説明

表面保護フィルム

【課題】表面保護フィルム中の基材層、中間層及び粘着層の各層の接着性が良好であり、かつ表面保護フィルム間(基材層−粘着層間)での接着性の小さい表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】基材層、中間層及び粘着層の少なくとも3層を有する表面保護フィルムであって、基材層が、芳香族系ビニル単位及び共役ジエン単位からなる共重合体又はその水素添加物を40〜70重量%含み、アクリル系樹脂を30〜60重量%含む重合体組成物から形成され、中間層が、芳香族系ビニル単位及び共役ジエン単位からなる共重合体又はその水素添加物を0〜50重量%含み、ポリプロピレン系樹脂を50〜100重量%含む重合体組成物から形成され、粘着層が、オレフィン系エラストマーを20〜90重量%含み、スチレン系エラストマーを10〜80重量%含む重合体組成物から形成される表面保護フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材層、中間層及び粘着層の少なくとも3層を有する表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築部材、光学用途用のアクリル樹脂等の樹脂製品、アルミ等の金属製品、ガラス製品等の輸送、保管や加工時の傷付き、又は異物混入を防ぐことを目的として、これらの部材や製品に表面保護フィルムを貼り付けることが知られている。前記表面保護フィルムは、一般的に基材層、中間層及び、前記被着体と接着させるための粘着層で構成される。
【0003】
基材層は通常、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル樹脂等で形成され、粘着層に離型フィルムを貼り合せた状態でロール状としたものが知られているが、大量の廃棄物を発生させないという観点から、離型フィルムがなくても容易にロールから繰り出すことの出来る表面保護フィルムが知られている(特許文献1〜3)。
【0004】
ところで、表面保護フィルムは、一般的に、ロール状に巻き取られるため、表面保護フィルム中の粘着層と基材層とが重なることとなり、フィルムをロール状から繰り出す際、フィルムにシワ等の模様が入る、ジッピング現象が生じるという問題点がある。このようなジッピング現象が生じないようにするためには、表面保護フィルム間の基材層と粘着層の剥離抵抗力を小さくする必要があるが、該剥離抵抗力を小さくすると、表面保護フィルム自体の剥離が生じてしまうという問題があった。そのため、表面保護フィルム中の各層の接着性が良好であり、かつ表面保護フィルム間における基材層と粘着層の剥離抵抗力の小さい表面保護フィルムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−327936号公報
【特許文献2】特開2004−2624号公報
【特許文献3】特開2008−214492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表面保護フィルム中の基材層、中間層及び粘着層の各層の接着性が良好であり、かつ表面保護フィルム間(基材層−粘着層間)での剥離抵抗力(接着性)の小さい表面保護フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような問題を解決するために、鋭意検討した結果、表面保護フィルムにおける基材層を芳香族系ビニル単位及び共役ジエン単位からなる共重合体(以下、芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体ともいう)又はその水素添加物、並びにアクリル系樹脂を特定割合で含有する重合体組成物から形成することによって、表面保護フィルム中の基材層、中間層及び粘着層の各層の接着性を向上させ、かつ、表面保護フィルム間(基材層−粘着層間)での接着性の低減に有用であるという知見を得た。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0008】
項1.基材層、中間層及び粘着層の少なくとも3層を有する表面保護フィルムであって、
基材層が、芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物を40〜70重量%含み、アクリル系樹脂を30〜60重量%含む重合体組成物から形成され、
中間層が、芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物を0〜50重量%含み、ポリプロピレン系樹脂を50〜100重量%含む重合体組成物から形成され、
粘着層が、オレフィン系エラストマーを20〜90重量%含み、スチレン系エラストマーを10〜80重量%含む重合体組成物から形成される
表面保護フィルム。
【0009】
項2.基材層を形成する重合体組成物において、芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体における芳香族系ビニル単位の含有割合が5〜40重量%であり、共役ジエン単位の含有割合が60〜95重量%である項1に記載の表面保護フィルム。
【0010】
項3.粘着層を形成する重合体組成物において、ポリプロピレン系樹脂をさらに、オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーの合計量100重量部に対して45重量部以下含む項1又は2に記載の表面保護フィルム。
【0011】
以下、各層における各成分について、詳細に説明する。
基材層
基材層は、表面保護フィルムを製品ロールから巻き出すときの剥離力(巻き戻し力)を小さくするために設けられる層であって、芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物、及びアクリル系樹脂を含む重合体組成物から形成される。
【0012】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物を用いることにより、表面保護フィルム中の基材層と中間層との接着性を向上させ、かつ、表面保護フィルム間(基材層−粘着層間)での剥離抵抗力を低減できるという効果が得られる。
【0013】
ここで、芳香族系ビニルとは、少なくとも1つのビニル基を有する芳香族炭化水素のことであり、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等を挙げることができる。これらは一種単独又は二種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
【0014】
共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等を挙げることができる。これらは一種単独又は二種以上を混合して使用することができる。これらの中でも、ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)が好ましい。
【0015】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体の水素添加物は、共役ジエン由来の二重結合を、公知の方法により水素添加(例えば、ニッケル触媒等)して飽和にしたものである。これにより、前記効果に加えて、さらに、耐熱性、耐薬品性、耐久性等に優れたより安定な樹脂にすることができるため好ましい。
【0016】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体の水素添加物の水素添加率は、共重合体中の共役ジエンに由来する二重結合の85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。この水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することにより確認することができる。
【0017】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物における芳香族系ビニル単位の含有割合は、通常5〜40重量%であり、好ましくは5〜15重量%である。また、共役ジエン単位の含有割合は、通常60〜95重量%であり、好ましくは85〜95重量%である。なお、芳香族系ビニル単位の含有割合は、紫外分光光度計又は核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、共役ジエン単位の含有割合は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。
【0018】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物の硬度(JISK6253 デュロメータータイプA)は、通常40〜90程度であり、好ましくは、55〜85程度である。
【0019】
また、芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物の比重(ASTMD297)は、通常0.85〜1.0程度であり、MFR(ASTM D1238:230℃、21.2N)は、通常2〜6g/10分程度である。
【0020】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物の重量平均分子量(Mw)は、例えば、通常10万〜50万程度であり、好ましくは15万〜30万程度であればよい。重量平均分子量は、市販の標準ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定できる。
【0021】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物の含有割合としては、基材層を形成する重合体組成物中、40〜70重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましく、45〜55重量%がさらに好ましい。
【0022】
芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加物の含有割合が40重量%未満であると、剥離抵抗力が大きくなり、またジッピングが発生する傾向があり、また、含有割合が70重量%を超えると、剥離抵抗力が大きくなり、またジッピングが発生する傾向がある。
【0023】
(2)アクリル系樹脂
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又は共重合体が挙げられる。
【0024】
ここで、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル鎖は、炭素数1〜6が好ましく、1〜4のアルキル鎖であることがより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又は共重合体は、公知の重合法、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等によって製造することができる。中でも、メタクリル酸メチル(MMA)の単独重合体(PMMA)が好ましい。
【0025】
アクリル系樹脂の含有割合は、基材層を形成する重合体組成物中、30〜60重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましく、45〜55重量%がさらに好ましい。
【0026】
アクリル系樹脂の含有割合が30重量%未満であると、剥離抵抗力が大きくなり、またジッピングが発生する傾向があり、また、含有割合が60重量%を超えると、剥離抵抗力が大きくなり、またジッピングが発生する傾向がある。
【0027】
前記樹脂以外にも、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、軟化剤等を本願発明の効果を損なわない程度に配合し、基材層を形成することが可能である。
【0028】
中間層
中間層は、表面保護フィルムに剛性(腰)を付与し、基材層と粘着層を接着させるために設けられる層である。
【0029】
中間層を形成する樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、又は、ポリプロピレン系樹脂と芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体若しくはその水素添加物との重合体組成物が挙げられる。
【0030】
ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂とポリエチレン系樹脂の混合物等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、フィルムの剛性を増加させ、良好なハンドリング性を付与することができるという観点から、ポリプロピレン樹脂、すなわち、プロピレン単独重合体(ホモPP)が好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックインデックス(以下、II値と称す)が、95%以上が好ましく、98%以上がさらに好ましい。
【0031】
また、ポリプロピレン系樹脂においては、より高い剛性が得ることができるという観点から、核剤(結晶化核剤)を添加することが好ましい。核剤としては、特に限定されず、各種無機化合物、各種カルボン酸又はその金属塩、ジベンジリデンソルビトール系化合物、アリールフォスフェート系化合物、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と脂肪族モノカルボン酸アルカリ金属塩又は塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物、各種高分子化合物等のα晶核剤等が挙げられる。これらの結晶化核剤は単独の材料でも使用でき、また二種以上の材料を併用することもできる。
【0032】
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準じて測定でき、温度が230℃、荷重が21.18Nの測定条件で、0.5〜20g/10分であることが好ましく、1.0〜15g/10分であることがより好ましい。ポリプロピレン系樹脂のMFRが前記範囲にあることで、押出成形に適しているため好ましい。
【0033】
中間層における重合体組成物中のポリプロピレン系樹脂の含有割合は、50〜100重量%である。ポリプロピレン系樹脂の含有割合が50重量%未満であると、剛性(腰)が弱く、フィルムとしてのハンドリング性が悪化する傾向がある。また、基材層における芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加率の含有割合が50重量%以下である場合には、基材層と中間層との接着性を向上させるために、中間層を形成する重合体組成物中に芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加率を含むことが好ましい。その場合、重合体組成物が、ポリプロピレン系樹脂と芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体又はその水素添加率との混合物である場合には、ポリプロピレン系樹脂の含有割合は、90〜50重量%が好ましく、80〜60重量%がより好ましい。
【0034】
中間層を形成する際に用いられる芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体としては、前記、基材層を形成する際に用いられる芳香族系ビニル−共役ジエン共重合体と同様のものを用いることができる。
【0035】
粘着層
粘着層は、被着体と表面保護フィルムを接着させるために設けられる層である。粘着層はスチレン系熱可塑性エラストマー及びオレフィン系エラストマーを含む樹脂組成物により形成される。
【0036】
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン相をハードセグメントとするものである。具体的にはスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体又はこれらの水素添加物が挙げられる。
【0037】
オレフィン系エラストマーとしては、炭素数2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィン共重合体が挙げられ、2元共重合体であっても、3元共重合体であってもよい。
【0038】
具体的には、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等が挙げられる。
【0039】
粘着層を形成するスチレン系熱可塑性エラストマー及びオレフィン系エラストマーの含有割合は、スチレン系熱可塑性エラストマー/オレフィン系エラストマー=20〜90重量%/10〜80重量%であることが好ましい。
【0040】
スチレン系熱可塑性エラストマーの含有割合は、必要な粘着力を付与するために、20重量%以上が好ましく、粘着層自体の剛性を低下させず、被着体からフィルムを剥離した時に、被着体表面に貼り付け跡が残らないという点から、90重量%以下が好ましい。
【0041】
また、オレフィン系エラストマーの含有割合は、粘着層自体の剛性を低下させず、被着体からフィルムを剥離した時に、被着体表面に貼り付け跡が残らないという点から、80重量%以下が好ましい。
【0042】
粘着層は、さらにポリプロピレン系樹脂を添加することができる。
【0043】
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体(ホモPP)、少量のエチレンを共重合成分とするプロピレン−エチレン共重合体等が挙げられる。プロピレン−エチレン共重合体におけるエチレンの共重合比率としては、9重量%以下であることが好ましい。ホモPPとしては、アイソタクチックインデックス95%以上が好ましく、98%以上がさらに好ましい。プロピレン−エチレン共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよく、また、核剤(結晶化核剤)を含んでも良い。核剤としては、前記中間層で挙げられたものを用いることができる。
【0044】
また、ポリプロピレン系樹脂を添加することにより粘着力を調整することができる。
【0045】
ポリプロピレン系樹脂の含有量は、上記スチレン系熱可塑性エラストマー及びオレフィン系エラストマーの樹脂組組成物100重量部に対して45重量部以下であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂の含有割合が、45重量部以下であれば、粘着層は表面保護フィルムに必要な粘着力が得られる。
【0046】
粘着層には、前記の重合体の他に、粘着層の粘着性、及び被着体への汚染性を損わない程度で、必要に応じて公知の軟化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、充填剤等の添加剤を加えることもできる。
【0047】
表面保護フィルム
本発明の表面保護フィルムは、中間層を基材層と粘着層で挟んだ構造を有するものである。表面保護フィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、前記基材層を形成させるための樹脂組成物、中間層を形成させるため樹脂組成物、及び粘着層を形成させるための樹脂組成物をそれぞれドライブレンドし、各組成物をこの順で押出機に供給し、バレル温度160〜250℃程度でフィルム状に押出し、20〜40℃程度の冷却ロ−ルに通しながら冷却して引き取ることにより得られる。また、各層用樹脂を一旦ペレットとして取得した後、上記の様に押出成形してもよい。
【0048】
本発明の表面保護フィルムは、全体の厚さが20〜80μmであることが好ましい。
【0049】
表面保護フィルムの中間層の厚さの比率としては、基材層の厚さを1とすると、0.125〜38が好ましく、0.5〜10がより好ましい。また、
粘着層の厚さの比率としては、基材層の厚さを1とすると、0.5〜20が好ましく、0.5〜10がより好ましい。
【0050】
表面保護フィルムの基材層の厚さは、2〜40μmが好ましい。中間層の厚さは、5〜76μmが好ましい。粘着層の厚さは、2〜40μmが好ましい。各層の厚さがこの範囲であれば、良好な粘着性と剥離性を有しつつ、優れた製膜性を示す。
【発明の効果】
【0051】
本発明の表面保護フィルムは、特に、基材層及び中間層において特定の重合体組成物によって形成させることによって、表面保護フィルム中の基材層、中間層及び粘着層の各層の接着性を改善することができる。さらに、表面保護フィルム間(基材層−粘着層間)での接着性を小さくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0053】
実施例及び比較例において製造した基材層、中間層及び粘着層の各層において使用した樹脂及びエラストマーを以下に示す。なお、MFRは、JIS K7121に準拠して測定した。
【0054】
SEBS−1:クレイトンポリマージャパン株式会社製のクレイトンMD6945(スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物)
SEBS−2:株式会社クラレ製のハイブラー7311(スチレン−イソプレン共重合体の水素添加物)
SEBS−3:旭化成株式会社製のタフテックM1913(スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物の酸変性物)
PMMA:株式会社クラレ製のパラペットG(ポリメタクリル酸メチル)
ポリプロピレン:サンアロマー株式会社製のPC412A
オレフィン系エラストマー:プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体(MFR:6g/10分、密度:0.868g/cm
スチレン系エラストマー:スチレン−イソブチレン共重合体(MFR:6g/10分、密度:0.946g/cm
【0055】
実施例1〜15及び比較例1〜5
基剤層、中間層、及び粘着層の各層を形成する樹脂を表1又は2に示す割合となるように、ドライブレンドにより、基材層用樹脂、中間層用樹脂及び粘着層用樹脂をそれぞれ調製した。調製した基材層用樹脂、中間層用樹脂及び粘着層用樹脂の各樹脂を、同順に、バレル温度160〜260℃に調整した各押出機に供給した。そして、230℃に加熱したTダイスから押出し、設定温度20℃の引き取りロールにて冷却固化して、無延伸の状態で巻き取り、表面保護フィルムを得た。このとき得られた表面保護フィルムの厚みは、基材層5μm、中間層35μm、粘着層10μmで総厚み50μmであった。
【0056】
得られた表面保護フィルムについて、以下の測定方法により、剥離抵抗力、ジッピング、製膜性及びヤング率を測定した。評価結果を表4〜6に示す。
・製膜性
表面保護フィルムの製造工程において、以下の基準によって評価した。
【0057】
○:問題なく表面保護フィルムを製膜することができた。
×:冷却ロールへの巻き付きが発生し、サンプルが採取できなかった、又は樹脂の流速が異なる等により、各層を積層させた場合に綺麗な膜が形成できなかった。
【0058】
・剥離抵抗力
[サンプル貼り合せ]
サンプルロールから幅50mm、長さ150mmにサンプルを2枚切り出し、23℃の雰囲気下で基材層と粘着層が重なるように貼り合せた。その後、圧着ローラーにて圧力:3.0MPa、速度:5.0m/minの条件で圧着し、測定用サンプルを得た。
[剥離抵抗力測定]
前記の方法で得られた測定用サンプルを、40℃下、7.14KPaの圧力下で72h静置した。その後、剥離試験機(新東科学社製のPeeling TESTER HEIDON−17)を用いて、剥離速度:1.0m/minの設定条件で、前記圧着により貼り合わした基材層−粘着層間の剥離抵抗力を測定した。
【0059】
このとき、測定チャートにおける極大点10点の平均値を剥離抵抗力とした。剥離抵抗力が5N/25mm以下の値を示したものを良好として評価した。
【0060】
[ジッピング評価]
前記剥離抵抗力の測定によって得られたチャートを用い、極大値の10点平均値を最大値、極小値の10点平均値を最小値とし、その差をAとしたとき、
○:0≦A≦0.5N/25mm
△:0.5<A≦1.5N/25mm
×:1.5N/25mm<A
とした。
【0061】
・ヤング率
測定用サンプルをASTM D882−64Tに準拠して、ヤング率を測定した。なお、ヤング率が大きいほど、腰(剛性)が強いため良好であり、ヤング率が50MPa以下のものは、柔らかいため剛性の劣るものとして判断した。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層、中間層及び粘着層の少なくとも3層を有する表面保護フィルムであって、
基材層が、芳香族系ビニル単位及び共役ジエン単位からなる共重合体又はその水素添加物を40〜70重量%含み、アクリル系樹脂を30〜60重量%含む重合体組成物から形成され、
中間層が、芳香族系ビニル単位及び共役ジエン単位からなる共重合体又はその水素添加物を0〜50重量%含み、ポリプロピレン系樹脂を50〜100重量%含む重合体組成物から形成され、
粘着層が、オレフィン系エラストマーを20〜90重量%含み、スチレン系エラストマーを10〜80重量%含む重合体組成物から形成される
表面保護フィルム。
【請求項2】
基材層を形成する重合体組成物において、芳香族系ビニル単位及び共役ジエン単位からなる共重合体における芳香族系ビニル単位の含有割合が5〜40重量%であり、共役ジエン単位の含有割合が60〜95重量%である請求項1に記載の表面保護フィルム。
【請求項3】
粘着層を形成する重合体組成物において、ポリプロピレン系樹脂をさらに、オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーの合計量100重量部に対して45重量部以下含む請求項1又は2に記載の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2011−132267(P2011−132267A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289981(P2009−289981)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】