説明

表面層に食塩が均一に付与されたプレッツェル

【課題】プレッツェル全体に塩味を感じることも舌に刺すような塩味を感じることもないプレッツェルを提供すること。
【解決手段】表面層に食塩が均一に付与されており、内層の食塩濃度は表面層の食塩濃度よりも低い、プレッツェル。本発明のプレッツェルは、プレッツェルのドウを提供する工程;該ドウを成形して成形済みドウを得る工程;アルカリ基剤および食塩を含む水溶液中に、該成形済みドウを浸漬して取り出し、表面処理された成形済みドウを得る工程;ならびに該表面処理された成形済みドウを焼成して、プレッツェルを得る工程を包含し、ここで該水溶液中での食塩の濃度C(重量%)と、浸漬時間T(秒)との積C×T{(重量%)*(秒)}が、7以上90以下である、方法によって製造され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面層に食塩が均一に付与されたプレッツェルおよびプレッツェルへの新規な塩味付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレッツェル菓子を製造する場合、味質を向上させる等の目的で食塩を配合することが知られている。この場合、食塩を添加する方法としては、プレッツェルのドウに最初から練り込む方法が一般的である。また、特殊な方法として、ドウの焼成前または焼成後に、塩を上から振り掛けて添加する方法が公知である(非特許文献1)。
【0003】
すべての食塩を最初からドウに練りこんだ場合、食塩はドウ全体に混ざる。そのため、焼成後のプレッツェルの味が全体的にしょっぱくなりすぎるという問題および味が単調になるという問題がある。しょっぱくなりすぎないように少量を練り込んだ場合には、味のキレがなく、塩味を物足りなく感じるという問題がある。さらに、ドウに添加する食塩の量が多ければ多いほど生地がしまり、焼成後の食感が硬くなってしまうという問題がある。
【0004】
ドウの焼成前または焼成後に食塩を振り掛けた場合は、プレッツェル表面に食塩がかかっているため、食したときに、舌に刺すような鋭い塩味が感じられるという問題がある。その上、食塩の添加量の加減が困難であるという問題がある。さらに、焼成前または焼成後に食塩を振り掛ける場合は、そのための工程がひとつ必要となる。
【0005】
プレッツェルに塩味を付与する他の方法としては、ドウを焼成前にアルカリ液へ浸漬する際に、(1)アルカリ液中のアルカリ基剤の濃度を高くする方法、(2)浸漬時間を長くする方法、(3)アルカリ液の温度を高くする方法などの方法がある。しかし、アルカリ液中のアルカリ基剤の濃度を塩味を十分感じるほど高めたり、浸漬時間を長くしたり、アルカリ液の温度を高くすると、アルカリによる褐色化が生じて製品の商品価値が極めて低下するという問題、およびアルカリ特有の風味が強く出すぎてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】渡辺長男、鈴木繁男、岩男裕之、小原哲二郎編集「製菓事典」朝倉書店、1981年10月30日初版発行、p217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、プレッツェル全体に塩味を感じることも舌に刺すような塩味を感じることもない、表面層に食塩が均一に付与され、内層の食塩濃度は表面層の食塩濃度よりも低い、プレッツェルを提供することを目的とする。
別の実施形態では、本発明は、プレッツェル全体に塩味を感じることも舌に刺すような塩味を感じることもなく、プレッツェルに適度な塩味を付与することができる、新たなプレッツェルへの塩味付与方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明はまた、従来のプレッツェルと比較して、塩味も適度であり、新規な設備等も必要としないプレッツェルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、アルカリ水溶液中に食塩を含め、このアルカリ水溶液中にドウを浸漬することにより、適度に塩味が付与されたプレッツェルが得られることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。また、本発明者らは、アルカリ水溶液中に食塩を溶解した場合、食塩は、ドウに対してアルカリ基剤とは全く独立して作用することを見出した。すなわち、食塩の添加の有無は、アルカリ水溶液中のアルカリ基剤の作用に対して影響を与えない。
【0010】
本発明の方法は、表面に食塩が付与されたプレッツェルの製造方法であって、
プレッツェルのドウを提供する工程;
該ドウを成形して成形済みドウを得る工程;
アルカリ基剤および食塩を含む水溶液中に、該成形済みドウを浸漬して取り出し、表面処理された成形済みドウを得る工程;ならびに
該表面処理された成形済みドウを焼成して、プレッツェルを得る工程
を包含し、ここで該水溶液中での食塩の濃度C(重量%)と、浸漬時間T(秒)との積C×T{(重量%)*(秒)}が、7以上90以下である。
【0011】
1つの実施形態では、上記アルカリ基剤は、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウムからなる群より選択され得る。
【0012】
1つの実施形態では、上記表面処理前のドウ中の食塩含有量は、小麦粉100重量部に対して、0.2重量部〜2.0重量部であり得る。
【0013】
1つの実施形態では、上記アルカリ基剤は、水酸化ナトリウムであり得る。
【0014】
1つの実施形態では、上記水溶液中のアルカリ基剤は本質的に水酸化ナトリウムであり得、該水溶液中の水酸化ナトリウム濃度は0.4重量%以上1.5重量%以下であり得、該水溶液中の塩化ナトリウム濃度は1.0重量%以上10.0重量%以下であり得、該溶液中に前記ドウを浸漬する時間は2秒以上20秒以下であり得る。
【0015】
1つの実施形態では、上記プレッツェルの直径は3〜12mmであり得、長さは40mm〜150mmであり得る。
【0016】
1つの実施形態では、上記成形工程においてドウは、中空筒状の形状に成形され得る。
【0017】
1つの実施形態では、上記成形工程においてドウは、中実棒状の形状に成形され得る。
【0018】
1つの実施形態では、焼成温度は、150℃以上350℃以下であり得る。
【0019】
本発明の複合菓子は、上記方法によって製造されたプレッツェルの少なくとも一部にチョコレートが付着している。
【0020】
1つの実施形態では、上記チョコレートは、前記プレッツェルの表面の一部に被覆され得る。
【0021】
1つの実施形態では、上記プレッツェルは、棒状の形状を有し得、該プレッツェルの一端は前記チョコレートで被覆されておらず、他端は被覆されている。
【0022】
1つの実施形態では、上記チョコレートは、ミルクチョコレートまたはホワイトチョコレートであり得る。
【0023】
1つの実施形態では、上記チョコレートは、黒ゴマ、黄粉または小豆を含むホワイトチョコレートであり得る。
【0024】
本発明のプレッツェルは、表面層に食塩が均一に付与されており、内層の食塩濃度は表面の食塩濃度よりも低い。
【0025】
1つの実施形態では、上記表面層において食塩の粒が肉眼では観察されないように均一に食塩が付与され得る。
【0026】
1つの実施形態では、上記のプレッツェルの表面の一部に油脂性食品が付着していてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、特別な装置および原料を使用することなく、従来のように全体に塩味を感じることも、舌に刺すような塩味を感じることもなく、適度な塩味を有するプレッツェル菓子を製造することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明をより詳細に説明する。本発明により、プレッツェル、プレッツェルの表面に油脂性食品が付着した複合菓子およびそれらの製造方法が提供される。
【0029】
(1.プレッツェル)
本明細書中では「プレッツェル」とは、ドウをアルカリ処理した後焼成することによって得られる菓子をいう。ドウは、通常プレッツェルの製造に用いられる生地と同じものでよい。プレッツェルの製造に用いられるドウは、通常、ビスケット生地である。ビスケット生地とは、基本的に、小麦粉等の穀粉100部に水20〜50部を加え混合したものを指す。ビスケット生地は、必要に応じて、糖類、食用油脂、食塩、澱粉、乳製品、卵製品、イースト、酵素、膨脹剤、食塩以外の調味料、その他食品添加物等の原材料を含んでもよい。ドウを薄く圧延する場合には、ビスケット生地に対してプロテアーゼ等の酵素を用いたり、食用油脂を配合するなどして、伸展性のある生地を得ることが好ましい。
【0030】
プレッツェルの形状は、任意の形状であり得る。プレッツェルの形状の例としては、細い棒にカットまたは押出したスティック形状のもの、紐状に成型した生地を結んだまたは押出し成型したツイスト形状のもの、太い粒に成型したナゲット形状のものなどが挙げられる。
【0031】
これらプレッツェルは、アルカリ処理により褐色の艶のある外観と、香ばしさに代表されるプレッツェル特有の風味を特徴としている。
【0032】
本発明のプレッツェルは、好ましくは水分含有量が約5重量%以下であり、より好ましくは約3重量%以下であり、さらに好ましくは約1.5重量%以下である。水分含有量が約5%以下であると、パリパリとした食感が感じられ、パンのようなソフトな食感の食品とは全く異なった食感が得られる。
【0033】
(2.アルカリ液の原料)
本発明の方法は、アルカリ液中に食塩を含むことが大きな特徴である。アルカリ液は、食塩を含むこと以外は、通常のプレッツェルのアルカリ液と同様にして調製され得る。本発明の方法で用いられるアルカリ液は、アルカリ基剤、食塩および水を主な原料とする。本明細書中では、アルカリ液とは、アルカリ基剤および食塩を含む水溶液であって、ドウの表面処理に使用される水溶液をいう。
【0034】
(2.1 アルカリ基剤)
アルカリ基剤は、水に溶解するとアルカリ性を呈する任意の物質である。アルカリ基剤は、食用可能な物質である。アルカリ基剤の例としては、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。アルカリ基剤は、好ましくは、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムである。なお、実際には水溶液中ではアルカリ基剤は、イオンに解離した状態で存在するが、本明細書中ではこのようにイオンに解離した状態を含めてアルカリ基剤が水溶液中に存在すると記載する。例えば、水酸化ナトリウムは、水溶液中では水酸化物イオンとナトリウムイオンとに解離するが、この水溶液中に水酸化ナトリウムが存在すると記載する。
【0035】
アルカリ基剤は、アルカリ液中で任意の濃度で用いられ得る。水酸化ナトリウムなどの強アルカリの場合は、約0.1重量%以上約2.0重量%以下の濃度が好ましく、約0.5重量%以上約1.5重量%以下の濃度がより好ましい。リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウムなどの弱アルカリの場合は、約1.0重量%以上約10.0重量%以下の濃度が好ましく、約2重量%以上約8重量%以下の濃度が好ましい。アルカリ基剤の濃度が低すぎると、得られるプレッツェルにおいて目的とする香ばしさが得られない場合がある。アルカリ基剤の濃度が高すぎると、焼成後に得られるプレッツェルの褐色が濃すぎたり、アルカリ特有の風味が強くなりすぎたりする場合がある。もちろん、当業者に公知のように、アルカリ処理の効果は、アルカリ基剤の濃度、アルカリ液の温度および成形済みドウの浸漬時間によって影響を受けるので、アルカリ基剤の濃度は、実際に使用するアルカリ液の温度および成形済みドウの浸漬時間に応じて適切に調整され得る。すなわち、アルカリ基剤の濃度が高いほど、アルカリ液の温度が高いほど、そしてドウの浸漬時間が長いほど、アルカリ処理の効果が強く現れる。
【0036】
アルカリ液のpHは、アルカリ基剤の種類および濃度によって変動する。アルカリ液のpHの下限は、好ましくは約8であり、より好ましくは約10であり、さらにより好ましくは約11である。アルカリ液のpHの上限は、好ましくは約14であり、より好ましくは約13である。
【0037】
(2.2 食塩)
本発明の方法では、食塩が用いられる。食塩は、当該分野で入手可能な任意の塩であり得る。食塩は、塩化ナトリウムを主成分とするが、100%塩化ナトリウムである必要はない。食塩の例としては、精製塩および天然塩が挙げられる。天然塩としては、上質塩、内地白塩、原塩、粉砕塩、岩塩、伯方の塩、赤穂の塩などが挙げられる。なお、実際には水溶液中では食塩は、イオンに解離した状態で存在するが、本明細書中ではこのようにイオンに解離した状態を含めて食塩が水溶液中に存在すると記載する。例えば、塩化ナトリウムは、水溶液中では塩化物イオンとナトリウムイオンとに解離するが、この水溶液中に塩化ナトリウムが存在すると記載する。
【0038】
アルカリ液中の食塩の濃度は、プレッツェルに塩味を適度に付与する濃度である。このような濃度は、当業者によって容易に決定され得る。例えば、アルカリ液中の食塩濃度は、好ましくは約1.0重量%以上約10.0重量%以下であり、より好ましくは約2重量%以上約8重量%以下であり、最も好ましくは約2.0重量%以上約5重量%以下である。
【0039】
食塩の濃度が低すぎると、得られるプレッツェルにおいて目的とする味が得られない場合がある。食塩の濃度が高すぎると、焼成後に得られるプレッツェルの味が濃すぎる場合がある。もちろん、当業者に公知のように、アルカリ処理の時間は、アルカリ基剤の濃度、アルカリ液の温度などによって影響を受け、アルカリ処理の時間が短いほど、成形済みドウへの食塩の付着量は減るので、食塩の濃度は、実際に使用する成形済みドウの浸漬時間に応じて適切に調整され得る。すなわち、浸漬時間が長いほど、食塩の付着量が増える。
【0040】
(2.3 溶媒)
アルカリ液の溶媒としては、アルカリ液の調製に通常用いられる溶媒が用いられ得る。好ましくは溶媒は水である。アルカリ液は、必要に応じて他の溶媒を含んでもよい。
【0041】
(2.4 他の原料)
アルカリ液は、これらの原料に加えて他の原料を含み得る。例えば、目的とされる味が塩味である場合、アルカリ液は、アルカリ溶液に酸(例えば、塩酸)を添加することによって調製されてもよい。なぜなら、アルカリと酸との中和反応によって塩が形成されるからである。この場合、中和反応によって形成された塩を、上記2.2の食塩の代わりに用いてもよい。中和反応は当業者に公知であるので任意に適切に行われ得る。
【0042】
(3.プレッツェル原料)
本発明に使用するプレッツェル原料は特別なものである必要はない。すなわち、プレッツェルを製造するために通常使用される原料であり得る。このような原料の例としては、小麦粉、糖類、油脂類および食塩が挙げられる。必要に応じて、乳原料、膨脹剤、乳化剤、イースト、その他食品原料、香料、シーズニング原料などを適宜使用してもよい。
【0043】
本明細書では小麦粉とは、小麦の穀粒から得られた粉末をいう。小麦粉は、強力粉、準強力粉、中力粉、および薄力粉に分けられる。強力粉は、硬質小麦から製造される。準強力粉は、硬質小麦から製造される。中力粉は、中間質小麦から製造される。薄力粉は、軟質小麦から製造される。強力粉、準強力粉、中力粉、および薄力粉はまた、タンパク質含量との密接な関係がある。強力粉は、通常、タンパク質含量が11.5%以上であり、好ましくは、11.5%〜14.5%である。準強力粉は、通常、タンパク質含量が11.5%以上であり、好ましくは、11.5%〜13.5%である。中力粉は、通常、タンパク質含量が8.0%以上であり、好ましくは、8.0%〜10.0%である。薄力粉とは、通常、タンパク質含量が9.5%以下であり、好ましくは、6.5%〜9.5%である。本発明では、小麦粉の種類の組み合わせは任意である。
【0044】
本明細書では糖類とは、単糖、二糖、オリゴ糖、糖アルコール、水飴、澱粉分解物および水溶性食物繊維をいう。糖類としては、当該分野で市販される任意の糖類が使用され得る。糖類の例としては、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、麦芽糖、乳糖、トレハロース、マルチトール、パラチニット;水飴、デキストリン等の澱粉分解物;ポリデキストロース等の食物繊維が挙げられる。目的とするプレッツェルの甘味の程度、食感、焼色、膨化程度に伴う形状等を調整するために、必要に応じて1種、又は2種以上の糖類を選択して用いることができる。
【0045】
本明細書では油脂類とは、当該分野で用いられる任意の油脂が用いられ得る。油脂の例としては、植物性油脂、動物性油脂およびこれらの加工油脂が挙げられる。好ましくは、菜種油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、乳脂が挙げられる。食用油脂としては、液体油脂から固体油脂(融点20℃〜約50℃)まで幅広く使用することができる。
【0046】
本明細書では食塩とは、主に塩化ナトリウムからなる調味料をいう。食塩の例としては、精製塩、上質塩、内地白塩、原塩、粉砕塩などが挙げられる。当該分野で使用される食塩であれば特に限定されない。食塩は、ドウへの混合時、アルカリ液への浸漬時のいずれの工程においても使用され得る。どちらの工程でどの程度食塩を使用するかは、任意である。ドウへの添加量は小麦粉100重量部に対して、約0.2重量部〜約2.0重量部が好ましく、より好ましくは約0.5重量部〜約1.0重量部が好ましい。
【0047】
本明細書では乳原料とは、当該分野で用いられる任意の乳原料が用いられ得る。乳原料の例としては、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム、バター、チーズ等が挙げられる。
【0048】
本明細書では膨脹剤とは、加熱によって発生するガスによって生地を膨脹させる作用を有する物質をいう。膨脹剤の例としては、ミョウバン(KAl(SO・12HO)、ソーダ灰(NaCO)、石灰(Ca(OH))、重炭酸ナトリウム(NaHCO)および重炭酸アンモニウム(NHHCO)が挙げられる。これらの膨脹剤は、必要に応じて1種、または2種以上を選択して用いることが出来る。膨脹剤の配合量は、好ましくは小麦粉100重量部に対して、約0.02重量部〜約1.0重量部である。
【0049】
本明細書では乳化剤とは、分子内に親水基および親油基の両方を含み、従って水と油との界面に吸着層を作りやすい物質をいう。乳化剤は、当該分野で公知の任意の界面活性剤であり得る。本発明で用いられ得る乳化剤の例としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびレシチンが挙げられる。乳化剤は、任意の親水性−疎水性バランス(HLB)を有し得る。HLBは、好ましくは約3〜約20である。乳化剤の量は、乳化の目的を達し、且つ旨味的に好ましい範囲であれば良い。
【0050】
本明細書ではイーストとは、一般にパン酵母のことであり、糖を醗酵して炭酸ガスおよびアルコールを生成し、有機酸および香気成分をも生成する微生物をいう。一般にイーストの例としては、水分を約70%含む生イーストと、水分を生イーストの約1/10に乾燥させたドライイースト(乾燥酵母)が挙げられる。イーストが生イーストの場合、イーストは、好ましくは、小麦粉100重量部に対して約0.5重量部〜約5.0重量部配合され得る。イーストがドライイーストの場合、イーストは、好ましくは、小麦粉100重量部に対して約0.05重量部〜約0.5重量部配合され得る。
【0051】
その他食品原料としては、果実、野菜、肉、魚などの食品原料をパウダー化、エキス化したもの、澱粉、デキストリンなど調味等の目的で適宜使用してよい。
【0052】
(4.プレッツェルの製造方法)
本発明のプレッツェルは、プレッツェルのドウを提供する工程;該ドウを成形して成形済みドウを得る工程;アルカリ基剤および食塩を含む液体中に、該成形済みドウを浸漬して取り出し、表面処理された成形済みドウを得る工程;ならびに該表面処理された成形済みドウを焼成して、プレッツェルを得る工程を包含する方法によって製造される。
【0053】
(4.1 ドウの調製)
ドウは、上記のプレッツェル原料を当該分野で公知の方法によって混合することによって調製される。原料の混合には、縦型、横型等の形状を問わず、通常のパンおよび菓子の製造過程で用いるミキサーが使用できる。原料が実質的に均一に混合されるのであれば、どのような混合方法を用いてもよい。原料の混合順序に特に制限はなく、全てを一度に入れて混合する、いわゆるオールインミックスでもよい。特定の原料の添加を他の原料の混合中に行ってもよい。油脂類が固形ショートニングなど常温固体の場合は、加温融解後、混合する必要が生じる場合がある。原料が混合されて得られる塊状の生地をドウと呼ぶ。ドウとは、焼成前の生地をいう。
【0054】
(4.2 ドウの成形)
このようにして得られたドウを、任意の方法で、任意の形状に成形する。具体的には、例えば、ドウを押出し機のノズルから中実棒状、中空筒状などの形状に押出し成形するなどの方法が採用され得る。
【0055】
棒状で焼成されると、食べやすく、火通りがよく、水分が飛散しやすく、複雑な形状に比べて成形ストレスがかかりにくく、生地を大きく傷めない(生地を傷めると、成形後、および焼成後のだれ、食感悪化などの原因となる)ので、ドウは棒状に成形されることが好ましい。
【0056】
(4.3 成形済みドウの表面処理)
このようにして得られた成形済みドウに対して、表面処理が実施され得る。表面処理とは、成形済みドウを上記のアルカリ液に浸漬することをいう。この場合、アルカリ液の温度は任意である。アルカリ液は、上記2に記載のアルカリ液原料を混合することによって調製され得る。アルカリ液中では、食塩は溶解している必要がある。
【0057】
アルカリ基剤は、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウムからなる群より選択されることが好ましく、水酸化ナトリウムであることが最も好ましい。
【0058】
好ましくは、アルカリ基剤は水酸化ナトリウムである。最も好ましくは、アルカリ液は水溶液であり、この水溶液中のアルカリ基剤は本質的に水酸化ナトリウムである。「本質的に水酸化ナトリウムである」とは、アルカリ基剤のうちの約60重量%以上が水酸化ナトリウムであることをいう。アルカリ基剤のうちの水酸化ナトリウムの割合は、約70重量%以上であることが好ましく、約80重量%以上であることがより好ましく、約90重量%以上であることがさらに好ましく、約100重量%水酸化ナトリウムであることが最も好ましい。もちろん、複数種のアルカリ基剤を任意の割合で混合して使用することができる。
【0059】
好ましくは本発明の方法では、水溶液中の水酸化ナトリウム濃度が約0.4重量%以上約1.5重量%以下であり、この水溶液中の食塩濃度が約1.0重量%以上約10.0重量%以下であることが最も好ましい。
【0060】
上記のように、成形済みドウを浸漬する液に使用するアルカリ基剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどがある。水酸化ナトリウムなどの強アルカリの場合は、濃度は、好ましくは約0.1重量%以上であり、より好ましくは約0.5重量%以上である。強アルカリの濃度は、好ましくは約2.0重量%以下であり、より好ましくは約1.5重量%以下である。リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび炭酸カルシウムなどの弱アルカリの場合は、濃度は、好ましくは約1.0重量%以上であり、より好ましくは約2重量%以上である。弱アルカリの濃度は、好ましくは約10.0重量%以下であり、より好ましくは約8重量%以下である。アルカリ基剤の濃度が低すぎると、得られるプレッツェルにおいて目的とする香ばしさが得られない場合がある。
【0061】
アルカリ液中にドウを浸漬する時間は、アルカリ液中のアルカリ基剤の濃度、食塩濃度およびアルカリ液の濃度を考慮して、当業者により適切に設定され得る。上記の通り、アルカリ基剤の濃度が高いほど、アルカリ液の温度が高いほど、そしてドウの浸漬時間が長いほど、アルカリ処理の効果が強く現れ、食塩がドウに多量に付着する。アルカリ液中に成形済みドウを浸漬する時間は、常温(すなわち、約20℃)の場合、好ましくは、約1秒以上であり、より好ましくは約1.5秒以上であり、さらに好ましくは約2秒以上であり、特に好ましくは約3秒以上であり、ことさら好ましくは約4秒以上であり、最も好ましくは約5秒以上である。アルカリ液中に成形済みドウを浸漬する時間は、常温(すなわち、約20℃)の場合、好ましくは約20秒以下であり、より好ましくは約15秒以下であり、さらに好ましくは約10秒以下である。浸漬時間が短すぎると食塩の味の付与が充分でない場合があり、浸漬時間が長すぎるとアルカリによる褐色化および風味付与が強すぎる場合がある。特に、アルカリ液中の食塩濃度が低い場合、浸漬時間が短すぎると食塩の味の付与が充分でない場合がある。例えば、アルカリ液中の食塩濃度が約1.0重量%であり、常温である場合、浸漬時間は約5秒以上30秒以下であることが好ましい。アルカリ液中の食塩濃度が高い場合、浸漬時間が長すぎると食塩の味が強くなりすぎる場合がある。例えば、アルカリ液中の食塩濃度が約12重量%である場合、浸漬時間は約1秒以上約25秒以下であることが好ましく、約1秒以上約20秒以下であることがより好ましい。
【0062】
本発明の方法においては、アルカリ液中での食塩の濃度C(重量%)と、浸漬時間T(秒)との積C×T{(重量%)*(秒)}は、約7以上約90以下であり、好ましくは約10以上約45以下である。アルカリ基剤(最も好ましくは水酸化ナトリウム)の濃度が0.4重量%〜1.5重量%の場合、この範囲内の条件で処理されることにより、食感、焼色および塩味のいずれにおいても優れたプレッツェルが得られる。
【0063】
アルカリ液の温度は、任意の温度である。好ましくは、常温である。アルカリ液の温度は好ましくは、約10℃〜約95℃であり、さらに好ましくは約15℃〜約80℃であり、特に好ましくは約20℃〜約50℃であり、最も好ましくは約25℃〜約40℃である。
【0064】
成形済みドウは、当該分野で公知の通常の方法によってアルカリ液に浸漬される。成形済みドウが中実棒状であって、プレッツェルとして適切な長さに切断された状態で表面処理される場合に処理を受ける表面は、得られるプレッツェルの表面全体と一致する。成形済みドウが中実棒状であって、切断されずに表面処理される場合に処理を受ける表面は、得られるプレッツェルの表面のうちの切断面以外の面である。
【0065】
成形済みドウが中空筒状であって、中空部分の開口部が充分に大きく、プレッツェルとして適切な長さに切断された状態で表面処理される場合に処理を受ける表面は、得られるプレッツェルの表面全体と一致する。すなわち、プレッツェルの筒の内側表面および外側表面の両方が表面処理される。他方、中空部分の開口部が小さい場合には、水の表面張力によってアルカリ液は中空部分に入ることができないので、処理を受ける表面は、得られるプレッツェルの外側表面のみとなる。
【0066】
成形済みドウが中空筒状であって、切断されずに表面処理される場合に処理を受ける表面は、得られるプレッツェルの外側表面のみである。
【0067】
成形済みドウが中実棒状の場合も中空筒状の場合も、処理効率の点から、ドウは、切断されない状態で表面処理されることが好ましい。
【0068】
(4.4 焼成)
表面処理された成形済みドウは、当該分野で公知の任意の焼成条件、および任意の方法で焼成される。焼成のためには、例えば固定オーブン、連続オーブン、ダイレクトオーブン、熱風循環オーブン等いずれも使用可能である。成形済み生地は、必要に応じて、スチールベルト、ヘビーメッシュ、ライトメッシュ等を任意に用いて焼成され得る。
【0069】
焼成温度は通常、約120℃以上であり、好ましくは約150℃以上であり、さらに好ましくは約180℃以上である。焼成温度は通常、約350℃以下であり、好ましくは約300℃以下である。
【0070】
焼成時間は従来のプレッツェル同様、成形済み生地の大きさによって異なる。焼成時間は、好ましくは約3分以上約30分以下であり、より好ましくは約4分以上約15分以下である。
【0071】
焼成後、プレッツェルの中に多量の水分が残存していると、プレッツェルの食感がねちゃつく、口溶けが悪い、粉っぽい等の状態になることがある。そのため、製品が焦げない範囲で充分に水分を飛散させることが重要である。
【0072】
なお、本明細書中では、「水分量」とは、プレッツェルに含まれる水分の、プレッツェル全体の重量に対する割合をいう。例えば、100gのプレッツェル中に1gの水分が含まれている場合、そのプレッツェルの水分量は1重量%である。水分量の測定方法は、当業者に公知である。例えば、赤外水分計を用い、まず、粉砕したプレッツェルの重量を測定し、次いで粉砕したプレッツェルを105℃にて10分間保持し、10分間保持後のプレッツェルの重量を測定し、保持前と比較して10分間の保持後に減少した重量から水分量を決定し得る。焼成直後のプレッツェル中の水分量は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下である。
【0073】
(5.プレッツェル)
このようにして得られたプレッツェルは、任意の形状および任意の大きさのものであり得る。プレッツェルの形状に特に制限はない。プレッツェルは、好ましくは、棒状である。より好ましくは、断面の外周が円となる形状、すなわち、円柱の形状である。また、断面の外周が正多角形となる形状であってもよい。これらの場合において、棒状のプレッツェルは、中実棒状であっても、中空筒状であってもよい。
【0074】
プレッツェルが棒状である場合、焼成後のプレッツェルの外径は、好ましくは約2mm〜約15mmであり、より好ましくは約3mm〜約12mmであり、さらに好ましくは約4mm〜約10mmである。プレッツェルの直径が約3mm〜約12mmであって、かつ長さが約30mm〜約150mmであることが好ましく、直径が約4mm〜約8mmであってかつ長さが約100mm〜約140mmであることがより好ましい。
【0075】
このようにして、表面層に食塩が均一に付与されており、内層の食塩濃度は表面の食塩濃度よりも低いプレッツェルが提供される。本発明のプレッツェルの内層部分については、焼成によって失われた水分以外の組成は、表面処理前のドウと、焼成後のプレッツェルとで大きくは変化しない。すなわち、乾燥重量基準で考えれば、内層部分については、表面処理前のドウの食塩濃度と、焼成後のプレッツェルの食塩濃度とは実質的に同じである。他方、表面層については、表面処理によって食塩が均質に付与されている。それゆえ、乾燥重量基準で考えた場合、表面層については、プレッツェルの食塩濃度は、表面処理前のドウの食塩濃度よりも高濃度である。
【0076】
このようにして得られたプレッツェルは、プレッツェルの表面層に食塩の味が均一に付与されている。本明細書中では、表面層とは、表面から深さ0.5mmまでの層をいう。本明細書中では、内層とは、表面から深さ0.5mmを超える層をいう。本発明の方法では、ドウに食塩を練り込んだ上で、表面処理によってプレッツェルの表面層に食塩の味が均一に付与されていることが、塩味のバランス上、好ましい。もちろん、ドウに食塩を全く練り込まずに、表面処理によってプレッツェルの表面層に食塩の味が均一に付与されていてもよい。
【0077】
塩を振り掛けることによって製造されたプレッツェルは、プレッツェルの表面に塩の大きな結晶が付着しており、そのため、舌に刺すような味が感じられる。しかし、本発明のプレッツェルは、プレッツェルの表面に塩の大きな結晶が付着することがない。それゆえ、本発明のプレッツェルは、舌に刺すような鋭い塩味がない。また、より多くの食塩が表面に存在しているので、食べた瞬間は塩味が感じられるが食べ進むと内側の部分の味によって塩味の感じが薄まり、味のバランスがよい。また、連食性をも誘起する。アルカリ液中で食塩を用いた場合、プレッツェルは、肉眼で表面を観察した場合に、食塩の粒が肉眼では観察されないように均一に食塩が付与されている。
【0078】
(6.複合菓子)
本発明によれば、上記の方法によって製造されたプレッツェルの少なくとも一部に油脂性食品が付着している複合菓子が提供される。
【0079】
プレッツェルが中実棒状の場合、油脂性食品は、プレッツェルの表面の少なくとも一部に被覆され得る。
【0080】
プレッツェルが中空筒状の場合、油脂性食品は、プレッツェルの表面の少なくとも一部に被覆されてもよく、あるいはプレッツェルの中空部分に充填されてもよく、あるいは、プレッツェルの表面の一部に被覆され、その上、プレッツェルの中空部分に充填されてもよい。あるいは、下記の充填用食品素材がプレッツェルの中空部分に充填され、その上、プレッツェルの表面の一部に油脂性食品が被覆されてもよい。
【0081】
本発明の複合菓子は、中実棒状または中空筒状のプレッツェルの表面の少なくとも一部に油脂性食品が被覆されている複合菓子であることが好ましい。プレッツェルの表面の一部に油脂性食品が被覆されていることがより好ましい。本発明の複合菓子は、プレッツェルが棒状の形状を有し、そしてこのプレッツェルの一端が油脂性食品で被覆されておらず、他端が被覆されていることが好ましい。
【0082】
本発明の複合菓子に用いられる油脂性食品は、水を実質的に含まない、油を主成分とする食品である。油脂性食品の例としては、任意のチョコレート、チョコレート味の油脂性食品、黒ゴマを含む油脂性食品、黄粉を含む油脂性食品、小豆を含む油脂性食品などが挙げられる。本明細書中では、油脂性食品は、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」によるチョコレート生地および準チョコレート生地の基準に従う製品を含むがこれらには限定されず、油脂を含む任意の油脂性食品をいう。一般に、カカオ豆のカカオニブ(果肉)から調製された素材を原料チョコレートといい、これらを主要な原料として製造した菓子を総称してチョコレート類という(渡辺長男著、「菓子の科学」、同文書院、昭和55年6月10日、P.127−133)。「水を実質的に含まない」とは、水分含量が約3パーセント以下であることをいう。油脂性組成物の水分含量は、約2パーセント以下であることが好ましく、約1パーセント以下であることが最も好ましい。水分含量に特に下限はないが、一般的には0.0001%以上である。
【0083】
「チョコレート生地」とは、カカオビーンズから調製したカカオマス、ココアバター、ココアケーキまたはココアパウダーを原料とし、必要により糖類、乳製品、他の食用油脂、香料等を加え、通常の工程を経て製造したものであって、カカオ分が全重量の35パーセント以上(ココアバターが全重量の18パーセント以上)であって、水分が全重量の3パーセント以下のものをいう。ただし、カカオ分が全重量の21パーセントを下らず(ココアバターが全重量の18パーセント以上)、かつ、カカオ分と乳固形分の合計が全重量の35パーセントを下らない範囲内(乳脂肪が全重量の3パーセント以上)で、カカオ分の代わりに、乳固形分を使用することができる。
【0084】
「準チョコレート生地」とは、カカオビーンズから調製したカカオマス、ココアバター、ココアケーキまたはココアパウダーを原料とし、必要により糖類、乳製品、他の食用油脂、香料等を加え、通常の工程を経て製造したものであって、カカオ分が全重量の15パーセント以上(ココアバターが全重量の3パーセント以上)、脂肪分が全重量の18パーセント以上のものであって、水分が全重量の3パーセント以下のもの、またはカカオ分が全重量の7パーセント以上(ココアバターが全重量の3パーセント以上)、脂肪分が全重量の18パーセント以上、乳固形分が全重量の12.5パーセント以上(乳脂肪が全重量の2パーセント以上)であって、水分が全重量の3パーセント以下のものをいう。ただし、準チョコレート生地からは、チョコレート生地に該当するものを除く。
【0085】
油脂性食品は、カカオ分を少量しか、あるいは全く含まない、チョコレートと同様の物性を有する食品を包含する。本明細書中で用いられる場合の「油脂性食品」は、通常、室温で固体であり、加熱すると粘性を持つ。本発明で用いられるチョコレートの例としては、ブラックチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートなどが挙げられる。なお、本明細書中では、チョコレートをベースとして、種々の呈味原料を加えたものも、油脂性食品の範囲に含まれる。このような呈味原料としては、ゴマ(黒ゴマ、白ゴマなど)、ピーナッツ、アーモンド、マカダミアナッツ、カシューナッツ、栗等の種実類;黄粉、小豆などの豆類;イチゴ、オレンジ、レーズン、リンゴ、キウイ、パイナップル、梅、バナナ、ブルーベリー、ラズベリー、クランベリー等の果実類;コーヒー、抹茶、紅茶、ココア、ビール、ワイン等の嗜好飲料類;キャラメル、シナモンなどが挙げられる。呈味原料の形態は、生、乾燥品、ペースト、粉末、塊状等の任意の形態であってよい。粉末、ペーストであることが好ましい。呈味材料は、粉末または顆粒であることが好ましい。
【0086】
油脂性食品は、いかにも日本らしい、「和」の素材を用いた油脂性食品であることが好ましい。このような「和」素材を用いた油脂性食品は、黒ゴマ、黄粉、小豆または抹茶を含むホワイトチョコレートであることが好ましい。黒ゴマを含むホワイトチョコレートは、通常のホワイトチョコレートの材料に、黒ゴマ粉末または黒ゴマフレーバーを加えることにより調製され得る。黄粉を含むホワイトチョコレートは、通常のホワイトチョコレートの材料に、黄粉または黄粉フレーバーを加えることにより調製され得る。小豆を含むホワイトチョコレートは、通常のホワイトチョコレートの材料に、小豆粉末、漉し餡粉末または小豆フレーバーを加えることにより調製され得る。抹茶を含むホワイトチョコレートは、通常のホワイトチョコレートの材料に、抹茶粉末を加えることにより調製され得る。
【0087】
油脂性食品中のこれらの呈味材料の量は、呈味材料の味の強さおよび香りの強さによって適切に調節され得る。呈味材料の量は、好ましくは油脂性食品中の約0.5重量%〜約50重量%であり、より好ましくは約1重量%〜約40重量%であり、さらに好ましくは約2重量%〜約30重量%である。例えば、黒ゴマ、黄粉、小豆などは比較的多量に添加することが好ましく、油脂性食品中の約3重量%〜約30重量%であることが好ましい。例えば、抹茶は、少量でも充分に風味が得られ、多量に加えすぎると苦味が出やすいので、比較的少量添加することが好ましく、油脂性食品中の約1重量%〜約5重量%であることが好ましく、約2重量%〜約3重量%であることがさらに好ましい。
【0088】
一般的なチョコレートの配合を以下の表4に例示する。しかし、チョコレートの配合はこの配合に限定されない。
【0089】
【表1A】

【0090】
プレッツェルが中空筒状の場合、中空部分には、上記油脂性食品を含め、充填用食品材料が充填され得る。本発明で用いられる充填用食品材料の水分含有量は、約3重量%以下であり、好ましくは約2重量%であり、さらに好ましくは約1重量%以下である。水分含有量が高すぎると、プレッツェルが湿ってしまい、さくっとした食感が失われる場合があるので好ましくない。
【0091】
充填用食品材料は、菓子に通常用いられる充填材料であり得る。充填用食品材料は、例えば、温度を調整することによって粘性を持つ組成物である。充填用食品材料は好ましくは、高温(例えば、約50℃以上または約60℃以上)にて液体で、かつ常温(例えば、約20℃)で固体の組成物である。このような充填用食品材料は、フィリングであり得る。本明細書では、「フィリング」とは、食品において詰め物として用いられるものをいう。フィリングは、当該分野で公知の任意のフィリングであり得る。フィリングの例としては、クリーム、チョコレート、キャラメル、ソース類の濃縮物、ジャム、乳加工食品類、複合調味油脂などが挙げられる。
【0092】
クリームの例としては、ファットクリーム、フラワーペーストを含む、カスタードクリーム、バニラ風味クリーム、あんこクリーム、果汁入りクリーム、チョコ風味クリームなどが挙げられる。ファットクリームとは、脂肪を主成分とする、常温(20℃)でクリーム状ものをいう。ファットクリームの例としては、チーズクリーム、チョコレートクリーム、ナッツクリーム、カレー風味クリームなどが挙げられる。
【0093】
本明細書では、「キャラメル」とは、砂糖に水を加えないで煮溶かし琥珀色に色づいたら水を注ぎいれて沸騰させたものをいう。
【0094】
本明細書では、「ソース類」とは、果物、野菜、肉類などを煮込んで得られる液体または懸濁液をいう。例としては、アップルソース、バナナソース、サルサソース、ケチャップ、グレービーソース、チリソースなどが挙げられる。「ソース類の濃縮物」とは、ソース類を水分含有量が約3重量%以下になるまで煮詰めたものをいう。
【0095】
本明細書では、「ジャム」とは、果物または野菜に砂糖を加えて煮詰めたものをいう。例としては、イチゴジャム、アンズジャム、リンゴジャム、マーマレード、ブドウジャム、ブルーベリージャム、レモンジャム、キャロットジャムなどが挙げられる。流動性を高めるために、果肉、種子などの固形物が識別できないかまたはその粒径が小さいジャムが好ましい。本発明で用いられる場合、ジャムの水分含有量は、約3重量%以下である。
【0096】
本明細書では、「乳加工食品類」とは、乳を加工することによって得られる食品をいう。乳加工食品類の例としては、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイなどが挙げられる。あるいは、乳加工食品類は、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、生クリームなどを原料として製造した水分含有量が約3重量%以下であり得る。
【0097】
本明細書では、「複合調味油脂」とは、調味料を含む油脂をいう。例としては、シーズニングオイル、マヨネーズなどが挙げられる。
【0098】
(7.複合菓子の製造方法)
このような複合菓子は、当該分野で公知の任意の方法によって製造され得る。プレッツェルの表面に油脂性食品を付着させる方法としては、当業者に公知の任意の方法を用い得る。このような方法の例としては、エンローバー法およびモールド法が挙げられる。
【0099】
エンローバー法は、型にはめずにプレッツェルの表面に油脂性食品を付着させる方法を指す。エンローバー法は例えば、コンベア、ローラーなどの上でプレッツェルを搬送しながら油脂性食品を滴下することによって、プレッツェルの表面に油脂性食品を付着させることにより行われ得る。例えば、油脂性食品をカーテン状に落下させ、その下をコンベアに乗せたプレッツェルを通すことにより、プレッツェルの表面に油脂性食品を付着させ得る。エンローバー法はまたは、浴に溜めた液状の油脂性食品中にプレッツェルを浸けて、プレッツェルの一部をそのまま残しながら、プレッツェルの残りの表面に油脂性食品を付着させることによっても行われ得る。例えば、プレッツェルの一方の端をクリップなどで挟み、他方の端を、容器にためた油脂性食品の中に浸漬することによって、プレッツェルの表面に油脂性食品を付着させ得る。エンローバー法としてはさらに、プレッツェルの表面にスプレーで油脂性食品を噴霧する方法も用いられ得る。
【0100】
また、プレッツェルが中空筒状である場合、当該分野で公知の方法によって、中空部分に油脂性食品または充填用食品素材が充填され得る。
【0101】
モールド型は油脂性食品とプレッツェルとを型(モールド)に入れて成型する方法である。
【0102】
(8.複合菓子の喫食方法)
複合菓子は、通常の喫食方法によって喫食され得るが、この複合菓子は、チョコレートが被覆された部分から喫食を始め、最後にチョコレートが被覆されていない部分を喫食すると、チョコレート味の切れがよりよく感じることができ、連食性がさらにより向上する。
【0103】
以下、本発明を実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。実施例において、「部」は「重量部」を意味し、「%」は重量%を意味する。
【0104】
以下、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0105】
(実施例1A)
小麦粉(市販の強力粉)100部、砂糖(市販の上白糖)15部、食塩(日本たばこ(株)製の食塩)0.6部、全粉乳(市販の全粉乳)2.0部および重炭酸ナトリウム0.5部を縦型のケーキミキサーで粉体混合し均一化した。これにショートニング(市販のショートニング)10部を加え、さらに水30部を加え、グルテンが出るまで混合し、ドウを得た。このドウを、製麺機によって直径3.0mmに成形した。成形後、この成形済みドウを、水酸化ナトリウム1.0%および食塩4.0%を含む水溶液(すなわち、アルカリ液)(約20℃)に2秒間浸漬した後引き上げ、表面処理した成形済みドウを得た。この表面処理した成形済みドウを130mm毎に切断した後、バッチ式オーブンにて200℃、13分間焼成し、直径4.0mm、長さ130mmのプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0106】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色、塩味とも良好であった。特に塩味は、やや弱めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0107】
(実施例1B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩7.0%のアルカリ液に2秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0108】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色ともに良好であり、特に塩味が非常に良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0109】
(実施例1C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩10.0%のアルカリ液に2秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0110】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色ともに良好であり、特に塩味が非常に良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0111】
(実施例1D)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩12.0%のアルカリ液に2秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0112】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色およびが良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0113】
(比較例1A)
実施例1Aと同様に成形したドウを表面処理を行わずに実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0114】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感が硬く、焼色も十分でなく、好ましくなかった。また、他の良好品に比較してプレッツェル全体に味の変化がなく、食べ続けようという気持ちにならなかった。
【0115】
(比較例1B)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない水酸化ナトリウム1.0%のアルカリ液に2秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0116】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色は良好であったが、塩味は他の良好品に比較して味の変化がなく、食欲をそそらなかった。
【0117】
(比較例1C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩1.0%のアルカリ液に2秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0118】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色はほぼ良好であった。また、プレッツェルの表面の塩味は弱く、物足りなさを感じた。
【0119】
(比較例1D)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩2.0%のアルカリ液に2秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0120】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色はほぼ良好であったが、塩味は弱く、物足りなさを感じた。
【0121】
(実施例2A)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩2.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0122】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色、塩味とも非常に良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0123】
(実施例2B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩4.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0124】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も適度で、非常に良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0125】
(実施例2C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩7.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成し、得られたプレッツェルの食感、塩味について官能評価を行った。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0126】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も適度で、非常に良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0127】
(実施例2D)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩10.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0128】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0129】
(実施例2E)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩12.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0130】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0131】
(比較例2A)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない、水酸化ナトリウム1.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0132】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色は非常に良好であったが、塩味は、他の良好品に比較して、味の変化がなく、食欲をそそらなかった。
【0133】
(比較例2B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩1.0%のアルカリ液に5秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0134】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色は非常に良好であった。また、表面の塩味も弱く、物足りなさを感じた。
【0135】
(実施例3A)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩1.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0136】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、焼色および食感が非常に良好であり、塩味も良好であった。特に塩味は、やや弱めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0137】
(実施例3B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩2.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0138】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、塩味は適度で非常に良好であり、食感、焼色も良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられるが、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0139】
(実施例3C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩4.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0140】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も適度で、非常に良好であった。特に塩味は、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられるが、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0141】
(実施例3D)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩7.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0142】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も適度で、非常に良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0143】
(比較例3A)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない水酸化ナトリウム1.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0144】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色は非常に良好であったが、塩味は、他の良好品に比較して味の変化がなく、食欲をそそられないものであった。
【0145】
(比較例3B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩10.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0146】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であったが、塩味がやや強すぎ、好ましくなかった。
【0147】
(比較例3C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩12.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0148】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であったが、塩味がやや強すぎ、好ましくなかった。
【0149】
(実施例4A)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩1.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0150】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、焼色、食感および塩味が良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0151】
(実施例4B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩2.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0152】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0153】
(実施例4C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩4.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0154】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも非常に良好であり、塩味も良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0155】
(比較例4A)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない水酸化ナトリウム1.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0156】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色は良好であったが、塩味は、他の良好品に比較して味の変化がなく、食欲をそそられないものであった。
【0157】
(比較例4B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩7.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0158】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色とも非常に良好であったが、塩味がやや強すぎ、好ましくなかった。
【0159】
(比較例4C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩10.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0160】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色とも非常に良好であったが、塩味がやや強すぎ、好ましくなかった。
【0161】
(比較例4D)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩12.0%のアルカリ液に20秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0162】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色は非常に良好であったが、塩味が強すぎ、連食性に乏しかった。
【0163】
(実施例5A)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩1.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0164】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、焼色、食感および塩味とも良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0165】
(実施例5B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩2.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0166】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、焼色、食感および塩味は良好であった。特に塩味は、やや強めだが、プレッツェルを噛んだ瞬間にほどよく感じられ、噛み進むと内側の塩味のやや薄い部分の味によって塩味が薄まり、味のバランスがよく、さらにより多く食べたくなるという、後をひく美味しさであった。
【0167】
(比較例5A)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない水酸化ナトリウム1.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0168】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ食感は良好だが、焼色はやや強く、食欲をそそられなかった。また、塩味は他の良好品に比較して味の変化がなく、食欲をそそられないものであった。
【0169】
(比較例5B)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩4.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0170】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ食感は良好だが、焼色はやや強く、食欲をそそられなかった。また、塩味がやや強すぎ、連食性に乏しかった。
【0171】
(比較例5C)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩7.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0172】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ食感は良好だが、焼色はやや強く、食欲をそそられなかった。また、塩味がやや強すぎ、連食性に乏しかった。
【0173】
(比較例5D)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩10.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0174】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ食感は良好だが、焼色はやや強く、食欲をそそられなかった。また、塩味が非常に強すぎ、連食性がなかった。
【0175】
(比較例5E)
実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩12.0%のアルカリ液に30秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0176】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ食感は良好だが、焼色はやや強く、食欲をそそられなかった。また、塩味が非常に強すぎ、連食性がなかった。
【0177】
上記各種実施例および比較例についての結果を下表にまとめて示した。ここで評価は、5人の官能パネラーで行った。評価は食感及び焼色について4段階(◎:非常に良好、○:ほぼ良好、△:やや劣る、×:大きく劣る)で総合的に判断した。塩味については、6段階(◎:非常に良好、○+:塩味がやや強いが良好、○−:塩味がやや弱いが良好、△:塩味が物足りず、やや劣る、▲:塩味が強すぎてやや劣る、×:塩味の変化がなく、大きく劣る、■しょっぱすぎて大きく劣る)で判断した。
【0178】
【表1】

【0179】
(比較例6)
ドウ中に予め練り込む食塩の量を0.1部に減少させたこと以外は比較例2Aと同じ方法によってプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0180】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色は良好だが他の良好品に比較して味の変化がなく、食欲をそそらなかった。
【0181】
(比較例7)
ドウ中に予め練り込む食塩の量を1.0部に増加させたこと以外は比較例2Aと同じ方法によってプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0182】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感および焼色が良好であった。プレッツェル全体に均一に適度に塩味が付与されていた。塩味の強さとしては最適であった。しかし、味に変化がなく、さらに食べ続けようという気持ちにはならなかった。
【0183】
(比較例8)
ドウ中に予め練り込む食塩の量を3.0部に増加させたこと以外は比較例2Aと同じ方法によってプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0184】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色は良好だが、プレッツェル全体が均一に塩辛すぎ、さらに食べ続けようという気持ちにはならなかった。
【0185】
(実施例6)
ドウを調製する際に食塩を添加しないこと以外は実施例1Aと同様に成形したドウを水酸化ナトリウム1.0%、食塩4.0%のアルカリ液に10秒間浸漬した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0186】
得られたプレッツェルについて官能評価を行ったところ、食感、焼色とも良好であり、塩味も良好であった。特に、プレッツェルの内側には食塩が含まれていないので、表面の塩味と内側の甘味との対比が大きく、変化のある味が楽しめた。
【0187】
(比較例9)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない、水酸化ナトリウム濃度0.1重量%〜3.0重量%のアルカリ液に5秒間浸漬して取り出した後、実施例1Aと同様の方法により焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0188】
得られたプレッツェルは水酸化ナトリウム濃度が0.4重量%〜1.5重量%の範囲ではアルカリによる褐色化(焼色)および特有の風味が良好であった。しかし、水酸化ナトリウム濃度が0.4重量%未満では、褐色化がほとんどなく、アルカリ特有の風味が弱く、好ましくなかった。また、アルカリ濃度が1.5重量%を超えると、褐色化が激しく、アルカリ特有の風味が強すぎる傾向にあった。
【0189】
(比較例10)
実施例1Aと同様に成形したドウを、食塩を含まない、水酸化ナトリウム濃度1.0重量%のアルカリ液に5秒間浸漬して取り出した後、使用した小麦粉100部に対して0.2部の食塩(日本たばこ(株)製の食塩)を成形済みドウに振りかけた。その後、実施例1Aと同様に焼成してプレッツェルを得た。室温まで冷めた後のこのプレッツェルの水分含量を測定したところ、1.0重量%であった。
【0190】
得られたプレッツェルは、アルカリによる褐色化(焼色)および特有の風味が良好であり、食感も好適であった。しかし、肉眼で観察できる食塩の粒が表面に付着しており、喫食すると食塩の刺すような塩味がして好ましくなかった。
【0191】
(実施例7および比較例11)
実施例2Bで得られたプレッツェルと、比較例2Aで得られたプレッツェルに、それぞれミルクチョコレート(カカオマス20部、ココアバター20部、砂糖40部、全粉乳20部、レシチン0.4部)を、プレッツェルとミルクチョコレートとの重量比1:1でエンローバーした複合菓子(チョコレート部100mm、もち手部30mm)を作製した。
【0192】
得られた複合菓子について、チョコレート部分から食べ、もち手部部分まで完食し、官能評価を行った(パネラー5人による官能評価・・・5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2点:やや劣る、1点:大きく劣る)。
【0193】
【表2】

【0194】
官能評価の結果、実施例2Bのプレッツェルで作製した複合菓子(実施例7)の方が比較例2Aのプレッツェルで作製した複合菓子(比較例11)に比較して味のバランスおよび甘みのきれ(連食性)とも優れていた。
【0195】
(比較例12)
比較例7で製造したプレッツェルに対して、実施例7と同じミルクチョコレートを同じ重量比でエンローバーして、複合菓子を作製した。
【0196】
官能評価の結果、実施例7の複合菓子と比較して、味のバランスが悪く、甘みのきれ(連食性)が悪かった。
【0197】
(比較例13)
比較例10で製造したプレッツェルに対して、実施例7と同じミルクチョコレートを同じ重量比でエンローバーして、複合菓子を作製した。
【0198】
官能評価の結果、実施例7の複合菓子と比較して、味のバランスが悪かった。さらに、食塩の粒の上の部分でミルクチョコレートが盛り上がり、なめらかな外観にならなかった。さらに、食塩の粒の刺すような塩味を感じて味が悪かった。
【0199】
(実施例8および比較例14)
実施例2Bで得られたプレッツェルと、比較例2Aで得られたプレッツェルに、それぞれホワイトチョコレート(ココアバター代用脂35部、砂糖30部、全粉乳20部、乳糖15部、レシチン0.4部)を、プレッツェルとミルクチョコレートとの重量比1:1でエンローバーした複合菓子(チョコレート部100mm、もち手部30mm)を作製した。
【0200】
得られた複合菓子について、チョコレート部分から食べ、もち手部部分まで完食し、官能評価を行った(パネラー5人による官能評価・・・5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2点:やや劣る、1点:大きく劣る)。
【0201】
【表3】

【0202】
官能評価の結果、実施例2Bのプレッツェルで作製した複合菓子(実施例8)の方が比較例2Aで作製した複合菓子(比較例14)に比較して味のバランスおよび甘みのきれ(連食性)とも優れていた。
【0203】
(実施例9および比較例15)
実施例1Aと同じ配合および方法によりドウを調製した。このドウを、二重ノズルから押出すことにより外径5mm、内径3mmの中空筒状に成形した。切断を行わずに長い状態で、この成形後のドウを、(1)水酸化ナトリウム濃度1.0重量%および食塩濃度4.0重量%の水溶液、または(2)水酸化ナトリウム濃度1.0重量%の水溶液にそれぞれ5秒間浸漬し、その後、長さ130mmに切断した後、焼成して、中空筒状のプレッツェルを作製した。得られたプレッツェルにミルクチョコレート(カカオマス20部、ココアバター20部、砂糖40部、全粉乳20部、レシチン0.4部)を充填した複合菓子を作製した。
【0204】
得られた複合菓子について、一本を完食し、官能評価を行った(パネラー5人による官能評価・・・5点:非常に良好、4点:良好、3点:普通、2点:やや劣る、1点:大きく劣る)。
【0205】
【表4】

【0206】
官能評価の結果、(1)の溶液に浸漬したプレッツェルを使用した複合菓子(実施例9)の方が、(2)の溶液に浸漬したプレッツェルを使用した複合菓子(比較例15)に比較して味のバランス、甘みのきれ(連食性)とも優れていた。
【0207】
(実施例10および比較例16)
実施例2Bで得られたプレッツェルと、比較例7で得られたプレッツェルに、それぞれ、黒ゴマを含むホワイトチョコレート(黒ゴマ粉末20部、ココアバター代用脂35部、砂糖30部、全粉乳20部、乳糖15部、レシチン0.4部)を、プレッツェルとミルクチョコレートとの重量比1:1でエンローバーした複合菓子(チョコレート部100mm、もち手部30mm)を作製した。
【0208】
得られた複合菓子について、チョコレート部分から食べ、もち手部部分まで完食し、官能評価を行った。その結果、実施例2Bのプレッツェルで作製した複合菓子(実施例10)の方が比較例7のプレッツェルで作製した複合菓子(比較例16)に比較して味のバランスおよび甘みのきれ(連食性)とも優れていた。
【0209】
(実施例11および比較例17)
実施例2Bで得られたプレッツェルと、比較例7で得られたプレッツェルに、それぞれ、黄粉を含むホワイトチョコレート(黄粉20部、ココアバター代用脂35部、砂糖30部、全粉乳20部、乳糖15部、レシチン0.4部)を、プレッツェルとミルクチョコレートとの重量比1:1でエンローバーした複合菓子(チョコレート部100mm、もち手部30mm)を作製した。
【0210】
得られた複合菓子について、チョコレート部分から食べ、もち手部部分まで完食し、官能評価を行った。その結果、実施例2Bのプレッツェルで作製した複合菓子(実施例11)の方が比較例7のプレッツェルで作製した複合菓子(比較例17)に比較して味のバランスおよび甘みのきれ(連食性)とも優れていた。
【0211】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0212】
実施例で具体的に述べたように、本発明によって従来に比較して、塩味が適度なプレッツェルを製造することが可能となるため、小麦粉を主体とする様々な焼き菓子の塩味、風味の向上に寄与するところが大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層に食塩が均一に付与されており、内層の食塩濃度は表面層の食塩濃度よりも低い、プレッツェル。
【請求項2】
前記表面層が、前記プレッツェルの表面から深さ0.5mmまでの層であり、前記内層が、表面から深さ0.5mmを超える層である、請求項1に記載のプレッツェル。
【請求項3】
前記表面層において食塩の粒が肉眼では観察されないように均一に食塩が付与されている、請求項1に記載のプレッツェル。
【請求項4】
前記内層の食塩含有量が、小麦粉100重量部に対して、0.2重量部〜2.0重量部である、請求項1に記載のプレッツェル。
【請求項5】
直径が3〜12mmであり、長さが40mm〜150mmである、請求項1に記載のプレッツェル。
【請求項6】
中空筒状である、請求項1に記載のプレッツェル。
【請求項7】
中実棒状である、請求項1に記載のプレッツェル。

【公開番号】特開2009−118861(P2009−118861A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55763(P2009−55763)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【分割の表示】特願2005−139079(P2005−139079)の分割
【原出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【Fターム(参考)】