説明

衣類用ポケット締結装置、着脱自在ポケットを有する衣類、ポケットを取り付けるファスナ、およびポケットを着脱自在に取り付ける方法

【課題】衣類用のポケット締結装置に関する。
【解決手段】ポケット締結装置は、裏プレートおよび前記裏プレート上に位置決めされた少なくとも一つのファスナを含むポケット、および前記ファスナを受けるための少なくとも一つの凹部を有する衣類上の少なくとも一つの水平ウエブを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、衣類に物体を取り付けるためのファスナに関し、更に詳細には、ベストの表面に着脱自在のポケットを確実に取り付ける締結システムもしくは締結装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、着脱自在ポケットを有する衣類、ポケットを取り付けるファスナ、およびポケットを着脱自在に取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ある種のモジュール式荷重受けベストおよびモジュラーポケットを有するバックパックが、ベストの外部に着脱自在のポケットを取り付けるために幾つかのタイプのファスナ装置を使用することは周知である。軍事、法の執行、または運動具用等の特定用途において、必要なポケットまたは個別使用者に最も有用な物等を位置決めでき、かつその物の能力を異なる用途に必要に応じて異なる位置へ移動できるようにすることが必要である。
【0004】
着脱自在にポケットを衣類へ取り付けるために使用される先のタイプの締結システムもしくは締結装置例は、フックおよびループファスナ、スライド付きキーパー、ボタン、スナップファスナ、およびソフトスナップ装置の使用を含む。一般的に、これらの過去の方法および装置に関連する問題は、不安定な負荷を生み、信頼性がなく、高価であり、または操作が困難である。更に、過去の装置は、嵩高く使用者に不快である。
【0005】
着脱自在のポケットは、使用者のニーズに最適に衣類を仕立てることを可能にし、消耗したポケットの取り替えを可能にし、または特定用途により一層適したポケットへの交換を可能にする。着脱自在ポケットの衣類への従来取り付け方法は可撓性、かつ若干の剛性紐をポケットへ取り付け、ベストの外面に縫着された複数の水平ウエブ間へ縫い付けるまたは織り込むことを必要とする。この方法に関する問題は、ポケットを衣類へ固定するために複数のウエブへ紐を縫い付ける困難性および時間の消耗である。その結果として、設置が容易で、製造コストが廉価であり、かつ多用途に信頼性のある、衣類表面へ着脱自在にポケットを取り付ける締結装置の改善に対するニーズがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は上述の従来取り付けシステムの問題を廉価かつ信頼できる方法で解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明による衣類用ポケット締結装置は、裏プレートおよび前記裏プレート上に位置決めされた少なくとも一つのファスナを含むポケット、ならびに前記ファスナを受けるための少なくとも一つの凹部を有する衣類上の少なくとも一つの水平ウエブを含むことを特徴とする。
【0008】
好適形態によるポケット締結装置において、前記ファスナは、タブ部およびフック部を有する前部、ラッチおよび位置決めピンを有する後部、ならびに前記後部上に位置決めされた取り付けピンを含む。
【0009】
好適形態によるポケット締結装置において、前記ラッチは斜面を有する。
【0010】
好適形態によるポケット締結装置において、前記前部は前記タブ部に隣接したレリーフを有する。
【0011】
好適形態によるポケット締結装置において、前記取り付けピンは二つの可撓性アーム、および拡大頭部を有する。
【0012】
好適形態によるポケット締結装置において、前記裏プレートは前記ファスナを受けるための孔、および前記孔の周りに離隔した複数の位置決め凹部を有する。
【0013】
好適形態によるポケット締結装置において、前記衣類はベストである。
【0014】
本発明は更に着脱自在のポケットを有する衣類を提供し、本発明による衣類は、裏プレート、および親指の圧力により開閉自在の、前記裏プレートに取り付けられた複数のクリップを有する着脱自在のポケット、ならびに前記クリップを受けるための衣類の表面に形成された複数の凹部を含むことを特徴とする。
【0015】
好適形態による衣類において、前記クリップは、タブ部およびフック部を有する前部、ラッチおよび位置決めピンを有する後部、ならびに前記後部上に位置決めされた取り付けピンを含む。
【0016】
好適形態による衣類において、前記ラッチは斜面を有する。
【0017】
好適形態による衣類において、前記前部は前記タブ部に隣接したレリーフを有する。
【0018】
好適形態による衣類において、前記取り付けピンは二つの可撓性アーム、および拡大頭部を有する。
【0019】
好適形態による衣類において、前記裏プレートはクリップを受けるための孔、および前記孔の周りに離隔した複数の位置決め凹部を有する。
【0020】
好適形態による衣類において、前記衣類はベストである。
【0021】
本発明は、更に、衣類にポケットを取り付けるためのファスナを提供し、本発明によるファスナは、タブ部およびフック部を有する前部、ラッチおよび位置決めピンを有する後部、ならびに前記後部上に位置決めされた取り付けピンを含むことを特徴とする。
【0022】
好適形態によるファスナにおいて、前記ラッチは斜面を有する。
【0023】
好適形態によるファスナにおいて、前記取り付けピンは二つの可撓性アーム、および拡大頭部を有する。
【0024】
本発明は、更に、衣類へポケットを着脱自在に取り付ける方法を提供する。本発明による衣類へポケットを着脱自在に取り付ける方法は、ポケットへ取り付けられた複数のクリップを衣類上に形成された凹部へ挿入し、かつ前記クリップを衣類へ係止するために前記クリップへ圧力を加えることを含むことを特徴とする。
【0025】
衣類へポケットを着脱自在に取り付ける好適方法は、取り付けポストをポケットの裏プレートへ挿入することによって前記クリップを前記ポケットへ取り付けることを含む。
【0026】
衣類へポケットを着脱自在に取り付ける好適方法は、前記クリップ上の位置決めピンを前記裏プレート上の凹部へ挿入することによって前記裏プレート上に前記クリップを位置決めすることを含む。
【0027】
本発明を要約すると、本発明は荷重受けポーチまたはポケットの後面に取り付けられた成形プラスチックファスナを提供する。このファスナは、ベストまたは衣類の前面に縫着された水平ウエブのループへ係止される。親指による圧力が、ファスナを確実にウエブへ係止し、かつファスナの端のタブを撓ませることによりファスナを取り外すことができる。本明細書においてクリップとも称する複数のファスナがポケットの後面に沿って位置決めされ、かつベスト上のウエブのループへ挿入されてポケットに取り付けられる。クリップは、二つの脚部、タブ、およびラッチを有し、ラッチは親指による圧力を加えることによりフックと係合してラッチを閉鎖しかつベスト上のウエブへラッチを固定する。タブは、親指により操作でき、ポケットの取り外しのためにクリップを開放する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1から5は本発明のポケット締結装置を示す。図1から4に示されたように、ファスナ装置はポケット14の裏プレート12に固定されたファスナ10を合体している。ファスナ10は前セグメントまたは前部16、および湾曲部20で共に結合された後セグメントまたは後部18を有する。タブ22が、湾曲部20と反対の前部16の端に位置決めされている。保持フック24が前部16から後部18へ向かって下方に延在する。後部18は、湾曲部20と反対の端に設置されたラッチ26を有し、ラッチ26はファスナが閉鎖位置のときにフック部24下に含まれる。ラッチ26は、ファスナが閉鎖されるときに圧力下でフック部24に沿って進行する斜面28を含む。ファスナは、好ましくは、成形プラスチックから形成され、それによりファスナは可撓性である。可撓性は、タブが外方へ撓むときにフック部22の下からラッチ機構を解放するために必要とされる。前部16は、タブとフック部を撓ませてラッチを解放するレリーフ30を含む。
【0029】
後部18は二つの可撓性アーム34および36を含むセンタクリップピン32を含み、各アームは頭部38を有する。後部18は、また、センタクリップピン32下に設置された位置決めピン40を有する。図3に最良に示されたように、複数のファスナは、センタクリップピン32を、裏プレートを貫通した孔42へ挿入することによって、裏プレート12に位置決めされる。ファスナは、裏プレートの背面から浸入しかつ背面と係合するセンタクリップピンの頭部38により裏プレートへ固定され、かつアーム34および36は孔42内に位置決めされる。位置決め凹部44が、位置決めピン40を受けるために孔42の周りに設けられている。複数の位置決め凹部が孔42の周りに配置され、ファスナが特定用途に所望される配向で裏プレートへ取り付けられるようになっている。図3は、垂直配向で裏プレートへ取り付けられた一つのファスナを示すが、理解されるように複数のファスナが特定用途に望まれる多くの配向のうちの一つの配向で裏プレートへ取り付けられ得る。図4はポケット14の裏プレートに垂直配向で取り付けられた四つのファスナを示す。
【0030】
好適には、裏プレート12はプラスチックであるが、所望材料が特定用途に応じて使用できる。同様に、ポケット14は、特定用途に応じてキャンバス地、ナイロン、またはいずれの所望材料で形成されてもよい。裏プレート12は、代表例として、ポケットの構成要素として製造され、かつ所望用途の寸法に適合する寸法に形成される。
【0031】
図5を参照すると、ポケット14はベスト46の表面に位置決めされた水平ウエブ50の細片に沿って形成された凹部48へファスナを挿入することによりベスト46へ取り付けられている。複数の水平ウエブの細片が、通常は、ベストの表面に沿って相互に平行に配置され、かつ凹部は細片に沿って縫着されたステッチ列により形成されかつウエブの長手を横切って隔置される。ポケットは、ファスナを開放しかつ前部16をタブ22により摺動させ、ウエブ内の凹部48へ導入することによって取り付けられる。全ファスナが凹部内に位置決めされたならば、圧力を後部18に加えることにより斜面28がフック部24に沿って摺動し、フック部の下側に係止してファスナを固定かつ閉鎖する。ポケットは、垂直ウエブ内の対応する凹部にファスナを位置決めすることによってベストの表面に沿って水平または垂直に位置決めされ得る。ベスト上に位置決めされた後にポケットを取り外し、またはポケットの位置を変更するには、圧力をタブに加え、それによりフック部24からラッチ26の係止を解除するようにレリーフ28で後部を撓ませる。全ファスナが開放したならば、ポケットをウエブ内の凹部から上昇させる。ファスナが閉鎖位置になったときに、ウエブはファスナの前部16と後部18間に完全に包まれる。
【0032】
本発明は、成形プラスチックファスナを提供し、成形プラスチックファスナはポケットの裏プレートへ取り付けられ、ポケットは水平ウエブへ位置決めされ、かつ親指の圧力を加えることによりクリック動作によりファスナへウエブを係止する簡単なものである。ポケットは、ファスナの前部と後部との係止を解除するためにタブを撓ませることによってファスナを開放して異なる場所へ移動でき、またはベストから取り外すことができる。本発明のファスナ装置は、容易操作かつ迅速設置により確実に取り付けることのできると共に、所望によりポケットの簡単取り外しを可能にする、従来取り付け法を凌駕する改良ファスナ装置である。
【0033】
本発明は、ベスト用のポケットとして説明され図解されているが、理解されるように、本発明は他のタイプの容器、またはスカート、ジャケット、パンツ、バックパック、またはブーツ等の種々の衣類または衣料アパレルに適用可能である。更に、本発明は特定形態について説明されているが、理解されるように、本発明はそれに限定されることなく、特許請求の範囲内で他の形態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のポケットファスナの背面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】ポケットの裏プレート上に位置決めされた図1のファスナの前面図である。
【図4】図1のファスナを合体した組み立てたポケットの斜視図である。
【図5】ベストに取り付けた図4のポケットの断面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ファスナ
12 裏プレート
14 ポケット
16 前部
18 後部
20 湾曲部
24 フック部
26 ラッチ
32 クリップピン
34,36 アーム
38 頭部
40 位置決めピン
42 孔
44 位置決め凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏プレートおよび前記裏プレート上に位置決めされた少なくとも一つのファスナを含むポケット、ならびに
前記ファスナを受けるための少なくとも一つの凹部を有する衣類上の少なくとも一つの水平ウエブを含む衣類用ポケット締結装置。
【請求項2】
前記ファスナが、
タブ部およびフック部を有する前部、
ラッチおよび位置決めピンを有する後部、ならびに
前記後部上に位置決めされた取り付けピンを含む、請求項1のポケット締結装置。
【請求項3】
前記ラッチは斜面を有する、請求項2のポケット締結装置。
【請求項4】
前記前部は前記タブ部に隣接したレリーフを有する、請求項2のポケット締結装置。
【請求項5】
前記取り付けピンは二つの可撓性アーム、および拡大頭部を有する、請求項2のポケット締結装置。
【請求項6】
前記裏プレートは前記ファスナを受けるための孔、および前記孔の周りに離隔した複数の位置決め凹部を有する、請求項1のポケット締結装置。
【請求項7】
前記衣類はベストである、請求項1のポケット締結装置。
【請求項8】
裏プレート、および親指の圧力により開閉自在の、前記裏プレートに取り付けられた複数のクリップを有する着脱自在のポケット、ならびに
前記クリップを受けるための衣類の表面に形成された複数の凹部を含む、衣類。
【請求項9】
前記クリップが、
タブ部およびフック部を有する前部、
ラッチおよび位置決めピンを有する後部、ならびに
前記後部上に位置決めされた取り付けピンを含む、請求項8の衣類。
【請求項10】
前記ラッチは斜面を有する、請求項9の衣類。
【請求項11】
前記前部は前記タブ部に隣接したレリーフを有する、請求項9の衣類。
【請求項12】
前記取り付けピンは二つの可撓性アーム、および拡大頭部を有する、請求項9の衣類。
【請求項13】
前記裏プレートはクリップを受けるための孔、および前記孔の周りに離隔した複数の位置決め凹部を有する、請求項8の衣類。
【請求項14】
前記衣類はベストである、請求項8の衣類。
【請求項15】
タブ部およびフック部を有する前部、
ラッチおよび位置決めピンを有する後部、ならびに
前記後部上に位置決めされた取り付けピンを含む衣類にポケットを取り付けるためのファスナ。
【請求項16】
前記ラッチは斜面を有する、請求項15のファスナ。
【請求項17】
前記取り付けピンは二つの可撓性アーム、および拡大頭部を有する、請求項15のファスナ。
【請求項18】
ポケットへ取り付けられた複数のクリップを衣類上に形成された凹部へ挿入し、かつ
前記クリップを衣類へ係止するために前記クリップへ圧力を加えることを含む衣類へポケットを着脱自在に取り付ける方法。
【請求項19】
取り付けポストをポケットの裏プレートへ挿入することによって前記クリップを前記ポケットへ取り付ける、請求項18の方法。
【請求項20】
前記クリップ上の位置決めピンを前記裏プレート上の凹部へ挿入することによって前記裏プレート上に前記クリップを位置決めする、請求項19の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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