説明

表示記憶装置

【課題】簡素な構成で低コストで実現でき、設計の自由度が高い表示記憶装置を提供する。
【解決手段】制御部110は、タッチ式入力部102に対する筆記入力と、ダイヤル式入力部103対する押下操作に応じて、筆記入力された文字や図形などを記憶部105に保存し、また制御部110は、ダイヤル式入力部103に対する回転操作に応じて、保存しておいた筆記入力による文字や図形を記憶部105から読み出して表示部101に順次表示するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された情報の記憶と表示を行う表示記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、従来は、手書き入力されるデータを記憶するとともに、外部から入力された画像データも記憶して、これらのデータを合わせて表示するようにしている(例えば、特許文献1参照)。このため、装置の構成が複雑で、高価であるという問題や、装置が大型のため、設計の自由度が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2003−256134公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の表示記憶装置では、装置の構成が複雑で、高価であるという問題や、装置が大型のため、設計の自由度が低いという問題があった。
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、簡素な構成で低コストで実現でき、設計の自由度が高い表示記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、この発明は、尖筆によって入力された軌跡を検出する軌跡入力手段と、ユーザからの登録指示を受け付ける登録指示入力手段と、この登録指示入力手段が登録指示を受け付けた場合に、軌跡入力手段によって入力された軌跡に、データ名を付与して画像データとして記憶する記憶手段と、この記憶手段が記憶する画像データに基づく画像を表示する表示手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0005】
以上述べたように、この発明では、ユーザからの登録指示があると、尖筆などによって入力された軌跡に、データ名を付与して画像データとして記憶し、この画像データに基づく画像を表示手段に表示するようにしている。
したがって、この発明によれば、ユーザは尖筆によって筆記入力した軌跡を、データ名の付与操作無しに画像データとして記録して、それを表示するので、軌跡入力の記録や表示を簡素な構成で低コストで実現でき、設計の自由度が高い表示記憶装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる表示記憶装置100の外観を示す図である。この図に示すように、表示記憶装置100は、筐体の側面に表示部101を備え、その表面にタッチ式入力部102が載置される。タッチ式入力部102は、表示部101に表示される情報が視認できるように、例えば透過型のタッチパネルを用い、ユーザがスタイラス(尖筆)1021を用いて、タッチ式入力部102上で筆記することにより入力が行われる。
【0007】
ダイヤル式入力部103は、例えば筐体の長手方向端部に設けられ、回転体を回転させたり、押下することによりユーザの入力指示を受け付けるものである。外部インタフェース104は、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのデータ入出力用のインタフェースであって、例えばダイヤル式入力部103とは反対側の筐体の長手方向端部に設けられ、着脱式の端子保護カバー1041によって保護される。
【0008】
図2は、上記表示記憶装置100の回路ブロック図を示すものである。この図に示すように、表示記憶装置100は、表示部101と、タッチ式入力部102と、ダイヤル式入力部103と、外部インタフェース104と、記憶部105と、電源部106と、制御部110とを備える。
【0009】
表示部101は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などを用いた表示装置であって、上述したようにその表面上にタッチ式入力部102が載置され、制御部110によって表示制御が行われる。
タッチ式入力部102は、上述したように、例えば透過型のタッチパネルであって、ユーザによって押圧された位置を検出し、これを制御部110に通知する。
【0010】
ダイヤル式入力部103は、回転体が回転自在に軸支されるとともの、この軸支構造と共に回転体が押下により筐体長手方向に可動可能な構造となっており、図3に示すような回転体103aに対する回転操作103b、103cを内蔵するロータリエンコーダ(図示しない)により検出すると共に、回転体103aに対する押下操作103dを内蔵するスイッチ(図示しない)により検出し、これらの検出結果を制御部110に通知する。
【0011】
外部インタフェース104は、上述したように、例えばUSBなどのデータ入出力用のインタフェースであって、制御部110の制御により、これを通じてデータの入出力が行われる。
記憶部105は、例えばNAND型のフラッシュメモリであって、制御部110によってデータの記録と読み出しが行われる。
電源部106は、バッテリを備え、当該表示記憶装置100の各部に動作用の電力を供給するものである。
【0012】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などのマイクロプロセッサを備え、当該表示記憶装置100の各部を統括して制御するものであって、例えばタッチ式入力部102によって時々刻々と検出される座標を一連の軌跡として認識して、この軌跡を画像データに変換する機能や、この画像データを記憶部105に記録する機能、記憶部105に記録された画像データに基づく画像を表示部101に表示する機能などを備える。
【0013】
次に、上記構成の表示記憶装置の動作について説明する。
図4は、表示記憶装置の動作を説明するフローチャートであって、制御部110の制御フローを示すものである。この制御フローは、タッチ式入力部102に対して操作が加えられたり、ダイヤル式入力部103に対して回転操作や押下操作が加えられた場合に、電源が投入され、電源が切られるまで繰り返し実行される。
【0014】
まず、ステップ4aにおいて制御部110は、タッチ式入力部102やダイヤル式入力部103に対する操作を監視する。ここで、制御部110は、タッチ式入力部102に対する操作、すなわちスタイラス1021などを用いた筆記入力を検出した場合には、ステップ4bに移行し、一方、ダイヤル式入力部103に対する回転操作を検出した場合には、ステップ4fに移行する。
【0015】
ステップ4bにおいて制御部110は、タッチ式入力部102に対して行われた筆記入力による軌跡の座標を検出し、ステップ4cに移行する。
ステップ4cにおいて制御部110は、ステップ4bで検出した軌跡の座標を、一時的に記憶部105に記録するとともに、上記軌跡の座標に基づいて、その軌跡を表示部101に表示し、ステップ4dに移行する。すなわち、ステップ4cにおいて制御部110は、ステップ4bで筆記入力された軌跡を表示部101に表示する。
【0016】
ステップ4dにおいて制御部110は、ダイヤル式入力部103に対して押下操作がなされたか否かを判定する。ここで、押下操作がなされた場合には、ステップ4eに移行し、一方、押下操作がなされない場合には、ステップ4bに移行して、筆記入力の受け付けを継続する。
【0017】
ステップ4eにおいて制御部110は、記憶部105に一時的に記録しておいた軌跡の座標に基づく画像データに、ファイルナンバーmを付与して記憶部105に記録するとともに、一時的に記憶部105に記録しておいた座標情報を消去し、ステップ4aに移行する。すなわち、ステップ4eにおいて制御部110は、ステップ4b〜4dで筆記入力された画像を記憶部105に記録する。なお、mはステップ4eに至る時点で、記憶部105に記録されたファイルナンバーの最大値mに1を加算した値である。
【0018】
ステップ4fにおいて制御部110は、パラメータnの値に、記憶部105に記録されたファイルナンバーの最大値mを設定し、ステップ4gに移行する。
ステップ4gにおいて制御部110は、ファイルナンバーnの画像データを記憶部105から読み出し、ステップ4hに移行する。
ステップ4hにおいて制御部110は、ステップ4gで読み出した画像データに基づく画像を表示部101に表示し、ステップ4iに移行する。
【0019】
ステップ4iにおいて制御部110は、ダイヤル式入力部103に対する回転操作を監視する。ここで、制御部110は、ダイヤル式入力部103に対する回転操作を検出した場合には、ステップ4kに移行する。一方、回転操作を検出しない場合には、ステップ4jに移行する。
【0020】
ステップ4jにおいて制御部110は、タッチ式入力部102に対する操作を監視する。ここで、制御部110は、タッチ式入力部102に対する操作、すなわちスタイラス1021などを用いた筆記入力を検出した場合には、ステップ4bに移行し、一方、筆記入力を検出しない場合には、ステップ4iに移行する。これにより、新たな筆記入力の受け付けが開始される。
【0021】
ステップ4kにおいて制御部110は、パラメータnの値を1だけ減算し、ステップ4gに移行する。これにより、現在表示している画像の前に入力された画像を表示部101に表示する処理が開始される。
【0022】
以上のように、上記構成の表示記憶装置100では、タッチ式入力部102に対する筆記入力と、ダイヤル式入力部103対する押下操作だけで、文字や図形などを筆記入力して保存でき、またダイヤル式入力部103に対する回転操作で、保存しておいた筆記入力による文字や図形を表示部101に順次表示するようにしている。
【0023】
したがって、上記構成の表示記憶装置100によれば、入力した文字の認識処理を行わないため、制御部110のCPUに要求される処理能力が低く、またデータを保存する際のファイル名の命名や、データを呼び出す際に、ファイルで選択する操作が不要であるため、簡素な構成で、低コストで実現でき、設計の自由度が高い。
また外部インタフェース104を通じて、保存しているデータを例えばパーソナルコンピュータなどに読み出したり、あるいはパーソナルコンピュータからデータを入力することもできる。
【0024】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0025】
その一例として例えば、上記実施の形態では、外部インタフェース104を端子保護カバー1041でキャップして保護するようにしたが、外部インタフェース104を可動式にし、使用時には外に出現させ、不使用時には内蔵して保護するようにしてもよい。
【0026】
また上記実施の形態では、外部インタフェース104とスタイラス1021の大きさと比べてわかるように、親指程度の大きさを想定した例を図示したが、手のひらサイズや、多くの人が同時に表示部101を目視できるように、パーソナルコンピュータのディスプレイサイズや、ホワイトボードサイズであってもよい。
【0027】
また上記実施の形態では、保存しているデータを新しいものから順に表示させるものとして説明したが、古い順でもよいし、ランダムでもよく、あるいはデータサイズにしたがった順序でもよい。また制御部110に時計機能を内蔵させ、時間情報をデータに付与して保存するようにしたり、予めユーザが設定した時間前のデータを優先的に表示させるようにしてもよい。またユーザがダイヤル式入力部103に対する回転操作で順次表示するのではなく、時間の経過によって順次表示を切り替えるスライドショー方式でもよい。
【0028】
またダイヤル式入力部103に対する回転操作の回転方向に応じて、新しいデータから順次表示させたり、あるいは古いデータから順次表示させたりするようにしてもよい。また低速に回転させた場合と、高速に回転させた場合とで、データの切り替え速度を変えるようにしてもよい。つまり、低速で回転させた場合には、データを順次切り替えて表示させるが、高速回転させた場合には、データを例えば1つ飛ばして切り替え表示する。これらの組み合わせの一例を図5に図示する。
【0029】
電源をOFFにする方法については特に言及しなかったが、図4に示した処理の実行中に、ダイヤル式入力部103を所定時間以上長押しした場合には、処理を中断して、それ前に一時的に記録しておいたデータにファイル名を付与して保存し、電源をOFFにするようにしてもよい。また一定時間の間、ユーザ操作がない場合に、同様にデータを保存して、電源をOFFにするようにしてもよい。
【0030】
またスタイラス1021は、表示記憶装置100と別体として示したが、表示記憶装置100とコードで接続されたり、表示記憶装置100に収納される構造を有するようにしてもよい。
【0031】
その他、マイクロホンやスピーカを内蔵し、サウンドの録音機能や再生機能を持たせるようにしてもよい。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明に係わる表示記憶装置の一実施形態の構成を示す外観図。
【図2】図1に示した表示記憶装置の回路ブロック図。
【図3】図1に示した表示記憶装置のダイヤル式入力部に対する操作を説明するための図。
【図4】図1に示した表示記憶装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図5】図1に示した表示記憶装置に対する操作例を説明するための図。
【符号の説明】
【0033】
100…表示記憶装置、101…表示部、102…タッチ式入力部、1021…スタイラス、103…ダイヤル式入力部、103a…回転体、103b,103c…回転操作、103d…押下操作、104…外部インタフェース、1041…端子保護カバー、105…記憶部、106…電源部、110…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尖筆によって入力された軌跡を検出する軌跡入力手段と、
ユーザからの登録指示を受け付ける登録指示入力手段と、
この登録指示入力手段が登録指示を受け付けた場合に、前記軌跡入力手段によって入力された軌跡に、データ名を付与して画像データとして記憶する記憶手段と、
この記憶手段が記憶する画像データに基づく画像を表示する表示手段とを具備することを特徴とする表示記憶装置。
【請求項2】
さらに、前記軌跡入力手段が検出した軌跡を、前記記憶手段が記憶する前に、前記表示手段に表示させる表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示記憶装置。
【請求項3】
さらに、ユーザから表示指示を受け付ける表示指示入力手段と、
この表示指示入力手段に対するユーザ操作に応動して、順次、前記記憶手段から画像データを読み出し、この画像データに基づく画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の表示記憶装置。
【請求項4】
画像データを記憶する記憶手段と、
ユーザから表示指示を受け付ける表示指示入力手段と、
この表示指示入力手段に対するユーザ操作に応動して、順次、前記記憶手段から画像データを読み出し、この画像データに基づく画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを具備することを特徴とする表示記憶装置。
【請求項5】
前記表示指示入力手段は、回転体を備え、ユーザが前記回転体を回転させることにより表示指示を受け付けることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の表示記憶装置。
【請求項6】
さらに、外部から画像データの入力を受け付けるデータ入力手段を備え、
前記記憶手段は、前記データ入力手段を通じて入力された画像データを記憶することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の表示記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−243041(P2008−243041A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85693(P2007−85693)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】