表示素子用ホルダ
【課題】液晶表示ユニット等の組立性を向上させることを目的とするものである。
【解決手段】回路基板10に固定され、LCD素子20をその端子24が端子孔14にそれぞれ挿入される状態で当該回路基板10上に保持する表示素子用ホルダ40。このホルダ40は、LCD素子20の素子本体22を保持する係止爪51等の素子保持部と、これよりも回路基板10側に位置し、LCD素子20の各端子24を端子孔14に案内するための端子案内部52とを備えている。この端子案内部52は、各端子24をそれらの配列を維持しつつ回路基板10側に貫通させることが可能な孔径を有しかつ入口側に端子24の誘い込み部を備える複数のガイド孔と、これらガイド孔よりも素子保持部側に位置し、各端子24をガイド孔に案内するガイド溝とを有する。
【解決手段】回路基板10に固定され、LCD素子20をその端子24が端子孔14にそれぞれ挿入される状態で当該回路基板10上に保持する表示素子用ホルダ40。このホルダ40は、LCD素子20の素子本体22を保持する係止爪51等の素子保持部と、これよりも回路基板10側に位置し、LCD素子20の各端子24を端子孔14に案内するための端子案内部52とを備えている。この端子案内部52は、各端子24をそれらの配列を維持しつつ回路基板10側に貫通させることが可能な孔径を有しかつ入口側に端子24の誘い込み部を備える複数のガイド孔と、これらガイド孔よりも素子保持部側に位置し、各端子24をガイド孔に案内するガイド溝とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に実装されるLCD(Liquid Crystal Display)やVFD(Vacuum Fluorescent Display)などの表示素子を保持するための表示素子ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板上にLCD素子を実装した液晶表示ユニットが知られており、例えばLCD素子とプリント基板(以下、基板と略す)との間に発光体を設け、LCDに対してその背面側から投光を行うことにより視認性を高めたいわゆるバックライト方式のものは多くの電気機器で実用されている。この液晶表示ユニットでは、基板上に表示素子用ホルダ(ランプハウスとも呼ばれる)が固定され、このホルダにLCD素子が保持された状態で基板上に実装されることにより当該LCD素子の素子本体部分と基板との間にスペースが設けられ、このスペースに前記発光体が配置されている。
【0003】
ところで、液晶表示ユニットの組立時には、LCD素子の各端子を基板上の端子孔(スルーホール)に挿入しながら当該基板にLCD素子を組付ける必要があるが、近年、LCDの表示内容の多様化、複雑化に伴い端子数の増加、狭ピッチ化が顕著であり、端子の挿入作業が困難化する傾向にある。特に、上記のようなバックライト方式の表示ユニットに用いられるLCD素子は、その素子本体部を基板から離れた位置に保持する必要があるために端子長が長い。従って、端子に変形が生じ易く、この変形により端子の配列が乱れて端子挿入作業に支障が出るケースがある。
【0004】
特許文献1には、このような不都合を解消する上で有効な表示素子用ホルダが開示されている。この文献1に開示されるホルダは、LCD素子としてその表示面を挟んだ二辺に沿ってそれぞれ複数本の端子が配列されたものを基板上で保持するものである。このホルダは、その側面に端子配列に対応した一定のピッチで並ぶ複数の案内突起を有しており、LCD素子をその端子がそれぞれ案内突起間に位置するように配置した上で当該LED素子を基板側に近づけながら保持させることにより、各端子をそれぞれ案内突起により端子孔に案内するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−22821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の表示器用ホルダによれば、各端子をそれらの並び方向に位置決めしながら端子孔に導くことができる。しかし、各端子は、それらの並び方向と直交する方向へはほぼフリーであり、そのため隣接する端子が互いに端子配列方向と直交する方向にずれているような場合には端子孔への端子の挿入に支障が出る。従って、LCD素子の端子挿入作業をより円滑に行えるようにする上では、この点に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、LCD素子等の表示素子が表示素子用ホルダにより保持された状態で基板上に実装される表示ユニットの組立性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、表示素子用ホルダにガイド孔を設け、各端子をガイド孔に通すことにより端子並び方向のみならずこの方向と直交する方向についても各端子を位置決めしながら基板上の端子孔に導くようにし、この場合に、各ガイド孔への端子の挿入を円滑に行えるように各ガイド孔に端子の誘い込み部、つまりガイド孔の端部に孔径が外側に向かって拡大する部分を設けることが考えられる。
【0009】
しかし、端子配列が狭ピッチ化された表示素子を保持するものでは、ガイド孔も狭ピッチ化する必要があるために各端子を円滑にガイド孔内に誘い込むような十分な誘い込み部を確保することが困難であり、ガイド孔への端子の挿入作業に支障がでるおそれがある。このような問題は、以下のような本発明にかかる表示素子用ホルダにより解決される。すなわち、本発明に係る表示素子用ホルダは、基板に固定され、表示面を有する素子本体及びこの素子本体から前記表示面とは反対側に互いに平行に延びる複数の端子を備えた表示素子を前記端子がそれぞれ前記基板の端子孔に挿入された状態で当該基板上に保持する表示素子用ホルダであって、前記各端子が前記端子孔に挿入される位置で前記素子本体を保持する素子保持部と、この素子保持部よりも前記基板側に位置し、前記端子孔に対して前記端子を案内するための端子案内部とを備えており、この端子案内部は、各端子をそれらの配列を維持しつつ前記基板側に貫通させることが可能となるように当該端子が挿入可能な孔径を有する複数のガイド孔と、これらガイド孔よりも前記素子保持部側の位置で前記ガイド孔の並び方向に互いに平行に並び、前記各端子をそれぞれ前記ガイド孔に案内することが可能な複数のガイド壁部とを有し、前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、基板側から前記素子保持部側に向かって孔径が拡大する形状の端子の誘い込み部を有し、前記各ガイド壁部は、前記端子をそれらの並び方向両側から拘束する側壁部とこれら側壁部の間で前記端子を前記ガイド孔の並び方向と直交する方向の一方側から支持する底壁部とを有してこの底壁部と反対の側に開放された形状を有し、その開放側から前記端子がその軸方向と直交する方向に各側壁部同士の間に挿入可能であり、かつその挿入された端子を前記ガイド孔に案内可能な形状を有しているものである。
【0010】
この表示素子用ホルダによれば、表示素子の各端子を端子案内部のガイド孔に挿入することにより各端子を端子並び方向及びこれと直交する方向の両方向に位置決めしながら基板の端子孔に導くことが可能となる。しかも、ガイド孔の手前側(素子保持部側)に各端子をそれぞれ端子並び方向の両側を含む三方から囲みながら前記ガイド孔に案内することが可能なガイド壁部が設けられており、各端子を予め各ガイド壁部に挿入した上でこれらガイド壁部に沿って案内しながら各ガイド孔に挿入することができる構造となっているので、ガイド孔にそれほど大きいな誘い込み部を設けることなく各端子を各ガイド孔に円滑に挿入することが可能となる。
【0011】
この表示素子用ホルダにおいては、前記側壁部および底壁部の壁面と前記ガイド孔の内周面とが連続したものであるのが好適である。この構成によれば、表示素子の各端子をガイド壁部からガイド孔まで連続した壁面に沿って案内することができるため各端子をより円滑にガイド孔に挿入することが可能となる。
【0012】
また、この表示素子用ホルダにおいて、前記各ガイド壁部は、前記両側壁部の壁面同士の間隔がそれらの先端側から底壁部側に向かって縮小するように形成されているのが好適である。この構成によれば、各ガイド壁部への端子の挿入を容易に行うことを可能としながら、ガイド孔への端子の案内時には、各端子をそれらの並び方向に適切に位置決めしつつガイド孔に案内することが可能となる。
【0013】
また、前記各ガイド壁部の底壁部は、前記ガイド孔の側よりも前記素子保持部の側が前記ガイド孔の中心軸から離れるように前記ガイド孔の側から前記素子保持部の側に向かって傾斜するものであるのが好適である。この構成によれば各ガイド壁部の底壁部やガイド孔が見易くなり、各端子をより円滑にガイド孔に挿入することが可能となる。
【0014】
また、この表示素子用ホルダにおいて、前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、各ガイド孔の並び方向と直交する方向にのみ孔径が拡大するものであるのが好適である。要するに、誘い込み部を各ガイド孔の並び方向と直交する方向にのみ端子を誘い込む構造としたものである。この構成によれば、各ガイド孔の狭ピッチ化により対応し易い構造となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の表示素子用ホルダによれば、表示素子の各端子をそれらの並び方向のみならずこれと直交する方向にも位置決めしながら基板上の端子孔に導くことができる。従って、表示素子が表示素子用ホルダにより保持された状態で基板上に実装される表示ユニットの組立てに関し、特に、基板上の端子孔への端子挿入作業をより円滑に、かつ適切に行うことが可能となり、その結果、当該表示ユニットの組立作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る表示素子用ホルダが適用された表示ユニットを示す分解斜視図である。
【図2】表示ユニットを示す分解斜視図(プリント基板上に表示素子用ホルダのみを固定した状態)である。
【図3】図1の表示素子用ホルダを示す拡大斜視図である。
【図4】図3の表示素子用ホルダの要部を示す拡大斜視図である。
【図5】端子案内部の断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0018】
図1、図2は、本発明にかかる表示素子用ホルダが適用される液晶表示ユニットを示しており、図1は分解斜視図で、図2は断面図(一部分解した状態の断面図)でそれぞれ液晶表示ユニットを示している。この液晶表示ユニットは、車両に搭載されるエアコン操作装置に組み込まれるもので、当該エアコン操作装置の操作に応じてエアコンの運転モード、車室内外の温度、時刻などの表示を行うものである。
【0019】
この液晶表示ユニットは、所謂バックライト方式のユニットであり、回路基板10と、運転モード等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)素子20と、光源からLCD素子20への投光を拡散させる拡散板30と、LCD素子20および拡散板30を基板上に保持するための表示素子用ホルダ40とを備える。
【0020】
回路基板10は、長方形状をなし、図示を省略しているが、その表面には前記エアコン操作装置の操作ボタンにそれぞれ連動して接点切換を行うスイッチ素子等が実装されている。回路基板10の長手方向中央部は、LCD素子20の組付領域(図1中二点鎖線で示す部分)とされ、この部位に表示素子用ホルダ40に保持された状態でLDC素子20が実装される。この領域には、光源となる複数のLED素子12が実装されている。図示の例では、9個のLED素子12が基板の長手方向(同図では左右方向)に一定間隔で一列に配列された状態でそれぞれ回路基板10に実装されている。
【0021】
LCD素子20は、回路基板10と同方向に細長い長方形状の表示面22aを有する板状の素子本体22と、この素子本体22の長手方向中央部に設けられる複数の端子24とを備える。各端子24は、前記表示面22aとは反対側に向かって当該表示面22aとほぼ直交する方向に延び、かつ素子本体22の一辺に沿って互いに平行に並んでいる。
【0022】
前記回路基板10には、前記端子24と同数の複数の端子孔14(スルーホール)が長手方向に一列に並んだ状態で形成されており、これら端子孔14に前記各端子24がそれぞれ挿入されかつ基板上回路に半田付けされることにより前記LCD素子20が当該回路基板10に実装される。
【0023】
拡散板30は、上記LED素子12から投光される光を拡散させるもので、当例では、回路基板10と同方向に細長い長方形の板状をなし、例えば乳白色のアクリルやポリカーボネート等の材料から形成されている。この拡散板30は、LCD素子20の前記表示面22aとほぼ同等の大きさを有しており、前記素子本体22の裏側(表示面22aとは反対側)に重ねられる。
【0024】
前記表示素子用ホルダ40(以下、ホルダ40と略す)は、LCD素子20の前記素子本体22と拡散板30とを、これらと回路基板10との間に一定間隔を隔てた状態で当該回路基板10上に保持するものである。
【0025】
このホルダ40は、全体が樹脂材料により形成されており、回路基板10と同方向に細長い直方体状をなし、その内側には長手方向と直交する方向(以下、前後方向という)に向かって開口しかつ長手方向に延びる細長い凹部42を有する。
【0026】
ホルダ40のうち前記凹部42が開口する側(以下、前側とする)とは反対側(以下、後側とする)の端面は回路基板10への固定部とされ、当該端面の四隅には係止爪44が形成されている。他方、前記回路基板10には、これら係止爪44に対応する係止孔16が形成されており、前記各係止爪44がそれぞれ係止孔16に挿入されて前記回路基板10に裏側から係合することによりホルダ40が当該回路基板10に固定される。
【0027】
図2、図3に示すように、前記凹部42の内底部には、その長手方向に一定の間隔で前後方向に貫通する複数の開口42aが形成されている。これらの開口42aは回路基板10の前記LED素子12の配置に対応して形成されており、従って、上記のようにホルダ40が回路基板10に固定された状態では、各LED素子12がそれぞれ開口42aに挿入されて前記凹部42の内側に臨む。
【0028】
ホルダ40の前端部は、LCD素子20の素子本体22をその各端子24が前記端子孔14に挿入される位置で拡散板30とともに保持する素子保持部とされ、ここには、拡散板30を後側から支持する拡散板支持部46と、拡散板30よりも前側の位置でLCD素子20の素子本体22をその後側から支持する素子支持部48と、素子本体22の外周面に嵌合する複数の周壁部50と、素子本体22を前側から係止する一対の係止爪51とが設けられている。なお、図示を省略しているが、拡散板支持部46には、拡散板30をその長手方向及びこれと直交する方向に位置決めするための複数のリブが設けられている。
【0029】
ホルダ40の側面部分(図1、図2では上面部分)であってその長手方向の中間部分には、当該ユニットの組立時に、LCD素子20の各端子24を回路基板10の端子孔14に導くための端子案内部52が設けられている。
【0030】
この端子案内部52には、LCD素子20の前記端子24と同数のガイド孔54がホルダ40の長手方向に一列に並んだ状態で形成されている。これらのガイド孔54は、図2〜図4に示すように、LCD素子20の前記各端子24をそれらの配列を維持しつつ回路基板10側に貫通させることが可能となるように当該端子24が挿入可能な孔径を有する前後方向(回路基板10の法線方向)に貫通する貫通孔からなり、ホルダ40が回路基板10に固定された状態において、それぞれ回路基板10の前記各端子孔14とそれぞれ一致するように設けられている。これにより各端子24をホルダ前側からガイド孔54にそれぞれ挿入すると、各端子24がそれぞれ対応する端子孔14に案内される。なお、各ガイド孔54は断面形状が矩形で、その出口側(後側)の孔径(縦横の寸法)が回路基板10の端子孔14の孔径とほぼ同じかそれより若干大きい寸法とされている。
【0031】
各ガイド孔54の入口側(前側)端部には、端子24を誘い込むための誘い込み部54a(テーパ部)が形成されている。この誘い込み部54aは、ガイド孔54の孔径が後側から前側に向かって拡大する形状とされたものであり、当例では、ガイド孔54の並び方向と直交する方向(図2では上下方向;以下、この方向を上下方向という)にのみ孔径が拡大する形状とされている。つまり、誘い込み部54aは、上下方向にのみ端子24を誘い込む形状である。
【0032】
また、端子案内部52には、さらに前記ガイド孔54よりも前側の位置にLCD素子20の各端子24をそれぞれ前記各ガイド孔54に案内するための複数のガイド溝58が設けられている。これらのガイド溝58は、図4及び図5に示すように、前後方向に互いに平行に延び、端子24をそれらの並び方向両側から拘束する側壁部58aとこれら側壁部58aの間で前記端子24をガイド孔54の並び方向と直交する方向の一方側(下側)から支持する底壁部58bとを有してこの底壁部58bと反対の側(上側)に開放された形状を有し、上側から端子24がその軸方向と直交する方向に各側壁部58a同士の間に挿入可能であり、かつその挿入された端子24をガイド孔54に案内可能な形状を有している。すなわち、当例では、各ガイド溝58の側壁部58a及び底壁部58bが本発明のガイド壁部に相当する。
【0033】
なお、各ガイド溝58の側壁部58aの壁面同士の間隔はそれらの先端側から底壁部58b側に向かって縮小するように形成されている。また、ガイド溝58の側壁部58aおよび底壁部58bの壁面とガイド孔54の内周面とは連続したものとなっており、特に、各ガイド溝58の内底面(底壁部58b)は、図2に示すように、後側から前側に向かって先下がりに(後側よりも前側がガイド孔54の中心軸から離れるように)傾斜する傾斜面となっている。
【0034】
前記LCD素子20および拡散板30は、以下のようにしてホルダ40に保持されている。まず、拡散板30が図外のリブにより位置きめされた状態で拡散板支持部46上に支持される。次に、この拡散板30の前側からLCD素子20の素子本体22が前記周壁部50の内側に嵌入されて拡散板30に素子本体22が重ねられ、素子本体22に対して前側から係止爪51が係合することによりホルダ40に対して素子本体22が係止されている。これによりLCD素子20および拡散板30が互いに重ねられた状態で前記ホルダ40により一体に保持されている。
【0035】
なお、このようにLCD素子20をホルダ40に保持させる際には、LCD素子20の各端子24を回路基板10の各端子孔14に挿入するが、その場合には、まずLCD素子20の各端子24をそれぞれ端子案内部52においてガイド孔54の前側で各ガイド溝58に上側から挿入し、この状態で各端子24をガイド溝58に沿わせながらそれぞれガイド孔54に挿入する。このようにすると各端子24がガイド孔54を通じて回路基板10の各端子孔14にそれぞれ挿入される。そして、各端子24が回路基板10の基板上回路に半田付けされることにより当該LCD素子20が回路基板10に実装される。
【0036】
以上のような本発明のホルダ40によれば、ガイド孔54を有する端子案内部52が設けられており、当該ユニットの組立時には、LCD素子20の各端子24をそれぞれガイド孔54に挿入しつつ回路基板10の端子孔14に導くように構成されているので、各端子24をそれらの並び方向及びこれと直交する方向の両方向に位置決めしながら端子孔14に導くことができる。従って、各端子がそれらの配列方向にのみ位置決めされ、これと直交する方向にはほぼフリーな状態で端子孔に案内される従来のホルダと比較すると、各端子24をより確実に端子孔14に導いて挿入することが可能であり、これにより液晶表示ユニットの組立性を向上させることができる。
【0037】
しかも、このホルダ40では、各ガイド孔54には端子24を上下方向(ガイド孔54の並び方向と直交する方向)に誘い込むための誘い込み部54aのみが設けられており、ガイド孔54の並び方向に端子24を誘い込むための誘い込み部については、これが省略され、代わりに各ガイド孔54の手前側(素子保持部側)にガイド溝58が設けられ、これにより各端子24をそれらの並び方向両側から拘束しつつガイド孔54に案内するように構成されている。従って、各端子24を円滑にガイド孔54に挿入することができる一方で、ガイド孔54の並び方向に端子24を誘い込むための誘い込み部が無い分、各ガイド孔54を狭ピッチ化することができる。つまり、各ガイド孔54に対する端子24の挿入操作性を確保しながら、その一方で、LCD素子20の端子配列の狭ピッチ化の要請にも対応できるという利点がある。
【0038】
特に、端子案内部52のガイド溝58については、上記の通り側壁部58aの壁面同士の間隔がそれらの先端側から底壁部58b側に向かって縮小する形状とされているので、各ガイド溝58への端子24の挿入を容易に行うことを可能としながらも、ガイド孔54への端子24の案内時には、各端子24をそれらの並び方向に適切に位置決めしつつガイド孔54に案内することが可能であり、さらに、ガイド溝58の側壁部58a及び底壁部58bの壁面とガイド孔54の内周面とが連続しているため、ガイド溝58に沿って各端子24を円滑にガイド孔54内に案内することができる。また、端子案内部52の各ガイド溝58の内底面(底壁部58b)が先下がりの傾斜面となっているので、各ガイド溝58の内底面や各ガイド孔54が見易く、各ガイド溝58への端子24の挿入や各ガイド孔54への各端子24の挿入を行い易い。従って、上記のような端子孔14への端子挿入作業についてはこれを非常に円滑に行うことができる。
【0039】
なお、上述した液晶表示ユニットは、本発明にかかる表示素子用ホルダが適用された表示ユニットの実施形態の例示であって、表示素子用ホルダの具体的な構成や液晶表示ユニットの具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0040】
例えば、この実施形態の表示素子用ホルダ40では、上記の通り、各ガイド孔54にはその並び方向と直交する方向にのみ端子24を誘い込むための誘い込み部が設けられているが、勿論、端子24の配列ピッチとの関係で許容される場合には、端子24の並び方向に同端子24を誘い込むための誘い込み部を設けるようにしても構わない。
【0041】
また、実施形態では、本発明の適用例としてLCD素子を保持するための表示素子用ホルダについて説明したが、VFD(Vacuum Fluorescent Display)等のその他の表示素子を基板上に保持するものとしても本発明の表示素子用ホルダは適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 回路基板
14 端子孔
20 LCD素子
22 素子本体
24 端子
30 拡散板
40 表示素子用ホルダ
52 端子案内部
54 ガイド孔
58 ガイド溝
58a 側壁部
58b 底壁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に実装されるLCD(Liquid Crystal Display)やVFD(Vacuum Fluorescent Display)などの表示素子を保持するための表示素子ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント基板上にLCD素子を実装した液晶表示ユニットが知られており、例えばLCD素子とプリント基板(以下、基板と略す)との間に発光体を設け、LCDに対してその背面側から投光を行うことにより視認性を高めたいわゆるバックライト方式のものは多くの電気機器で実用されている。この液晶表示ユニットでは、基板上に表示素子用ホルダ(ランプハウスとも呼ばれる)が固定され、このホルダにLCD素子が保持された状態で基板上に実装されることにより当該LCD素子の素子本体部分と基板との間にスペースが設けられ、このスペースに前記発光体が配置されている。
【0003】
ところで、液晶表示ユニットの組立時には、LCD素子の各端子を基板上の端子孔(スルーホール)に挿入しながら当該基板にLCD素子を組付ける必要があるが、近年、LCDの表示内容の多様化、複雑化に伴い端子数の増加、狭ピッチ化が顕著であり、端子の挿入作業が困難化する傾向にある。特に、上記のようなバックライト方式の表示ユニットに用いられるLCD素子は、その素子本体部を基板から離れた位置に保持する必要があるために端子長が長い。従って、端子に変形が生じ易く、この変形により端子の配列が乱れて端子挿入作業に支障が出るケースがある。
【0004】
特許文献1には、このような不都合を解消する上で有効な表示素子用ホルダが開示されている。この文献1に開示されるホルダは、LCD素子としてその表示面を挟んだ二辺に沿ってそれぞれ複数本の端子が配列されたものを基板上で保持するものである。このホルダは、その側面に端子配列に対応した一定のピッチで並ぶ複数の案内突起を有しており、LCD素子をその端子がそれぞれ案内突起間に位置するように配置した上で当該LED素子を基板側に近づけながら保持させることにより、各端子をそれぞれ案内突起により端子孔に案内するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−22821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の表示器用ホルダによれば、各端子をそれらの並び方向に位置決めしながら端子孔に導くことができる。しかし、各端子は、それらの並び方向と直交する方向へはほぼフリーであり、そのため隣接する端子が互いに端子配列方向と直交する方向にずれているような場合には端子孔への端子の挿入に支障が出る。従って、LCD素子の端子挿入作業をより円滑に行えるようにする上では、この点に改善の余地がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、LCD素子等の表示素子が表示素子用ホルダにより保持された状態で基板上に実装される表示ユニットの組立性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、表示素子用ホルダにガイド孔を設け、各端子をガイド孔に通すことにより端子並び方向のみならずこの方向と直交する方向についても各端子を位置決めしながら基板上の端子孔に導くようにし、この場合に、各ガイド孔への端子の挿入を円滑に行えるように各ガイド孔に端子の誘い込み部、つまりガイド孔の端部に孔径が外側に向かって拡大する部分を設けることが考えられる。
【0009】
しかし、端子配列が狭ピッチ化された表示素子を保持するものでは、ガイド孔も狭ピッチ化する必要があるために各端子を円滑にガイド孔内に誘い込むような十分な誘い込み部を確保することが困難であり、ガイド孔への端子の挿入作業に支障がでるおそれがある。このような問題は、以下のような本発明にかかる表示素子用ホルダにより解決される。すなわち、本発明に係る表示素子用ホルダは、基板に固定され、表示面を有する素子本体及びこの素子本体から前記表示面とは反対側に互いに平行に延びる複数の端子を備えた表示素子を前記端子がそれぞれ前記基板の端子孔に挿入された状態で当該基板上に保持する表示素子用ホルダであって、前記各端子が前記端子孔に挿入される位置で前記素子本体を保持する素子保持部と、この素子保持部よりも前記基板側に位置し、前記端子孔に対して前記端子を案内するための端子案内部とを備えており、この端子案内部は、各端子をそれらの配列を維持しつつ前記基板側に貫通させることが可能となるように当該端子が挿入可能な孔径を有する複数のガイド孔と、これらガイド孔よりも前記素子保持部側の位置で前記ガイド孔の並び方向に互いに平行に並び、前記各端子をそれぞれ前記ガイド孔に案内することが可能な複数のガイド壁部とを有し、前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、基板側から前記素子保持部側に向かって孔径が拡大する形状の端子の誘い込み部を有し、前記各ガイド壁部は、前記端子をそれらの並び方向両側から拘束する側壁部とこれら側壁部の間で前記端子を前記ガイド孔の並び方向と直交する方向の一方側から支持する底壁部とを有してこの底壁部と反対の側に開放された形状を有し、その開放側から前記端子がその軸方向と直交する方向に各側壁部同士の間に挿入可能であり、かつその挿入された端子を前記ガイド孔に案内可能な形状を有しているものである。
【0010】
この表示素子用ホルダによれば、表示素子の各端子を端子案内部のガイド孔に挿入することにより各端子を端子並び方向及びこれと直交する方向の両方向に位置決めしながら基板の端子孔に導くことが可能となる。しかも、ガイド孔の手前側(素子保持部側)に各端子をそれぞれ端子並び方向の両側を含む三方から囲みながら前記ガイド孔に案内することが可能なガイド壁部が設けられており、各端子を予め各ガイド壁部に挿入した上でこれらガイド壁部に沿って案内しながら各ガイド孔に挿入することができる構造となっているので、ガイド孔にそれほど大きいな誘い込み部を設けることなく各端子を各ガイド孔に円滑に挿入することが可能となる。
【0011】
この表示素子用ホルダにおいては、前記側壁部および底壁部の壁面と前記ガイド孔の内周面とが連続したものであるのが好適である。この構成によれば、表示素子の各端子をガイド壁部からガイド孔まで連続した壁面に沿って案内することができるため各端子をより円滑にガイド孔に挿入することが可能となる。
【0012】
また、この表示素子用ホルダにおいて、前記各ガイド壁部は、前記両側壁部の壁面同士の間隔がそれらの先端側から底壁部側に向かって縮小するように形成されているのが好適である。この構成によれば、各ガイド壁部への端子の挿入を容易に行うことを可能としながら、ガイド孔への端子の案内時には、各端子をそれらの並び方向に適切に位置決めしつつガイド孔に案内することが可能となる。
【0013】
また、前記各ガイド壁部の底壁部は、前記ガイド孔の側よりも前記素子保持部の側が前記ガイド孔の中心軸から離れるように前記ガイド孔の側から前記素子保持部の側に向かって傾斜するものであるのが好適である。この構成によれば各ガイド壁部の底壁部やガイド孔が見易くなり、各端子をより円滑にガイド孔に挿入することが可能となる。
【0014】
また、この表示素子用ホルダにおいて、前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、各ガイド孔の並び方向と直交する方向にのみ孔径が拡大するものであるのが好適である。要するに、誘い込み部を各ガイド孔の並び方向と直交する方向にのみ端子を誘い込む構造としたものである。この構成によれば、各ガイド孔の狭ピッチ化により対応し易い構造となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の表示素子用ホルダによれば、表示素子の各端子をそれらの並び方向のみならずこれと直交する方向にも位置決めしながら基板上の端子孔に導くことができる。従って、表示素子が表示素子用ホルダにより保持された状態で基板上に実装される表示ユニットの組立てに関し、特に、基板上の端子孔への端子挿入作業をより円滑に、かつ適切に行うことが可能となり、その結果、当該表示ユニットの組立作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る表示素子用ホルダが適用された表示ユニットを示す分解斜視図である。
【図2】表示ユニットを示す分解斜視図(プリント基板上に表示素子用ホルダのみを固定した状態)である。
【図3】図1の表示素子用ホルダを示す拡大斜視図である。
【図4】図3の表示素子用ホルダの要部を示す拡大斜視図である。
【図5】端子案内部の断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0018】
図1、図2は、本発明にかかる表示素子用ホルダが適用される液晶表示ユニットを示しており、図1は分解斜視図で、図2は断面図(一部分解した状態の断面図)でそれぞれ液晶表示ユニットを示している。この液晶表示ユニットは、車両に搭載されるエアコン操作装置に組み込まれるもので、当該エアコン操作装置の操作に応じてエアコンの運転モード、車室内外の温度、時刻などの表示を行うものである。
【0019】
この液晶表示ユニットは、所謂バックライト方式のユニットであり、回路基板10と、運転モード等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)素子20と、光源からLCD素子20への投光を拡散させる拡散板30と、LCD素子20および拡散板30を基板上に保持するための表示素子用ホルダ40とを備える。
【0020】
回路基板10は、長方形状をなし、図示を省略しているが、その表面には前記エアコン操作装置の操作ボタンにそれぞれ連動して接点切換を行うスイッチ素子等が実装されている。回路基板10の長手方向中央部は、LCD素子20の組付領域(図1中二点鎖線で示す部分)とされ、この部位に表示素子用ホルダ40に保持された状態でLDC素子20が実装される。この領域には、光源となる複数のLED素子12が実装されている。図示の例では、9個のLED素子12が基板の長手方向(同図では左右方向)に一定間隔で一列に配列された状態でそれぞれ回路基板10に実装されている。
【0021】
LCD素子20は、回路基板10と同方向に細長い長方形状の表示面22aを有する板状の素子本体22と、この素子本体22の長手方向中央部に設けられる複数の端子24とを備える。各端子24は、前記表示面22aとは反対側に向かって当該表示面22aとほぼ直交する方向に延び、かつ素子本体22の一辺に沿って互いに平行に並んでいる。
【0022】
前記回路基板10には、前記端子24と同数の複数の端子孔14(スルーホール)が長手方向に一列に並んだ状態で形成されており、これら端子孔14に前記各端子24がそれぞれ挿入されかつ基板上回路に半田付けされることにより前記LCD素子20が当該回路基板10に実装される。
【0023】
拡散板30は、上記LED素子12から投光される光を拡散させるもので、当例では、回路基板10と同方向に細長い長方形の板状をなし、例えば乳白色のアクリルやポリカーボネート等の材料から形成されている。この拡散板30は、LCD素子20の前記表示面22aとほぼ同等の大きさを有しており、前記素子本体22の裏側(表示面22aとは反対側)に重ねられる。
【0024】
前記表示素子用ホルダ40(以下、ホルダ40と略す)は、LCD素子20の前記素子本体22と拡散板30とを、これらと回路基板10との間に一定間隔を隔てた状態で当該回路基板10上に保持するものである。
【0025】
このホルダ40は、全体が樹脂材料により形成されており、回路基板10と同方向に細長い直方体状をなし、その内側には長手方向と直交する方向(以下、前後方向という)に向かって開口しかつ長手方向に延びる細長い凹部42を有する。
【0026】
ホルダ40のうち前記凹部42が開口する側(以下、前側とする)とは反対側(以下、後側とする)の端面は回路基板10への固定部とされ、当該端面の四隅には係止爪44が形成されている。他方、前記回路基板10には、これら係止爪44に対応する係止孔16が形成されており、前記各係止爪44がそれぞれ係止孔16に挿入されて前記回路基板10に裏側から係合することによりホルダ40が当該回路基板10に固定される。
【0027】
図2、図3に示すように、前記凹部42の内底部には、その長手方向に一定の間隔で前後方向に貫通する複数の開口42aが形成されている。これらの開口42aは回路基板10の前記LED素子12の配置に対応して形成されており、従って、上記のようにホルダ40が回路基板10に固定された状態では、各LED素子12がそれぞれ開口42aに挿入されて前記凹部42の内側に臨む。
【0028】
ホルダ40の前端部は、LCD素子20の素子本体22をその各端子24が前記端子孔14に挿入される位置で拡散板30とともに保持する素子保持部とされ、ここには、拡散板30を後側から支持する拡散板支持部46と、拡散板30よりも前側の位置でLCD素子20の素子本体22をその後側から支持する素子支持部48と、素子本体22の外周面に嵌合する複数の周壁部50と、素子本体22を前側から係止する一対の係止爪51とが設けられている。なお、図示を省略しているが、拡散板支持部46には、拡散板30をその長手方向及びこれと直交する方向に位置決めするための複数のリブが設けられている。
【0029】
ホルダ40の側面部分(図1、図2では上面部分)であってその長手方向の中間部分には、当該ユニットの組立時に、LCD素子20の各端子24を回路基板10の端子孔14に導くための端子案内部52が設けられている。
【0030】
この端子案内部52には、LCD素子20の前記端子24と同数のガイド孔54がホルダ40の長手方向に一列に並んだ状態で形成されている。これらのガイド孔54は、図2〜図4に示すように、LCD素子20の前記各端子24をそれらの配列を維持しつつ回路基板10側に貫通させることが可能となるように当該端子24が挿入可能な孔径を有する前後方向(回路基板10の法線方向)に貫通する貫通孔からなり、ホルダ40が回路基板10に固定された状態において、それぞれ回路基板10の前記各端子孔14とそれぞれ一致するように設けられている。これにより各端子24をホルダ前側からガイド孔54にそれぞれ挿入すると、各端子24がそれぞれ対応する端子孔14に案内される。なお、各ガイド孔54は断面形状が矩形で、その出口側(後側)の孔径(縦横の寸法)が回路基板10の端子孔14の孔径とほぼ同じかそれより若干大きい寸法とされている。
【0031】
各ガイド孔54の入口側(前側)端部には、端子24を誘い込むための誘い込み部54a(テーパ部)が形成されている。この誘い込み部54aは、ガイド孔54の孔径が後側から前側に向かって拡大する形状とされたものであり、当例では、ガイド孔54の並び方向と直交する方向(図2では上下方向;以下、この方向を上下方向という)にのみ孔径が拡大する形状とされている。つまり、誘い込み部54aは、上下方向にのみ端子24を誘い込む形状である。
【0032】
また、端子案内部52には、さらに前記ガイド孔54よりも前側の位置にLCD素子20の各端子24をそれぞれ前記各ガイド孔54に案内するための複数のガイド溝58が設けられている。これらのガイド溝58は、図4及び図5に示すように、前後方向に互いに平行に延び、端子24をそれらの並び方向両側から拘束する側壁部58aとこれら側壁部58aの間で前記端子24をガイド孔54の並び方向と直交する方向の一方側(下側)から支持する底壁部58bとを有してこの底壁部58bと反対の側(上側)に開放された形状を有し、上側から端子24がその軸方向と直交する方向に各側壁部58a同士の間に挿入可能であり、かつその挿入された端子24をガイド孔54に案内可能な形状を有している。すなわち、当例では、各ガイド溝58の側壁部58a及び底壁部58bが本発明のガイド壁部に相当する。
【0033】
なお、各ガイド溝58の側壁部58aの壁面同士の間隔はそれらの先端側から底壁部58b側に向かって縮小するように形成されている。また、ガイド溝58の側壁部58aおよび底壁部58bの壁面とガイド孔54の内周面とは連続したものとなっており、特に、各ガイド溝58の内底面(底壁部58b)は、図2に示すように、後側から前側に向かって先下がりに(後側よりも前側がガイド孔54の中心軸から離れるように)傾斜する傾斜面となっている。
【0034】
前記LCD素子20および拡散板30は、以下のようにしてホルダ40に保持されている。まず、拡散板30が図外のリブにより位置きめされた状態で拡散板支持部46上に支持される。次に、この拡散板30の前側からLCD素子20の素子本体22が前記周壁部50の内側に嵌入されて拡散板30に素子本体22が重ねられ、素子本体22に対して前側から係止爪51が係合することによりホルダ40に対して素子本体22が係止されている。これによりLCD素子20および拡散板30が互いに重ねられた状態で前記ホルダ40により一体に保持されている。
【0035】
なお、このようにLCD素子20をホルダ40に保持させる際には、LCD素子20の各端子24を回路基板10の各端子孔14に挿入するが、その場合には、まずLCD素子20の各端子24をそれぞれ端子案内部52においてガイド孔54の前側で各ガイド溝58に上側から挿入し、この状態で各端子24をガイド溝58に沿わせながらそれぞれガイド孔54に挿入する。このようにすると各端子24がガイド孔54を通じて回路基板10の各端子孔14にそれぞれ挿入される。そして、各端子24が回路基板10の基板上回路に半田付けされることにより当該LCD素子20が回路基板10に実装される。
【0036】
以上のような本発明のホルダ40によれば、ガイド孔54を有する端子案内部52が設けられており、当該ユニットの組立時には、LCD素子20の各端子24をそれぞれガイド孔54に挿入しつつ回路基板10の端子孔14に導くように構成されているので、各端子24をそれらの並び方向及びこれと直交する方向の両方向に位置決めしながら端子孔14に導くことができる。従って、各端子がそれらの配列方向にのみ位置決めされ、これと直交する方向にはほぼフリーな状態で端子孔に案内される従来のホルダと比較すると、各端子24をより確実に端子孔14に導いて挿入することが可能であり、これにより液晶表示ユニットの組立性を向上させることができる。
【0037】
しかも、このホルダ40では、各ガイド孔54には端子24を上下方向(ガイド孔54の並び方向と直交する方向)に誘い込むための誘い込み部54aのみが設けられており、ガイド孔54の並び方向に端子24を誘い込むための誘い込み部については、これが省略され、代わりに各ガイド孔54の手前側(素子保持部側)にガイド溝58が設けられ、これにより各端子24をそれらの並び方向両側から拘束しつつガイド孔54に案内するように構成されている。従って、各端子24を円滑にガイド孔54に挿入することができる一方で、ガイド孔54の並び方向に端子24を誘い込むための誘い込み部が無い分、各ガイド孔54を狭ピッチ化することができる。つまり、各ガイド孔54に対する端子24の挿入操作性を確保しながら、その一方で、LCD素子20の端子配列の狭ピッチ化の要請にも対応できるという利点がある。
【0038】
特に、端子案内部52のガイド溝58については、上記の通り側壁部58aの壁面同士の間隔がそれらの先端側から底壁部58b側に向かって縮小する形状とされているので、各ガイド溝58への端子24の挿入を容易に行うことを可能としながらも、ガイド孔54への端子24の案内時には、各端子24をそれらの並び方向に適切に位置決めしつつガイド孔54に案内することが可能であり、さらに、ガイド溝58の側壁部58a及び底壁部58bの壁面とガイド孔54の内周面とが連続しているため、ガイド溝58に沿って各端子24を円滑にガイド孔54内に案内することができる。また、端子案内部52の各ガイド溝58の内底面(底壁部58b)が先下がりの傾斜面となっているので、各ガイド溝58の内底面や各ガイド孔54が見易く、各ガイド溝58への端子24の挿入や各ガイド孔54への各端子24の挿入を行い易い。従って、上記のような端子孔14への端子挿入作業についてはこれを非常に円滑に行うことができる。
【0039】
なお、上述した液晶表示ユニットは、本発明にかかる表示素子用ホルダが適用された表示ユニットの実施形態の例示であって、表示素子用ホルダの具体的な構成や液晶表示ユニットの具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0040】
例えば、この実施形態の表示素子用ホルダ40では、上記の通り、各ガイド孔54にはその並び方向と直交する方向にのみ端子24を誘い込むための誘い込み部が設けられているが、勿論、端子24の配列ピッチとの関係で許容される場合には、端子24の並び方向に同端子24を誘い込むための誘い込み部を設けるようにしても構わない。
【0041】
また、実施形態では、本発明の適用例としてLCD素子を保持するための表示素子用ホルダについて説明したが、VFD(Vacuum Fluorescent Display)等のその他の表示素子を基板上に保持するものとしても本発明の表示素子用ホルダは適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 回路基板
14 端子孔
20 LCD素子
22 素子本体
24 端子
30 拡散板
40 表示素子用ホルダ
52 端子案内部
54 ガイド孔
58 ガイド溝
58a 側壁部
58b 底壁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に固定され、表示面を有する素子本体及びこの素子本体から前記表示面とは反対側に互いに平行に延びる複数の端子を備えた表示素子を前記端子がそれぞれ前記基板の端子孔に挿入された状態で当該基板上に保持する表示素子用ホルダであって、
前記各端子が前記端子孔に挿入される位置で前記素子本体を保持する素子保持部と、この素子保持部よりも前記基板側に位置し、前記端子孔に対して前記端子を案内するための端子案内部とを備えており、
この端子案内部は、各端子をそれらの配列を維持しつつ前記基板側に貫通させることが可能となるように当該端子が挿入可能な孔径を有する複数のガイド孔と、これらガイド孔よりも前記素子保持部側の位置で前記ガイド孔の並び方向に互いに平行に並び、前記各端子をそれぞれ前記ガイド孔に案内することが可能な複数のガイド壁部とを有し、
前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、基板側から前記素子保持部側に向かって孔径が拡大する形状の端子の誘い込み部を有し、
前記各ガイド壁部は、前記端子をそれらの並び方向両側から拘束する側壁部とこれら側壁部の間で前記端子を前記ガイド孔の並び方向と直交する方向の一方側から支持する底壁部とを有してこの底壁部と反対の側に開放された形状を有し、その開放側から前記端子がその軸方向と直交する方向に各側壁部同士の間に挿入可能であり、かつその挿入された端子を前記ガイド孔に案内可能な形状を有していることを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記側壁部および底壁部の壁面と前記ガイド孔の内周面とが連続したものであることを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記各ガイド壁部は、前記両側壁部の壁面同士の間隔がそれらの先端側から底壁部側に向かって縮小するように形成されていることを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記各ガイド壁部の底壁部は、前記ガイド孔の側よりも前記素子保持部の側が前記ガイド孔の中心軸から離れるように前記ガイド孔の側から前記素子保持部の側に向かって傾斜することを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、各ガイド孔の並び方向と直交する方向にのみ孔径が拡大することを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項1】
基板に固定され、表示面を有する素子本体及びこの素子本体から前記表示面とは反対側に互いに平行に延びる複数の端子を備えた表示素子を前記端子がそれぞれ前記基板の端子孔に挿入された状態で当該基板上に保持する表示素子用ホルダであって、
前記各端子が前記端子孔に挿入される位置で前記素子本体を保持する素子保持部と、この素子保持部よりも前記基板側に位置し、前記端子孔に対して前記端子を案内するための端子案内部とを備えており、
この端子案内部は、各端子をそれらの配列を維持しつつ前記基板側に貫通させることが可能となるように当該端子が挿入可能な孔径を有する複数のガイド孔と、これらガイド孔よりも前記素子保持部側の位置で前記ガイド孔の並び方向に互いに平行に並び、前記各端子をそれぞれ前記ガイド孔に案内することが可能な複数のガイド壁部とを有し、
前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、基板側から前記素子保持部側に向かって孔径が拡大する形状の端子の誘い込み部を有し、
前記各ガイド壁部は、前記端子をそれらの並び方向両側から拘束する側壁部とこれら側壁部の間で前記端子を前記ガイド孔の並び方向と直交する方向の一方側から支持する底壁部とを有してこの底壁部と反対の側に開放された形状を有し、その開放側から前記端子がその軸方向と直交する方向に各側壁部同士の間に挿入可能であり、かつその挿入された端子を前記ガイド孔に案内可能な形状を有していることを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記側壁部および底壁部の壁面と前記ガイド孔の内周面とが連続したものであることを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記各ガイド壁部は、前記両側壁部の壁面同士の間隔がそれらの先端側から底壁部側に向かって縮小するように形成されていることを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記各ガイド壁部の底壁部は、前記ガイド孔の側よりも前記素子保持部の側が前記ガイド孔の中心軸から離れるように前記ガイド孔の側から前記素子保持部の側に向かって傾斜することを特徴とする表示素子用ホルダ。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の表示素子用ホルダにおいて、
前記各ガイド孔の前記素子保持部側の端部は、各ガイド孔の並び方向と直交する方向にのみ孔径が拡大することを特徴とする表示素子用ホルダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−186103(P2011−186103A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50165(P2010−50165)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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