衝撃及び/又は振動吸収材料並びにそれを使用した保護用品
【課題】衝撃及び/又は振動吸収性を向上させる。
【解決手段】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料5は、可撓性高分子材料から構成され、複数の孔20を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層10と、前記第1の材料層よりも硬い材料から構成され、複数の孔25を有する第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層15とを備え、第1の材料層10の孔20が第2の材料層15の孔25に対してオフセットするように前記両材料層を互いに適切に重ね合わせる。衝撃及び/又は振動吸収材料5が衝撃力を受けたとき、第1の材料層10の一部が、第2の材料層15の孔25内に撓む。
【解決手段】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料5は、可撓性高分子材料から構成され、複数の孔20を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層10と、前記第1の材料層よりも硬い材料から構成され、複数の孔25を有する第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層15とを備え、第1の材料層10の孔20が第2の材料層15の孔25に対してオフセットするように前記両材料層を互いに適切に重ね合わせる。衝撃及び/又は振動吸収材料5が衝撃力を受けたとき、第1の材料層10の一部が、第2の材料層15の孔25内に撓む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃及び/又は振動吸収材料、並びに、それを備えた様々な衝撃及び/又は振動保護用品に関する。また、前記材料の衝撃力吸収特性の測定に適した試験装置も開示する。
【背景技術】
【0002】
人体が繰り返し衝撃及び/又は振動に暴露されることは周知の問題である。このような暴露は、仕事及び娯楽の両方を含む様々な状況で起こる可能性がある。
【0003】
例えば、人体が振動に長期間曝露されると、血管障害、神経障害及び骨格系障害を引き起こす可能性があることが知られている。振動源は、一般に、例えば手持ち振動工具などの何らかの機械装置である。手持ち振動工具から曝露される場合、障害は、通常は身体の上肢に例えば手根管症候群の形態で現れる。
【0004】
同様の問題は、手で物体に衝撃を繰り返し加える場合にも生じる。そのような状況は数多くあり、特に、職業的な状況では、人の手が物体に衝撃を与える道具として効果的に使用される。例えば、ある自動車製造作業では、締め具を取り付けるのに又はある組立部品を他の組立部品に取り付けるのに、手が頻繁に使用される。このような状況では、手を衝撃関連の負傷から保護しつつ、手で生成した衝撃力を物体に可能な限り伝達させることが望ましい。
【0005】
また、例えば産業車両の座席から伝播される全身振動も問題である。例えば、大型の土木機械から通常使用されるフォークリフト及びけん引車までの様々な車両は、全身振動を伝達する。全身振動は、通常は、特定の手足にではなく、背骨系に傷害を引き起こす。
【0006】
また、スポーツをする際は、人体又はその特定部分は、望ましくない衝撃及び/又は振動に暴露される。例えば、あるラケット・スポーツに長期間参加すると、同様の問題が生じることが知られている。興味深いことに、自転車乗り(又はオートバイ乗り)は、自転車(又はオートバイ)のハンドルバーから手の神経に持続的に加わる圧力、並びに、前記ハンドルバーから伝達される衝撃及び振動に起因して、同様の問題が生じることが知られている。また、歩行、ランニング、ハイキング、登山又は他の活動をする際は、靴から足に、衝撃及び振動が伝達される。
【0007】
上述した問題に対処するために、様々な種類の保護用品が作り出された。特に興味深いのは、手持ち動力(振動)工具などの装置を使用する場合、又は手を衝撃生成手段として使用する場合に、手に伝達される衝撃及び/又は振動力の大きさを減少させるように設計された手袋である。また、上述した問題に対処するために、例えば、靴底や靴中敷などの他の保護用品も開発された。これらの保護用品は、様々な材料組成、様々な気泡、及び/又は、様々な他の衝撃及び/又振動伝達を減少させるための設計又は技術を使用することが可能である。
【0008】
しかし、本願出願人は、少なくとも手の保護に関しては、従来の製品は依然としてかなりの量の衝撃及び/又は振動を着用者の手に伝達することを発見した。したがって、手をより良く保護するために、衝撃及び/又は振動吸収性を向上させることが強く求められている。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料、及びそれから作成された衝撃保護手袋は、衝撃及び/又は振動吸収性を向上させることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、様々な保護具及び衣服(用品)(特に手袋)に使用することができる衝撃及び/又は振動吸収材料を提供する。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、保護手袋への使用に特に適しているが、当然のことながら、前記材料は、様々な他の用品に使用することが可能である。前記他の用品としては、例えば、靴底、靴の中敷き、スポーツ用品、座席クッション、ヘッドレスト、並びに、様々な他の身体保護用品及び衣類などがある。また、当然のことながら、ここで使用される「保護用品」という用語は、衝撃及び/又は振動による負傷を減少又は除去するように特別に設計された用品のみを意味するのではなく、衝撃及び/又は振動への暴露をより快適にする用品も意味する。
【0010】
本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、1つ又は複数の材料の層状構成体から構成されることが好ましい。例えば、そのような2層材料(two layer material)としては、可撓性高分子材料の第1の層と、前記第1の層に隣接する、クローズドセル型フォーム材料(closed-cell foam material)の第2の層がある。他の実施形態では、可撓性高分子材料の第1の層は、特殊な気泡材料(bubble pack material)の第2の層と併用される。別の実施形態では、他の材料の組み合わせを使用することができる。しかし、少なくともある実施形態では、第1の層を形成する材料の硬さは、第2の層を形成する材料の硬さよりも低いことが好ましい。
【0011】
衝撃及び/又は振動吸収材料の作成に使用された材料の種類にかかわらず、少なくとも1つの層、好ましくは全ての層に、複数の孔が形成される。例えば、上述した、ポリマー/クローズドセル型フォーム構成体では、各材料層に複数の孔が形成される。孔のサイズ、形状及び数は、様々である。各層の孔は、層を適切に重ね合わせた際に一方の層の孔が他方の層の孔とオフセットするように形成されることが好ましい。2つより多い層を使用する場合は、各層の孔は、隣接する層の孔に対してオフセットするように形成する。前記孔は、各材料を完全に貫通する貫通孔であることが好ましい。
【0012】
孔の使用及び配置により、本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動の吸収能力を向上させることができる。また、材料の適切な選択、及び、貫通孔をオフセットさせることにより、手袋にかかる衝撃力の大きさを増加させることなく、保護手袋をした手から物体へ伝達される衝撃力の大きさを著しく増加させることができる。
【0013】
孔のオフセットして配置することで、材料の撓みを増加させることができる。このことにより、本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動吸収能力は向上する。詳しく説明すると、本発明に係る材料が衝撃及び/又は振動力を受けたとき、孔の存在及びそのオフセット配置により、衝撃領域周辺における前述材料の撓みを大きくすることができる。例えば、本発明に係る2層材料が、衝撃及び/又は振動力を受けた場合、前記力は、一方又は両方の材料の全体的な変形、及び一方又は両方の材料の一部のその層に形成された孔内への撓みだけではなく、内層が当該内層と隣接する外層の孔内へ撓むことによって吸収/消失される。孔をオフセットして配置すると、前記材料が撓むことが可能な開放表面領域が増加するので、吸収性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る材料は、例えば、着用者が衝撃力を物体に伝達させるのに使用する保護手袋などの用品に使用するのに好適である。詳しく説明すると、材料の内層が材料の外層の孔内に撓む能力は、手にかかる衝撃力を大きくすることなく、手で生成された衝撃力を物体により多く伝達させることを可能にする(詳細については後述する)。
【0015】
対照的に、従来の衝撃吸収材料は、このような力吸収(消失)能力を備えていない。従来の材料が例えば衝撃吸収空洞(collapsible cavities)を備えていたとしても、前記衝撃吸収空洞は、本発明に係る材料が備えている衝撃及び/又は振動力を受けたときに隣接する材料層の孔内に撓む能力を有していない。従来の材料は、単に固形材料の伸長/変形によって、又は(空洞が設けられている場合は)材料の空洞内への横方向のみの撓みによって、衝撃及び/又は振動力を消失させるように構成されている。また、上記の理由により、従来の材料を衝撃保護手袋などの用品に使用すると、衝撃力の伝達率を増加させることができない。したがって、以上説明したように、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料、及びそれを使用した様々な用品は、従来の材料及びそれを使用した用品よりも衝撃及び/又は振動の保護/伝達が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料5の一実施形態を、図1及び図2に示す。図1に示すように、材料5は、2つの材料層10、15を含む。第1の(内側の)層10は、高分子材料や高分子ゲルなどの様々な可撓性材料から構成される。適切な材料としては、これらに限定されるものではないが、シリコン、ウレタン、並びに、様々な他のエラストマー及び熱可塑性エラストマーがある。この特定の実施形態では、衝撃及び/又は振動吸収材料5の内側層10は、高分子ゲルから製造される。高分子ゲルは、例えば、Kraton Polymers社からKraton(登録商標)の商標名で市販されているブロック共重合体材料ファミリーなどの、ブロック共重合体材料から構成される。当然のことながら、当業者に周知のように、様々な他の適切な材料も使用可能である。ブロック共重合体材料は、とりわけ、可撓性、柔軟性、変形性、並びに、衝撃及び/又振動吸収性によって、本発明の使用に非常に適すると考えられる。内層には任意の材料を用いることができるが、その材料は自身に粘着する傾向が最小であることが好ましい。
【0017】
第2の(外側の)層15は、様々な材料で構成される。例えばNeoprene(登録商標)などのクローズドセル型フォーム材料が、外側層15の作成に適している。外側層15の作成には、様々な他のゴム、プラスチック、及び/又は高分子材料を使用することができる。どの場合でも、外側層15の材料は、内側層10よりも硬いことが好ましい(その理由については、後述する)。外側層15の作成には、様々な硬い材料(例えば、PVC)を使用することができる。可撓性がより高いクローズドセル型フォーム材料(例えばNeoprene(登録商標))を使用すると、クローズドセル型フォーム材料より硬い材料を用いた場合よりも、前記材料の総体的な衝撃及び振動吸収性を高めることができる。
【0018】
図1及び図2に示すように、第1の層10及び第2の層15のそれぞれは、複数の孔20、25を有している。図2に示すように、孔20、25は、層10、15を貫通することが好ましい。
【0019】
孔20、25は、実質的にいかなるサイズ及び形状でもよい。孔20、25のサイズ及び形状は、所望する量の衝撃及び/又は振動抵抗を作成するために、必要に応じて変更することができる。サイズ及び形状と同様に、孔20、25の数は、用途に応じて変更することができる。図1及び図2に示すように、孔20、25は、2つの層を互いに適切に重ね合わせたときに、一方の層10の孔が他方の層15の孔からオフセットされるように配置することが好ましい。この例では、孔20、25のオフセットは、一方の層の孔の列が、他方の層の対応する孔の列の間に、実質的に等距離になるようにする。しかし、好ましくはあるが、このような配置は、本発明の機能に必要不可欠なものではない。例えば、一方の層の孔列は、隣接する層の孔列間の実質的な中間に位置するのではなく、隣接する層の孔列のどちらかに偏っていてもよい。また、各層の孔は、両層を重ね合わせたときに、少なくとも一部が重複するように配置することもできる。
【0020】
図1では、孔20、25は、実質的に等距離な列として配置されているが、これも随意的なものである。図1に示す孔20、25は、単に説明を簡略化するためのものである。例示的な材料層10、15は様々なサイズ及び形状であり得る。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料組成を、例えば衝撃保護手袋などの特定用途に使用するときは、材料層のサイズ及び形状、並びに、孔のサイズ、形状、数、及び孔の配置は、両方とも用途に応じて変更することができる。
【0021】
図3は、本発明の他の実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料30を示す。この実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料30は、図1及び2に示した材料5と同様である。この実施形態では、伸縮性繊維の薄層45が、内側及び外側層35、40の露出した主表面35a、40aの一方又は両方を覆っている。伸縮性繊維45は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を、保護用品(例えば、手袋)へ取り付けるのを容易にする。伸縮性繊維45は、当該繊維が、材料層35、40の両方の変形能力及び/又は、衝撃及び/又は振動吸収能力を妨げないように選択される。使用可能な伸縮性繊維としては、これらに限定されるものではないが、様々な伸縮性ナイロン及びNeoprene(登録商標)繊維、並びに、例えばLycra(登録商標)などのスパンデックス型材料が挙げられる。数多くの他の伸縮性繊維を、このように使用することができる。本発明で伸縮性繊維を使用する際は、衝撃及び/又は振動吸収材料層の孔が前記繊維を貫通するようにする(図3に示すように)、或いは前記繊維に孔を形成する。この実施形態の変形例(図示せず)では、前記繊維は、各層35、40の隣接した主平面35a、45bをも覆う。
【0022】
図4は、本発明のさらなる他の実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165を示す。この実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165も、図1及び2に示した材料5と同様である。この実施形態では、図1及び2に示した材料5の第2の層15は、複数の膨らんだエアポケット175を有する気泡材料170に置き換えられている。
【0023】
図1〜3に示した対応する材料層と同様に、気泡材料170には複数の孔180が設けられている。孔180は、気泡材料170を完全に貫通することが好ましい。さらに、孔180は、実質的にいかなるサイズ及び大きさであってもよい。そして、孔180のサイズ及び形状は、所望する量の衝撃及び/又は振動抵抗を作成するために、必要に応じて変更することができる。孔のサイズ及び形状と同様に、作成される孔180の数は、用途に応じて変更することができる。
【0024】
図4に示すように、2つの層を互いに適切に重ね合わせた際に、気泡材料層170の孔180が、高分子層10の孔に対してオフセットすることが好ましい。この実施形態では、孔20、180のオフセットは、一方の層の孔の列が、他方の層の対応する孔の列の間に、実質的に等距離となるようにする。しかし、好ましくはあるが、このような配置は、本発明の機能に必要不可欠なものではない。例えば、図1及び2を参照しつつ説明したように、孔の配置はそれ以外でもかまわない。
【0025】
この実施形態では、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165は、事実上、図1〜3に示した衝撃及び/又は振動吸収材料5、30が使用される用途のすべてに使用することができる。しかし、本発明のこの実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165は、振動吸収が最も重要な用途に、特に好適である。
【0026】
図6は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた衝撃保護手袋50を示す。この保護手袋50は、手Hの4本指それぞれの一部を露出させるようにデザインされており、親指は保護していない。しかし、この手袋50は、説明の目的のためにのみ提示したものであり、本発明の範囲を上記デザインに限定するものではない。当業者であれば、様々な手袋のデザインが本発明の範囲に含まれることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明に係る衝撃保護手袋は、指があってもなくてもよい。また、本発明に係る手袋の本体部分(shell)は、例えば、革、ビニル、繊維、複合材料、様々な材料、及び/又は、手袋が現在製造される又は将来製造され得る事実上すべての種類の材料から作成することができる。
【0027】
図6に示した手袋50には、図5にその全体が示される本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収挿入体(insert)60が取り付けられる。挿入体60は、例えば図1乃至図4に示した材料と同一又は同様の衝撃及び/又は振動吸収材料70から構成される。あるいは、挿入体60は、図示しない本発明に係る他の衝撃及び/又は振動吸収材料から構成することもできる。
【0028】
図5に示すように、この衝撃及び/又は振動吸収挿入体60は、図6に示した保護手袋50の本体部分(shell)55に取り付け可能な形状に形成されており、手Hの一部のみを覆う。当然のことながら、挿入体のサイズ及び形状は、使用する手袋本体に合わせて様々に変更可能である。
【0029】
図5及び6に示したような挿入体60では、衝撃及び/又は振動吸収材料70の孔65は、前述したように、オフセットパターンで作成され、材料中に実質的に均一に分布される。あるいは、孔65を非均一に分布させることも可能である。例えば、挿入体60のある領域における孔のサイズ及び/又は密度を異ならせることで、手Hの対応する領域に伝達される衝撃及び/又は振動の量を変更することができる。また、挿入体60の特定の領域は、孔を設けないようにデザイン及び構成することが望ましい及び可能である。
【0030】
図5及び6では、挿入体60は、1つの構成要素からなる構造体として示されているが、前記挿入体は、複数の構成要素から構成することもできる。例えば、図示しないが、挿入体は、手の平を保護する部分、及び、個々の指を保護する部分を含むこともできる。前記挿入体は、指あり手袋に用いる場合に、特に好適である。さらに、図6の手袋50では、挿入体60が手の平の側に取り付けられた状態のみを示しているが、手Hの甲の部分を保護するために、挿入体を手の甲の部分に取り付けることもできる。
【0031】
挿入体は、例えば、縫合、接着又は当該技術分野で周知の他の方法によって、手袋50に恒久的に取り付けられる。さらに、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の作成に好適な材料のいくつかは、さらなる保持手段を不要とするのに十分な、手袋本体55への接着性を示す。挿入体は、手袋本体55の内部、手袋本体内のポケット、手袋本体の層の間に、又は手袋本体の外部に取り付けることができる。
【0032】
他の実施形態では、前記挿入体は、例えば、スナップ、面ファスナー(例えば、Velcro(登録商標))、又は他の同様の締結機構によって、手袋50に着脱自在に取り付けられる。さらなる別の実施形態では、前記挿入体は、手袋本体55の内部に設けられたポケットの中に挿入される。図3に示した衝撃及び/又は振動吸収材料の実施形態は、伸縮性繊維外層45が挿入体のポケットの材料への粘着を防止することにより、挿入体のポケットへの挿入を容易にすることができるので、後述する衝撃保護手袋に特に適している。
【0033】
上述した本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の衝撃力を変換する能力について、図7、図8a、図8bを参照しつつ説明する。図7は、図5に示した衝撃保護手袋50を着用者の手Hに装着した状態を示している。図7では、手袋をした手Hが移動しており、他の物体95に衝突する直前の状態を示している。物体95は、実質的にいかなる物体でもよく、例えば、自動車用の組立部品であり得る。
【0034】
図7に示すように、手袋をした手Hは、物体95に向かって右側から左側へ移動し、物体95に対して衝撃力Fを加える。製造工程では、この過程は、毎日回数多く繰り返えされるので、手が受ける衝撃力を最小化するだけではなく、手袋をした手Hから物体95へできるだけ多くの衝撃力を伝達させることが望ましい。より詳しくは、従来の保護手袋は、使用中に着用者の手に少なくともいくらかの衝撃保護を提供する。しかし、従来の手袋では、通常は、物体に伝達される衝撃力が手で実際に発生した衝撃力よりもずっと少なくなるように、手袋の中に設けられた緩衝材が衝撃エネルギの向きを変える。したがって、ある過程の実施中に手から物体に所定量の力を加える必要がある場合は、前記した従来の手袋を使用すると、着用者は衝撃エネルギを増加させなければならない(通常は、手の速度を増加させることによって衝撃エネルギを増加させる)。このことは、手が受ける衝撃力の大きさを最小化するためには、明らかに逆効果である。
【0035】
上記の従来の材料とは異なる本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた手袋50は、手が受ける衝撃及び/又は振動力の大きさを最小化すると同時に、手Hから物体95へ伝達される衝撃エネルギを最大化することが可能である。図8aは、物体95と衝突する前の、手袋50の衝撃及び/又は振動吸収材料挿入体60の部分拡大図である。図8aに示すように、挿入体60を形成する衝撃及び/又は振動吸収材料70は、内層75と外層80とから構成される。内層75及び外層80は、互いにオフセットした孔85、90を有する。この特定の実施形態では、挿入体60は、手袋本体55の内層55aと中間層55bとの間に設けられたポケットの中に存在する。
【0036】
図8bは、手袋をした手Hが物体95と衝突したとき又は衝突した直後の、挿入体60の衝撃及び/又は振動吸収材料の状態を示す。図8bに示すように、衝撃力Fは、内層75の全体的な変形、及び/又内層75の一部の孔85への撓みによって、最初は前記材料70の内層75によって消散(吸収)される。外層80を衝撃及び/又は振動吸収材料から形成した場合は、外層は内層と同様に衝撃及び/又は振動の吸収に貢献する。この吸収/消散機構は、通常は、衝撃及び/又は振動エネルギの向きを、手の周囲又は手から離れる方向に変える。
【0037】
衝撃及び/又は振動吸収材料70の強化された衝撃力変換能力を、図8bに見ることができる。この例に示すように、手袋50をした手Hが物体95と衝突したとき、手袋本体55の内層55aは、それとともに接触する。物体95は、手Hの前進運動を、実質的に停止させる。しかし、内層75の可撓性/変形性によって、前記前進運動に関連するエネルギ、及び手Hが物体95と衝突したときに発生する衝撃力Fは、内層75の少なくとも一部のさらなる前進運動を引き起こす。外層80に形成された孔90は、内層75の一部の前方へ撓んだ部分を受容することにより、この前進移動を容易にする。衝突時における内層75の外層80に形成された孔90への前方撓みによって、物体95へ伝達される衝撃力の大きさは、公知の衝撃及び/又は振動吸収材料よりも大きくなる。この前方への力伝達は、手Hに実際に伝達される衝撃力の大きさの最小化と同時に行われる。衝撃力Fが消散すると、内側の材料層75は、外側層85に形成された孔90から脱離する。
【0038】
図8bの例示的な説明では、前記材料の作用機構をより明確に説明するために、衝撃力が材料を変形させる領域は著しく小さくされていることに留意されたい。より詳しくは、衝撃力Fが、実質的に1ヶ所で発生するように示されているが、実際には、衝撃力Fはより広い領域に分布される。したがって、実際には、材料層75、80の変形、並びに、内側材料層75の外側材料層80に形成された孔90への前方撓みは、より広い範囲で生じる。また、当然のことながら、材料層75、80の全体的な変形、及び、内側層75の外側層80に形成された孔90への前方撓みの大きさは、生成された衝撃力の大きさに関係している。また、当然のことながら、明瞭にするために図8bでは示さなかったが、同様に、十分な大きさの衝撃力Fは、外側材料層85の形状を変形させ得る。
【0039】
本発明によれば、様々な他の衝撃及び/又は振動保護用品が可能である。例えば、衝撃及び/又は振動吸収材料190を備えた靴185の一実施形態を図9aに示す。この靴185は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料190が、着用者の足が地面と衝突した際に生じた衝撃の少なくとも一部を吸収するようにデザインされている。図示するように、靴185の靴底195には、所定の量の衝撃及び/又は振動吸収材料190が存在している。また一方、その全体又は一部が衝撃及び/又は振動吸収材料から構成された中敷200を使用することも可能である。中敷200は、衝撃及び/又は振動吸収靴底195とともに、又はその代わりに使用される。
【0040】
例示的な肘当て205及び膝当て220をそれぞれ、図10及び図11に示す。本発明に係る肘当て及び/又は膝当ては、様々な形状、サイズ及びデザインであり得え、一般に、様々な材料から構成される。しかし、衝撃及び/又は振動吸収材料210、225の少なくとも一部が存在し、着用者の肘又は膝が地面又は他の物体と接触した際の衝撃をより効率的に吸収できるように配置されることが好ましい。図示するように、衝撃及び/又は振動吸収材料210、225は、他の材料(例えば、プラスチック又はゴム材料)の1つ又は複数の層の下側又は内側に配置される。肘当て205の場合は、衝撃及び/又は振動吸収材料210は、半硬質肘当て215の下側又は内側に配置される。膝当て220の場合は、衝撃及び/又は振動吸収材料225は、繊維ポケット230の下側又は内側に配置される。また、前記衝撃及び/又は振動吸収材料は、肘当て及び/又は膝当ての内側又は外側表面に、直接的に取り付けられる。
【0041】
図12は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収保護用品である野球グローブ235のさらなる別の実施形態を示す。図12に示す野球グローブ235は、キャッチャーミットである。しかし、当業者であれば、キャッチャーミットは前記グローブの一例にすぎず、参加者の手がボールやパックなどの衝撃力を受ける事実上すべてのスポーツに使用されるグローブが本発明の範囲に含まれることを理解できるであろう。
【0042】
図示するように、野球グローブ235は、ボールを捕るポケット245を規定する拡大された外周である、良く知られている革製シェル240を備えている。ポケット245の内側では、着用者の手は通常は大きな衝撃力を受けるので、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料250はグローブ235のこの領域に配置される。衝撃及び/又は振動吸収材料250は、ポケット240を完全に又は部分的に覆う。また、例えば、着用者の指をより完全に覆うために、衝撃及び/又は振動吸収材料250を、グローブ235の他の領域に延在させることもできる。他の種類の野球グローブでも、衝撃及び/又は振動吸収材料を、例えば手の甲などの、着用者の手の保護に最善の場所に配置することができる。
【0043】
また、本発明は、衝撃以外にも、振動の用途に関連する保護用品にも適用される。例えば、図13は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料260を備える座席クッション255を示す。この座席クッション255は、例えば、車両のシートを経由してユーザーへ伝達される振動を減少又は除去するのに、特に好適である。そのような車両としては、例えば、重機、フォークリフト、及び他の産業機械などがある。
【0044】
前記座席クッションには、様々な本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を使用することが可能であるが、図4の衝撃及び/又は振動吸収材料165又はそれと同様の変形物が特に適していると考えられる。すなわち、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料のそのような変形物は、振動吸収を増大させることができる。前記衝撃及び/又は振動吸収材料はどれも、単独で又は他のクッション材料と共に使用される。前記衝撃及び/又は振動吸収材料は、特定の形状を提供するために、及び/又は汚れにくさ又は他の有益な特性を提供するために、例えばビニールカバーなどのカバー265の内部に配置される。他の実施形態では、前記衝撃及び/又は振動吸収材料は、前記カバーの全体又は一部を形成する。
【0045】
靴185、肘当て205、膝当て220、野球グローブ235、及び座席クッション255は、説明目的だけのためのものであり、これらの例示的な実施形態は、本発明の範囲を特定のデザインに限定するものではない。当業者には容易に理解できるであろうが、本発明の範囲に含まれる類似したデザインは多数ある。例えば、靴185は、運動靴、礼装用の靴、又は作業靴であり得る。また、膝当て及び/又は膝当て205、220は、フットボール、ホッケー、ラクロス、スケート、スケートボード若しくは他のスポーツ用に、又は、産業的用途などの他の用途用にデザインされたものであり得る。野球グローブ235は、野球、ソフトボール、ラクロス、ゴルフ、又は着用者の手が移動物体から受ける衝撃を和らげることが求められる他のスポーツ用にデザインされたものであり得る。座席クッション255は、娯楽時(例えばスポーツ行事)の使用、産業的な使用(例えば車工業設備)、又は他の使用のためにデザインされたものであり得る。
【0046】
さらに、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を使用して、バイク用手袋を作成することもできる。バイク用手袋の指なしタイプは、図6に示した。また、特に図示しないが、バイク用手袋は、指ありタイプでももちろん構わない。いずれにしても、そのようなグローブは、通常は、様々な材料から構成される本体部分(shell)を備えている。前記様々な材料としては、例えば、革、ビニル、繊維、様々な複合材料、及び/又は、グローブが現在製造される又は将来製造され得る事実上すべての材料などがある。
【0047】
衝撃及び/又は振動吸収材料は、特定の使用目的に応じて、本発明に係るバイク用手袋の様々な位置に配置することができる。例えば、衝撃及び/又は振動吸収材料は、手の平に沿って、指の前面に、又は手の甲の沿った任意の位置(指及び指関節の裏側を含む)に配置することができる。また、衝撃及び/又は振動吸収材料の1つ以上の変形物を、手袋の異なる領域に異なる性質を与えるのに使用することができる(例えば、手の平領域の振動吸収性をより高くする)。
【0048】
上述した衝撃及び/又は振動吸収材料はいずれも、様々な方法によって製造し得る。例えば、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、成形法によって製造し得、前記孔はモールドによって作成される。モールドは、衝撃及び/又は振動吸収材料が、例えば、上述した手袋の用途に好ましい、特定の形状又は輪郭を得るようにデザインされる。あるいは、衝撃及び/又は振動吸収材料層のシートは、任意の公知の手段によって作成され得、その後、前記孔は例えば、打ち抜き又は穿孔工程によって作成される。この場合、衝撃及び/又は振動吸収材料層は、成形形状及び輪郭をすでに有し得る、又は、形状は材料シートからパンチ又はスタンプされる。別の実施形態では、孔は、適切な材料層に、ドリル又は穿孔される。この方法は、非効率的だと思われるが、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の共押し出しを可能にする。
【0049】
前述したように、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、様々な用品の製造に役立つ。本発明の衝撃及び/又は振動吸収材料は、特定の用途のために、上述したようにして改変することができる。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は様々な材料から構成することができ、前記材料は事実上すべての組み合わせで使用可能である。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、その使用用途に応じて、実質的にいかなる数の層からでも構成することができる。したがって、本発明は、上述した様々な例示的な衝撃及び/又は振動吸収材料、又は衝撃保護手袋に限定されるものではない。
【0050】
図14〜17に示す試験装置100は、本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動吸収性の測定に特に適している。簡単に言えば、試験装置100は、衝撃を受けて測定するスタンドを備えている。前記スタンドは、衝撃力を試験対象の材料に伝達し、前記材料が吸収する衝撃力の大きさを測定するように構成されている。
【0051】
試験装置100は基部105を備えている。試験装置100を安定した位置に保つために、基部105には重りが付けられる、又は基部105は十分な重量を有する。一対のガイドロッド110が、基部105から上側に延びる。ガイドロッド110は、ロッド間を実質的に平行に保つために、その遠位端110b又はその近傍で結合されることが好ましい。
【0052】
サンプル支持板115は、基部105の上方の少し離れた所に存在する。ガイドロッド110は、サンプル支持板115を貫通する。サンプル支持板115は、サンプル支持板115と基部105との間に延びる複数の圧縮ばね120(ばね定数は既知である)によって、高い位置で支持される。試験装置100のこの実施形態では、圧縮ばね120は、基部105とサンプル支持板115との間の領域で、各ガイドロッド110を巻回する。ただし、この構造は、試験装置の作用に不可欠なものではない。
【0053】
予め定められた既知の質量の重り125は、サンプル支持板115の上面115aに対して、実質的に位置合わせされ平行に配置される。ガイドロッド110は、重り125も貫通する。重り125は、ガイドロッドに沿って摺動可能に構成されている。必要なら、重り125のガイドロッド110の長さ方向に沿った摺動を容易にするために、重り125に形成されたガイドロッド受容孔130に軸受筒Bが設けられる。
【0054】
基部105上及びサンプル支持板115の部分的下方には、力吸収表示機構135が設置される。力吸収表示機構135は、ピボット連結部145によって基部105上に設置された表示アーム140を含む。表示アーム140の表示端部140bには、ポインタ150が設置される。表示アーム140における表示端部140bの反対側の端部は、サンプル支持板115の下方に位置する。表示アーム140は、休止位置で、その非表示端がサンプル支持板115の底面と接するように偏らされる。
【0055】
目盛り155が、基部105上に設置される。目盛り155は、表示アーム140が回動した際に、ポインタ150が目盛り155の前を通過するように配置される。目盛り155の前のポインタ150が観察できるように、拡大鏡160又は同様の拡大機器が基部105上に設置される。
【0056】
試験を実施する際は、重り125を、サンプル支持板115の上方の予め定められた位置まで持ち上げる。放して落下させるまでの間、重り125を持ち上げた位置で保持する保持装置を設置することが望ましい。重り125を持ち上げた後、サンプル支持板115上に材料サンプル(図示せず)を載せる。サンプルを適切な位置に置いた後、重り125を持ち上げた位置から放してガイドロッド110に沿って自由落下させ、サンプル支持板115の上に置いた材料のサンプルと直接衝突させる。
【0057】
重り125の質量、重りの落下距離、及び総ばね率が分っているので、試験される材料の力吸収性を測定することができる。詳しく説明すると、重り125が材料サンプルと衝突したとき、前記材料サンプルを通過した力の全てがサンプル支持板115にかかる。この衝突は、ばね120の圧縮と、サンプル支持板115の下向きへの移動を引き起こす。サンプル支持板115の下向きの移動は、ピボット連結部145を中心にして表示アーム140を回動させ、ポインタ150を基部105から上向きに移動させる。ポインタ150の高さは、目盛り155を観察する(好ましくは拡大鏡を用いて観察する)ことによって測定することができる。
【0058】
総ばね率と、重り225から受ける衝撃力の両方が分るので、サンプル支持板115の偏位を、通過衝撃力の合計と相関させることができる。例えば、図14〜17に示した装置の特定の実施形態では、総ばね率は、688lb/inである。したがって、サンプル支持板115の各1/32インチの偏位は、約21.5lb(すなわち、03125in×688lb/in)の通過衝撃力に相当する。サンプル支持板115の偏位に応じてポインタ150が上昇するので、材料サンプルにかかる力の合計は、目盛り155の前のポインタ150の上昇を観察して、上昇距離に総ばね率を掛けることにより測定することができる。例えば、ばね率が688lb/inの場合、ポインタ150の上昇が0.25inであれば、約172lbの衝撃力に相当する。
【0059】
そして、材料サンプルで吸収される衝撃力の大きさは、重り125から受ける計算上の衝撃力から、観察/測定された材料サンプルにかかる衝撃力を減算することにより決定できる。これらの値の差(計算上の衝撃力と測定された通過衝撃力との差)が、材料サンプルで吸収された衝撃力の大きさとなる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、上記した実施形態は、説明目的のみのためのものであり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更及び変形が可能である。したがって、当業者であれば、ここで説明した例示的な材料の代わりに様々な他の材料を使用できることを理解できるであろう。また、当業者であれば、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、手袋、靴底、及び座席クッション以外の用品にも使用可能なことを理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】2つの材料層を示す平面図である。2つの材料層を互いに重ね合わせることによって、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料が形成される。
【図2】図1の材料層を重ね合わせた状態を示す側断面図である
【図3】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の他の実施形態を示す。この実施形態では、図2で示した各層の露出した主表面が伸縮性繊維で覆われている。
【図4】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料のさらなる他の実施形態を示す。この実施形態では、図1及び2で示した材料層の一方を、特殊な気泡型材料と組み合わせている。
【図5】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収手袋挿入体を示す例示的な平面図である。
【図6】図5に示した手袋挿入体を使用した、本発明に係る衝撃保護手袋を示す図である(手袋は、部分的に切り取られている)。
【図7】図6に示した衝撃保護手袋を着用した手で、他の物体に衝撃を与える状態を示す図である。
【図8a】図6に示した衝撃保護手袋の部分拡大図であり、図7に示した物体と衝突することで生成される衝撃力を受ける前の状態を示す。
【図8b】図8aに示した衝撃保護手袋が、物体と衝突した状態を示す。
【図9a】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた靴を示す。
【図9b】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた靴の中敷きを示す。
【図10】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた肘当てを示す。
【図11】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた膝当てを示す。
【図12】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた野球グローブを示す。
【図13】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えたシートクッションを示す。
【図14】本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動吸収性の測定に特に適した試験装置の正面図である。
【図15】図14に示した試験装置の側面図である。
【図16】前記試験装置の基部付近の拡大正面図である。
【図17】前記試験装置の基部付近の拡大側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃及び/又は振動吸収材料、並びに、それを備えた様々な衝撃及び/又は振動保護用品に関する。また、前記材料の衝撃力吸収特性の測定に適した試験装置も開示する。
【背景技術】
【0002】
人体が繰り返し衝撃及び/又は振動に暴露されることは周知の問題である。このような暴露は、仕事及び娯楽の両方を含む様々な状況で起こる可能性がある。
【0003】
例えば、人体が振動に長期間曝露されると、血管障害、神経障害及び骨格系障害を引き起こす可能性があることが知られている。振動源は、一般に、例えば手持ち振動工具などの何らかの機械装置である。手持ち振動工具から曝露される場合、障害は、通常は身体の上肢に例えば手根管症候群の形態で現れる。
【0004】
同様の問題は、手で物体に衝撃を繰り返し加える場合にも生じる。そのような状況は数多くあり、特に、職業的な状況では、人の手が物体に衝撃を与える道具として効果的に使用される。例えば、ある自動車製造作業では、締め具を取り付けるのに又はある組立部品を他の組立部品に取り付けるのに、手が頻繁に使用される。このような状況では、手を衝撃関連の負傷から保護しつつ、手で生成した衝撃力を物体に可能な限り伝達させることが望ましい。
【0005】
また、例えば産業車両の座席から伝播される全身振動も問題である。例えば、大型の土木機械から通常使用されるフォークリフト及びけん引車までの様々な車両は、全身振動を伝達する。全身振動は、通常は、特定の手足にではなく、背骨系に傷害を引き起こす。
【0006】
また、スポーツをする際は、人体又はその特定部分は、望ましくない衝撃及び/又は振動に暴露される。例えば、あるラケット・スポーツに長期間参加すると、同様の問題が生じることが知られている。興味深いことに、自転車乗り(又はオートバイ乗り)は、自転車(又はオートバイ)のハンドルバーから手の神経に持続的に加わる圧力、並びに、前記ハンドルバーから伝達される衝撃及び振動に起因して、同様の問題が生じることが知られている。また、歩行、ランニング、ハイキング、登山又は他の活動をする際は、靴から足に、衝撃及び振動が伝達される。
【0007】
上述した問題に対処するために、様々な種類の保護用品が作り出された。特に興味深いのは、手持ち動力(振動)工具などの装置を使用する場合、又は手を衝撃生成手段として使用する場合に、手に伝達される衝撃及び/又は振動力の大きさを減少させるように設計された手袋である。また、上述した問題に対処するために、例えば、靴底や靴中敷などの他の保護用品も開発された。これらの保護用品は、様々な材料組成、様々な気泡、及び/又は、様々な他の衝撃及び/又振動伝達を減少させるための設計又は技術を使用することが可能である。
【0008】
しかし、本願出願人は、少なくとも手の保護に関しては、従来の製品は依然としてかなりの量の衝撃及び/又は振動を着用者の手に伝達することを発見した。したがって、手をより良く保護するために、衝撃及び/又は振動吸収性を向上させることが強く求められている。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料、及びそれから作成された衝撃保護手袋は、衝撃及び/又は振動吸収性を向上させることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、様々な保護具及び衣服(用品)(特に手袋)に使用することができる衝撃及び/又は振動吸収材料を提供する。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、保護手袋への使用に特に適しているが、当然のことながら、前記材料は、様々な他の用品に使用することが可能である。前記他の用品としては、例えば、靴底、靴の中敷き、スポーツ用品、座席クッション、ヘッドレスト、並びに、様々な他の身体保護用品及び衣類などがある。また、当然のことながら、ここで使用される「保護用品」という用語は、衝撃及び/又は振動による負傷を減少又は除去するように特別に設計された用品のみを意味するのではなく、衝撃及び/又は振動への暴露をより快適にする用品も意味する。
【0010】
本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、1つ又は複数の材料の層状構成体から構成されることが好ましい。例えば、そのような2層材料(two layer material)としては、可撓性高分子材料の第1の層と、前記第1の層に隣接する、クローズドセル型フォーム材料(closed-cell foam material)の第2の層がある。他の実施形態では、可撓性高分子材料の第1の層は、特殊な気泡材料(bubble pack material)の第2の層と併用される。別の実施形態では、他の材料の組み合わせを使用することができる。しかし、少なくともある実施形態では、第1の層を形成する材料の硬さは、第2の層を形成する材料の硬さよりも低いことが好ましい。
【0011】
衝撃及び/又は振動吸収材料の作成に使用された材料の種類にかかわらず、少なくとも1つの層、好ましくは全ての層に、複数の孔が形成される。例えば、上述した、ポリマー/クローズドセル型フォーム構成体では、各材料層に複数の孔が形成される。孔のサイズ、形状及び数は、様々である。各層の孔は、層を適切に重ね合わせた際に一方の層の孔が他方の層の孔とオフセットするように形成されることが好ましい。2つより多い層を使用する場合は、各層の孔は、隣接する層の孔に対してオフセットするように形成する。前記孔は、各材料を完全に貫通する貫通孔であることが好ましい。
【0012】
孔の使用及び配置により、本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動の吸収能力を向上させることができる。また、材料の適切な選択、及び、貫通孔をオフセットさせることにより、手袋にかかる衝撃力の大きさを増加させることなく、保護手袋をした手から物体へ伝達される衝撃力の大きさを著しく増加させることができる。
【0013】
孔のオフセットして配置することで、材料の撓みを増加させることができる。このことにより、本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動吸収能力は向上する。詳しく説明すると、本発明に係る材料が衝撃及び/又は振動力を受けたとき、孔の存在及びそのオフセット配置により、衝撃領域周辺における前述材料の撓みを大きくすることができる。例えば、本発明に係る2層材料が、衝撃及び/又は振動力を受けた場合、前記力は、一方又は両方の材料の全体的な変形、及び一方又は両方の材料の一部のその層に形成された孔内への撓みだけではなく、内層が当該内層と隣接する外層の孔内へ撓むことによって吸収/消失される。孔をオフセットして配置すると、前記材料が撓むことが可能な開放表面領域が増加するので、吸収性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る材料は、例えば、着用者が衝撃力を物体に伝達させるのに使用する保護手袋などの用品に使用するのに好適である。詳しく説明すると、材料の内層が材料の外層の孔内に撓む能力は、手にかかる衝撃力を大きくすることなく、手で生成された衝撃力を物体により多く伝達させることを可能にする(詳細については後述する)。
【0015】
対照的に、従来の衝撃吸収材料は、このような力吸収(消失)能力を備えていない。従来の材料が例えば衝撃吸収空洞(collapsible cavities)を備えていたとしても、前記衝撃吸収空洞は、本発明に係る材料が備えている衝撃及び/又は振動力を受けたときに隣接する材料層の孔内に撓む能力を有していない。従来の材料は、単に固形材料の伸長/変形によって、又は(空洞が設けられている場合は)材料の空洞内への横方向のみの撓みによって、衝撃及び/又は振動力を消失させるように構成されている。また、上記の理由により、従来の材料を衝撃保護手袋などの用品に使用すると、衝撃力の伝達率を増加させることができない。したがって、以上説明したように、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料、及びそれを使用した様々な用品は、従来の材料及びそれを使用した用品よりも衝撃及び/又は振動の保護/伝達が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料5の一実施形態を、図1及び図2に示す。図1に示すように、材料5は、2つの材料層10、15を含む。第1の(内側の)層10は、高分子材料や高分子ゲルなどの様々な可撓性材料から構成される。適切な材料としては、これらに限定されるものではないが、シリコン、ウレタン、並びに、様々な他のエラストマー及び熱可塑性エラストマーがある。この特定の実施形態では、衝撃及び/又は振動吸収材料5の内側層10は、高分子ゲルから製造される。高分子ゲルは、例えば、Kraton Polymers社からKraton(登録商標)の商標名で市販されているブロック共重合体材料ファミリーなどの、ブロック共重合体材料から構成される。当然のことながら、当業者に周知のように、様々な他の適切な材料も使用可能である。ブロック共重合体材料は、とりわけ、可撓性、柔軟性、変形性、並びに、衝撃及び/又振動吸収性によって、本発明の使用に非常に適すると考えられる。内層には任意の材料を用いることができるが、その材料は自身に粘着する傾向が最小であることが好ましい。
【0017】
第2の(外側の)層15は、様々な材料で構成される。例えばNeoprene(登録商標)などのクローズドセル型フォーム材料が、外側層15の作成に適している。外側層15の作成には、様々な他のゴム、プラスチック、及び/又は高分子材料を使用することができる。どの場合でも、外側層15の材料は、内側層10よりも硬いことが好ましい(その理由については、後述する)。外側層15の作成には、様々な硬い材料(例えば、PVC)を使用することができる。可撓性がより高いクローズドセル型フォーム材料(例えばNeoprene(登録商標))を使用すると、クローズドセル型フォーム材料より硬い材料を用いた場合よりも、前記材料の総体的な衝撃及び振動吸収性を高めることができる。
【0018】
図1及び図2に示すように、第1の層10及び第2の層15のそれぞれは、複数の孔20、25を有している。図2に示すように、孔20、25は、層10、15を貫通することが好ましい。
【0019】
孔20、25は、実質的にいかなるサイズ及び形状でもよい。孔20、25のサイズ及び形状は、所望する量の衝撃及び/又は振動抵抗を作成するために、必要に応じて変更することができる。サイズ及び形状と同様に、孔20、25の数は、用途に応じて変更することができる。図1及び図2に示すように、孔20、25は、2つの層を互いに適切に重ね合わせたときに、一方の層10の孔が他方の層15の孔からオフセットされるように配置することが好ましい。この例では、孔20、25のオフセットは、一方の層の孔の列が、他方の層の対応する孔の列の間に、実質的に等距離になるようにする。しかし、好ましくはあるが、このような配置は、本発明の機能に必要不可欠なものではない。例えば、一方の層の孔列は、隣接する層の孔列間の実質的な中間に位置するのではなく、隣接する層の孔列のどちらかに偏っていてもよい。また、各層の孔は、両層を重ね合わせたときに、少なくとも一部が重複するように配置することもできる。
【0020】
図1では、孔20、25は、実質的に等距離な列として配置されているが、これも随意的なものである。図1に示す孔20、25は、単に説明を簡略化するためのものである。例示的な材料層10、15は様々なサイズ及び形状であり得る。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料組成を、例えば衝撃保護手袋などの特定用途に使用するときは、材料層のサイズ及び形状、並びに、孔のサイズ、形状、数、及び孔の配置は、両方とも用途に応じて変更することができる。
【0021】
図3は、本発明の他の実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料30を示す。この実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料30は、図1及び2に示した材料5と同様である。この実施形態では、伸縮性繊維の薄層45が、内側及び外側層35、40の露出した主表面35a、40aの一方又は両方を覆っている。伸縮性繊維45は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を、保護用品(例えば、手袋)へ取り付けるのを容易にする。伸縮性繊維45は、当該繊維が、材料層35、40の両方の変形能力及び/又は、衝撃及び/又は振動吸収能力を妨げないように選択される。使用可能な伸縮性繊維としては、これらに限定されるものではないが、様々な伸縮性ナイロン及びNeoprene(登録商標)繊維、並びに、例えばLycra(登録商標)などのスパンデックス型材料が挙げられる。数多くの他の伸縮性繊維を、このように使用することができる。本発明で伸縮性繊維を使用する際は、衝撃及び/又は振動吸収材料層の孔が前記繊維を貫通するようにする(図3に示すように)、或いは前記繊維に孔を形成する。この実施形態の変形例(図示せず)では、前記繊維は、各層35、40の隣接した主平面35a、45bをも覆う。
【0022】
図4は、本発明のさらなる他の実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165を示す。この実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165も、図1及び2に示した材料5と同様である。この実施形態では、図1及び2に示した材料5の第2の層15は、複数の膨らんだエアポケット175を有する気泡材料170に置き換えられている。
【0023】
図1〜3に示した対応する材料層と同様に、気泡材料170には複数の孔180が設けられている。孔180は、気泡材料170を完全に貫通することが好ましい。さらに、孔180は、実質的にいかなるサイズ及び大きさであってもよい。そして、孔180のサイズ及び形状は、所望する量の衝撃及び/又は振動抵抗を作成するために、必要に応じて変更することができる。孔のサイズ及び形状と同様に、作成される孔180の数は、用途に応じて変更することができる。
【0024】
図4に示すように、2つの層を互いに適切に重ね合わせた際に、気泡材料層170の孔180が、高分子層10の孔に対してオフセットすることが好ましい。この実施形態では、孔20、180のオフセットは、一方の層の孔の列が、他方の層の対応する孔の列の間に、実質的に等距離となるようにする。しかし、好ましくはあるが、このような配置は、本発明の機能に必要不可欠なものではない。例えば、図1及び2を参照しつつ説明したように、孔の配置はそれ以外でもかまわない。
【0025】
この実施形態では、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165は、事実上、図1〜3に示した衝撃及び/又は振動吸収材料5、30が使用される用途のすべてに使用することができる。しかし、本発明のこの実施形態に係る衝撃及び/又は振動吸収材料165は、振動吸収が最も重要な用途に、特に好適である。
【0026】
図6は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた衝撃保護手袋50を示す。この保護手袋50は、手Hの4本指それぞれの一部を露出させるようにデザインされており、親指は保護していない。しかし、この手袋50は、説明の目的のためにのみ提示したものであり、本発明の範囲を上記デザインに限定するものではない。当業者であれば、様々な手袋のデザインが本発明の範囲に含まれることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明に係る衝撃保護手袋は、指があってもなくてもよい。また、本発明に係る手袋の本体部分(shell)は、例えば、革、ビニル、繊維、複合材料、様々な材料、及び/又は、手袋が現在製造される又は将来製造され得る事実上すべての種類の材料から作成することができる。
【0027】
図6に示した手袋50には、図5にその全体が示される本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収挿入体(insert)60が取り付けられる。挿入体60は、例えば図1乃至図4に示した材料と同一又は同様の衝撃及び/又は振動吸収材料70から構成される。あるいは、挿入体60は、図示しない本発明に係る他の衝撃及び/又は振動吸収材料から構成することもできる。
【0028】
図5に示すように、この衝撃及び/又は振動吸収挿入体60は、図6に示した保護手袋50の本体部分(shell)55に取り付け可能な形状に形成されており、手Hの一部のみを覆う。当然のことながら、挿入体のサイズ及び形状は、使用する手袋本体に合わせて様々に変更可能である。
【0029】
図5及び6に示したような挿入体60では、衝撃及び/又は振動吸収材料70の孔65は、前述したように、オフセットパターンで作成され、材料中に実質的に均一に分布される。あるいは、孔65を非均一に分布させることも可能である。例えば、挿入体60のある領域における孔のサイズ及び/又は密度を異ならせることで、手Hの対応する領域に伝達される衝撃及び/又は振動の量を変更することができる。また、挿入体60の特定の領域は、孔を設けないようにデザイン及び構成することが望ましい及び可能である。
【0030】
図5及び6では、挿入体60は、1つの構成要素からなる構造体として示されているが、前記挿入体は、複数の構成要素から構成することもできる。例えば、図示しないが、挿入体は、手の平を保護する部分、及び、個々の指を保護する部分を含むこともできる。前記挿入体は、指あり手袋に用いる場合に、特に好適である。さらに、図6の手袋50では、挿入体60が手の平の側に取り付けられた状態のみを示しているが、手Hの甲の部分を保護するために、挿入体を手の甲の部分に取り付けることもできる。
【0031】
挿入体は、例えば、縫合、接着又は当該技術分野で周知の他の方法によって、手袋50に恒久的に取り付けられる。さらに、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の作成に好適な材料のいくつかは、さらなる保持手段を不要とするのに十分な、手袋本体55への接着性を示す。挿入体は、手袋本体55の内部、手袋本体内のポケット、手袋本体の層の間に、又は手袋本体の外部に取り付けることができる。
【0032】
他の実施形態では、前記挿入体は、例えば、スナップ、面ファスナー(例えば、Velcro(登録商標))、又は他の同様の締結機構によって、手袋50に着脱自在に取り付けられる。さらなる別の実施形態では、前記挿入体は、手袋本体55の内部に設けられたポケットの中に挿入される。図3に示した衝撃及び/又は振動吸収材料の実施形態は、伸縮性繊維外層45が挿入体のポケットの材料への粘着を防止することにより、挿入体のポケットへの挿入を容易にすることができるので、後述する衝撃保護手袋に特に適している。
【0033】
上述した本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の衝撃力を変換する能力について、図7、図8a、図8bを参照しつつ説明する。図7は、図5に示した衝撃保護手袋50を着用者の手Hに装着した状態を示している。図7では、手袋をした手Hが移動しており、他の物体95に衝突する直前の状態を示している。物体95は、実質的にいかなる物体でもよく、例えば、自動車用の組立部品であり得る。
【0034】
図7に示すように、手袋をした手Hは、物体95に向かって右側から左側へ移動し、物体95に対して衝撃力Fを加える。製造工程では、この過程は、毎日回数多く繰り返えされるので、手が受ける衝撃力を最小化するだけではなく、手袋をした手Hから物体95へできるだけ多くの衝撃力を伝達させることが望ましい。より詳しくは、従来の保護手袋は、使用中に着用者の手に少なくともいくらかの衝撃保護を提供する。しかし、従来の手袋では、通常は、物体に伝達される衝撃力が手で実際に発生した衝撃力よりもずっと少なくなるように、手袋の中に設けられた緩衝材が衝撃エネルギの向きを変える。したがって、ある過程の実施中に手から物体に所定量の力を加える必要がある場合は、前記した従来の手袋を使用すると、着用者は衝撃エネルギを増加させなければならない(通常は、手の速度を増加させることによって衝撃エネルギを増加させる)。このことは、手が受ける衝撃力の大きさを最小化するためには、明らかに逆効果である。
【0035】
上記の従来の材料とは異なる本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた手袋50は、手が受ける衝撃及び/又は振動力の大きさを最小化すると同時に、手Hから物体95へ伝達される衝撃エネルギを最大化することが可能である。図8aは、物体95と衝突する前の、手袋50の衝撃及び/又は振動吸収材料挿入体60の部分拡大図である。図8aに示すように、挿入体60を形成する衝撃及び/又は振動吸収材料70は、内層75と外層80とから構成される。内層75及び外層80は、互いにオフセットした孔85、90を有する。この特定の実施形態では、挿入体60は、手袋本体55の内層55aと中間層55bとの間に設けられたポケットの中に存在する。
【0036】
図8bは、手袋をした手Hが物体95と衝突したとき又は衝突した直後の、挿入体60の衝撃及び/又は振動吸収材料の状態を示す。図8bに示すように、衝撃力Fは、内層75の全体的な変形、及び/又内層75の一部の孔85への撓みによって、最初は前記材料70の内層75によって消散(吸収)される。外層80を衝撃及び/又は振動吸収材料から形成した場合は、外層は内層と同様に衝撃及び/又は振動の吸収に貢献する。この吸収/消散機構は、通常は、衝撃及び/又は振動エネルギの向きを、手の周囲又は手から離れる方向に変える。
【0037】
衝撃及び/又は振動吸収材料70の強化された衝撃力変換能力を、図8bに見ることができる。この例に示すように、手袋50をした手Hが物体95と衝突したとき、手袋本体55の内層55aは、それとともに接触する。物体95は、手Hの前進運動を、実質的に停止させる。しかし、内層75の可撓性/変形性によって、前記前進運動に関連するエネルギ、及び手Hが物体95と衝突したときに発生する衝撃力Fは、内層75の少なくとも一部のさらなる前進運動を引き起こす。外層80に形成された孔90は、内層75の一部の前方へ撓んだ部分を受容することにより、この前進移動を容易にする。衝突時における内層75の外層80に形成された孔90への前方撓みによって、物体95へ伝達される衝撃力の大きさは、公知の衝撃及び/又は振動吸収材料よりも大きくなる。この前方への力伝達は、手Hに実際に伝達される衝撃力の大きさの最小化と同時に行われる。衝撃力Fが消散すると、内側の材料層75は、外側層85に形成された孔90から脱離する。
【0038】
図8bの例示的な説明では、前記材料の作用機構をより明確に説明するために、衝撃力が材料を変形させる領域は著しく小さくされていることに留意されたい。より詳しくは、衝撃力Fが、実質的に1ヶ所で発生するように示されているが、実際には、衝撃力Fはより広い領域に分布される。したがって、実際には、材料層75、80の変形、並びに、内側材料層75の外側材料層80に形成された孔90への前方撓みは、より広い範囲で生じる。また、当然のことながら、材料層75、80の全体的な変形、及び、内側層75の外側層80に形成された孔90への前方撓みの大きさは、生成された衝撃力の大きさに関係している。また、当然のことながら、明瞭にするために図8bでは示さなかったが、同様に、十分な大きさの衝撃力Fは、外側材料層85の形状を変形させ得る。
【0039】
本発明によれば、様々な他の衝撃及び/又は振動保護用品が可能である。例えば、衝撃及び/又は振動吸収材料190を備えた靴185の一実施形態を図9aに示す。この靴185は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料190が、着用者の足が地面と衝突した際に生じた衝撃の少なくとも一部を吸収するようにデザインされている。図示するように、靴185の靴底195には、所定の量の衝撃及び/又は振動吸収材料190が存在している。また一方、その全体又は一部が衝撃及び/又は振動吸収材料から構成された中敷200を使用することも可能である。中敷200は、衝撃及び/又は振動吸収靴底195とともに、又はその代わりに使用される。
【0040】
例示的な肘当て205及び膝当て220をそれぞれ、図10及び図11に示す。本発明に係る肘当て及び/又は膝当ては、様々な形状、サイズ及びデザインであり得え、一般に、様々な材料から構成される。しかし、衝撃及び/又は振動吸収材料210、225の少なくとも一部が存在し、着用者の肘又は膝が地面又は他の物体と接触した際の衝撃をより効率的に吸収できるように配置されることが好ましい。図示するように、衝撃及び/又は振動吸収材料210、225は、他の材料(例えば、プラスチック又はゴム材料)の1つ又は複数の層の下側又は内側に配置される。肘当て205の場合は、衝撃及び/又は振動吸収材料210は、半硬質肘当て215の下側又は内側に配置される。膝当て220の場合は、衝撃及び/又は振動吸収材料225は、繊維ポケット230の下側又は内側に配置される。また、前記衝撃及び/又は振動吸収材料は、肘当て及び/又は膝当ての内側又は外側表面に、直接的に取り付けられる。
【0041】
図12は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収保護用品である野球グローブ235のさらなる別の実施形態を示す。図12に示す野球グローブ235は、キャッチャーミットである。しかし、当業者であれば、キャッチャーミットは前記グローブの一例にすぎず、参加者の手がボールやパックなどの衝撃力を受ける事実上すべてのスポーツに使用されるグローブが本発明の範囲に含まれることを理解できるであろう。
【0042】
図示するように、野球グローブ235は、ボールを捕るポケット245を規定する拡大された外周である、良く知られている革製シェル240を備えている。ポケット245の内側では、着用者の手は通常は大きな衝撃力を受けるので、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料250はグローブ235のこの領域に配置される。衝撃及び/又は振動吸収材料250は、ポケット240を完全に又は部分的に覆う。また、例えば、着用者の指をより完全に覆うために、衝撃及び/又は振動吸収材料250を、グローブ235の他の領域に延在させることもできる。他の種類の野球グローブでも、衝撃及び/又は振動吸収材料を、例えば手の甲などの、着用者の手の保護に最善の場所に配置することができる。
【0043】
また、本発明は、衝撃以外にも、振動の用途に関連する保護用品にも適用される。例えば、図13は、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料260を備える座席クッション255を示す。この座席クッション255は、例えば、車両のシートを経由してユーザーへ伝達される振動を減少又は除去するのに、特に好適である。そのような車両としては、例えば、重機、フォークリフト、及び他の産業機械などがある。
【0044】
前記座席クッションには、様々な本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を使用することが可能であるが、図4の衝撃及び/又は振動吸収材料165又はそれと同様の変形物が特に適していると考えられる。すなわち、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料のそのような変形物は、振動吸収を増大させることができる。前記衝撃及び/又は振動吸収材料はどれも、単独で又は他のクッション材料と共に使用される。前記衝撃及び/又は振動吸収材料は、特定の形状を提供するために、及び/又は汚れにくさ又は他の有益な特性を提供するために、例えばビニールカバーなどのカバー265の内部に配置される。他の実施形態では、前記衝撃及び/又は振動吸収材料は、前記カバーの全体又は一部を形成する。
【0045】
靴185、肘当て205、膝当て220、野球グローブ235、及び座席クッション255は、説明目的だけのためのものであり、これらの例示的な実施形態は、本発明の範囲を特定のデザインに限定するものではない。当業者には容易に理解できるであろうが、本発明の範囲に含まれる類似したデザインは多数ある。例えば、靴185は、運動靴、礼装用の靴、又は作業靴であり得る。また、膝当て及び/又は膝当て205、220は、フットボール、ホッケー、ラクロス、スケート、スケートボード若しくは他のスポーツ用に、又は、産業的用途などの他の用途用にデザインされたものであり得る。野球グローブ235は、野球、ソフトボール、ラクロス、ゴルフ、又は着用者の手が移動物体から受ける衝撃を和らげることが求められる他のスポーツ用にデザインされたものであり得る。座席クッション255は、娯楽時(例えばスポーツ行事)の使用、産業的な使用(例えば車工業設備)、又は他の使用のためにデザインされたものであり得る。
【0046】
さらに、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を使用して、バイク用手袋を作成することもできる。バイク用手袋の指なしタイプは、図6に示した。また、特に図示しないが、バイク用手袋は、指ありタイプでももちろん構わない。いずれにしても、そのようなグローブは、通常は、様々な材料から構成される本体部分(shell)を備えている。前記様々な材料としては、例えば、革、ビニル、繊維、様々な複合材料、及び/又は、グローブが現在製造される又は将来製造され得る事実上すべての材料などがある。
【0047】
衝撃及び/又は振動吸収材料は、特定の使用目的に応じて、本発明に係るバイク用手袋の様々な位置に配置することができる。例えば、衝撃及び/又は振動吸収材料は、手の平に沿って、指の前面に、又は手の甲の沿った任意の位置(指及び指関節の裏側を含む)に配置することができる。また、衝撃及び/又は振動吸収材料の1つ以上の変形物を、手袋の異なる領域に異なる性質を与えるのに使用することができる(例えば、手の平領域の振動吸収性をより高くする)。
【0048】
上述した衝撃及び/又は振動吸収材料はいずれも、様々な方法によって製造し得る。例えば、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、成形法によって製造し得、前記孔はモールドによって作成される。モールドは、衝撃及び/又は振動吸収材料が、例えば、上述した手袋の用途に好ましい、特定の形状又は輪郭を得るようにデザインされる。あるいは、衝撃及び/又は振動吸収材料層のシートは、任意の公知の手段によって作成され得、その後、前記孔は例えば、打ち抜き又は穿孔工程によって作成される。この場合、衝撃及び/又は振動吸収材料層は、成形形状及び輪郭をすでに有し得る、又は、形状は材料シートからパンチ又はスタンプされる。別の実施形態では、孔は、適切な材料層に、ドリル又は穿孔される。この方法は、非効率的だと思われるが、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の共押し出しを可能にする。
【0049】
前述したように、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、様々な用品の製造に役立つ。本発明の衝撃及び/又は振動吸収材料は、特定の用途のために、上述したようにして改変することができる。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は様々な材料から構成することができ、前記材料は事実上すべての組み合わせで使用可能である。本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、その使用用途に応じて、実質的にいかなる数の層からでも構成することができる。したがって、本発明は、上述した様々な例示的な衝撃及び/又は振動吸収材料、又は衝撃保護手袋に限定されるものではない。
【0050】
図14〜17に示す試験装置100は、本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動吸収性の測定に特に適している。簡単に言えば、試験装置100は、衝撃を受けて測定するスタンドを備えている。前記スタンドは、衝撃力を試験対象の材料に伝達し、前記材料が吸収する衝撃力の大きさを測定するように構成されている。
【0051】
試験装置100は基部105を備えている。試験装置100を安定した位置に保つために、基部105には重りが付けられる、又は基部105は十分な重量を有する。一対のガイドロッド110が、基部105から上側に延びる。ガイドロッド110は、ロッド間を実質的に平行に保つために、その遠位端110b又はその近傍で結合されることが好ましい。
【0052】
サンプル支持板115は、基部105の上方の少し離れた所に存在する。ガイドロッド110は、サンプル支持板115を貫通する。サンプル支持板115は、サンプル支持板115と基部105との間に延びる複数の圧縮ばね120(ばね定数は既知である)によって、高い位置で支持される。試験装置100のこの実施形態では、圧縮ばね120は、基部105とサンプル支持板115との間の領域で、各ガイドロッド110を巻回する。ただし、この構造は、試験装置の作用に不可欠なものではない。
【0053】
予め定められた既知の質量の重り125は、サンプル支持板115の上面115aに対して、実質的に位置合わせされ平行に配置される。ガイドロッド110は、重り125も貫通する。重り125は、ガイドロッドに沿って摺動可能に構成されている。必要なら、重り125のガイドロッド110の長さ方向に沿った摺動を容易にするために、重り125に形成されたガイドロッド受容孔130に軸受筒Bが設けられる。
【0054】
基部105上及びサンプル支持板115の部分的下方には、力吸収表示機構135が設置される。力吸収表示機構135は、ピボット連結部145によって基部105上に設置された表示アーム140を含む。表示アーム140の表示端部140bには、ポインタ150が設置される。表示アーム140における表示端部140bの反対側の端部は、サンプル支持板115の下方に位置する。表示アーム140は、休止位置で、その非表示端がサンプル支持板115の底面と接するように偏らされる。
【0055】
目盛り155が、基部105上に設置される。目盛り155は、表示アーム140が回動した際に、ポインタ150が目盛り155の前を通過するように配置される。目盛り155の前のポインタ150が観察できるように、拡大鏡160又は同様の拡大機器が基部105上に設置される。
【0056】
試験を実施する際は、重り125を、サンプル支持板115の上方の予め定められた位置まで持ち上げる。放して落下させるまでの間、重り125を持ち上げた位置で保持する保持装置を設置することが望ましい。重り125を持ち上げた後、サンプル支持板115上に材料サンプル(図示せず)を載せる。サンプルを適切な位置に置いた後、重り125を持ち上げた位置から放してガイドロッド110に沿って自由落下させ、サンプル支持板115の上に置いた材料のサンプルと直接衝突させる。
【0057】
重り125の質量、重りの落下距離、及び総ばね率が分っているので、試験される材料の力吸収性を測定することができる。詳しく説明すると、重り125が材料サンプルと衝突したとき、前記材料サンプルを通過した力の全てがサンプル支持板115にかかる。この衝突は、ばね120の圧縮と、サンプル支持板115の下向きへの移動を引き起こす。サンプル支持板115の下向きの移動は、ピボット連結部145を中心にして表示アーム140を回動させ、ポインタ150を基部105から上向きに移動させる。ポインタ150の高さは、目盛り155を観察する(好ましくは拡大鏡を用いて観察する)ことによって測定することができる。
【0058】
総ばね率と、重り225から受ける衝撃力の両方が分るので、サンプル支持板115の偏位を、通過衝撃力の合計と相関させることができる。例えば、図14〜17に示した装置の特定の実施形態では、総ばね率は、688lb/inである。したがって、サンプル支持板115の各1/32インチの偏位は、約21.5lb(すなわち、03125in×688lb/in)の通過衝撃力に相当する。サンプル支持板115の偏位に応じてポインタ150が上昇するので、材料サンプルにかかる力の合計は、目盛り155の前のポインタ150の上昇を観察して、上昇距離に総ばね率を掛けることにより測定することができる。例えば、ばね率が688lb/inの場合、ポインタ150の上昇が0.25inであれば、約172lbの衝撃力に相当する。
【0059】
そして、材料サンプルで吸収される衝撃力の大きさは、重り125から受ける計算上の衝撃力から、観察/測定された材料サンプルにかかる衝撃力を減算することにより決定できる。これらの値の差(計算上の衝撃力と測定された通過衝撃力との差)が、材料サンプルで吸収された衝撃力の大きさとなる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、上記した実施形態は、説明目的のみのためのものであり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想の範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更及び変形が可能である。したがって、当業者であれば、ここで説明した例示的な材料の代わりに様々な他の材料を使用できることを理解できるであろう。また、当業者であれば、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料は、手袋、靴底、及び座席クッション以外の用品にも使用可能なことを理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】2つの材料層を示す平面図である。2つの材料層を互いに重ね合わせることによって、本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料が形成される。
【図2】図1の材料層を重ね合わせた状態を示す側断面図である
【図3】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料の他の実施形態を示す。この実施形態では、図2で示した各層の露出した主表面が伸縮性繊維で覆われている。
【図4】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料のさらなる他の実施形態を示す。この実施形態では、図1及び2で示した材料層の一方を、特殊な気泡型材料と組み合わせている。
【図5】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収手袋挿入体を示す例示的な平面図である。
【図6】図5に示した手袋挿入体を使用した、本発明に係る衝撃保護手袋を示す図である(手袋は、部分的に切り取られている)。
【図7】図6に示した衝撃保護手袋を着用した手で、他の物体に衝撃を与える状態を示す図である。
【図8a】図6に示した衝撃保護手袋の部分拡大図であり、図7に示した物体と衝突することで生成される衝撃力を受ける前の状態を示す。
【図8b】図8aに示した衝撃保護手袋が、物体と衝突した状態を示す。
【図9a】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた靴を示す。
【図9b】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた靴の中敷きを示す。
【図10】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた肘当てを示す。
【図11】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた膝当てを示す。
【図12】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えた野球グローブを示す。
【図13】本発明に係る衝撃及び/又は振動吸収材料を備えたシートクッションを示す。
【図14】本発明に係る材料の衝撃及び/又は振動吸収性の測定に特に適した試験装置の正面図である。
【図15】図14に示した試験装置の側面図である。
【図16】前記試験装置の基部付近の拡大正面図である。
【図17】前記試験装置の基部付近の拡大側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
可撓性高分子材料から構成され、複数の孔を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
前記第1の材料層よりも硬い材料から構成され、複数の孔を有する第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、前記第2の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
当該材料が衝撃力を受けたときに、前記第1の材料層の一部が前記第2の材料層の前記孔内に撓むようにしたことを特徴とする材料。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、当該孔と隣接する前記第2の材料層の前記孔から実質的に等距離になるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項3】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記各材料層の前記孔が、前記各材料層を完全に貫通したことを特徴とする材料。
【請求項4】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記各材料層の全域に実質的に均等に分布されたことを特徴とする材料。
【請求項5】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
当該材料に衝撃及び/又は振動吸収性が異なる領域を設けるために、前記孔が、前記各材料層の全域に様々な密度で配置されたことを特徴とする材料。
【請求項6】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料の露出した主表面が、伸縮性繊維で覆われたことを特徴とする材料。
【請求項7】
請求項6に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記繊維をも貫通したことを特徴とする材料。
【請求項8】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、エラストマー又は熱可塑性エラストマーから構成されることを特徴とする材料。
【請求項9】
請求項8に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、高分子ゲルから構成されることを特徴とする材料。
【請求項10】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第2の材料層が、エラストマー、熱可塑性エラストマー、硬質又は半硬質熱可塑性樹脂、及び天然ゴムから成る群より選択されたことを特徴とする材料。
【請求項11】
請求項10に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第2の材料層が、クローズドセル型フォームから構成されることを特徴とする材料。
【請求項12】
衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
高分子ゲル材料から構成され、その全域に複数の孔を有する内側の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
クローズドセル型フォーム材料から構成され、その全域に複数の孔を有する、前記内側の材料層よりも硬い外側の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側の材料層の前記孔が、前記外側の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
当該材料が衝撃及び/又は振動力を受けたときに、当該材料の一部が前記孔内に撓むことによって、当該材料の衝撃及び/又は振動吸収能力を向上させ、
当該材料が衝撃力を受けたときに、前記内側の材料層の一部が前記外側の材料層の前記孔内に撓むことによって衝突した物体に伝達される前記衝撃力の大きさを増大させるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項13】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側の材料層の前記孔が、当該孔と隣接する前記外側の材料層の前記孔と実質的に等距離になるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項14】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記各材料層の全域に実質的に均等に分布されたことを特徴とする材料。
【請求項15】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
当該材料に衝撃及び/又は振動吸収性が異なる領域を設けるために、前記孔が、前記各材料層の全域に様々な密度で配置されたことを特徴とする材料。
【請求項16】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料の露出した主表面が、伸縮性繊維で覆われたことを特徴とする材料。
【請求項17】
請求項16に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記繊維をも貫通したことを特徴とする材料。
【請求項18】
衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
複数の膨張空気ポケット及び複数の周囲孔を有する気泡材料から構成された第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側の材料層の前記孔が、前記外側の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記複数の膨張空気ポケットと、前記第1の材料層が前記第2の材料層の前記孔内に撓む能力との組み合わせによって、当該材料が受けた振動を吸収するようにしたことを特徴とする材料。
【請求項19】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、当該孔と隣接する前記第2の材料層の前記孔と実質的に等距離になるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項20】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記各材料層の前記孔が、前記各材料層を完全に貫通したことを特徴とする材料。
【請求項21】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記各材料層の全域に実質的に均等に分布されたことを特徴とする材料。
【請求項22】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
当該材料に衝撃及び/又は振動吸収性が異なる領域を設けるために、前記孔が、前記各材料層の全域に様々な密度で配置されたことを特徴とする材料。
【請求項23】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、エラストマー又は熱可塑性エラストマーから構成されることを特徴とする材料。
【請求項24】
請求項23に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、高分子ゲルから構成されることを特徴とする材料。
【請求項25】
衝撃及び/又は振動保護用品であって、
用品本体と、
前記用品本体の内部又は表面に含めるための少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素とを備えており、
前記衝撃及び/又は振動吸収材料要素は、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
前記第1の材料層よりも硬い材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、前記第2の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記衝撃及び/又は振動吸収材料要素が衝撃力を受けたときに、前記第1の材料層の一部が前記第2の材料層の前記孔内に撓むように構成され、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素を前記用品本体の内部又は表面に配置して、当該保護用品の使用時に着用者が受ける衝撃及び/又は振動力を吸収するようにしたことを特徴とする用品。
【請求項26】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が靴であることを特徴とする用品。
【請求項27】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が靴の中敷きであることを特徴とする用品。
【請求項28】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が肘当てであることを特徴とする用品。
【請求項29】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が膝当てであることを特徴とする用品。
【請求項30】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が野球グローブであることを特徴とする用品。
【請求項31】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が座席クッションであることを特徴とする用品。
【請求項32】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品がオートバイ用手袋であることを特徴とする用品。
【請求項33】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記用品本体が、革、ビニル、繊維、複合材料及びエラストマーから成る群より選択される材料から構成されることを特徴とする用品。
【請求項34】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の内部に沿って配置されたことを特徴とする用品。
【請求項35】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の内側層と外側層との間に配置されたことを特徴とする用品。
【請求項36】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の内部又は表面に設けられた少なくとも1つの受けポケットに配置されたことを特徴とする用品。
【請求項37】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の外部に配置されたことを特徴とする用品。
【請求項38】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の表面に直接的に覆われたことを特徴とする用品。
【請求項39】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素の前記用品本体への取り付けを容易にするために、前記材料要素が伸縮性繊維材料で実質的に覆われたことを特徴とする用品。
【請求項40】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体に着脱可能に取り付けられたことを特徴とする用品。
【請求項41】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品の特定の領域に異なる衝撃及び/又は振動吸収性を選択的に与えるために、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素に不均一なパターンの孔が形成されたことを特徴とする用品。
【請求項42】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
単一の保護用品に複数の衝撃及び/又は振動吸収材料要素が設けられたことを特徴とする用品。
【請求項43】
振動保護用品であって、
用品本体と、
前記用品本体の内部又は表面に含めるための少なくとも1つの振動吸収材料要素とを備えており、
前記振動吸収材料要素は、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第1の層と、
複数の膨張空気ポケット及び複数の周囲孔を有する気泡材料から構成された第2の層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の層の前記孔が、前記第2の層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記膨張空気ポケットと、前記第1の層の前記第2の層の前記孔内への撓みとが連携して作用することによって振動を吸収し、
前記少なくとも1つの振動吸収材料要素を前記用品本体の内部又は表面に配置して、当該振動保護用品の使用時に着用者が受ける振動力を吸収するようにしたことを特徴とする用品。
【請求項44】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品が靴であることを特徴とする用品。
【請求項45】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品が靴の中敷きであることを特徴とする用品。
【請求項46】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品が座席クッションであることを特徴とする用品。
【請求項47】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品がオートバイ用手袋であることを特徴とする用品。
【請求項48】
衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
手袋本体と、
前記手袋本体の内部又は表面に含めるための少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素とを備えており、
前記衝撃及び/又は振動吸収材料要素は、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する内側層と、
クローズドセル型フォーム材料から構成され、その全域に複数の孔を有する外側層とを備え、
前記両層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側層の前記孔が、前記外側層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素を前記用品本体の内部又は表面に配置して、当該保護手袋の使用時に着用者が受ける衝撃及び/又は振動力を吸収するようにし、
当該保護手袋が物体と衝突したときに、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素の前記内側層の一部が前記外側層の前記孔内に撓むことによって衝突した物体に伝達される前記衝撃力の大きさを増大させるようにしたことを特徴とする手袋。
【請求項49】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記手袋本体が、革、ビニル、繊維、複合材料、及びエラストマーから成る群より選択される材料から構成されることを特徴とする手袋。
【請求項50】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の内部に沿って配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項51】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の内側層と外側層との間に配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項52】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の内部又は表面に設けられた少なくとも1つの受けポケットに配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項53】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の外部に配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項54】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素の前記手袋本体への取り付けを容易にするために、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が伸縮性繊維材料で実質的に覆われたことを特徴とする手袋。
【請求項55】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体に着脱可能に取り付けられたことを特徴とする手袋。
【請求項56】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体に恒久的に取り付けられたことを特徴とする手袋。
【請求項57】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
当該手袋の特定の領域に異なる衝撃及び/又は振動吸収性を選択的に与えるために、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素に不均一なパターンの孔が形成されたことを特徴とする手袋。
【請求項58】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
単一の手袋に複数の衝撃及び/又は振動吸収材料要素が設けられたことを特徴とする手袋。
【請求項59】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記可撓性高分子材料が高分子ゲルであることを特徴とする手袋。
【請求項1】
衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
可撓性高分子材料から構成され、複数の孔を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
前記第1の材料層よりも硬い材料から構成され、複数の孔を有する第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、前記第2の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
当該材料が衝撃力を受けたときに、前記第1の材料層の一部が前記第2の材料層の前記孔内に撓むようにしたことを特徴とする材料。
【請求項2】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、当該孔と隣接する前記第2の材料層の前記孔から実質的に等距離になるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項3】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記各材料層の前記孔が、前記各材料層を完全に貫通したことを特徴とする材料。
【請求項4】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記各材料層の全域に実質的に均等に分布されたことを特徴とする材料。
【請求項5】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
当該材料に衝撃及び/又は振動吸収性が異なる領域を設けるために、前記孔が、前記各材料層の全域に様々な密度で配置されたことを特徴とする材料。
【請求項6】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料の露出した主表面が、伸縮性繊維で覆われたことを特徴とする材料。
【請求項7】
請求項6に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記繊維をも貫通したことを特徴とする材料。
【請求項8】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、エラストマー又は熱可塑性エラストマーから構成されることを特徴とする材料。
【請求項9】
請求項8に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、高分子ゲルから構成されることを特徴とする材料。
【請求項10】
請求項1に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第2の材料層が、エラストマー、熱可塑性エラストマー、硬質又は半硬質熱可塑性樹脂、及び天然ゴムから成る群より選択されたことを特徴とする材料。
【請求項11】
請求項10に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第2の材料層が、クローズドセル型フォームから構成されることを特徴とする材料。
【請求項12】
衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
高分子ゲル材料から構成され、その全域に複数の孔を有する内側の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
クローズドセル型フォーム材料から構成され、その全域に複数の孔を有する、前記内側の材料層よりも硬い外側の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側の材料層の前記孔が、前記外側の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
当該材料が衝撃及び/又は振動力を受けたときに、当該材料の一部が前記孔内に撓むことによって、当該材料の衝撃及び/又は振動吸収能力を向上させ、
当該材料が衝撃力を受けたときに、前記内側の材料層の一部が前記外側の材料層の前記孔内に撓むことによって衝突した物体に伝達される前記衝撃力の大きさを増大させるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項13】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側の材料層の前記孔が、当該孔と隣接する前記外側の材料層の前記孔と実質的に等距離になるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項14】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記各材料層の全域に実質的に均等に分布されたことを特徴とする材料。
【請求項15】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
当該材料に衝撃及び/又は振動吸収性が異なる領域を設けるために、前記孔が、前記各材料層の全域に様々な密度で配置されたことを特徴とする材料。
【請求項16】
請求項12に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料の露出した主表面が、伸縮性繊維で覆われたことを特徴とする材料。
【請求項17】
請求項16に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記繊維をも貫通したことを特徴とする材料。
【請求項18】
衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
複数の膨張空気ポケット及び複数の周囲孔を有する気泡材料から構成された第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側の材料層の前記孔が、前記外側の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記複数の膨張空気ポケットと、前記第1の材料層が前記第2の材料層の前記孔内に撓む能力との組み合わせによって、当該材料が受けた振動を吸収するようにしたことを特徴とする材料。
【請求項19】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、当該孔と隣接する前記第2の材料層の前記孔と実質的に等距離になるようにしたことを特徴とする材料。
【請求項20】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記各材料層の前記孔が、前記各材料層を完全に貫通したことを特徴とする材料。
【請求項21】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記孔が、前記各材料層の全域に実質的に均等に分布されたことを特徴とする材料。
【請求項22】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
当該材料に衝撃及び/又は振動吸収性が異なる領域を設けるために、前記孔が、前記各材料層の全域に様々な密度で配置されたことを特徴とする材料。
【請求項23】
請求項18に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、エラストマー又は熱可塑性エラストマーから構成されることを特徴とする材料。
【請求項24】
請求項23に記載の衝撃及び/又は振動吸収材料であって、
前記第1の材料層が、高分子ゲルから構成されることを特徴とする材料。
【請求項25】
衝撃及び/又は振動保護用品であって、
用品本体と、
前記用品本体の内部又は表面に含めるための少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素とを備えており、
前記衝撃及び/又は振動吸収材料要素は、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第1の衝撃及び/又は振動吸収材料層と、
前記第1の材料層よりも硬い材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第2の衝撃及び/又は振動吸収材料層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の材料層の前記孔が、前記第2の材料層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記衝撃及び/又は振動吸収材料要素が衝撃力を受けたときに、前記第1の材料層の一部が前記第2の材料層の前記孔内に撓むように構成され、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素を前記用品本体の内部又は表面に配置して、当該保護用品の使用時に着用者が受ける衝撃及び/又は振動力を吸収するようにしたことを特徴とする用品。
【請求項26】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が靴であることを特徴とする用品。
【請求項27】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が靴の中敷きであることを特徴とする用品。
【請求項28】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が肘当てであることを特徴とする用品。
【請求項29】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が膝当てであることを特徴とする用品。
【請求項30】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が野球グローブであることを特徴とする用品。
【請求項31】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品が座席クッションであることを特徴とする用品。
【請求項32】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品がオートバイ用手袋であることを特徴とする用品。
【請求項33】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記用品本体が、革、ビニル、繊維、複合材料及びエラストマーから成る群より選択される材料から構成されることを特徴とする用品。
【請求項34】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の内部に沿って配置されたことを特徴とする用品。
【請求項35】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の内側層と外側層との間に配置されたことを特徴とする用品。
【請求項36】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の内部又は表面に設けられた少なくとも1つの受けポケットに配置されたことを特徴とする用品。
【請求項37】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の外部に配置されたことを特徴とする用品。
【請求項38】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体の表面に直接的に覆われたことを特徴とする用品。
【請求項39】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素の前記用品本体への取り付けを容易にするために、前記材料要素が伸縮性繊維材料で実質的に覆われたことを特徴とする用品。
【請求項40】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記用品本体に着脱可能に取り付けられたことを特徴とする用品。
【請求項41】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
当該保護用品の特定の領域に異なる衝撃及び/又は振動吸収性を選択的に与えるために、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素に不均一なパターンの孔が形成されたことを特徴とする用品。
【請求項42】
請求項25に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
単一の保護用品に複数の衝撃及び/又は振動吸収材料要素が設けられたことを特徴とする用品。
【請求項43】
振動保護用品であって、
用品本体と、
前記用品本体の内部又は表面に含めるための少なくとも1つの振動吸収材料要素とを備えており、
前記振動吸収材料要素は、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する第1の層と、
複数の膨張空気ポケット及び複数の周囲孔を有する気泡材料から構成された第2の層とを備え、
前記両材料層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記第1の層の前記孔が、前記第2の層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記膨張空気ポケットと、前記第1の層の前記第2の層の前記孔内への撓みとが連携して作用することによって振動を吸収し、
前記少なくとも1つの振動吸収材料要素を前記用品本体の内部又は表面に配置して、当該振動保護用品の使用時に着用者が受ける振動力を吸収するようにしたことを特徴とする用品。
【請求項44】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品が靴であることを特徴とする用品。
【請求項45】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品が靴の中敷きであることを特徴とする用品。
【請求項46】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品が座席クッションであることを特徴とする用品。
【請求項47】
請求項43に記載の衝撃及び/又は振動保護用品であって、
前記振動保護用品がオートバイ用手袋であることを特徴とする用品。
【請求項48】
衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
手袋本体と、
前記手袋本体の内部又は表面に含めるための少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素とを備えており、
前記衝撃及び/又は振動吸収材料要素は、
可撓性高分子材料から構成され、その全域に複数の孔を有する内側層と、
クローズドセル型フォーム材料から構成され、その全域に複数の孔を有する外側層とを備え、
前記両層を互いに適切に重ね合わせた際に、前記内側層の前記孔が、前記外側層の前記孔に対してオフセットするようにし、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素を前記用品本体の内部又は表面に配置して、当該保護手袋の使用時に着用者が受ける衝撃及び/又は振動力を吸収するようにし、
当該保護手袋が物体と衝突したときに、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素の前記内側層の一部が前記外側層の前記孔内に撓むことによって衝突した物体に伝達される前記衝撃力の大きさを増大させるようにしたことを特徴とする手袋。
【請求項49】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記手袋本体が、革、ビニル、繊維、複合材料、及びエラストマーから成る群より選択される材料から構成されることを特徴とする手袋。
【請求項50】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の内部に沿って配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項51】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の内側層と外側層との間に配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項52】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の内部又は表面に設けられた少なくとも1つの受けポケットに配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項53】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体の外部に配置されたことを特徴とする手袋。
【請求項54】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素の前記手袋本体への取り付けを容易にするために、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が伸縮性繊維材料で実質的に覆われたことを特徴とする手袋。
【請求項55】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体に着脱可能に取り付けられたことを特徴とする手袋。
【請求項56】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素が、前記手袋本体に恒久的に取り付けられたことを特徴とする手袋。
【請求項57】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
当該手袋の特定の領域に異なる衝撃及び/又は振動吸収性を選択的に与えるために、前記少なくとも1つの衝撃及び/又は振動吸収材料要素に不均一なパターンの孔が形成されたことを特徴とする手袋。
【請求項58】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
単一の手袋に複数の衝撃及び/又は振動吸収材料要素が設けられたことを特徴とする手袋。
【請求項59】
請求項48に記載の衝撃及び/又は振動保護手袋であって、
前記可撓性高分子材料が高分子ゲルであることを特徴とする手袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2008−533327(P2008−533327A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502520(P2008−502520)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002793
【国際公開番号】WO2007/007211
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002793
【国際公開番号】WO2007/007211
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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