表面保護フィルム

【課題】被着体への貼り付け性が良好でありながら、剥離も美麗かつ容易に行うことができ、剥離後に被着体の汚染も一切無く、しかも成形時に引取りロールへのとられがない、優れた粘着性、成形性および帯電防止性を兼ね備えた表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】粘着層と基材層とからなり、前記粘着層が、(i)スチレン系エラストマーと(ii)直鎖状低密度ポリエチレンとを重量比で19:1〜1:19の配合割合で含み、(i)スチレン系エラストマーのスチレン含量が5〜60重量%、(ii)直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率が500MPa以下であることを特徴とする。このとき、粘着層に(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体が10〜30重量%配合されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性、成形性および帯電防止性に優れた表面保護フィルムに関し、特に、被着体への貼り付け性に優れ、当該被着体からの剥離が美麗かつ容易な表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
表面保護フィルムは、金属板、樹脂板、塗装板、化粧鋼板、ガラス、液晶パネルなどの運搬や加工工程において、これら被着体表面の汚れや傷を防止するために用いられ、使用後は当該被着体から剥がすことを前提としたものである。
従来、ポリオレフィン系樹脂からなる基材層に、スチレン系共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとを用いた粘着層を設けた表面保護フィルムが提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
しかし、これら特許文献1,2に記載の表面保護フィルムは、被着体の種類によっては、貼り付け後にフィルムの浮きなどが見られ、粘着力において満足できるものではなく、性能を制御するために、粘着層に、ロジン系、テルペン系又は石油樹脂系等から選ばれる粘着付与樹脂の1種又は複数種配合を必要とすることがあった。粘着付与樹脂は、温度変化でブリードしやすく、経時変化で粘着力が上昇する傾向にあり、被着体から剥がす際に保護フィルムの糊残り等の汚染が生じるおそれがあるため、単純に粘着付与樹脂を添加して性能を制御するだけでは解決できない問題であった。
また、被着体からの良好な剥離性を保持するためには、基材層と粘着層との密着性も重要であり、基材層と粘着層との関係も重要なポイントとなる。その一つとして基材層と粘着層の層比も検討する必要があった。
【0004】
加えて、近年では、被着体への埃の付着や、被着体から剥がす際の帯電発生などを防ぐために、それら表面保護フィルムに帯電防止性能が要求されてきている。
しかし、帯電防止剤の種類によっては、スチレン系共重合体あるいは直鎖状低密度ポリエチレンとの相溶性が悪く、得られた表面保護フィルムの粘着層の表面抵抗値が所望の値にならないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−73822号公報
【特許文献2】特開2007−161882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような現状を考慮し、被着体への貼り付け性が良好でありながら、被着体からの剥離も美麗かつ容易に行うことができ、剥離後に被着体の汚染なども一切無く、しかも成形時に引取りロールへのとられがない、優れた粘着性、成形性および帯電防止性を兼ね備えた表面保護フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、
特定量のスチレンを含有するスチレン系エラストマーと、特定の曲げ弾性率を有する直鎖状低密度ポリエチレンとを用いれば、表面保護フィルム用途として最適な剥離性をも含む粘着特性が得られるばかりか、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体との良好な相溶性により優れた帯電防止性能までも得られることを見出した。
【0008】
本発明は、このような知見の下でなし得たものであり、以下を要旨とする。
(1)粘着層と基材層とからなり、前記粘着層が、(i)スチレン系エラストマーと(ii)直鎖状低密度ポリエチレンとを重量比で19:1〜1:19の配合割合で含み、(i)スチレン系エラストマーのスチレン含量が5〜60重量%、(ii)直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率が500MPa以下であることを特徴とする表面保護フィルム。
(2)さらに、前記粘着層に(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体が10〜30重量%配合されることを特徴とする前記(1)に記載の表面保護フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表面保護フィルムは、粘着性、成形性および帯電防止性に優れたものである。また、粘着層として、スチレン系エラストマーを用いているにも拘らず、紫外線劣化によるフィルム黄変の虞が少ない。
特に、被着体への貼り付け作業が容易な0.01〜3.50N/25mmという粘着特性を有しながら、該被着体からの剥離作業も容易であるうえ、剥離帯電圧が小さく、剥離後の被着体に汚染が一切ないものなので、産業上の利用価値は極めて大きい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の表面保護フィルムは、粘着層と基材層とからなる。
【0011】
粘着層
本発明の粘着層は、(i)スチレン系エラストマーと(ii)直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」とも言う)とからなり、必要に応じて(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を含む。
(i)スチレン系エラストマーとしては、スチレン含量(エラストマー中のスチレンの含有割合)が5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%のものを用いる。
スチレン含量が5重量%未満だと、粘着層を構成する(i)〜(iii)の混合物の凝集力が不十分となるので、剥離するときに被着体表面への曇りや糊残りが生じ易い。一方、60重量%を超えると、所望の粘着性能が得られず、貼り付け作業に手間を要したり、貼り付け後のフィルムに浮きが発生し易くなる。
【0012】
本発明における(i)スチレン系エラストマーは、スチレン含量が上記範囲内のものであれば、SIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体)、SBBS(スチレン・ブタジエン・ブチレン・スチレンブロック共重合体)など、いずれも使用することができる。
上記エラストマーの中でも、耐候性などを考慮すると、SEBSの水素添加物が好ましい。
具体的には、旭化成ケミカルズ(株)社製のタフテック H1052X、JSR(株)社製のDYNARON 4630P、DYNARON 9901Pなどが挙げられる。
【0013】
(ii)LLDPEは、C4系(コモノマーがブテン−1)、C6系(コモノマーがヘキセン−1)など、エチレンと共重合するα−オレフィンの種類によって、いくつかに分類されるが、本発明においては、JIS K6922−2の方法に従って測定した曲げ弾性率が500MPa以下のものであれば、いずれも使用することができる。
曲げ弾性率が500MPaを超えるLLDPEでは、前記したようなスチレン系エラストマーと組み合わせても、被着体に貼り付けた後にフィルムの浮きなどが見られ、所望の粘着特性が得られないことがある。
曲げ弾性率が100MPa以下のLLDPEを用いれば、より均一な混練が実現でき、粘着層の物性が極めて良好となり、より低荷重で所望の箇所に良好に貼り付けることができるので、貼り付け作業がよりスムーズになる。より好ましくは、60MPa以下のLLDPEである。
【0014】
このような(ii)LLDPEとしては、例えば、日本ポリエチレン(株)社製のカーネル KF360T、カーネル KS240T、カーネル KS340T、(株)プライムポリマー社製のウルトゼックス 3250Lなどが挙げられる。
【0015】
「スチレン含量が5〜60重量%のスチレン系エラストマー」と「曲げ弾性率が500MPa以下のLLDPE」との配合割合は、重量比で19:1〜1:19であり、好ましくは3:1〜1:3である。
スチレン系エラストマーに対するLLDPEの配合割合が、これより多いと、被着体への貼り付け性が低下し、貼り付け後のフィルムにおいて浮きが発生しやすくなる。スチレン系エラストマーに対するLLDPEの配合割合が、これより少ないと、フィルム成形時に、基材層と粘着層との界面における結合一体化がうまくいかず、引取りロールへのとられが発生したりして巻取りがスムーズに行えず、工業生産的な成形ができない虞がある。
すなわち、このような配合割合とすることで、保護フィルム用途として最適な粘着性を発現するものでありながら、引取りロールへのとられ等もなく、成形加工性をも兼ね備えたものとすることができる。
【0016】
(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体は、半永久的に帯電防止性能を付与することができるものであり、従来一般的な界面活性タイプの帯電防止剤と異なり、上記した(i)スチレン系エラストマーや(ii)LLDPEとの相溶性が良好であるばかりか、経時でフィルム表面にブリードアウトすることがない。
(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の具体例としては、三洋化成工業(株)製のペレスタット230、ペレスタット201、ペレスタット303、ペレスタット300、ペレスタットVH230、ペレスタット212などが挙げられる。
【0017】
上記(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体は、「スチレン含量が5〜60重量%のスチレン系エラストマー」と「曲げ弾性率が500MPa以下のLLDPE」と共に粘着層に配合されることで、粘着層に好適な帯電防止性能を発現させることができ、このような性能を得るためには、粘着層における(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の配合量を、10〜30重量%程度とすることが好ましい。
10重量%未満だと、粘着層の表面に帯電防止性能が十分に発現せず、剥離帯電圧が大きくなりやすい。一方、30重量%を超えると、帯電防止性能は飽和状態となり、帯電防止効果の向上は期待できず、場合によっては、本発明の保護フィルムの被着体への貼り付け性が悪化する可能性もある。
【0018】
粘着層には、上記(i)スチレン系エラストマーと(ii)LLDPEの他に、本発明から得られる効果を損なわない範囲内で、(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体以外でも、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、無機充填剤、顔料(着色剤)、滑剤、シランカップリング剤などを添加することができる。
【0019】
基材層
本発明の基材層は、ポリオレフィン系樹脂からなることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限されないが、低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」とも言う)、高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」とも言う)、LLDPE等のエチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体などが挙げられ、これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用して用いられてもよい。
【0020】
基材層には、粘着層同様に、(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を添加することができる。
このポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を、上記ポリオレフィン系樹脂と共に基材層に配合することで、基材層においても、好適な帯電防止性能を発現させることができる。
少なすぎると、帯電防止性能が十分に発現せず、多すぎても、得られる帯電防止効果は飽和し、基材層としての所望の物性低下をおこすおそれがあるので、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の配合量は、基材層においても10〜30重量%程度とすることが好ましい。
なお、粘着層と基材層へのポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の配合量は、同じでも、異なっていてもよい。
【0021】
また、基材層には、上記ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の他に、本発明から得られる効果を損なわない範囲内で、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、無機充填剤、顔料(着色剤)、滑剤、シランカップリング剤などを添加してもよい。また、必要に応じて、粘着層と接しない側にエンボス加工を施すこともできる。
【0022】
さらに、基材層は多層構造としてもよい。
多層構造とした場合には、少なくとも粘着層と接しない側の最外層に、上記ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を配合することが好ましい。
このように、基材層を多層化した場合、各層の厚みや、それらの構成樹脂の種類(配合比)などを適宜調製することで、機能性を付与したり、粘着層との密着性を高め剥離性をより向上させることが可能となる。
【0023】
本発明の表面保護フィルムを構成する、粘着層の樹脂組成物、基材層の樹脂組成物、を得るためのブレンド方法は、特に限定されるものではなく、通常の混合操作、例えば、ドライブレンド法、ヘンシェルミキサー法、バンバリーミキサー法または押出造粒法などが挙げられる。
【0024】
本発明の表面保護フィルムでは、以上のような粘着層と基材層との層比が1:5〜1:1であることが好ましく、より好ましくは1:3〜1:2である。
粘着層に対する基材層の厚みが、これより大きいと、本発明の保護フィルムの粘着層の機能が減殺され、被着体から剥がれるおそれがある。粘着層に対する基材層の厚みが、これより小さいと、表面保護フィルムとしての物性が不十分であったり、剥離時に被着体表面の汚染が発生するおそれがある。
本発明の粘着層と基材層とからなる表面保護フィルムの適正厚みについては、用途によって異なるが、例えば0.03〜0.20mm程度とすればよい。
【0025】
本発明の表面保護フィルムは、基材層を製膜し、その後、別工程で粘着層を基材層上に塗布乾燥して製造してもよいし、基材層と粘着層をそれぞれ別途作成し、その後、積層一体化してもよい。また、基材層と粘着層との十分な密着性を得ることや、別途接着層等を必要とせず生産性などを考慮すると、一般的な共押出法で基材層と粘着層とを同時に製膜する方法が好ましく、例えば、共押出し/インフレーション法、共押出し/T−ダイ押出し法等による製法が好適である。
【0026】
本発明の表面保護フィルムは、粘着層の表面抵抗値(JIS K 6911に準拠して測定)がいずれも1.0×107〜9.9×1011Ω/sqであることが好ましい。
表面抵抗値が9.9×1011Ω/sqを超えるものでは、使用後に剥がす際の帯電発生を防げないことがある。
【0027】
本発明の表面保護フィルムでは、JIS Z−0237に準拠して測定される粘着特性を、被着体との貼り合わせ性に優れ、剥離後の被着体表面に曇りや糊残りが生じない0.01〜3.50N/25mmという最適なものとすることが可能である。
【実施例】
【0028】
〔検討1:配合比の検討〕
実施例1〜7、比較例1〜2
下記に示すLDPE、HDPE、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を、表1に示す比率にて混合して基材層用の素材とした。また、下記に示すスチレン系エラストマー、LLDPE、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体を、表1に示す比率にて混合して粘着層用の素材とした。
両素材をT−ダイ押出機にて共押出して、製膜幅が1100mm、厚さが60μmの基材層と粘着層との積層体(基材層40μm、粘着層20μm)、すなわち、実施例1〜7および比較例1〜2の表面保護フィルムを得た。
【0029】
なお、実施例1,2については、基材層を2層とした場合であり、粘着層に接する側の層(中間層)を、下記のLDPEで構成し、上記同様、T−ダイ押出機を用いて、製膜幅1100mm、厚さ60μmの3種3層の積層体(基材層40μm(表面層10μm、中間層30μm)、粘着層20μm)とした。
【0030】
【表1】

【0031】
≪使用原料≫
表1〜2中の配合比率に関する数値は、重量部で示す。また、スチレン系エラストマーのスチレン含量(重量%)と、LLDPEの曲げ弾性率(MPa)に関しては、表中に示す通りである。

基材層
・LDPE(東ソー(株)製 商品名“ペトロセン180R”)
・HDPE(東ソー(株)製 商品名“ニポロンハード5700”)

(iii)−1:ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体(三洋化成工業(株)製 商品名“ペレスタット230”)
【0032】
粘着層
(i)スチレン系エラストマー
・(i)−1(旭化成ケミカルズ(株)製 商品名“タフテックH1052X”)
・(i)−2(JSR(株)製 商品名“DYNARON4630P”)
・(i)−3(JSR(株)製 商品名“DYNARON9901P”)
・(i)−4(旭化成ケミカルズ(株)製 商品名“タフテックH1043”)

(i)’非スチレン系エラストマー(JSR(株)製 商品名“DYNARON6200P”)

(ii)LLDPE
・(ii)−1(日本ポリエチレン(株)製 商品名“カーネルKF360T”)
・(ii)−2(日本ポリエチレン(株)製 商品名“カーネルKS240T”)
・(ii)−3((株)プライムポリマー製 商品名“ウルトゼックス3250L”)
・(ii)−4((株)プライムポリマー製 商品名“ウルトゼックス4050”)

(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体
・(iii)−1(三洋化成工業(株)製 商品名“ペレスタット230”)
・(iii)−2(三洋化成工業(株)製 商品名“ペレスタット303”)
【0033】
≪評価方法≫
・「成形加工性」
製膜後の各フィルムについて、引取りロールへのとられ具合や、巻取りロールへの巻き取りの様子を目視にて観察し、引取りロールへのとられが無く、スムーズに巻取りができたものを「○」、引取りロールへのとられがあり、スムーズに巻取りまでフィルムが進行しないものを「×」とした。
【0034】
・「<初期>表面抵抗値(Ω/sq)」
得られた各フィルムをロール状に巻き取った状態で1週間養生させた後、10cm×10cmにカットしたサンプルについて、三菱化学(株)製のHirester−UP「MCP−HT540」を用いて、24℃×56%RHの雰囲気下で、基材層及び粘着層のそれぞれの表面抵抗値(Ω/sq)を求めた。
【0035】
・「被着体貼り付け性」
上記状態で1週間養生させた後のフィルムを、幅25mm×長さ200mmにカットしてサンプルとし、23℃、50%RHの条件下において、厚さ3mm×幅30mm×長さ200mmのポリカーボネート板へ、手動式圧着ロール(※)にて貼り付けを行った。
貼り付け後のフィルムの様子を目視にて観察し、ポリカーボネート板への貼り付けが問題なくスムーズに行われ、フィルムの浮き等が無く良好なものを「◎」、スムーズとは言い難いが何とか貼り付けは達成され、浮きは確認されなかったものを「○」、貼り付けが困難もしくはフィルムに浮きが確認されたものを「×」とした。
(※)圧着ローラーとしては、その表面がJIS K6301(加硫ゴム物理試験方法)に規定するスプリング硬さが80±5Hsのゴム層を、約6mmの厚さで被覆した、幅約45mm、直径約83mm、質量2000±50gを用いた。
【0036】
・「貼り付け1週間後の糊残り(剥離性)」
上記「被着体貼り付け性」で述べた手動式圧着ロールにてポリカーボネート板へ貼り付けた各サンプルを、60℃下で1週間経過させた後、手で剥がした際の作業性および被着体の汚染を目視にて評価した。
美麗かつ容易に剥がせ、剥離後に被着体の汚染が一切無かったものを「○」、剥がし難い、もしくは、被着体への糊残りが確認されたものを「×」、上記「被着体貼り付け性」の試験にて貼り付かず、評価できなかったものを「−」とした。
【0037】
結果は、表1に示すとおりであった。
なお、比較例2については、工業生産的なフィルム成形はできないものであったが、何とか取り出したサンプルについて、残りの評価(表面抵抗値、被着体貼り付け性、糊残り、粘着特性)を行った結果を示している。
実施例1〜7は、表面保護フィルムとして問題無いものであったが、実施例7については、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体の添加量が少ないために、帯電防止性能に劣るものであった。粘着層においてLLDPEの添加量が増加すると成形加工性は向上するが、被着体貼り付け性は、LLDPEの添加量が少ないものと比較して多少劣るように感じられた。
【0038】
〔検討2:スチレン含量と曲げ弾性率〕
実施例8〜13、比較例3〜5
表2に示す配合にした以外は、前記検討1と同様に作成することで、製膜幅が1100mm、厚さが60μmの実施例8〜13および比較例3〜5の表面保護フィルムを得、同様の評価を行った。結果は、表2に示す。
【0039】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の表面保護フィルムは、優れた粘着性、成形性および帯電防止性とを兼ね備えているため、被着体への埃の付着や剥がす際の帯電発生を防ぐ場合に非常に有効である。
例えば、自動車用保護フィルムをはじめとして、金属板、樹脂板、塗装板、化粧鋼板、ガラス、液晶パネル、各種液晶部材などの運搬や加工工程における保護用途として好適なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層と基材層とからなり、
前記粘着層が、(i)スチレン系エラストマーと(ii)直鎖状低密度ポリエチレンとを重量比で19:1〜1:19の配合割合で含み、
(i)スチレン系エラストマーのスチレン含量が5〜60重量%、
(ii)直鎖状低密度ポリエチレンの曲げ弾性率が500MPa以下
であることを特徴とする表面保護フィルム。
【請求項2】
さらに、前記粘着層に(iii)ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体が10〜30重量%配合されることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。

【公開番号】特開2013−72059(P2013−72059A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214069(P2011−214069)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000000077)アキレス株式会社 (402)
【Fターム(参考)】