説明

薬液注入器

【課題】注入される薬液を、医師が予め定めていた必要十分量まで貯留させて、患者自身が正しい注入量で自己の体内に注入することができる薬液注入器。
【解決手段】薬液を貯留するリザーバ12と、リザーバ12に薬液を供給する供給側チューブ13と、リザーバ12から薬液を排出する排出側チューブ14と、リザーバ12を押圧することによりリザーバ12に貯留された薬液を排出側チューブ14に送る押圧機構20とを備え、リザーバ12は、供給側チューブ13から供給される薬液の貯留にしたがって膨張するように構成され、リザーバ12の膨張量が予め定めた容量に達するまでは押圧機構20によるリザーバ12の押圧を規制し、かつリザーバ12の膨張量が予め定めた容量に達した場合には規制していた押圧機構20によるリザーバ12の押圧を許可する押圧規制機構30が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者自身が自己の体内に薬液を注入するための薬液注入器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療においては、手術等の後に発生する疼痛を軽減することを目的として、鎮痛剤等の薬液を自己の体内に注入する場合がある。
このような、自己の体内に薬液を注入するに際しては、その薬液を注入する専用の注入器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されている注入器は、時間に依存して薬液を貯留するリザーバと、押すことによってリザーバに貯留された薬液を自己の体内に注入させる押圧手段とを備えて構成される。
この種の注入器によれば、疼痛を軽減したい患者の意思に応じて、患者自身が押圧手段を押圧することによりリザーバに貯留された薬液を自己の体内に注入することができる。また、開示されている注入器は、時間に依存して薬液がリザーバに貯留するようになっているので、薬液の注入量を時間間隔に対応させてコントロールすることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−126290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、開示される注入器にあっては、疼痛を軽減したい患者の意思に応じて薬液を自己の体内に注入することができるので、薬液がリザーバに医師の予め定めていた必要十分量まで貯留していないにもかかわらず、患者自身が押圧手段を押圧することによりリザーバに貯留された薬液を自己の体内に注入させてしまう場合がある。
そうすると、注入される薬液量が少な過ぎて、医師が予め定めていた治療計画を達成することができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、注入される薬液を、医師が予め定めていた必要十分量まで貯留させて、患者自身が正しい注入量で自己の体内に注入することができる薬液注入器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための手段として、次のような薬液注入器を提供する。
すなわち、本発明に係る薬液注入器は、患者自身が、自己の体内に薬液を注入するための薬液注入器であって、薬液を貯留するリザーバと、前記リザーバに薬液を供給する供給流路と、前記リザーバから薬液を排出する排出流路と、前記リザーバを押圧することにより前記リザーバに貯留された薬液を前記排出流路に送る押圧手段とを備え、前記リザーバは、前記供給流路から供給される薬液の貯留にしたがって膨張するように構成され、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記押圧手段による前記リザーバの押圧を規制し、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には規制していた前記押圧手段による前記リザーバの押圧を許可する押圧一時規制手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この薬液注入器によれば、押圧一時規制手段は、リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまで押圧手段によるリザーバの押圧を規制し、かつリザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には、それまで規制していたリザーバの押圧を許可するので、リザーバに貯留された薬液が、医師が予め定めていた必要十分量に達するまで、患者自身はリザーバ内の薬液を自己の体内に注入できないものとなる。
したがって、患者自身は、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、薬液を、医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
【0009】
また、本発明に係る薬液注入器において、前記押圧手段は、前記リザーバと接し前記リザーバの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材と、前記リザーバに薬液を貯留させる押圧待機位置と、前記ピストン部材を移動させることにより前記リザーバを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する押圧部材と、を備え、前記押圧一時規制手段は、前記押圧部材の前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置と、前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置との間を移動する規制部材と、前記ピストン部材および前記規制部材に連結され、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記規制部材を規制位置に位置させるように、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には前記規制部材を許可位置に位置させるように、前記ピストン部材の往復移動にしたがって前記規制部材を移動させるトグル機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この薬液注入器によれば、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達せずにリザーバが所定の膨張量となっていない場合には、規制部材は規制位置に位置することとなり、押圧部材の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制し、患者自身が押圧手段を押圧することによってリザーバ内の薬液を自己の体内に注入できないものとなる。
他方、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達してリザーバが所定の膨張量となった場合には、規制部材は許可位置に位置することとなり、押圧部材の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を許可し、患者自身が押圧手段を押圧することによってリザーバ内の薬液を自己の体内に注入することができる。
したがって、患者自身は、リザーバが所定の膨張量となる、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、薬液を医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
【0011】
また、本発明に係る薬液注入器において、前記押圧手段は、前記リザーバと接し前記リザーバの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材と、前記リザーバに薬液を貯留させる押圧待機位置と、前記ピストン部材を移動させることにより前記リザーバを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する押圧部材と、を備え、前記押圧一時規制手段は、前記押圧部材の前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置と、前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置との間を移動する規制部材と、前記ピストン部材および前記規制部材に連結され、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記規制部材を規制位置に位置させるように、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には前記規制部材を許可位置に位置させるように、前記ピストン部材の往復移動にしたがって前記規制部材を移動させる切替機構と、を備え、前記切替機構は、略円弧状に形成された弾性部材と、一端が前記弾性部材の一端と回動自在に薄肉で連結され、他端が前記ピストン部材と連結され、その中間部が回転自在に外装筐体に支持された第1リンク部材と、中間部が前記弾性部材の他端と回動自在に薄肉で連結され、一端が前記規制部材と連結され、他端が回転自在に外装筐体に支持された第2リンク部材と、を備え、前記弾性部材と、前記第1リンク部材と、前記第2リンク部材とは、樹脂の一体成形により構成されていることを特徴とする。
【0012】
この薬液注入器によれば、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達せずにリザーバが所定の膨張量となっていない場合には、規制部材は規制位置に位置することとなり、押圧部材の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制し、患者自身が押圧手段を押圧することによってリザーバ内の薬液を自己の体内に注入できないものとなる。
他方、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達してリザーバが所定の膨張量となった場合には、規制部材は許可位置に位置することとなり、押圧部材の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を許可し、患者自身が押圧手段を押圧することによってリザーバ内の薬液を自己の体内に注入することができる。
したがって、患者自身は、リザーバが所定の膨張量となる、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、薬液を医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
また、この薬液注入器によれば、弾性部材と第1リンク部材と第2リンク部材とは樹脂の一体成形により構成されているので、部品点数を少なく、かつ安価に製造することができるうえ、煩雑な組み立ても解消することができる。
【0013】
また、本発明に係る薬液注入器において、前記押圧手段は、前記リザーバと接し前記リザーバの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材と、前記リザーバに薬液を貯留させる押圧待機位置と、前記ピストン部材を移動させることにより前記リザーバを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する押圧部材と、を備え、前記押圧一時規制手段は、前記押圧部材の前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置と、前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置との間を移動する規制部材と、前記規制部材を前記規制位置に付勢する付勢部材と、前記ピストン部材に設けられた押出部材と、を備え、前記押出部材は、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記規制部材を前記規制位置に位置させるように、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には前記付勢部材の付勢力に抗して前記規制部材を前記許可位置に位置させるように、前記ピストン部材の往復移動にしたがって前記規制部材を強制的に移動させることを特徴とする。
【0014】
この薬液注入器によれば、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達せずにリザーバが所定の膨張量となっていない場合には、規制部材は規制位置に位置することとなり、押圧部材の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制し、患者自身が押圧手段を押圧することによってリザーバ内の薬液を自己の体内に注入できないものとなる。
他方、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達してリザーバが所定の膨張量となった場合には、規制部材は許可位置に位置することとなり、押圧部材の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を許可し、患者自身が押圧手段を押圧することによってリザーバ内の薬液を自己の体内に注入することができる。
したがって、患者自身は、リザーバが所定の膨張量となる、リザーバに貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、薬液を医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
また、この薬液注入器によれば、押圧一時規制手段を、規制部材と、付勢部材と、押出部材とによって構成することができるので、複雑な機構を設けることもなく、構造を簡単なものとすることができる。
【0015】
また、本発明に係る薬液注入器において、前記排出流路には、エラストマーを材料にした袋部材が設けられ、前記袋部材は、前記リザーバから送られてきた薬液を一時貯留し、前記袋部材の弾性力により一時貯留された薬液を排出することを特徴とする。
この薬液注入器によれば、薬液を排出流路から患者自身に徐々に投与するにあたって、袋部材の弾性力によって、患者自身に自動的に徐々に薬液を投与することができる。
したがって、患者自身の操作負担を軽減するとともに、時間ごとの薬液の投与量も自動的にコントロールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る薬液注入器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る薬液注入器1は、患者自身が自己の体内に薬液を注入するためのものであり、図1は本発明に係る薬液注入器1を用いて構成される薬液自己注入システム5を示している。
図1に示すように、薬液自己注入システム5は、本発明に係る薬液注入器1と、薬液を保存する薬液保存器6と、薬液保存器6から薬液注入器1に薬液を送る薬液供給チューブ7と、薬液注入器1からカテーテル(不図示)に薬液を送る薬液排出チューブ8と、を備えて構成される。
【0017】
薬液保存器6は、薬液を薬液注入器1に供給する薬液を保存する容器であり、内部には所定の薬液が充填されたバルーン61を備える。バルーン61は、材料としてエラストマーが選択されることが好ましく、この例においてはシリコーンゴムが選択されている。薬液保存器6は、バルーン61の収縮力によって、バルーン61の内部に充填された薬液を薬液供給チューブ7に送るようになっている。
薬液供給チューブ7は薬液保存器6から薬液注入器1に薬液を送る流路であり、薬液排出チューブ8は薬液保存器1からカテーテルに薬液を送る流路である。また、この薬液供給チューブ7および薬液排出チューブ8には、図示していないが、チューブ内の気泡を抜くためのエアベンドフィルタが設けられるものであってもよい。
【0018】
図2は、第1実施形態の薬液注入器1の縦割り断面を示す断面図であり、リザーバ12に薬液が貯留されていない状態を示している。図3は、図2の薬液注入器1において、リザーバ12に薬液が必要十分量まで貯留された状態を示している。図4は、図3の薬液注入器1において、リザーバ12が押圧され薬液を排出している状態を示している。
なお、以下においては、押しボタン23が配された紙面上側を『(薬液注入器1の)上側』と称し、その逆側となる紙面下側を『(薬液注入器1の)下側』と称する。
【0019】
図2〜図4に示すように、第1実施形態の薬液注入器1は、外装筐体としてのハウジング11と、ハウジング11内に配され薬液を貯留するリザーバ12と、リザーバ12に薬液を供給する薬液供給流路としての供給側チューブ13と、リザーバ12から薬液を排出する薬液排出流路としての排出側チューブ14と、リザーバ12を押圧することによりリザーバ12に貯留された薬液を排出側チューブ14に送る押圧手段としての押圧機構20と、押圧機構20によるリザーバ12の押圧を規制あるいは許可する押圧一時規制手段としての押圧規制機構30と、チューブ閉塞機構19を備えて大略構成される。
【0020】
なお、供給側チューブ13は上述した薬液供給チューブ7に接続されるものであり、この例においては薬液供給チューブ7と一体化されている。また、排出側チューブ14は上述した薬液排出チューブ8に接続されるものであり、この例においては薬液排出チューブ8と一体化されて構成される。
また、特に図示していないが、供給側チューブ13には、リザーバ12が押圧された場合に、薬液が供給側チューブ13に流れ込んでしまうことを防止するための逆止弁が、適宜に設けられていてもよい。
【0021】
ハウジング11は、図2に示すように、上方に押圧機構20を構成する押しボタン23を露出させるための上側開口部111と、下方に供給側チューブ13および排出側チューブ14を挿通させるための下側開口部112とを備え、略有底円筒状に形成されている。
また、ハウジング11は、その内部において、ハウジング11によって支持される第1支持部材15および第2支持部材16と、ハウジング11から延出する延出支持部17とを備える。この第1支持部材15、第2支持部材16、および延出支持部17は、ハウジング11内を輪切りにするように配され、内蔵される各部が安定的動作するように各部を支持する。
【0022】
第1支持部材15は、上面が平面状に形成されリザーバ部材121が被せられる被覆頭部151を有する。第1支持部材15は、被覆頭部151と底部152を連通して供給側チューブ13を嵌挿する第1貫通部153と、被覆頭部151と底部152を連通して排出側チューブ14を嵌挿する第2貫通部154と、チューブ閉塞部材191を通過させる第3貫通部155とを備える。
第2支持部材16は、下側プランジャ21の往復移動を案内する第4貫通部161と、チューブ閉塞部材191を通過させる第5貫通部162とを備える。
延出支持部17は、上側プランジャ22の往復移動を案内する第6貫通部171と、チューブ閉塞部材191を通過させる第7貫通部172とを備えるとともに、ストッパ31をスライド移動可能に保持する保持部173を備える。
【0023】
リザーバ12は、リザーバ部材121が、上述した第1支持部材15の被覆頭部151に被せられることによって構成されるものであって、供給側チューブ14から供給される薬液の貯留にしたがって膨張するように構成されている。
リザーバ部材121は、可撓性を有した樹脂を材料として略袋状に形成され、開口側に被覆頭部151を嵌め込むことにより薬液が貯留可能な状態を構成している。より具体的には、リザーバ部材121は、押圧変形可能であって、形状保持力を有した袋状に形成された容器が選択されており、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック樹脂や、シリコーンゴム、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等の合成樹脂ゴムを材料として、肉厚0.1〜1mmに設定した容器状に形成される。また、このリザーバ部材121の形状としては、ドーム型形状、ベローズ形状、シリンジ形状、転動型ダイヤフラム形状等を選択することが可能である。
【0024】
押圧機構20は、下部がリザーバ部材121の上面と接しリザーバ12の膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材としての下側プランジャ21と、スライド移動させることにより下側プランジャ21を押圧してリザーバ12に貯留された薬液を排出する押圧部材としての上側プランジャ22と、上側プランジャ22と一体化されて形成され外部に露出する押しボタン23とを備えて構成される。なお、下側プランジャ21に関しては、第2支持部材16にて支持され、上側プランジャ22に関しては、延出支持部17にて支持される。
【0025】
下側プランジャ21は、円盤状に形成されたリザーバ部材121の上面と当接する円盤状部211と、円盤状部211の中心から上方(平板方向に交差する方向)に円柱状に延びる円柱状部212とを備えて構成される。
円盤状部211は、その被覆頭部151の上面と対向配置される下面が、被覆頭部151の上面と平行配置されるように形成されており、下側プランジャ21がスライド移動する場合にも、この平行状態が維持されて移動するようになっている。
円柱状部212は、上側プランジャ22の下面と対向配置される上面に、上側プランジャ22の下面と好適に当接するように平面状に形成された当接面が設けられている。また、円柱状部212の側部の下方には、後に詳述する押圧規制機構30の嵌め込み端部331を回動自在に嵌め込む第1嵌め込み凹部213が設けられている。
【0026】
上側プランジャ22は、下側プランジャ21の円柱状部212と同様、円柱状に形成され、上述した下側プランジャ21の当接面部213と対向する下面に、下側プランジャ21の上面と好適に当接するように平面状に形成された当接面が設けられている。
また、上側プランジャ22は、上方が外部に露出する押しボタン23と一体化されて形成されており、下側プランジャ21と同様に上下方向にスライド移動するようになっている。上側プランジャ22は、図1に示すリザーバ12に薬液を貯留させる押圧待機位置と、図3に示す下側プランジャ21を移動させることによりリザーバ12を押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する。
【0027】
押しボタン23は、ハウジング11の上側開口部111から外部に露出するものであって、患者が押圧操作するためのものである。
押しボタン23は、上側プランジャ22の上方と一体化され、逆様にされた略コップ状に形成されている。押しボタン23の上面231は、患者が押圧する個所となっている。また押しボタン23の下部周縁には、周方向に突出して上側開口部111の開口縁部に当接する突出当接部232が設けられている。また、押しボタン23には、患者が押圧したと同時に、チューブ閉塞部材191も押圧する押圧延出部233が設けられている。
【0028】
押圧規制機構30は、リザーバ12の膨張量が予め定めた容量に達するまでは押圧機構20によるリザーバ12の押圧を規制し、かつリザーバ12の膨張量が予め定めた容量に達した場合には規制していた押圧機構20によるリザーバ12の押圧を許可するものである。
押圧規制機構30は、上側プランジャ22の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制する規制部材としてのストッパ31と、下側プランジャ21およびストッパ31に連結され、下側プランジャ21の往復移動にしたがってストッパ31を規制位置および許可位置に移動させるトグル機構32とを備える。なお、ストッパ31は、延出支持部17の保持部173にてスライド移動可能に保持される。
【0029】
ストッパ31は、上側プランジャ22の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制あるいは許可するものであり、上側プランジャ22のスライド移動方向と交差する方向にスライド移動する略板状に形成される。
ストッパ31には、上側プランジャ22を通過させる通過孔311と、規制側係合部を嵌め込む第2嵌め込み凹部312とが設けられている。ストッパ31は、第2嵌め込み凹部312に嵌め込まれた規制側係合部の移動に導かれ、図2に示す規制位置と、図3に示す許可位置との間をスライド移動するようになっている。
【0030】
すなわち、ストッパ31が規制位置に位置している場合には、図2に示すように、上側プランジャ22の押圧待機位置(図2参照)から圧縮位置(図4参照)へのスライド移動ができない状態となるように位置することとなり、そのスライド移動を規制する。また、ストッパ31が許可位置に位置している場合には、図3に示すように、上側プランジャ22の押圧待機位置(図2参照)から圧縮位置(図4参照)へのスライド移動できるように位置することとなり、そのスライド移動を許可する。つまり、ストッパ31が許可位置に位置している場合には、上側プランジャ22は、通過孔311を通過し下側プランジャ21を押圧することができる状態となる。
【0031】
トグル機構32は、下側プランジャ21と連動し第2支持部材16に回転自在に軸支されたシリンダリンク部材33と、シリンダリンク部材33と連動し回転自在に軸支された第1シリンダ部材34と、第1シリンダ部材34と連動し第2支持部材に回転自在に軸支された第2シリンダ部材35とを備えて大略構成される。
【0032】
シリンダリンク部材33は、側面視略く字状に形成される。具体的には、シリンダリンク部材33の一端は、球状に形成され、下側プランジャ21の第1嵌め込み凹部213に回動自在に嵌め込まれる嵌め込み端部331となっている。また、シリンダリンク部材33の他端も、球状に形成され、第1シリンダ部材34内に配される付勢コイルばね342の下端と回動自在に連結される連結端部332となっている。また、嵌め込み端部331と連結端部332との中間部となる、く字折曲部333は、第2支持部材16に設けられた軸支部163に回転自在に軸支(軸支点334)されるように構成されている。
【0033】
第1シリンダ部材34は、略有底筒状に形成されたシリンダ部341と、シリンダ部341内に配される付勢コイルばね342とを備える。シリンダ部341の上方は、第2シリンダ部材35に回転自在に軸支(軸支点343)されている。また、シリンダ部341の下方は、シリンダリンク部材33の連結端部332が、シリンダ部341内部で適宜に移動できるように開口形状を有している。付勢コイルばね342は、上端が第1シリンダ部材34の内部と連結し、下端がシリンダリンク部材33の連結端部332と回動自在に連結している。
【0034】
第2シリンダ部材35は、その下端が第2支持部材16に設けられた軸支部163に回転自在に軸支されるように構成され、その内部が第1シリンダ部材34のシリンダ部341の上方を軸支するように構成されている。また、第2シリンダ部材35の上端は、ストッパ31の第2嵌め込み凹部312に回動自在に嵌め込まれる嵌め込み突部351を備える。さらに、この第2シリンダ部材35の側壁は、第1シリンダ部材34が第2シリンダ部材35外部に及んで揺動できるように、第1シリンダ部材34がすり抜ける図示しないスリットを備える。
【0035】
ハウジング11内部には、排出側チューブ14を閉塞するチューブ閉塞機構19が設けられている。チューブ閉塞機構19は、排出側チューブ14を閉塞するチューブ閉塞部材191と、チューブ閉塞部材191を閉塞方向に付勢する付勢ばね192を備える。
チューブ閉塞部材191は、第1支持部材15から上側開口部111まで延びる略棒状に形成され、第1支持部材15の第3貫通部155と、第2支持部材16の第5貫通部162とに移動自在に嵌挿されている。
【0036】
チューブ閉塞部材191は、その下端に排出側チューブ14を押圧して閉塞する閉塞突部193が設けられるとともに、その下端から中間部にかけては、排出側チューブ14を開放する開放凹部194が設けられている。また、チューブ閉塞部材191の上面は、押しボタン23と連動する押圧延出部233の下端と当接するようになっている。
付勢ばね192は、圧縮された状態で、下端が第2支持部材と当接し、上端がチューブ閉塞部材191の上端側周縁と当接し、チューブ閉塞部材191を閉塞方向となる上方に付勢している。
【0037】
以上のように構成された薬液注入器1は、次のような作用効果を奏する。
すなわち、図2に示すように、リザーバ12に薬液が貯留されていない状態においては、下側プランジャ21は、第1支持部材15の被覆頭部151に近接し、リザーバ12を押し潰すように位置する。
この際、トグル機構32のシリンダリンク部材33は、下側プランジャ21の位置にそって位置することとなる。これによって、第1シリンダ部材34と連結される連結端部332は、下側プランジャ21に近接した位置に位置する。
【0038】
そうすると、第1シリンダ部材34の下部は、第2シリンダ部材35の軸支点より下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなり、第1シリンダ部材34の上部の軸支点は、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなる。
これによって、第2シリンダ部材35の上部は、下部を軸支点にして、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなり、上部に設けられた嵌め込み突部351が嵌め込められたストッパ31も、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなる。
【0039】
したがって、ストッパ31は規制位置に位置し、ストッパ31の通過孔311は、上側プランジャ22のスライド移動進路からずらされることとなり、上側プランジャ22は、下方にスライド移動して下側プランジャ21を押圧することができない。つまり、押しボタン23の押圧は規制され、上側プランジャ22および押しボタン23を押圧待機位置に位置させたままとする。
なお、この際、チューブ閉塞機構19のチューブ閉塞部材191は、閉塞突部193にて排出側チューブ14を押圧して閉塞している。これにより、供給側チューブ13から薬液が送られてきた場合に、薬液を好適にリザーバ12に貯留する。
【0040】
図3に示すように、供給側チューブ13から薬液が送られ、リザーバ12に薬液が必要十分量貯留された状態においては、下側プランジャ21の円盤状部211は、第2支持部材16の下面に当接するまで上方に移動する。
そうすると、下側プランジャ21も上方へ移動することとなり、トグル機構32のシリンダリンク部材33は、この下側プランジャ21の上方への移動に伴って回転する。
この際、シリンダリンク部材33の連結端部332が、シリンダリンク部材33側の軸支点334と第1シリンダ部材34側の軸支点343とを結んだ線を乗り越えた場合には、図2に示す状態から、図3に示す状態へと切り替わる。これによって、第1シリンダ部材34と連結される連結端部332は、下側プランジャ21から離間した位置に位置する。
【0041】
そうすると、第1シリンダ部材34の下部は、第2シリンダ部材35の軸支点より下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなり、第1シリンダ部材34の上部の軸支点は、下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなる。
これによって、第2シリンダ部材35の上部は、下部を軸支点にして、下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなり、上部に設けられた嵌め込み突部351が嵌め込められたストッパ31も、下側プランジャ21から近接した位置に位置することとなる。
したがって、ストッパ31は許可位置に位置し、ストッパ31の通過孔311は、上側プランジャ22のスライド移動進路に位置することとなり、上側プランジャ22は、下方にスライド移動して下側プランジャ21を押圧することができる。つまり、押しボタン23の押圧は許可され、押圧待機位置から圧縮位置にスライド移動可能となる。
【0042】
押圧ボタン23の押圧が許可された状態においては、患者は、図4に示すように、押しボタン23を押すことができる。
すなわち、押圧ボタン23を押圧し、上側プランジャ22をストッパ31の通過孔311を通過させて下方にスライド移動させ、下側プランジャ21に当接させて押圧する。
そうすると、下側プランジャ21は、下方にスライド移動し、円盤状部211にてリザーバ12を押圧し、貯留された薬液を排出側チューブ14に送る。
なお、この際、チューブ閉塞機構19のチューブ閉塞部材191は、押しボタン23にて下方に移動しているので、閉塞突部193による排出側チューブ14の閉塞も解除されている。これにより、排出側チューブ14から薬液が送りだすことができる。
もって、患者自身は、リザーバ12が所定の膨張量となる、リザーバ12に貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、必要十分量に達した場合には、ストッパ31が規制位置から許可位置に、付勢コイルばね342の弾性力により好適に切り替わる。これによって、薬液を医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態の薬液注入器1とは異なる構成とされた、本発明に係る第2実施形態の薬液注入器1Aについて説明する。なお、第2実施形態の薬液注入器1Aは、押圧一時規制手段としての押圧規制機構30のトグル機構32を、切替機構36に変更したものである。したがって、以下においては、押圧規制機構30に関してのみを説明し、そのほかの同様に構成される個所については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図5は、第2実施形態の薬液注入器1Aの縦割り断面を示す断面図であり、リザーバ12に薬液が貯留されていない状態を示している。図6は、図5の薬液注入器1Aにおいて、リザーバ12に薬液が必要十分量まで貯留された状態を示している。
すなわち、第2実施形態の薬液注入器1Aの押圧規制機構30Aは、上側プランジャ22の押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制する規制部材としてのストッパ31と、下側プランジャ21およびストッパ31に連結され、下側プランジャ21の往復移動にしたがってストッパ31を規制位置および許可位置に移動させる規制機構36とを備える。なお、ストッパ31に関しては、上述の第1実施形態のストッパと同様に構成されるので、その説明は省略する。
【0045】
切替機構36は、略円弧状に形成された弾性部材37と、下側プランジャ21と連動し第2支持部材16に回転自在に軸支される第1リンク部材38と、弾性部材37と連動し第2支持部材16に回転自在に軸支される第2リンク部材39とを備えて構成される。
また、これら弾性部材37と、第1リンク部材38と、第2リンク部材39とは、弾性を有した樹脂の一体成形により構成されている。
【0046】
弾性部材37は、弓なりの円弧を描くように成形されており、一端(図示下側端)が第1リンク部材38と回動自在の薄肉で連結され、他端(図示上側端)が第2リンク部材39と回動自在の薄肉で連結されている。また、弾性部材37に負荷がかかった場合には、この弓なりの円弧に復元するような弾性力が働くようになっている。
【0047】
第1リンク部材38は、側面視略く字状に形成される。具体的には、第1リンク部材38の一端は、球状に形成され、下側プランジャ21の第1嵌め込み凹部213に回動自在に嵌め込まれる嵌め込み端部381となっている。また、第1リンク部材38の他端は、薄肉に形成され、弾性部材37と回動自在に連結される第1薄肉部382となっている。また、嵌め込み端部381と第1薄肉部382との中間部となる、く字折曲部383は、第2支持部材16に設けられた軸支部163に回転自在に軸支されるように構成されている。
【0048】
第2リンク部材39は、側面視略棒状に形成される。具体的には、第2リンク部材38の一端(上端)は、球状に形成され、ストッパ31の第2嵌め込み凹部312に回動自在に嵌め込まれる嵌め込み突部391を備える。また、第2リンク部材39の他端(下端)は、第2支持部材16に設けられた図示しない軸支部に回転自在に軸支されるように構成されている。また、嵌め込み突部391と、第2支持部材16に軸支される個所との中間部には、弾性部材37と回動自在に連結される第2薄肉部392が設けられ、弾性部材37と連結されている。
【0049】
以上のように構成された薬液注入器1Aは、次のような作用効果を奏する。
すなわち、図5に示すように、リザーバ12に薬液が貯留されていない状態においては、下側プランジャ21は、第1支持部材15の被覆頭部151に近接し、リザーバ12を押し潰すように位置する。
この際、切替機構36の第1リンク部材38は、下側プランジャ21の位置にそって位置することとなる。これによって、弾性部材37と連結される第1薄肉部382は、下側プランジャ21から離間した位置に位置する。
【0050】
そうすると、弾性部材37の下部は、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなり、弾性部材37の上部も、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなる。
これによって、第2薄肉部392は、下側プランジャ21から離間した位置に位置し、第2リンク部材39も上部も、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなり、上部に設けられた嵌め込み突部351が嵌め込められたストッパ31も、下側プランジャ21から離間した位置に位置することとなる。
【0051】
したがって、ストッパ31は規制位置に位置し、ストッパ31の通過孔311は、上側プランジャ22のスライド移動進路からずらされることとなり、上側プランジャ22は、下方にスライド移動して下側プランジャ21を押圧することができない。つまり、押しボタン23の押圧は規制され、上側プランジャ22および押しボタン23を押圧待機位置に位置させたままとする。
なお、この際、チューブ閉塞機構19のチューブ閉塞部材191は、閉塞突部193にて排出側チューブ14を押圧して閉塞している。これにより、供給側チューブ13から薬液が送られてきた場合に、好適にリザーバ12に貯留する。
【0052】
図6に示すように、供給側チューブ13から薬液が送られ、リザーバ12に薬液が必要十分量貯留された状態においては、下側プランジャ21の円盤状部211は、第2支持部材16の下面に当接するまで上方に移動する。
そうすると、下側プランジャ21も上方へ移動することとなり、切替機構36の第1リンク部材38は、この下側プランジャ21の上方への移動に伴って回転する。
この際、第1薄肉部382と第2薄肉部392とを結んだ線が、く字折曲部383の軸支点を乗り越えた場合には、図5に示す状態から、図6に示す状態へと切り替わる。これによって、弾性部材37と連結される第1薄肉部382は、下側プランジャ21に近接した位置に位置する。
【0053】
そうすると、弾性部材37の下部は、下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなり、弾性部材37の上部も、下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなる。
これによって、第2薄肉部392は、下側プランジャ21に近接した位置に位置し、第2リンク部材39も上部も、下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなり、上部に設けられた嵌め込み突部351が嵌め込められたストッパ31も、下側プランジャ21に近接した位置に位置することとなる。
したがって、ストッパ31は許可位置に位置し、ストッパ31の通過孔311は、上側プランジャ22のスライド移動進路に位置することとなり、上側プランジャ22は、下方にスライド移動して下側プランジャ21を押圧することができる。つまり、押しボタン23の押圧は許可され、押圧待機位置から圧縮位置にスライド移動可能となる。
【0054】
もって、患者自身は、リザーバ12が所定の膨張量となる、リザーバ12に貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、必要十分量に達した場合には、ストッパ31が規制位置から許可位置に、弾性部材37の弾性力により好適に切り替わる。これによって、薬液を医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、上述した第1実施形態および第2実施形態の薬液注入器1,1Aとは異なる構成とされた、本発明に係る第3実施形態の薬液注入器1Bについて説明する。
図7は、第3実施形態の薬液注入器1Bの縦割り断面を示す断面図であり、リザーバ12Bに薬液が必要十分量まで貯留された状態を示している。
なお、以下においては、押しボタン23Bが配された紙面上側を『(薬液注入器1の)上側』と称し、その逆側となる紙面下側を『(薬液注入器1の)下側』と称する。
【0056】
図7に示すように、第3実施形態の薬液注入器1Bは、外装筐体としてのハウジング11Bと、ハウジング11B内に配され薬液を貯留するリザーバ12Bと、リザーバ12Bに薬液を供給する薬液供給流路としての供給側チューブ13Bと、リザーバ12Bから薬液を排出する薬液排出流路としての排出側チューブ14Bと、リザーバ12Bを押圧することによりリザーバ12Bに貯留された薬液を排出側チューブ14Bに送る押圧手段としての押圧機構20Bと、押圧機構20Bによるリザーバ12Bの押圧を規制あるいは許可をする押圧一時規制手段としての押圧規制機構30Bと、係止機構19Bを備えて大略構成される。なお、供給側チューブ13Bおよび排出側チューブ14Bは、図1に示す薬液供給チューブ7および薬液排出チューブ8と一体化されて構成される。
また、特に図示していないが、供給側チューブ13Bには、リザーバ12Bが押圧された場合に、薬液が供給側チューブ13Bに流れ込んでしまうことを防止するための逆止弁が、適宜に設けられていてもよい。
【0057】
ハウジング11Bは、図7に示すように、上方に押圧機構20Bを構成する押しボタン23Bを露出させるための上側開口部111Bを備え、略有底円筒状に形成されている。
また、ハウジング11Bは、その内部において、ハウジング11Bから延出される第1支持部15Bおよび第2支持部16Bを備える。この第1支持部15B、第2支持部16Bは、ハウジング11B内を輪切りにするように配され、内蔵される各部が安定的動作するように各部を支持する。
第1支持部15Bは、上面が平面状に形成されリザーバ部材121Bが被せられる被覆頭部151Bを有する。第1支持部15Bは、被覆頭部151Bと底部152Bを連通して供給側チューブ13Bおよび排出側チューブ14Bを嵌挿する貫通部153B,154Bとを備える。また、第2支持部16Bは、上側プランジャ22Bの往復移動を案内する貫通部161Bを備える。
【0058】
また、排出側チューブ14Bが嵌挿される第1支持部15Bは、貫通部154B上方の隣接位置に適宜の空間が設けられ、アンブレラ弁18Bが配設されている。
アンブレラ弁18Bは、リザーバ12Bに貯留された薬液が所定圧力以上の圧力で押圧された場合に、自動的に開放して排出側チューブ14Bに薬液を送り出す弁であり、図示するような傘状に形成される。
【0059】
リザーバ12Bは、リザーバ部材121Bが、上述した第1支持部15Bの被覆頭部151Bに被せられることによって構成されるものであって、供給側チューブ14Bから供給される薬液の貯留にしたがって膨張するように構成されている。また、リザーバ部材121Bは、その上方において二色成形により一体化された押圧受け部122Bを備える。
【0060】
押圧受け部122Bは、下側プランジャ21Bの逃げを許容しながら介装部材25Bから押圧を受ける受け延在部123Bと、係止機構19Bとの係止を解除する係止解除延在部124Bと、ストッパ31Bを強制的に移動させる押出部材としての押出延在部125Bとを備える。
受け延在部123Bは、下側プランジャ21B側に延在して形成され、介装部材25Bからの押圧を受ける当接面126Bを備えるとともに、下側プランジャ21Bの押下を案内するように凹状部127Bを備える。係止解除延在部124Bは、上方に延在し上端に係止機構19Bとの係止を解除する係止解除凸部128Bが設けられている。押出延在部125Bは、リザーバ12Bに薬液が必要十分量貯留された場合に、ストッパ付勢ばね32Bの付勢力に抗してストッパ31Bを許可位置に押出すように上方に延在している。
【0061】
押圧機構20Bは、下部がリザーバ部材121Bの上面と接しリザーバ12Bの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材としての下側プランジャ21Bと、スライド移動させることにより下側プランジャ21Bを押下してリザーバ12Bに貯留された薬液を排出する押圧部材としての上側プランジャ22Bと、上側プランジャ22Bと一体化されて形成され外部に露出する押しボタン23Bと、下側プランジャ21Bの押下により圧縮される押圧付勢ばね24Bと、押圧付勢ばね24Bからの押圧を受け延在部123Bに伝達する介装部材25Bと、上側プランジャ22Bおよび押しボタン23Bを押圧待機位置まで戻すように付勢するボタン付勢ばね26Bとを備えて構成される。
【0062】
下側プランジャ21Bは、リザーバ部材121Bの上方に略円柱状に延び、上下方向にスライド移動するようになっている。この下側プランジャ21Bは、上側プランジャ22Bの下面と好適に当接可能に形成され、押圧付勢ばね24Bの端部と当接する当接凸状部211Bと、係止機構19Bに係止する係止凸状部212Bとを備える。
【0063】
上側プランジャ22Bは、略円柱状に形成され、下側プランジャ21Bの上面と好適に当接可能に形成される。この上側プランジャ22Bは、上方が外部に露出する押しボタン23Bと一体化されて形成されており、下側プランジャ21Bと同様に上下方向にスライド移動するようになっている。また、上側プランジャ22Bの下端には、ストッパ31Bの接続端部311Bが、内方(下側プランジャ21B側)に傾くように位置している場合に、この接続端部311Bに当接して、下方へのスライド移動を規制する当接突出部221Bが設けられている。なお、図7に示す上側プランジャ22Bは、リザーバ12Bに薬液を貯留させる押圧待機位置に位置しており、特に図示しないが、リザーバ12Bを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する。
【0064】
押しボタン23Bは、ハウジング11Bの上側開口部111Bから外部に露出するものであって、患者が押圧操作するためのものであり、上側プランジャ22Bの上方と一体化され、逆様にされた略コップ状に形成されている。押しボタン23Bの上面231Bは、患者が押圧する個所となっており、下部周縁には周方向に突出して上側開口部111Bの開口縁部に当接する突出当接部232Bが設けられている。
【0065】
押圧付勢ばね24Bは、圧縮コイルばねで構成され、上端が下側プランジャ21Bの211Bに当接し下端が介装部材25Bに当接している。
介装部材25Bは、押圧付勢ばね24Bと受け延在部123Bとの間に介装され、互いに当接する当接部251Bを備える。
ボタン付勢ばね26Bは、圧縮コイルばねで構成され、上端が押しボタン23Bの内面に当接し下端が第2支持部16Bに当接している。
【0066】
押圧規制機構30Bは、リザーバ12Bの膨張量が予め定めた容量に達するまでは押圧機構20Bによるリザーバ12Bの押圧を規制し、かつリザーバ12Bの膨張量が予め定めた容量に達した場合には規制していた押圧機構20Bによるリザーバ12Bの押圧を許可するものである。
押圧規制機構30Bは、上側プランジャ22Bの押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制する規制部材としてのストッパ31Bと、このストッパ31Bを付勢するストッパ付勢ばね32Bとを備える。
【0067】
ストッパ31Bは、上側プランジャ22Bの押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制あるいは許可するものであり、側面視へ字状に形成され、中間部がハウジング11Bから延出された軸支部17Bにて回転可能に軸支されている。
ストッパ31Bの一端(図示において上方配置)は、ストッパ付勢ばね32Bから付勢力を受けるようにストッパ付勢ばね32Bに接続された接続端部311Bとなっており、他端(図示において下方配置)は、押出延出部125Bから押出し力を受ける受け側端部312Bとなっている。
【0068】
ストッパ付勢ばね32Bは、一端が第2支持部16Bに固定され、他端がストッパ31Bの接続端部311Bに接続され、ストッパ31Bを下方に付勢している。
ここで、ストッパ31Bの接続端部311Bは、軸支部17Bよりも内方(下側プランジャ21B側)に配されているので、通常時においては、ストッパ31Bの接続端部311Bは、内方(下側プランジャ21B側)に傾くようになっている。
【0069】
係止機構19Bは、下側プランジャ21Bの係止凸状部212Bと係止する機構である。
係止機構19Bは、第2支持部16Bから下方に延在し、下方端に適宜の凸状部および凹状部が形成され、下側プランジャ21Bの係止凸状部212Bと好適に係止し、かつ、その係止を係止延在部124Bの係止解除凸部128Bにて解除するように形成されている。
【0070】
以上のように構成された薬液注入器1Bは、次のような作用効果を奏する。
すなわち、リザーバ12Bに薬液が貯留されていない状態においては、リザーバ12Bは収縮状態となっており、リザーバ部材121Bの一部を構成する押圧受け部122Bは、下方に位置する。
そうすると、押出延在部125Bも下方に位置し、押圧規制機構30Bのストッパ31Bは、ストッパ付勢ばね32Bの付勢力により、軸支部17Bを軸支点として回転し、ストッパ31Bの接続端部311Bは、内方(下側プランジャ21B側)に傾くように位置する。なお、この際のストッパ31Bの位置が、上側プランジャ22Bおよび押しボタン23Bが押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置となる。
【0071】
このように、ストッパ31Bの接続端部311Bが、内方(下側プランジャ21B側)に傾くように位置していると、上側プランジャ22Bの当接突出部221Bが当接することとなり、上側プランジャ22Bは、下方にスライド移動して下側プランジャ21Bを押圧することができない。つまり、上側プランジャ22Bおよび押しボタン23Bの押圧は規制され、押圧待機位置に位置させたままとする。
なお、この際、リザーバ12Bに貯留される薬液は、アンブレラ弁18Bにより排出側チューブ14Bに流出しないようになっているので、供給側チューブ13Bから送られてくる薬液は、好適にリザーバ12Bに貯留される。
【0072】
図7に示すように、供給側チューブ13Bから薬液が送られ、リザーバ12Bに薬液が必要十分量貯留された状態においては、リザーバ12Bは膨れ上がる。
そうすると、押圧受け部122Bは上方に移動し、リザーバ12Bに薬液が必要十分量貯留された場合には、押圧受け部122Bの一部を構成する押出延在部125Bの上端が、ストッパ31Bの受け側端部312Bに当接し、上方に押し出す。
つまり、押出延在部125Bは、ストッパ付勢ばね32Bの付勢力に抗して、ストッパ31Bを軸支部17Bを軸支点として、図示左回りに回転させる。
【0073】
そうすると、それまで内方(下側プランジャ21B側)に傾くように位置していたストッパ31Bの接続端部311Bは、図7に示すように、押圧受け部122Bと鉛直方向に揃うこととなる。なお、この際のストッパ31Bの位置が、上側プランジャ22Bおよび押しボタン23Bが押圧待機位置から圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置となる。
【0074】
これによって、上側プランジャ22Bの当接突出部221Bは、ストッパ31Bの接続端部311Bに当接することがなくなり、上側プランジャ22Bは、下方にスライド移動して下側プランジャ21Bを押圧することができる。
したがって、ストッパ31Bは許可位置に位置し、上側プランジャ22Bは、下方にスライド移動して下側プランジャ21Bを押圧することができる。つまり、押しボタン23Bの押圧は許可され、押圧待機位置から圧縮位置にスライド移動可能となる。
【0075】
ここで、患者は、押しボタン23Bを押して上側プランジャ22Bを下方にスライド移動させた場合には、上側プランジャ22Bは、下側プランジャ21Bを押下することとなり、押下した下側プランジャ21Bの係止凸状部212Bは、係止機構19Bに係止する。これにより、押下された下側プランジャ22Bは、押下された状態が維持される
なお、この際、患者の手から押しボタン23Bが外れた場合には、ボタン付勢ばね26Bの付勢力により、押しボタン23Bは押す前の元の位置に戻る。また、押出延在部125Bが下方に移動しているので、ストッパ31Bは、ストッパ付勢ばね32Bの付勢力によりストッパ31Bを軸支部17Bを軸支点として図示右回りに回転し、上述したような規制位置となる。
【0076】
この際、押圧付勢ばね24Bは、下側プランジャ22Bと介装部材25Bとにより圧縮され、この圧縮された押圧付勢ばね24Bは、その復元力により介装部材25Bを徐々に下方にスライド移動させる。
そうすると、介装部材25Bは、押圧受け部122Bの受け延在部123Bに押圧力を伝達し、押圧受け部122Bと一体化されるリザーバ部材121Bは、押し潰されていく。つまり、リザーバ12Bが、圧縮されていくこととなり、貯留されていた薬液は、アンブレラ弁18Bを乗り越え、排出側チューブ14Bから徐々に排出される。
【0077】
なお、リザーバ12Bに貯留されていた薬液を排出しきった場合には、再度、供給側チューブ13Bから薬液が送られ、リザーバ12Bに貯留されていき、押圧受け部122Bは上方に移動し、上方に移動した係止解除延在部124Bにて係止機構19Bの下端を移動させ、係止凸状部212Bと係止機構19Bとの係止を解除する。
【0078】
もって、患者自身は、リザーバ12Bが所定の膨張量となる、リザーバ12Bに貯留された薬液が必要十分量に達するまで待つことが必要となり、必要十分量に達した場合には、ストッパ31Bが規制位置から許可位置に好適に切り替わる。これによって、薬液を医師が予め定めていた必要十分量となる正しい注入量で、自己の体内に注入することができる。
【0079】
さらに、上述した第1実施形態および第2実施形態にあっては、排出側チューブ14に、リザーバ12から送られてきた薬液を一時貯留する、エラストマーを材料にした袋部材としての自動注入バルーン50が設けられるように構成してもよい。
図8(A)は収縮状態の自動注入バルーン50を示す図であり、図8(B)は膨張状態の自動注入バルーン50を示す図である。
なお、図8においては、自動注入バルーン50のみを示したが、この自動注入バルーン50を覆うように保護する保護外装筐体が、別途設けられる、あるいは、ハウジング11の下端を延長して内包させるものであってもよい。
【0080】
図示される自動注入バルーン50は、排出側チューブ14途中に設けられている。排出側チューブ14から薬液が送られてきた場合には、自動注入バルーン50に一時貯留する。そして、自動注入バルーン50は、エラストマーの弾性力により一時貯留された薬液を徐々に排出し、薬液を患者自身に投与する。
このように自動注入バルーン50が設けられた場合には、薬液を排出側チューブ14から患者自身に徐々に投与することができる。したがって、患者自身の操作負担を軽減するとともに、時間ごとの薬液の投与量も自動的にコントロールすることができる。
【0081】
なお、本発明に係る薬液注入器は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜に選択変更して構成されるものであってもよい。
例えば、上述の実施形態においては、患者に薬液を薬液保存器6から持続的に注入する薬液持続チューブを別途設けられるものであってもよい。その場合は、排出側チューブに適宜の合流部を設けて、その薬液持続チューブを接続するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る薬液注入器は、注入される薬液を、医師が予め定めていた必要十分量まで貯留させて、患者自身が正しい注入量で自己の体内に注入することができる薬液注入器として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る薬液注入器を用いて構成される薬液自己注入システムを示す外観模式図。
【図2】第1実施形態のリザーバに薬液が貯留されていない状態の薬液注入器の縦割り断面を示す断面図。
【図3】第1実施形態のリザーバに薬液が必要十分量まで貯留された状態の薬液注入器の縦割り断面を示す断面図。
【図4】第1実施形態のリザーバが押圧され薬液を排出している状態の薬液注入器の縦割り断面を示す断面図。
【図5】第2実施形態のリザーバに薬液が貯留されていない状態の薬液注入器の縦割り断面を示す断面図。
【図6】第2実施形態のリザーバに薬液が必要十分量まで貯留された状態の薬液注入器の縦割り断面を示す断面図。
【図7】第3実施形態のリザーバに薬液が必要十分量まで貯留された状態の薬液注入器の縦割り断面を示す断面図。
【図8】自動注入バルーンを示す図。
【符号の説明】
【0084】
1…薬液注入器、6…薬液保存器、11…ハウジング、12…リザーバ、13,13B…供給側チューブ、14,14B…排出側チューブ、20…押圧機構、21,21B…下側プランジャ、22,22B…上側プランジャ、23,23B…押しボタン、30,30A…押圧規制機構、31,31B…ストッパ、32…トグル機構、32B…ストッパ付勢ばね、36…切替機構、37…弾性部材、38…第1リンク部材、39…第2リンク部材、50…自動注入バルーン、125B…押出延出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者自身が、自己の体内に薬液を注入するための薬液注入器であって、
薬液を貯留するリザーバと、前記リザーバに薬液を供給する供給流路と、前記リザーバから薬液を排出する排出流路と、前記リザーバを押圧することにより前記リザーバに貯留された薬液を前記排出流路に送る押圧手段とを備え、
前記リザーバは、前記供給流路から供給される薬液の貯留にしたがって膨張するように構成され、
前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記押圧手段による前記リザーバの押圧を規制し、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には規制していた前記押圧手段による前記リザーバの押圧を許可する押圧一時規制手段が設けられていることを特徴とする薬液注入器。
【請求項2】
請求項1に記載の薬液注入器において、
前記押圧手段は、前記リザーバと接し前記リザーバの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材と、
前記リザーバに薬液を貯留させる押圧待機位置と、前記ピストン部材を移動させることにより前記リザーバを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する押圧部材と、を備え、
前記押圧一時規制手段は、前記押圧部材の前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置と、前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置との間を移動する規制部材と、
前記ピストン部材および前記規制部材に連結され、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記規制部材を規制位置に位置させるように、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には前記規制部材を許可位置に位置させるように、前記ピストン部材の往復移動にしたがって前記規制部材を移動させるトグル機構と、を備えることを特徴とする薬液注入器。
【請求項3】
請求項1に記載の薬液注入器において、
前記押圧手段は、前記リザーバと接し前記リザーバの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材と、
前記リザーバに薬液を貯留させる押圧待機位置と、前記ピストン部材を移動させることにより前記リザーバを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する押圧部材と、を備え、
前記押圧一時規制手段は、前記押圧部材の前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置と、前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置との間を移動する規制部材と、
前記ピストン部材および前記規制部材に連結され、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記規制部材を規制位置に位置させるように、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には前記規制部材を許可位置に位置させるように、前記ピストン部材の往復移動にしたがって前記規制部材を移動させる切替機構と、を備え、
前記切替機構は、略円弧状に形成された弾性部材と、
一端が前記弾性部材の一端と回動自在に薄肉で連結され、他端が前記ピストン部材と連結され、その中間部が回転自在に外装筐体に支持された第1リンク部材と、
中間部が前記弾性部材の他端と回動自在に薄肉で連結され、一端が前記規制部材と連結され、他端が回転自在に外装筐体に支持された第2リンク部材と、を備え、
前記弾性部材と、前記第1リンク部材と、前記第2リンク部材とは、樹脂の一体成形により構成されていることを特徴とする薬液注入器。
【請求項4】
請求項1に記載の薬液注入器において、
前記押圧手段は、前記リザーバと接し前記リザーバの膨張収縮にしたがって往復移動するピストン部材と、
前記リザーバに薬液を貯留させる押圧待機位置と、前記ピストン部材を移動させることにより前記リザーバを押圧して貯留された薬液を排出する圧縮位置との間をスライド移動する押圧部材と、を備え、
前記押圧一時規制手段は、前記押圧部材の前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を規制する規制位置と、前記押圧待機位置から前記圧縮位置へのスライド移動を許可する許可位置との間を移動する規制部材と、
前記規制部材を前記規制位置に付勢する付勢部材と、
前記ピストン部材に設けられた押出部材と、を備え、
前記押出部材は、前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達するまでは前記規制部材を前記規制位置に位置させるように、かつ前記リザーバの膨張量が予め定めた容量に達した場合には前記付勢部材の付勢力に抗して前記規制部材を前記許可位置に位置させるように、前記ピストン部材の往復移動にしたがって前記規制部材を強制的に移動させることを特徴とする薬液注入器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の薬液注入器において、
前記排出流路には、エラストマーを材料にした袋部材が設けられ、
前記袋部材は、前記リザーバから送られてきた薬液を一時貯留し、前記袋部材の弾性力により一時貯留された薬液を排出することを特徴とする薬液注入器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−289720(P2008−289720A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139503(P2007−139503)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000103600)オーベクス株式会社 (12)
【Fターム(参考)】