説明

藻類培養生産、収穫、および加工

【課題】本発明は、培養選択性を維持しながら藻類を増殖させるための材料および方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
増殖可能な藻類には、たとえば、セネデスムス(Scenedesmus、イカダモ)属のような緑藻が含まれる。藻類から得られる脂質は、生物燃料で、たとえば、バイオディーゼルのようなもの、または多価不飽和脂肪酸で、たとえばオメガ−3脂肪酸のようなものを生産するのに用いることができる。フィードストック(供給原料)、たとえば、動物餌料および養殖(水産養殖)飼料のようなものを生産することができ、ファイトニュートリエントで、アスタキサンチン(asataxanthin)およびベータカロチンを生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年1月25日に出願した米国仮特許出願第61/023572号明細書に基づき優先権を主張し、当該出願の記載を引用するものである。
【背景技術】
【0002】
増大する世界的な需要および環境懸念が、燃料、動物餌料、製剤、栄養補助食品、多価(高度)不飽和脂肪酸、ファイトニュートリエント(植物栄養分)、鉱物、ビタミン、およびその他の製品の代替的となる環境に優しい資源の探索につながっている。これら製品における環境に優しい資源としては、藻類が挙げられる。藻類は、食糧生産または他の目的のために通常使うことができなかった土地で育てることが可能な、魅力的な資源である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、藻類から前記製品を生産することは、適する藻類の選定、最適な脂質産出のための増殖条件の開発、および望ましくない藻類種や他の有機体からの汚染の防止を含む、いくつかの解決すべき点を有している。天候および汚染の脅威が常にある屋外のセットで、藻類の育成を大規模に行う時には、前述の問題点は倍増する。したがって、新しい藻類の生産技術への必要性が強くある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、選択的に目的藻類を育てる方法を提供するものである。この方法は、第1培養池で目的藻類を増殖させる工程、その第1培養池において目的藻類を希釈する工程、その第1培養池に栄養組成物を供給する工程、および第1培養池において培養選択性を維持する工程から成っている。本発明の前記方法および他の方法は、バイオディーゼルのような生物燃料用、およびオメガ-3脂肪酸のような高度不飽和脂肪酸用の脂質生産のために用いることができる。本発明の前記方法および他の方法は、動物餌料および養殖(水産養殖)飼料等のフィードストック(供給原料)の生産のために用いることができる。本発明の前記方法および他の方法は、ベータカロチンおよびアスタキサンチン等のファイトニュートリエント(植物栄養素)の生産のために用いることができる。
【0005】
本発明は、セネデスムス属(Scenedesmus、イカダモ)の目的藻類を選択的に培養する方法を提供する。この方法には、第1培養池で目的藻類を増殖させる工程、第1培養池で目的藻類を希釈する工程、第1培養池に栄養組成物を供給する工程、および第1培養池において培養選択性を維持する工程が含まれる。
【0006】
本発明は、目的藻類セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)を選択的に培養する方法を提供する。この方法には、第1培養池で目的藻類を増殖させる工程、第1培養池で目的藻類を希釈する工程、第1培養池に栄養組成物を供給する工程、および第1培養池において培養選択性を維持する工程が含まれる。
【0007】
本発明は、目的藻類セネデスムス・オブリカスを選択的に培養する方法を提供する。この方法には、以下の工程が含まれる。目的藻類をレースウェイ型培養池で増殖させる。pHが約8.5またはそれよりも高く(8.5以上)なった場合、二酸化炭素をレースウェイ型培養池に加える。温度が33℃以上になった場合、冷却液体をレースウェイ型培養池に加える。レースウェイ型培養池の藻類は、ほぼ20時間ごとに約60%に希釈する。栄養組成物は、その希釈工程とほぼ同時にレースウェイ型培養池に供給され、その栄養組成物は、少なくとも2mM濃度の重炭酸ナトリウムと、少なくとも約15:1比の窒素:リン酸塩を有するように、重炭酸ナトリウム、尿素、リン酸三ナトリウム、および塩化鉄(II)(塩化第一鉄)を含ませる。希釈工程中に得られた大量の藻類は、窒素が欠損しているストレス培養池中に放出する。ストレス培養池から藻類を収穫し、脱水する。その藻類から脂質を抽出する。
【0008】
本発明は、本発明の任意の方法によって生産される生物燃料、フィードストック、高度不飽和脂肪酸、ファイトニュートリエント、および任意の他の有用な生成物も提供する。
【0009】
本発明は、目的藻類を含む選択的な屋外培養池型藻類培養を提供する。目的藻類は緑藻でよい。緑藻はセネデスムス属でよい。目的藻類はケイソウ(珪藻)類でよい。池はレースウェイ型培養池であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
脂質生産のため目的藻類を選択的に培養する方法は、本発明に従って提供される。本発明の前記方法および他の方法は、バイオディーゼルのような生物燃料用や、オメガ-3脂肪酸のような高度不飽和脂肪酸用の脂質の生産のために使うことができる。本発明の前記方法および他の方法は、動物餌料および養殖(水産養殖)飼料等のフィードストックの生産のために用いることができる。本発明の前記方法および他の方法は、ベータカロチンおよびアスタキサンチン等のファイトニュートリエントの生産に用いることができる。
【0011】
目的藻類は、任意の適した藻類種か、またはそれらの1種以上の株であってもよい。つまり、目的藻類は概して、単一の藻類種であるが、ある実施形態では、2つ以上の藻類の種および/またはそれらの株の組合せであってもよい。目的藻類は、好ましくは、適する条件下で、高レベルの脂質を生成することが可能な藻類を含む。
【0012】
目的藻類には、少なくとも1種の緑藻が含まれうる。ある実施形態では、目的藻類はケイソウである。目的藻類は、任意の供給源である自然または人工的なものから取得し、単離し、そして環境に適応させる(domesticate、栽培化する)ことができる。ある実施形態では、藻類は、ソースローカルから藻類培養生産の場所にかけて得られる。ある実施形態においては、目的藻類は、米国のルイジアナ州で捕獲される。ある実施形態では、目的藻類は、ルイジアナ州レークチャールズ、またはその近辺で捕獲される。目的藻類はコロニー型の藻類であってもよい。目的藻類の単離および精製は、ピペット、培地(媒体)、光および温度等の方法で実施可能である。ある実施形態では、単離および精製された目的藻類の株は、数日(2、3日)の間、10℃未満等のより低い温度で生存できる。目的藻類株の栽培化とは、より低い温度、より少ない光源および最小の栄養培地において株を処置することである。精製された藻類株は、5mlの培地中で増殖させた後、数千リットルの培地、天然水、または処理水へと大規模化することができる。純培養(無菌培養)は、きれいな水で、たとえば、逆浸透(RO)または蒸留水等から調製することができる。次に、目的藻類の株は、順化のため、ろ過源水もしくは非ろ過源水、または処理水に導入することができる。純培養物の一定分量は、保存培養物として清潔な水中で維持することができる。
【0013】
ある実施形態では、目的藻類は、1種もしくはそれよりも多くのセネデスムス属の緑藻、またはその任意の組合せを含むものである。ある実施形態では、緑藻には、セネデスムス・オブリカスが含まれる。ある実施形態においては、緑藻は、セネデスムス・オブリカス、セネデスムス・クゥアドリカウド(Scenedesmus quadricauda)、セネデスムス・マキシムス(Scenedesmus maximus)、セネデスムス・アルマタス(Scenedesmus aramatus)、セネデスムス・オポリエンシス(Scenedesmus opoliensis)、セネデスムス・ジモルファス(Scenedesmus dimorphus)、およびそれらの任意の組合せからなる群より選ばれる。種の変異体を用いることもできる。たとえば、セネデスムス・クゥアドリカウド・マキシムス(Scenedesmus quadricauda maximus)を用いることができる。セネデスムス・オブリカスには、たとえば、セネデスムス・オブリカス・テキサス大学(UTEX)株1450を含むことができる。
【0014】
また、非セネデスムス属(Non-Scenedesmus)藻類および他の水産培養可能な(aquaculturable)微生物を、本発明に従って用いることもできる。ある実施形態では、目的藻類には、クロレラ属(Chlorella)、たとえばクロレラ・ミニツシマ(Chlorella minutissima)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、たとえばボトリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、ボトリオコッカス・スエディチカ(Botryococcus sueditica)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、クロステリウム属(Closterium、ミカズキモ属)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、ペディアスツルム属(Pediastrum)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、メロシラ属(Melosira)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、オエドゴニウム属(Oedogonium、サヤミドロ属)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、たとえばヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、またはその任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類は、ドナリエラ属(Dunaliella)、たとえばドナリエラ・サリナ(Dunaliella salina)、ドナリエラ・パーバ(Dunealiella parva)、ドナリエラ・ビリディス(Dunealiella viridis)、またはそれらの任意の組合せ等である、1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、イソクリシス属(Isochrysis)、たとえばイソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galpana、Isochrysis galbana、ハプト藻)、またはそれらの任意の組合せ等である、1種以上のプリムネシオフィシアン(Prymnesiophycean)緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、テトラセルミス属(Tetraselmis)、たとえばテトラセルミス・スーシカ(Tetraselmis suecica)藻類、またはその任意の組合せ等である、1種以上のプラシノフィシアン(Prasinophycean)緑藻が含まれる。ある実施形態では、目的藻類には、1種以上のケイソウ類が含まれる。ケイソウ類の例としては、スケレトネマ属(Skeletonema)のスケレトネマ・コスタータム(Skeletonema costatum)、キートセロス属(Chaetoceros)のキートセロス・カリストランス(Chaetoceros calcitrans)、またはそれらの任意の組合せ等が含まれる。特定の藻類に関して、ここで説明した発明方法は、他の種類の藻類、または既知の他の藻類に代用することができ、または付加することも可能である。
【0015】
ある実施形態では、目的藻類は、実質的な純粋培養から生産される。ある実施形態では、目的藻類は、藻類の培養集団から選択する。第1培養池の目的藻類は、その培養池において、適当な時間維持することができる。第1培養池における藻類の培養容量としては、目的藻類のスターターカルチャーを拡大することで、第1培養池における目的藻類の増殖を可能にする。ある実施形態では、増加ステップは、目的藻類を連続して増加させる2つ以上のステップより構成される。
【0016】
本発明による培養選択性は、目的藻類の単一培養を必要としない。培養選択性の維持には、第1培養池の藻類培養において、目的藻類を優勢な藻類として維持する工程が含まれる。たとえば、藻類の培養を拡大している時、または天候もしくは他の現象の最中もしくはその後、培養選択性の一時的な損失がありうる。ある実施形態では、目的藻類は、全藻類の少なくとも50%に維持される。ある実施形態では、目的藻類は、全藻類の少なくとも75%に維持される。ある実施形態では、目的藻類は、全藻類の少なくとも90%に維持される。ある実施形態では、目的藻類は、全藻類の少なくとも95%に維持される。ある実施形態では、目的藻類は、全藻類の少なくとも99%に維持される。開放型培養池(オープン型培養池)において、目的藻類を100%純粋な株、または少なくとも90%純粋な株にすることができる。ある実施形態では、オープン型培養池の培養物を、少なくとも50%純粋な株にすることができる。ある実施形態では、研究または一般的な生産目的のために、他の藻類種を、目的藻類と共に増殖させている。
【0017】
目的藻を選択的に育てる方法には、第1培養池で目的藻類を増殖させる工程、第1培養池で目的藻類を希釈する工程、第1培養池に栄養組成物を供給する工程、および第1培養池において培養選択性を維持する工程が含まれる。ある実施形態では、栄養組成物を供給するステップは、希釈ステップとほぼ同時刻に実行される。ある実施形態では、培養物のpHは、約pH 6〜約pH 8までに維持される。この方法は、仮にpH が8.5以上に達した場合、二酸化炭素を第1培養池に加えるステップをさらに含むことができる。pHを維持するための二酸化炭素の添加は、栄養供給源としての二酸化炭素の使用と連動して、またはそれと無関係に遂行することができる。
【0018】
本方法は、仮に温度が33℃以上に達した場合、冷却液体を第1培養池に加えるステップをさらに含むことができる。ある実施形態では、冷却液体には、新鮮な培地が含まれうる。「培地」とは、特に明記しない限り、任意の適した培地または培地群も採用することができる。たとえば、5mMの重炭酸ナトリウム、1mMの尿素(または硝酸ナトリウムまたはアンモニア)、30μMリン酸三ナトリウム、および2μM塩化鉄(II)を含む培地を用いることができる。ある実施形態では、逆浸透水を培地の製造に用いることができる。
【0019】
任意の適した栄養組成物を、本発明に採用することができる。ある実施形態では、栄養組成物は、栄養組成物の池への添加後に測定した時に、少なくとも約0.6mMの濃度になるように重炭酸ナトリウムを含んでいる。ある実施形態では、栄養組成物は、栄養組成物の池への添加後に測定した時に、少なくとも約2mMの濃度になるように重炭酸ナトリウムを含んでいる。栄養組成物は、鉄の供給源(鉄源)を含むことができる。ある実施形態では、鉄源には、塩化鉄(II)が含まれる。栄養組成物には、窒素源およびリン酸塩源が含まれうる。ある実施形態では、窒素源には、尿素が含まれ、そしてリン酸塩源には、リン酸三ナトリウムが含まれる。ある実施形態では、リン酸塩に対する窒素の比は少なくとも約15:1である。ある実施形態では、その比率は少なくとも約29:1である。ある実施形態では、比率は約30:1である。
【0020】
第1培養池に、任意の適した構造、またはそれら構造を組合せたものを用いることができる。第1培養池は、レースウェイ型培養池であってもよい。レースウェイ型培養池は、培養物中の目的藻類を、サーキット(回路)内で移動させるハウジング(筐体)を提供する。任意の適した回路形状を採用することができる。たとえば、レースウェイ型培養池の形状は、レース(racing)またはランニング(running)トラックの形状に似せることができる。培養池は、連続した水路を形成するために、平行な長方形(parallel rectangular)水路の連結した隣接端部のいずれかに、半円形または十分に湾曲した水路を備えた水路から構成できる。レースウェイ型培養池は、等しい面積または異なる面積の1種以上の通路から構成できる。ある実施形態では、培養池は、培養池の水路全体を通して、それぞれ一定幅の通路に分けられている。
【0021】
第1培養池は、透明なハウジングを有してもよい。ハウジングは、完全または部分的に透明であってもよい。ある実施形態では、透明なハウジングは、アクリルポリマーから構成される。しかしながら、光を通過させるのに適した物質を、透明ハウジングに用いてもよい。
【0022】
第1培養池のサイズ(大きさ)は、任意に適したサイズでよい。培養池の容量は、少なくとも藻類の培養容量に適応させる。培養池の容量は、降水および他の液体の浸入がオーバーフローするのを最小にしたり、なくしたりするため、もっと容量を増加させてもよい。たとえば、22リットル容量の培養池は、ちょうど約18リットルの藻類培養容量に適している。ある実施形態では、第1培養池の藻類培養容量は、約18リットル以上である。ある実施形態では、第1培養池の藻類培養容量は、約600リットル以上である。ある実施形態では、第1培養池の藻類培養容量は、約14,000リットル以上である。
【0023】
第1培養池の藻類培養物の深度は、任意の適した深さでよい。藻類の容量が、藻類への日照権と釣り合うような、深さにすることが可能である。ある実施形態では、第1培養池の深さには、約13〜20センチメートルまでの平均藻類培養深さが含まれる。ある実施形態では、平均藻類培養深さは、約18センチメートルである。
【0024】
第1培養池の目的藻類は、任意の適した速度で混合することができる。適した速度とは、藻類細胞を日光および栄養分へアクセスさせるものがよい。ある実施形態では、目的藻類は、約12cm/秒、約15cm/秒、または約18cm/秒の速度にて混合される。混合は、任意の適した手段で行うことができる。ある実施形態では、混合は、1種以上の外輪(パドルホイール)を使ってもたらされる。新しい培養物および培地は、パドルホイールを使う直前に加えることができる。ある実施形態では、パドルホイールは、少なくとも6つのパドルおよび各パドルの端部間に支持体を有している。パドルホイールは、培養池の中央境界線(median divide)および外側の壁にまたがるように位置させることができる。ある実施形態では、パドルホイールは、レーンが曲がる前の培養物を最も大きな距離で押すことができるように位置させる。採用されるパドルホイールの数は、池の幅に依存する。ある実施形態では、1〜3のパドルホイールが採用される。仮に1つより多いパドルホイールが用いられる場合、それらは平行に設置することができる。パドルホイールの数および位置決めは、パドルホイールを作成するのに用いる材料、およびパドルホイールの強さで変動しうる。
【0025】
第1培養池の目的藻類は、任意に適した程度にまで希釈することが出来、且つ適した頻度で希釈することができる。希釈は、連続してもよく、実質的に連続していてもよく、または時間差であってもよい。ある実施形態では、比較的容量の大きな藻類培養物は、比較的まれにしか取り除かれない。ある実施形態では、比較的容量の少ない藻類培養物は、比較的頻繁に取り除かれる。目的藻類は、任意の適した手段によって希釈することができる。培地を加えて藻類培養物を希釈するか、藻類細胞を取り除くか、あるいはそれらを組み合わせることで希釈することが可能である。藻類培養物の除去および培地の添加は同時である必要はない。目的藻類は、第1培養池での藻類の実質安定した増殖を維持するために、任意に適した容量に希釈することができ、加えて第1培養池藻類を他の用途に利用してもよい。ある実施形態では、藻類の増殖は、第1培養池における増殖時間の少なくともある一定期間は対数関数的である。ある実施形態では、希釈ステップには、約35%から約60%の希釈により、第1培養池の目的藻類を希釈する工程が含まれる。ある実施形態では、希釈は約50%である。ある実施形態では、希釈は約20時間ごとに実行される。藻類の濃度は、任意の適した方法を使って測定できる。ある実施形態では、セッキ板の5〜6cmの表示(白黒)が努力して見えた時(すなわちその板がもはや見えない時)、希釈が行われる。ある実施形態では、藻類の濃度は、第1培養池において1mlにつき約200万〜約300万の藻類の範囲で維持される。第1培養池から取り除かれる藻類培養物の容量は、希釈パーセントおよび培養物の容量に依存してもよい。この容量は、第1培養池の総培養容量の約20%より多くてもよく、且つ約60%未満であってもよい。取り除かれた容量の藻類濃度は、希釈が連続であるか、または時間差であるかどうかに依存し得る。細胞数は、約250万細胞/ml〜約500万もしくは約600万細胞/mlまでおよぶ。希釈量および希釈頻度は、日光の違いを考慮して、調整することができる。たとえば、この調整は、時期、季節、半球、および/または緯度に基づいてもよい。目的藻類における特定の種および株が、これらパラメーターによって変動し得る。たとえば、ある種類の株は、冬もしくは寒い季節の間、または夏もしくは暖かい季節に用いることができる。
【0026】
希釈ステップには、第1培養池から大量の目的藻類を取り除く工程が含まれうる。ある実施形態では、第1培養池から大量の目的藻類を、第2培養池に放出している。ある実施形態では、第1培養池からの大量の目的藻類の除去および第2培養池への放出は実質同時である。他の実施形態では、第1培養池からの除去および第2培養池への放出は、適当な間隔を空けている。
【0027】
第2培養池の藻類深度は、任意に適した深さでよい。ある実施形態では、第2培養池の藻類深度は、約18センチメートル〜約30センチメートルである。一旦第2培養池に放出した目的藻類の保持期間は、ある程度の期間は可能である。ある実施形態では、保持期間は約3日である。第2培養池は、その培養池に放出された大量の藻類培養物を、保持期間の間保つのに十分な容量である。たとえば、保持期間が約3日で、藻類培養物が毎日第2培養池に加えられる場合、その培養池の「流動培養(添加培養)」は、容量を各流動培養の3倍の状態にして、3日間維持しなければならない。ある実施形態では、第2培養池の濃度は、1mlにつき500万〜1000万細胞の範囲である。
【0028】
第2培養池は、任意の適した構造、またその構造の組合せから構成することが可能である。適切な条件セットを、第2培養池で維持することも可能である。第2培養池は、ストレス培養池であってもよい。第2培養池は、沈殿(定着)培養池であってもよい。ある実施形態では、第2培養池が、ストレス培養池でもあり、沈殿培養池でもある。ストレス培養池は、生物燃料生産のために収穫される目的藻類の脂質の生産を増加する環境を提供する。多くの異なる方法により、ストレス培養池にすることができる。たとえば、目的藻類は、一般に栄養分が不足しても大丈夫であり、1種以上の栄養成分を奪われても大丈夫である。ある実施形態では、ストレス培養池は窒素欠乏である。窒素欠乏が、完全でも、または部分的でも大丈夫である。窒素の他に、二酸化炭素を含む他の栄養分を、第2培養池の藻類培養物に加えることができる。第2培養池の状態は、目的藻類による脂質生産またはその他望ましい生成物を最大にできる。ある実施形態では、培養選択性を第2培養池で維持している。ある実施形態では、第2培養池はストレス培養池であり、より深いことを除けば、第1培養池、たとえばレースウェイ型培養池と同じ構造である。沈殿培養池は、目的藻類を沈殿(定着)させる。ある実施形態では、沈殿培養池は漏斗状である。ある実施形態では、ストレス培養池および沈殿培養池は異なる培養池とされており、沈殿培養池は第3培養池として利用している。
【0029】
目的藻類は、脂質抽出、および最終的な生物燃料生産のような下流のプロセスでの使用のために、第2培養池から収穫してもよい。目的藻類は、任意の適した手段を使って、適した量を、そして適した頻度で収穫することができる。ある実施形態では、収穫は、約52時間から約54時間までに一度実行された後、第2培養池への大量の目的藻類の放出が行われる。ある実施形態では、収穫は約72時間で実行された後、第2培養池への大量の目的藻類の放出が行われる。ある実施形態では、収穫は、細胞塊(質量)において少なくとも約25%の脂質濃度に達した時点で、実行される。脂質含量は、任意の適した測定法を使って測定される。ある実施形態では、脂質含量は、蛍光光度計を使って測定される。蛍光光度計で測定する目的物は、選択するアパーチャーおよび試料(サンプル)の濃度に依存しうる。任意の適した蛍光色素(染料)を採用することができる。ナイルレッド、ナイルブルーおよびインディアブルーなどがある。
【0030】
目的藻類は、脱水することができる。脱水は、収穫ステップの一部分として、または別のステップとして実行することができる。ある実施形態では、脱水ステップには、ベルトプレスおよび脱水素機(dehydrogenator)の少なくとも1種が用いられる。ある実施形態では、収穫ステップには、沈殿した目的藻類を第2培養池からポンプで圧送することで、目的藻類を脱水する工程が含まれる。硫酸アルミニウム(たとえば50-100ppm)、または塩化第二鉄(たとえば10-30ppm)は、藻類の沈殿を補助するのに用いることができる。ポリマー(たとえば、藻類のバイオマス(生物量)の0.5%)を、ベルトプレスを使う前に、藻類の凝集(coagulation)を促進するのに用いることができる。任意の適したポリマーまたはポリマーの組合せを用いることができる。ある実施形態では、エマルジョンポリマーが用いられている。エマルジョンポリマーの例としては、Flopam EM 640、Flopam EM 840、およびそれらの組合せがある。ある実施形態では、溶液ポリマーが用いられている。液体ポリマーは、エマルジョンポリマーを用いる場合より、より多くの溶液ポリマーが必要になる。また、他の方法では、凝集促進物として、クレイ(粘土)、pH調整(たとえばpHにおける増加)、栄養分不足、および帯電電極の1種以上がある。
【0031】
ある実施形態では、開放型培養池の藻類を、1ミリリットルにつき300万の細胞密度か、それより高密度に達した後に収穫し、ろ過速度に応じた30ミクロン(μm)以上のメッシュサイズのフィルターに通す。このろ過産物は、藻類のペーストで、脂質を抽出するために、メタノール、クロロホルム、アセトン、エタノール、ヘキサン等の溶媒で処置したり、バイオディーゼルを得るために精製したりできる。オメガ-3脂肪酸の抽出物、養殖飼料のような動物飼料、ベータ-カロチン(carotein)、ビタミン等は、微細藻類を含む種々の藻類から抽出することができる。藻類塊をろ過した後の培養池水は、60分以上の間、UV蛍光曝露することで処置することができる。ある実施形態では、曝露時間を、最高3時間以上に延長できる。UV処置された水は、種々の栄養分、たとえば、窒素、リン酸塩および二酸化炭素等と共に、培養池にポンプで戻すことができる。新しい接種株を、藻類増殖のために、培養池にポンプで圧送することができる。ある実施形態では、炭素、窒素、リン、ミネラル(鉱物)、ビタミンの栄養分が加えられる。ある実施形態では、主要な栄養分は、単独で培養池に加えられる。
【0032】
脂質を目的藻類から抽出することができる。脂質抽出の任意の適した手段を採用することができる。ある実施形態では、抽出ステップには、クロロホルム:メタノール抽出およびヘキサン抽出の少なくとも1種が含まれる。藻類の塊は、脂質抽出のため、BlighならびにDyerの手法、Fajardoの手法、および超臨界的CO2プロセスのような溶媒で処置することができる。脂質は、HolupおよびSkeaffにより述べられた、アルカリを用いたエステル交換プロセスを使ってバイオディーゼルに加工されてもよい。それに加えて、または代わりに、バイオエタノール、バイオ水素、バイオメタノール、および他の生成物を生じさせることもできる。
【0033】
オメガ3脂肪酸および高度不飽和脂肪酸(PUFAs)の他の群のようなバイオディーゼル生産プロセスの副産物は、藻類のペーストから抽出される。たとえバイオディーゼルが生産されないとしても、これらの望ましい脂質を得ることができ、故に副産物と考える必要はない。主要なオメガ-3脂肪酸には、アルファ-リノレン酸(ALA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)が含まれる。オメガ-3脂肪酸およびPUFAsは、製薬および栄養補助食品へ適用することができる。オメガ-3脂肪酸は、異なる温度のプロセス下で、脂質処置することによる脂質抽出プロセス間の副生成物として得ることができる。ある実施形態では、すべてのこれらの反応は、嫌気性環境において実行されている。ある実施形態では、目的藻類のある株は、およそオメガ3を22%よりも多く、PUFAsを29%より多く、一価(モノ)不飽和脂肪を20%より多く、そして飽和脂肪を27%より多く産生する。ある実施形態では、藻類の脂質生成物には、約26.1%のオメガC18-3脂肪、20%のモノ不飽和脂肪、26.4%のポリ不飽和脂肪、25%の飽和脂肪、および2.5%のトランス脂肪が含まれうる。炭素鎖には、制限されないが、異なるパーセンテージのC12 からC24鎖が含まれる。実際の脂質プロファイルは、1種以上の成分の増加または減少を伴って、藻類の増殖状況に依存して変動し得る。他の方法をまた採用することもできる。オメガ-3脂肪酸は、一般的には、たとえば心臓および循環系の医療上の障害、炎症性疾患、およびガンの予防または処置等の種々の健康のために適用できる。藻類はまた、ビタミンA、C、Eを含むビタミン資源を有し、微細藻類からビタミン抽出プロセスを使って得ることができる。
【0034】
藻類のミール(食事)供給原料の生産には、以下のステップが含まれうる。抽出後に得られる藻類のペーストは、抗溶媒(anti-solvent)で洗浄し、次に脱イオン水で洗浄し、空気乾燥された後、約12時間、約60℃で低温殺菌して処置される。その後、バイオマスはミル(粉砕)され、供給業者が要求する適当な容器に詰めることができる。ある実施形態では、藻類のミール生成物には、3%の粗繊維、0.1%のカルシウム、39%のタンパク質、0.2%のモノ不飽和、0.2%のオメガ3脂肪、0.2%のポリ不飽和脂肪、0.2%の飽和脂肪、0.1%のトランス脂肪、および1%の他の脂肪が含まれる。このバイオマスはまた、エタノールの生産のために用いることもできる。バイオガス(生物ガス)は、バイオマスの嫌気的消化から生産することができる。本発明での供給原料は、様々な量のタンパク質、脂質、糖質(炭水化物)、繊維、ミネラル、ビタミン、および他の栄養分を含むようにできる。本発明の方法は、そのような様々な量を生産するために適応している。
【0035】
脂質含量は、藻類のペーストの10%、20%、25%、30%、35%、40%、または50%に等しいか、またはそれより多いことがある。ある実施形態では、脂質含量は、藻類のペーストの26.3%である。供給原料(ミール)は、藻類のペーストの10%、20%、25%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%に等しいか、またはそれよりも多いことがある。タンパク質含量は、供給原料(ミール)の10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%に等しいか、またはそれよりも多いことがある。ある実施形態では、タンパク質含量は39%である。
【0036】
Scenedesmus属の目的藻類を選択的に育てる方法は、本発明に従って提供される。この方法には、第1培養池において目的藻類を増殖させる工程、第1培養池において目的藻類を希釈する工程、第1培養池に栄養組成物を供給する工程、および第1培養池において培養選択性を維持する工程が含まれる。
【0037】
本発明は、目的藻類Scenedesmus obliquusの培養方法を提供する。この方法には、第1培養池において目的藻類を増殖させる工程、第1培養池において目的藻類を希釈する工程、第1培養池に栄養組成物を供給する工程、および第1培養池において培養選択性を維持する工程が含まれる。
【0038】
本発明は、目的藻類Scenedesmus obliquusを選択的に培養する方法を提供する。この方法には、以下のステップが含まれる。目的藻類は、レースウェイ型培養池において増殖させる。仮にpHが8.5以上に達する場合は、二酸化炭素をレースウェイ型培養池に加える。仮に温度が33℃以上に達する場合は、冷却液体をレースウェイ型培養池に加える。レースウェイ型培養池の目的藻類は、約20時間ごとに約60%に薄められる。栄養組成物は、希釈するステップとほぼ同時刻にレースウェイ型培養池に供給される。この時栄養組成物は、重炭酸ナトリウム濃度が少なくとも2mMで、窒素:リン酸塩の比が少なくとも約15:1になるように、重炭酸ナトリウム、尿素、リン酸三ナトリウム、および塩化鉄(II)から構成する。希釈ステップ中に得られる大量の目的藻類は、窒素が不足するストレス培養池に放出される。ストレス培養池から目的藻類は収穫し、そして脱水する。脂質を目的藻類から抽出する。
【0039】
本発明の任意の方法にはさらに、目的藻類から生産される脂質から、生物燃料を生じさせるステップが含まれうる。任意の適した方法が採用される。たとえば、エステル交換が採用される。ある実施形態では、生物燃料はバイオディーゼルである。ある実施形態では、生物燃料はバイオジェットである。本発明の任意の方法によって生産される生物燃料は、本発明の1つの局面である。本発明は、任意の方法によって生産される生物燃料を提供する。
【0040】
本発明の任意の方法にはさらに、目的藻類から高度不飽和脂肪酸を生じさせるステップが含まれうる。ある実施形態では、高度不飽和脂肪酸には、オメガ-3脂肪酸が含まれる。ある実施形態では、オメガ-3脂肪酸には、アルファ-リノレン酸(ALA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、またはそれらの組合せが含まれる。本発明は、本発明の任意の方法によって生産される高度不飽和酸を提供する。
【0041】
本発明の任意の方法にはさらに、目的藻類から供給原料を生じさせるステップが含まれうる。供給原料には、動物飼料、養殖飼料、またはそれらの組合せも可能である。本発明は、任意の方法によって生産される供給原料を提供する。
【0042】
本発明の任意の方法にはさらに、目的藻類からファイトニュートリエント(植物栄養素)を生じさせるステップが含まれうる。ファイトニュートリエントはカロチノイドでもよい。ある実施形態では、カロチノイドは、アスタキサンチン、ベータカロチン、またはそれらの組合せである。本発明は、任意の方法によって生産されるファイトニュートリエントを提供する。
【0043】
Scenedesmus属の目的藻類を含む、選択的屋外培養池の藻類培養物は、本発明に従って提供される。培養物は培養池に存在する。池はレースウェイ型培養池であってよい。本発明の方法に関しては、上記述べたように、選択的藻類の培養物は単一栽培である必要はない。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも50%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも75%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも90%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも95%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも99%である。選択的屋外培養池の藻類培養物には、Scenedesmus obliquusが含まれうる。目的藻類は、Scenedesmus obliquus、Scenedesmus quadricauda、Scenedesmus maximus、Scenedesmus opoliensis、Scenedesmus aramatus、Scenedesmus dimorphus、およびこれらの組合せからなる群より選択できる。種の変異体を用いることもできる。たとえば、Scenedesmus quadricauda maximusを採用することができる。ある実施形態では、Scenedesmus obliquusに、Scenedesmus obliquus UTEX株1450が含まれる。
【0044】
非Scenedesmusな目的藻類および/または他の水産養殖可能な微生物を含む、選択的屋外培養池の藻類培養物は、本発明に従って採用することができる。ある実施形態では、培養物には、Chlorella属、たとえばChlorella minutissima 、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Botryococcus属、たとえばBotryococcus braunii、Botryococcus sueditica 、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Chlamydomonas属、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Closterium属またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Pediastrum属、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Melosira属、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Oedogonium属、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Haematococcus属、たとえばHaematococcus pluvialis、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Dunaliella属、たとえば、Dunaliella salina、Dunealiella parva、Dunealiella viridis、またはそれらの組合せである1種以上の緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Isochrysis属、たとえば、Isochrysis galpana、またはそれらの組合せである1種以上のPrymnesiophycean緑藻が含まれる。ある実施形態では、培養物には、Tetraselmis属、たとえば、Tetraselmis suecica、またはそれらの組合せである1種以上のPrasinophycean緑藻が含まれる。ある実施形態では、ケイソウ類が目的藻であり、培養のために1種以上の緑藻と組み合わせて用いられる。ケイソウ類の例としては、これに限定されないが、Skeletonema属のたとえばSkeletonema costatum、Chaetoceros属のたとえばChaetoceros calcitrans、またはそれらの組合せが含まれる。培養物は培養池に存在する。培養池はレースウェイ型培養池であってよい。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも50%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも75%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも90%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも95%である。ある実施形態では、目的藻類は藻類全体の少なくとも99%である。
【0045】
以下の例はさらに本発明を例証するが、勿論いかなる形式であっても、その範囲を制限するように解釈されてはならない。
【0046】
(実施例1)
本実施例は、緑藻の培養物の増殖の工程を実証する一方、本発明に従って培養選択性が維持される工程を実証する。Scenedesmus obliquusの培養(テキサス大学)を採用する。容量を増やすために、他の適した培地を用いることも可能であるが、UTEX栄養分培地を使って、斜面培地(50万細胞/mLでの20mL)の6本の試験管(50mLの培養物が100万細胞/mLの濃度に達するまで)を二次培養する。UTEX栄養分培地は、1g/Lのプロテオースペプトンを含むBristol(ブリストル)培地のプロテオース媒体である。ブリストル培地は、2.94mMのNaNO3、0.17mMのCaCl2・2H2O、0.3mMのMgSO4・7H2O、0.43mMのK2HPO4、1.29mMのKH2PO4および0.43mMのNaClである。一旦増殖が確立されたなら、培養物を点栄養分濃度(point nutrient concentrations)が始まる250mlのエルレンマイヤーフラスコへ移し、これらの濃度を以下に記載する。細胞密度が増加するとき(200mlの培養物において100万細胞/mlの濃度まで)培養物を1.5リットルのバブル(泡)カラムへ移し(200万細胞/mlまで増殖された1.25Lの培養物)、同じ栄養分処置が続けられる。培養物は次に、屋外のレースウェイ型培養池に移される(各培養池は、約18リットルの藻類培養物を保つために、約22リットルの容量を有す)。培養池の細胞濃度は、200万〜300万細胞/mlに維持される。アクリルの培養池は、約15cm/sの混合速度で適切な光を確保するために採用される。
【0047】
栄養分濃度は、上記に言及したように採用され、培養池の培養物を維持するために、重炭酸ナトリウム、尿素、リン酸三ナトリウム、および塩化鉄(II)を含む。表示された濃度は、培養池への栄養分の添加後のものである。重炭酸ナトリウムは2mMの濃度で用いられる。約30:1比の窒素対リン酸塩(N:P)は、窒素0.75mMおよびリン酸塩20μMで用いられる。塩化鉄(II)は約2μMで用いられる。S. obliquusは、pH 6-8の範囲内で良好に増殖する。それを可能とするため、pHが8.5に達するとすぐに、二酸化炭素が一日を通して定期的に泡立てられる。
【0048】
Scenedesmus obliquusは約20時間の倍加速度をもつ。細胞保持時間を約20時間まで維持することで、藻類は一貫した増殖を維持することができ、一方で長い保持時間の他の有機体が追い出される。この保持時間を可能にするために、培養物は毎日60%によって薄められる。
【0049】
S. obliquusの増殖の最適温度は、20℃〜30℃の範囲である。しかし、増殖は35℃で急激に減少する。温度を最適範囲に維持するために、培養池は、15cm/sの混合速度で、最小深度を18センチメートルで維持する。温度は1時間ごとに監視され、そして33℃を超えたとき、培養物を新鮮倍地で希釈する。
【0050】
脂質含量を増やすために、毎日の希釈から出る過剰なバイオマスを、より深いストレス培養池へ移し、そこでは窒素のすべてが実質消費されるまで、培養物が増殖する。レースウェイ型培養池に提供された栄養物の濃度では、24時間の増殖に十分な窒素のため、ストレス培養池では、約4-6時間で窒素が消耗される。培養物は次いで、収穫前に窒素のストレスに48時間さらされる。
【0051】
脂質分析は、蛍光および総脂質抽出の双方を使って行われる。蛍光は、脂質測定のための手法になり得る。染料ナイルレッドは、脂質の存在下で、強い蛍光物質となり、読み込みを可能にするため用いられる。F4T5/dランプを有するTurner(ターナー)モデル110蛍光光度計を採用する。採用される吸収フィルターは420〜470nmであり、そして採用される励起フィルターは>520nmである。この方法のために、培養物は3ppmのバイオマスに薄められる。次に、染料を1ppmの濃度で加える。この溶液はボルテックスミキサーを使って5分間混ぜ、その産物を1時間の間に5分間隔で読み込む。その結果を、1ppmのナイルレッドを含む、1ppmのトリオレイン標準溶液に対して比較する。
【0052】
総脂質抽出を、改良したブライおよびダイアーの方法を用いて行った。クロロホルムおよびメタノールは、バイオディーゼル生産の有用な脂質を抽出するために、1:1の比で用いられる。目的藻類は最初に脱水され、そしてスラリー(泥漿)をベンチトップ(卓上)脱水ユニットを使って夜通し乾燥させる。その後藻類フレーク(薄片)を秤量し、当量のクロロホルムメタノール溶液を加える。このスラリーを次にボルテックスを使って混ぜる。30分後に、試験管のキャップを取り、溶媒を蒸発させる。蒸発が終了したら、内容物をろ過し、測定する。
【0053】
Scenedesmus obliquusを収穫するための方法は、調整することが可能である。バイオディーゼルをつくるため、藻類スラリーを脱水するが、完全には乾燥させない。安価で極めて効率的な脱水方法は、ストレス培養池としても使われる沈殿培養池を用いることである。この二重目的の培養池は、藻類収穫のための貯蔵場所を提供しつつ、藻類に脂質を貯蔵させる。増殖期の間、S. obliquusは、細胞壁のまわりに負電荷を維持する。この電荷は、細胞を互いに反発させる。細胞が老化し、迅速に光合成しなくなると、その細胞は電荷を失い、他の細胞と凝集することが可能となる。これらの凝集塊(クランプ)が大きくなり、最終的に培養池の底へ沈み、より厚みのあるスラリーをポンプで送り出すことを可能にする。細胞は、ストレス培養池内で、この静止相に達する。細胞が脂質を蓄えた時、それらはまた群がり、そして沈殿し始める。
【0054】
(実施例2)
本実施例は、本発明に従い、ベータカロチン生産のための目的藻類培養物の増殖を実証する。ベータカロチンは脂質および油に溶解性の生成物であり、酸化抑制性、遊離基捕捉特性およびガン予防活性を有している。種々の藻類種が、ベータカロチン小球(globules)獲得のために、培養することができる。たとえば、海洋、時には淡水にいるDunaliella属の藻類においては、基礎培地でD. salina、D. parva、D. viridisおよびそれらの任意の組合せを培養することができる。Dunaliellaは、単細胞で、双鞭毛の裸細胞の緑藻である。D. parvaおよびD. salinaは、大量のベータカロチンを蓄えることができる。これらの藻類は20〜40℃の範囲で増殖することができるが、非常に低い温度に耐えることもできる。
【0055】
以下のものは、藻類のベータカロチン生産のための培地を調製するのに用いられる。すなわち、2.14MのNaCl、4.81μMのFeCl3、1.82μMのMnCl2、0.13mMのNaH2PO4および1.18mMのNaNO3、海水および他の鉱物もまた採用することができる。30-40gmの乾燥重量/m2/日の生産性を可能にする。収穫は、フィルター源として珪藻土を使って高圧ろ過装置によって行う。収穫されたバイオマスはまた、乾燥させ、そして消費のため市場に出荷することもできる。ある例では、藻類の塊は、遠心分離し、ろ過し、そしてNaClを添加し、次いで遠心分離を何サイクルか続ける。細胞は、浸透圧で壊すことができるが、ベータカロチンは膜と結合したままである。ベータカロチン小球は、膜から上澄みへと、このステップで解放され、そして懸濁物として存在する。懸濁物は50%のショ糖およびトリスHClを含む溶液と混ぜられ、その調製物を遠心分離する。精製したベータカロチン小球は最上層から集められると共に、クロロフィルを含む膜が底部でペレット化する。
【0056】
(実施例3)
本実施例は、本発明に従って養殖飼料のためにケイソウ類、または緑藻の培養増殖を実証する。ケイソウ類、Skeletonema costatum、Chaetoceros calcitrans、Prymnesiophycean Isochrysis galpanaおよびPrasinophycean Tetraselmis suecicaは、屋外型培養池で増殖させ、養殖飼料を生産することができる。保存培養は、22〜24℃の温度範囲で、2000ルクスの照明で一定に維持する。ケイソウ類は、NaNO3、NaH2PO4、Na2Si(I)O3、FeCl3およびNa2EDTAを含む海水媒体で増殖させる。緑藻には、ケイ酸塩溶液を含めない。保存培養物は研究室内で維持し、そして培養物を屋外型培養池に接種する。最適温度は20〜33℃である。藻類は、20マイクロメートルのフィルターを使って収穫し、そのバイオマスを空気乾燥し、そして幼若小エビ、カキおよび他の魚幼生のための飼料として供給する。その生成物には、養殖飼料だけでなく、一般に、タンパク質繊維が含まれる。
【0057】
(実施例4)
本実施例は、本発明に従ってアスタキサンチンを生産するための目的藻類培養物の増殖を実証する。Haematococcus pluvialisを研究室において増殖させ、そしてアスタキサンチン含量について試験する。アスタキサンチンはカロチノイド色素であり、そして種々の製薬および栄養補助食品のために用いられる。藻類は、元来は緑色双鞭毛のクロロフィシアン(chlorophycean)のメンバーであり、通常淡水の生息地で増殖する。各細胞は、多くのピレノイドを有する単一カップ形状葉緑体をもつ。細胞が、高い光度、栄養枯渇、日光への直接曝露、その他因子によってストレスを与えられるとき、それらは嚢胞を形成し、赤色となり、それが長期間の生存を可能にする。嚢胞は、細胞内に大量の赤い色素、アスタキサンチンを蓄え、それは乾燥重量の最高4%まで達する。研究室培養されたH. pluvialisは、高温および栄養不足によってストレスを与えられる。嚢胞は重力によって沈殿させられ、臨界超過のCO2で処置されて、細胞が破裂させられる。室温で適度に乾燥され、詰められた破裂細胞は、蓄積していたアスタキサンチンを放出する。
【0058】
本明細書で引用された、出版物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、参照することによって、詳細に示され、そして明細書全体に明記され、また参照することによって明細書に組み込まれる。
【0059】
用語「ある1つ(a)」ならびに「ある1つ(an)」ならびに「その(the)」、および類似の本発明の説明の文脈における使用は(特に以下の請求の範囲の前後関係で)、明細書に示されるか、または前後関係によって明らかに否定されない限り、単数および複数の双方をカバーするものとして解釈される。用語「含まれる」、「もつ」、「有する」、および「含有する」は、特に注目しない限り、制限のない条件(すなわち、「含むが、これに制限されるものではない」ことを意味する)として解釈されることになる。明細書中において、値の範囲の規定は、特に明記しない限り、単に個々に範囲内に入る各別々の値に言及する省略表現として働くよう意図し、そしてまるでそれが明細書中に個々に規定されたように、各別々の値が本明細書中に組み込まれる。明細書に記述するすべての方法は、特に明記し、またさもなければ前後関係によって明らかに否定されない限り、任意の適した順序でも実行されることができる。任意の、およびすべての例の使用またはここに提供される模範的な言語(例は、「のような」)は、単により良好に発明を照らすだけのことを意図し、さもなければ請求されない限り、本発明の範囲に対する制限をもたらさない。本明細書の言語は何も、本発明の実践にとって必須であるように、任意の非請求要素を示すと解釈してはならない。
【0060】
本発明を遂行するために本発明者に既知のベストモード(最良の態様)を含み、この発明の好適な具体化を明細書に記載する。これらの好適な具体化のバリエーション(変形)は、前述の説明を読むことにより、この技術での通常の知識を有する者にとって明らかになりうる。本発明者は、熟練した当業者がそのようなバリエーションを、適切に採用すること予測し、そして本発明者は特にここに記述されるようなものとは別に、本発明のために実践する意図である。したがって、この発明はすべての修飾、および適用法によって許諾され、ここで添付する請求の範囲に規定する主題の等価物を含む。さらに、その可能性がある全てのバリエーションにおいて、上記の要素の任意の組合せでも、特に明細書中に明記し、またはさもなければ前後関係によって明らかに否定されない限り、本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的藻類を選択的に培養するための方法であって、
目的藻類を第1培養池で増殖する工程、
目的藻類を第1培養池で希釈する工程、
栄養組成物を第1培養池に供給する工程、および
培養の選択性を第1培養池において維持する工程から成る培養方法。
【請求項2】
前記方法がさらに、pHが約8.5またはそれよりも高くなった場合、二酸化炭素を第1培養池に加える工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の培養方法。
【請求項3】
前記方法がさらに、温度が33℃またはそれよりも高くなった場合、冷却液体を第1培養池に加える工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の培養方法。
【請求項4】
前記冷却液体が新鮮培地であることを特徴とする、請求項3に記載の培養方法。
【請求項5】
前記栄養組成物を供給する工程が、前記希釈工程とほぼ同時に実行される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項6】
前記栄養組成物は、前記栄養組成物が培養池へ添加後に測定された時に、少なくとも約0.6mMの濃度の重炭酸ナトリウムを含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項7】
前記栄養組成物が、前記栄養組成物が培養池へ添加後に測定された時に、少なくとも約2mMの濃度の重炭酸ナトリウムを含んでいることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項8】
前記栄養組成物が、鉄の供給源を含んでいることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項9】
前記鉄の供給源が、塩化鉄(II)を含んでいることを特徴とする、請求項8に記載の培養方法。
【請求項10】
前記栄養組成物が、窒素源およびリン酸塩源を含んでいることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項11】
前記窒素源が尿素を含み、前記リン酸塩源がリン酸三ナトリウムを含んでいることを特徴とする、請求項10に記載の培養方法。
【請求項12】
前記窒素およびリン酸塩の比が、少なくとも約15:1であることを特徴とする、請求項10または11に記載の培養方法。
【請求項13】
前記比が、約29:1であることを特徴とする、請求項12に記載の培養方法。
【請求項14】
前記比が、約30:1であることを特徴とする、請求項12に記載の培養方法。
【請求項15】
前記第1培養池が、レースウェイ型培養池であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項16】
前記第1培養池が、透明ハウジングを備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項17】
前記透明ハウジングがアクリルポリマーを含んでいることを特徴とする、請求項15に記載の培養方法。
【請求項18】
前記第1培養池の藻類培養容量が、約18リットルまたはそれよりも多いことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項19】
前記第1培養池の藻類培養容量が、約600リットルまたはそれよりも多いことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項20】
前記第1培養池の藻類培養容量が、約14,000リットルまたはそれよりも多いことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項21】
前記第1培養池が、約13〜20センチメートルの平均藻類培養深度を有することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項22】
前記平均藻類培養深度が、約18センチメートルであることを特徴とする、請求項21に記載の培養方法。
【請求項23】
前記目的藻類が、約12cm/秒、約15cm/秒または約18cm/秒の速度で混合されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項24】
前記希釈ステップが、約35%〜約60%の希釈により、第1培養池における目的藻類を希釈する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項25】
前記希釈が、約20時間ごとに実行されることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項26】
前記希釈が、セッキディスクの読み取りが5〜6cmになった時に実行されることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項27】
前記希釈が、連続的であることを特徴とする、請求項1〜25のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項28】
前記藻類濃度が、第1培養池において1mlにつき約200万〜約300万の範囲に維持されることを特徴とする、請求項27に記載の培養方法。
【請求項29】
前記希釈ステップが、第1培養池から大量の目的藻類を取り除く工程を含むことを特徴とする、請求項1〜28のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項30】
前記方法がさらに、
前記第1培養池から第2培養池への大量の目的藻類を放出する工程を含むことを特徴とする、請求項29に記載の培養方法。
【請求項31】
前記第2培養池の藻類深度が、約18〜約30センチメートルであることを特徴とする、請求項30に記載の培養方法。
【請求項32】
前記第2培養池が、ストレス培養池であることを特徴とする、請求項30または31に記載の培養方法。
【請求項33】
前記ストレス培養池が、窒素欠乏であることを特徴とする、請求項32に記載の培養方法。
【請求項34】
前記方法がさらに、
前記目的藻類を前記第2培養池から収穫する工程を含んでいることを特徴とする、請求項30〜33のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項35】
前記収穫する工程が約52時間〜54時間の時間で実行され、次いで大量の目的藻類を前記第2培養池に放出する工程が続くことを特徴とする、請求項34に記載の培養方法。
【請求項36】
前記収穫する工程が約72時間で実行され、次いで大量の目的藻類の第2培養池への放出が続くことを特徴とする、請求項34に記載の培養方法。
【請求項37】
前記収穫する工程が、細胞質量の脂質濃度が少なくとも25%になってから実行されることを特徴とする、請求項34に記載の培養方法。
【請求項38】
前記方法がさらに、
前記第2培養池から収穫された前記目的藻類から水を取り除く工程を含んでいることを特徴とする、請求項34〜37のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項39】
前記水を取り除く工程が、ベルトプレスおよび脱水素機の少なくとも1種を用いることを特徴とする、請求項38に記載の培養方法。
【請求項40】
前記収穫する工程が、沈殿した目的藻類を第2培養池からポンプで圧送することにより、目的藻類の脱水を可能にすることを特徴とする、請求項34〜37のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項41】
前記方法がさらに、
前記目的藻類から脂質を抽出する工程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜40のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項42】
前記抽出する工程が、クロロホルム:メタノールの抽出およびヘキサン抽出の少なくとも1種を含んでいることを特徴とする、請求項41に記載の培養方法。
【請求項43】
前記方法がさらに、
前記目的藻類の第1培養池での増殖を可能とするために、前記目的藻類のスターター培養を増加させる工程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜42のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項44】
前記増加させる工程が、前記目的藻類の連続したより大きな容量への2以上の工程を含んでいることを特徴とする、請求項43に記載の培養方法。
【請求項45】
前記目的藻類が、少なくとも1種類の緑藻であることを特徴とする、請求項1〜44のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項46】
前記緑藻が、セネデスムス(Scenedesmus、イカダモ)属の藻類であることを特徴とする、請求項45に記載の培養方法。
【請求項47】
前記緑藻が、セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)であることを特徴とする、請求項45または46に記載の培養方法。
【請求項48】
前記緑藻が、セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)、セネデスムス・クゥアドリカウド(Scenedesmus quadricauda)、セネデスムス・マキシムス(Scenedesmus maximus)、セネデスムス・オポリエンシス(Scenedesmus opoliensis)、セネデスムス・アルマタス(Scenedesmus aramatus)、セネデスムス・ジモルファス(Scenedesmus dimorphus)およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項45または46に記載の培養方法。
【請求項49】
前記セネデスムス・オブリカスが、セネデスムス・オブリカスUTEX株1450であることを特徴とする、請求項46〜48のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項50】
前記緑藻が、セネデスムス属、コレラ属(Chlorella)、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロステリウム属(Closterium、ミカズキモ属)、 ペディアスツルム属(Pediastrum)、メロシラ属(Melosira)、オエドゴニウム属(Oedogonium、サヤミドロ属)、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、ドナリエラ属(Dunaliella)、イソクリシス属(Isochrysis)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項45に記載の培養方法。
【請求項51】
前記目的藻類が、少なくとも1種のケイソウ類であることを特徴とする、請求項1〜44のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項52】
前記ケイソウ類が、スケレトネマ属(Skeletonema)、キートセロス属(Chaetoceros)、およびそれらの組合せから選ばれる属であることを特徴とする、請求項52に記載の培養方法。
【請求項53】
セネデスムス(Scenedesmus、イカダモ)属の目的藻類を選択的に培養する方法であって、
目的藻類を第1培養池で増殖させる工程、
目的藻類を第1培養池で希釈する工程、
栄養組成物を第1培養池に供給する工程、および
培養選択性を第1培養池において維持する工程
から成る培養方法。
【請求項54】
前記緑藻が、セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)、セネデスムス・クゥアドリカウド(Scenedesmus quadricauda)、セネデスムス・マキシムス(Scenedesmus maximus)、セネデスムス・オポリエンシス(Scenedesmus opoliensis)、セネデスムス・アルマタス(Scenedesmus aramatus)、セネデスムス・ジモルファス(Scenedesmus dimorphus)およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項53の方法。
【請求項55】
前記目的藻類セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)を選択的に培養する方法であって、
目的藻類を第1培養池で増殖させる工程、
目的藻類を第1培養池で希釈する工程、
栄養組成物を第1培養池に供給する工程、および
培養選択性を第1培養池において維持する工程
から成る培養方法。
【請求項56】
目的藻類セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)を選択的に培養する方法であって、
目的藻類をレースウェイ型培養池で増殖させる工程、
pHが約8.5またはそれよりも高くなった場合、二酸化炭素をレースウェイ型培養池に加える工程、
温度が33℃またはそれよりも高くなった場合、冷却液体をレースウェイ型培養池に加える工程、
前記レースウェイ型培養池において、前記藻類を約20時間ごとに約60%に希釈する工程、
栄養組成物を前記レースウェイ型培養池に前記希釈工程とほぼ同時に供給する工程であり、前記栄養組成物が、少なくとも2mM濃度の重炭酸ナトリウムおよび少なくとも約15:1比の窒素:リン酸塩になるように、重炭酸ナトリウム、尿素、リン酸三ナトリウム、および塩化鉄(II)を含んでいる工程、
前記希釈工程中に得られた大量の藻類を、窒素不足のストレス培養池に放出する工程、
前記藻類をストレス培養池から収穫し、水を取り除く工程、および
前記藻類から脂質を抽出する工程から成る培養方法。
【請求項57】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも50%であることを特徴とする、請求項1〜56のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項58】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも75%であることを特徴とする、請求項1〜56のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項59】
目的藻類が、藻類全体の少なくとも90%であることを特徴とする、請求項1〜56のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項60】
目的藻類が、藻類全体の少なくとも95%であることを特徴とする、請求項1〜56のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項61】
目的藻類が、藻類全体の少なくとも99%であることを特徴とする、請求項1〜56のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項62】
前記方法がさらに、
前記目的藻類から生産される脂質から、生物燃料を生じさせる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜61のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項63】
前記生物燃料が、バイオディーゼルであることを特徴とする、請求項62に記載の培養方法。
【請求項64】
前記生物燃料が、バイオジェットであることを特徴とする、請求項62に記載の培養方法。
【請求項65】
請求項1〜64のいずれか1項の方法によって生産される生物燃料。
【請求項66】
前記方法がさらに、
多価不飽和脂肪酸を目的藻類から生じさせる工程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜59のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項67】
前記多価不飽和脂肪酸がオメガ−3脂肪酸であることを特徴とする、請求項66に記載の培養方法。
【請求項68】
前記オメガ−3脂肪酸が、アルファリノレン酸(ALA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸で(EPA)、およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項67に記載の培養方法。
【請求項69】
請求項1〜59のいずれか1項の方法によって生産される多価不飽和酸。
【請求項70】
前記方法がさらに、
前記目的藻類からフィードストックを生じさせる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜59のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項71】
前記フィードストックが、動物飼料、養殖(水産養殖)飼料、およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項70に記載の培養方法。
【請求項72】
請求項1〜59、70、または71のいずれか1項の方法によって生産されるフィードストック。
【請求項73】
前記方法がさらに、
前記目的藻類からファイトニュートリエントを生じさせる工程を含むことを特徴とする、請求項1〜59のいずれか1項に記載の培養方法。
【請求項74】
前記ファイトニュートリエントが、カロチノイドであることを特徴とする、請求項73に記載の培養方法。
【請求項75】
前記カロチノイドが、アスタキサンチン、ベータベータカロチン、およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項74に記載の培養方法。
【請求項76】
請求項1〜59または73〜75のいずれか1項の方法によって生産されるファイトニュートリエント。
【請求項77】
セネデスムス(Scenedesmus、イカダモ)属の目的藻類から成る、選択的な野外レースウェイ型培養池藻類培養物。
【請求項78】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも50%であることを特徴とする、請求項77に記載の培養物。
【請求項79】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも75%であることを特徴とする、請求項77に記載の培養物。
【請求項80】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも90%であることを特徴とする、請求項77に記載の培養物。
【請求項81】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも95%であることを特徴とする、請求項77に記載の培養物。
【請求項82】
前記目的藻類が、藻類全体の少なくとも99%であることを特徴とする、請求項77に記載の培養物。
【請求項83】
前記目的藻類が、セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)であることを特徴とする、請求項77〜82のいずれか1項に記載の培養物。
【請求項84】
前記目的藻類が、セネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)、セネデスムス・クゥアドリカウド(Scenedesmus quadricauda)、セネデスムス・マキシムス(Scenedesmus maximus)、セネデスムス・オポリエンシス(Scenedesmus opoliensis)、セネデスムス・アルマタス(Scenedesmus aramatus)、セネデスムス・ジモルファス(Scenedesmus dimorphus)、およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項77〜82のいずれか1項に記載の培養物。
【請求項85】
前記セネデスムス・オブリカスが、セネデスムス・オブリカスUTEX株1450であることを特徴とする、請求項83または84に記載の培養物。
【請求項86】
前記目的藻類が、セネデスムス属、コレラ属(Chlorella)、ボトリオコッカス属(Botryococcus)、クラミドモナス属(Chlamydomonas)、クロステリウム属(Closterium、ミカズキモ属)、 ペディアスツルム属(Pediastrum)、メロシラ属(Melosira)、オエドゴニウム属(Oedogonium、サヤミドロ属)、ヘマトコッカス属(Haematococcus)、ドナリエラ属(Dunaliella)、イソクリシス属(Isochrysis)、テトラセルミス属(Tetraselmis)、およびそれらの組合せから成る群より選ばれることを特徴とする、請求項77〜82のいずれか1項に記載の培養物。
【請求項87】
前記目的藻類が、1種またはそれよりも多くのケイソウ類を含むことを特徴とする、請求項75〜80のいずれか1項に記載の培養物。
【請求項88】
前記ケイソウ類が、スケレトネマ属(Skeletonema)、キートセロス属(Chaetoceros)、およびそれらの組合せから成る群より選ばれる属であることを特徴とする、請求項87に記載の培養物。

【公表番号】特表2011−510627(P2011−510627A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544410(P2010−544410)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/031681
【国際公開番号】WO2009/094440
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(510202145)アクアテック エネジー エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】