄型ディスプレイ用のヒートシンクに関する。
【背景技術】
【０００２】
テレビ受像機用の表示装置として陰極線管（ＣＲＴ）に代わり、液晶表示装置や、プラズマディスプレイ等の非常に薄型化された表示装置が実用化されてきた。液晶表示装置においては、カラーフィルタを備えた透過型の液晶表示パネルを背面側から面状に照明するバックライト装置によって照明することによって、カラー画像を表示させるバックライト方式が主流になっている。バックライト装置の光源としては、蛍光管を使用して白色光を発光する冷陰極蛍光管（ＣＣＦＬ：Ｃｏｌｄ Ｃａｔｈｏｄｅ Ｆｌｕｏｒｅｓｃｅｎｔ Ｌａｍｐ）や、発光ダイオード（ＬＥＤ：Ｌｉｇｈｔ Ｅｍｉｔｔｉｎｇ Ｄｉｏｄｅ）が使用されている。
【０００３】
透過型カラー液晶表示装置は、一般に、透過型のカラー液晶表示パネルと、カラー液晶表示パネルの背面側に設けられたバックライト装置とからなっている。透過型のカラー液晶表示パネルは、ガラス等で構成された２枚の透明な基板（ＴＦＴ基板、対向電極基板）を互いに対向配列させ、その間隙に、ＴＮ（ツイステッドネマチック）液晶を封入した液晶層を設けている。
ＴＦＴ基板には、マトリックス状に配列された信号線、走査線、信号線および走査線の交点に配列されたスイッチング素子としての薄膜トランジスタ、および、画素電極が形成されている。対向電極基板には、その内表面に対向電極およびカラーフィルタが形成されている。
【０００４】
バックライト装置は、光源や、光源から出射された光を白色光へと混色するために、バックライト筐体内に、拡散板、拡散板上に重ねて配列される拡散シート、プリズムシート、偏光変換シート等の光学機能シート群を備えている。
光学機能シート群は、例えば、入射光を直交する偏光成分に分解する機能、光波の位相差を補償して広角視野角化や着色防止を図る機能、入射光を拡散させる機能、輝度向上を図る機能などを備えたシートからなっている。
【０００５】
液晶表示パネルの背面側に組み合わされて照明光を照射するバックライト装置は、液晶表示パネルの背面と概ね同じ大きさの外形寸法を有しており、背面フレーム部材に組み合わされるバックシャーシと、バックシャーシに取り付けられ、複数の発光素子を光源として照明光を照射する光源ブロックと、バックシャーシと対向間隔を介して取り付けられ光学機能を有する光学機能シート群とを有している。
【０００６】
上述した透過型カラー液晶表示装置としての薄型ディスプレイにおいては、その性能が高まるにつれて、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を無視することができず、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を効果的に処理することが必要である。
【特許文献１】特開２００７−３２２６９７号公報
【特許文献２】特開２００５−２０２０３６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
上述した透過型カラー液晶表示装置としての薄型ディスプレイにおいては、その性能が高まるにつれて、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を無視することができず、発熱素子（ＬＥＤ）の発生する熱を効果的に処理することが必要である。
従来、光源がＣＣＦＬの場合であっても、ＬＥＤの場合であっても、光源が背面全体から照射されていた。このように発熱素子がバックライト装置の全体にわたって配列されている場合でも、高い能力を要求されるが故に、薄型ディスプレイの放熱処理が問題になってきている。
【０００８】
最近では、バックライト装置において光源が、薄型液晶装置の両側端部、または、上下端部から照射されるようになってきている。
このように、薄型液晶装置の両側端部、または、上下端部から照射されるようになってくると、発熱素子がバックライト装置の両側端部、または、上下端部のみに熱的に接続され、発熱素子の発熱密度が高くなり、薄型ディスプレイの冷却が難しくなってきている。
【０００９】
したがって、本発明の目的は、製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型ディスプレイ用のヒートシンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
発明者は上述した従来の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されている、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護するバックシャーシの裏面（外側）に直接熱的にヒートシンクを接続すると、バックシャーシの他方の面には、複数の発光素子を光源として照明光を照射する光源ブロックが取り付けられているので、発光素子の熱を効率的に放熱することができることが判明した。
【００１１】
更に、バックシャーシには強度を補完する柱状部材が複数本備えられているので、複数の放熱フィンを柱状部材に沿って配置すると、放熱フィンに沿って自然対流が生じ、効果的な放熱が可能になることが判明した。この発明は上述した研究結果に基づいてなされたものである。
【００１２】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第１の態様は、薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１３】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第２の態様は、前記バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、前記ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、前記放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１４】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第３の態様は、前記ヒートシンクは、一部が前記放熱フィンに熱的に接続された少なくとも一つのヒートパイプを備えており、前記ヒートパイプは前記バックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１５】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第４の態様は、前記ヒートパイプは略直線状部分を有しており、前記略直線状部分は前記バックシャーシに略水平方向に半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１６】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第５の態様は、前記バックシャーシは、強度を補完する複数の柱状部材を備えており、前記放熱フィンを複数個、前記柱状部材の近傍に沿って配置し、前記ヒートパイプが複数の前記放熱フィンに熱的に接続されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１７】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第６の態様は、薄型ディスプレイ装置の正面側に複数個のLED光源が配置されており、前記LED光源の配列に沿って前記ヒートパイプが配置されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１８】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第７の態様は、前記放熱フィンの長さが前記薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一で、前記柱状部材に沿って配置されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００１９】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第８の態様は、前記放熱フィンが底面部と垂直面部からなる断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなっており、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００２０】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第９の態様は、前記放熱フィンが底面部、垂直面部および上面部からなる概ねコの字形の金属部材からなり、前記放熱フィンが前記柱状部材との間で中空空間を形成するように配置されて、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００２１】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの第１０の態様は、前記ヒートパイプが前記バックシャーシの前記基板側に配置されている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００２２】
この発明の薄型ディスプレイ装置は、上述したヒートシンクが備わった薄型ディスプレイ装置である。
【発明の効果】
【００２３】
この発明によると、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されている、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護するバックシャーシの裏面（外側）に直接熱的にヒートシンクを接続するので、バックシャーシの他方の面に取り付けられている、光源としての発光素子の熱を効率的に放熱することができる。
【００２４】
バックシャーシには強度を補完する柱状部材が複数本備えられているので、複数の放熱フィンを柱状部材に沿って配置すると、放熱フィンに沿って自然対流が生じ、効果的な放熱が可能になる。
更に、この発明によると、製品の設計に自由度をもたせつつ、軽量で、発熱素子の熱を効果的に放熱することができる、薄型ディスプレイ用のヒートシンクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２５】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクについて図面を参照しながら説明する。
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様は、薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされていてもよい。
【００２６】
図１は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様を説明する図である。バックシャーシ２は、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されて、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護する。バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面には、光源として複数の発光素子が取り付けられている。図１に示すように、バックシャーシ２には、垂直方向に、バックシャーシ２の強度を補完するために複数の柱状部材３（図の態様では、３本）が設けられている。
【００２７】
バックシャーシ２は、上述したように各種基板等の変形を抑制し、これらを保護する機能を備えているので、亜鉛メッキ鋼板等の強度の大きい鋼板が使用されている。亜鉛メッキ鋼板は、半田によってアルミニウム等の金属板材を容易に接合することができる。従って、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様においては、ヒートシンク４がバックシャーシ２に、直接熱的に接続されている。
【００２８】
図１に示すように、柱状部材３に沿って、複数の放熱フィン４がバックシャーシ２の表面に直接熱的に接続されている。放熱フィン４は、柱状部材３の片方に沿って設けられてもよく、柱状部材３の両側に沿って設けられてもよい。放熱フィン４が配置される位置は、発熱密度の高い部位が好ましく、バックシャーシ２の上部に配置されると効果的である。
【００２９】
このようにバックシャーシ２に放熱フィン４を直接熱的に接続すると、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って放熱フィン４に伝わり、大気中に放熱される。
【００３０】
放熱フィン４は、例えば、図７に示すように、底面部６および垂直面部７からなる断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなっており、複数の放熱フィン４が並列配置されて使用される。このように複数の放熱フィン４を並列配置すると、複数の底面部６が合わさって平らな受熱面を形成する。複数の放熱フィン４は例えば垂直面部７を貫通する固定部材を備えていてもよく、個々の放熱フィン４に凹凸部を設けてこれらを相互に嵌合させて固定してもよい。このように形成された平らな受熱面が柱状部材３に沿って、バックシャーシ２に半田等によって直接接合される。
【００３１】
図１に示すこの発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンク１の態様では、放熱フィン４がバックシャーシ２の上部にのみ配置されているが、複数の放熱フィン４を所定間隔で柱状部材３に沿って垂直方向に並べて配置してもよい。
図２は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの別の態様を示す図である。この態様では、バックシャーシ２に備えられた柱状部材３に沿って、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４が熱的に接合されている。この態様においても、放熱フィン４は、柱状部材３の片側に沿って配置してもよく、柱状部材３の両側に沿って配置してもよい。
【００３２】
図１および図２に示すこの発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの態様では、バックシャーシ２に直接放熱フィン４を取り付けている。従って、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って放熱フィン４に伝わり、大気中に放熱される。
【００３３】
図１に示すように、柱状部材３の片側または両側に沿って、複数の放熱フィン４を垂直方向に配置する、または、図２に示すように、柱状部材３の片側または両側に沿って、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４を配置すると、発光素子の熱がバックシャーシ２を介して放熱フィン４に伝わり、温まった空気が薄型ディスプレイの垂直方向に沿って上方に流れ、冷たい空気が薄型ディスプレイの下部から流れ込み、空気の自然対流が起きる。これによって、放熱フィン４に伝わった熱が効率よく大気中に放散される。
【００３４】
この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様は、ヒートシンクは、一部が放熱フィンに熱的に接続された少なくとも一つのヒートパイプ５を備えており、ヒートパイプ５はバックシャーシ２に半田付けされている、薄型ディスプレイ用のヒートシンクである。
【００３５】
図３は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図３に示すように、この態様では、ヒートパイプ５を更に備えている。即ち、柱状部材３に沿って、複数の放熱フィン４がバックシャーシ２の表面に直接熱的に接続されている。それぞれの放熱フィン４にはヒートパイプ５の一部が熱的に接続され、ヒートパイプ５の残りの部分は、バックシャーシ２の表面に半田付けされている。ヒートパイプ５はマイクロヒートパイプ、扁平型ヒートパイプ等を使用することができる。図では、ヒートパイプ５は概ね水平に配置されているが、バックシャーシ２の形状に対応して、適宜変更して配置してもよい。その際、放熱フィン４側が高い所謂ボトムヒートモードが好ましい。
【００３６】
なお、上述したように、薄型ディスプレイ装置の正面側に複数個のLED光源が配置されているので、LED光源の配列に沿ってヒートパイプ５が配置されていることが好ましい。このように配置すると、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って、ヒートパイプ５の受熱部に伝わり、ヒートパイプ５によって放熱フィン４に熱が移動される。
【００３７】
ヒートパイプ５の内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。即ち、ヒートパイプ５の吸熱側において、ヒートパイプ５を構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプ５の放熱側に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動（還流）する。このような作動流体の相変態や移動によって、大量の熱の移動が行われる。
【００３８】
図４は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図４に示す態様は、図２に示したこの発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンク１にヒートパイプ５を備えている。即ち、図４に示すように、バックシャーシ２に備えられた柱状部材３に沿って、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４が熱的に接合され、それぞれの放熱フィン４に複数のヒートパイプ５の放熱部が熱的に接続されている。ヒートパイプ５の残りの部分は、バックシャーシ２の表面に半田付けされている。この態様においても、バックシャーシ２の形状に対応して、適宜変更して配置してもよい。その際、放熱フィン４側が高い所謂ボトムヒートモードが好ましい。
【００３９】
このように配置すると、バックシャーシ２の液晶表示パネル側の面に取り付けられた、光源として複数の発光素子の熱がバックシャーシ２の材質中を通って、ヒートパイプ５の受熱部に伝わり、ヒートパイプ５によって放熱フィン４に熱が輸送される。
【００４０】
図５は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図５に示す態様においては、柱状部材３の両側に沿って複数の放熱フィン４が配置され、２つの放熱フィン４間をヒートパイプ５が熱的に接続している。このように柱状部材３の両側に沿って配置された複数の放熱フィン４間をヒートパイプ５熱的に接続すると、LED光源の配列に沿って配置されたヒートパイプ５によって、温度の低い方の放熱フィン４に熱が輸送され、全体として効果的な放熱が行われる。
なお、ヒートパイプ５は全て直線的に配置する必要はない。ヒートパイプ５は略直線状部分を有しており、略直線状部分はバックシャーシ２に略水平方向に半田付けされる。
【００４１】
図３から図５に示した態様においても、柱状部材３の片側または両側に沿って、複数の放熱フィン４、または、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４を配置すると、発光素子の熱がバックシャーシ２を介して放熱フィン４に伝わり、温まった空気が薄型ディスプレイの垂直方向に沿って上方に流れ、冷たい空気が薄型ディスプレイの下部から流れ込み、空気の自然対流が起きる。これによって、放熱フィンに伝わった熱が効率よく大気中に放散される。
【００４２】
図６は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。図６に示すように、この態様では、複数の放熱フィン４がバックシャーシ２の両側部に、柱状部材３に沿って配置されている。放熱フィン４にはヒートパイプ５の受熱部が熱的に接続され、バックシャーシ２の表面には、長さの異なる複数のヒートパイプ５が半田付けされている。ヒートパイプ５は、LED光源の配列に沿って配置され、一部はバックシャーシ２の中央部に延伸している。複数の放熱フィン４を柱状部材３に沿って配置する代わりに、バックシャーシ２の両側部にそれぞれ、薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一の長さの放熱フィン４を配置してもよい。
【００４３】
上述した放熱フィン４が底面部８、垂直面部９および上面部１０からなる概ねコの字形の金属部材からなり、放熱フィン４が柱状部材３との間で中空空間を形成するように配置されて、底面部８がバックシャーシに半田付けされていてもよい。
【００４４】
図８は、概ねコの字形の金属部材からなる放熱フィンを説明する図である。図８に示すように、放熱フィン４は、底面部８、垂直面部９および上面部１０からなる概ねコの字形からなっている。個々の放熱フィンは、固定部材または相互に嵌合される爪部、爪受け部１１によって固定される。このように形成された断面概ねコの字形の放熱フィン４を柱状部材３に沿って配置すると、柱状部材との間で中空空間を形成し、空気の自然対流を容易にすることができる。
【００４５】
上述したように、薄型ディスプレイのバックライト装置に使用されている、各種基板等の変形を抑制し、これらを保護するバックシャーシの裏面（外側）に直接熱的にヒートシンクを接続するので、バックシャーシの他方の面に取り付けられている、光源としての発光素子の熱を効率的に放熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】図１は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの１つの態様を説明する図である。
【図２】図２は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの別の態様を示す図である。
【図３】図３は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図４】図４は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図５】図５は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図６】図６は、この発明の薄型ディスプレイ用のヒートシンクの他の１つの態様を説明する図である。
【図７】図７は、断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなる放熱フィンを説明する図である。
【図８】図８は、概ねコの字形の金属部材からなる放熱フィンを説明する図である。
【符号の説明】
【００４７】
１ 薄型ディスプレイ用のヒートシンク
２ バックシャーシ
３ 柱状部材
４ 放熱フィン
５ ヒートパイプ
６ 底面部
７ 垂直面部
８ 底面部
９ 垂直面部
１０ 上面部
１１ 爪部、爪受け部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項２】
前記バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、前記ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、前記放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされている、請求項１に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項３】
前記ヒートシンクは、一部が前記放熱フィンに熱的に接続された少なくとも一つのヒートパイプを備えており、前記ヒートパイプは前記バックシャーシに半田付けされている、請求項１または２に記載の、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項４】
前記ヒートパイプは略直線状部分を有しており、前記略直線状部分は前記バックシャーシに略水平方向に半田付けされている、請求項３記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項５】
前記バックシャーシは、強度を補完する複数の柱状部材を備えており、前記放熱フィンを複数個、前記柱状部材の近傍に沿って配置し、前記ヒートパイプが複数の前記放熱フィンに熱的に接続されている、請求項３または４に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項６】
薄型ディスプレイ装置の正面側に複数個のLED光源が配置されており、前記LED光源の配列に沿って前記ヒートパイプが配置されている、請求項３から５の何れか１項に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項７】
前記放熱フィンの長さが前記薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一で、前記柱状部材に沿って配置されている、請求項２から６の何れか１項に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項８】
前記放熱フィンが底面部と垂直面部からなる断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなっており、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、請求項２に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項９】
前記放熱フィンが底面部、垂直面部および上面部からなる概ねコの字形の金属部材からなり、前記放熱フィンが前記柱状部材との間で中空空間を形成するように配置されて、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、請求項２に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項１０】
前記ヒートパイプが前記バックシャーシの前記基板側に配置されている、請求項３から９の何れか１項に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項１１】
請求項１から１０の何れか１項に記載のヒートシンクが備わった、薄型ディスプレイ装置。
【請求項１】
薄型ディスプレイ装置の背面側に配置されて、各種基板等の変形を抑制するバックシャーシに直接熱的に接続されたヒートシンクを備え、発光素子の熱を放熱する、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項２】
前記バックシャーシが亜鉛メッキ鋼板製であり、前記ヒートシンクは少なくとも一つの放熱フィンを備え、前記放熱フィンの一部がバックシャーシに半田付けされている、請求項１に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項３】
前記ヒートシンクは、一部が前記放熱フィンに熱的に接続された少なくとも一つのヒートパイプを備えており、前記ヒートパイプは前記バックシャーシに半田付けされている、請求項１または２に記載の、薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項４】
前記ヒートパイプは略直線状部分を有しており、前記略直線状部分は前記バックシャーシに略水平方向に半田付けされている、請求項３記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項５】
前記バックシャーシは、強度を補完する複数の柱状部材を備えており、前記放熱フィンを複数個、前記柱状部材の近傍に沿って配置し、前記ヒートパイプが複数の前記放熱フィンに熱的に接続されている、請求項３または４に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項６】
薄型ディスプレイ装置の正面側に複数個のLED光源が配置されており、前記LED光源の配列に沿って前記ヒートパイプが配置されている、請求項３から５の何れか１項に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項７】
前記放熱フィンの長さが前記薄型ディスプレイ装置の垂直方向の長さと概ね同一で、前記柱状部材に沿って配置されている、請求項２から６の何れか１項に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項８】
前記放熱フィンが底面部と垂直面部からなる断面形状が概ねＬ字形の金属部材からなっており、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、請求項２に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項９】
前記放熱フィンが底面部、垂直面部および上面部からなる概ねコの字形の金属部材からなり、前記放熱フィンが前記柱状部材との間で中空空間を形成するように配置されて、前記底面部が前記バックシャーシに半田付けされている、請求項２に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項１０】
前記ヒートパイプが前記バックシャーシの前記基板側に配置されている、請求項３から９の何れか１項に記載の薄型ディスプレイ用のヒートシンク。
【請求項１１】
請求項１から１０の何れか１項に記載のヒートシンクが備わった、薄型ディスプレイ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００９−２３０９９２（Ｐ２００９−２３０９９２Ａ）
【公開日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−７３７９３（Ｐ２００８−７３７９３）
【出願日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【出願人】（０００００５２９０）古河電気工業株式会社 (4,457)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１０月８日（２００９．１０．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【出願人】（０００００５２９０）古河電気工業株式会社 (4,457)
【Ｆターム（参考）】
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