螺子緩み防止機構、自動取引装置および現金処理機
【課題】接着剤を用いることなく、螺子の緩みを防止する螺子緩み防止機構を提供する。
【解決手段】回転軸11の角柱部12と孔14aとが嵌合したカム14と、カム14の突起部16と係合孔18bとが係合された爪付きワッシャ17とをボルト19で回転軸11に固定するとともに、爪付きワッシャ17の爪を、ボルト19の頭部方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させる。
【解決手段】回転軸11の角柱部12と孔14aとが嵌合したカム14と、カム14の突起部16と係合孔18bとが係合された爪付きワッシャ17とをボルト19で回転軸11に固定するとともに、爪付きワッシャ17の爪を、ボルト19の頭部方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締め付けて固定した螺子の緩みを防止する螺子緩み防止機構、その螺子緩み防止機構を備えた自動取引装置および現金処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の螺子緩み防止機構では、装置の扉の開閉レバーや鍵部分などの固定部において、軸方向の両側面を切り落としたIカット形状に形成された螺子部にIカット形状に対応した形状の孔が形成された爪付きワッシャを貫通させた後、その螺子部と螺合する六角ナットで爪付きワッシャを固定し、固定後に爪付きワッシャの爪を折り曲げ、その爪で六角ナットが回転しないように係止することにより、螺子の緩みを防止してレバーや鍵などの脱落を防止しているものがある。
【0003】
例えば、図10および図11に示すように、錠111の螺子部118の軸方向における両側面には切り落とされたIカット形状のIカット面119が形成されており、錠111に鍵を挿入し、錠111を回転させると錠111と一体となった螺子部118およびカム114が回転し、シャフト115を回動させるようになっている。また、カム114には、錠111の螺子部118のIカット面119と嵌合する孔が形成されており、螺子部118に嵌合されたカム114を固定するために六角ナット113を螺子部118に螺合させるようにしているが、六角ナット113の緩みを防止するため、カム114と六角ナット113との間に、薄い板金で形成された爪付きワッシャ117を用いるようにしている。
【0004】
この爪付きワッシャ117は、図12(a)に示すように、錠111の螺子部118のIカット面119に対応した孔が形成されており、その孔の中心から角度45度ずつ変位させた三つの爪117a、117b、117cが形成されている。爪付きワッシャ117は、螺子部118にカム114を差し込んだ後、孔が螺子部118に嵌合するように挿入され、さらにその後、六角ナット113で固定される。
【0005】
六角ナット113でカム114および爪付きワッシャ117が固定された後、六角ナット113の平坦な側面と平行する爪付きワッシャ117の爪部117bが曲げ起こされ、その爪部117bで六角ナット113を係止し、六角ナット113の緩みを防止する。なお、六角ナット113の平坦な側面は、図12(b)に示すように、孔の中心から角度60度ずつ変位しているため、六角ナット113の締め込み状態で6面の側面のうちいずれかの1面において爪付きワッシャ117のいずれかの爪部を曲げ起こしたとき、六角ナット113の側面と爪付きワッシャ117の爪部とを略平行に接触させることができるようになっているため、六角ナット113の回転を規制し、緩みの発生を防止することができるようになっていた。
【0006】
また、ナットを使用せずボルトを用いたものでは、図13(分解斜視図)および図14(断面図)に示すように、レバーに接続された回転軸110のカム固定部110aは、カム114の四角形状の貫通孔118と嵌合するように立方体状に形成され、またその中央部にカム114を固定するためにボルト119が螺合する雌螺子部110bが形成され、ボルト119により回転軸110に固定されたカム114が回転軸110の回転に伴って回動するようになっている。この回転軸110のカム固定部110aの高さは、カム114の固定を確実に行うため、カム114の厚みより0.5mm程度、低く形成されている。このため、回転軸110のカム固定部110aの形状に合わせて孔を形成した爪付きワッシャをカム114とボルト119との間に用いても、爪付きワッシャはカム固定部110aと係合させることができないため、回転軸110に対してボルト119の回転を規制することができず、ボルトが緩んでしまう。
そこで、ボルト頭部上面からボルト座面に至るまで貫通する孔に接着剤を封入することでボルト座面と被締付物間を接着して螺子の緩みを防止するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−235413号公報(段落「0012」〜段落「0013」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術においては、螺子部の軸方向の両側面がIカット形状に形成されていない場合やボルトで固定する場合は、螺子の緩みを防止する爪付きワッシャを使用することができず、螺子の緩みを防止することができないという問題がある。
また、ボルトの頭部上面から接着剤を封入することで螺子と被締付物間とを接着するようにした場合、分解等が困難になり、レバーや鍵の交換等の保守作業が行い難くなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、接着剤を用いることなく、螺子の緩みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構であって、軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このようにした本発明は、接着剤を用いることなく、螺子の緩みを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施例における螺子緩み防止機構の分解斜視図
【図2】第1の実施例における螺子緩み防止機構の斜視図
【図3】第1の実施例における爪付きワッシャの平面図
【図4】第1の実施例における爪を折り曲げた状態の爪付きワッシャの平面図
【図5】第1の実施例における螺子緩み防止機構の平面図
【図6】第1の実施例における螺子緩み防止機構の断面図
【図7】第2の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図
【図8】第3の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図
【図9】第4の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図
【図10】従来例における螺子緩み防止機構の分解斜視図
【図11】従来例における螺子緩み防止機構の斜視図
【図12】従来例における爪付きワッシャおよびナットの斜視図
【図13】従来例における螺子緩み防止機構の斜視図
【図14】従来例における螺子緩み防止機構の断面図
【図15】第1の実施例における螺子緩み防止機構を取り付けた装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明による螺子緩み防止機構、自動取引装置および現金処理機の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は第1の実施例における螺子緩み防止機構の分解斜視図、図2は第1の実施例における螺子緩み防止機構の斜視図である。
図1および図2において、装置の扉の開閉レバーや鍵部分などの固定部に使用され、螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構1は、レバー10と、回転軸11と、カム固定部12と、螺子部13と、カム14と、シャフト15と、爪付きワッシャ17と、ボルト19とにより構成されている。
【0014】
この螺子緩み防止機構1は、例えば図15に示すように、銀行等の金融機関に設置される現金自動預払機や無人契約機、交通機関に設置される自動券売機や航空券発券機等の自動取引装置100、または現金の計数や紙幣束の作成を行う現金処理機101等の扉に備えられるものである。
レバー10は、装置の操作者等により操作がされて図2中の矢印Bが示す方向に回動可能になっている。
【0015】
回転軸11は、一端部にレバー10が取り付けられており、レバー10の回動とともに回転するものである。
カム固定部12は、回転軸11のレバー10が取り付けられた端部とは反対側の端部に、軸方向に突出した角柱部として略直方体状に形成されたものである。なお、本実施例では、カム固定部12を略直方体状としたがそれに限られることなく、略立方体状でも良く、3角柱や6角柱等の多角柱であっても良い。
【0016】
螺子部13は、回転軸11の回転中心を中心としてカム固定部12の中央部に、軸方向に延在するように形成された雌螺子である。この螺子部13は、ボルト19が螺合するものである。
このように回転軸11には、カム固定部12および螺子部13が形成され、そのカム固定部12および螺子部13の中心を回転中心として回転する。
【0017】
カム14は、回転軸11の回転とともに回転する板金等の板状のものであり、回転軸11のカム固定部12が嵌合される多角形状の孔としての貫通孔14aが四角形状に形成されている。したがって、カム14は貫通孔14aを回転中心として図1中の矢印Aが示す方向に回転する。なお、本実施例では、貫通孔14aを四角形状のものとして説明するが、それに限られることなく、カム固定部12の形状に合わせて3角形や6角形等の多角形としても良い。
また、カム14には、貫通孔14aから離間した位置に、後述する爪付きワッシャ17に形成された係合部としての係合孔と係合する被係合部としての突起部16が形成されている。
【0018】
シャフト15は、カム14の端部に形成された棒状のものであり、カム14の回動に伴って移動し、図示しない装置側の係合部との係合およびその係合を解除するものである。
爪付きワッシャ17は、ボルト19の緩みを防止する板金等の板状の部材であり、ボルト19の雄螺子部を貫通させる貫通孔としての孔18aと、孔18aから離間した位置にカム14の突起部16と係合する係合部としての係合孔18bとが形成されている。
【0019】
爪付きワッシャ17の孔18aにボルト19の雄螺子部を貫通させ、係合孔18bをカム14の突起部16と係合させることにより、爪付きワッシャ17は、回転軸11の回転とともに、カム14と一体となって孔18aを中心として回動可能になっている。
また、この爪付きワッシャ17には、孔18aを中心として放射状に所定の角度を保持して配置された複数の爪が形成されている。なお、爪付きワッシャ17の詳細は後述する。
【0020】
ボルト19は、カム固定部12の螺子部13と螺合する雄螺子部が形成されたものであり、カム14および爪付きワッシャ17を回転軸11に固定するものである。このボルト19の頭部には、軸方向における側部に6箇所の平坦な側面が形成されている。なお、本実施例では、ボルト19の頭部に6箇所の平坦な側面が形成されているものとして説明するが、それに限られることなく、5箇所以下または7箇所以上の平坦な側面が形成されていても良い。
【0021】
図3は第1の実施例における爪付きワッシャの平面図、図4は第1の実施例における爪を折り曲げた状態の爪付きワッシャの平面図である。
図3において、爪付きワッシャ17は、3つの爪17a、爪17b、爪17cが形成されており、それぞれの爪17a、爪17b、爪17cは孔18aの中心18cを中心として放射状に延在し、所定の角度α(例えば、45度)を成して配置されている。この爪付きワッシャ17は、板金等で形成されているため、それぞれの爪17a、爪17b、爪17cは、図4に示すように折り曲げ可能に構成されている。なお、図4は爪17aを折り曲げた状態を示している。また、本実施例では、爪を3つとして説明するが、それに限られることなく、2つ以下または4つ以上であっても良い。
【0022】
図1に示すように、爪付きワッシャ17に形成された3つの爪17a、爪17b、爪17cのいずれかをボルト19の頭部方向に曲げ起こすことにより、爪の平面部をボルト19の頭部のいずれかひとつの平坦な側面に当接させることができ、ボルト19の回転を抑止し、緩みを防止することができるようになっている。
また、孔18aから離間した位置に係合孔18bが形成されており、その係合孔18bは、製造誤差や取り付け誤差等を吸収するため孔18aの中心18cから延在するように略長方形状に形成された長孔となっている。なお、本実施例では、係合孔18bを長孔として説明するが、カムの回動方向に対して突起部に隙間なく係合するものであれば、長孔に限定されるものではない。
【0023】
上述した構成の作用について説明する。
図5は第1の実施例における螺子緩み防止機構の平面図、図6は第1の実施例における螺子緩み防止機構の断面図であり、図6は図5におけるCC断面図である。
図5および図6において、回転軸11のカム固定部12に、カム14の貫通孔14aを嵌合させ、さらに爪付きワッシャ17の孔18aを貫通孔14aに合わせるとともに、係合孔18bとカム14の突起部16とを嵌合させる。その後、ボルト19を爪付きワッシャ17の孔18aを貫通させ、カム固定部12の螺子部13に螺合させて、ボルト19によりカム14および爪付きワッシャ17を回転軸11に固定する。
【0024】
なお、回転軸11のカム固定部12の高さは、カム14の固定を確実に行うため、カム14の厚みより0.5mm程度、低く形成されているものとする。
このように、爪付きワッシャ17の係合孔18bとカム14の突起部16とを嵌合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0025】
また、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、ボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17c(本実施例では、爪17a)をボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0026】
以上説明したように、第1の実施例では、爪付きワッシャの係合孔とカムの突起部とを嵌合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0027】
図7は第2の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7において、爪付きワッシャ17には、カム14の回動方向(図中矢印Aが示す方向)の両側部(被係合部)を挟み込む係合部として二つの曲げ部(屈曲部)20が形成されている。
爪付きワッシャ17の二つの曲げ部20とカム14の両側面とを係合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0028】
したがって、第1の実施例と同様に、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、図5に示すようにボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17cをボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0029】
以上説明したように、第2の実施例では、爪付きワッシャの曲げとカムの側面とを係合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0030】
図8は第3の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、爪付きワッシャ17には、カム14のシャフト15(被係合部)を貫通させる係合部としての貫通孔21が形成されている。
爪付きワッシャ17の貫通孔21とカム14のシャフト15とを嵌合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0031】
したがって、第1の実施例と同様に、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、図5に示すようにボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17cをボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0032】
以上説明したように、第3の実施例では、爪付きワッシャの貫通孔とカムのシャフトとを嵌合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0033】
図9は第4の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、爪付きワッシャ17の端部には、カム14に形成された凹部としての角穴14a(被係合部)に係合する係合部としての曲げ部(凸部)22が形成されている。
爪付きワッシャ17の曲げ部22とカム14の角穴14aとを係合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0034】
したがって、第1の実施例と同様に、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、図5に示すようにボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17cをボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0035】
以上説明したように、第4の実施例では、爪付きワッシャの曲げとカムの角穴とを係合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0036】
1 螺子緩み防止機構
10 レバー
11 回転軸
12 カム固定部
13 螺子部
14 カム
14a 孔
15 シャフト
16 突起部
17 爪付きワッシャ
17a、17b、17c 爪
18a 孔
18b 係合孔
19 ボルト
19a 頭部
19b 側面
20、22 曲げ部
21 貫通孔
100 自動取引装置
101 現金処理機
【技術分野】
【0001】
本発明は、締め付けて固定した螺子の緩みを防止する螺子緩み防止機構、その螺子緩み防止機構を備えた自動取引装置および現金処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の螺子緩み防止機構では、装置の扉の開閉レバーや鍵部分などの固定部において、軸方向の両側面を切り落としたIカット形状に形成された螺子部にIカット形状に対応した形状の孔が形成された爪付きワッシャを貫通させた後、その螺子部と螺合する六角ナットで爪付きワッシャを固定し、固定後に爪付きワッシャの爪を折り曲げ、その爪で六角ナットが回転しないように係止することにより、螺子の緩みを防止してレバーや鍵などの脱落を防止しているものがある。
【0003】
例えば、図10および図11に示すように、錠111の螺子部118の軸方向における両側面には切り落とされたIカット形状のIカット面119が形成されており、錠111に鍵を挿入し、錠111を回転させると錠111と一体となった螺子部118およびカム114が回転し、シャフト115を回動させるようになっている。また、カム114には、錠111の螺子部118のIカット面119と嵌合する孔が形成されており、螺子部118に嵌合されたカム114を固定するために六角ナット113を螺子部118に螺合させるようにしているが、六角ナット113の緩みを防止するため、カム114と六角ナット113との間に、薄い板金で形成された爪付きワッシャ117を用いるようにしている。
【0004】
この爪付きワッシャ117は、図12(a)に示すように、錠111の螺子部118のIカット面119に対応した孔が形成されており、その孔の中心から角度45度ずつ変位させた三つの爪117a、117b、117cが形成されている。爪付きワッシャ117は、螺子部118にカム114を差し込んだ後、孔が螺子部118に嵌合するように挿入され、さらにその後、六角ナット113で固定される。
【0005】
六角ナット113でカム114および爪付きワッシャ117が固定された後、六角ナット113の平坦な側面と平行する爪付きワッシャ117の爪部117bが曲げ起こされ、その爪部117bで六角ナット113を係止し、六角ナット113の緩みを防止する。なお、六角ナット113の平坦な側面は、図12(b)に示すように、孔の中心から角度60度ずつ変位しているため、六角ナット113の締め込み状態で6面の側面のうちいずれかの1面において爪付きワッシャ117のいずれかの爪部を曲げ起こしたとき、六角ナット113の側面と爪付きワッシャ117の爪部とを略平行に接触させることができるようになっているため、六角ナット113の回転を規制し、緩みの発生を防止することができるようになっていた。
【0006】
また、ナットを使用せずボルトを用いたものでは、図13(分解斜視図)および図14(断面図)に示すように、レバーに接続された回転軸110のカム固定部110aは、カム114の四角形状の貫通孔118と嵌合するように立方体状に形成され、またその中央部にカム114を固定するためにボルト119が螺合する雌螺子部110bが形成され、ボルト119により回転軸110に固定されたカム114が回転軸110の回転に伴って回動するようになっている。この回転軸110のカム固定部110aの高さは、カム114の固定を確実に行うため、カム114の厚みより0.5mm程度、低く形成されている。このため、回転軸110のカム固定部110aの形状に合わせて孔を形成した爪付きワッシャをカム114とボルト119との間に用いても、爪付きワッシャはカム固定部110aと係合させることができないため、回転軸110に対してボルト119の回転を規制することができず、ボルトが緩んでしまう。
そこで、ボルト頭部上面からボルト座面に至るまで貫通する孔に接着剤を封入することでボルト座面と被締付物間を接着して螺子の緩みを防止するようにしているものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−235413号公報(段落「0012」〜段落「0013」、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の技術においては、螺子部の軸方向の両側面がIカット形状に形成されていない場合やボルトで固定する場合は、螺子の緩みを防止する爪付きワッシャを使用することができず、螺子の緩みを防止することができないという問題がある。
また、ボルトの頭部上面から接着剤を封入することで螺子と被締付物間とを接着するようにした場合、分解等が困難になり、レバーや鍵の交換等の保守作業が行い難くなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、接着剤を用いることなく、螺子の緩みを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構であって、軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このようにした本発明は、接着剤を用いることなく、螺子の緩みを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施例における螺子緩み防止機構の分解斜視図
【図2】第1の実施例における螺子緩み防止機構の斜視図
【図3】第1の実施例における爪付きワッシャの平面図
【図4】第1の実施例における爪を折り曲げた状態の爪付きワッシャの平面図
【図5】第1の実施例における螺子緩み防止機構の平面図
【図6】第1の実施例における螺子緩み防止機構の断面図
【図7】第2の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図
【図8】第3の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図
【図9】第4の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図
【図10】従来例における螺子緩み防止機構の分解斜視図
【図11】従来例における螺子緩み防止機構の斜視図
【図12】従来例における爪付きワッシャおよびナットの斜視図
【図13】従来例における螺子緩み防止機構の斜視図
【図14】従来例における螺子緩み防止機構の断面図
【図15】第1の実施例における螺子緩み防止機構を取り付けた装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明による螺子緩み防止機構、自動取引装置および現金処理機の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は第1の実施例における螺子緩み防止機構の分解斜視図、図2は第1の実施例における螺子緩み防止機構の斜視図である。
図1および図2において、装置の扉の開閉レバーや鍵部分などの固定部に使用され、螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構1は、レバー10と、回転軸11と、カム固定部12と、螺子部13と、カム14と、シャフト15と、爪付きワッシャ17と、ボルト19とにより構成されている。
【0014】
この螺子緩み防止機構1は、例えば図15に示すように、銀行等の金融機関に設置される現金自動預払機や無人契約機、交通機関に設置される自動券売機や航空券発券機等の自動取引装置100、または現金の計数や紙幣束の作成を行う現金処理機101等の扉に備えられるものである。
レバー10は、装置の操作者等により操作がされて図2中の矢印Bが示す方向に回動可能になっている。
【0015】
回転軸11は、一端部にレバー10が取り付けられており、レバー10の回動とともに回転するものである。
カム固定部12は、回転軸11のレバー10が取り付けられた端部とは反対側の端部に、軸方向に突出した角柱部として略直方体状に形成されたものである。なお、本実施例では、カム固定部12を略直方体状としたがそれに限られることなく、略立方体状でも良く、3角柱や6角柱等の多角柱であっても良い。
【0016】
螺子部13は、回転軸11の回転中心を中心としてカム固定部12の中央部に、軸方向に延在するように形成された雌螺子である。この螺子部13は、ボルト19が螺合するものである。
このように回転軸11には、カム固定部12および螺子部13が形成され、そのカム固定部12および螺子部13の中心を回転中心として回転する。
【0017】
カム14は、回転軸11の回転とともに回転する板金等の板状のものであり、回転軸11のカム固定部12が嵌合される多角形状の孔としての貫通孔14aが四角形状に形成されている。したがって、カム14は貫通孔14aを回転中心として図1中の矢印Aが示す方向に回転する。なお、本実施例では、貫通孔14aを四角形状のものとして説明するが、それに限られることなく、カム固定部12の形状に合わせて3角形や6角形等の多角形としても良い。
また、カム14には、貫通孔14aから離間した位置に、後述する爪付きワッシャ17に形成された係合部としての係合孔と係合する被係合部としての突起部16が形成されている。
【0018】
シャフト15は、カム14の端部に形成された棒状のものであり、カム14の回動に伴って移動し、図示しない装置側の係合部との係合およびその係合を解除するものである。
爪付きワッシャ17は、ボルト19の緩みを防止する板金等の板状の部材であり、ボルト19の雄螺子部を貫通させる貫通孔としての孔18aと、孔18aから離間した位置にカム14の突起部16と係合する係合部としての係合孔18bとが形成されている。
【0019】
爪付きワッシャ17の孔18aにボルト19の雄螺子部を貫通させ、係合孔18bをカム14の突起部16と係合させることにより、爪付きワッシャ17は、回転軸11の回転とともに、カム14と一体となって孔18aを中心として回動可能になっている。
また、この爪付きワッシャ17には、孔18aを中心として放射状に所定の角度を保持して配置された複数の爪が形成されている。なお、爪付きワッシャ17の詳細は後述する。
【0020】
ボルト19は、カム固定部12の螺子部13と螺合する雄螺子部が形成されたものであり、カム14および爪付きワッシャ17を回転軸11に固定するものである。このボルト19の頭部には、軸方向における側部に6箇所の平坦な側面が形成されている。なお、本実施例では、ボルト19の頭部に6箇所の平坦な側面が形成されているものとして説明するが、それに限られることなく、5箇所以下または7箇所以上の平坦な側面が形成されていても良い。
【0021】
図3は第1の実施例における爪付きワッシャの平面図、図4は第1の実施例における爪を折り曲げた状態の爪付きワッシャの平面図である。
図3において、爪付きワッシャ17は、3つの爪17a、爪17b、爪17cが形成されており、それぞれの爪17a、爪17b、爪17cは孔18aの中心18cを中心として放射状に延在し、所定の角度α(例えば、45度)を成して配置されている。この爪付きワッシャ17は、板金等で形成されているため、それぞれの爪17a、爪17b、爪17cは、図4に示すように折り曲げ可能に構成されている。なお、図4は爪17aを折り曲げた状態を示している。また、本実施例では、爪を3つとして説明するが、それに限られることなく、2つ以下または4つ以上であっても良い。
【0022】
図1に示すように、爪付きワッシャ17に形成された3つの爪17a、爪17b、爪17cのいずれかをボルト19の頭部方向に曲げ起こすことにより、爪の平面部をボルト19の頭部のいずれかひとつの平坦な側面に当接させることができ、ボルト19の回転を抑止し、緩みを防止することができるようになっている。
また、孔18aから離間した位置に係合孔18bが形成されており、その係合孔18bは、製造誤差や取り付け誤差等を吸収するため孔18aの中心18cから延在するように略長方形状に形成された長孔となっている。なお、本実施例では、係合孔18bを長孔として説明するが、カムの回動方向に対して突起部に隙間なく係合するものであれば、長孔に限定されるものではない。
【0023】
上述した構成の作用について説明する。
図5は第1の実施例における螺子緩み防止機構の平面図、図6は第1の実施例における螺子緩み防止機構の断面図であり、図6は図5におけるCC断面図である。
図5および図6において、回転軸11のカム固定部12に、カム14の貫通孔14aを嵌合させ、さらに爪付きワッシャ17の孔18aを貫通孔14aに合わせるとともに、係合孔18bとカム14の突起部16とを嵌合させる。その後、ボルト19を爪付きワッシャ17の孔18aを貫通させ、カム固定部12の螺子部13に螺合させて、ボルト19によりカム14および爪付きワッシャ17を回転軸11に固定する。
【0024】
なお、回転軸11のカム固定部12の高さは、カム14の固定を確実に行うため、カム14の厚みより0.5mm程度、低く形成されているものとする。
このように、爪付きワッシャ17の係合孔18bとカム14の突起部16とを嵌合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0025】
また、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、ボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17c(本実施例では、爪17a)をボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0026】
以上説明したように、第1の実施例では、爪付きワッシャの係合孔とカムの突起部とを嵌合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0027】
図7は第2の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7において、爪付きワッシャ17には、カム14の回動方向(図中矢印Aが示す方向)の両側部(被係合部)を挟み込む係合部として二つの曲げ部(屈曲部)20が形成されている。
爪付きワッシャ17の二つの曲げ部20とカム14の両側面とを係合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0028】
したがって、第1の実施例と同様に、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、図5に示すようにボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17cをボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0029】
以上説明したように、第2の実施例では、爪付きワッシャの曲げとカムの側面とを係合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0030】
図8は第3の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、爪付きワッシャ17には、カム14のシャフト15(被係合部)を貫通させる係合部としての貫通孔21が形成されている。
爪付きワッシャ17の貫通孔21とカム14のシャフト15とを嵌合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0031】
したがって、第1の実施例と同様に、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、図5に示すようにボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17cをボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0032】
以上説明したように、第3の実施例では、爪付きワッシャの貫通孔とカムのシャフトとを嵌合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【実施例4】
【0033】
図9は第4の実施例における爪付きワッシャおよびカムの斜視図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、爪付きワッシャ17の端部には、カム14に形成された凹部としての角穴14a(被係合部)に係合する係合部としての曲げ部(凸部)22が形成されている。
爪付きワッシャ17の曲げ部22とカム14の角穴14aとを係合させることにより、爪付きワッシャ17はカム14に対して回転しなくなり、回転軸11、カム14、爪付きワッシャ17、およびボルト19は一体となって回転する。
【0034】
したがって、第1の実施例と同様に、ボルト19をカム固定部12の螺子部13に螺合させて爪付きワッシャ17およびカム14を固定した後、図5に示すようにボルト19の頭部19aのいずれかの平坦な側面19bに対応する爪付きワッシャ17の爪17a、爪17b、または爪17cをボルト19の頭部19a方向へ曲げ起こし、ボルト19の頭部19aの軸方向における側面19bの平坦部に当接させることにより、ボルト19の回転を抑制し、緩みを防止することができる。
【0035】
以上説明したように、第4の実施例では、爪付きワッシャの曲げとカムの角穴とを係合させ、ボルトをカム固定部の螺子部に螺合させて爪付きワッシャおよびカムを固定した後、ボルトのいずれかの平坦な側面に対応する爪付きワッシャの爪を曲げ起こし、ボルトの側面に当接させることにより、ボルトの回転を抑制し、緩みを防止することができるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0036】
1 螺子緩み防止機構
10 レバー
11 回転軸
12 カム固定部
13 螺子部
14 カム
14a 孔
15 シャフト
16 突起部
17 爪付きワッシャ
17a、17b、17c 爪
18a 孔
18b 係合孔
19 ボルト
19a 頭部
19b 側面
20、22 曲げ部
21 貫通孔
100 自動取引装置
101 現金処理機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構であって、
軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、
前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、
前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、
前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、
前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項2】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、突起部であり、
前記係合部は、前記突起部が係合する孔であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項3】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、前記カムの回動方向の両側部であり、
前記係合部は、前記両側部を挟む屈曲部であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項4】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、前記カムに設けられたシャフトであり、
前記係合部は、前記シャフトが嵌合する孔であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項5】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、凹部であり、
前記係合部は、前記凹部に係合する凸部であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の螺子緩み防止機構において、
前記爪付きワッシャの爪は、前記貫通孔を中心として放射状に所定の角度を保持して複数形成されていることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項7】
螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構を有する自動取引装置であって、
軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、
前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、
前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、
前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、
前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させた螺子緩み防止機構を備えたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構を有する現金処理機であって、
軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、
前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、
前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、
前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、
前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させた螺子緩み防止機構を備えたことを特徴とする現金処理機。
【請求項1】
螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構であって、
軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、
前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、
前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、
前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、
前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項2】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、突起部であり、
前記係合部は、前記突起部が係合する孔であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項3】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、前記カムの回動方向の両側部であり、
前記係合部は、前記両側部を挟む屈曲部であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項4】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、前記カムに設けられたシャフトであり、
前記係合部は、前記シャフトが嵌合する孔であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項5】
請求項1に記載の螺子緩み防止機構において、
前記被係合部は、凹部であり、
前記係合部は、前記凹部に係合する凸部であることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の螺子緩み防止機構において、
前記爪付きワッシャの爪は、前記貫通孔を中心として放射状に所定の角度を保持して複数形成されていることを特徴とする螺子緩み防止機構。
【請求項7】
螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構を有する自動取引装置であって、
軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、
前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、
前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、
前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、
前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させた螺子緩み防止機構を備えたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項8】
螺子部に螺合するボルトの緩みを防止する螺子緩み防止機構を有する現金処理機であって、
軸方向に突出する角柱部と、前記角柱部の軸方向に前記ボルトと螺合する螺子部とが形成され、前記螺子部の中心を回転中心として回転する回転軸と、
前記角柱部と嵌合する多角形状の孔と、前記孔から離間した位置に被係合部とが形成され、前記回転軸の回転とともに回動するカムと、
前記ボルトと嵌合する貫通孔と、前記貫通孔を中心として放射状に形成された爪と、前記貫通孔から離間し、前記カムの被係合部と係合する係合部とが形成された板状の爪付きワッシャとを備え、
前記回転軸の角柱部と前記孔とが嵌合した前記カムと、前記カムの被係合部と前記係合部とが係合された前記爪付きワッシャとを前記ボルトで前記回転軸に固定するとともに、
前記爪付きワッシャの爪を、前記ボルトの頭部方向へ曲げ起こし、前記ボルトの頭部の軸方向における側面の平坦部に当接させた螺子緩み防止機構を備えたことを特徴とする現金処理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−83305(P2013−83305A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223496(P2011−223496)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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