説明

表示装置

【課題】従来よりも電流消費の低減を可能とする表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、画像を表示する表示面A2、及び表示面A2に対向する背面B2を有する表示パネル2と、表示パネル2の背面B2に向けて第1の光Laを照射し、背面B2とは異なる方向に向けて第2の光Lbを照射するバックライトユニット3と、第2の光Lbを受光する第1の受光面A4、並びに第3の光Lcを外部から受光する第2の受光面B4を有し、第1の受光面A4で受光した第2の光Lbを光電変換して第1の電流Ibを生成し、第2の受光面B4で受光した第3の光Lcを光電変換して第2の電流Icを生成する光電変換ユニット4と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバックライトユニットを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、表示装置の一形態として、液晶表示パネルの背面に向けて光を照射するバックライトユニットを備えた液晶表示装置が普及している。液晶表示装置に用いられるバックライトユニットの光源として、一般的に冷陰極管が用いられている。
【0003】
液晶表示装置は、バックライトユニットから液晶表示パネルの背面に向けて光を照射した状態で、液晶表示パネル内に充填された液晶を画素毎に駆動させることにより、所定の画像を表示するものである。
しかしながら、冷陰極管バックライトユニットを用いた液晶表示装置では、画面全体が黒表示のときもバックライトユニットから液晶表示パネルの背面に向けて光が常に照射されているため、電流消費を増大させる要因となっている。特に、バッテリーを用いる携帯型の液晶表示装置では駆動時間が短いため、電流消費の低減に対する要求が強い。
【0004】
そこで、冷陰極管に代えてLED(Light Emitting Diode)を用いた液晶表示装置が市場に現れ始めている。LEDバックライトユニットを用いた液晶表示装置では、表示される画像に応じてLEDをエリア毎に消灯する、所謂、エリアコントロールができるので、冷陰極管バックライトユニットを用いた液晶表示装置よりも電流消費を低減することができる。
LEDバックライトユニットを用いた液晶表示装置の一例が例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−224030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現状では、大画面化による電流消費の増大化に対してバッテリー容量が不足しており、またエコロジーの点においても、電流消費に対するさらなる改善が望まれる。
【0007】
そこで、本発明は、従来よりも電流消費の低減を可能とする表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は次の表示装置を提供する。
1)画像を表示する表示面(A2)、及び前記表示面に対向する背面(B2)を有する表示パネル(2)と、前記表示パネルの前記背面に向けて第1の光(La)を照射し、前記背面とは異なる方向に向けて第2の光(Lb)を照射するバックライトユニット(3)と、前記第2の光を受光する第1の受光面(A4,A54)、及び外部から第3の光(Lc)を受光する第2の受光面(B4,B54)を有し、前記第1の受光面で受光した前記第2の光を光電変換して第1の電流(Ib,Ih)を生成し、前記第2の受光面で受光した前記第3の光を光電変換して第2の電流(Ic,Ii)を生成する光電変換ユニット(4,54)と、を備えていることを特徴とする表示装置(1,50)。
2)前記光電変換ユニット(4)は、前記第1の受光面(A4)及び前記第2の受光面(B4)のいずれか一方の受光面、及び前記一方の受光面に対向する第1の対向面を有する透明基板(21)と、前記透明基板の前記第1の対向面上に順次形成された、第1の透明電極(22)と、第1の正孔取出し層(23)と、第1の電子供与体層(24)と、第1の電子受容体層(25)と、前記第2の光及び前記第3の光を反射する共通反射電極(16)と、第2の電子受容体層(15)と、第2の電子供与体層(14)と、第2の正孔取出し層(13)と、第2の透明電極(12)と、封止層(11)と、を備えていることを特徴とする1)記載の表示装置(1)。
3)前記第1の電子供与体層、前記第2の電子供与体層、前記第1の電子受容体層、及び前記第2の電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有する第1の色素をそれぞれ含んでいることを特徴とする2)記載の表示装置。
4)前記第1の電子供与体層、前記第2の電子供与体層、前記第1の電子受容体層、又は前記第2の電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有すると共に、前記第1の色素の吸収波長領域に少なくとも一部が重なる発光波長領域を有する第2の色素をさらに含んでいることを特徴とする3)記載の表示装置。
5)前記光電変換ユニット(54)は、前記第1の受光面(A54)及び前記第2の受光面(B54)のいずれか一方の受光面、及び前記一方の受光面に対向する第1の対向面を有する透明基板(21)と、前記透明基板の前記第1の対向面上に順次形成された、透明電極(22)と、正孔取出し層(13)と、電子供与体層(14)と、電子受容体層(15)と、前記第2の光及び前記第3の光の一部をそれぞれ透過し、残りをそれぞれ反射する半透過半反射電極(52)と、封止層(11)と、を備えていることを特徴とする1)記載の表示装置(50)。
6)前記電子供与体層及び前記電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有する第3の色素をそれぞれ含んでいることを特徴とする5)記載の表示装置。
7)前記電子供与体層又は前記電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有すると共に、前記第3の色素の吸収波長領域に少なくとも一部が重なる発光波長領域を有する第4の色素をさらに含んでいることを特徴とする6)記載の表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも電流消費の低減が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の表示装置の実施例1を説明するための模式的断面図である。
【図2】冷陰極管の発光スペクトルの代表例を示す図である。
【図3】LEDの発光スペクトルの代表例を示す図である。
【図4】有機EL素子の発光スペクトルの代表例を示す図である。
【図5】実施例1の表示装置の光電変換ユニットを説明するための模式的断面図である。
【図6】フラーレンの吸収スペクトルの代表例を示す図である。
【図7】亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトルの代表例を示す図である。
【図8】本発明の表示装置の実施例2を説明するための模式的断面図である。
【図9】実施例2の表示装置の光電変換ユニットを説明するための模式的断面図である。
【図10】ルブレンの吸収スペクトル及び発光スペクトルの代表例を示す図である。
【図11】本発明の表示装置の実施例3を説明するための模式的断面図である。
【図12】実施例3の表示装置の光電変換ユニットを説明するための模式的断面図である。
【図13】クマリンの吸収スペクトル及び発光スペクトルの代表例を示す図である。
【図14】本発明の表示装置の実施例4を説明するための模式的断面図である。
【図15】実施例4の表示装置の光電変換ユニットを説明するための模式的断面図である。
【図16】本発明の表示装置の実施例5を説明するための模式的断面図である。
【図17】実施例5の表示装置の光電変換ユニットを説明するための模式的断面図である。
【図18】本発明の表示装置の実施例6を説明するための模式的断面図である。
【図19】実施例6の表示装置の光電変換ユニットを説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例1〜実施例6により図1〜図19を用いて説明する。
【0012】
<実施例1>
図1に示すように、表示装置1は、互いに対向する表示面A2及び背面B2を有する透過型の液晶表示パネル2と、互いに対向する発光面A3及び発光面B3を有し、発光面A3から例えば白色光Laを液晶表示パネル2の背面B2に向けて照射し、発光面B3から例えば白色光Lbを後述する光電変換ユニット4の受光面A4に向けて照射する両面発光型のバックライトユニット3と、両面発光型のバックライトユニット3の発光面B3から照射された白色光Lbを受光する受光面A4、及び外部から照射された外部光、例えば太陽光Lcを受光する受光面B4を有し、受光面A4で受光した白色光Lbを光電変換して電流Ibを生成し、受光面B4で受光した太陽光Lcを光電変換して電流Icを生成する光電変換ユニット4と、光電変換ユニット4で生成された電流Ib及び電流Icを蓄えるバッテリー等の電流貯蔵部5と、を備えている。
【0013】
バックライトユニット3の発光面A3から液晶表示パネル2の背面B2に照射された白色光Laは、液晶表示パネル2で画素毎に変調され、液晶表示パネル2の表示面A2に画像として表示される。
【0014】
バックライトユニット3の光源として、例えば冷陰極管,LED(Light Emitting Diode),及び有機EL(Electro-Luminescence)素子を用いることができる。
【0015】
ここで、冷陰極管,LED,及び有機EL素子の発光スペクトルについて、図2〜図4を用いて説明する。
図2に冷陰極管の発光スペクトルの代表例を示す。図3にLEDの発光スペクトルの代表例を示す。図4に有機EL素子の発光スペクトルの代表例を示す。図2〜図4において、横軸は発光波長を示し、縦軸は発光強度を示す。
【0016】
図2に示すように、冷陰極管の発光スペクトルは、発光波長が430nm付近,550nm付近,及び610nm付近に発光強度の強いピークを有するが、いずれのピークも半値幅の狭い急峻なピークであるため、光電変換部10で生成される電流Ib量は小さなものとなる。
【0017】
これに対し、図3に示すように、LEDの発光スペクトルは、発光波長が460nm付近及び560nm付近に発光強度の強いピークを有し、いずれのピークも半値幅の広いブロードなピークであるため、光電変換部10で生成される電流Ib量は冷陰極管を用いたときよりも大きなものとなる。
【0018】
図4に示すように、有機EL素子の発光スペクトルもLEDの発光スペクトルとほぼ同様に、発光波長が460nm付近及び560nm付近に発光強度の強いピークを有し、いずれのピークも半値幅の広いブロードなピークであるため、光電変換部10で生成される電流Ib量は冷陰極管を用いたときよりも大きなものとなる。
【0019】
上述した理由により、バックライトユニット3の光源として、冷陰極管よりも、LEDや有機EL素子を用いることが好ましい。
また、バックライトユニット3の光源にLEDや有機EL素子を用いることにより、表示される画像に応じてLEDや有機EL素子をエリア毎に消灯又は照度調整する、所謂、エリアコントロールができるので、冷陰極管を用いたときよりも電流消費を低減することができる。
【0020】
図5に示すように、光電変換ユニット4は、バックライトユニット3の発光面B3(図1参照)から受光面A4に照射された白色光Lbを光電変換して電流Ibを生成する光電変換部10と、外部から受光面B4に照射された太陽光Lcを光電変換して電流Icを生成する光電変換部20と、を備えている。
【0021】
光電変換部10は、バックライトユニット3側から、封止層11,透明電極12,正孔取出し層13,電子供与体層14,電子受容体層15,及び共通反射電極16の順に配置された積層構造を有する。
【0022】
光電変換部20は、太陽光Lcが照射される外部側から、透明基板21,透明電極22,正孔取出し層23,電子供与体層24,電子受容体層25,及び共通反射電極16の順に配置された積層構造を有する。
【0023】
共通反射電極16は、光電変換部10で生成された電流Ib、及び光電変換部20で生成された電流Icを外部(電流貯蔵部5)に取り出すための、光電変換部10及び光電変換部20の共通電極である。
また、共通反射電極16は、バックライトユニット3側から入射した白色光Lbを反射し、外部から入射した太陽光Lcを反射する反射電極である。
【0024】
白色光Lbは、光電変換部10の電子供与体層14,電子受容体層15,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を通って共通反射電極16で反射し、再び電子供与体層14,電子受容体層15,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を通ってバックライトユニット3に向けて照射される。
即ち、白色光Lbは、光電変換部10の電子供与体層14,電子受容体層15,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を2度通過するため、光電変換部10の光電変換効率が向上する。
また、光電変換部10で光電変換されなかった残りの白色光Lbは、バックライトユニット3に入射するため、バックライトユニット3の液晶表示パネル2への照射効率が向上する。
【0025】
太陽光Lcは、光電変換部20の電子供与体層24,電子受容体層25,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を通って共通反射電極16で反射し、再び電子供与体層24,電子受容体層25,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を通って外部に放出される。
即ち、太陽光Lcは、光電変換部20の電子供与体層24,電子受容体層25,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を2度通過するため、光電変換部20の光電変換効率が向上する。
【0026】
電子供与体層14,24を構成する電子供与体として、バックライトユニット3から照射される白色光Lbの発光波長領域、及び外部から照射される太陽光Lcの発光波長領域に少なくとも一部が重なる吸収波長領域を有する色素(蛍光色素)を用いる。実施例1では(後述する実施例2〜6も同様)、電子供与体層14,24を構成する電子供与体として、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)を用いた。
【0027】
電子受容体層15,25を構成する電子受容体として、バックライトユニット3から照射される白色光Lbの発光波長領域、及び外部から照射される太陽光Lcの発光波長領域と少なくとも一部が重なる吸収波長領域を有する色素(蛍光色素)を用いる。実施例1では(後述する実施例2〜6も同様)、電子供与体層14,24を構成する電子受容体として、フラーレン(C60)を用いた。
【0028】
ここで、フラーレン及び亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトルについて、図6及び図7を用いて説明する。
図6にフラーレンの吸収スペクトルの代表例を示す。図7に亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトルの代表例を示す。図6及び図7において、横軸は吸収波長を示し、縦軸は吸収強度を示す。
【0029】
図6に示すように、フラーレンの吸収スペクトルは、吸収波長が540nm付近に吸収強度の強く、かつ半値幅の広いブロードなピークを有する。
一方、図7に示すように、亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトルは、吸収波長が670nm付近に吸収強度の強く、かつ半値幅がフラーレンよりも狭いピークを有する。
【0030】
ここで、図6に示すフラーレンの吸収スペクトルと前述した図3に示すLEDの発光スペクトルとを比較すると、LEDの発光ピーク及びその近傍の領域にフラーレンの吸収ピーク及びその近傍の領域が存在するため、バックライトユニット3の光源としてLEDを用いた場合、LEDから光電変換部10に照射された白色光Lbを電子受容体層15で効率的に吸収することができる。
【0031】
次に、図7に示す亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトルと前述した図3に示すLEDの発光スペクトルとを比較すると、亜鉛フタロシアニンは波長が550nmよりも短い光をほとんど吸収しない。そのため、バックライトユニット3の光源としてLEDを用いた場合、光電変換部10に照射された白色光Lbにおける波長が550nm以上である赤色光成分を吸収する一方、波長が550nmよりも短い緑色光成分や青色光成分はほとんど吸収しない。
【0032】
そのため、光電変換部10において、電子供与体層14に亜鉛フタロシアニンを用い、電子受容体層15にフラーレンを用いた場合、主として、白色光Lbの赤色光成分のみが光電変換部10で光電変換され、電流Ibが生成される。
【0033】
同様に、光電変換部20において、電子供与体層24に亜鉛フタロシアニンを用い、電子受容体層25にフラーレンを用いた場合、主として、太陽光Lcの赤色光成分のみが光電変換部20で光電変換され、電流Icが生成される。
【0034】
バックライトユニット3の光源として有機EL素子を用いた場合も、上述したLEDを用いた場合と同様に、主として白色光Lbの赤色光成分のみが光電変換部10で光電変換されて電流Ibが生成される。また、主として太陽光Lcの赤色光成分のみが光電変換部20で光電変換されて電流Icが生成される。
【0035】
バックライトユニット3の光源、例えば有機EL素子の製造方法の一例を以下に説明する。
【0036】
厚さが125μmのフィルム状のポリカーボネート(PC)基板上に、SiNO膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて成膜し、さらにSiNO膜上に透明電極であるITO(Indium Tin Oxide)膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□(ohm/square)となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0037】
次に、ITO膜上に、厚さ60nmの銅フタロシアニン(CuPc)膜、厚さ5nmの五酸化バナジウム膜、厚さ20nmのN,N‘−ジ(1−ナフチル)−N,N‘−ジフェニルベンジジン(NPD)膜、厚さ5nmの黄色発光層、厚さ30nmの青色発光層、厚さ6nmのトリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)膜、及び厚さ10nmの2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
【0038】
さらに、BCP膜上に、厚さ5nmのAl膜を真空蒸着法を用いて成膜した後、Al膜上に厚さ100nmのITO膜を反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0039】
その後、最後に成膜したITO膜を、UV硬化型樹脂とSiNO膜との積層膜を有する封止用樹脂フィルムで封止することにより、バックライトユニット3の光源となる有機EL素子を作製することができる。
【0040】
次に、光電変換ユニット4の製造方法の一例を以下に説明する。
【0041】
厚さが125μmのフィルム状のポリカーボネート基板(透明基板21)上に、SiNO膜をCVD法を用いて成膜し、さらにSiNO膜上に透明電極22であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0042】
次に、ITO膜を部分的にエッチングしてパターン化した後、ITO膜を覆うようにポリカーボネート基板上に、正孔取出し層形成用塗工液(導電性高分子ペースト; ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルフォン酸重合物の水分散体)(PEDOT:PSS)をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層23を形成する。
【0043】
次に、正孔取出し層23上に、電子供与体層24である厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン(ZnPc)膜、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレン(C60)との混合膜、及び電子受容体層25である厚さ30nmのフラーレン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
【0044】
さらに、フラーレン膜上に、共通反射電極16である厚さ100nmの金属膜、例えばAl膜を真空蒸着法を用いて成膜し、光電変換部20を形成する。
【0045】
さらに、金属膜(共通反射電極16)上に、電子受容体層15である厚さ30nmのフラーレン膜、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレンとの混合膜、及び電子供与体層14である厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
【0046】
次に、亜鉛フタロシアニン膜(電子供与体層14)上に、上述した同様の正孔取出し層形成用塗工液をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層13を形成する。
【0047】
次に、正孔取出し層13上に、透明電極12であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0048】
さらに、最後に成膜したITO膜を、UV硬化型樹脂とSiNO膜との積層膜を有する封止用樹脂フィルム(封止層11)で封止することにより、光電変換部20上に光電変換部10が積層された光電変換ユニット4を作製することができる。
【0049】
上述した表示装置1によれば、バックライトユニット3から照射された白色光Lb(主として赤色光成分)を光電変換部10で光電変換して電流Ibを生成し、外部から照射された太陽光Lc(主として赤色光成分)を光電変換部20で光電変換して電流Icを生成し、これら電流Ib,Icを電流貯蔵部5で蓄えることにより、液晶表示パネル2へ白色光Laを照射するために電流貯蔵部5で消費された電流を、これら生成された電流Ib,Icで補うことができる。
【0050】
<実施例2>
実施例2は、実施例1に対して、電子供与体層として亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜を含む構成及び製造方法とした点で相違し、それ以外の構成及び製造方法は実施例1と同じである。
そこで、以下に実施例1とは異なる構成要素及び製造方法を中心にして図8及び図9を用いて説明する。実施例2では、説明をわかりやすくするために、実施例1と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0051】
図8に示すように、実施例2の表示装置30は、互いに対向する表示面A2及び背面B2を有する透過型の液晶表示パネル2と、互いに対向する発光面A3及び発光面B3を有し、発光面A3から例えば白色光Laを液晶表示パネル2の背面B2に向けて照射し、発光面B3から例えば白色光Lbを後述する光電変換ユニット34の受光面A4に向けて照射する両面発光型のバックライトユニット3と、両面発光型のバックライトユニット3の発光面B3から照射された白色光Lbを受光する受光面A4、及び外部から照射された外部光、例えば太陽光Lcを受光する受光面B4を有し、受光面A4で受光した白色光Lbを光電変換して電流Idを生成し、受光面B4で受光した太陽光Lcを光電変換して電流Ieを生成する光電変換ユニット34と、光電変換ユニット34で生成された電流Id及び電流Ieを蓄えるバッテリー等の電流貯蔵部5と、を備えている。
【0052】
図9に示すように、光電変換ユニット34は、バックライトユニット3の発光面B3(図8参照)から受光面A4に照射された白色光Lbを光電変換して電流Idを生成する光電変換部35と、外部から受光面B4に照射された太陽光Lcを光電変換して電流Ieを生成する光電変換部36と、を備えている。
【0053】
光電変換部35は、バックライトユニット3側から、封止層11,透明電極12,正孔取出し層13,電子供与体層37,電子受容体層15,及び共通反射電極16の順に配置された積層構造を有する。
【0054】
光電変換部36は、太陽光Lcが照射される外部側から、透明基板21,透明電極22,正孔取出し層23,電子供与体層38,電子受容体層25,及び共通反射電極16の順に配置された積層構造を有する。
【0055】
次に、光電変換ユニット34の製造方法の一例を以下に説明する。
【0056】
実施例1と同様に、厚さが125μmのフィルム状のポリカーボネート基板(透明基板21)上に、SiNO膜をCVD法を用いて成膜し、さらにSiNO膜上に透明電極22であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0057】
次に、実施例1と同様に、ITO膜を部分的にエッチングしてパターン化した後、ITO膜を覆うようにポリカーボネート基板上に、正孔取出し層形成用塗工液(PEDOT:PSS)をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層23を形成する。
【0058】
次に、正孔取出し層23上に、厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン膜、厚さが10nmで分子比率が1:0.05である亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜、及び厚さ5nmの亜鉛フタロシアニン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜し、電子供与体層38を形成する。
【0059】
さらに、最後に成膜した亜鉛フタロシアニン膜上に、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレンとの混合膜、及び電子受容体層25である厚さ30nmのフラーレン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
【0060】
その後、フラーレン膜上に、共通反射電極16である厚さ100nmの金属膜、例えばAl膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜し、光電変換部36を形成する。
【0061】
さらに、金属膜(共通反射電極16)上に、電子受容体層15である厚さ30nmのフラーレン膜、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレンとの混合膜、厚さ5nmの亜鉛フタロシアニン膜、厚さが10nmで分子比率が1:0.05である亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜、及び厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
最後に成膜した、亜鉛フタロシアニン膜、亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜、及び亜鉛フタロシアニン膜が電子供与体層37となる。
【0062】
次に、実施例1と同様に、最後に成膜した亜鉛フタロシアニン膜(電子供与体層37)上に、上述した同様の正孔取出し層形成用塗工液(PEDOT:PSS)をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層13を形成する。
【0063】
次に、正孔取出し層13上に、透明電極12であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0064】
さらに、最後に成膜したITO膜を、UV硬化型樹脂とSiNO膜との積層膜を有する封止用樹脂フィルム(封止層11)で封止することにより、光電変換部36上に光電変換部35が積層された光電変換ユニット34を作製することができる。
【0065】
ここで、ルブレンの吸収スペクトル及び発光スペクトルについて、図10を用いて説明する。
図10にルブレンの吸収スペクトル及び発光スペクトルの代表例を示す。図10において、横軸は吸収波長及び発光波長を示し、縦軸は吸収強度及び発光強度を示す。
【0066】
図10に示すように、ルブレンの吸収スペクトルは、吸収波長が490nm付近及び520nm付近に吸収強度の強いピークを有し、これらの一部が互いに重なり合っているため、およそ450nm〜550nmの範囲の光、即ち緑色成分の光を効率的に吸収することができる。
【0067】
一方、図10に示すように、ルブレンの発光スペクトルは、発光波長が550nm付近に発光強度の強いピークを有する。
【0068】
ここで、図10に示すルブレンの発光スペクトルと、前述の図7に示す亜鉛フタロシアニンの吸収スペクトルとを比較すると、亜鉛フタロシアニンの吸収ピーク及びその近傍の領域に重なってルブレンの発光ピーク及びその近傍の領域が存在するため、ルブレンが吸収した緑色光成分のエネルギーを亜鉛フタロシアニンに移動させることができる。
【0069】
そのため、光電変換部35において、電子供与体層37に亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜を用い、電子受容体層15にフラーレンを用いた場合、主として、白色光Lbの赤色光成分に加えて緑色光成分も光電変換部35で光電変換され、電流Idが生成される。
【0070】
同様に、光電変換部36において、電子供与体層38に亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜を用い、電子受容体層25にフラーレンを用いた場合、主として、太陽光Lcの赤色光成分に加えて緑色光成分も光電変換部36で光電変換され、電流Ieが生成される。
【0071】
上述した表示装置30によれば、バックライトユニット3から照射された白色光Lb(主として赤色成分及び緑色成分)を光電変換部35で光電変換して電流Idを生成し、外部から照射された太陽光Lc(主として赤色成分及び緑色成分)を光電変換部36で光電変換して電流Ieを生成し、これら電流Id,Ieを電流貯蔵部5で蓄えることにより、液晶表示パネル2へ白色光Laを照射するために電流貯蔵部5で消費された電流を、これら生成された電流Id,Ieで補うことができる。
【0072】
また、前述した実施例1の表示装置1では白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分を主として光電変換して電流Ib,Icを生成していたのに対し、実施例2の表示装置30では、白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分に加えて緑色光成分も光電変換して電流Id,Ieを生成するため、実施例1の表示装置1よりもさらに光電変換効率が向上し、電流の生成量を増加させることができる。
【0073】
<実施例3>
実施例3は、実施例1,2に対して、電子供与体層として亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜を含む構成及び製造方法とした点で相違し、それ以外の構成及び製造方法は実施例1,2と同じである。
そこで、以下に実施例1,2とは異なる構成要素及び製造方法を中心にして図11及び図12を用いて説明する。実施例3では、説明をわかりやすくするために、実施例1,2と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0074】
図11に示すように、実施例3の表示装置40は、互いに対向する表示面A2及び背面B2を有する透過型の液晶表示パネル2と、互いに対向する発光面A3及び発光面B3を有し、発光面A3から例えば白色光Laを液晶表示パネル2の背面B2に向けて照射し、発光面B3から例えば白色光Lbを後述する光電変換ユニット44の受光面A4に向けて照射する両面発光型のバックライトユニット3と、両面発光型のバックライトユニット3の発光面B3から照射された白色光Lbを受光する受光面A4、及び外部から照射された外部光、例えば太陽光Lcを受光する受光面B4を有し、受光面A4で受光した白色光Lbを光電変換して電流Ifを生成し、受光面B4で受光した太陽光Lcを光電変換して電流Igを生成する光電変換ユニット44と、光電変換ユニット44で生成された電流If及び電流Igを蓄えるバッテリー等の電流貯蔵部5と、を備えている。
【0075】
図12に示すように、光電変換ユニット44は、バックライトユニット3の発光面B3(図11参照)から受光面A4に照射された白色光Lbを光電変換して電流Ifを生成する光電変換部45と、外部から受光面B4に照射された太陽光Lcを光電変換して電流Igを生成する光電変換部46と、を備えている。
【0076】
光電変換部45は、バックライトユニット3側から、封止層11,透明電極12,正孔取出し層13,電子供与体層47,電子受容体層15,及び共通反射電極16の順に配置された積層構造を有する。
【0077】
光電変換部46は、太陽光Lcが照射される外部側から、透明基板21,透明電極22,正孔取出し層23,電子供与体層48,電子受容体層25,及び共通反射電極16の順に配置された積層構造を有する。
【0078】
次に、光電変換ユニット44の製造方法の一例を以下に説明する。
【0079】
実施例1,2と同様に、厚さが125μmのフィルム状のポリカーボネート基板(透明基板21)上に、SiNO膜をCVD法を用いて成膜し、さらにSiNO膜上に透明電極22であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0080】
次に、実施例1,2と同様に、ITO膜を部分的にエッチングしてパターン化した後、ITO膜を覆うようにポリカーボネート基板上に、正孔取出し層形成用塗工液(PEDOT:PSS)をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層23を形成する。
【0081】
次に、正孔取出し層23上に、厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン膜、厚さが10nmで分子比率が1:0.05:0.05である亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜、及び厚さ5nmの亜鉛フタロシアニン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜し、電子供与体層48を形成する。
【0082】
さらに、最後に成膜した亜鉛フタロシアニン膜上に、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレンとの混合膜、及び電子受容体層25である厚さ30nmのフラーレン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
【0083】
その後、フラーレン膜上に、共通反射電極16である厚さ100nmの金属膜、例えばAl膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜し、光電変換部46を形成する。
【0084】
さらに、金属膜(共通反射電極16)上に、電子受容体層15である厚さ30nmのフラーレン膜、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレンとの混合膜、厚さ5nmの亜鉛フタロシアニン膜、厚さが10nmで分子比率が1:0.05:0.05である亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜、及び厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
最後に成膜した、亜鉛フタロシアニン膜、亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜、及び亜鉛フタロシアニン膜が電子供与体層47となる。
【0085】
次に、実施例1,2と同様に、最後に成膜した亜鉛フタロシアニン膜(電子供与体層47)上に、上述した同様の正孔取出し層形成用塗工液(PEDOT:PSS)をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層13を形成する。
【0086】
次に、正孔取出し層13上に、透明電極12であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0087】
さらに、最後に成膜したITO膜を、UV硬化型樹脂とSiNO膜との積層膜を有する封止用樹脂フィルム(封止層11)で封止することにより、光電変換部46上に光電変換部45が積層された光電変換ユニット44を作製することができる。
【0088】
ここで、クマリンの吸収スペクトル及び発光スペクトルについて、図13を用いて説明する。
図13にクマリンの吸収スペクトル及び発光スペクトルの代表例を示す。図13において、横軸は吸収波長及び発光波長を示し、縦軸は吸収強度及び発光強度を示す。
【0089】
図13に示すように、クマリンの吸収スペクトルは、吸収波長が400nm付近に吸収強度の強いピークを有するため、クマリンは青色成分の光を効率的に吸収することができる。
【0090】
一方、図13に示すように、クマリンの発光スペクトルは、発光波長が390nm付近に発光強度の強いピークを有する。
【0091】
ここで、図13に示すクマリンの発光スペクトルと、前述の図10に示すルブレンの吸収スペクトルとを比較すると、ルブレンの吸収ピーク及びその近傍の領域に重なってクマリンの発光ピーク及びその近傍の領域が存在するため、クマリンが吸収した青色光成分のエネルギーをルブレンに移動させることができる。
また、ルブレンに移動した青色光成分のエネルギーは、前述した理由と同様の理由により、亜鉛フタロシアニンに移動する。
【0092】
そのため、光電変換部45において、電子供与体層47に亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜を用い、電子受容体層15にフラーレンを用いた場合、主として、白色光Lbの赤色光成分及び緑色光成分に加えて青色光成分も光電変換部45で光電変換され、電流Ifが生成される。
【0093】
同様に、光電変換部46において、電子供与体層48に亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜を用い、電子受容体層25にフラーレンを用いた場合、主として、太陽光Lcの赤色光成分及び緑色光成分に加えて青色光成分も光電変換部46で光電変換され、電流Igが生成される。
【0094】
上述した表示装置40によれば、バックライトユニット3から照射された白色光Lb(主として赤色成分,緑色成分,及び青色成分)を光電変換部45で光電変換して電流Ifを生成し、外部から照射された太陽光Lc(主として赤色成分,緑色成分,及び青色成分)を光電変換部46で光電変換して電流Igを生成し、これら電流If,Igを電流貯蔵部5で蓄えることにより、液晶表示パネル2へ白色光Laを照射するために電流貯蔵部5で消費された電流を、これら生成された電流If,Igで補うことができる。
【0095】
また、前述した実施例1の表示装置1では白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分を主として光電変換して電流Ib,Icを生成していたのに対し、実施例3の表示装置40では、白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分に加えて緑色光成分及び青色光成分も光電変換して電流If,Igを生成するため、実施例1の表示装置1よりもさらに光電変換効率が向上し、電流の生成量を増加させることができる。
【0096】
また、前述した実施例2の表示装置30では白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分及び緑色光成分を主として光電変換して電流Id,Ieを生成していたのに対し、実施例3の表示装置40では、白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分及び緑色光成分に加えて青色光成分も光電変換して電流If,Igを生成するため、実施例2の表示装置30よりもさらに光電変換効率が向上し、電流の生成量を増加させることができる。
【0097】
<実施例4>
実施例1では、光電変換ユニット4を2つの光電変換部20,30を有する構成及び製造方法としたのに対し、実施例4では、光電変換ユニット54を1つの光電変換部55を有する構成及び製造方法とした点で相違し、それ以外の構成及び製造方法は実施例1と同じである。
そこで、以下に実施例1とは異なる構成要素及び製造方法を中心にして図14及び図15を用いて説明する。実施例4では、説明をわかりやすくするために、実施例1〜3と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0098】
図14に示すように、実施例4の表示装置50は、互いに対向する表示面A2及び背面B2を有する透過型の液晶表示パネル2と、互いに対向する発光面A3及び発光面B3を有し、発光面A3から例えば白色光Laを液晶表示パネル2の背面B2に向けて照射し、発光面B3から例えば白色光Lbを後述する光電変換ユニット54の受光面A54に向けて照射する両面発光型のバックライトユニット3と、両面発光型のバックライトユニット3の発光面B3から照射された白色光Lbを受光する受光面A54、及び外部から照射された外部光、例えば太陽光Lcを受光する受光面B54を有し、受光面A54で受光した白色光Lbを光電変換して電流Ihを生成し、受光面B54で受光した太陽光Lcを光電変換して電流Iiを生成する光電変換ユニット54と、光電変換ユニット54で生成された電流Ih及び電流Iiを蓄えるバッテリー等の電流貯蔵部5と、を備えている。
【0099】
図15に示すように、光電変換ユニット54は、バックライトユニット3の発光面B3(図14参照)から受光面A54に照射された白色光Lbを光電変換して電流Ihを生成し、外部から受光面B54に照射された太陽光Lcを光電変換して電流Iiを生成する光電変換部55を備えている。
【0100】
光電変換部55は、バックライトユニット3側から、封止層11,半透過半反射電極52,電子受容体層15(25),電子供与体層14(24),正孔取出し層13(23),透明電極22,及び透明基板21の順に配置された積層構造を有する。
【0101】
半透過半反射電極52は、実施例1の共通反射電極16及び透明電極12と比較して、バックライトユニット3側から入射した白色光Lbの一部を透過し、残りを反射するものであり、かつ外部から入射した太陽光Lcの一部を透過し、残りを反射するものである。
【0102】
白色光Lbは、その一部が光電変換部55の半透過半反射電極52を透過し、電子受容体層15(25),電子供与体層14(24),及びこれらの界面近傍の電荷分離領域に達する一方、白色光Lbの残りは半透過半反射電極52で反射し、バックライトユニット3に向けて照射される。
即ち、白色光Lbは、その一部が光電変換部55で光電変換されて電流Ihが生成され、残りがバックライトユニット3に向けて反射されるので、バックライトユニット3の液晶表示パネル2への照射効率が向上する。
【0103】
太陽光Lcは、光電変換部55の電子供与体層14(24),電子受容体層15(25),及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を通って半透過半反射電極52に達し、その一部が半透過半反射電極52で反射し、再び電子受容体層15(25),電子供与体層14(24),及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を通って外部に放出される。
即ち、太陽光Lcは、光電変換部55の電子供与体層14(24),電子受容体層15(25),及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を2度通過するため、光電変換部55の光電変換効率が向上する。
【0104】
次に、光電変換ユニット54の製造方法の一例を以下に説明する。
【0105】
実施例1と同様に、厚さが125μmのフィルム状のポリカーボネート基板(透明基板21)上に、SiNO膜をCVD法を用いて成膜し、さらにSiNO膜上に透明電極22であるITO膜を膜厚が150nmでシート抵抗が20Ω/□となるように反応性イオンビームスパッタリング法を用いて成膜する。
【0106】
次に、実施例1と同様に、ITO膜を部分的にエッチングしてパターン化した後、ITO膜を覆うようにポリカーボネート基板上に、上述の正孔取出し層形成用塗工液(PEDOT:PSS)をスピンコート法にて塗布して乾燥させ、厚さ100nmの正孔取出し層13(23)を形成する。
【0107】
次に、正孔取出し層13(23)上に、電子供与体層14(24)である厚さ10nmの亜鉛フタロシアニン(ZnPc)膜、厚さが15nmで分子比率が1:1である亜鉛フタロシアニンとフラーレン(C60)との混合膜、及び電子受容体層15(25)である厚さ30nmのフラーレン膜を、真空蒸着法を用いて順次成膜する。
【0108】
さらに、フラーレン膜上に、ITO膜とAl膜とをそれぞれ所定の厚さで成膜して半透過半反射電極52を形成する。
【0109】
さらに、半透過半反射電極52を、UV硬化型樹脂とSiNO膜との積層膜を有する封止用樹脂フィルム(封止層11)で封止することにより、光電変換ユニット54を作製することができる。
【0110】
上述した表示装置50によれば、前述の実施例1で説明した理由と同様の理由により、バックライトユニット3から照射された白色光Lb(主として赤色光成分)を光電変換ユニット54で光電変換して電流Ihを生成し、外部から照射された太陽光Lc(主として赤色光成分)を光電変換ユニット54で光電変換して電流Iiを生成し、これら電流Ih,Iiを電流貯蔵部5で蓄えることにより、液晶表示パネル2へ白色光Laを照射するために電流貯蔵部5で消費された電流を、これら生成された電流Ih,Iiで補うことができる。
【0111】
<実施例5>
実施例5は、実施例4に対して、電子供与体層として亜鉛フタロシアニンとルブレンとの混合膜を含む構成及び製造方法とした点で相違し、それ以外の構成及び製造方法は実施例4と同じである。
即ち、実施例5と実施例4との関係は、前述した実施例2と実施例1との関係と同様である。
実施例5では、説明をわかりやすくするために、実施例1〜4と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0112】
図16に示すように、実施例5の表示装置60は、互いに対向する表示面A2及び背面B2を有する透過型の液晶表示パネル2と、互いに対向する発光面A3及び発光面B3を有し、発光面A3から例えば白色光Laを液晶表示パネル2の背面B2に向けて照射し、発光面B3から例えば白色光Lbを後述する光電変換ユニット64の受光面A54に向けて照射する両面発光型のバックライトユニット3と、両面発光型のバックライトユニット3の発光面B3から照射された白色光Lbを受光する受光面A54、及び外部から照射された外部光、例えば太陽光Lcを受光する受光面B54を有し、受光面A54で受光した白色光Lbを光電変換して電流Ijを生成し、受光面B54で受光した太陽光Lcを光電変換して電流Ikを生成する光電変換ユニット64と、光電変換ユニット64で生成された電流Ij及び電流Ikを蓄えるバッテリー等の電流貯蔵部5と、を備えている。
【0113】
図17に示すように、光電変換ユニット64は、バックライトユニット3の発光面B3(図16参照)から受光面A54に照射された白色光Lbを光電変換して電流Ijを生成し、外部から受光面B54に照射された太陽光Lcを光電変換して電流Ikを生成する光電変換部65を備えている。
【0114】
光電変換部65は、バックライトユニット3側から、封止層11,半透過半反射電極52,電子受容体層15(25),電子供与体層37(38),正孔取出し層13(23),透明電極22,及び透明基板21の順に配置された積層構造を有する。
【0115】
上述した表示装置60によれば、バックライトユニット3から照射された白色光Lb(主として赤色光成分及び緑色光成分)を光電変換部65で光電変換して電流Ijを生成し、外部から照射された太陽光Lc(主として赤色光成分及び緑色光成分)を光電変換部65で光電変換して電流Ikを生成し、これら電流Ij,Ikを電流貯蔵部5で蓄えることにより、液晶表示パネル2へ白色光Laを照射するために電流貯蔵部5で消費された電流を、これら生成された電流Ij,Ikで補うことができる。
【0116】
また、前述した実施例4の表示装置50では白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分を主として光電変換して電流Ih,Iiを生成していたのに対し、実施例5の表示装置60では、白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分に加えて緑色光成分も光電変換して電流Ij,Ikを生成するため、実施例4の表示装置50よりもさらに光電変換効率が向上し、電流の生成量を増加させることができる。
【0117】
<実施例6>
実施例6は、実施例4,5に対して、電子供与体層として亜鉛フタロシアニンとルブレンとクマリンとの混合膜を含む構成及び製造方法とした点で相違し、それ以外の構成及び製造方法は実施例4,5と同じである。
即ち、実施例6と実施例4,5との関係は、前述した実施例3と実施例1,2との関係と同様である。
実施例6では、説明をわかりやすくするために、実施例1〜5と同じ構成部には同じ符号を付す。
【0118】
図18に示すように、実施例6の表示装置70は、互いに対向する表示面A2及び背面B2を有する透過型の液晶表示パネル2と、互いに対向する発光面A3及び発光面B3を有し、発光面A3から例えば白色光Laを液晶表示パネル2の背面B2に向けて照射し、発光面B3から例えば白色光Lbを後述する光電変換ユニット74の受光面A54に向けて照射する両面発光型のバックライトユニット3と、両面発光型のバックライトユニット3の発光面B3から照射された白色光Lbを受光する受光面A54、及び外部から照射された外部光、例えば太陽光Lcを受光する受光面B54を有し、受光面A54で受光した白色光Lbを光電変換して電流Imを生成し、受光面B54で受光した太陽光Lcを光電変換して電流Inを生成する光電変換ユニット74と、光電変換ユニット74で生成された電流Im及び電流Inを蓄えるバッテリー等の電流貯蔵部5と、を備えている。
【0119】
図19に示すように、光電変換ユニット74は、バックライトユニット3の発光面B3(図18参照)から受光面A54に照射された白色光Lbを光電変換して電流Imを生成し、外部から受光面B54に照射された太陽光Lcを光電変換して電流Inを生成する光電変換部75を備えている。
【0120】
光電変換部75は、バックライトユニット3側から、封止層11,半透過半反射電極52,電子受容体層15(25),電子供与体層47(48),正孔取出し層13(23),透明電極22,及び透明基板21の順に配置された積層構造を有する。
【0121】
上述した表示装置70によれば、バックライトユニット3から照射された白色光Lb(主として赤色光成分,緑色光成分,及び青色光成分)を光電変換部75で光電変換して電流Imを生成し、外部から照射された太陽光Lc(主として赤色光成分,緑色光成分,及び青色光成分)を光電変換部46で光電変換して電流Inを生成し、これら電流Im,Inを電流貯蔵部5で蓄えることにより、液晶表示パネル2へ白色光Laを照射するために電流貯蔵部5で消費された電流を、これら生成された電流Im,Inで補うことができる。
【0122】
また、前述した実施例4の表示装置50では白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分を主として光電変換して電流Ih,Iiを生成していたのに対し、実施例6の表示装置70では、白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分に加えて緑色光成分及び青色光成分も光電変換して電流Im,Inを生成するため、実施例4の表示装置50よりもさらに光電変換効率が向上し、電流の生成量を増加させることができる。
【0123】
また、前述した実施例5の表示装置60では白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分及び緑色光成分を主として光電変換して電流Ij,Ikを生成していたのに対し、実施例6の表示装置70では、白色光Lb及び太陽光Lcの赤色光成分及び緑色光成分に加えて青色光成分も光電変換して電流Im,Inを生成するため、実施例5の表示装置60よりもさらに光電変換効率が向上し、電流の生成量を増加させることができる。
【0124】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0125】
例えば、実施例1〜3では、光電変換ユニット(光電変換部)の構成を、バックライト側を封止層とし、太陽光等の外部光が照射される側を透明基板としたが、これに限定されるものではない。例えば上記構成とは逆に、バックライト側を透明基板とし、太陽光等の外部光が照射される側を封止層としてもよい。
【0126】
また、実施例4〜6では、光電変換ユニット(光電変換部)の構成を、バックライト側を封止層とし、太陽光等の外部光が照射される側を透明基板としたが、これに限定されるものではない。例えば上記構成とは逆に、バックライト側を透明基板とし、太陽光等の外部光が照射される側を封止層としてもよい。
但し、通常、光電変換ユニット(光電変換部)に対し、バックライトから照射される光よりも外部から照射される光、例えば太陽光の方が光強度が強いので、太陽光が電子供与体層,電子受容体層,及びこれらの界面近傍の電荷分離領域を2度通過する、実施例4〜6と同じ構成にすることが望ましい。
【0127】
また、実施例1〜6では、電子供与体層の材料として亜鉛フタロシアニン(ZnPc)を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば亜鉛フタロシアニン(ZnPc)に替えて銅フタロシアニン(CuPc)を用いてもよい。
【0128】
また、実施例2,3では、2つの電子供与体層(37,38),(47,48)がそれぞれルブレンを含む構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば一方の電子供与体層のみがルブレンを含む構成としてもよい。
【0129】
また、実施例3では、2つの電子供与体層47,48がそれぞれクマリンを含む構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば一方の電子供与体層のみがクマリンを含む構成としてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1,30,40,50,60,70_表示装置、 2_液晶表示パネル、 3_バックライトユニット、 4,34,44,54,64,74_光電変換ユニット、 5_電流貯蔵部、 10,20,35,36,45,46,55,65,75_光電変換部、 11_封止層、 12,22_透明電極、 13,23_正孔取出し層、 14,24,37,38,47,48_電子供与体層、 15,25_電子受容体層、 16_共通反射電極、 21_透明基板、 52_半透過半反射電極、 A2_表示面、 A3_発光面、 A4,A54_受光面、 B2_背面、 B3_発光面、 B4,B54_受光面、 La,Lb_白色光、 Lc_太陽光、 Ib〜In_電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示面、及び前記表示面に対向する背面を有する表示パネルと、
前記表示パネルの前記背面に向けて第1の光を照射し、前記背面とは異なる方向に向けて第2の光を照射するバックライトユニットと、
前記第2の光を受光する第1の受光面、及び外部から第3の光を受光する第2の受光面を有し、前記第1の受光面で受光した前記第2の光を光電変換して第1の電流を生成し、前記第2の受光面で受光した前記第3の光を光電変換して第2の電流を生成する光電変換ユニットと、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光電変換ユニットは、
前記第1の受光面及び前記第2の受光面のいずれか一方の受光面、及び前記一方の受光面に対向する第1の対向面を有する透明基板と、
前記透明基板の前記第1の対向面上に順次形成された、
第1の透明電極と、
第1の正孔取出し層と、
第1の電子供与体層と、
第1の電子受容体層と、
前記第2の光及び前記第3の光を反射する共通反射電極と、
第2の電子受容体層と、
第2の電子供与体層と、
第2の正孔取出し層と、
第2の透明電極と、
封止層と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の電子供与体層、前記第2の電子供与体層、前記第1の電子受容体層、及び前記第2の電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有する第1の色素をそれぞれ含んでいることを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の電子供与体層、前記第2の電子供与体層、前記第1の電子受容体層、又は前記第2の電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有すると共に、前記第1の色素の吸収波長領域に少なくとも一部が重なる発光波長領域を有する第2の色素をさらに含んでいることを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記光電変換ユニットは、
前記第1の受光面及び前記第2の受光面のいずれか一方の受光面、及び前記一方の受光面に対向する第1の対向面を有する透明基板と、
前記透明基板の前記第1の対向面上に順次形成された、
透明電極と、
正孔取出し層と、
電子供与体層と、
電子受容体層と、
前記第2の光及び前記第3の光の一部をそれぞれ透過し、残りをそれぞれ反射する半透過半反射電極と、
封止層と、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記電子供与体層及び前記電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有する第3の色素をそれぞれ含んでいることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記電子供与体層又は前記電子受容体層は、前記第2の光の波長領域及び前記第3の光の波長領域に少なくとも一部がそれぞれ重なる吸収波長領域を有すると共に、前記第3の色素の吸収波長領域に少なくとも一部が重なる発光波長領域を有する第4の色素をさらに含んでいることを特徴とする請求項6記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−243438(P2011−243438A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115197(P2010−115197)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】