説明

被減容化処理材料及び被減容化処理材料により構成される安全靴又は作業靴

【課題】先芯などを用いて原型を強固に保つように製造されている安全靴又は作業靴を使用後に廃棄処分をするに際し、減容化処理を行うことにより、形状を変化させ残存容積量、及び残存量を減少できる作業靴及び安全靴並びにそれらの部品の提供。
【解決手段】減容化処理の結果、固形物の残存量が少ない又は残存容積量が少ない材料であるポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーから選ばれる材料による安全靴又は作業靴の先芯1、EVA又はTRから選ばれる熱可塑性樹脂による安全靴又は作業靴の靴底8及びアッパー5、減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が少ない材料である熱可塑性樹脂であるポリエチレンによりなる安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段、及びこれらを含む安全靴又は作業靴。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減容化処理材料により構成される安全靴又は作業靴に係る発明であって、特に原子力施設内で使用される靴として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
原子力処理施設内で発生したプラスチックなどの可燃性廃棄物については燃焼処理すること、燃焼処理により残った残渣を保管管理することが採用されている(特許文献1 特公昭57−52560公報、特許文献2 特許2865704号明細書、特許文献3 特開平10−104303号公報)。
安全靴又は作業靴は、当初より先芯などを用いて原型を強固に保つように製造されており、使用後に廃棄処分をする場合でも形状は安定した状態を保ち、変形させたり、燃焼させたりすることが難しいとされている。以下に示すとおり、本発明者らは、先芯の発明に関しては積極的に取り組んできており、先芯を用いた靴に関しては高い評価を受けてきた。
この内容を検討すると、これら安全靴又は作業靴は、使用後に廃棄処分をする場合でも形状は安定した状態を保ち、変形させたり、燃焼させたりすることが難しいことを示している(特許文献7 特開平11−56410号公報、特許第2969518号明細書、特許文献8 特開2001−252101号公報、特許文献9 特開2008−200904号公報、特許文献10 特開2008−200904号公報)。
このようなことを考えると、原子力処理施設で既に用いられた、作業靴及び安全靴は、従来他の廃棄物で行われているような燃焼処理を行い、その残渣を保管するということは困難ではないかと想定される。
通常管理区域内で作業しているから、放射性物質が含まれていることは想定しにくいが、放射性物質の漏洩を考慮して、使用済みとなった形態のまま、特定の容器内に入れて管理区域内で保管されてきたと考えられる。
原子力廃棄物施設の保管施設はその手狭なことが指摘されており、これを従来使用済みとなった形態のまま、特定の容器内に入れて管理区域内で保管されていることは現状では、好ましいことではない。
【0003】
原子力施設内で使用された、使用済みの作業靴又は安全靴は、焼却すること又は焼却できないにしても容積を減少することにより、使用済みの作業靴又は安全靴による焼却により残された灰などの残渣物とする、又は容積が減少した残存物とすることができれば、画期的なことである。
【0004】
原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴には前記の先芯のほかにも、作業靴や安全靴は靴底及び中しき並びにその上部のアッパーの部分には、従来合成ゴムや天然ゴムなどを用いるゴム組成物が利用されている。このゴム組成物には無機補強材を多く含んだ状態とし、これを成形加工した成形材料により作業靴や安全靴としている。ゴム組成物は燃焼により減容化処理すると、前記の無機補強材が残存することに加えて、硫黄を含む場合が多いので排ガスには脱硫操作を必要とするため、減容化処理すること自体が敬遠される。
また、ゴム組成物には無機化合物からなる着色剤が利用されてきた。この着色剤について減容化処理する場合に残存物が存在しない又は残存物が従来の場合と比較して少ない被減容化処理用着色剤が求められている。
作業靴や安全靴には着脱に便利なように開閉手段としてファスナ−が使用されている場合がある。これについては減容化処理により、残存物が存在しない又は残存物が従来の場合と比較して少なく、且つ構造材料としての特性を有する被減容化処理用開閉手段構成材料が求められている。
【0005】
原子力施設内で用いられた使用済みの安全靴又は作業靴について、前記の観点から、減容化処理又は燃焼処理を行うことに適した材料により製造することは、廃棄物の保管ということから見れば重要なことである。
【0006】
従来行なわれてきた履物の焼却処理についての最近の発明を挙げれば以下の通りである。
特開2009−39484号公報(特許文献4)。表地と裏地とクッション材からなるアッパーと、インソール表皮膜とインソールクッションとインソール芯からなるインソールと、ヒール芯と前記ヒール芯を覆うヒール表皮膜からなるヒールと、アウトソールを有する履物において、前記表地と裏地とインソール表皮膜とヒール表皮膜は、天然皮革または天然繊維の少なくともいずれかからなり、前記クッション材とインソールクッションは、天然ゴムの発泡材または天然フェルトの少なくともいずれかからなり、前記インソール芯は、紙からなり、前記ヒール芯は、木材またはコルクの少なくともいずれかからなり、前記アウトソールは、天然ゴム、天然皮革、天然フェルト、天然繊維から選ばれる少なくとも1種からなる、化石燃料に由来する素材を使用しないことによる、廃棄、焼却時にダイオキシンなどの有害物質を発生しない履物。
特開平11−253201号公報(特許文献5)。スチレン系エラストマー100重量部に対してポリオレフィン5〜120重量部添加混合した組成物であり、該組成物は実質的に炭素と水素とからなるので焼却しても有害ガスを発生しない。
実用新案登録第3073969号(特許文献6)。塩化ビニル系樹脂100重量部に対して炭酸カルシウムを10〜100重量部含んだ塩化ビニルシートを表皮材とし、芯材及びクッション材が炭酸カルシウムを含んだポリエチレンボードあるいはボール紙より構成されるスリッパであり、焼却処分時に、塩酸ガス(HCl)の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭57−52560公報
【特許文献2】特許2865704号明細書
【特許文献3】特開平10−104303号公報
【特許文献4】特開2009−39484号公報
【特許文献5】特開平11−253201号公報
【特許文献6】実用新案登録第3073969号
【特許文献7】特開平11−56410号公報、特許第2969518号明細書
【特許文献8】特開2001−252101号公報
【特許文献9】特開2008−200904号公報
【特許文献10】特開2008−200904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、先芯などを用いて原型を強固に保つように製造されている安全靴又は作業靴を使用後に廃棄処分をするに際し、減容化処理を行って形状を変形させ残存容積量を減少させたり、残存重量を減少させることができる安全靴又は作業靴の部品及びこれら部品を含む安全靴又は作業靴を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題について鋭意研究を進め以下の点を見出して前記課題を解決した。以上の結果より以下の発明が可能となる。
(1)減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料であるポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーから選ばれる材料により安全靴又は作業靴に用いられる先芯の製造原料とすること。
(2)減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料であるEVA又はTRから選ばれる熱可塑性樹脂により原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられる靴底およびアッパーの製造原料とすること。
(3)減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料である熱可塑性樹脂であるポリエチレンにより安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段の製造原料となること。
(4)(2)記載の安全靴又は作業靴の靴底およびアッパーに、(1)記載の安全靴又は作業靴に用いられる先芯および(3)記載の安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段を組み込んで構成することにより安全靴又は作業靴とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられる安全靴又は作業靴に用いられる減容化処理用構造材料、原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられる安全靴又は作業靴に用いられる減容化処理用構造材料により構成される作業靴及び安全靴を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の先芯を示す図
【図2】本発明の安全靴又は作業靴の製造方法を示す図
【図3】本発明の安全靴又は作業靴の製造方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴を減容化処理する結果、固形物として残存せず又は固形物の残存量が従来と比較して少なく、且つ構造材料の特性を有するポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーから選ばれることを特徴とする安全靴又は作業靴の被減容化処理用構造材料である。
【0013】
減容化処理をすることは、安全靴又は作業靴について容積をできるだけ減少させる処理をすることを指す。燃焼処理を行って残渣だけにすることができれば、もっとも有効な減容化処理である。このほかに燃焼処理が困難で、形状を変形して保管に必要な容積を減少できるものであっても、保管する場合には有効であるので、減容化処理に含まれる。
【0014】
前記の被減容化処理できる材料は作業靴及び安全靴の先芯として以下の材料は用いられていなかった。本発明では今回新たにポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーを用いることができ、これら材料を用いて先芯を形成して、先芯に要求される特性が得られることがわかった。次に、この製造された先芯を被減容化処理することを確かめた。
【0015】
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーについて材料としての特性を記載すると以下の通りである。
融点:ポリカーボネート樹脂250℃、ポリアミド樹脂176〜265℃、ABS樹脂80〜255℃、POM樹脂180℃、ジュラコン165℃、液晶ポリマー275℃以上
Tg:ポリカーボネート樹脂130〜155℃、ポリアミド樹脂37〜50℃、ABS樹脂80〜125℃、POM樹脂−56℃、液晶ポリマー50〜150℃
【0016】
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーを用いて先芯の製造方法は以下の通りである。
そして図1のように、先芯1の構造としては、足先部に装着して足先を保護するためのアーチ型の先芯本体部2と、該先芯本体部の下辺から内方に略円弧状に突出する下辺折曲部(スカート部)3とを有する。先芯1の成型方法の一例として、射出成型による成型方法がある。これは、合成樹脂を金型のランナーを介してゲートから金型キャビティ内に射出して先芯1を成型するものである。
【0017】
先芯の性能は、それを構成する材料の強度、弾性率及び耐衝撃性等の性能と先芯形状とによって左右される。材料物性の低い材料を用いても、JIS規格S種の規格を満足する先芯を得ることはできるが、肉厚が非常に厚いものになってしまい、樹脂化する最大の目的である軽量化を達成できず、また、デザイン的にも実用に適さないものしか作れない。
【0018】
安全靴の前後の重量バランスを改善し、歩きやすく且つ疲れにくい安全靴を提供する為には、現在用いられている鋼製先芯に対して先芯重量を少なくとも25%軽量化し、先芯1個当たり45g以下にすることが必要である。これ以上重いと、つま先が重く感じるため、歩きにくく、疲れやすくなる。より歩き易さ又は軽いという感触を得るには、40g以下であることが好ましく、25g〜40gの範囲がさらに好ましい。
【0019】
先芯重量を軽くするためには、先芯の肉厚を薄くすれば良いが、薄いと変形しやすくなるため、前記JISにおけるS種の規格に規定される性能を満足できなくなってしまう。該S種の規格に規定される性能とは、先芯単体の圧迫性能において、1100kgf負荷時の先芯の底面とアーチ後端の最も変位の大きい箇所との、すきまが、22mm以上であることであるが、これと同時に、実際問題としては、先芯が靴に組み込まれた安全靴の状態での性能も重要である。要求される安全靴の状態での性能は、1100kgf負荷時の安全靴における残存高さ(中底上面と先芯天板下面との間隙)が15mm以上であることである。
【0020】
本発明者らは鋭意検討の結果、安全靴の状態での残存高さは、靴の構造、特に靴底の構造に非常に影響を受けることを見出した。靴底の厚みが薄い場合は、1100kgf負荷時の先芯の沈み込みが小さいため、靴の状態での残存高さを確保しやすいが、履き心地が悪くなる。他方、靴底の厚みを厚くすれば、履き心地は良くなるが、その反面、1100kgf負荷時の先芯の沈み込みが大きくなり、靴の状態での残存高さを確保しにくくなる。特に、安全靴の履き心地をより向上させるために、最近の靴底の素材は柔らかくなってきており、益々、靴の状態での残存高さを確保しにくくなっている。
【0021】
これらのことを考慮すると、先芯単体の圧迫性能において、1100kgf負荷時の残存高さが、25mm以上であることが推奨される。好ましくは28mm以上、さらに好ましくは28mm〜35mmの範囲であれば、靴底の設計にバリエーションを持たせることができ、より履き心地のよい安全靴を提供することができる。
【0022】
靴の状態での残存高さを確保するための簡易な手段としては、先芯自身の高さを高くすることが考えられるが、むやみに高くすると、デザイン性(美感)を損なうばかりでなく、先芯重量が重くなってしまう。従って、先芯の高さを高くすることなく、先芯重量を45g以下に保ちながら、さらに、先芯単体の圧迫性能において、1100kgf負荷時の残存高さを25mm以上確保することが重要である。
【0023】
本発明に係る作業靴及び安全靴とその製造方法について、図2、3を用いて説明する。まず、木型4にアッパー体5を被せ、図2のように甲被6を裏返すようにめくり、甲被6と先裏7とが離間されるようにしておく。次に、先裏7の爪先部に先芯1を装着し、その先芯1の上から裏返した甲被6を元の形状に戻すようにして被せる。次に、アッパー体5の底面8に靴底を接着することで、本発明に係る作業靴及び安全靴を製造することができる。なお、靴底の成型については、アッパー体5の底面8に直接射出成型しても良く、または予め成型しておいた靴底をアッパー体5の底面8に接着剤等を用いて接着するようにしても構わない。
【0024】
ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーより、先芯の減容化は以下の通りである。
燃焼条件:焼却炉内での燃焼
残渣物量:従来安全靴又は作業靴の半分以下
温度条件:通常、800℃以上の高温を保持し、完全燃焼させないとダイオキシン発生という問題が生じるが、本発明に係る安全靴又は作業靴は、前記問題を生じるおそれがないため、800℃以下での燃焼であっても構わない。
【0025】
本発明は、減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料であるEVA又はTRから選ばれる熱可塑性樹脂により、原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられ底部及びその上部のアッパーの部分に用いることができる。この点いついて以下の項目を確認した。
ゴム組成物には合成ゴム又は天然ゴムを含む。合成ゴム又は天然ゴムには種々の材料を含む。そこで、減容化をする際に残存する物質であるガラス繊維及び各種の充填材を用いることはさけることが必要となる。
出来上がりの製品を用いるのでいるのであればそれを記載する。
EVAの材料の特性は以下の通りである。
融点:EVA74〜105℃
【0026】
EVA又はTRによる底部及びその上部のアッパーの製造方法は以下の通りである。
材料の特性は以下の通りである。
ゴム組成物には合成ゴム又は天然ゴムを含む。合成ゴム又は天然ゴムには種々の材料を含む。そこで、減容化をする際に残存する物質であるガラス繊維及び各種の充填材を用いることはさけることが必要となる。
【0027】
減容化の条件は以下の通りである。
燃焼条件:焼却炉内での燃焼
残渣物量:従来安全靴又は作業靴の半分以下
温度条件:通常、800℃以上の高温を保持し、完全燃焼させないとダイオキシン類発生という問題が生じるが、本発明に係る安全靴又は作業靴は、前記問題を生じるおそれがないため、800℃以下での燃焼であっても構わない。
【0028】
本発明の減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料である熱可塑性樹脂であるポリエチレンよりなる原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段は以下の通りである。
ポリエチレンの特性は以下の通りである。
融点:264℃
Tg:80℃
【0029】
ポリエチレンによる安全靴又は作業靴に用いられる締め付け固定手段は、ポリエチレン製のファスナーやボタンが適用できる。ファスナーの場合、例えば靴の甲被(アッパー)の一部に切り込みを入れ、その切り込み部分にファスナーを縫い付ければ良い。ボタンの場合は、例えばアッパーの一部を2部材で重ね合わせられるように形成し、その2部材の内の一方に係合用ボタンを設け、他方に非係合用ボタンを設けるようにすれば良い。また、ボタンの代わりにポリエチレン製のフックを適用しても構わない。
【0030】
ポリエチレンによる安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段の減容化の条件は以下の通りである。
燃焼条件:焼却炉内での燃焼
残渣物量:従来安全靴又は作業靴の半分以下
温度条件:通常、800℃以上の高温を保持し、完全燃焼させないとダイオキシン類発生という問題が生じるが、本発明に係る安全靴又は作業靴は、前記問題を生じるおそれがないため、800℃以下での燃焼であっても構わない。
【0031】
前記原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴の底部及びアッパーに、原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられる先芯および原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段を組み込んで原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴の製造方法は以下の通りである。
以下に、本発明に係る作業靴及び安全靴とその製造方法について、図2、3を用いて説明する。まず、木型4にアッパー体5を被せ、図2のように甲被6を裏返すようにめくり、甲被6と先裏7とが離間されるようにしておく。次に、先裏7の爪先部に先芯1を装着し、その先芯1の上から裏返した甲被6を元の形状に戻すようにして被せる。次に、アッパー体5の底面8に靴底を接着することで、本発明に係る作業靴及び安全靴を製造することができる。なお、靴底の成型については、アッパー体5の底面8に直接射出成型しても良く、または予め成型しておいた靴底をアッパー体5の底面8に接着剤等を用いて接着するようにしても構わない。
【0032】
原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴の減容化の条件は以下の通りである。
燃焼条件:焼却炉内での燃焼
残渣物量:従来安全靴又は作業靴の半分以下
温度条件:通常、800℃以上の高温を保持し、完全燃焼させないとダイオキシン類発生という問題が生じるが、本発明に係る安全靴又は作業靴は、前記問題を生じるおそれがないため、800℃以下での燃焼であっても構わない。
【0033】
前記の作業靴及び安全靴を被減容化処理した場合の容積は、当初と対比して半分以下と成る。
【実施例1】
【0034】
以下に、本発明に係る先芯とその成型方法について説明する。先芯の成型材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーを適用することが好ましい。そして図1のように、先芯1の構造としては、足先部に装着して足先を保護するためのアーチ型の先芯本体部2と、該先芯本体部の下辺から内方に略円弧状に突出する下辺折曲部(スカート部)3とを有する。
先芯1の成型方法の一例として、射出成型による成型方法がある。これは、合成樹脂を金型のランナーを介してゲートから金型キャビティ内に射出して先芯1を成型するものである。
【0035】
以下に、本発明に係る作業靴及び安全靴とその製造方法について、図2、3を用いて説明する。まず、木型4にアッパー体5を被せ、図2のように甲被6を裏返すようにめくり、甲被6と先裏7とが離間されるようにしておく。次に、先裏7の爪先部に先芯1を装着し、その先芯1の上から裏返した甲被6を元の形状に戻すようにして被せる。次に、アッパー体5の底面8に靴底を接着することで、本発明に係る作業靴及び安全靴を製造することができる。なお、靴底の成型については、アッパー体5の底面8に直接射出成型しても良く、または予め成型しておいた靴底をアッパー体5の底面8に接着剤等を用いて接着するようにしても構わない。
【実施例2】
【0036】
EVA及びTR(サーモラバー)の成形加工は、金型を用いて行う。金型を開いてそのキャビティ中に成形材料(EVAまたはTR)を載置し、そのあと金型を閉めてキャビティ内の成形材料を加熱しながら圧縮するといった圧縮成形によって成形できる。また、この方法以外にも成形材料を予め加熱して液状にしておき、これを金型のキャビティ内に流し込むといった射出成形によって成形しても構わない。
【実施例3】
【0037】
開閉手段の構造材料としての特性を有するポリエチレンについて
ポリエチレンによるファスナ及びボタンの成形加工法としては、上述した圧縮成形や射出成形を適用することができる。
【実施例4】
【0038】
前記原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴の靴底及びアッパーに、先芯および締め付け固定手段を組み込んで安全靴又は作業靴を製造する方法は以下の通りである。使用物質名を明らかにして以下を具体的に説明してください。
本発明に係る作業靴及び安全靴とその製造方法について、図2、3を用いて説明する。まず、木型4にアッパー体5を被せ、図2のように甲被6を裏返すようにめくり、甲被6と先裏7とが離間されるようにしておく。次に、先裏7の爪先部に先芯1を装着し、その先芯1の上から裏返した甲被6を元の形状に戻すようにして被せる。次に、アッパー体5の底面8に靴底を接着することで、本発明に係る作業靴及び安全靴を製造することができる。なお、靴底の成型については、アッパー体5の底面8に直接射出成型しても良く、または予め成型しておいた靴底をアッパー体5の底面8に接着剤等を用いて接着するようにしても構わない。
【実施例5】
【0039】
原子力施設内で使用される安全靴又は作業靴の減容化の条件は以下の通りである。
燃焼条件:焼却炉内での燃焼
残渣物量:従来安全靴又は作業靴の半分以下
温度条件:通常、800℃以上の高温を保持し、完全燃焼させないとダイオキシン類発生という問題が生じるが、本発明に係る安全靴又は作業靴は、前記問題を生じるおそれがないため、800℃以下での燃焼であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
安全靴又は作業靴以外の靴の場合にも適用可能である廃棄後の処理を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
1:先芯
2:先芯本体部
3:下辺折曲部(スカート部)
4:木型
5:アッパー体
6:甲被
7:先裏
8:底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料であるポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、POM樹脂、ジュラコン及び液晶ポリマーから選ばれる材料により構成されることを特徴とする安全靴又は作業靴に用いられる先芯。
【請求項2】
減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料であるEVA又はTRから選ばれる熱可塑性樹脂からなることを特徴とする安全靴又は作業靴に用いられる靴底及びアッパー。
【請求項3】
減容化処理の結果、固形物として残存しない材料又は固形物の残存容積量が従来用いられてきた材料と比較して少なくなる材料である熱可塑性樹脂であるポリエチレンによりなることを特徴とする安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段。
【請求項4】
前記請求項2記載の安全靴又は作業靴の靴底およびアッパーに、請求項1記載の安全靴又は作業靴に用いられる先芯および請求項3記載の安全靴又は作業靴に用いられ締め付け固定手段を組み込んで構成したことを特徴とする安全靴又は作業靴。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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