説明

薬液塗布器具キット

【課題】高い止血効果を得ることができる薬液塗布器具キットを提供することである。
【解決手段】薬液塗布器具キットは、第1薬液および第2薬液を各々同一容量収容し、第1薬液の一部を個別に塗布対象部位に塗布した後、第2薬液と残りの第1薬液とを塗布対象部位に同時にかつ均等に混合塗布するための薬液塗布器具キットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液塗布器具キットに関し、特に、複数の薬液を塗布するための薬液塗布器具キットである。
【背景技術】
【0002】
臨床現場において早期に止血を達成するために生体組織接着剤が用いられている。生体組織接着剤は、たとえば、フィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液とを混合させることで形成することができる。
【0003】
そして、従来からフィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液とを混合させる機器が各種提案されている。
【0004】
たとえば、特開2001−157716号公報に記載された生体組織接着剤塗布装置は、同一の大きさを有する2つのシリンジと、この2つのシリンジを保持するバレルホルダと、シリンジのシリンジノズルに装着されたスプレーヘッドとを備える。
【0005】
この特開2001−15716号公報に記載された生体組織接着剤塗布装置においては、一方のシリンジにフィブリノゲン含有溶液が充填され、他方のシリンジにトロンビン含有溶液が充填される。そして、スプレーヘッドの2つの先端ノズルから各溶液が噴射される。噴射された各溶液は、大気中で混合して患部に吹き付けられる。
【0006】
特開平8−10329号公報に記載された2成分混合物を噴霧する装置は、フィブリノゲン溶液が満たされる注射筒と、トロンビン溶液が満たされた注射筒と、各注射筒の先端部が挿入される孔部が形成されたY字接続片と、注射筒を保持する注射筒ホルダと、Y字接続片の先端部に装着されるスプレーヘッドとを備える。
【0007】
特開平10−277160号公報に記載された注射器組立体は、第1注射器と、第1注射器よりも大きい注射器と、マニーホールドとして機能する指リング組立体とを備える。
【0008】
第2注射器には、血小板を多く含む製品が充填され、第1注射器には、トロンビン/アクティベータが充填される。
【0009】
指リング組立体は、第1注射器の端部を受け入れるポートと、第2注射器の端部を受け入れるポートと、血小板を多く含む製品とトロンビン/アクティベータとが混合する混合室と、混合物が噴射されるポートとが形成されている。国際公開第01/47571号には、薬液の貯留方法などが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−157716号公報
【特許文献2】特開平8−10329号公報
【特許文献3】特開平10−277160号公報
【特許文献4】国際公開第01/47571号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、従来の生体組織接着剤塗布装置を用いて、患部にフィブリノゲンを含有する溶液と、トロンビンを含有する溶液とを同時に吹き付けた場合に、十分な止血効果を得ることができないという問題があった。
【0012】
発明者等は、鋭意努力の結果、従来のようにフィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液との混合液を患部に吹き付ける場合よりも、予め、フィブリノゲンを含有する溶液を患部にしみ込ませた後、フィブリノゲン溶液およびトロンビン溶液を患部に吹き付けた方が高い止血効果を得ることができることを見出した。具体的には、本薬液塗布器具キットを用いて、予め患部にフィブリノゲンを含有する溶液を擦り込ませたときの出血量は、フィブリノゲンを含有する溶液を予め擦り込ませないときの出血量と比較して、二分の一から三分の一程度に抑えることができる。実験データは次の通りである。人工血管に針穴を開け、各塗布方法で塞いだ後、加圧して針穴から生食が漏れた圧を耐圧力として測定した結果、スプレー法、及び擦り込みスプレー法の耐圧力は、それぞれ98±35、207±26[mmHg(mean±SD)]であり、2倍近い耐圧力を認めた。
【0013】
しかしながら、フィブリノゲン溶液およびトロンビン溶液が等量調製される生体組織接着剤において、予めフィブリノゲン溶液を抜き取ってしまうと、同径シリンジの使用ではプランジャの位置がずれてしまい、2液を均等に混合できず、均一なゲルを形成することができなかった。また、2本のシリンジにフィブリノゲン溶液を抜き取る作業に手間がかかり、緊急時の手術で時間を要してしまうという課題も存在した。
【0014】
したがって、本発明は、上記のような新たな薬液の塗布方法を達成し、かつ利便性上の課題を克服するための薬液塗布器具キットを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る薬液塗布器具キットは、第1薬液および第2薬液を各々同一容量収容し、第1薬液の一部を個別に塗布対象部位に塗布した後、第2薬液と残りの第1薬液とを塗布対象部位に同時にかつ均等に混合塗布するための薬液塗布器具キットである。薬液塗布器具キットは、第1薬液を貯留可能な第1シリンジと、第1薬液を貯留可能な擦り込み用シリンジと、第1シリンジの径よりも大径とされ、第2薬液を貯留可能な第2シリンジと、第1シリンジおよび第2シリンジが接続される薬液ヘッドとを備える。
【0016】
好ましくは、上記擦り込み用シリンジと第1シリンジとを接続して、第1薬液を移し替える第1コネクタ部材をさらに備える。
【0017】
好ましくは、薬液塗布器具キットは、上記第1シリンジを受け入れ可能な第1バレル受入部と、第2シリンジを受け入れ可能な第2バレル受入部とを含むホルダをさらに備える。好ましくは、薬液塗布器具キットは、上記第1薬液が収容された容器から抜き取った第1薬液を貯留可能な抜取り用シリンジと擦り込み用シリンジとを接続して、抜取り用シリンジから擦り込み用シリンジに第1薬液を移し替える第2コネクタ部材とをさらに備える。
【0018】
好ましくは、上記液ヘッドは、第1シリンジからの第1薬液が流通する第1流路と、第2シリンジからの第2薬液が流通する第2流路と、第1流路および第2流路が接続された環状の環状通路と、環状通路と接続され、第1薬液および第2薬液を混合させる混合室と、混合室に形成され、第1薬液および第2薬液の混合液を吐出する吐出口とを含む。
【0019】
好ましくは、薬液塗布器具キットは、混合室と環状通路との接続部分に位置する第1接続管と、混合室と環状通路との接続部分に位置する第2接続管とをさらに備える。上記混合室の内周面は、円弧状に形成され、第1接続管は、混合室の内周面の接線方向に延びる。上記第2接続管は、混合室に対して第1接続管と反対側に設けられると共に混合室の内周面の接線方向に延びる。
【0020】
好ましくは、上記薬液ヘッドは、ヘッド部本体と、ヘッド部本体に設けられ、第1シリンジの先端部が接続される第1接続部と、ヘッド部本体に設けられ、第2シリンジの先端部が接続される第2接続部とを含む。上記薬液ヘッドは、ヘッド部本体に設けられると共に第1接続部に接続され、第1薬液が流通する第1管部と、ヘッド部本体に設けられると共に第2接続部に接続され、第2薬液が流通する第2管部と、第1管部が接続された第1開口部および第2管部が接続された第2開口部が形成されたノズル部と、ヘッド部本体に接続され、外部に設けられたガス供給部からガスが供給されるガス供給管と含む。
【0021】
上記第1開口部から吐出される第1薬液は、ガス供給管から供給されたガスと共に、外部に噴き出され。上記第2開口部から吐出される第2薬液は、ガス供給管から供給されたガスと共に、外部に噴き出される。
【0022】
好ましくは、上記第1バレル受入部の内径と、第2バレル受入部の内径とは同径とされる。上記第1シリンジの外周には、第1シリンジの径と第2シリンジの径との差を埋めるリブが形成される。
【0023】
好ましくは、上記第1バレル受入部の内周面には、リブが形成される。上記リブは、第1バレル受入部が第2バレル受入部の受け入れるシリンジと径の異なるシリンジを受入れ可能とされる。
【0024】
好ましくは、上記擦り込み用シリンジのノズル部の先端部に着脱可能に設けられたノズル部材をさらに備える。好ましくは、薬液塗布器具キットは、上記記第1シリンジ、第2シリンジ、およびホルダとの少なくとも1つと、擦り込み用シリンジとを連結する連結ベルトとをさらに備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る薬液塗布器具キットによれば、患部に予めフィブリノゲンを含有する溶液を塗布した後、フィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液との混合液を患部に塗布するための薬液塗布器具と、この薬液塗布器具を組み立てるために必要な薬液塗布器具キットを提供することによって、高い止血効果を得ることができる。
【0026】
また、上記のようにフィブリノゲン溶液が予め投与されるため、第1シリンジと第2シリンジで液量が異なる。そこで、発明者等は、各シリンジの径に差を持たせることで、シリンジ内の液量が異なる場合であっても各シリンジのヨークが同位置となるシリンジセットを開発した。加えて、径の異なるシリンジが第1バレル受入部と第2バレル受入部のどちらにも装着可能となるように、バレル受入部の内周面にリブを形成させたホルダを開発した。その結果、均一なフィブリンゲルを最後まで形成することができ、安定的に高い止血効果を生み出すことができる。また、医療現場で緊急時の手術の際にでも、簡便でかつ短時間で擦り込み・塗布することができる。さらに、準備操作の過誤を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態に係る薬液塗布器具キット1を示す平面図である。
【図2】図1に示す薬液塗布器具キット1を組み立てて形成された薬液塗布器具500を示す平面図である。
【図3】薬液塗布器具500を組み立てる際の第1手順を示す側面図である。
【図4】薬液塗布器具500を組み立てる際の第2手順を示す側面図である。
【図5】薬液塗布器具500を組み立てる際の第3手順を示す側面図である。
【図6】薬液塗布器具500を組み立てる際の第4手順を示す側面図である。
【図7】ノズル部191の断面図である。
【図8】突起部251を示す断面図である。
【図9】図8の矢印IX方向から見た突起部251の正面図である。
【図10】本体部192の断面図である。
【図11】図10に示すXI方向から端壁部253の内表面を示す平面図である。
【図12】ノズル部191の先端部を示す拡大断面図である。
【図13】ノズルヘッド190の第1変形例を示す平面図である。
【図14】ノズルヘッドの第2変形例を示す平面図である。
【図15】送気チューブ420を示す平面図である。
【図16】ノズルヘッド190の第3変形例を示す斜視図である。
【図17】図16に示すノズルヘッド190の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1から図17を用いて、本実施の形態に係る薬液塗布器具キット1について説明する。図1は、本実施の形態に係る薬液塗布器具キット1を示す平面図である。この図1に示す状態においては、薬液塗布器具キット1を構成する複数の器具は、収容ケース2内に収容されている。
【0029】
この薬液塗布器具キット1は、臨床現場において、早期止血を達成するために患部(塗布対象部位)にフィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液との混合液を塗布するための器具である。特に、フィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液との混合液を塗布する前に、患部にフィブリノゲンを含有する溶液を予め塗布することができる器具である。
そこで、まず、薬液塗布器具キット1について説明する。
【0030】
薬液塗布器具キット1は、第1シリンジ100と、擦り込み用シリンジ120と、コネクタ部材140と、コネクタ部材150と、ホルダ170と、ノズルヘッド190と、押圧プレート200と、アプライノズル210と、保護筒部220と、連結ベルト230と、第2シリンジ300とを備える。なお、薬液塗布器具キット1は、たとえば、収容ケース2に収容される。
【0031】
第1シリンジ100は、筒状のバレル101と、バレル101の一端に形成されたノズル部102と、バレル101の他端に形成されたフランジ106と、バレル101内に設けられたガスケット103と、一端にガスケット103が設けられたプランジャ104と、プランジャ104の他端に形成され板状のヨーク105とを含む。
【0032】
バレル101の外周面には、リブ107がバレル101の周方向に間隔をあけて複数形成されている。リブ107は、フランジ106からノズル部102に向けて延びている。
【0033】
擦り込み用シリンジ120は、筒状に形成されたバレル121と、バレル121の一端に形成されたノズル部122と、バレル121の他端に形成されたフランジ126と、バレル121内に設けられたガスケット123と、一端にガスケット123が設けられたプランジャ124と、プランジャ124の他端に形成されたヨーク125とを含む。
【0034】
コネクタ部材140は、本体部141と、本体部141の一端に設けられた接続部142と、本体部141の他端に設けられた接続部143とを含む。接続部142は、後述する抜取り用シリンジのノズル部に着脱可能なように接続可能とされ、接続部143は、第1シリンジ100のノズル部102に着脱可能なように接続可能とされている。
【0035】
コネクタ部材150は、本体部151と、本体部151の一端に設けられた接続部152と、本体部151の他端に設けられた接続部153とを含む。接続部152は、抜取り用シリンジのノズル部に着脱可能なように接続可能とされ、接続部153は擦り込み用シリンジ120のノズル部122に着脱可能なように接続可能とされている。
【0036】
ホルダ170は、本体部171と、支持プレート172と、本体部171および支持プレート172を接続する軸部173とを含む。本体部171と、支持プレート172との間には隙間178が形成されている。
【0037】
本体部171には、溝状に形成されたバレル受入部174と、溝状に形成されたバレル受入部175とが形成されている。なお、本体部171には、突起状の係止部179が形成されている。支持プレート172には、プランジャ受入部176と、プランジャ受入部177とが形成されている。
【0038】
バレル受入部174は、後述する大径の第2シリンジのバレルを装着可能なように形成されている。この大径の第2シリンジのバレルの外径は、第1シリンジ100のバレル101の外径よりも大径とされている。
【0039】
プランジャ受入部176には、第2シリンジのプランジャが配置される。バレル受入部174とプランジャ受入部176との間に位置する隙間178には、第2シリンジのフランジ部305が装着される。
【0040】
バレル受入部175は、第1シリンジ100のバレル101が装着可能なように形成され、プランジャ受入部177には、第1シリンジ100のプランジャ104が配置される。バレル受入部175とプランジャ受入部177との間に位置する隙間178には、フランジ106が配置される。
【0041】
ノズルヘッド190は、ノズル部191と、ノズル部191に接続された本体部192と、本体部192に形成された接続部193および接続部194とを含む。接続部193は、大径の第2シリンジのノズル部と接続可能とされ、接続部194は、第1シリンジ100のノズル部102と接続可能とされている。
【0042】
押圧プレート200には、大径の第2シリンジのヨークが装着される溝部201と、第1シリンジ100のヨーク105が装着される溝部202とが形成されている。
【0043】
アプライノズル210は、擦り込み用シリンジ120の先端部に装着可能とされており、保護筒部220は、アプライノズル210に装着され、アプライノズル210を保護する。
【0044】
連結ベルト230は、第1シリンジ100のバレル101と係合するハンド部231と、擦り込み用シリンジ120のバレル121と係合するハンド部232と、ハンド部231およびハンド部232を連結する帯部233とを含む。第2シリンジ300は、筒状のバレル301と、バレル301の一端に形成されたノズル部304と、バレル301の他端に形成されたフランジ部305と、バレル301内に収容されたガスケット302と、一端がガスケット302に接続されたプランジャ303とを含む。プランジャ303の他端には、板状のヨーク306が形成されている。
【0045】
図2は、図1に示す薬液塗布器具キット1を組み立てて形成された薬液塗布器具500を示す平面図である。
【0046】
図2に示す薬液塗布器具500は、フィブリノゲンを含有する溶液を予め患部に塗布し、その後、患部にフィブリノゲンを含有する溶液とトロンビンを含有する溶液との混合液を吹き付けることができる。
【0047】
薬液塗布器具500は、ホルダ170と、ホルダ170に装着された大径の第2シリンジ300と、ホルダ170に装着された第1シリンジ100と、第2シリンジ300のノズル部および第1シリンジ100のノズル部に装着されたノズルヘッド190とを含む。さらに、薬液塗布器具500は、各シリンジのヨークに装着された押圧プレート200と、擦り込み用シリンジ120と、第1シリンジ100および擦り込み用シリンジ120を連結する連結ベルト230とを含む。
【0048】
なお、この図2に示す状態においては、擦り込み用シリンジ120および第1シリンジ100内にフィブリノゲンを含有する溶液が充填されている。たとえば、擦り込み用シリンジ120内には、たとえば、2mlのフィブリノゲンを含有する溶液が充填され、第1シリンジ100内には、3mlのフィブリノゲンを含有する溶液が充填される。
【0049】
第2シリンジ300内には、トロンビンを含有する溶液が充填され、たとえば、5mlのトロンビンを含有する溶液が充填される。
【0050】
この薬液塗布器具500によれば、擦り込み用シリンジ120に充填されたフィブリノゲンを含有する溶液を患部に塗布した後、押圧プレート200を押圧して、第2シリンジ300内のトロンビンを含有する溶液と第1シリンジ100内のフィブリノゲンを含有する溶液との混合液をノズルヘッド190から患部に吹き付けることができる。
【0051】
上記のように構成された薬液塗布器具500の組み立て方法について、図3から図6を用いて説明する。なお、第1シリンジ100および擦り込み用シリンジ120を準備する手順と、第2シリンジ300を準備する手順とは、別の手順で行われる。そこで、まず、第1シリンジ100および擦り込み用シリンジ120を準備する手順について説明する。
【0052】
図3は、薬液塗布器具500を組み立てる際の第1手順を示す側面図である。この図3において、瓶620と、抜き取り用シリンジ600と、コネクタ610とを準備する。
【0053】
瓶620内には、フィブリノゲン凍結乾燥粉末が貯留されている。抜き取り用シリンジ600は、バレル601と、バレル601内に設けられたガスケット602と、一端がガスケット602に接続されたプランジャ603とを含む。バレル601内には、フィブリノゲン溶解液が充填されている。
【0054】
そして、抜き取り用シリンジ600のノズル部にコネクタ610の一端を装着し、コネクタ610の他端に瓶620を接続する。
【0055】
プランジャ603を押し、バレル601内のフィブリノゲン溶解液を瓶620内に供給し、フィブリノゲンを含有する溶液が形成される。
【0056】
瓶620内にフィブリノゲンを含有する溶液を形成した後、プランジャ603を引き、瓶620内の溶液をバレル601内に引き抜く。
【0057】
そして、抜き取り用シリンジ600からコネクタ610を外し、図4に示すように、コネクタ部材140を用いて、抜き取り用シリンジ600と、第1シリンジ100とを接続する。
【0058】
具体的には、抜き取り用シリンジ600のノズル部604にコネクタ部材140の接続部142を接続し、第1シリンジ100のノズル部102にコネクタ部材140の接続部143を接続する。
【0059】
そして、バレル601内に充填されたフィブリノゲンを含有する溶液の一部を第1シリンジ100に移す。たとえば、第1シリンジ100には、3mlのフィブリノゲンを含有する溶液が移される。フィブリノゲンを含有する溶液の一部を第1シリンジ100に移した後、コネクタ部材140を取り外す。
【0060】
次に、図5に示すように、抜き取り用シリンジ600のノズル部604にコネクタ部材150の接続部152を装着し、さらに、擦り込み用シリンジ120のノズル部122にコネクタ部材150の接続部153を装着する。
【0061】
そして、バレル601内のフィブリノゲンを含有する溶液を擦り込み用シリンジ120に移す。
【0062】
このようにして、フィブリノゲンを含有する溶液が充填された第1シリンジ100および擦り込み用シリンジ120を準備することができる。
【0063】
なお、抜き取り用シリンジ600に抜き取られたフィブリノゲンを含有する溶液を擦り込み用シリンジ120に移した後、第1シリンジ100に抜き取り用シリンジ600内のフィブリノゲンを含有する溶液を移してもよい。
【0064】
また、擦り込み用シリンジ120を用意せず、抜き取り用シリンジ600を擦り込み用シリンジとして使用してもよい。この場合、抜き取り用シリンジ600から第1シリンジ100に抜き取り用シリンジ600内のフィブリノゲンを含有する溶液を移す操作のみで第1シリンジおよび擦り込み用シリンジ(抜き取り用シリンジの転用)を準備することができる。一方、擦り込み用シリンジとして新たに小容量かつ小径のものを用いた方が施術上の操作勝手がよく、好ましい。
【0065】
次に、図6を用いて、第2シリンジ300を準備する手順について説明する。図6において、瓶720と、コネクタ710と、第2シリンジ300とを準備する。
【0066】
瓶720内には、トロンビン凍結乾燥粉末が収められている。第2シリンジ300のバレル301内には、トロンビン溶解液が充填されている。
【0067】
そして、コネクタ710の一端を瓶720に装着し、コネクタ710の他方端を第2シリンジ300のノズル部304に接続する。
【0068】
その後、プランジャ303を押圧して、バレル301内のトロンビン溶解液を瓶720内に注入する。これにより、瓶720内にトロンビンを含有する溶液が形成される。
【0069】
トロンビンを含有する溶液を形成した後、プランジャ303を引くことで、瓶720内のトロンビンを含有する溶液をバレル301内に引き抜く。たとえば、バレル301内には、5mlのトロンビンを含有する溶液が充填される。第2シリンジ300内にトロンビンを含有する溶液を供給した後、ノズル部304からコネクタ710を取り外す。
【0070】
そして、図2に示すように、トロンビンを含有する溶液が充填された第2シリンジ300をホルダ170のバレル受入部174に装着する。図2において、フィブリノゲンを含有する溶液が充填された第1シリンジ100をホルダ170のバレル受入部175に装着する。
【0071】
この際、第2シリンジ300のフランジ部305は、図1に示す本体部171と、支持プレート172との間の隙間178に挿入され、第1シリンジ100のフランジ106も、隙間178に挿入される。
【0072】
そして、図2において、第2シリンジ300のノズル部304に、ノズルヘッド190の接続部193を接続し、第1シリンジ100のノズル部102に接続部194を接続する。固定バンド195に形成された穴部に係止部179を挿入して、ノズルヘッド190をホルダ170に固定する。
【0073】
ここで、バレル301の外径は、バレル101の外径よりも大きい一方で、バレル301内に充填された溶液は、バレル101内に充填された溶液よりも容量が多いため、ガスケット302およびガスケット103の位置が薬液塗布器具500の幅方向に揃っている。同様に、ヨーク306およびヨーク105の位置も薬液塗布器具500の幅方向に揃っている。このため、ヨーク306およびヨーク105に押圧プレート200を装着することができる。
【0074】
その一方で、擦り込み用シリンジ120のノズル部122にアプライノズル210を装着し、さらに、連結ベルト230で擦り込み用シリンジ120と第1シリンジ100とを連結する。このようにして、薬液塗布器具500を組み立てることができる。
【0075】
このように組み立てられた薬液塗布器具500においては、擦り込み用シリンジ120に充填されたフィブリノゲンを含有する溶液を患部に塗布する。この際、図示しないブラシなどで、フィブリノゲンを含有する溶液を患部に染込ませてもよく、当該ブラシを薬液塗布器具キット1に加えてもよい。
【0076】
その後、押圧プレート200を押圧することで、第2シリンジ300内のトロンビンを含有する溶液と、第1シリンジ100内のフィブリノゲンを含有する溶液とをノズルヘッド190内で混合させて、その後、混合液をノズル部191の先端部から患部に向けて吹き付ける。
【0077】
ここで、図1および図2において、バレル受入部174およびバレル受入部175は、円弧状に形成されており、各受入部の内径は、実質的に同一である。
【0078】
第1シリンジ100のバレル101は、第2シリンジ300のバレル301よりも小径とされている一方で、バレル101には、複数のリブ107が形成されている。このリブ107がバレル101の外周面とバレル受入部175の内周面との間を埋めることで、第1シリンジ100をバレル受入部175に良好に嵌めることができる。すなわち、リブ107は、小径とされたバレル101の外径と、大径とされたバレル301の外径との差を埋めるように、バレル101の外周面に設けられている。
【0079】
そして、バレル受入部174に装着される第2シリンジ300は、一般的に用いられるシリンジが採用されており、バレル受入部175にも、第2シリンジ300を装着することができる。
【0080】
このように、バレル受入部174およびバレル受入部175の内径が一致しているため、バレル受入部175にも、第2シリンジ300と同径のシリンジを装着することができる。このため、仮に、擦り込み用シリンジ120を用いない場合においても、同量のフィブリノゲン含有溶液とトロンビン含有溶液とを患部に供給することができる。
【0081】
なお、図1および図2に示す例においては、第1シリンジ100にリブを形成するようにしているが、バレル受入部175の内周面にリブを形成するようにしてもよい。バレル受入部175の内周面にリブを形成した場合には、第1シリンジ100の外周面にリブ107を形成する必要がなくなり、汎用性のあるシリンジをバレル受入部175に装着することができる。この際、バレル受入部174に装着される第2シリンジ300の外径と、リブが形成されたバレル受入部175に装着されるシリンジの外径とは異なる。ここで、図7から図11を用いて、ノズル部191の構造および各溶液の流れについて説明する。図7は、ノズル部191の断面図である。
【0082】
ノズル部191は、第2シリンジ300からのトロンビンを含有する溶液が流通するトロンビン流通路260と、第1シリンジ100からのフィブリノゲンを含有する溶液が流通するフィブリノゲン流通路261とを含む。ノズル部191は、トロンビン流通路260およびフィブリノゲン流通路261が接続された環状通路263と、環状通路263に接続された混合室264と、混合室264に形成された吐出口265とを含む。
【0083】
環状通路263において、トロンビンを含有する溶液と、フィブリノゲンを含有する溶液とが混ざり合い、その後、混合室264内でさらに、各溶液同士が混ざり合う。そして、混合室264内で生成された混合液は、吐出口265から患部に向けて噴出される。
【0084】
このように、トロンビンを含有する溶液と、フィブリノゲンを含有する溶液とは、吐出口265の直近で混合し、混合した直後に吐出口265から外部に排出されるため、ノズル部191内で混合液が凝固することを抑制することができる。
【0085】
ノズル部191は、有底筒状に形成されたカバーケース250と、このカバーケース250内に挿入され、本体部192から突出する突起部251とを含む。
【0086】
トロンビン流通路260は、突起部251内に形成された通路270および通路271と、カバーケース250の内周面および突起部251の外周面の間に形成された通路274とを含む。
【0087】
なお、通路271は、通路270に対して溶液の流通方向下流側に位置しており、通路274は、通路271に対して溶液の流通方向下流側に配置されている。
【0088】
フィブリノゲン流通路261は、突起部251内に形成された通路275および通路276と、カバーケース250の内周面および突起部251の間に形成された通路278とを含む。
【0089】
なお、通路276は、通路275に対して溶液の流通方向下流側に配置されており、通路278は、通路275に対して溶液の流通方向下流側に配置されている。
【0090】
環状通路263は、突起部251の先端部と、カバーケース250の内周面との間に形成されており、トロンビン流通路260およびフィブリノゲン流通路261の下流側の端部を繋ぐように環状に形成されている。混合室264は、端壁部253の内周面に凹部状に形成されている。
【0091】
なお、環状通路263と混合室264との間には、環状通路263および混合室264を接続する接続通路が設けられているが、当該接続通路については後述する。
【0092】
図8は、突起部251を示す断面図である。この図8に示すように、突起部251の外表面のうち、通路271より溶液の流通方向下流側に位置する部分には、溝部272が形成されている。同様に、突起部251の外表面のうち、通路276より溶液の流通方向下流側に位置する部分には、溝部277が形成されている。突起部251の先端部には、環状に延びるテーパ面273が形成されている。
【0093】
突起部251がカバーケース250内に挿入されることで、溝部272と周壁部254との間に通路274が形成される。同様に、溝部277と周壁部254との間に通路278が形成される。また、周壁部254と端壁部253とテーパ面273とによって、環状通路263が形成される。
【0094】
図9は、図8の矢印IX方向から見た突起部251の正面図である。この図9に示すように、通路271の端部の一部が溝部272に開口しており、通路276の端部の一部が溝部277に開口している。そして、テーパ面273は環状に形成されており、溝部272の端部と溝部277の端部とは、テーパ面273によって接続されている。
【0095】
図10は、本体部192の断面図であり、図11は、図10に示すXI方向から端壁部253の内表面を示す平面図である。
【0096】
図10において、端壁部253の中央部に、凹部状の混合室264が形成され、混合室264と吐出口265との間には、細管部266が形成されている。
【0097】
図11および図10に示すように、混合室264は円柱状に形成されている。細管部266は、混合室264側から吐出口265側に向けて径が小さくなるように形成されている。
【0098】
端壁部253の内周面には、混合室264に接続された接続溝267と、混合室264に対して接続溝267と反対側に位置する接続溝268とを含む。
【0099】
図11に示すように、接続溝267は、円弧状に形成された混合室264の内周面の接線方向に延び、接続溝268も、円弧状に形成された混合室264の内周面の接線方向に延びるように形成されている。
【0100】
そして、図12に示すように、カバーケース250内に突起部251が挿入されることで、通路276と突起部251の先端部とによって、接続通路280が形成され、接続溝268と突起部251の先端部とによって、接続通路281が形成される。接続通路280および接続通路281は、環状通路263と混合室264とを接続する。
【0101】
このため、通路274内を流れるトロンビンを含む溶液と、通路278内を流れるフィブリノゲンを含む溶液とが、環状通路263内で混ざり合い、混ざり合った混合液が接続通路280および接続通路281を通って、混合室264内に入り込む。
【0102】
そして、図11において、接続通路280および接続通路281は、混合室264の内周面の接線方向から混合室264内に入り込む。このため、混合液は、混合室264内で渦を巻くように流れ、フィブリノゲンを含む溶液と、トロンビンを含む溶液とがさらに攪拌され、互いによく混ざる。その後、図12に示す細管部266をとおり、吐出口265から患部に向けて噴出される。
【0103】
このように、図1などに示すノズルヘッド190によれば、フィブリノゲンを含む溶液と、トロンビンを含む溶液とを良好に混合することができると共に、各溶液は、吐出口265の直前で混ぜられるため、ノズル部191内で混合液が凝固することを抑制することができる。このため、ノズル部191内で目詰まりを起こすことを抑制することができる。なお、ノズルヘッド190としては、各種のノズルヘッド190を採用することができる。
【0104】
図13は、ノズルヘッド190の第1変形例を示す平面図である。この図13に示す例においても、ノズルヘッド190は、本体部192と、本体部192に設けられた接続部193および接続部194とを含む。さらに、このノズルヘッド190は、本体部192に接続された流通管400および流通管401と、固定バンド195と、流通管400および流通管401を拘束する拘束部402と、拘束部402の先端部に設けられたノズル部191とを含む。
【0105】
図14は、ノズルヘッドの第2変形例を示す平面図である。この図14に示すノズルヘッドは、略三角形状に形成されたボディ部410と、ボディ部410に設けられた接続部193および接続部194と、固定バンド195とを含む。
【0106】
ボディ部410内には、接続部193に接続された流通管412と、接続部194に接続された流通管413とが形成されている。ボディ部410は、先端部に設けられたノズル部411を含み、このノズル部411の端面には、流通管412に接続された吐出口414と、流通管413に接続された吐出口415とが形成されている。
【0107】
このように、図14に示されたノズルヘッドにおいては、ノズルヘッド内では、フィブリノゲンを含む溶液と、トロンビンを含む溶液とは混合されずに、患部に塗布される。このため、ボディ部410内でフィブリノゲンを含む溶液と、トロンビンを含む溶液との混合液が凝固することを抑制することができる。
【0108】
なお、図15は、送気チューブ420を示す平面図であり、この送気チューブ420を薬液塗布器具キット1を構成する器具として加えてもよい。送気チューブ420は、管部421と、管部421の一方端に設けられた接続部422と、管部421の他方端に設けられた接続部433とを含む。
【0109】
この送気チューブ420は、たとえば、図16に示すノズルヘッドに用いられる。図16は、ノズルヘッド190の第3変形例を示す斜視図であり、図17は、図16に示すノズルヘッド190の断面図である。
【0110】
図16に示す例においては、ノズルヘッド190は、ヘッド部本体321と、ヘッド部本体321に設けられた接続部325,335と、ヘッド部本体321に設けられたノズル部322,332と、ヘッド部本体321に設けられた無菌ガス供給管328とを含む。
【0111】
接続部325には、上記図2に示す第1シリンジ100のノズル部102が接続され、接続部335には第2シリンジ300のノズル部304が接続される。
【0112】
無菌ガス供給管328には、図15に示す送気チューブ420の接続部433が接続される。なお、送気チューブ420の接続部422は、送気ガス供給装置に接続される。この送気ガス供給装置には、ガス流量調節器(レギュレータ)が設けられており、接続部422は、このガス流量調節器に接続される。
【0113】
図17に示すように、接続部325内には、第1シリンジ100のノズル部102の少なくとも一部が挿入されるノズル挿入部326が設けられている。接続部335内には、図2に示す第2シリンジ300のノズル部304の少なくとも一部が挿入されるノズル挿入部336が設けられている。ヘッド部本体321は中空状に形成されている。無菌ガス供給管328は、ヘッド部本体321内と連通している。
【0114】
ノズル部322およびノズル部332は、中空筒状に形成されている。ノズル部322の内周面には、複数のリブ323が間隔をあけて環状に配列している。ノズル部332の内周面にも、複数のリブ333が間隔をあけて環状に配列している。管部327は、ノズル部322の中央部を通るように設けられ、管部327はリブ323によって固定されている。同様に、管部337は、ノズル部332の中央部を通るように設けられ、管部337はリブ333によって固定されている。
【0115】
そして、管部327の先端部は、ノズル部322の先端部から突出しており、管部337の先端部もノズル部332の先端部から突出している。リブ323は、周方向に間隔をあけて配置されており、リブ323間にはヘッド部本体321内と連通する連通路が形成されている。
【0116】
同様に、リブ333も、周方向に間隔をあけて配置されており、リブ333の間には、ヘッド部本体321内と連通する連通路が形成されている。無菌ガス供給管328からヘッド部本体321内に入り込んだ無菌ガスは、リブ323間の連通路およびリブ333間の連通路を通って、外部に排気される。管部327の先端部から吐出されるフィブリノゲンを含有する溶液は、リブ323間から噴き出す無菌ガスによって患部に噴き付けられる。同様に、管部337の先端部から吐出されるトロンビンを含有する溶液は、リブ333間から噴き出す無菌ガスによって患部に噴き付けられる。なお、フィブリノゲンを含有する溶液およびトロンビンを含有する溶液は、霧状となって患部に噴き付けられる。これにより、トロンビンを含む溶液と、フィブリノゲンを含む溶液とが患部に均等に吹き付けられる。
【0117】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の
範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。さらに、上記数値などは、例示であり、上記数値および範囲にかぎられない。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、薬液塗布器具キットに適用することができ、特に、複数の薬液を塗布するための薬液塗布キットに好適である。
【符号の説明】
【0119】
1 薬液塗布器具キット、2 収容ケース、100,300 シリンジ、101,121,301,601 バレル、102,122,191,304,332,322,411,604 ノズル部、103,123,302,602 ガスケット、104,124,303,603 プランジャ、105,306 ヨーク、106,126 フランジ、107,323,333 リブ、120 擦り込み用シリンジ、140,150 コネクタ部材、141,151,171,192 本体部、142,143,152,153,193,194,325,335,422,433 接続部、170 ホルダ、172 支持プレート、173 軸部、174,175 バレル受入部、176,177 プランジャ受入部、178 隙間、179 係止部、190 ノズルヘッド、195 固定バンド、200 押圧プレート、201,202,272,277 溝部、210 アプライノズル、220 保護筒部、230 連結ベルト、231,232 ハンド部、233 帯部、250 カバーケース、251 突起部、253 端壁部、254 周壁部、260 トロンビン流通路、261 フィブリノゲン流通路、263 環状通路、264 混合室、265,414,415 吐出口、266 細管部、267,268 接続溝、273 テーパ面、280,281 接続通路、305 フランジ部、321 ヘッド部本体、326,336 ノズル挿入部、328 無菌ガス供給管、400,401,412,413 流通管、402 拘束部、410 ボディ部、420 吸気チューブ、421 管部、327,337,421 管部、500 薬液塗布器具、600 抜き取り用シリンジ、610,710 コネクタ、620,720 瓶。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1薬液および第2薬液を各々同一容量収容し、前記第1薬液の一部を個別に塗布対象部位に塗布した後、前記第2薬液と残りの前記第1薬液とを前記塗布対象部位に同時にかつ均等に混合塗布するための薬液塗布器具キットであって、
前記第1薬液を貯留可能な第1シリンジと、
前記第1薬液を貯留可能な擦り込み用シリンジと、
前記第1シリンジの径よりも大径とされ、前記第2薬液を貯留可能な第2シリンジと、
前記第1シリンジおよび前記第2シリンジが接続される薬液ヘッドと、
を備えた、薬液塗布器具キット。
【請求項2】
前記擦り込み用シリンジと第1シリンジとを接続して、前記第1薬液を移し替える第1コネクタ部材をさらに備えた、請求項1に記載の薬液塗布器具キット。
【請求項3】
前記第1シリンジを受け入れ可能な第1バレル受入部と、前記第2シリンジを受け入れ可能な第2バレル受入部とを含むホルダをさらに備えた、請求項1または請求項2に記載の薬液塗布器具キット。
【請求項4】
前記第1薬液が収容された容器から抜き取った第1薬液を貯留可能な抜取り用シリンジと擦り込み用シリンジとを接続して、前記抜取り用シリンジから前記擦り込み用シリンジに前記第1薬液を移し替える第2コネクタ部材と、
をさらに備えた、請求項1から請求項3のいずれかに記載の薬液塗布器具キット。
【請求項5】
前記薬液ヘッドは、前記第1シリンジからの前記第1薬液が流通する第1流路と、前記第2シリンジからの前記第2薬液が流通する第2流路と、前記第1流路および前記第2流路が接続された環状の環状通路と、前記環状通路と接続され、前記第1薬液および第2薬液を混合させる混合室と、前記混合室に形成され、第1薬液および第2薬液の混合液を吐出する吐出口とを含む、請求項1から請求項4のいずれかに記載の薬液塗布器具セット。
【請求項6】
前記混合室と前記環状通路との接続部分に位置する第1接続管と、前記混合室と前記環状通路との接続部分に位置する第2接続管とをさらに備え、
前記混合室の内周面は、円弧状に形成され、
前記第1接続管は、前記混合室の内周面の接線方向に延び、
前記第2接続管は、前記混合室に対して前記第1接続管と反対側に設けられると共に前記混合室の内周面の接線方向に延びる、請求項5に記載の薬液塗布器具キット。
【請求項7】
前記薬液ヘッドは、
ヘッド部本体と、
前記ヘッド部本体に設けられ、前記第1シリンジの先端部が接続される第1接続部と、
前記ヘッド部本体に設けられ、前記第2シリンジの先端部が接続される第2接続部と、
前記ヘッド部本体に設けられると共に前記第1接続部に接続され、前記第1薬液が流通する第1管部と、
前記ヘッド部本体に設けられると共に前記第2接続部に接続され、前記第2薬液が流通する第2管部と、
前記第1管部が接続された第1開口部および前記第2管部が接続された第2開口部が形成されたノズル部と、
前記ヘッド部本体に接続され、外部に設けられたガス供給部からガスが供給されるガス供給管と、
を含み、
前記第1開口部から吐出される第1薬液は、前記ガス供給管から供給されたガスと共に、外部に噴き出され、
前記第2開口部から吐出される第2薬液は、前記ガス供給管から供給されたガスと共に、外部に噴き出される、請求項1から請求項6のいずれかに記載の薬液塗布器具キット。
【請求項8】
前記第1バレル受入部の内径と、前記第2バレル受入部の内径とは同径とされ、
前記第1シリンジの外周には、前記第1シリンジの径と前記第2シリンジの径との差を埋めるリブが形成された、請求項3に記載の薬液塗布器具キット。
【請求項9】
前記第1バレル受入部の内周面には、リブが形成され、
前記リブは、前記第1バレル受入部が前記第2バレル受入部の受け入れるシリンジと径の異なるシリンジを受入れ可能とする、請求項3に記載の薬液塗布器具キット。
【請求項10】
前記擦り込み用シリンジのノズル部の先端部に着脱可能に設けられたノズル部材をさらに備えた、請求項1から請求項7のいずれかに記載の薬液塗布器具キット。
【請求項11】
前記第1シリンジ、前記第2シリンジ、および前記ホルダとの少なくとも1つと、前記擦り込み用シリンジとを連結する連結ベルトとをさらに備える、請求項3に記載の薬液塗布器具キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−110514(P2012−110514A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262300(P2010−262300)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【出願人】(000173555)一般財団法人化学及血清療法研究所 (86)
【Fターム(参考)】