衛生薄葉紙収納容器
【課題】既設の洋式トイレ室内に設置可能であり、且つ、腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙が取り出し可能とされた衛生薄葉紙収納容器を提供すること
【解決手段】内部に衛生薄葉紙Pを収納可能であり、洋式便器100の側面に固定可能とされた衛生薄葉紙収納容器であって、相互に対向して設置された左右一対の側板部20と、一対の側板部20に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部30及び背板部40と、一対の側板部20に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部50及び底板部60と、天板部50に設けられた衛生薄葉紙Pの取出口55と、を有する本体部10と、取出口55が上方を向き、且つ、背板部40が洋式便器100の側面に対向するように、本体部10を洋式便器100の側面に固定可能とする粘着テープ90と、を備えており、背板部40の外面は、本体部10の内部側に向かって凹んでいる、衛生薄葉紙収納容器とする。
【解決手段】内部に衛生薄葉紙Pを収納可能であり、洋式便器100の側面に固定可能とされた衛生薄葉紙収納容器であって、相互に対向して設置された左右一対の側板部20と、一対の側板部20に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部30及び背板部40と、一対の側板部20に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部50及び底板部60と、天板部50に設けられた衛生薄葉紙Pの取出口55と、を有する本体部10と、取出口55が上方を向き、且つ、背板部40が洋式便器100の側面に対向するように、本体部10を洋式便器100の側面に固定可能とする粘着テープ90と、を備えており、背板部40の外面は、本体部10の内部側に向かって凹んでいる、衛生薄葉紙収納容器とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に取り付け可能とされた衛生薄葉紙収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレ室内に設置される衛生薄葉紙は、一般的に、壁に取り付けられたホルダーに設置されて使用される。そのため、洋式トイレ室内に設置された衛生薄葉紙をホルダーから取出す際には、使用者は腰や腕を伸縮させなければならなかった。このような動作は、肉体が衰えた高齢者にとって困難な場合がある。そこで、使用者が腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙を取り出せるように、衛生薄葉紙の収納場所を備える洋式便器が従来より提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−51938号公報
【特許文献2】特開2006−311872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、衛生薄葉紙の収納場所を備える洋式便器は、既設のトイレに設置する場合、便器ごと交換しなければならないという問題があった。上記特許文献2に示すような既設の洋式トイレ室内に設置可能な衛生薄葉紙収納容器も過去に提案されてはいたものの、このような衛生薄葉紙収納容器は、洋式トイレ室内の床面や壁面に突設された棚に載置するため、衛生薄葉紙を取出す際には、やはり使用者は腰や腕を伸縮させなければなかった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、既設の洋式トイレ室内に設置可能であり、且つ、腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙が取り出し可能とされた衛生薄葉紙収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記課題を解決するための手段とそれらの作用効果を示す。なお、本文中の上・下・前・後・左・右の方向を示す語句は、説明の便宜上用いたものに過ぎない。
〔請求項1に係る発明〕
内部に衛生薄葉紙を収納可能であり、洋式便器の側面に固定可能とされた衛生薄葉紙収納容器であって、
相互に対向して設置された左右一対の側板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部及び背板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部及び底板部と、天板部に設けられた衛生薄葉紙の取出口と、を有する本体部と、
取出口が上方を向き、且つ、背板部が洋式便器の側面に対向するように、本体部を洋式便器の側面に固定可能とする固定部材と、を備えており、
背板部の外面は、本体部の内部側に向かって凹んでいる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙収納容器。
【0007】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、本体部と固定部材とから構成されている。このうち、本体部は、相互に対向して設置された左右一対の側板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部及び背板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部及び底板部と、天板部に設けられた衛生薄葉紙の取出口と、を有している。そして、本体部は、固定部材によって取出口が上方を向き、且つ、背板部が洋式便器の側面に対向するように、固定可能とされている。
【0008】
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器によれば、本体部を洋式便器の側面に固定することによって、使用者が腰や腕を伸縮させなくとも本体部に収容された衛生薄葉紙を取出すことが可能となる。
【0009】
さらに、本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、トイレ室内の壁面や床面などの設置場所を必要とせず、しかも、洋式便器に取り付け可能であるため、既設の洋式トイレ室内に設置可能である。
【0010】
また、洋式便器の側面に衛生薄葉紙収納容器の本体部を固定する場合、固定状態で本体部がぐらつかないよう、本体部における洋式便器側面と対向する面が、洋式便器側面の形状と似通っていることが好ましい。一般的な洋式便器の側面は、外側に向かって膨らむような形状を成している。そこで、本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器のように、本体部の固定時に洋式便器の側面に対向する背板部は、本体部の内部側に向かって凹んでいることが固定上好ましい。
【0011】
〔請求項2に係る発明〕
背板部上端縁又は背板部下端縁の少なくともいずれか一方は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0012】
(作用効果)
一般的な洋式便器は、上から見た断面における外側の縁部が湾曲している。そのため、洋式便器への固定時に、上から見た断面における外側の縁部に沿って位置する背板部上端縁又は背板部下端縁の少なくともいずれか一方は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲していることが好ましい。
【0013】
〔請求項3に係る発明〕
背板部上端縁及び背板部下端縁の曲率半径が、600〜1200mmとされている、請求項2に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0014】
(作用効果)
一般的に洋式便器の形状を鑑みると、背板部上端縁及び背板部下端縁の曲率半径が、600〜1200mmとされていることが好ましい。
【0015】
〔請求項4に係る発明〕
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0016】
(作用効果)
一般的な洋式便器は、正面から見た断面における外側の縁部が湾曲している。そのため、洋式便器への固定時に、正面から見た断面における外側の縁部に沿って位置する背板部右端縁及び背板部左端縁は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲していることが好ましい。
【0017】
〔請求項5に係る発明〕
背板部右端縁及び背板部左端縁の曲率半径が、100〜200mmとされている、請求項4に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0018】
(作用効果)
一般的に洋式便器の形状を鑑みると、背板部右端縁及び背板部左端縁の曲率半径は、100〜200mmとされていることが好ましい。
【0019】
〔請求項6に係る発明〕
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0020】
(作用効果)
洋式便器には、上側の縁が鍔状に突出しているタイプのものもある。本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、そのようなタイプの洋式便器に適している。背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいることによって、鍔状に突出した部分とそうでない部分両方に背板部が接触するように固定することができる。
【0021】
〔請求項7に係る発明〕
本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる背板部の右端縁又は左端縁における凹みの角度が、155〜170度とされている、請求項6に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0022】
(作用効果)
上側の縁が鍔状に突出しているタイプの洋式便器の一般的な形状を鑑みると、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる背板部の右端縁又は左端縁における凹みの角度は、155〜170度とされていることが好ましい。
【0023】
〔請求項8に係る発明〕
本体部内部には、衛生薄葉紙を載置可能な支持板が、取出口と正対するよう設置されている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0024】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、背板部の形状が本体部の内側に向かって凹んでいるため、底板部と取出口とが正対しにくい。そうすると、底板部に載置された衛生薄葉紙を取出すことが困難になる。そこで、本体部内部に衛生薄葉紙を載置可能な支持板を、取出口と正対するよう設置することで、このような問題は解消される。
【0025】
〔請求項9に係る発明〕
一対の側板部の少なくともいずれか一方が、取り外し可能とされており、支持板が、側板部の対向方向に沿って外側に引き出し可能とされている、請求項8に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0026】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器では、側板部を取り外し、支持板を側板部の対向方向に沿って外側に引き出し、支持板に衛生薄葉紙を載置させることで、衛生薄葉紙を収納又は補充することができる。
【0027】
〔請求項10に係る発明〕
前板部の一部又は全部が、本体部の内部が露出するよう開放可能とされている、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0028】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器では、前板部の一部又は全部を開放し、露出した本体部の内部に衛生薄葉紙を収納することで、衛生薄葉紙を収納又は補充することができる。
【0029】
〔請求項11に係る発明〕
固定部材が、背板部外面に設置された粘着剤、粘着テープ、又は吸盤のいずれかである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0030】
〔請求項12に係る発明〕
固定部材が、便器の縁に引っ掛け可能なジグである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【発明の効果】
【0031】
以上に示したように、本発明によれば、既設の洋式トイレ室内に設置可能であり、且つ、腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙が取り出し可能とされた衛生薄葉紙収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図3】図1のX−X矢視に対応する断面図であり、本体部内部に衛生薄葉紙を収納した状態を示している。
【図4】図1のX−X矢視に対応する断面図であり、前板部が開放された状態を示している。
【図5】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す底面図である。
【図7】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態の使用状態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態の使用状態を示す正面図である。
【図10】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態を示す斜視図である。
【図11】図10のY−Y矢視に対応する断面図である。
【図12】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態を示す斜視図であり、右側の側板部と支持板70とを本体部から引き出した状態を示している。
【図13】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態の使用状態を示す平面図である。
【図14】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
なお、図中の矢印Rは右方向を、図中の矢印Lは左方向を、図中の矢印Fは前方向を、図中の矢印Bは後方向を、図中の矢印Uは上方向を、図中の矢印Dは下方向をそれぞれ示しており、これらは説明の便宜上用いたものに過ぎない。
〔第1実施形態〕
図1〜図9に示すのは、本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態である。本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図1及び図2に示すように、プラスチック又はカートンから形成された本体部10と、本体部10の外面に設けられた固定部材である一対の粘着テープ90とを主として構成されている。さらに詳説すると、本体部10は、一対の側板部20と、前板部30と、背板部40と、天板部50と、底板部60とを主として構成されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、相互に同形を成す一対の側板部20は、それぞれ角のない薄板から形成されており、相互に左右方向に沿って対向するよう配置されている。また、一対の側板部20は、下方向に向かって窄むような形状を成している。
【0035】
図1及び図2に示すように、前板部30は前側に設置されており、この一方、背板部40は、後側に設置されており、前板部30及び背板部40は、相互に前後に対向するよう配置されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、天板部50は上側に設置されており、この一方、底板部60は下側に設置されており、天板部50及び底板部60は、相互に上下に対向するよう設置されている。
【0037】
これらの前板部30、背板部40、天板部50、及び底板部60は、図1及び図2に示すように、全て一対の側板部20に挟まれるようにして設置されている。また、前板部30、背板部40、天板部50、及び底板部60は、一続きの滑らかな面となっており、一対の側板部20に挟まれる面は丸みを帯びて角張った部分を有していない。また、前板部30、背板部40、天板部50、及び底板部60は、全て薄板とされている。
【0038】
図2〜図4に示すように、前板部30と底板部60との境界には、切り込み11が設けられており、連続していない。この切り込み11は、図3に示すように、本体部10の外側から内側に向かって下方向に傾斜するようにして形成されている。
【0039】
図2〜図4に示すように、前板部30の外面における底板部60との境界近傍には、底板部60の一部を覆うようにして設置された摘み部35が突設されている。また、前板部30と天板部50との境界には、本体部10の内部に向かって凹むように形成された溝12が設けられている。本体部10は、以上のように構成されていることによって、図3及び図4に示すように、摘み部35に指を引っ掛けると共に、前板部30を本体部10の外側に向かって引っ張ることによって、前板部30が溝15を支点として外側に向かって開放されるようになっている。
【0040】
図1、及び図3〜図5に示すように、天板部50には、衛生薄葉紙の取出口55が、本体部10の内部に貫通するように設けられている。取出口55は、楕円形とされており、角のない形状とされている。
【0041】
図1、図3、及び図4に示すように、背板部40には、一対の粘着テープ90が貼り付けられている。これらの粘着テープ90は、それぞれ左右方向に沿って延在しており、相互が上下に離間するよう設置されている。
【0042】
図1〜図6に示すように、背板部40の外面は、本体部10の内部側に向かって緩やかなカーブを描くように凹んでおり、それと共に、背板部右端縁41、背板部左端縁42、背板部上端縁43、及び背板部下端縁44は、本体部10の内部側に向かって凹むよう湾曲している。
【0043】
背板部右端縁41及び背板部左端縁42の曲率半径は、100〜200mmとされており、背板部上端縁43及び背板部下端縁44の曲率半径は、600〜1200mmとされている。
【0044】
図3及び図4に示すように、本体部10の内部には、衛生薄葉紙Pを載置可能な支持板70が、取出口55と平行に正対するよう設置されている。この支持板70は、前板部30と底板部60との境界のすぐ下側から、後側に向かって延在するよう配置されており、本体部10の内部空間を上下に2つに分離している。
【0045】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の使用形態について説明する。
以上のように構成された本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図3に示すように、本体部10内部に、衛生薄葉紙Pを二つ折りにして折返し縁を重ねた衛生薄葉紙束が収納された状態で使用される。衛生薄葉紙束は支持板70上に載置されて収納され、衛生薄葉紙Pは、一枚ごとに取出口55からつまみ出されるようになっている。
【0046】
図7〜図9に示すように、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、背板部40に設けられた一対の粘着テープ90を洋式便器100の側面に貼り付けることで取り付けられる。衛生薄葉紙収納容器は、取出口55が上方を向くようにして、洋式便器100に取り付けられる。具体的には、洋式便器100の側面における便座101の近傍であり、且つ、洋式便器100に座した使用者の大腿のサイドである位置に取り付けられる。
【0047】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の作用効果を説明する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器では、本体部10が、一対の粘着テープ90によって取出口55が上方を向き、且つ、背板部40が洋式便器100の側面に対向するように、固定可能とされている。
【0048】
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器によれば、図7〜図9に示すように、本体部10は、洋式便器100に座した使用者の大腿のサイドに位置するように、洋式便器100に対して取り付けることによって、使用者が腰や腕を伸縮させなくとも本体部10に収容された衛生薄葉紙Pを取出すことが可能となる。
【0049】
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、トイレ室内の壁面や床面などの設置場所を必要とせず、しかも、洋式便器100に取り付け可能であるため、既設の洋式トイレ室内に設置可能である。
【0050】
一般的な洋式便器100の側面は、外側に向かって膨らむような形状を成している。そこで、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器のように、本体部10の固定時に洋式便器100の側面に対向する背板部40は、本体部10の内部側に向かって凹んでいることによって、好適な固定形態をとることができる。
【0051】
背板部右端縁41及び背板部左端縁42の曲率半径は、100〜200mmとされており、この曲率半径の範囲は、一般的な洋式便器を正面から見た断面における外側の縁部の曲率半径に対応している。そのため、本体部10を、取出口55が上方を向くように洋式便器100の側面に取り付けた際に、背板部右端縁41及び背板部左端縁42の形状が、洋式便器100の側面の形状に合うため、本体部10を確実に固定することができる。なお、背板部右端縁41及び背板部左端縁42の曲率半径は、取り付けられる洋式便器の形状によって適宜変更されることが好ましい。
【0052】
背板部上端縁43及び背板部下端縁44の曲率半径は600〜1200mmとされている。この曲率半径の範囲は、一般的な洋式便器を上方から見た断面における外側の縁部の曲率半径に対応している。そのため、本体部10を、取出口55が上方を向くように洋式便器100の側面に取り付けた際に、背板部上端縁43及び背板部下端縁44の形状が、洋式便器100の側面の形状に合うため、本体部10を確実に固定することができる。なお、背板部上端縁43及び背板部下端縁44の曲率半径は、取り付けられる洋式便器の形状によって適宜変更されることが好ましい。
【0053】
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器のように、本体部10内部に衛生薄葉紙Pを載置可能な支持板70を、取出口55と正対するよう設置することで、衛生薄葉紙Pを積み重ねて成る衛生用紙束が、本体部10内部で崩れてしまうことがない。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態について、図10〜図12を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と同一の部材に関しては、説明を省略する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図10〜図12に示すように、背板部右端縁41及び背板部左端縁42は、本体部10の内部側に向かって湾曲しているのではなく、上下中央近傍で本体部10内部側に向かってV字状に凹むよう折れ曲がっている。なお、図11に示すように、背板部右端縁41及び背板部左端縁42の折れ曲がり角度θは、155〜170度とされている。
【0055】
背板部40における折れ曲がり部分よりも上側の部分には、ジグ91が一対設けられている。これらのジグ91は、左右両側にそれぞれ設置されている。また、これらのジグ91は、コ字状に形成されており、洋式便器の縁111に引っ掛けられるようになっている。
【0056】
図11に示すように、支持板70は、背板部40の内面及び前板部30の内面からそれぞれ本体部10の内部側に向かって延出する一対のレール部18上に載置されている。これらのレール部18は、本体部10の内部において、左右方向に沿って延在している。支持板70は、レール部18上に固定されておらず、左右方向に沿ってレール部18上を滑って移動することが可能となっている。
【0057】
図10〜図12に示すように、右側の側板部20は、本体部10から取り外しできるようになっている。また、それと共に、右側の側板部20の内面と支持板70の右側端縁とは接続されている。このことによって、図12に示すように、右側の側板部20を本体部10から取り外すと、それに伴って支持板70が、本体部10から引き出されるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態においては、右側の側板部20が本体部10から取り外し可能となっているが、右側の側板部20ではなく、左側の側板部20が本体部10から取り外し可能となっていても良い。左側の側板部20が本体部10から取り外し可能となっている場合、支持板70の左側端縁と左側の側板部20の内面とが接続される。
【0059】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の使用形態について説明する。
以上のように構成された本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図13及び図14に示すように、取出口55が上方を向くように、洋式便器110の縁111に一対のジグ91を引っ掛けることで設置される。
【0060】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の作用効果を説明する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図14に示すような、上側の縁111が鍔状に突出しているタイプの洋式便器110に適している。背板部右端縁41及び背板部左端縁42が、本体部10の内部側に向かってV字状に凹んでいることによって、縁111と縁111よりも下側の部分両方に背板部40が接触するように固定することができる。
【0061】
〔その他の実施形態〕
なお、固定部材は、粘着テープ90、ジグ91の他、粘着剤を背板部40に塗布したり、背板部40に吸盤を設置することで構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る衛生薄葉紙収納容器は、便器に取り付け可能とされた衛生薄葉紙収納容器として利用できる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・本体部
11・・・切り込み
12・・・溝
20・・・側板部
30・・・前板部
35・・・摘み部
40・・・背板部
41・・・背板部右端縁
42・・・背板部左端縁
43・・・背板部上端縁
44・・・背板部下端縁
50・・・天板部
55・・・取出口
60・・・底板部
70・・・支持板
90・・・粘着テープ(固定部材)
91・・・ジグ
100・・・洋式便器
101・・・便座
111・・・洋式便器の縁
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器に取り付け可能とされた衛生薄葉紙収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレ室内に設置される衛生薄葉紙は、一般的に、壁に取り付けられたホルダーに設置されて使用される。そのため、洋式トイレ室内に設置された衛生薄葉紙をホルダーから取出す際には、使用者は腰や腕を伸縮させなければならなかった。このような動作は、肉体が衰えた高齢者にとって困難な場合がある。そこで、使用者が腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙を取り出せるように、衛生薄葉紙の収納場所を備える洋式便器が従来より提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−51938号公報
【特許文献2】特開2006−311872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、衛生薄葉紙の収納場所を備える洋式便器は、既設のトイレに設置する場合、便器ごと交換しなければならないという問題があった。上記特許文献2に示すような既設の洋式トイレ室内に設置可能な衛生薄葉紙収納容器も過去に提案されてはいたものの、このような衛生薄葉紙収納容器は、洋式トイレ室内の床面や壁面に突設された棚に載置するため、衛生薄葉紙を取出す際には、やはり使用者は腰や腕を伸縮させなければなかった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、既設の洋式トイレ室内に設置可能であり、且つ、腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙が取り出し可能とされた衛生薄葉紙収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記課題を解決するための手段とそれらの作用効果を示す。なお、本文中の上・下・前・後・左・右の方向を示す語句は、説明の便宜上用いたものに過ぎない。
〔請求項1に係る発明〕
内部に衛生薄葉紙を収納可能であり、洋式便器の側面に固定可能とされた衛生薄葉紙収納容器であって、
相互に対向して設置された左右一対の側板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部及び背板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部及び底板部と、天板部に設けられた衛生薄葉紙の取出口と、を有する本体部と、
取出口が上方を向き、且つ、背板部が洋式便器の側面に対向するように、本体部を洋式便器の側面に固定可能とする固定部材と、を備えており、
背板部の外面は、本体部の内部側に向かって凹んでいる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙収納容器。
【0007】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、本体部と固定部材とから構成されている。このうち、本体部は、相互に対向して設置された左右一対の側板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部及び背板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部及び底板部と、天板部に設けられた衛生薄葉紙の取出口と、を有している。そして、本体部は、固定部材によって取出口が上方を向き、且つ、背板部が洋式便器の側面に対向するように、固定可能とされている。
【0008】
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器によれば、本体部を洋式便器の側面に固定することによって、使用者が腰や腕を伸縮させなくとも本体部に収容された衛生薄葉紙を取出すことが可能となる。
【0009】
さらに、本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、トイレ室内の壁面や床面などの設置場所を必要とせず、しかも、洋式便器に取り付け可能であるため、既設の洋式トイレ室内に設置可能である。
【0010】
また、洋式便器の側面に衛生薄葉紙収納容器の本体部を固定する場合、固定状態で本体部がぐらつかないよう、本体部における洋式便器側面と対向する面が、洋式便器側面の形状と似通っていることが好ましい。一般的な洋式便器の側面は、外側に向かって膨らむような形状を成している。そこで、本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器のように、本体部の固定時に洋式便器の側面に対向する背板部は、本体部の内部側に向かって凹んでいることが固定上好ましい。
【0011】
〔請求項2に係る発明〕
背板部上端縁又は背板部下端縁の少なくともいずれか一方は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0012】
(作用効果)
一般的な洋式便器は、上から見た断面における外側の縁部が湾曲している。そのため、洋式便器への固定時に、上から見た断面における外側の縁部に沿って位置する背板部上端縁又は背板部下端縁の少なくともいずれか一方は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲していることが好ましい。
【0013】
〔請求項3に係る発明〕
背板部上端縁及び背板部下端縁の曲率半径が、600〜1200mmとされている、請求項2に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0014】
(作用効果)
一般的に洋式便器の形状を鑑みると、背板部上端縁及び背板部下端縁の曲率半径が、600〜1200mmとされていることが好ましい。
【0015】
〔請求項4に係る発明〕
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0016】
(作用効果)
一般的な洋式便器は、正面から見た断面における外側の縁部が湾曲している。そのため、洋式便器への固定時に、正面から見た断面における外側の縁部に沿って位置する背板部右端縁及び背板部左端縁は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲していることが好ましい。
【0017】
〔請求項5に係る発明〕
背板部右端縁及び背板部左端縁の曲率半径が、100〜200mmとされている、請求項4に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0018】
(作用効果)
一般的に洋式便器の形状を鑑みると、背板部右端縁及び背板部左端縁の曲率半径は、100〜200mmとされていることが好ましい。
【0019】
〔請求項6に係る発明〕
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0020】
(作用効果)
洋式便器には、上側の縁が鍔状に突出しているタイプのものもある。本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、そのようなタイプの洋式便器に適している。背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいることによって、鍔状に突出した部分とそうでない部分両方に背板部が接触するように固定することができる。
【0021】
〔請求項7に係る発明〕
本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる背板部の右端縁又は左端縁における凹みの角度が、155〜170度とされている、請求項6に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0022】
(作用効果)
上側の縁が鍔状に突出しているタイプの洋式便器の一般的な形状を鑑みると、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる背板部の右端縁又は左端縁における凹みの角度は、155〜170度とされていることが好ましい。
【0023】
〔請求項8に係る発明〕
本体部内部には、衛生薄葉紙を載置可能な支持板が、取出口と正対するよう設置されている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0024】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器は、背板部の形状が本体部の内側に向かって凹んでいるため、底板部と取出口とが正対しにくい。そうすると、底板部に載置された衛生薄葉紙を取出すことが困難になる。そこで、本体部内部に衛生薄葉紙を載置可能な支持板を、取出口と正対するよう設置することで、このような問題は解消される。
【0025】
〔請求項9に係る発明〕
一対の側板部の少なくともいずれか一方が、取り外し可能とされており、支持板が、側板部の対向方向に沿って外側に引き出し可能とされている、請求項8に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0026】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器では、側板部を取り外し、支持板を側板部の対向方向に沿って外側に引き出し、支持板に衛生薄葉紙を載置させることで、衛生薄葉紙を収納又は補充することができる。
【0027】
〔請求項10に係る発明〕
前板部の一部又は全部が、本体部の内部が露出するよう開放可能とされている、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0028】
(作用効果)
本請求項に係る衛生薄葉紙収納容器では、前板部の一部又は全部を開放し、露出した本体部の内部に衛生薄葉紙を収納することで、衛生薄葉紙を収納又は補充することができる。
【0029】
〔請求項11に係る発明〕
固定部材が、背板部外面に設置された粘着剤、粘着テープ、又は吸盤のいずれかである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【0030】
〔請求項12に係る発明〕
固定部材が、便器の縁に引っ掛け可能なジグである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【発明の効果】
【0031】
以上に示したように、本発明によれば、既設の洋式トイレ室内に設置可能であり、且つ、腰や腕を伸縮させなくとも衛生薄葉紙が取り出し可能とされた衛生薄葉紙収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図3】図1のX−X矢視に対応する断面図であり、本体部内部に衛生薄葉紙を収納した状態を示している。
【図4】図1のX−X矢視に対応する断面図であり、前板部が開放された状態を示している。
【図5】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態を示す底面図である。
【図7】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態の使用状態を示す平面図である。
【図9】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態の使用状態を示す正面図である。
【図10】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態を示す斜視図である。
【図11】図10のY−Y矢視に対応する断面図である。
【図12】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態を示す斜視図であり、右側の側板部と支持板70とを本体部から引き出した状態を示している。
【図13】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態の使用状態を示す平面図である。
【図14】本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施形態を、添付図面を参照しつつ説明する。
なお、図中の矢印Rは右方向を、図中の矢印Lは左方向を、図中の矢印Fは前方向を、図中の矢印Bは後方向を、図中の矢印Uは上方向を、図中の矢印Dは下方向をそれぞれ示しており、これらは説明の便宜上用いたものに過ぎない。
〔第1実施形態〕
図1〜図9に示すのは、本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第1実施形態である。本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図1及び図2に示すように、プラスチック又はカートンから形成された本体部10と、本体部10の外面に設けられた固定部材である一対の粘着テープ90とを主として構成されている。さらに詳説すると、本体部10は、一対の側板部20と、前板部30と、背板部40と、天板部50と、底板部60とを主として構成されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、相互に同形を成す一対の側板部20は、それぞれ角のない薄板から形成されており、相互に左右方向に沿って対向するよう配置されている。また、一対の側板部20は、下方向に向かって窄むような形状を成している。
【0035】
図1及び図2に示すように、前板部30は前側に設置されており、この一方、背板部40は、後側に設置されており、前板部30及び背板部40は、相互に前後に対向するよう配置されている。
【0036】
図1及び図2に示すように、天板部50は上側に設置されており、この一方、底板部60は下側に設置されており、天板部50及び底板部60は、相互に上下に対向するよう設置されている。
【0037】
これらの前板部30、背板部40、天板部50、及び底板部60は、図1及び図2に示すように、全て一対の側板部20に挟まれるようにして設置されている。また、前板部30、背板部40、天板部50、及び底板部60は、一続きの滑らかな面となっており、一対の側板部20に挟まれる面は丸みを帯びて角張った部分を有していない。また、前板部30、背板部40、天板部50、及び底板部60は、全て薄板とされている。
【0038】
図2〜図4に示すように、前板部30と底板部60との境界には、切り込み11が設けられており、連続していない。この切り込み11は、図3に示すように、本体部10の外側から内側に向かって下方向に傾斜するようにして形成されている。
【0039】
図2〜図4に示すように、前板部30の外面における底板部60との境界近傍には、底板部60の一部を覆うようにして設置された摘み部35が突設されている。また、前板部30と天板部50との境界には、本体部10の内部に向かって凹むように形成された溝12が設けられている。本体部10は、以上のように構成されていることによって、図3及び図4に示すように、摘み部35に指を引っ掛けると共に、前板部30を本体部10の外側に向かって引っ張ることによって、前板部30が溝15を支点として外側に向かって開放されるようになっている。
【0040】
図1、及び図3〜図5に示すように、天板部50には、衛生薄葉紙の取出口55が、本体部10の内部に貫通するように設けられている。取出口55は、楕円形とされており、角のない形状とされている。
【0041】
図1、図3、及び図4に示すように、背板部40には、一対の粘着テープ90が貼り付けられている。これらの粘着テープ90は、それぞれ左右方向に沿って延在しており、相互が上下に離間するよう設置されている。
【0042】
図1〜図6に示すように、背板部40の外面は、本体部10の内部側に向かって緩やかなカーブを描くように凹んでおり、それと共に、背板部右端縁41、背板部左端縁42、背板部上端縁43、及び背板部下端縁44は、本体部10の内部側に向かって凹むよう湾曲している。
【0043】
背板部右端縁41及び背板部左端縁42の曲率半径は、100〜200mmとされており、背板部上端縁43及び背板部下端縁44の曲率半径は、600〜1200mmとされている。
【0044】
図3及び図4に示すように、本体部10の内部には、衛生薄葉紙Pを載置可能な支持板70が、取出口55と平行に正対するよう設置されている。この支持板70は、前板部30と底板部60との境界のすぐ下側から、後側に向かって延在するよう配置されており、本体部10の内部空間を上下に2つに分離している。
【0045】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の使用形態について説明する。
以上のように構成された本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図3に示すように、本体部10内部に、衛生薄葉紙Pを二つ折りにして折返し縁を重ねた衛生薄葉紙束が収納された状態で使用される。衛生薄葉紙束は支持板70上に載置されて収納され、衛生薄葉紙Pは、一枚ごとに取出口55からつまみ出されるようになっている。
【0046】
図7〜図9に示すように、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、背板部40に設けられた一対の粘着テープ90を洋式便器100の側面に貼り付けることで取り付けられる。衛生薄葉紙収納容器は、取出口55が上方を向くようにして、洋式便器100に取り付けられる。具体的には、洋式便器100の側面における便座101の近傍であり、且つ、洋式便器100に座した使用者の大腿のサイドである位置に取り付けられる。
【0047】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の作用効果を説明する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器では、本体部10が、一対の粘着テープ90によって取出口55が上方を向き、且つ、背板部40が洋式便器100の側面に対向するように、固定可能とされている。
【0048】
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器によれば、図7〜図9に示すように、本体部10は、洋式便器100に座した使用者の大腿のサイドに位置するように、洋式便器100に対して取り付けることによって、使用者が腰や腕を伸縮させなくとも本体部10に収容された衛生薄葉紙Pを取出すことが可能となる。
【0049】
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、トイレ室内の壁面や床面などの設置場所を必要とせず、しかも、洋式便器100に取り付け可能であるため、既設の洋式トイレ室内に設置可能である。
【0050】
一般的な洋式便器100の側面は、外側に向かって膨らむような形状を成している。そこで、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器のように、本体部10の固定時に洋式便器100の側面に対向する背板部40は、本体部10の内部側に向かって凹んでいることによって、好適な固定形態をとることができる。
【0051】
背板部右端縁41及び背板部左端縁42の曲率半径は、100〜200mmとされており、この曲率半径の範囲は、一般的な洋式便器を正面から見た断面における外側の縁部の曲率半径に対応している。そのため、本体部10を、取出口55が上方を向くように洋式便器100の側面に取り付けた際に、背板部右端縁41及び背板部左端縁42の形状が、洋式便器100の側面の形状に合うため、本体部10を確実に固定することができる。なお、背板部右端縁41及び背板部左端縁42の曲率半径は、取り付けられる洋式便器の形状によって適宜変更されることが好ましい。
【0052】
背板部上端縁43及び背板部下端縁44の曲率半径は600〜1200mmとされている。この曲率半径の範囲は、一般的な洋式便器を上方から見た断面における外側の縁部の曲率半径に対応している。そのため、本体部10を、取出口55が上方を向くように洋式便器100の側面に取り付けた際に、背板部上端縁43及び背板部下端縁44の形状が、洋式便器100の側面の形状に合うため、本体部10を確実に固定することができる。なお、背板部上端縁43及び背板部下端縁44の曲率半径は、取り付けられる洋式便器の形状によって適宜変更されることが好ましい。
【0053】
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器のように、本体部10内部に衛生薄葉紙Pを載置可能な支持板70を、取出口55と正対するよう設置することで、衛生薄葉紙Pを積み重ねて成る衛生用紙束が、本体部10内部で崩れてしまうことがない。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る衛生薄葉紙収納容器の第2実施形態について、図10〜図12を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と同一の部材に関しては、説明を省略する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図10〜図12に示すように、背板部右端縁41及び背板部左端縁42は、本体部10の内部側に向かって湾曲しているのではなく、上下中央近傍で本体部10内部側に向かってV字状に凹むよう折れ曲がっている。なお、図11に示すように、背板部右端縁41及び背板部左端縁42の折れ曲がり角度θは、155〜170度とされている。
【0055】
背板部40における折れ曲がり部分よりも上側の部分には、ジグ91が一対設けられている。これらのジグ91は、左右両側にそれぞれ設置されている。また、これらのジグ91は、コ字状に形成されており、洋式便器の縁111に引っ掛けられるようになっている。
【0056】
図11に示すように、支持板70は、背板部40の内面及び前板部30の内面からそれぞれ本体部10の内部側に向かって延出する一対のレール部18上に載置されている。これらのレール部18は、本体部10の内部において、左右方向に沿って延在している。支持板70は、レール部18上に固定されておらず、左右方向に沿ってレール部18上を滑って移動することが可能となっている。
【0057】
図10〜図12に示すように、右側の側板部20は、本体部10から取り外しできるようになっている。また、それと共に、右側の側板部20の内面と支持板70の右側端縁とは接続されている。このことによって、図12に示すように、右側の側板部20を本体部10から取り外すと、それに伴って支持板70が、本体部10から引き出されるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態においては、右側の側板部20が本体部10から取り外し可能となっているが、右側の側板部20ではなく、左側の側板部20が本体部10から取り外し可能となっていても良い。左側の側板部20が本体部10から取り外し可能となっている場合、支持板70の左側端縁と左側の側板部20の内面とが接続される。
【0059】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の使用形態について説明する。
以上のように構成された本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図13及び図14に示すように、取出口55が上方を向くように、洋式便器110の縁111に一対のジグ91を引っ掛けることで設置される。
【0060】
次に、本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器の作用効果を説明する。
本実施形態に係る衛生薄葉紙収納容器は、図14に示すような、上側の縁111が鍔状に突出しているタイプの洋式便器110に適している。背板部右端縁41及び背板部左端縁42が、本体部10の内部側に向かってV字状に凹んでいることによって、縁111と縁111よりも下側の部分両方に背板部40が接触するように固定することができる。
【0061】
〔その他の実施形態〕
なお、固定部材は、粘着テープ90、ジグ91の他、粘着剤を背板部40に塗布したり、背板部40に吸盤を設置することで構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る衛生薄葉紙収納容器は、便器に取り付け可能とされた衛生薄葉紙収納容器として利用できる。
【符号の説明】
【0063】
10・・・本体部
11・・・切り込み
12・・・溝
20・・・側板部
30・・・前板部
35・・・摘み部
40・・・背板部
41・・・背板部右端縁
42・・・背板部左端縁
43・・・背板部上端縁
44・・・背板部下端縁
50・・・天板部
55・・・取出口
60・・・底板部
70・・・支持板
90・・・粘着テープ(固定部材)
91・・・ジグ
100・・・洋式便器
101・・・便座
111・・・洋式便器の縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に衛生薄葉紙を収納可能であり、洋式便器の側面に固定可能とされた衛生薄葉紙収納容器であって、
相互に対向して設置された左右一対の側板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部及び背板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部及び底板部と、天板部に設けられた衛生薄葉紙の取出口と、を有する本体部と、
取出口が上方を向き、且つ、背板部が洋式便器の側面に対向するように、本体部を洋式便器の側面に固定可能とする固定部材と、を備えており、
背板部の外面は、本体部の内部側に向かって凹んでいる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙収納容器。
【請求項2】
背板部上端縁又は背板部下端縁の少なくともいずれか一方は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項3】
背板部上端縁及び背板部下端縁の曲率半径が、600〜1200mmとされている、請求項2に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項4】
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項5】
背板部右端縁及び背板部左端縁の曲率半径が、100〜200mmとされている、請求項4に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項6】
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項7】
本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる背板部の右端縁又は左端縁における凹みの角度が、155〜170度とされている、請求項6に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項8】
本体部内部には、衛生薄葉紙を載置可能な支持板が、取出口と正対するよう設置されている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項9】
一対の側板部の少なくともいずれか一方が、取り外し可能とされており、支持板が、側板部の対向方向に沿って外側に引き出し可能とされている、請求項8に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項10】
前板部の一部又は全部が、本体部の内部が露出するよう開放可能とされている、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項11】
固定部材が、背板部外面に設置された粘着剤、粘着テープ、又は吸盤のいずれかである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項12】
固定部材が、便器の縁に引っ掛け可能なジグである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項1】
内部に衛生薄葉紙を収納可能であり、洋式便器の側面に固定可能とされた衛生薄葉紙収納容器であって、
相互に対向して設置された左右一対の側板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ前後に対向して設置された前板部及び背板部と、一対の側板部に挟まれ、且つ上下に対向して設置された天板部及び底板部と、天板部に設けられた衛生薄葉紙の取出口と、を有する本体部と、
取出口が上方を向き、且つ、背板部が洋式便器の側面に対向するように、本体部を洋式便器の側面に固定可能とする固定部材と、を備えており、
背板部の外面は、本体部の内部側に向かって凹んでいる、
ことを特徴とする衛生薄葉紙収納容器。
【請求項2】
背板部上端縁又は背板部下端縁の少なくともいずれか一方は、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項3】
背板部上端縁及び背板部下端縁の曲率半径が、600〜1200mmとされている、請求項2に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項4】
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かって凹むよう湾曲している、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項5】
背板部右端縁及び背板部左端縁の曲率半径が、100〜200mmとされている、請求項4に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項6】
背板部右端縁及び背板部左端縁が、本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項7】
本体部の内部側に向かってV字状に凹んでいる背板部の右端縁又は左端縁における凹みの角度が、155〜170度とされている、請求項6に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項8】
本体部内部には、衛生薄葉紙を載置可能な支持板が、取出口と正対するよう設置されている、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項9】
一対の側板部の少なくともいずれか一方が、取り外し可能とされており、支持板が、側板部の対向方向に沿って外側に引き出し可能とされている、請求項8に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項10】
前板部の一部又は全部が、本体部の内部が露出するよう開放可能とされている、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項11】
固定部材が、背板部外面に設置された粘着剤、粘着テープ、又は吸盤のいずれかである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【請求項12】
固定部材が、便器の縁に引っ掛け可能なジグである、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙収納容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−194040(P2010−194040A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40996(P2009−40996)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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