説明

蛍光観察内視鏡装置

【課題】1度の診察で複数の波長の励起光に基づく蛍光像を表示できる蛍光観察内視鏡装置を、提供する。
【解決手段】レーザーユニット40は、夫々発振波長が異なる複数の半導体レーザー50−1,50−2,50−3を内蔵している。システムコントロール回路42は、レーザーユニット40から、各半導体レーザー50から異なる波長のレーザー光を順次繰り返し射出させる。射出されたレーザー光は、ライトガイド16及び配光レンズ11を通じて被検部に励起光として照射される。このレーザー光によって励起された生体組織から発した蛍光は対物レンズ12によって、カラー撮像素子13に撮像される。このとき、半導体レーザー50−1,50−2,50−3から出射された各励起光は、全て励起光カットフィルタ14にて遮断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を通じて被検部に蛍光励起用の励起光を照射することによって被検部の生体組織から発した蛍光による像を撮像する蛍光観察内視鏡装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織に対してある波長帯域の光を励起光として照射すると、生体組織に含まれる特定の物質から蛍光が発せられることが知られている(この蛍光は「自家蛍光」と言われる)。
【0003】
例えば、自家蛍光を生じる物質としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、「NADH」と示す),コラーゲン等が挙げられる。
【0004】
NADHは、結腸内の上皮の生体組織に多く含まれている。また、NADHは、生体組織に病変(例えば腫瘍,癌)がある箇所では減少する傾向があることが知られている。すなわち、被検体に励起光を照射した場合には、生体組織に病変が生じている箇所のNADHによる自家蛍光が弱くなる。
【0005】
また、コラーゲンは、皮膚,結合組織等の粘膜下層の生体組織に多く含まれている。そして、生体組織に病変が生じている箇所では、粘膜が厚くなる傾向があることも知られている。このように粘膜が厚くなると、励起光が粘膜下層まで届き難くなるため、被検体に励起光を照射した場合には、生体組織に病変が生じている箇所のコラーゲンによる自家蛍光も弱くなる。
【0006】
このような知識をベースに、内視鏡を通じて生体の自家蛍光を撮像し、自家蛍光による画像を表示する蛍光観察内視鏡装置が、提案されている。例えば、特許文献1,2には、蛍光観察時に単一波長の励起光を被検体に照射する構成を備えた蛍光観察内視鏡装置が、開示されている。このような蛍光観察内視鏡装置によれば、励起光が照射されたときの生体組織の像を観察することによって、正常な生体組織のみからなる部位よりも暗く表示される部位に病変が生じていると、診断することができる。
【特許文献1】特開平07−155291号公報
【特許文献2】特許第3560671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、NADHを励起するための励起光の波長とコラーゲンを励起するための励起光の波長とは、夫々異なる。具体的には、NADHを励起するために用いられる光の波長は略350nmであり、コラーゲンを励起するために用いられる波長は略450nmである(図7参照)。そのため、単一の波長の励起光を出射する蛍光観察内視鏡装置では、同時に複数の物質に基づく自家蛍光を観察することができなかった。この場合には、以下の問題が生じる。
【0008】
例えば、略350nmの励起光を照射可能な蛍光観察内視鏡装置を用いた場合には、NADHを病変の有無に因らず元々含まない部位を観察したときには、その部位からはNADHを起因とする蛍光が発せられないことになる。他方、略450nmの励起光を照射可能な蛍光観察内視鏡装置を用いた場合には、病変の有無に因らず元々コラーゲンを含まない部位を観察したときには、その部位からはコラーゲンを起因とする蛍光が発せられないことになる。これらの場合には、生体組織に病変部があったとしても、その病変部の蛍光の強度が正常な生体組織と変わらないことになる。そのため、従来の蛍光観察内視鏡装置では、術者が生体組織に病変がある箇所を見逃してしまう虞があった。
【0009】
もちろん、350nmの励起光を出射可能な蛍光観察内視鏡装置による診察と、450nmの励起光を出射可能な蛍光観察内視鏡による診察とを、順番に行えば、両方の蛍光画像から病変部を確認できるため、NADHとコラーゲンとが共に少ない部位でない限り、病変部を見逃す虞は少なくなる。
【0010】
しかしながら、この場合には、異なる波長の励起光による観察を行う度に、蛍光観察内視鏡の挿入部を被験者の体腔内に挿入する作業(被験者の口から挿入部を挿入する作業)が必要になる。この作業は被験者に大きな苦痛を与えるため、異なる蛍光観察内視鏡装置による診察を繰り返し行うことは、被験者に過度の負担を与えることになる。
【0011】
そこで、本発明の課題は、1度の診察で複数の波長の励起光に基づく蛍光像を表示できる蛍光観察内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために案出された本発明による蛍光観察内視鏡装置は、体腔内の被検部の生体組織に励起光を照射し、この励起光によって励起された前記生体組織が発する蛍光による像を撮像する蛍光観察内視鏡装置であって、その先端に対物光学系を備えた内視鏡と、前記対物光学系によって形成された前記被検部の像を撮像して映像信号を出力する撮像装置と、複数の波長の励起光を出射する励起光源装置と、前記励起光源装置から出射される励起光を、前記被検部に照射する照明手段と、前記対物光学系と前記撮像装置との間に配置され、前記励起光源装置から出射される各波長の励起光を遮断するフィルタ手段と、前記励起光源装置から励起光が出射される間に前記撮像装置から出力される映像信号を取得し、取得した前記映像信号に基づく表示を行う表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
以上のように構成された本発明の蛍光観察内視鏡装置によると、励起光源装置から出射された励起光は、照明手段によって被検部の生体組織に照射される。すると、生体組織からは、照射された励起光の波長に応じた蛍光が発せられ、この蛍光が対物光学系へ入射する。同時に、生体組織表面にて反射された励起光も、対物光学系へ入射する。そして、対物光学系へ入射した光は、フィルタ手段を通過して撮像装置に入射する。このとき、生体組織表面にて反射された励起光は、何れの波長の励起光であっても、全てフィルタ手段にて遮断される。そのため、本発明によると、複数の波長の励起光によって励起された複数の蛍光物質からの蛍光からなる像を、撮像装置にて撮像することができる。
【0014】
よって、本発明によると、撮像装置から出力される映像信号に基づく表示を表示手段によって行わせれば、1度の診察で複数の波長の励起光に基づく蛍光像を表示できるようになる。
【0015】
なお、励起光源装置は、各波長毎に順次励起光を出射してもよいし、同時に複数の波長の励起光を出射してもよい。複数波長の励起光が同時に生体組織に照射された場合には、各励起光の波長に応じて各蛍光物質が同時に蛍光を発することになるが、生体組織に含まれる各蛍光物質の蛍光強度は何れも病変部において周囲と比較して弱くなる傾向があるため、複数の波長の励起光によって同時に複数の蛍光物質から蛍光が発せられたとしても、病変部は暗く表示される。
【0016】
また、前記励起光源装置は、少なくとも、腫瘍親和性物質を励起させる第1の波長の励起光を出射する第1の発光素子と生体組織に元々含まれる蛍光物質を励起させる第2の波長の励起光を選択的に出射する第2の発光素子とを有していてもよいし、前記表示手段は、前記励第1の発光素子から前記第1の波長の励起光が出射されている期間に取得した映像信号から周囲よりも明るく表示される箇所を抽出し、更に、前記第2の発光素子から前記第2の波長の励起光が出射されている期間に取得した映像信号から周囲よりも暗く表示される箇所を抽出し、両抽出箇所が一致した箇所を特定色にして表示を行うように構成されていてもよい。
【0017】
また、前記励起光源装置から出射される各励起光は450nm以下の波長であってもよいし、前記フィルタ手段は450nm以下の波長の光を遮断するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
以上に説明したように、本発明によれば、1度の診察で複数の波長の励起光に基づく蛍光像を表示できる蛍光観察内視鏡装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、添付図面に基づいて、本発明を実施するための形態を、説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明による第1の実施例である蛍光観察内視鏡装置の外観図である。図1に示されるように、この蛍光観察内視鏡装置は、蛍光観察内視鏡10,光源プロセッサ装置20,及び、モニター60を、備えている。
【0021】
図3は、蛍光観察内視鏡10の外観図である。図1,3に示すように、蛍光観察内視鏡10は、通常の電子内視鏡に蛍光観察用の改変を加えたものであり、体腔内に挿入されるために細長く形成されている体腔内挿入部10a,その体腔内挿入部10aの先端部分を湾曲操作するためのアングルノブ等を有する操作部10b,操作部10bと光源プロセッサ装置20とを接続するためのライトガイド可撓管10c,及び、このライトガイド可撓管10cの基端に設けられたコネクタ10dを、備えている。
【0022】
図2は、本実施例における蛍光観察内視鏡装置の概略図である。この図2に示すように、体腔内挿入部10aの先端面には、配光レンズ11及び対物レンズ12(対物光学系に相当)が夫々嵌め込まれた照明窓及び撮影窓が形成されている。そして、この体腔内挿入部10aの内部には、対物レンズ12の光軸に沿って、この対物レンズ12によって形成された被写体の像を撮影する撮像素子13(撮像装置に相当)及びこの撮像素子13から出力される映像信号を増幅するアンプ15が、組み込まれている。この撮像素子13は、その撮像面にモザイクフィルタが被せられたカラー固体撮像素子(カラーCCD)である。
【0023】
また、対物レンズ12と撮像素子13との間には、対物レンズ12から射出された光束から所定波長帯域の光(後述する各励起光の波長帯域の光)を遮断する励起光カットフィルタ14(フィルタ手段に相当)が挿入されている。
【0024】
撮像素子13から出力された映像信号を伝送するための信号ケーブル18は、体腔内挿入部10a,操作部10b及びライトガイド可撓管10c内を引き通されて、コネクタ10dの端面に設けられた電気コネクタ17に接続されている。
【0025】
この信号ケーブル18と並行して、体腔内挿入部10a,操作部10b及びライトガイド可撓管10c内には、石英ファイバからなるライトガイドファイババンドル(以下、単に「ライトガイド」という)16が引き通されている。このライトガイド16の先端は、体腔内挿入部10aの先端部内において配光レンズ11に対向し、その基端は、コネクタ10dの端面から突出した金属製のパイプ19内に挿入されて固定されている(ライトガイド16及び配光レンズ11が照明手段に相当する)。
【0026】
図2に示すように、パイプ19内の基端側には、ライトガイド16と接してロッドレンズ16aが配置されている。このロッドレンズ16aは、基端面に入射した光を内部で複数回反射させることによって、先端面から射出される光の配光分布を均一化することができる。そのため、ロッドレンズ16aの基端面に入射する光の配光分布が偏っていたとしても、光が先端面から射出されるときには、先端面全体から均一な配光分布で射出される。よって、ロッドレンズ16aを通過してライトガイド16の基端面に入射する光は、常に均一な配光分布となる。
【0027】
光源プロセッサ装置20は、蛍光観察内視鏡10のロッドレンズ16aの端面に照明光(白色光)及びレーザー光を選択的に導入するとともに、蛍光観察内視鏡10の電気コネクタ17を通じて撮像素子13から受信した映像信号に対して画像処理を行うことによってビデオ信号を生成してモニター60へ出力する装置である。
【0028】
この光源プロセッサ装置20の筐体の正面のパネルには、蛍光観察内視鏡10のパイプ19がその外面側から挿入される筒であるソケット20aが、設けられている。このソケット20aに穿たれた貫通孔は、光源プロセッサ装置20の内部空間に通じている。この光源プロセッサ装置20の内部空間内には、ソケット20aの中心軸(即ち、ソケット20aに挿入されたパイプ19内のライトガイド16,ロッドレンズ16aの中心軸)の延長線に沿って順番に、集光レンズ28,ビームスプリッタ29,ロータリーシャッタ32,及び、ランプ33が、配置されている。
【0029】
集光レンズ28は、その光軸に沿ってビームスプリッタ29側から入射してきた平行光をソケット20aに挿入されたパイプ19内のロッドレンズ16aの基端面に集光するレンズである。
【0030】
ランプ33は、ランプ用電源38によって電源電流が供給されて白色光を発光する電球(図示略)と、この電球から発散光として発した白色光を平行光にするためのレンズ又はリフレクター(図示略)とを備えている。その結果として、ランプ33は、白色光を、集光レンズ28の光軸に沿った平行光として、ビームスプリッタ29を通して集光レンズ28に向けて出射する。
【0031】
ビームスプリッタ29は、集光レンズ28の光軸に対して45度傾けて配置されている。このビームスプリッタ29は、ランプ33からの白色光を透過するとともに、集光レンズ28の光軸に対して垂直な方向からの光を、集光レンズ28の光軸に沿って反射して当該集光レンズ28に入射させるハーフミラーである。
【0032】
これらランプ33とビームスプリッタ29との間に介在しているロータリーシャッタ32は、中心角が90度である扇状(1/4の円環状)の開口が一つだけ穿たれた円板であり、その開口の円弧の中心は、ロータリーシャッタ32の外周円の中心に一致している(図示略)。このロータリーシャッタ32の中心は、モータ34の駆動軸の先端に固定されており、モータ34によって駆動されると、ロータリーシャッタ32は、その駆動軸を回転中心として回転する。なお、ロータリーシャッタ32は、回転すると開口と開口以外の部分とが交互に白色光の光路上を横切るように配置されている。このため、ロータリーシャッタ32の開口が白色光の光路上に配置された場合には、白色光が通過し、ロータリーシャッタ32の開口以外の部分が白色光の光路上に配置された場合には、白色光が遮断される。
【0033】
一方、ビームスプリッタ29によって90度折り曲げられた集光レンズ28の光軸上には、順番に、コリメータレンズ39及びレーザーユニット40が配置されている。レーザーユニット40は、3種類の波長から何れか1種類の波長のレーザー光を発散光として射出する装置であり、コリメータレンズ39は、このレーザーユニット40から発散光として出射されたレーザー光を平行光とするレンズである。
【0034】
図4は、レーザーユニット40(励起光源装置に相当)の詳細構成を示す図である。この図4に示されるように、このレーザーユニット40は、制御システム410と、8個の半導体レーザー50(発光素子に相当)と、中継ファイババンドル51とから、構成されている。なお、8個の半導体レーザー50は、350nmの波長の光を出射する第1の半導体レーザー50−1,50−1,50−1と、400nmの波長の光を出射する第2の半導体レーザー50−2,50−2と、450nmの波長の光を出射する第3の半導体レーザー50−3,50−3,50−3とに、分けられている。なお、図9(A)には第1の半導体レーザー50−1が出射する励起光の波長帯域が示してあり、図9(B)には第2の半導体レーザー50−2が出射する励起光の波長帯域が示してあり、図9(C)には第3の半導体レーザー50−3が出射する励起光の波長帯域が示してある。
【0035】
中継ファイババンドル51の先端は、コリメータレンズ39の物体側焦点に配置されている。また、各半導体レーザー50の発光点には、中継ファイババンドル51を構成する各光ファイバの基端が接続されている。従って、各半導体レーザー50から出射され、中継ファイババンドル51を構成する各光ファイバによって中継され集約された励起光は、この中継ファイババンドル51の先端から発散光として射出される。
【0036】
制御システム410は、各半導体レーザー50に接続されており、システムコントロール回路42から指示されたタイミングで、各半導体レーザー50に駆動電流を供給する。
【0037】
なお、コリメートレンズ39及びビームスプリッタ29並びにそれらの間における励起光の光路は、白色光の光路と干渉する部分のみが切り欠かれた有底円筒状の不透明部材からなるシールドケース44によって、覆われている。よって、励起光が、本来の光路から外れて迷光となることが防止される。
【0038】
図5は励起光カットフィルタ14の透過波長帯域を示すグラフであり、図6は励起光カットフィルタ14による透過波長帯域と各半導体レーザー50が発するレーザー光(350nm,400nm,450nm)の波長帯域とを対比して示すグラフである。この図5,6に示すように、励起光カットフィルタ14は、可視域の波長帯域(略470nm以上の波長帯域)の光を透過させるとともに、各励起光の波長帯域の光を完全にカットするように設計されている。そのため、レーザーユニット40から出射されて被検体によって反射された励起光は、励起光カットフィルタ14によって全てカットされるため、撮像素子13によって撮像されることはない。一方、励起光により照明された生体組織が発する蛍光は、励起光よりも長い波長の光(略470nm以上)となるので、励起光カットフィルタ14によりカットされること無く、撮像素子13へ入射する。
【0039】
また、光源プロセッサ装置20の筐体の正面側パネルには、パイプ19がソケット20aに挿入された状態において電気コネクタ17の各端子と夫々導通する多数の電極からなる電気ソケット21と、外部から操作される複数のスイッチを有する操作パネル23とが、設けられている。そして、操作パネル23上の各スイッチは、夫々、システムコントロール回路42に接続されている。なお、各スイッチには通常観察モード,第1蛍光観察モード,第2蛍光観察モードに関連付けられたスイッチが含まれており、各スイッチに対する操作によって生じた操作信号は、夫々、システムコントロール回路42に入力される。
【0040】
このシステムコントロール回路42は、上述したモータ34,ランプ用電源38及びレーザーユニット40の制御システム410に接続されており、これらを制御するための信号を出力する。なお、システムコントロール回路42は、操作パネル23で操作された各スイッチに応じて、通常観察モード,第1蛍光観察モード,第2蛍光観察モードの何れかのモードに対応した制御を行う。また、システムコントロール回路42は、何れのモードが選択された場合であっても、各モードの開始時に、ランプ用電源38を制御してランプ33へ電源供給を開始させる。
【0041】
映像信号処理回路43は、画像信号に対して所定の処理を施すことによって、各観察モードに応じた動画をモニター60上に表示させるための回路である(映像信号処理回路43及びモニター60が表示手段に相当する)。この映像信号処理回路43が画像信号に施す処理としては、A/D変換,高周波成分除去,増幅,ブランキング,クランピング,ホワイトバランス,ガンマ補正,アナログデジタル変換,及び、色分離がある。なお、この映像信号処理回路43は、システムコントロール回路42と電気ソケット21の端子と接続されており、撮像素子13から出力された画像信号は、アンプ15,電気ソケット21を通じて映像信号処理回路43に入力される。また、映像信号処理回路43の内部には、画像信号を一時的に記憶するための第1メモリ及び第2メモリ(図示略)が設けられている。
【0042】
以下、各観察モードでのシステムコントロール回路42,映像信号処理回路43による処理の内容を説明する。
【0043】
通常観察モードが選択された場合には、システムコントロール回路42は、モータ34を制御することによってロータリーシャッタ32の開口を白色光の光路上に配置させるとともに、制御システム410を制御して全ての半導体レーザー50への電源供給を停止させる。その結果、ランプ33から射出された白色光のみが、常に、ロッドレンズ16aに入射し、蛍光観察内視鏡10の先端から射出される。そして、撮像素子13は、対物レンズ12によって結像された被検体の白色光による像を撮像し、通常画像の映像信号を出力する。また、映像信号処理回路43は、撮像素子13から出力された通常画像の映像信号に基づいて、通常のカラー画像による動画をモニター60上に表示させる。
【0044】
次に、図10のタイミングチャートを用いて、第1蛍光観察モードにおけるシステムコントロール回路42,映像信号処理回路43による処理について説明する。
【0045】
第1蛍光観察モードが選択された場合には、システムコントロール回路42は、モータ34,及び制御システム410を制御することによって、ロータリーシャッタ32を1フレーム期間中に1回転するように回転駆動させる。
【0046】
なお、第1蛍光観察モードでは、図10に示すように、4つのフィールドを1つのフレームとして扱う。そして、システムコントロール回路42は、モータ34を制御して、各フレームの最初のフィールド期間中に白色光を通過させるとともに他の3つのフィールド期間中に白色光を遮断する位相及び周期でロータリーシャッタ32を回転させる。また、システムコントロール回路42は、制御システム410を制御して、ロータリーシャッタ32が白色光を遮断している間に、各フィールド期間に合わせて、順次、350nmの励起光,400nmの励起光,450nmの励起光を出射させる。
【0047】
よって、この場合には、配光レンズ11からは、順次、白色光,350nmの励起光,400nmの励起光,450nmの励起光が、射出される。そして、撮像素子13は、白色光による被検体の像,350nmの励起光による蛍光像,400nmの励起光による蛍光像,450nmの励起光による蛍光像に基づく映像信号を、順次出力する。
【0048】
そして、映像信号処理回路43は、各フレーム毎に、第1メモリ又は第2メモリの何れか一方に、撮像素子13から出力された各映像信号を、全て書き込む。
【0049】
同時に、映像信号処理回路43は、他方のメモリ(映像信号を書き込む処理に用いられていない第1のメモリ又は第2のメモリ)から、直前のフレームで当該他方のメモリに書き込まれた各映像信号を読み出し、モニター60の所定の位置に各映像信号に基づく画面を表示させる(図8参照)。なお、映像信号処理回路43は、図10に示すように、フレームが替わる度に、各映像信号を書き込むメモリと各映像信号を読み出すメモリとを入れ替えて使用する。
【0050】
図8は、第1蛍光観察モード時のモニター60の画面を示している。この図8に示すように、第1蛍光観察モードでは、モニター60の単一の画面を上下左右に四等分した表示領域としてWL,FL_A,FL_B,FL_Cが設定されている。そして、映像信号処理回路43は、白色光が照射されたときに生成された映像信号に基づく画像を表示領域WLに表示させ、350nmの励起光が照射されたときに生成された映像信号に基づく画像を表示領域FL_Aに表示させ、400nmの励起光が照射されたときに生成された映像信号に基づく画像を表示領域FL_Bに表示させ、450nmの励起光が照射されたときに生成された映像信号に基づく画像を表示領域FL_Cに表示させる。
【0051】
従って、第1蛍光観察モードが選択された場合には、モニター60には、被検体の白色光による像,350nmの励起光による蛍光像,400nmの励起光による蛍光像,450nmの励起光による蛍光像による動画が同時に表示されることになる。
【0052】
次に、本実施例における第2蛍光観察モードについて、図13のタイミングチャートに基づいて説明する。
【0053】
第2蛍光観察モードが選択された場合には、システムコントロール回路42は、モータ34を制御することによって、ロータリーシャッタ32の開口以外の部分を白色光の光路上に配置させる。
【0054】
なお、図13に示すように、第2蛍光観察モードでは、2つのフィールドを1つのフレームとして扱う。そして、システムコントロール回路42は、各フレームの最初のフィールド期間中に400nmの励起光のみを出射させるとともに、各フレームの後半のフィールド期間中に450nmの励起光のみを出射させるように、制御システム410を制御する。
【0055】
よって、この場合には、配光レンズ11からは、400nmの励起光,450nmの励起光が、交互に射出される。そして、撮像素子13は、400nmの励起光による蛍光像,450nmの励起光による蛍光像に基づく映像信号を、交互に出力する。
【0056】
そして、映像信号処理回路43は、各フレームの最初のフィールドに相当する期間中に、撮像素子13から出力された映像信号(400nmの励起光による蛍光像の映像信号)を第2メモリに書き込むとともに、直前のフィールドにて第1メモリに書き込まれた映像信号(450nmの励起光による蛍光像の映像信号)を読み出す。
【0057】
さらに、映像信号処理回路43は、当該フィールドで書き込んだ第2メモリ格納された映像信号を読み出す。そして、読み出した両映像信号に基づいて、400nmの励起光による被検体の蛍光像において周囲より明るく表示される箇所であり、且つ、450nmの励起光による被検体の蛍光像において周囲より暗く表示される箇所を抽出し、抽出した箇所を特定色で表示する画像データを生成する演算処理を行い、その画像データに基づく画像をモニター60に表示させる(図12(C)参照)。
【0058】
以下、本実施例による蛍光内視鏡装置による効果を、説明する。
【0059】
図7は、生体組織の蛍光観察に用いられる物質(蛍光を発する蛍光物質)の蛍光の励起波長と蛍光の発光波長とを示す表である。この図7に示すように、NADHは、結腸内上皮等に多く含まれており、略350nmの励起光で励起され略450nmの蛍光を発する。また、エラスチンは、皮膚等の粘膜下層に多く含まれており、略400nm,450nmの励起光で励起され略500nmの蛍光を発する。また、コラーゲンは、大動脈外皮等の粘膜下層に多く含まれており、略450nmの励起光で励起され略500nmの蛍光を発する。
【0060】
なお、図14には、NADHの蛍光波長の強度分布を示すグラフが記載されている。この図14に示すように、NADHは、略450nmを中心として広い波長帯域の蛍光を発する。そのため、励起光カットフィルタ14によってカットされる波長帯域とNADHの蛍光の波長帯域とは一部重なる。それでも、図15に示すように、NADHの蛍光のうち、略470nm以上の波長帯域のものは、全て励起光カットフィルタ14を透過する。また、この励起光カットフィルタ14は、コラーゲンの蛍光(励起光波長450nm),エラスチンの蛍光(励起光波長400nm,450nm)を全て透過させる。
【0061】
そのため、被検体の体腔内の観察時に第1蛍光観察モードを選択した時には、通常画像の動画(WC領域),350nmの励起光によるNADHの蛍光像の動画(FL_A領域),400nmの励起光によるエラスチンの蛍光像の動画(FL_B領域),450nmの励起光によるコラーゲン,エラスチンの蛍光像の動画(FL_C領域)を、同時に観察することができる。
【0062】
この場合、NADHが本来多く含まれる部位(例えば、結腸内等)の診察を行うときには、術者は、モニター60のFL_A領域に表示される蛍光像をみれば、その蛍光像のうち周囲と比較して暗くなっている箇所に病変が生じていると診断することができる。また、エラスチンが本来多く含まれる部位(例えば、大動脈外皮等)の診察を行うときには、モニター60のFL_B領域に表示される蛍光像をみれば、その蛍光像のうち周囲と比較して暗くなっている箇所に病変が生じていると診断することができる。また、コラーゲンが本来多く含まれる部位(例えば、皮膚等)の診察を行うときには、モニター60のFL_C領域に表示される蛍光像をみれば、その蛍光像のうち周囲と比較して暗くなっている箇所に病変が生じていると診断することができる。
【0063】
このように、本実施例の第1蛍光観察モードによると、1度の診察(被験者の体腔内に内視鏡挿入部10を挿入する作業)により、各励起光の波長に基づく蛍光像の動画が得られ、それらがモニター60に同時に表示されるため、生体組織の病変部の見落としを防ぐことができるようになる。
【0064】
次に、本実施例による第2蛍光観察モードでの生体組織の観察について説明する。なお、本実施例における第2蛍光観察モードは、以下に説明する光線力学的診断(photodynamic diagnosis:以下、「PDD」という)を行う場合に選択される。
【0065】
PDDとは、被験者に腫瘍親和性物質を含む薬品を投与(例えば、静脈注射)した後に、その薬品を励起可能な波長の励起光を被験者の生体組織に照射して蛍光像を観察する診察方法である。
【0066】
まず、PDDに用いられる薬品である腫瘍親和性物質について説明する。腫瘍親和性物質には、ポルフィリン等(タラポルフィンナトリウム,ポルフィマーナトリウム等)が挙げられる。また、腫瘍親和性物質は、癌等の生体組織に腫瘍(病変)が生じている箇所に留まり易い性質を有している。そのため、被験者に腫瘍親和性物質を投与したてからしばらくすると、生体組織に腫瘍がある場合には、腫瘍がある箇所に腫瘍親和性物質が蓄積されることになる。
【0067】
また、図11には、腫瘍親和性物質であるタラポルフィンナトリウムの吸収スペクトルを示すグラフが示されている。この図11に示すように、タラポルフィンナトリウムは、略400nmに吸収波長(励起波長)のピークがある。また、タラポルフィンナトリウムは、励起されると略630nmの蛍光を発する。
【0068】
そのため、被験者にタラポルフィンナトリウムを投与した後に、該被験者の生体組織に400nmの励起光を照射すると、生体組織に病変がある箇所が周囲と比較して強く蛍光を発することになる(図12(A)参照)。このような原理に基づいて、一般的なPDDによる診察が行われている。
【0069】
以下、本実施例における第2蛍光観察モードを用いたPDDによる診察について、説明する。
【0070】
まず最初に、術者は、被験者にタラポルフィンナトリウムを投与する。そして、術者は、被験者の体腔内に内視鏡挿入部10aを挿入し、第2蛍光観察モードによる観察を開始する。
【0071】
この場合には、上述のように、400nmの励起光と450nmの励起光とが生体組織に交互に照射され、各励起光が照射されたときの蛍光像が撮像素子13によって撮像される。なお、生体組織に400nmの励起光が照射されたときには、生体組織の病変部におけるタラポルフィンナトリウムの蛍光が強く発せられる。また、450nmの励起光が生体組織に照射されたときには、生体組織の病変部におけるコラーゲン,エラスチンの蛍光が周囲よりも弱くなる(図12(B)参照)。
【0072】
そして、第2蛍光観察モードでは、400nmの励起光による蛍光像(タラポルフィンナトリウムの蛍光像)において周囲より明るく表示される箇所であって、且つ、450nmの励起光による蛍光像(コラーゲン,エラスチンによる蛍光像)において周囲より暗く表示される箇所が抽出され、抽出された箇所が特定色に変換された状態でモニター60上に表示される(図12(C)参照)。
【0073】
このように、第2蛍光観察モードを利用したPDDによる診察を行うと、2種類の異なる物質に基づいて得られた2つの蛍光像において共に病変部と判定される部分のみが特定色にてモニター60上に表示される。そのため、本実施例の蛍光観察内視鏡装置を用いて、第2蛍光観察モードを利用したPDDによる診察を行えば、モニター60において特定色で表示される箇所を見ることによって、術者は病変部を容易に特定することができる。なお、この場合には、病変部が特定色にてモニター60上に表示されるため、術者は、生体組織に病変が生じている箇所と正常な箇所との境界を、容易に診断することができる。
【実施例2】
【0074】
第2の実施例では、第1の実施例と比較して、レーザーユニット40内に含まれる半導体レーザー50が、半導体レーザー50−1(350nm),半導体レーザー50−2(400nm)の2種類のみである点と、励起光カットフィルタ14’の透過波長帯域の特性が略400nm以下の光のみをカットする点とが、異なっている。また、本実施例では、第2蛍光観察モードにおいて、第1の実施例で450nmの励起光を照射するタイミングで350nmの励起光を照射するように構成されている。
【0075】
図16は、第2の実施例におけるレーザーユニット40から出射される励起光と励起光カットフィルタ14’の透過波長帯域との関係を示す説明図である。この図16(A),(B)に示されるように、第2の実施例では、レーザーユニット40からは、350nmの励起光,又は、400nmの励起光が出射される。また、図16(C)に示されるように、これらの励起光は、両者とも、励起光カットフィルタ14’によって遮断される。また、図7に示すように、350nm,400nmの励起光によって、NADH,エラスチンは励起され蛍光を発する。
【0076】
そのため、本実施例における蛍光観察内視鏡装置による第1蛍光観察モードでは、NADH,エラスチンの蛍光に基づく蛍光像を観察できる。また、生体組織に病変がある箇所ではNADHによる蛍光強度が弱くなるため、本実施例は、第2蛍光観察モードにおいて、第1の実施例と同様の効果を奏する。
【実施例3】
【0077】
第3の実施例では、第1の実施例と比較して、レーザーユニット40内に含まれる半導体レーザー50が、半導体レーザー50−2(400nm),半導体レーザー50−3(450nm)の2種類のみである点が、異なっている。
【0078】
図17は、第3の実施例におけるレーザーユニット40から出射される励起光と励起光カットフィルタ14の透過波長帯域との関係を示す説明図である。この図17(A),(B)に示されるように、第3の実施例では、レーザーユニット40からは、400nmの励起光,又は、450nmの励起光が出射される。また、図17(C)に示されるように、これらの励起光は、両者とも、励起光カットフィルタ14によって遮断され得る。また、図7に示すように、400nm,450nmの励起光によって、エラスチン,コラーゲンは励起され蛍光を発する。
【0079】
そのため、本実施例における蛍光観察内視鏡装置の第1蛍光観察モードでは、エラスチン,コラーゲンの蛍光に基づく蛍光像を観察できる。その他の効果は、第1の実施例と同様である。
【0080】
以上のように、何れの実施例においても、被検体の体腔内に体腔内挿入部10aを一度挿入するだけで、複数波長の励起光による蛍光画像を同時にモニター60に表示することができる。
【0081】
また、何れの実施例においても、PDDによる観察を第2蛍光観察モードで行えば、術者は、生体組織の病変部と正常な箇所との境界を容易に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1の実施例による蛍光観察内視鏡装置の外観を示す外観図
【図2】蛍光観察内視鏡装置の内部構成を示す概略図
【図3】蛍光観察内視鏡の外観を示す外観図
【図4】レーザーユニットの構造を示す詳細図
【図5】第1の実施例における励起光カットフィルタ14の透過波長帯域を示すグラフ
【図6】第1の実施例における各半導体レーザー50の波長スペクトルと励起光カットフィルタ14の透過波長帯域とを示すグラフ
【図7】生体組織の蛍光観察に用いられる物質の励起波長と発光波長とを示す表
【図8】第1蛍光観察モードにおけるモニターの表示例を示す図
【図9】各半導体レーザー50−1,50−2,50−3の波長スペクトルを示す図
【図10】第1蛍光観察モードにおけるタイミングチャート
【図11】タラポルフィンナトリウムの吸収波長スペクトルを示す説明図
【図12】第2蛍光観察モードにおけるモニターの表示例を示す図
【図13】第2蛍光観察モードにおけるタイミングチャート
【図14】NADHの蛍光波長スペクトルを示すグラフ
【図15】NADHの蛍光波長スペクトルと励起光カットフィルタ14による透過波長帯域とを示す説明図
【図16】第2の実施例における各半導体レーザー50の波長スペクトルと励起光カットフィルタ14の透過波長帯域とを示す説明図
【図17】第3の実施例における各半導体レーザー50の波長スペクトルと励起光カットフィルタ14の透過波長帯域とを示す説明図
【符号の説明】
【0083】
10 蛍光観察内視鏡
12 対物光学系
13 撮像素子
14 励起光カットフィルタ
16 ライトガイドファイババンドル
16a ロッドレンズ
20 光源プロセッサ装置
28 集光レンズ
29 ビームスプリッタ
32 ロータリーシャッタ
33 ランプ
40 レーザーユニット
42 システムコントロール回路
43 映像信号処理回路
50 半導体レーザー
60 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内の被検部の生体組織に励起光を照射し、この励起光によって励起された前記生体組織が発する蛍光による像を撮像する蛍光観察内視鏡装置であって、
その先端に対物光学系を備えた内視鏡と、
前記対物光学系によって形成された前記被検部の像を撮像して映像信号を出力する撮像装置と、
複数の波長の励起光を出射する励起光源装置と、
前記励起光源装置から出射される励起光を、前記被検部に照射する照明手段と、
前記対物光学系と前記撮像装置との間に配置され、前記励起光源装置から出射される各波長の励起光を遮断するフィルタ手段と、
前記励起光源装置から励起光が出射される間に前記撮像装置から出力される映像信号を取得し、取得した前記映像信号に基づく表示を行う表示手段と
を備えたことを特徴とする蛍光観察内視鏡装置。
【請求項2】
前記励起光源装置は、少なくとも、腫瘍親和性物質を励起させる第1の波長の励起光を出射する第1の発光素子と生体組織に元々含まれる蛍光物質を励起させる第2の波長の励起光を選択的に出射する第2の発光素子とを有し、
前記表示手段は、前記第1の発光素子から前記第1の波長の励起光が出射されている期間に取得した映像信号から周囲よりも明るく表示される箇所を抽出し、更に、前記第2の発光素子から前記第2の波長の励起光が出射されている期間に取得した映像信号から周囲よりも暗く表示される箇所を抽出し、両抽出箇所が一致した箇所を特定色にして表示を行う
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光観察内視鏡装置。
【請求項3】
前記励起光源装置から出射される各励起光は450nm以下の波長であり、
前記フィルタ手段は450nm以下の波長の光を遮断する
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光観察内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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