説明

表示装置

【課題】基板の撓みによる表示むらや背景むらを抑制可能な表示装置を提供する。
【解決手段】基板10と、この基板10に半田付けされる複数のピン21を有するLCD20とを備えた表示装置1において、LCD20を保持するホルダー30と、LCD20を覆うカバー40とを備え、複数のピン21を一平面S1に沿って配列し、複数のピン21を一平面S1の両面側から挟み込み部材3,4で挟み込み、挟み込み部材3,4をホルダー30及びカバー40で挟持した構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のピンを有するLCDを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と、電源端子や各種制御端子等からなる複数のピンを有するLCD(液晶ディスプレイ)とを備え、ピンを基板に半田付けした表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の表示装置のLCDは、一般に、液晶層の両面に配向膜を設け、一方の配向膜にカラーフィルタ基板及び偏光板を重ね、他方の配向膜にアレイ基板、偏光板及び導光板を重ねて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3746178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の構成では、LCDのピンが半田付け部のみで固定されており他の部品に接していないため、基板上のスイッチを押した際等に基板が撓むと、ピンの半田付け部が引っ張られ、ピンを通じてLCDの液晶層に力が伝わり、液晶層の厚みが変わることで表示むらや背景むらを引き起こすおそれがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、基板の撓みによる表示むらや背景むらを抑制可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、この基板に半田付けされる複数のピンを有するLCDとを備えた表示装置において、前記LCDを保持するホルダーと、前記LCDを覆うカバーとを備え、前記複数のピンを一平面に沿って配列し、前記複数のピンを前記一平面の両面側から挟み込み部材で挟み込み、前記挟み込み部材を前記ホルダー及び前記カバーで挟持したことを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記基板には、前記ピンの半田付け部の近傍に押圧型のスイッチが設けられていてもよい。
【0007】
上記構成において、前記基板には、中心部付近に押圧型のスイッチが設けられていてもよい。
【0008】
上記構成において、前記LCDは、液晶層と、この液晶層の両側に配置されるガラス基板とを備え、前記ガラス基板の厚さはそれぞれ2mm以下であってもよい。
【0009】
上記構成において、前記複数のピンの一面側に位置する前記挟み込み部材を弾性部材で形成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のピンを一平面に沿って配列し、複数のピンを一平面の両面側から挟み込み部材で挟み込み、挟み込み部材をホルダー及びカバーで挟持しただため、基板が撓んだ際に、一部のピンにかかる力を複数のピンに分散できるので、基板の撓みによる表示むらや背景むらを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器を示す分解斜視図である。
【図2】電子機器の断面を示す図である。
【図3】LCDを模式的に示す分解斜視図である。
【図4】ホルダーに板状部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図3の側面図である。
【図6】ホルダーにカラーフィルタ及びLCDを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】図5の側面図である。
【図8】ホルダーにカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】図7の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に係る表示装置を示す分解斜視図であり、図2は表示装置の断面図である。
表示装置1は、例えば自動車に搭載される車載機器であり、図1及び図2に示すように、プリント基板(基板)10と、LCD20と、カラーフィルタ2と、ホルダー30と、板状部材(挟み込み部材)3,4と、カバー40とを備えている。
【0013】
プリント基板10には、LCD20のピン21を挿通するための複数のピン挿通孔11と、ホルダー30を位置決めするための複数のホルダー位置決め孔(不図示)と、カバー40を固定するための複数のカバー固定孔13とが形成されている。プリント基板10の裏面にはピン挿通孔11およびカバー固定孔13の近傍に半田付けのためのランドが設けられている。また、プリント基板10には、表示装置1を操作するための押圧式の複数のスイッチ14と、LCD20をバックライト照明する光源15(本実施の形態では、複数のLED光源)とが搭載されている。複数のスイッチ14のうちの一部のスイッチ14A〜14Dは、ピン21の半田付け部となる、ピン挿通孔11のランドの近傍であって、基板10の中心付近に配置されている。
カラーフィルタ2は、所定波長の光を反射するフィルタであり、光源15とLCD20との間に配置されている。このカラーフィルタ板2は、LCD20の平面形状と略同一の大きさに形成されている。
【0014】
LCD20は、矩形の板状に形成された液晶パネルであり、長手の両側面からは、電源端子や各種制御端子等からなる複数のピン21が下方に向けて、それぞれ平面S1(一平面),S2に沿って延出している。本実施の形態では、長手側面の一方では一部に亘って、長手側面の他方では全体に亘って複数のピン21が設けられており、以下、長手側面の一方に設けられ平面S1に沿って配列された複数のピン21をピン群21Aと、長手側面の他方に設けられ平面S2に沿って配列された複数のピン21をピン群21Bとして区別する。
【0015】
図3は、LCD20を模式的に示す分解斜視図である。
LCD20は、図3に示すように、下から順に、導光板22と、偏光板23と、アレイ基板24と、液晶層25と、カラーフィルタ基板26と、偏光板27とを積層して構成されている。アレイ基板24は、ガラス基板24Aの液晶層25側に透明電極(サブ画素電極)(不図示)を形成し、さらに配向膜24Bを重ねて構成されている。カラーフィルタ基板26は、ガラス基板26Aの液晶層25側にカラーフィルタ(不図示)を形成し、さらに透明電極(共通電極)(不図示)を形成した上に配向膜26Bを重ねて構成されている。本実施の形態のLCD20は、大きさが制約される車載機器に設けられることから、厚みが薄く(例えば、約0.7mm)形成されたガラス基板24A,26Aを備え、全体としては約2mmの薄さに形成されている。
【0016】
図4は、ホルダー30に板状部材3を取り付けた状態を示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、ホルダー30は、カラーフィルタ板2及びLCD20を保持する樹脂製の部材であり、左側板30A及び右側板30Bは前側板30C、後側板30D及び底板30Eを備えて略箱状に形成されている。左側板30A及び右側板30Bは前側板30C及び後側板30Dよりも外側に延出している。側板30A〜30Dが形成する平面形状はLCD20の平面形状と略同等となっており、側板30A〜30Dの上面部は、カラーフィルタ板2及びLCD20を載置するための載置部32となっている。左側板30A及び右側板30Bの上部には、カラーフィルタ板2及びLCD20の移動を規制する規制部33が設けられている。
【0017】
ホルダー30は、底板30Eから側板30A〜30Dの上部に向けて徐々に開口する斜面34を有し、底板30Eには、プリント基板10に搭載された光源15を露出させる開口35が形成されている。ホルダー30の下面には、当該ホルダー30の位置決めを行うための突起36が複数(本実施の形態では、2つ)設けられている。
前側板30Cには、外側に張り出した張り出し部37が形成され、張り出し部37の上部にはLCD20のピン21をガイドするピンガイド38が設けられている。また、張り出し部37には、板状部材3を位置決めするための位置決め条39が上下に設けられている。張り出し部37において、右側板30Bと、ピンガイド38,38と、位置決め条39に囲われた部分が板状部材3の取付部37Aとなる。
【0018】
カバー40は、LCD20を覆う板金製の部材であり、図1に示すように、下面を開放した箱型状をしている。カバー40の上面には、LCD20を露出させる露出窓41が形成されている。カバー40の下面には複数の爪42が形成されており、本実施の形態では、前面側に2つ、後面側に2つ、左面側に1つ、合計5つの爪42が設けられている。
カバー40の前面40Aには、内側に突出する突出部43が、取付部37Aに対応して形成されている。
【0019】
板状部材3は、ホルダー30の張り出し部37とLC20のピン21との間に配置されるスペーサであり、例えばゴム等の弾性部材を用いて形成されている。板状部材3の長さは、ピン群21Aの幅Wよりも長くなるように設定されている。板状部材3の厚さは、ホルダー30の張り出し部37とLC20のピン21との間の隙間に応じて設定される。
板状部材4は、LCD20のピン21とカバー40の突出部43との間に配置されるスペーサであり、例えばポリカーボネート等の樹脂を用いて、板状部材3と略同一の大きさに形成されている。板状部材4の厚さは、LCD20のピン21とカバー40の突出部43との間の隙間に応じて設定される。
【0020】
次いで、図4〜図9を参照し、表示装置1の組み立て手順について説明する。
図5は図4の正面図である。図6はホルダー30にカラーフィルタ板2及びLCD20を取り付けた状態を示す斜視図であり、図7は図6の正面図である。また、図8はホルダー30にカバー40を取り付けた状態を示す斜視図であり、図9は図8の正面図である。なお、図6及び図8ではプリント基板10を省略している。
まず、図4及び図5に示すように、ホルダー30の取付部37Aに板状部材3を取り付ける。このとき、板状部材3をピンガイド38の下面及び右側板30Bに沿って張り付ける。板状部材3は、例えば、両面テープ、糊、接着剤を用いて張り付けることが可能であり、本実施の形態では、両面テープで張り付けている。次に、ホルダー30の突起36がプリント基板10(図1)に形成されたホルダー位置決め孔に挿通するように、ホルダー30をプリント基板10上に配置する。
【0021】
次いで、図6及び図7に示すように、カラーフィルタ板2をホルダー30の載置部32上に載置し、このカラーフィルタ板2上にLCD20を載置する。このとき、LCD20のピン21をピンガイド38に案内させながらプリント基板10のピン挿通孔11(図1)に挿通し、ピン21をプリント基板10の下面側でプリント基板10に半田付けする。次に、先に張り付けた板状部材3と略同位置となるように、板状部材4をLCD20のピン群21Aの外側に張り付ける。板状部材4の張り付けも、板状部材3と同様に、例えば、両面テープ、糊、接着剤を用いることが可能であり、本実施の形態では、両面テープを用いている。
【0022】
そして、カバー40の爪42がプリント基板10のカバー固定孔13(図1)に挿通するように、カバー40をプリント基板10上に配置し、爪42をかしめてプリント基板10の下面側でプリント基板10に半田付けする。これにより、図9に示すように、カバー40の突出部43が板状部材3,4に対応する位置に配置される。より詳細には、板状部材4に接触する平面部43Aは、板状部材3,4の上下方向の中心よりやや上方に配置されるように形成されている。
この状態で、LCD20のピン群21Aは、図2に示すように、ホルダー30に張り付けられた板状部材3と、ピン21の外側に張り付けられた板状部材4とを介して、ホルダー30の張り出し部37と、カバー40の平面部43Aとに挟み込まれて固定されることとなる。
【0023】
このように、複数のピン21を平面S1に沿って配列して平面S1の内側と外側から板状部材3,4で挟み込み、板状部材3,4をホルダー30及びカバー40でさらに抑え込むことにより、プリント基板10のスイッチ14を押した際等に、プリント基板10が撓んで一部のピン21の半田付け部が引っ張られても、一部のピン21にかかる力が複数のピン21に分散される。その結果、例えば中心部付近に設けられた押圧型のスイッチ14A〜14Bが押されて基板10が比較的大きく撓む場合や、ピン21の半田付け部の近傍の押圧型のスイッチ14A〜14Bが押されて一部のピン21の半田付け部が比較的強く引っ張られる場合であっても、表示むらや背景むらを確実に抑制できる。また、挟み込みに使用する板状部材3,4の一方の板状部材3をゴム等の弾性部材にすることで、部品単体の交差や組み付け交差を板状部材3で吸収して、常に挟み込みの効果を得ることができる。
【0024】
以上説明したように、本実施の形態によれば、LCD20を保持するホルダー30と、LCD20を覆うカバー40とを備え、複数のピン21を平面S1に沿って配列し、複数のピン21を平面S1の両面側から板状部材3,4で挟み込み、板状部材3,4をホルダー30及びカバー40で挟持した構成とした。この構成により、プリント基板10が撓んだ際に、一部のピン21にかかる力を複数のピン21に分散できるので、プリント基板10の撓みによる表示むらや背景むらを抑制できる。
【0025】
また、本実施の形態によれば、プリント基板10に、ピン21の半田付け部の近傍に押圧型のスイッチ14A〜14Dが設けられ、このスイッチ14A〜14Dを押した際にプリント基板10がピン21の半田付け部の近傍で比較的大きく撓む場合であっても、一部のピン21にかかる力を複数のピン21に分散できるので、プリント基板10の撓みによる表示むらや背景むらを抑制できる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、プリント基板10には、中心部付近に押圧型のスイッチ14A〜14Bが設けられ、プリント基板10が比較的大きく撓む場合であっても、一部のピン21にかかる力を複数のピン21に分散できるので、プリント基板10の撓みによる表示むらや背景むらを抑制できる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、LCD20の液晶層25の両側に配置されるガラス基板24A,26Aの厚さがそれぞれ2mm以下であり、液晶層25の厚みが比較的変化しやすいLCD20を採用しても、プリント基板10が撓んだ際に一部のピン21にかかる力を複数のピン21に分散し、液晶層25の厚みの変化を抑制できるので、プリント基板10の撓みによる表示むらや背景むらを抑制できる。
【0028】
また、本実施の形態によれば、複数のピン21の一面側に位置する板状部材3を弾性部材で形成したため、プリント基板10が撓んだ際に、プリント基板10からピン21を介してLCD20に伝わる負荷を、板状部材3で吸収して軽減できる。
【0029】
但し、上記実施の形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、ホルダー30に張り付けた板状部材3を弾性部材で形成したが、ピン21に張り付けた板状部材4を弾性部材で形成してもよい。
また、上記実施の形態では、挟み込み部材を2つの板状部材3,4として説明したが、挟み込み部材はこれに限定されるものではなく、例えば単一部材としてもよい。
【0030】
また、上記実施の形態では、板状部材3,4をそれぞれホルダー30及びカバー40で挟み込んで固定したが、これに限らず、板状部材3,4を他の固定部材で挟み込んでもよい。
また、上記実施の形態では、突出部43をカバー40側に形成したが、ホルダー30側に形成してもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、本発明を、厚さが約0.7mmに形成されたガラス基板24A,26Aを備えた約2mmの厚さのLCD20に適用したが、本発明を適用するLCDはこれらの厚みに限定されるものではない。本発明は、例えば、ガラス基板24A,26Aの厚さが2mm以下の比較的薄いLCD20により好適に用いることができる。
また、上記実施の形態では、本発明を車載機器に適用した場合を示したが、これに限らず他の表示装置、例えば携帯電話に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 表示装置
3,4 板状部材(挟み込み部材)
10 プリント基板(基板)
14,14A〜14D スイッチ
20 LCD
21 ピン
24A,26A ガラス基板
25 液晶層
30 ホルダー
40 カバー
S1 平面(一平面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、この基板に半田付けされる複数のピンを有するLCDとを備えた表示装置において、
前記LCDを保持するホルダーと、前記LCDを覆うカバーとを備え、
前記複数のピンを一平面に沿って配列し、
前記複数のピンを前記一平面の両面側から挟み込み部材で挟み込み、
前記挟み込み部材を前記ホルダー及び前記カバーで挟持したことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記基板には、前記ピンの半田付け部の近傍に押圧型のスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記基板には、中心部付近に押圧型のスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記LCDは、液晶層と、この液晶層の両側に配置されるガラス基板とを備え、
前記ガラス基板の厚さはそれぞれ2mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数のピンの一面側に位置する前記挟み込み部材を弾性部材で形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−92550(P2013−92550A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232696(P2011−232696)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】