藻類抑制剤、及び、藻類抑制方法
【課題】イソチアゾリン系薬剤だけを添加している水系に発生してくる粒状藻類に対しても、低濃度の添加でも高い効果が得られる経済的な藻類抑制剤及び藻類抑制方法を提供することを目的とする。
【解決手段】イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有する、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制剤。
【解決手段】イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有する、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、冷却水系などの水系水の藻類を抑制する藻類抑制剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
開放循環冷却水系におけるスライムコントロール剤として、イソチアゾリン系化合物、特に、５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンと２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンとの混合剤は、低濃度の添加でも有効であり、抗菌スペクトルが広く、さらに水溶性で取扱いが容易なことから広く使われてきた（米国特許第４２４１２１４号（特許文献１）、特公昭５８−４６８２号公報（特許文献２））。
【０００３】
この組合せ薬剤によれば、殆どの細菌類、真菌類、藻類に有効であるが、一部の粒状緑藻類に殆ど効果を示さない。実際、本混合液を長期間使用している冷却水系では、細菌類、真菌類及び他の藻類の繁殖は認められないものの、冷却塔の上部水槽や充填材に粒状緑藻が繁殖し、このとき、薬品の添加濃度を高くしても効果が得られないと云う欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】米国特許第４２４１２１４号公報
【特許文献２】特公昭５８−４６８２号公報
【特許文献３】特開平５−３３１００２号公報
【特許文献４】特開平１０−４５５１４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、イソチアゾリン系薬剤だけを添加している水系に発生してくる粒状藻類に対しても、低濃度の添加でも高い効果が得られる経済的な藻類抑制剤及び藻類抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の藻類抑制剤は上記課題を解決するため、請求項１に記載の通り、イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制剤である。
【０００７】
また、本発明の藻類抑制方法は、請求項３に記載の通り、イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として水系水に添加することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制方法である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の藻類抑制剤によれば、イソチアゾリン系薬剤だけを添加している水系に発生してくる粒状藻類に対しても、低濃度の添加でも高い抑制効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
本発明は、イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有する。このとき、これらイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを単独で使用したのでは得られない高い相乗効果が得られ、低濃度でも高い藻類抑制効果が得られる。
【００１０】
イソチアゾリン系化合物は低毒性の薬剤であることは知られている。本発明で用いるイソチアゾリン系化合物としては、５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、１，２−ベンゾイソチアゾリン−３−オン、２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン−３−オン等が挙げられ、これらのうち、１種、あるいは、２種以上選択して用いる。ここで、特に好ましいイソチアゾリン系化合物としては５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、及び、２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンが挙げられる。
【００１１】
一方、カチオン系ポリマーは、低毒性の薬品で、特開平５−３３１００２号公報（特許文献３）、あるいは、特開平１０−４５５１４号公報（特許文献４）等により殺藻剤として用いられることは知られているが、単独では粒状緑藻に対しては充分な抑制効果が得られない。
【００１２】
本発明で用いるカチオン系ポリマーとしては、ポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］、ポリ（ヘキサメチレンビグアニド）またはその塩、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンとの縮合ポリマーなどが挙げられ、これらのうち、１種、あるいは、２種以上選択して用いる。ここで、特に好ましいカチオン系ポリマーとしては、ポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］が挙げられる。
【００１３】
これらイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとの配合比は、有効成分の重量比で１０：１〜１：１００（境界値を含む）であることが高い効果が得られるために好ましく、さらに１：１〜１：２０（境界値を含む）であることが特に高い効果が得られるために好ましい。ここでこれら２種の薬剤は水に溶解して１剤としても安定している。
【００１４】
本発明においてイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとは藻類を抑制する目的の水系水に対して、有効成分の合計添加濃度として０．１ｍｇ／Ｌ以上１０００ｍｇ／Ｌ以下、より好ましくは１ｍｇ／Ｌ以上１００ｍｇ／Ｌ以下となるように添加する。
【００１５】
本発明の藻類抑制剤は、さらにその特性を改良するなどの目的で、本発明の効果が損なわれない限り、例えばアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、燐酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、ホスホン酸、ホスフィン酸、あるいはこれらの水溶性塩などのスケール防止剤、例えば、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、過酸化水素、ヒドラジン、塩素系殺菌剤（次亜塩素酸ナトリウム等）、臭素系殺菌剤及びヨウ素系殺菌剤、さらにジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物、ピリチオン系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、四級ホスホニウム塩素化合物等のポリマーでないカチオン系化合物などのスライム防止剤、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等のアゾール類、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系化合物、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸系化合物、例えばグルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、琥珀酸、乳酸等の有機カルボン酸など、各種の水処理剤を併用することができ、その場合も本発明に含まれる。
【００１６】
このようなものとして、２−ブロモ−２−ニトロプロパン−１，３−ジオールを本発明の藻類抑制剤に添加すると、藻類の抑制と同時にレジオネラ属菌等の細菌類に対する防除効果も向上するので、特に好ましい。
【実施例】
【００１７】
以下に、本発明の藻類抑制剤の実施例について具体的に説明する。
【００１８】
＜実施例１：基礎検討＞
つくば市水道水１０００ｍＬに対して、硝酸ナトリウムを０．１ｇ、及び、リン酸水素２カリウムを０．０１ｇ添加し、溶解させたものを試験水として、この試験水を１０００ｍＬずつ、７つの開放容器（１Ｌ容量の樹脂製瓶）に容れたものを準備した。これらのうち６つに、薬品（表２に示す。表中のイソチアゾリンとしては５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを１０重量％と２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを３重量％とを含有する混合剤を、カチオン系ポリマーとしてはポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］を用いた）を、それぞれ有効成分の合計濃度が１０ｍｇ／Ｌとなるように添加し、陽が当たる屋外（ただし、雨が容器に入り込まないようになっている。）に１４日間、放置したときの藻の発生状況を３日後、７日後、及び１４日後に目視で観察し、藻の発生が見られない場合を「−」、藻の増殖が若干認められる場合を「±」、藻の発生が見られる場合を「＋＋＋」、及び、大量の藻の発生が認められた場合を「＋＋＋＋」として、それぞれ評価した。
薬品を添加しなかった系での結果と併せて結果を表１に示す。
【００１９】
【表１】
【００２０】
表１により、本発明に係る藻類抑制剤を添加した系ではイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとをそれぞれ単独で添加した系では得られない優れた藻類抑制効果が得られることが確認された。なお、表１中「＋＋＋」及び「＋＋＋＋」で評価された系について顕微鏡観察をおこなったところ、いずれも粒状緑藻が多量に発生していることが確認された。
【００２１】
＜実施例２：模擬冷却塔での試験＞
冷却塔の模擬試験装置（屋外に設置：水系水量は６０Ｌ。ポンプにより循環している。）４台のうち３台のそれぞれの水系水に薬品（表２に示す。表中の、イソチアゾリンとしては５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを１０重量％と２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを３重量％とを含有する混合剤を、カチオン系ポリマーとしてはポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］を、それぞれ用いた）を有効成分の合計濃度がそれぞれ３０ｍｇ／Ｌとなるように添加し、３０日後の水系での藻の発生状況、付着性物質の生物活性、及び、循環水中の一般細菌数を調べた。
【００２２】
藻の発生状況は目視及び顕微鏡により観察した。付着性物質の生物活性に関しては水系内に設置したスライドグラスに付着した付着物をぬぐい取って採取し、滅菌水１０ｍＬに懸濁し、懸濁液中のアデノシン三リン酸（ＡＴＰ）濃度をＡＴＰアナライザー（東亜ディーケーケー社製ＡＦ−１００）により測定した。この濃度が低いほど付着性物質の生物活性が低いと考えられる。また、一般細菌数はＪＩＳ Ｋ０１０１ ６３．２に準拠して測定した。
結果を表２に示す。
【００２３】
【表２】
【００２４】
表２により、イソチアゾリンあるいはカチオン系ポリマー単独添加の系では粒状緑藻が発生したが、本発明に係る藻類抑制剤を添加した系では藻の発生はまったく見られないことが判る。さらに、本発明による藻類抑制剤では付着性物質の生物活性も減少していることから、スライムコントロール効果も同時に得られる（本発明による藻類抑制剤添加系ではスライドグラスへの付着物自体が極めて少なくなった）ことも理解できる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、冷却水系などの水系水の藻類を抑制する藻類抑制剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
開放循環冷却水系におけるスライムコントロール剤として、イソチアゾリン系化合物、特に、５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンと２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンとの混合剤は、低濃度の添加でも有効であり、抗菌スペクトルが広く、さらに水溶性で取扱いが容易なことから広く使われてきた（米国特許第４２４１２１４号（特許文献１）、特公昭５８−４６８２号公報（特許文献２））。
【０００３】
この組合せ薬剤によれば、殆どの細菌類、真菌類、藻類に有効であるが、一部の粒状緑藻類に殆ど効果を示さない。実際、本混合液を長期間使用している冷却水系では、細菌類、真菌類及び他の藻類の繁殖は認められないものの、冷却塔の上部水槽や充填材に粒状緑藻が繁殖し、このとき、薬品の添加濃度を高くしても効果が得られないと云う欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】米国特許第４２４１２１４号公報
【特許文献２】特公昭５８−４６８２号公報
【特許文献３】特開平５−３３１００２号公報
【特許文献４】特開平１０−４５５１４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、イソチアゾリン系薬剤だけを添加している水系に発生してくる粒状藻類に対しても、低濃度の添加でも高い効果が得られる経済的な藻類抑制剤及び藻類抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明の藻類抑制剤は上記課題を解決するため、請求項１に記載の通り、イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制剤である。
【０００７】
また、本発明の藻類抑制方法は、請求項３に記載の通り、イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として水系水に添加することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制方法である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の藻類抑制剤によれば、イソチアゾリン系薬剤だけを添加している水系に発生してくる粒状藻類に対しても、低濃度の添加でも高い抑制効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
本発明は、イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有する。このとき、これらイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを単独で使用したのでは得られない高い相乗効果が得られ、低濃度でも高い藻類抑制効果が得られる。
【００１０】
イソチアゾリン系化合物は低毒性の薬剤であることは知られている。本発明で用いるイソチアゾリン系化合物としては、５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、１，２−ベンゾイソチアゾリン−３−オン、２−ｎ−オクチル−４−イソチアゾリン−３−オン等が挙げられ、これらのうち、１種、あるいは、２種以上選択して用いる。ここで、特に好ましいイソチアゾリン系化合物としては５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オン、及び、２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンが挙げられる。
【００１１】
一方、カチオン系ポリマーは、低毒性の薬品で、特開平５−３３１００２号公報（特許文献３）、あるいは、特開平１０−４５５１４号公報（特許文献４）等により殺藻剤として用いられることは知られているが、単独では粒状緑藻に対しては充分な抑制効果が得られない。
【００１２】
本発明で用いるカチオン系ポリマーとしては、ポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］、ポリ（ヘキサメチレンビグアニド）またはその塩、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンとの縮合ポリマーなどが挙げられ、これらのうち、１種、あるいは、２種以上選択して用いる。ここで、特に好ましいカチオン系ポリマーとしては、ポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］が挙げられる。
【００１３】
これらイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとの配合比は、有効成分の重量比で１０：１〜１：１００（境界値を含む）であることが高い効果が得られるために好ましく、さらに１：１〜１：２０（境界値を含む）であることが特に高い効果が得られるために好ましい。ここでこれら２種の薬剤は水に溶解して１剤としても安定している。
【００１４】
本発明においてイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとは藻類を抑制する目的の水系水に対して、有効成分の合計添加濃度として０．１ｍｇ／Ｌ以上１０００ｍｇ／Ｌ以下、より好ましくは１ｍｇ／Ｌ以上１００ｍｇ／Ｌ以下となるように添加する。
【００１５】
本発明の藻類抑制剤は、さらにその特性を改良するなどの目的で、本発明の効果が損なわれない限り、例えばアクリル酸系重合体、マレイン酸系重合体、メタクリル酸系重合体、スルホン酸系重合体、燐酸系重合体、イタコン酸系重合体、イソブチレン系重合体、ホスホン酸、ホスフィン酸、あるいはこれらの水溶性塩などのスケール防止剤、例えば、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド類、過酸化水素、ヒドラジン、塩素系殺菌剤（次亜塩素酸ナトリウム等）、臭素系殺菌剤及びヨウ素系殺菌剤、さらにジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネートなどのチオシアネート系化合物、ピリチオン系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、四級ホスホニウム塩素化合物等のポリマーでないカチオン系化合物などのスライム防止剤、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等のアゾール類、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン系化合物、例えばニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸系化合物、例えばグルコン酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、酒石酸、フィチン酸、琥珀酸、乳酸等の有機カルボン酸など、各種の水処理剤を併用することができ、その場合も本発明に含まれる。
【００１６】
このようなものとして、２−ブロモ−２−ニトロプロパン−１，３−ジオールを本発明の藻類抑制剤に添加すると、藻類の抑制と同時にレジオネラ属菌等の細菌類に対する防除効果も向上するので、特に好ましい。
【実施例】
【００１７】
以下に、本発明の藻類抑制剤の実施例について具体的に説明する。
【００１８】
＜実施例１：基礎検討＞
つくば市水道水１０００ｍＬに対して、硝酸ナトリウムを０．１ｇ、及び、リン酸水素２カリウムを０．０１ｇ添加し、溶解させたものを試験水として、この試験水を１０００ｍＬずつ、７つの開放容器（１Ｌ容量の樹脂製瓶）に容れたものを準備した。これらのうち６つに、薬品（表２に示す。表中のイソチアゾリンとしては５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを１０重量％と２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを３重量％とを含有する混合剤を、カチオン系ポリマーとしてはポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］を用いた）を、それぞれ有効成分の合計濃度が１０ｍｇ／Ｌとなるように添加し、陽が当たる屋外（ただし、雨が容器に入り込まないようになっている。）に１４日間、放置したときの藻の発生状況を３日後、７日後、及び１４日後に目視で観察し、藻の発生が見られない場合を「−」、藻の増殖が若干認められる場合を「±」、藻の発生が見られる場合を「＋＋＋」、及び、大量の藻の発生が認められた場合を「＋＋＋＋」として、それぞれ評価した。
薬品を添加しなかった系での結果と併せて結果を表１に示す。
【００１９】
【表１】
【００２０】
表１により、本発明に係る藻類抑制剤を添加した系ではイソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとをそれぞれ単独で添加した系では得られない優れた藻類抑制効果が得られることが確認された。なお、表１中「＋＋＋」及び「＋＋＋＋」で評価された系について顕微鏡観察をおこなったところ、いずれも粒状緑藻が多量に発生していることが確認された。
【００２１】
＜実施例２：模擬冷却塔での試験＞
冷却塔の模擬試験装置（屋外に設置：水系水量は６０Ｌ。ポンプにより循環している。）４台のうち３台のそれぞれの水系水に薬品（表２に示す。表中の、イソチアゾリンとしては５−クロロ−２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを１０重量％と２−メチル−４−イソチアゾリン−３−オンを３重量％とを含有する混合剤を、カチオン系ポリマーとしてはポリ［オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド］を、それぞれ用いた）を有効成分の合計濃度がそれぞれ３０ｍｇ／Ｌとなるように添加し、３０日後の水系での藻の発生状況、付着性物質の生物活性、及び、循環水中の一般細菌数を調べた。
【００２２】
藻の発生状況は目視及び顕微鏡により観察した。付着性物質の生物活性に関しては水系内に設置したスライドグラスに付着した付着物をぬぐい取って採取し、滅菌水１０ｍＬに懸濁し、懸濁液中のアデノシン三リン酸（ＡＴＰ）濃度をＡＴＰアナライザー（東亜ディーケーケー社製ＡＦ−１００）により測定した。この濃度が低いほど付着性物質の生物活性が低いと考えられる。また、一般細菌数はＪＩＳ Ｋ０１０１ ６３．２に準拠して測定した。
結果を表２に示す。
【００２３】
【表２】
【００２４】
表２により、イソチアゾリンあるいはカチオン系ポリマー単独添加の系では粒状緑藻が発生したが、本発明に係る藻類抑制剤を添加した系では藻の発生はまったく見られないことが判る。さらに、本発明による藻類抑制剤では付着性物質の生物活性も減少していることから、スライムコントロール効果も同時に得られる（本発明による藻類抑制剤添加系ではスライドグラスへの付着物自体が極めて少なくなった）ことも理解できる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制剤。
【請求項２】
上記カチオン系ポリマーがポリ[オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド]であることを特徴とする請求項１に記載の藻類抑制剤。
【請求項３】
イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として水系水に添加することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制方法。
【請求項４】
上記カチオン系ポリマーがポリ[オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド]であることを特徴とする請求項３に記載の藻類抑制方法。
【請求項１】
イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として含有することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制剤。
【請求項２】
上記カチオン系ポリマーがポリ[オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド]であることを特徴とする請求項１に記載の藻類抑制剤。
【請求項３】
イソチアゾリン系化合物とカチオン系ポリマーとを有効成分として水系水に添加することを特徴とする、イソチアゾリン系薬剤だけを使用している水系に発生する粒状緑藻に有効な藻類抑制方法。
【請求項４】
上記カチオン系ポリマーがポリ[オキシエチレン（ジメチルイミニオ）エチレン（ジメチルイミニオ）エチレンジクロライド]であることを特徴とする請求項３に記載の藻類抑制方法。
【公開番号】特開２０１３−１４６１９（Ｐ２０１３−１４６１９Ａ）
【公開日】平成２５年１月２４日（２０１３．１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１２−２２４１８５（Ｐ２０１２−２２４１８５）
【出願日】平成２４年１０月９日（２０１２．１０．９）
【分割の表示】特願２００７−３３１８８９（Ｐ２００７−３３１８８９）の分割
【原出願日】平成１９年１２月２５日（２００７．１２．２５）
【出願人】（０００１０１０４２）アクアス株式会社 (66)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年１月２４日（２０１３．１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２４年１０月９日（２０１２．１０．９）
【分割の表示】特願２００７−３３１８８９（Ｐ２００７−３３１８８９）の分割
【原出願日】平成１９年１２月２５日（２００７．１２．２５）
【出願人】（０００１０１０４２）アクアス株式会社 (66)
【Ｆターム（参考）】
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