説明

衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールおよびその靴

本発明は、靴の機能において相互対称的な衝撃吸収機能と反発弾性機能を最大限調和させて着用者の便宜を図った弾性ソールを備える機能性靴を開示する。前記弾性ソールは、後方側へ上方に傾斜して形成されたソール本体と、前記ソール本体の後方の傾斜部分の底面一側を介して挿入されて固定される固定片、および前記固定片から下方へ傾斜して延長されて外部に晒され、他端部が前記ソール本体から離隔して形成された弾性板からなる弾性部材と、前記ソール本体の上面に位置するインソールとを含んでなり、前記固定片を弾性支持軸として前記ソール本体の後方側に外力が加えられると弾性収縮が行われ、外力を除去すると弾性復元力が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性靴に係り、さらに詳しくは、靴の機能において相互対称的な衝撃吸収機能と反発弾性機能を最大限調和させて着用者の便宜を図った弾性ソールを備える機能性靴に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴は、ヒトの足を保護するためのもので、靴を履いて走ったり歩いたりする場合に足を外部から遮断させると同時に保護する。
【0003】
体重約60kgのヒトが1日平均6000歩を歩くとすれば、足には約432tonの荷重がかかる計算になり、これは国際線就航のジャンボジェット機の重さ(約400ton)を超える荷重である。
【0004】
このように、足底に伝えられる衝撃の吸収のために靴を開発する最も簡単な方法は、靴の硬度を低めることである。もしクッションを単に最大力を減少させるものと定義すると、良いクッションとは骨格筋系に無理が行かない程度に衝撃を吸収するものと定義することができる。ところが、クッションの他にも、推進力は運動遂行能力に重要な要因なので、与えられた力がクッションシステムによって完全に吸収されることも好ましくない。結局、これは複雑な問題であって、反復された衝撃力に対する骨格筋の反応衝撃吸収のための最適の靴硬度を定義することは容易でない。すなわち、最適の靴硬度を算出するためには力の大きさに関する情報を知らなければならない。
【0005】
圧力板を用いてランニング中の地面反発力を分析した結果、地面と足との間における垂直力の大きさは体重の2〜3倍に相当することが分かる。ランニングの際に両足の接地回数が100m当り約1000回であるとすれば、体重の2〜3倍に相当する大きさの力が反復的な負荷として作用するとき、十分に衝撃が吸収されなければ、関節に退行的な変化が発生し且つ腰痛をもたらす。よって、衝撃をよく吸収することが可能な運動靴を選択することが好ましい。
【0006】
ところが、接地時に加えられる衝撃吸収能力と歩行時に加えられる反発弾性能力は相互対称的なものであって、いずれか一つの機能を強化する場合、他の一つを犠牲しなければならない矛盾が生ずる。次に、これについて考察する。
【0007】
図1は歩行の際に足底に接触する体重衝撃部位を概略的に示す。図1(a)に示すように後足が地面に接地する初期20〜30msの間、衝撃力は体重より大きいが、すなわち体重の2.2倍に相当する衝撃を受けるものと報告されている。その後、図1(b)に示すように足底全体が地面に接地した状態では支持力より体重が大きい。さらに、図1(c)に示すようにランニングのための推進を行うために前足が地面に対して接地してから離地するときまでの100msの間に発生する力は、推進力が体重より大きいが、すなわち体重の2.8倍に相当する荷重を受けるものと報告されている。
【0008】
このように歩行またはランニングにおいて、足底に加えられる衝撃量は思ったより大きいことが分かる。よって、このような衝撃を緩和するために、様々な形態の衝撃吸収体、例えばエアバックまたはスポンジフォームなどの緩衝部材などを用いている。ところが、このような衝撃吸収体を使用する場合、衝撃吸収にはある程度効用性があるが、地面反発力を減少させて歩行またはランニングをさらに難しくするという問題点がある。
【0009】
すなわち、靴の構造において、足を接地するときに増大させるべき衝撃吸収性と、足を離地するときに増大させるべき反発弾性とは相互対称的なものであって、これらのいずれか一つを満足させる場合、他の一つを犠牲しなければならないという問題点を抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、走行の際に靴着用者の足が接地するときに加えられる衝撃を最大限吸収し、足が離地するときに反発弾性を増大させることにより、向上した衝撃吸収性および反発弾性機能を有する機能性靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、足が地面と接地する部分のソールを備えた靴において、加えられる外力に応じる弾性力を有する板状の弾性部材を含み且つ前記弾性部材の一側端部が内部に挿着されて弾性支持軸を形成する弾性ソールを備え、加えられる外力の変化に応じて弾性収縮および弾性復元が行われる、衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴を提供する。
【0012】
前記弾性ソールは、後方側へ上方に傾斜して形成されたソール本体と、前記ソール本体の後方の傾斜部分の底面一側を介して挿入されて固定される固定片、および前記固定片から下方に傾斜して延長されて外部に晒され、他端部が前記ソール本体から離隔して形成された弾性板からなる弾性部材とを含み、前記固定片を弾性支持軸として前記ソール本体の後方側に外力が加えられると弾性収縮が行われ、外力を除去すると弾性復元力が提供される。
【0013】
前記弾性ソールは、金属材または合成樹脂材からなり、或いは外面にゴムまたは軟質の合成樹脂材が被覆される。
【0014】
一方、弾性ソールは、前記弾性板がのせられる後方ソールをさらに含んでなる。前記弾性部材の弾性板と前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分との間に支持部材が挿入される。前記支持部材は、前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分の一側面に突出段部を有し、一端が前記突出段部に係合される。弾性力を有する補助弾性材は、前記支持部材の後方における弾性部材とソール本体との間に設けられた空間にさらに結合される。
【0015】
前記ソール本体には後方側の上方傾斜部分の一側に入り口が設けられ、前記ソール本体の内部には前記入り口に連通する空間部が設けられることにより、前記空間部の内部に前記弾性部材の固定片が固定される。前記ソール本体は、上面に位置するインソールをさらに含んでなる。前記ソール本体の空間部の上面に位置するインソールを介してネジで結合され、前記固定片が前記ソール本体に固定される。
【0016】
本発明の他の観点によれば、足が地面と接する部分のソールを備えた靴において、前記ソールは、後方側へ上方に傾斜して形成されたソール本体と、前記ソール本体の後方側の傾斜部分の底面一側を介して挿入されて固定される固定片、および前記固定片から下方に傾斜して延長されて外部に晒され、他端部がソール本体から離隔して形成された弾性板からなる弾性部材と、前記ソール本体の上面に位置するインソールとを含んでなり、前記固定片を弾性支持軸として前記ソール本体の後方側に外力が加えられると弾性収縮が行われ、外力を除去すると弾性復元力が提供される、衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを提供する。
【0017】
好ましくは、前記弾性部材は金属材からなる。
【0018】
前記弾性ソールは、前記弾性板がのせられる後方ソールをさらに含んでなり、或いは地面と接するソール本体の前方下面に前方ソールをさらに含んでなる。
【0019】
前記弾性部材の弾性板と前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分との間に支持部材が挿入され、前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分の一側面に突出段部が設けられ、前記支持部材の一端が前記突出段部に係合される。そして、弾性力を有する補助弾性材は、前記支持部材の後方における弾性部材とソール本体との間に設けられた空間にさらに結合される。
【0020】
前記ソール本体には後方側の上方傾斜部分の一側に入り口が設けられ、前記ソール本体の内部には前記入り口に連通する空間部が設けられることにより、前記空間部の内部に弾性部材の固定片が固定される。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本発明によれば、歩行中にかかる荷重によって踵に加えられる衝撃を吸収し、踏み出すときに歩行に役立つ反発弾性が発生することにより、着用者に最適の安定感を提供するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1は歩行時の足底に接する体重衝撃部位を概略的に示す図である。
【0023】
図2は本発明の一実施例に係る弾性ソールの分解斜視図である。
【0024】
図3は本発明の一実施例に係る弾性ソールの分解側面図である。
【0025】
図4は本発明の一実施例に係る弾性ソールの側面図である。
【0026】
図5は本発明の一実施例に係る弾性ソールの斜視図である。
【0027】
<図面の主要部分に対する符号の説明>
【0028】
10:弾性ソール 20:ソール本体
【0029】
20a:前方部分 20b:後方部分
【0030】
22:空間部 22a:入り口
【0031】
30:弾性部材 32:固定片
【0032】
32a:ネジ締結孔
【0033】
32b:ネジ挿入部
【0034】
34:弾性板 40:支持部材
【0035】
50:アウトソール 60:インソール
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、上述した特徴を持つ本発明に係る機能性靴を示す添付図を参照して、より詳細に説明する。図2は本発明の一実施例に係る靴の弾性ソールの分解斜視図、図3は本発明の一実施例に係る靴の弾性ソールの側面斜視図、図4は本発明の一実施例に係る靴の弾性ソールの側面図、図5は本発明に係る弾性ソールの斜視図である。
【0037】
図2〜図5に示すように、本発明は、足の上部を覆うアッパーではなく、足底が接する部位であるソールに関する。ここで、「弾性ソール」は、靴を構成し、足の甲および足首部位に接する通常のアッパー部分を除いたアウトソール、ミッドソールおよびインソールなどを含む総称名として使用する。
【0038】
本発明に係る弾性ソール10は、ソール本体20、弾性部材30および支持部材40を含み、付加的にアウトソール50およびインソール60を含んでなる。
【0039】
まず、ソール本体20について説明する。ソール本体20は、通常の靴においてミッドソールの役割を行うもので、本発明では足の後端へ行くほど上方に傾斜するように構成されている。すなわち、ソール本体は、足底の中間地点から踵部に向けて漸次上方へ湾曲傾斜するように形成され、地面に接する前方部分20aと地面に接しない後方部分20bに分けられる。そして、前記後方部分20bの一側には開放された入り口22aが設けられ、前記入り口22aに連通してソール本体20の前方部分20aの内部には空間部22が設けられ、前記空間部22の上部は開放されている。前記入り口22aと空間部22は、後述の弾性部材30が挿入される空間であって、弾性部材30の弾性支持軸の役割を果たす。一方、前記ソール本体20の後方部分20bの入り口22aから上方に離隔した部位には突出段部24が設けられ、前記突出段部24の内部には段部空間24aが設けられる。前記突出段部24および段部空間24aは後述の支持部材40と結合する部位である。
【0040】
このようなソール本体20は、通常の靴において、アウトソールまたはミッドソールの機能を担当するので、ゴム材質、ウレタン樹脂またはエチレンビニルアセテートなどの一般な靴ソールの製造に用いられる合成樹脂材の材料で成形すればよい。
【0041】
次に、弾性部材30について説明する。前記弾性部材30は、弾性支持軸の役割を行う固定片32と、外力に応じて弾性が変化する弾性板34とを含んでなり、全体的には板バネの役割を行う。まず、前記固定片32は、平らな四角形からなっている。前記固定片32上には多数のネジ締結孔32aが設けられ、前記ネジ締結孔32aの下側にはネジ挿入部32bが備えられている。したがって、前記固定片32をソール本体20の後方部分20bに設けられた入り口22aを介して空間部22に位置させた後、ネジ締結孔32aを介してネジで結合させることにより、前記固定片32はソール本体20にしっかりと固定されてソール本体20と一体になれる。一方、本実施例では、ネジ締結孔32aを介して結合されたネジが定着されるネジ挿入部32bを備えた構造を取っているが、前記ネジ挿入部32bがなくネジ締結孔32aのみがあっても、ネジ結合には何の問題もないことが分かる。また、前記ネジ締結孔32aなしで固定片32の下面がソール本体20の空間部22の上面と接着剤によって接着固定されることも可能である。本実施例以外にも様々な結合方法があることが自明である。例えば、空間部22を有せず、単に延長された形状の入り口22aを成形し、この入り口22aに固定片32を挿入した後、ソール本体20の上面を介してのネジ結合や接着剤による結合などの様々な方法によって固定片32をソール本体20に結合可能であることが分かる。何よりも本発明で要求することは、固定片32がソール本体20に結合して弾性支持軸の役割を行うことである。よって、いずれの方法でも固定片32がソール本体20に結合すると、構造としても採用可能であることが分かる。
【0042】
次に、弾性板34について説明する。
【0043】
前記弾性板34は、固定片32の端部から下方へ湾曲して傾斜した後、漸次平らな平面からなっている。加えられる外力により、前記弾性板34は固定片32を弾性支持軸にして弾性力を発揮する。このような弾性板34の弾性力については後述する。
【0044】
このような固定片32および弾性板34からなる弾性部材30は、靴に使用される板バネの役割を行うので、ヒトの体重および歩行により加えられる荷重を考慮して製作される。よって、弾性部材30は、通常板バネの材質として広く用いられるアルミニウムまたは鉄などの金属材質であればよい。勿論、適正の強度を持つ強化プラスチック材質で製作されることも可能であり、弾性力を提供することが可能なものであればいずれの材質でも使用可能であることが分かる。
【0045】
一方、このような弾性部材30の外面にはゴム材質、またはポリウレタンなどの合成樹脂材の材質で被覆することも可能であろう。このような被覆材質が備えられた場合には、金属材質の変性や過度な衝撃による折れなどを防止することができるうえ、様々な色相による美観の向上などを実現することができる。
【0046】
次に、支持部材40の説明に先立ち、まずアウトソール50について説明する。
【0047】
一般に、アウトソール50は、靴の構造上、地面と接地する部位であり、耐摩耗性、耐滑性などの機能を発揮するものであって、通常のアウトソール材質であればよい。図示の如く、本実施例では、前記アウトソール50は弾性部材30の弾性板34に結合して弾性ソール10の後部を成す。すなわち、前記弾性板34が後方ソール50の上面に定着されて弾性板34と後方ソール50とが一体になってソール本体20の後方部分20bと一定の空間を維持したまま地面と接しており、靴において踵の役割を行う構造である。一方、本実施例では、別途の前方ソールが示されてはいないが、ソール本体20の前方部分20aの底面にも前方ソールが構成できるのは当然である。よって、このようなアウトソール50は、ゴム材質などの通常のアウトソール材質からなり、地面との接着によるボトムソールの役割を行う。
【0048】
次に、インソール60について説明する。
【0049】
インソール60は、通常、靴の構造において足底と接するものであって、前記ソール本体20の上面に結合する。前記ソール本体20の空間部22に該当するインソール部分には対応する下部空間部62が設けられ、前記下部空間部62上にはネジ締結孔62aが設けられている。よって、前記ソール本体20の空間部22に弾性部材30の固定片32を位置させた後、前記インソール60の下部空間部62上でネジ締結することにより、前記固定片32がソール本体20と一体に結合固定できる。このような結合の後、蓋64を覆うことにより、外部にネジ締結の様子が見えないようにすることができる。
【0050】
一方、前述とは異なり、インソール60には別途の下部空間部62を設けず、単にソール本体20の上面に位置する通常のインソール構造を取ってもよい。勿論、この場合には前記ソール本体20の空間部22の上側から固定片32をネジで結合すればよく、上述したように、接着剤などを用いてソール本体20の空間部22に固定片32を固定することも可能であろう。
【0051】
次に、支持部材40について説明する。
【0052】
前記支持部材40は、ソール本体20と弾性本体30との間に位置し、弾性部材30の弾性力を補完する役割を行う。すなわち、前記支持部材40は、楔形をし、ソール本体20の前方部分の端部から上方に傾斜する後方部分20bと弾性板34との間に設けられる空間の全体大きさよりは小さく、一定の空間、長手方向に好ましくは約30〜60%に相当する空間の大きさに対応する形状からなる。前記支持部材40の他端部は、ソール本体20の後方部分20bの一側に設けられた突出段部24と結合することにより固定される。すなわち、楔形の支持部材40の端部に設けられた突出部42が突出段部24の内部の段部空間24aに挿入され、突出部42上の両側端面が突出段部24に係止されることにより、前記支持部材40はソール本体20の後方部分20bと弾性部材30との間に設けられた空間に密着固定される。上述したように固定されることにより加えられる外力が支持部材40によってある程度吸収されることで、弾性作用が足の後部分で主に行われるうえ、弾性部材30の折れなどが防止される。このような支持部材40は、適切なある程度の剛性を持てばよいので、合成樹脂材の材質で構成すれば良いであろう。
【0053】
一方、支持部材40が結合した後方部分20bのソール本体20と弾性部材30との間に設けられた空間には、補助弾性材aをさらに備えてもよい。勿論、このような補助弾性材aは支持部材40とは多少異なる役割を行う。すなわち、本発明では、前記ソール本体20の後方部分20bと弾性部材30との間に空間が設けられ、加えられる外力に対して前記ソール本体20の後方部分20bが弾性部材30によって弾性力を持つ。このような弾性力を足の後方部分20bの踵部分に集中させ且つ弾性部材30の折れなどを補完するために、楔形の支持部材40が備えられるが、補助弾性材aは、足の後方部分における弾性力をより柔軟にするためのものである。すなわち、支持部材40の材質とは異なり、シリコンゴムや吹き込み成形されたエアバック、スポンジなどのように外力に応じて柔軟な変形性を持つ補助弾性材aを備えることにより、足の後方部分20bの踵部に位置するソール本体20と弾性部材30との間における弾性力をより柔らかく維持することができる。
【0054】
以下、本発明に係る弾性ソール10が外力に対して作動する過程について詳細に説明する。
【0055】
図4および図5に示すように、弾性ソール10を備えた靴を履いて歩行またはジョギングなどを行うとき、踵から足指のある側へ荷重が伝達される。すなわち、最初歩行のための接地の際に踵に最大荷重が伝達され、前記荷重が伝達された後、歩行のために前進の際に踵が持ち上げられ、足指のある足の前方を踏み出しながら前進する。よって、踵に伝達される荷重による外力を十分吸収することにより、足首および膝関節を保護することができる。このため、本発明では、踵を介して歩行による垂直荷重が伝達される場合、踵部位のソール本体20と弾性部材30との間は離隔した空間状態を維持するので、垂直荷重による外力がソール本体20の後部分を垂直下方に押圧する。この際、弾性部材30の固定片32がソール本体20と一体になっているので、前記固定片32は弾性支持軸の役割を行う。すなわち、加えられる垂直荷重により、固定片32はソール本体20と一体になって垂直荷重による遊動が在り得ず、地面に接地した状態で支持軸になり、ソール本体20の後方部分20bは垂直荷重による下方に力を受ける。この際、弾性部材30の弾性板34は、ソール本体20に固定片32が一体に固定された状態なので、加えられる垂直荷重によって固定片32の支持軸を中心として上方に弾性力を受け、垂直上方に移動しようとする弾性力が作用する。よって、ソール本体20の後方部分20b側に伝達される衝撃などの垂直荷重は前記弾性板34の反対方向の弾性力によって相殺され、これにより衝撃が吸収される。
【0056】
一方、本発明では、ソール本体20と弾性部材30との間に支持部材40が設けられており、前記支持部材40はソール本体20と弾性部材30との間にきつく挿入された状態を維持するから、前記伝達される垂直荷重による外力は支持部材40の後方に位置したソール本体20と弾性部材30に作用するため、より効果的に踵部分へ弾性部材30による弾性力を多く伝達することができるので効果的である。すなわち、上述したように、踵部分に最も過度な衝撃量が伝達されるので、これによる弾性部材30の弾性板34による弾性力が支持部材40によってより後部分に多く作用してさらに効率よく衝撃を吸収することができる。
【0057】
次に、上述したように、前記支持部材40の後方側のソール本体20と弾性部材30との間の空間にシリコンゴムなどの補助弾性材aが位置した場合、前記補助弾性材aは、十分な柔軟性を有し、外力による形態変形が容易なので、垂直荷重によるソール本体20の下方への移動、および弾性部材の固定片32が支持軸として作用し且つ弾性力に起因する弾性板34の上方への移動による衝撃吸収機能を十分に媒介し、より柔軟な衝撃吸収機能が行われ得る。
【0058】
一方、上述したように垂直荷重に起因する外力の伝達による弾性部材30の弾性力による衝撃吸収が行われた状態では、前記弾性部材30の弾性板34は元の状態に戻ろうとする潜在的な弾性力が内在した状態を維持している。この状態で歩行のために踵を持ち上げ、足の前部分へ体重が移動し、垂直荷重が足の前部分に片寄る場合、足の後部分には垂直荷重による外力が除去された状態を維持する。この際には、自然的に弾性部材30の弾性板34による弾性力が復元しようとする方向に力の伝達が行われるので、弾性部材30の弾性板34は固定片32を中心として下方に弾性復元力が作用し、これに対し、ソール本体20は上方に反発力が作用する。よって、ソール本体20は、足の後部分を垂直上方に押し上げる力が発生するので、歩行にさらに役立てる。上述したように、支持部材40によってソール本体20の後部分を介して弾性板34による弾性復元力が多く伝達され、補助弾性材aが位置する場合にはより柔軟な弾性復元力の伝達がなされる。
【0059】
上述したように、弾性部材30の固定片32がソール本体20に固定され、ソール本体20の後方部分20bと弾性部材30の弾性板34とが離隔した状態を維持することにより、伝達される垂直荷重による外力に対して、弾性板34は弾性力による衝撃吸収機能を維持し、外力除去の際に弾性復元力による反発力によって歩行をより容易に行うことができる。よって、靴において解決されなければならないが、相互対称的な相反する原理による問題のため解決できなかった衝撃吸収機能と反発弾性機能が同時に実現され、より機能的な靴を提供することができる。
【0060】
以上説明したように、本発明では、弾性部材の弾性力による衝撃吸収と弾性復元力による反発弾性の機能のための構成および作用を前述の説明および図面によって示したが、これは例を挙げて説明したものに過ぎず、本発明の技術的思想から逸脱することなく多様な変化および変更が可能なのは勿論である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
足が地面と接する部分のソールを備えた靴において、
踵に加えられる外力に応じる弾性力を有する板状の弾性部材を含み且つ前記弾性部材の一側端部が内部に挿着されて弾性支持軸を形成する弾性ソールを備え、
加えられる外力の変化に応じて弾性収縮および弾性復元が行われることを特徴とする、衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項2】
前記弾性ソールは、
後方側へ上方に傾斜して形成されたソール本体と、
前記ソール本体の後方側の傾斜部分の底面一側に固定される固定片、および前記固定片から下方に傾斜して延長されて外部に晒され、他端部が前記ソール本体から離隔して形成された弾性板からなる弾性部材とを含み、
前記固定片を弾性支持軸として前記ソール本体の後方側に外力が加えられると弾性収縮が行われ、外力を除去すると弾性復元力が提供されることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項3】
前記弾性部材は金属材または合成樹脂材からなることを特徴とする、請求項2に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項4】
前記弾性部材の外面はゴムまたは軟質の合成樹脂材で被覆されていることを特徴とする、請求項3に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項5】
前記弾性ソールは、前記弾性板がのせられる後方ソールをさらに含んでなることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項6】
前記弾性部材の弾性板と前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分との間に支持部材が挿入されることを特徴とする、請求項5に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項7】
前記支持部材は、前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分の一側面に突出段部を有し、一端が前記突出段部に係合されることを特徴とする、請求項6に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項8】
弾性力を有する補助弾性材が、前記支持部材の後方における弾性部材とソール本体との間に設けられた空間にさらに結合されることを特徴とする、請求項6または7に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項9】
前記ソール本体には後方側の上方傾斜部分の一側に入り口が設けられ、前記入り口に連通して前記ソール本体の内部には空間部が設けられることにより、前記空間部の内部に前記弾性部材の固定片が定着されて固定されることを特徴とする、請求項5に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項10】
前記ソール本体は上面に位置するインソールをさらに含んでなることを特徴とする、請求項9に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項11】
前記ソール本体の空間部の上面に位置する前記インソール部分を介してネジで結合されることにより、前記固定片が前記ソール本体に固定されることを特徴とする、請求項10に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項12】
前記弾性部材の前記弾性板と前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分との間に支持部材が挿入されることを特徴とする、請求項10または11に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項13】
前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分の一側面に突出段部が設けられ、前記支持部材の一端が前記突出段部に係合されることを特徴とする、請求項12に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項14】
弾性力を有する前記補助弾性材が、前記支持部材の後方における弾性部材とソール本体との間に設けられた空間にさらに結合されることを特徴とする、請求項13に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソールを備えた靴。
【請求項15】
後方側へ上方に傾斜して形成されたソール本体と、
前記ソール本体の後方側の傾斜部分の底面一側を介して挿入されて固定される固定片、および前記固定片から下方へ傾斜して延長されて外部に晒され、他端部が前記ソール本体から離隔して形成された弾性板からなる弾性部材と、
前記ソール本体の上面に位置するインソールとを含んでなり、
前記固定片を弾性支持軸として前記ソール本体の後方側に外力が加えられると弾性収縮が行われ、外力を除去すると弾性復元力が提供されることを特徴とする、衝撃吸収性と反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項16】
前記弾性部材は金属材または合成樹脂材からなることを特徴とする、請求項15に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項17】
前記弾性ソールは、前記弾性板がのせられる後方ソールをさらに含んでなることを特徴とする、請求項16に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項18】
前記弾性ソールは、地面と接する前記ソール本体の前方下面に前方ソールをさらに含むことを特徴とする、請求項17に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項19】
前記弾性部材の前記弾性板と前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分との間に支持部材が挿入されることを特徴とする、請求項17または18に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項20】
前記ソール本体の後方側の上方傾斜部分の一側面に突出段部が設けられ、前記支持部材の一端が前記突出段部に係合されることを特徴とする、請求項19に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項21】
弾性力を有する前記補助弾性材が、前記支持部材の後方における前記弾性部材と前記ソール本体との間に設けられた空間にさらに結合されることを特徴とする、請求項19または20に記載の衝撃吸収性および反発弾性を有する弾性ソール。
【請求項22】
前記ソール本体には後方側の上方傾斜部分の一側に入り口が設けられ、前記入り口に連通して前記ソール本体の内部には空間部が設けられることにより、前記空間部の内部に前記弾性部材の固定片が定着されて固定されることを特徴とする、請求項21に記載の衝撃吸収性と反発弾性を有する弾性ソール。

【公表番号】特表2010−538788(P2010−538788A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525734(P2010−525734)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000596
【国際公開番号】WO2009/075407
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(509286776)
【復代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
【Fターム(参考)】