説明

衝撃吸収部材

【課題】優れた衝撃吸収特性を発揮することが出来、また、製造の容易な構造において、軽量化にも寄与し得る衝撃吸収部材を提供すること。
【解決手段】所定幅で一方向に延びる正面板12と、かかる正面板に対して距離を隔てて平行に対向配置されて、前記一方向に延びる背面板14と、正面板12と背面板14とを連結する3枚の連結板(16a〜16c)とからなる衝撃吸収部材10において、正面板12の厚みが背面板14の厚みよりも大とされていると共に、横断面形状において、3枚の連結板(16a〜16c)のうち中間の1枚が、正面板12に直交する対称軸上に配置され、その両側に、他の2枚が傾斜して対称的に配置され、更に、正面板12及び背面板14の幅方向の両端部が、それぞれ、前記他の2枚の連結板との連結部よりも外方に延長せしめられて、4つの突出部12a,12b,14a,14bが形成されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収部材に係り、特に、衝撃吸収性能が求められる車両用バンパ装置等において好適に用いられる衝撃吸収部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の前方又は後方には、車両の衝突等によって発生する衝撃(荷重)を可及的に吸収して、車体への損傷を緩和するための車両用バンパ装置が、取り付けられている。そして、そのような車両用バンパ装置には、衝撃吸収部材として、衝撃エネルギを自身の変形で吸収するバンパリインフォースメントが、配設されている。
【0003】
ところで、かかるバンパリインフォースメントの如き衝撃吸収部材は、一般に、衝撃を受ける側の正面板と車体取付側の背面板とを、互いに所定の距離を隔てて、略平行に対向配置せしめると共に、それら正面板と背面板とを、複数枚の連結板にて連結してなる構造を有しており、その横断面形状は、主として、「口」字状、「日」字状又は「目」字状の形状を呈している。そして、そこにおいて、正面板に衝撃が加わると、荷重は、正面板から連結板、そして背面板へと伝わり、更に荷重が増加するにつれて、連結板が座屈して、車体側に加わる荷重が緩和されるようになっているのである(例えば、特許文献1,2等参照)。
【0004】
また、そのようなバンパリインフォースメント等として用いられる衝撃吸収部材には、近年、車両の軽量化等の観点から、その材料として、アルミニウム合金の押出形材が使用されるようになりつつあり、更に、バンパリインフォースメントとして用いるべく、その衝撃吸収性能を向上させようとする技術が、種々報告されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
【0005】
しかしながら、それら提案の性能向上技術にあっては、衝撃吸収性やその製作容易性、軽量化等の何れかの点において、今一つ充分でなく、最近における更なる衝撃吸収性の向上や軽量化の要請に対して、充分に応え得るものではなかったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−59296号公報
【特許文献2】特開2003−182481号公報
【特許文献3】特開2005−212587号公報
【特許文献4】特開2006−7828号公報
【特許文献5】特開2004−148915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、優れた衝撃吸収特性を有利に発揮することの出来る衝撃吸収部材を提供することにあり、また、他の課題とするところは、製作の容易な構造において、軽量化にも寄与し得る衝撃吸収部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組合せにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
(1) 厚み方向に荷重入力を受ける、所定幅で一方向に延びる正面板と、該正面板に対して距離を隔てて平行に対向配置されて、前記一方向に延びる背面板と、該正面板と該背面板との間に配置されて、両者を幅方向の異なる位置において且つその延びる方向においてそれぞれ連結する3枚の連結板とからなる衝撃吸収部材であって、
前記正面板の厚みが前記背面板の厚みよりも大とされていると共に、横断面形状において、前記3枚の連結板のうち中間に位置する1枚が、前記正面板に直交する対称軸上に配置され、他の2枚が、該対称軸を挟んでその両側に対称的に位置し、且つ前記正面板に向かって拡開するように該対称軸に対して傾斜して配設されて、その傾斜方向が互いに逆方向となるように配置され、
更に、前記正面板及び前記背面板の幅方向の両端部が、それぞれ、前記他の2枚の連結板との連結部よりも外方に延長せしめられて、4つの突出部が形成されていることを特徴とする衝撃吸収部材。
(2) 前記横断面形状において、前記正面板の外側面と前記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とする一方、更に該正面板と該背面板と前記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる、該正面板と該背面板との対向方向における中立軸と、該正面板の外側面との間の最短距離をh(mm)としたとき、次式:
0.25≦h/H≦0.45
を満足するように構成されていることを特徴とする前記態様(1)に記載の衝撃吸収部材。
(3) 前記正面板の外側面と前記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とし、該正面板の幅方向の寸法をL(mm)としたとき、次式:
50≦H≦150
0.3≦H/L≦0.7
を満足するように構成されていることを特徴とする前記態様(1)又は(2)に記載の衝撃吸収部材。
(4) 前記正面板の厚みが2.5〜15mmであり、前記背面板の厚みが1〜5mmであり、前記連結板の厚みが1〜5mmである前記態様(1)乃至(3)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(5) 前記正面板と前記連結板との連結部、及び/又は、前記背面板と前記連結板との連結部が、前記横断面形状において、湾曲した両側部をもって形成されると共に、該正面板側の連結部における湾曲した側部の曲率半径をR1 とし、該背面板側の連結部における湾曲した側部の曲率半径をR2 としたとき、次式:R1 ≧R2 を満足するように構成されていることを特徴とする前記態様(1)乃至(4)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(6) 前記正面板の幅方向両端部の突出部の長さ、及び/又は、前記背面板の幅方向両端部の突出部の長さが、それぞれ、異なる長さとされていることを特徴とする前記態様(1)乃至(5)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(7) 前記正面板の幅方向一方の端部側に設けられた前記突出部において、その先端部分の厚さが、該正面板の厚さよりも厚くされていることを特徴とする前記態様(1)乃至(6)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(8) 前記正面板と前記背面板と前記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる、該正面板と該背面板との対向方向に直角な方向における中立軸が、前記対称軸から偏らされていることを特徴とする前記態様(1)乃至(7)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(9) 前記正面板、前記背面板及び前記連結板が、アルミニウム合金、鋼又は樹脂にて形成されている前記態様(1)乃至(8)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(10) アルミニウム合金の押出形材にて構成されている前記態様(1)乃至(9)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
(11) 車両用バンパ装置に組み込まれるバンパリインフォースメントとして用いられる前記態様(1)乃至(10)の何れか一つに記載の衝撃吸収部材。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明に従う衝撃吸収部材にあっては、その横断面形状において、正面板と背面板とを連結する3枚の連結板が、正面板に直交する対称軸上に位置する中間の連結板を挟んで、その両側に、傾斜して対称的に配置される2枚の連結板が、正面板に向かって拡開するように傾斜して配置されていることにより、衝撃エネルギの吸収性が効果的に向上せしめられ得ることとなる。
【0011】
しかも、本発明では、正面板の厚みが背面板の厚みよりも大となるように構成されていることにより、正面板と背面板の対向方向における中立軸の位置が、かかる対向方向における中間の位置よりも正面板側に偏るようになるところから、単位質量当たりの最大曲げモーメントを大きくすることが出来、また、断面剛性を充分に高めることが出来るようになるために、優れた剛性を示す衝撃吸収部材が容易に実現され得、以て、優れた衝撃エネルギ吸収特性を発揮することが出来るようになるのである。
【0012】
また、本発明に従う衝撃吸収部材にあっては、それを構成する正面板及び背面板の幅方向における両端部が、全て、外方に延長されてなる形態の突出部として構成されているところから、2枚の傾斜した連結板の傾斜形態と協働して、衝撃入力時における連結板の座屈強度や剛性が、効果的に高められ得ることとなるのであり、その結果として、衝撃吸収部材の座屈強度や剛性を有利に向上させることが出来るのである。
【0013】
さらに、本発明に従う衝撃吸収部材においては、正面板と背面板を連結する連結板は、3枚となり、従来の「目」字状の横断面形状を呈する衝撃吸収部材に比して、連結板の枚数が少なく、また、正面板や背面板の板面に対して垂直な方向に突出した突出部を設けるものでもないところから、その横断面形状が簡素化、簡略化され得て、その製作が容易と為され得ると共に、構造的にも軽量化を図り得る構造となっているのである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に従う衝撃吸収部材の基本形状の一例を示す部分斜視説明図である。
【図2】図1に示される衝撃吸収部材の横断面拡大説明図であって、図1におけるA−A断面に相当する図である。
【図3】正面板及び背面板の端部突出部について説明するための、図2の部分説明図である。
【図4】本発明に従う衝撃吸収部材の異なる一例を示す、図2に対応する横断面説明図である。
【図5】本発明に従う衝撃吸収部材の更に他の一例を示す、図2に対応する横断面説明図である。
【図6】衝撃吸収部材の最大曲げモーメントとh/Hとの関係を示すグラフである。
【図7】衝撃吸収部材の単位質量当たりの最大曲げモーメントとh/Hとの関係を示すグラフである。
【図8】衝撃吸収部材の単位質量当たりの断面剛性とh/Hとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0016】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う衝撃吸収部材に係る基本的な形状が示されているが、そこにおいて、衝撃吸収部材10は、車両用バンパ装置におけるバンパリインフォースメントとして好適に用いられるものであって、所定幅で一方向に延びる長手の正面板12と、この正面板12に対して、互いに所定の距離を隔てて略平行に対向配置された、かかる正面板12と同一方向に延びる所定幅の背面板14と、それら正面板12と背面板14との間に配置されて、両者を、幅方向の異なる位置において、且つその延びる方向において、それぞれ連結する3枚の連結板16a,16b,16cとからなる、一体的な構造体として構成されている。そして、正面板12には、その外側面に対して、換言すれば図1及び図2において左方より、その厚み方向に、荷重(衝撃)入力を受けるようになっているのである。従って、この衝撃吸収部材10が、車両用バンパ装置におけるバンパリインフォースメントとして用いられる場合にあっては、正面板12が車両前方側に、背面板14が車両後方側に位置するようにして、車幅方向に延びるように、配設されることとなる。その場合において、衝撃吸収部材10の長手方向の長さ(図2において、紙面に垂直な方向の長さ)は、一般に、1500〜1900mm程度とされることとなる。
【0017】
そして、かかる衝撃吸収部材10を構成する正面板12、背面板14及び3枚の連結板16a〜16cは、公知の材料、例えば、アルミニウム合金、鉄合金、マグネシウム合金等の金属材料や樹脂材料等の中から、適宜に選択された材料を用いて構成されることとなるが、望ましくは、アルミニウム合金、鋼、又は樹脂からなる材料にて構成されていることが好ましい。特に、その中でも、軽量化の観点からすると、アルミニウム合金からなる材料を用いることが望ましく、更に、アルミニウム合金の中でも、強度特性に優れた、JIS呼称合金番号で6000系や7000系等のアルミニウム合金からなる材料にて構成することが、より一層望ましいのである。そして、このような材料にて構成される正面板12、背面板14及び連結板16a〜16cからなる衝撃吸収部材10は、押出成形操作によって得られる押出形材にて有利に与えられ得るものであるが、その他、溶接、鋳造、鍛造等の公知の各種の加工方法を用いて、製造することも可能である。
【0018】
また、そのような衝撃吸収部材10においては、図2に示される如く、正面板12と背面板14とを、幅方向の異なる位置において、且つそれらの延びる方向において、それぞれ連結する3枚の連結板16a〜16cのうち、中間に位置する1枚の連結板である中央連結板16bは、横断面形状において、正面板12に直交する対称軸C上に位置するように、換言すれば、中央連結板16bの中心線が対称軸Cに一致するようにして、それら正面板12と背面板14とに直交する形態において連結している。一方、残りの2枚の連結板は、中央連結板16bより幅方向反対側にそれぞれ所定距離離れた形態において、正面板12と背面板14の対応する端部同士をそれぞれ連結する端部連結板16a、16cにて構成されると共に、それら端部連結板16a,16cは、対称軸Cを挟んで、その両側に対称的に位置し、且つ正面板12に向かって拡開するように、対称軸Cに対して傾斜して配設されて、その傾斜方向が互いに逆方向となるように配置され、正面板12と背面板14の両端部間を、それぞれ連結している。要するに、2枚の端部連結板16a,16cは、それぞれ、中央連結板16bから正面板12や背面板14の幅方向において等距離に配設されているのであり、また、その傾斜方向が逆方向となるものの、その傾斜角度、従って、正面板12や背面板14との為す角度:θは、同一とされているのである。
【0019】
このように、衝撃吸収部材10における正面板12と背面板14とを、3枚の連結板16a〜16cにて連結せしめると共に、それらの相対応する端部同士を連結する端部連結板16a,16cを対称的に傾斜させて、配設することによって、その横断面形状において、可及的に大きな台形形状が実現されることとなるのであり、これによって、正面板12に対する各種の方向からの荷重入力に対しても、それぞれの連結板16a〜16cに作用する曲げモーメントが、全体として効果的に相殺されるようになるのであって、これにより、衝撃エネルギーの吸収性が、効果的に向上せしめられ得るのである。
【0020】
なお、かかる端部連結板16a、16cの傾斜角度、即ち、正面板12又は背面板14に対する傾斜角度θについて、長さ100mmの試験片を圧縮するFEM解析によって、それら端部連結板の傾斜角度を変更した形態において、同一荷重(1kN/100mm)を付加(圧縮)した場合の変位(圧縮ストローク)を検討した結果、θ=85°の場合が最小となり、そしてθがそれよりも大きくても、小さくても、かかる変位が大きくなるところから、本発明においては、端部連結板16a,16cの傾斜角度θとしては、好ましくは、80°以上90°未満の値が、有利に採用されることとなる。中でも、かかる角度θが85°以上90°未満となるようにすることによって、傾斜角が直角に近い範囲に限定されることとなるため、衝撃吸収部材10の押出成形に際して、その押出性が高くなる利点があり、更に、85°以上87°以下の角度θを採用するようにすれば、良好な押出性と優れた圧縮強度(より小さな圧縮変位)が得られることとなる。なお、それら端部連結板16a,16cの傾斜方向が逆となり、正面板12から背面板14に向かって拡開するような傾斜形態となった場合においては、曲げ耐力(強さ)が低下するようになるために、90°を超える角度θは採用することが出来ない。
【0021】
さらに、図1及び図2に示される衝撃吸収部材10においては、正面板12の厚みが、背面板14の厚みよりも大きくされており、これによって、正面板12と背面板14の対向方向における中立軸、即ち、正面板12と背面板14と連結板16a〜16cとの構造によって決定され、断面1次モーメントが0となる、衝撃吸収部材10の厚み方向における中立軸(厚さ方向中立軸)OT の位置が、かかる対抗方向における中間の位置よりも正面板12側に偏るようになるところから、単位質量当たりの最大曲げモーメントを効果的に大きくすることが出来、また、断面剛性を充分に高めることが出来るために、優れた剛性を示す衝撃吸収構造を有利に実現し得て、高い衝撃エネルギー吸収性を発揮せしめ得るのである。
【0022】
加えて、このような衝撃吸収部材10においては、図面に示されるように、正面板12及び背面板14の幅方向の両端部が、それぞれ、端部連結板16a,16cとの連結部よりも所定長さ外方に延長せしめられて、4つの突出部12a,12b;14a,14bが形成されている。このような突出部12a,12b;14a,14bの存在によって、正面板12及び背面板14の端部に傾斜して配設された2枚の端部連結板16a,16cに対して、正面板12を介しての荷重(衝撃)入力が偏ることなく、均等に伝達せしめられるようになり、これによって、それら端部連結板16a,16cの傾斜形態と協働して、衝撃入力時における座屈強度や剛性が、効果的に高められ得ることとなる。
【0023】
なお、それら正面板12や背面板14の突出部12a,12b;14a,14bの突出量は、図3に示される如く、各端部連結板16a,16cの外側面と正面板12の内側面又は背面板14の内側面とが交わる点から、正面板12の端面又は背面板14の端面に至る長さ:Pf又はPbにて示され、それらは、何れも、一般に、4mm以上の突出長さとされることとなる。なお、それらPfやPbが4mm未満となる突出部12a,12b;14a,14bである場合においては、荷重入力時に高い曲げ応力が発生して、連結板16a〜16cが倒れ易く、座屈し易くなるのである。
【0024】
ところで、かかる例示の如き、正面板12と背面板14と連結板16a〜16cとの配置構造によって構成される衝撃吸収部材10においては、図2に示される横断面形状において、断面1次モーメントが0となる中立軸が、存在することとなる。その中立軸は、衝撃吸収部材10の厚み方向(図2において左右方向)にも、幅方向(図2において上下方向)にも存在するのである。なお、便宜上、以下においては、厚み方向の中立軸を「厚さ方向中立軸」、幅方向の中立軸を「幅方向中立軸」と言うこととする。
【0025】
そして、かかる厚さ方向中立軸は、衝撃吸収部材10の厚み方向(正面板12及び背面板14に直交する方向)における断面1次モーメントが0となる位置に存在する中立軸であって、この厚さ方向中立軸自体は、衝撃吸収部材10の幅方向(正面板12及び背面板14と平行な方向、即ち、それら正面板12と背面板14の対向方向に直角な方向)に延びるように存在する。また、幅方向中立軸は、衝撃吸収部材10の幅方向(正面板12及び背面板14と平行な方向)における断面1次モーメントが0となる位置に存在する中立軸であり、この幅方向中立軸自体は、衝撃吸収部材10の厚み方向(正面板12及び背面板14と直交する方向、即ち、それら正面板12と背面板14の対向方向に平行な方向)に延びるように存在することとなる。
【0026】
そして、本発明においては、図2に示される如く、衝撃吸収部材10の厚み方向における中立軸OT と、正面板12の外側面との最短距離をhとし、また、正面板12の外側面と背面板14の外側面との間の距離をHとしたとき、それらの比:h/Hが、0.25以上、0.45以下となるようにした構成が、好適に採用されることとなるのである。即ち、かかる中立軸(厚さ方向中立軸)OT の位置を、正面板12側に、次式:0.25≦h/H≦0.45という関係を満足するように偏らせた構造が、有利に採用されるのである。
【0027】
なお、かかる厚さ方向中立軸OT を正面板12側に偏らせる具体的な構成については、後述することとするが、例えば、正面板12の厚みを背面板14の厚みよりも大きくしたり、正面板12と連結板16a〜16cとの連結部や背面板14と連結板16a〜16cとの連結部を、後述するように、曲面で形成したり、衝撃吸収部材10の幅方向における中立軸である幅方向中立軸を、連結板16a〜16cの対称軸から偏らせることにより、実現することが可能である。勿論、これらの具体的な手段より、それぞれ一つの手段を採用して、厚さ方向中立軸OT の変位を実現することが出来る他、また、二つ以上の手段を組み合わせて、実現することも可能である。
【0028】
また、かかる衝撃吸収部材10においては、望ましくは、正面板12の外側面と背面板14の外側面との間の距離をH(mm)とし、正面板12の幅方向の寸法をL(mm)としたときに、次式:50≦H≦150、0.3≦H/L≦0.7を満足するように構成され、これによって、衝撃吸収性能がより向上せしめられ得ることとなる。これに反して、Hが50mm未満となる場合には、連結板16a〜16cの長さが短くなり、衝撃を充分に吸収出来るだけの変形量を確保することが困難となる恐れがある一方、かかるHが150mmを超える場合には、連結板16a〜16cの長さが長くなり、それら連結板16a〜16cが、幅方向において対称に座屈せず、幅方向の一方に偏った座屈形態が生じ易くなって、衝撃吸収量(耐荷重)の絶対値が低くなる恐れがある。また、H/Lの値を0.3以上0.7以下とすることにより、実用的な幅寸法範囲において、連結板16a〜16cの座屈形態が、幅方向において略対称となり、衝撃吸収性能をより向上させることが出来るのである。なお、このH/Lの値が0.3未満の場合には、幅寸法に比べて厚み方向の寸法が小さくなり過ぎて、実用的な幅寸法範囲においては衝撃を充分に吸収出来るだけの変形量を確保することが困難になる恐れがある。一方、かかるH/Lの値が0.7を超える場合には、連結板16a〜16cが幅方向で対称に座屈せず、幅方向の一方に偏った座屈が生じ易くなるために、衝撃吸収性が低下する恐れがある。
【0029】
また、正面板12の幅方向の寸法(長さ)であるLは、上記したH及びH/Lの条件を満たす範囲において、適宜に選定され、そうすることによって、車両用の衝撃吸収部材として随所に適用可能となるのである。例えば、適用対象として、ドアインパクトバーやバンパリインフォースメント等としては勿論、トラックのアオリ等にも適用することが出来る。なお、かかるLの値が余りにも小さくなると、例えば高強度アルミニウム合金等の高強度な材料で衝撃吸収部材10を構成する場合に、押出加工等の加工が困難となる恐れがあり、一方、かかるLの値が大きくなり過ぎると、押出加工等の製造可能範囲を超える恐れがあり、たとえ加工後に溶接等により接合して得ることが出来たとしても、コスト上不利となる。このため、好ましくは、かかるLは、75mm〜250mmの範囲内の寸法とすることが望ましいのである。
【0030】
さらに、衝撃吸収部材10を構成する部位の寸法関係にあっても、有利には、正面板12の厚みとしては、2.5〜15mmの範囲内とされ、また背面板14や連結板16a〜16cの厚みとしても、それぞれ、1〜5mmの範囲内とされる。このような寸法関係において、正面板12の厚みを背面板14の厚みよりも大きくすることによって、前記した厚さ方向中立軸OT の位置を正面板12側に有利に偏らせることが出来、それによって、前記したh/Hの値を0.25〜0.45の範囲内とした衝撃吸収部材10を、容易に実現することが出来るのであり、また、1〜5mmの厚さの背面板14や連結板16a〜16cを用いても充分な強度を有する衝撃吸収部材10を得ることが出来るのである。
【0031】
なお、正面板12の厚みが2.5mmよりも薄くなると、h/Hが0.45以下となるまで厚さ方向中立軸OT を正面板12側に偏らせることが困難となる恐れがあり、また、15mmを超えるような厚さとなる場合には、衝撃吸収部材10全体の重量が増し、軽量化に結びつかなくなる恐れがある。この正面板12の厚みとしては、より好ましくは、3mm〜7mm程度である。また、背面板14や連結板16a〜16cの厚みが1mmよりも薄くなると、衝撃吸収部材10を押出成型操作にて得る際に、押出性が悪く、製品を作製するのが難しくなる一方、それらの厚みが5mmを超えるようになると、衝撃吸収部材10全体の重量が増し、軽量化に結びつかなくなる恐れがある。それらの厚みとしては、それぞれ、1〜3mm程度とすることが、より望ましい。
【0032】
また、かくの如き構成の衝撃吸収部材10にあっては、その正面板12と各連結板16a〜16cとの連結部や、背面板14と各連結板16a〜16cとの連結部の少なくとも何れか一方、特に、それらの全てが、図2示される横断面形状において、曲面、即ち湾曲した側部をもって形成されていることが望ましく、更に、正面板12側の連結部における湾曲した側部の曲率半径をR1 とし、背面板14側の連結部における湾曲した側部の曲率半径をR2 としたときに、次式:R1 ≧R2 を満足するように構成されていることが、望ましいのである。
【0033】
このように、正面板12の内側面や背面板14の内側面に対する各連結板16a〜16cの連結部の両側の側面を、所定の曲率半径を付与するために、曲面にて形成することにより、衝撃吸収部材10の剛性を有利に高めることが出来るのであり、また、厚さ方向中立軸OT の位置を正面板12側に偏らせると共に、前記したh/Hの値が好適なものとなる衝撃吸収部材を容易に実現することが出来ることとなる。なお、R1 よりもR2 の値が大きくなるような曲面が、背面板14と連結板16a〜16cの連結部に形成されるようにすると、好ましいh/Hの値を有する衝撃吸収部材の実現が困難となる恐れがある。特に、本発明にあっては、R1 はR2 よりも大となるように、正面板12に対する連結板16a〜16cの連結部の曲面が形成されることとなる。また、各連結板16a〜16cの正面板12や背面板14に対する連結部の両側に形成される湾曲面は、同一の曲率半径のものとされる他、必要に応じて異なる曲率半径のものとすることも可能である。
【0034】
ところで、上記した衝撃吸収部材10においては、正面板12の幅方向両端部の突出部12a,12bの長さや、背面板14の幅方向両端部の突出部14a、14bの長さが、それぞれ同じ長さとされていることにより、対称軸Cは、図2に示される横断面形状において、正面板12及び背面板14の幅方向における中央の点を通る軸と一致しているのであるが、この場合には、横断面形状において、衝撃吸収部材10の全体形状を、かかる対称軸Cについて線対称に構成することが出来、押出成形が容易となる利点がある。また、その場合には、衝撃吸収部材10の幅方向における中立軸(幅方向中立軸)が、かかる対称軸Cに一致するようになるのである。なお、この明細書においては、対称軸Cは、衝撃吸収部材10の横断面形状において、正面板12と背面板14と2つの端部連結板16a、16cにて囲まれた形状における対称軸を意味するものであって、本発明の規定に従う限りにおいて、かかる対称軸Cは、常に、中央連結板16bの中心線と一致するようになっている。
【0035】
そして、本発明にあっては、そのような正面板12の両端の突出部12a,12bや背面板14の両端の突出部14a,14bの各長さを、それぞれ異なる長さとすることも、有利に採用され、その一例が、図4に示されている。
【0036】
すなわち、図4において、衝撃吸収部材10を構成する正面板12及び背面板14のそれぞれの両端部に設けられた突出部12a、12b;14a、14bの長さにおいて、正面板12の一方の突出部12aは、他方の突出部12bよりも長い突出長さとされているのであり、また背面板14の一方の突出部14aの長さも、他方の突出部14bの長さよりも長くされているのである。これにより、衝撃吸収部材10の幅方向(図4において、上下方向)における中立軸(幅方向中立軸)OW を、前例とは異なり、対称軸Cから幅方向に偏らせて、位置させることが出来ることとなる。なお、このような幅方向中立軸OW の偏りは、図示の如き横断面形状において、例えば、少なくとも正面板12における一方の突出部12aを他方の突出部12bよりも長くすることにより、実現することが出来るものであるが、背面板14の突出部14a、14bについては、正面板12に合わせて、その一方の突出部を延長させることの他、そのような延長をさせないようにすることも可能である。
【0037】
さらに、本発明にあっては、図5に示される如く、正面板12の幅方向一方の端部側に設けられた突出部12aにおいて、その先端部分の厚さが、正面板12の厚さよりも厚くされている構成が、有利に採用されることとなる。これによって、断面2次モーメントが向上し、断面剛性を向上させることが出来るからである。なお、そのような突出部12aの先端部分の厚さが厚くされてなる厚肉部12a’は、正面板12の突出部12aにおける末端(先端部分)に形成されていることが好ましい。特に、前述の如く、正面板12における一方の突出部12aを他方の突出部12bよりも長くする場合においては、その長くされる側の突出部12aに、肉厚部12a’を形成することが好ましいのである。そして、このような厚肉部12a’は、一般に、正面板12の厚みよりも厚くされることが望ましく、そしてその厚みから上限を15mmとした範囲内において、適宜に選定されることとなる。
【0038】
そして、かかる図5に示される衝撃吸収部材10は、また、図4に示される衝撃吸収部材10と共に、車両用バンパ装置に組み込まれるバンパリインフォースメントとして好適に用いられることとなる。それら衝撃吸収部材10は、充分な強度を有することが出来るところから、軽量化の求められている車両用バンパ装置にとって、好適なものとなるのである。なお、それら衝撃吸収部材10は、その正面板12における長く突出せしめられた突出部12aや厚肉部12a’が、車両前方側において、上側に位置するように、配設されることとなる。
【0039】
ここにおいて、図1及び図2に示される構造の衝撃吸収部材(10)について、更にその寸法諸元を種々変化させてなるものの例について、以下に明らかにすることとする。
【0040】
先ず、それぞれの衝撃吸収部材(10)は、何れも、アルミニウム合金(6N01−T5、耐力:220MPa)を用いた押出形材にて構成されるものであって、その幅寸法の長さ(L)は100mm、厚み(H)は80mmとされている。また、2枚の端部連結板(16a,16c)の傾斜角度(θ)は、逆方向の傾斜となるものの、何れも、85°とされている。
【0041】
そして、このような基本構成の下に、正面板(12)の厚み、背面板(14)の厚み及び連結板(16a〜16c)の厚みを種々変化させることにより、衝撃吸収部材(10)の厚さ方向の中立軸OT を変位させて、下記表1に示される如きh/Hを与える各種の衝撃吸収部材(10)を得た。
【0042】
【表1】

【0043】
かかる表1より明らかな如く、背面板(14)に対する正面板(12)の厚みを変更することにより、厚さ方向中立軸OT の位置が変化して、h/Hの値が変化するのであり、そして、正面板(12)の厚みを大きくすることによって、かかる中立軸OT は、正面板(12)側に近づいて、h/Hの値は小さくなるのである。
【0044】
また、背面板(14)に対する正面板(12)の厚みを小さくすることにより、厚さ方向中立軸OT の位置は、正面板(12)から離れる方向に移動し、更に一層正面板(12)の厚みを小さくしたものにおいては、かかる中立軸OT の位置が更に一層正面板(12)から離れる方向に移動するのである。
【0045】
このような結果よりして、正面板(12)及び背面板(14)のそれぞれの厚みを変化させることにより、厚さ方向中立軸OT の位置が変化させられ得、以て、h/Hの値を有効に制御することが出来ることとなるのである。
【0046】
また、上記の衝撃吸収部材(10)の厚み方向における中立軸(厚さ方向中立軸)OT の位置と、最大曲げモーメント、単位質量当たりの最大曲げモーメント及び単位質量当たりの断面剛性との関係を調べた結果が、それぞれ、図6〜図8に示されている。なお、それらの図において、◆印は、耐力が350MPaのアルミニウム合金材料を用いて得られた結果を示し、また■印は、耐力が370MPaのアルミニウム合金材料を用いて得られた結果を示している。
【0047】
具体的には、厚さ方向中立軸OT の位置を変化させた、上記と同様な複数の衝撃吸収部材について、その最大曲げモーメント(N・mm)、単位質量あたりの最大曲げモーメント(N・mm/kg)及び単位質量あたりの断面剛性(N・mm2 /kg)を求め、その結果が、それぞれ、図6〜図8に示されているのである。なお、それら図6〜図8においては、正面板(12)の外側面と背面板(14)の外側面との間の距離H(mm)及び厚さ方向中立軸OT と正面板(12)の外側面との最短距離hとから求められる比:h/Hと、最大曲げモーメント、単位質量あたりの最大曲げモーメント及び単位質量あたりの断面剛性との関係が、それぞれ、示されている。
【0048】
なお、最大曲げモーメントは、三点曲げ試験により、従来と同様にして測定することが可能である。即ち、正面板(12)を外側、背面板(14)を内側に配して、長手方向に沿って内R=300mmに曲げた衝撃吸収部材(10)を、支持台(幅=200mm)を用いてスパンS=800mmで支持し、外R側(正面板12側)に平板を介して荷重Fを付加する試験にて行われる。その際、荷重は、試験機のロードセルにより連続測定される。スパン中央の内R側の点に変位計を取り付けて、その変位を連続測定する。そして、この三点曲げ試験において、座屈発生時の最大荷重F(N)を求め、次式により、最大曲げモーメントMを求めるものである。
M=F×s/4 (s:スパン(mm))
【0049】
そして、単位質量あたりの最大曲げモーメントは、上述した最大曲げモーメントを衝撃吸収部材(10)の質量で除算することにより、算出することが出来る。
【0050】
また、単位質量あたりの断面剛性は、断面2次モーメントをI、ヤング率(縦弾性係数)をEとして、衝撃吸収部材(10)の質量をQとすると、I×E/Q(単位はN/mm2 ×mm4 /kg=N・mm2 /kg)という式に基づいて算出することが出来る。なお、アルミニウム合金のヤング率Eは、70kN/mm2 である。
【0051】
ここで、最大曲げモーメントは、衝撃吸収部材(10)の衝撃吸収時に設定できる最大荷重を規定することが出来る。この最大荷重を高くすることが出来ることは、高吸収エネルギーと同義である。このため、単位質量あたりの最大曲げモーメントが高いことが、軽量で衝撃吸収性能に優れた衝撃吸収部材を実現するために要求されるものであるところ、図6から明らかな如く、h/Hと最大曲げモーメントとの関係は、略直線的な負の相関関係にあり、かかるh/Hが大きいほど、最大曲げモーメントが小さくなるのである。
【0052】
また、図7より明らかな如く、単位質量あたりの最大曲げモーメントは、h/Hとの関係において、最適範囲が存在することが認められる。この図7において、h/Hの値が大き過ぎても、また小さ過ぎても、単位質量あたりの最大曲げモーメントが小さくなることが認められる。
【0053】
さらに、図8から明らかな如く、h/Hと単位質量あたりの断面剛性との関係は、正の相関関係にあり、かかるh/Hの値が大きい程、断面剛性が大きくなる。但し、図8に示されている如く、h/Hの値を高くしても、徐々に断面剛性の上昇幅は小さくなり、飽和(サチュレーション)或いはやや低下するようになるものと考えられる。
【0054】
そして、かかる図6〜図8の結果よりして、本発明において好ましいh/Hの範囲は、0.25〜0.45、好ましくは0.30〜0.40と考えることが出来る。なお、かかるh/Hの値が0.25よりも小さくなると、単位質量あたりの断面剛性が小さくなり、また単位質量あたりの最大曲げモーメントも低下するようになるため、軽量化の効果が少なくなるのであり、また、その値が0.45よりも大きくなると、単位質量あたりの最大曲げモーメントが小さくなるために、衝突時のエネルギー吸収性能が低下するようになるのである。
【0055】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等、限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0056】
10 衝撃吸収部材
12 正面板
14 背面板
16a,16b,16c 連結板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向に荷重入力を受ける、所定幅で一方向に延びる正面板と、該正面板に対して距離を隔てて平行に対向配置されて、前記一方向に延びる背面板と、該正面板と該背面板との間に配置されて、両者を幅方向の異なる位置において且つその延びる方向においてそれぞれ連結する3枚の連結板とからなる衝撃吸収部材であって、
前記正面板の厚みが前記背面板の厚みよりも大とされていると共に、横断面形状において、前記3枚の連結板のうち中間に位置する1枚が、前記正面板に直交する対称軸上に配置され、他の2枚が、該対称軸を挟んでその両側に対称的に位置し、且つ前記正面板に向かって拡開するように該対称軸に対して傾斜して配設されて、その傾斜方向が互いに逆方向となるように配置され、
更に、前記正面板及び前記背面板の幅方向の両端部が、それぞれ、前記他の2枚の連結板との連結部よりも外方に延長せしめられて、4つの突出部が形成されていることを特徴とする衝撃吸収部材。
【請求項2】
前記横断面形状において、前記正面板の外側面と前記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とする一方、該正面板と該背面板と前記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる、該正面板と該背面板との対向方向における中立軸と、該正面板の外側面との間の最短距離をh(mm)としたとき、次式:
0.25≦h/H≦0.45
を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の衝撃吸収部材。
【請求項3】
前記正面板の外側面と前記背面板の外側面との間の距離をH(mm)とし、該正面板の幅方向の寸法をL(mm)としたとき、次式:
50≦H≦150
0.3≦H/L≦0.7
を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衝撃吸収部材。
【請求項4】
前記正面板の厚みが2.5〜15mmであり、前記背面板の厚みが1〜5mmであり、前記連結板の厚みが1〜5mmである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項5】
前記正面板と前記連結板との連結部、及び/又は、前記背面板と前記連結板との連結部が、前記横断面形状において、湾曲した両側部をもって形成されると共に、該正面板側の連結部における湾曲した側部の曲率半径をR1 とし、該背面板側の連結部における湾曲した側部の曲率半径をR2 としたとき、次式:R1 ≧R2 を満足するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項6】
前記正面板の幅方向両端部の突出部の長さ、及び/又は、前記背面板の幅方向両端部の突出部の長さが、それぞれ、異なる長さとされていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項7】
前記正面板の幅方向一方の端部側に設けられた前記突出部において、その先端部分の厚さが、該正面板の厚さよりも厚くされていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項8】
前記正面板と前記背面板と前記連結板との構造によって決定され、断面一次モーメントが0となる、該正面板と該背面板との対向方向に直角な方向における中立軸が、前記対称軸から偏らされていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項9】
前記正面板、前記背面板及び前記連結板が、アルミニウム合金、鋼又は樹脂にて形成されている請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項10】
アルミニウム合金の押出形材にて構成されている請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。
【請求項11】
車両用バンパ装置に組み込まれるバンパリインフォースメントとして用いられる請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の衝撃吸収部材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−81861(P2012−81861A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229660(P2010−229660)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000002277)住友軽金属工業株式会社 (552)