説明

裁断装置

【課題】裁断装置において、印刷シートの裁断時に発生する屑の収納効率を高める構造を得る。
【解決手段】複数の印刷部が印刷された印刷紙に対して、前記印刷紙の搬送経路に設けた直刃ユニット66,67による搬送方向に直交する方向の切断と、直刃ユニットより搬送先側に設けたスリッタユニット71,72による搬送方向の切断とにより、各印刷部を印刷紙から分離するよう裁断する裁断装置において、搬送経路に設けた直刃ユニットに対する直前搬送ローラ及び直後搬送ローラと、前記直後搬送ローラ及び前記スリッタの下方位置に設け前記各印刷部を裁断する際に発生する屑を受ける屑収納容器30と、前記直前搬送ローラ及び直後搬送ローラの直下に設け前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の端縁屑6を屑収納部32へ案内する屑落下案内板11と、スリッタユニットの直下に設け裁断された側縁屑7を屑収納部33へ送り出す屑誘導案内板15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷部が印刷された印刷紙を所望の大きさに裁断する裁断装置に関し、特に、印刷紙を裁断する際に発生する裁断屑を効率的に収納することができる裁断装置に関する。
裁断装置は、例えば、搬送された印刷紙(印刷シート)に対して搬送方向と直角な方向にカッター(直刃)で切断し、搬送方向に沿ってスリッタで切断することで、1枚の印刷紙(印刷シート)から複数の名刺やはがきを作成する際に使用される。
【背景技術】
【0002】
裁断装置としては、複数の名刺を印刷した所定の大きさの印刷シートを、印刷された各名刺の上下の端縁をカッター(直刃)で切断し、左右の側縁の切断及び各名刺の分離をスリッタで行う構造が、例えば、特許文献1に記載されている。すなわち、この裁断装置によれば、1枚の用紙に複数の名刺を行列状に印刷し、その後、印刷シートに印刷された各名刺の上下端縁及び左右側縁を裁断し、名刺を個々に分離して排出する。
そして、このような構造の裁断装置においては、図5に示すように、例えばカッターで切断された名刺の上下の端縁屑6、及び、スリッタで切断された左右の側縁屑7は、カッター及びスリッタの下方に配置された屑収納容器8内に収納され、屑収納容器8に屑が一杯になった時に屑を廃棄処分とすることが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−76495号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の裁断装置によれば、印刷シートから切断された不要用紙(上下の端縁屑6、左右の側縁屑7)は、同じ屑収納容器8に収容される。しかしながら、特に、印刷シートからハガキサイズを得る場合、左右側縁が約150mmと長く、用紙厚みが0.2mm以上と厚くなるにつれて、スリッタで切断後に用紙を下方に排出するための円形分離ガイドの影響を受けて、左右の側縁屑7に大きなカールがついて落下する現象が生じる。
そのため、カッター(直刃)で切断された印刷シートの上下の端縁屑6と混在して屑収納容器8に収納された場合、図5に示すように、端縁屑6と側縁屑7が鳥の巣状に縦横に重なって膨らんだ状態で積み上げられる。そのため、屑収納容器8が直ぐに満杯になり、屑を廃棄する回数が多くなるという不都合があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて提案されたもので、裁断装置において、搬送された印刷紙(印刷シート)に対して搬送方向と直角な方向にカッターで切断される端縁屑と、搬送方向に沿ってスリッタで切断される側縁屑とを別々に収納することで、屑の収納効率を高めることができる裁断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の請求項1に係る裁断装置は、複数の印刷部が印刷された印刷紙に対して、前記印刷紙の搬送経路に設けた直刃カッターによる印刷紙の搬送方向に直交する方向の切断と、前記直刃カッターより搬送先側に設けたスリッタによる印刷紙の搬送方向の切断とにより、前記各印刷部を印刷紙から分離するよう裁断する裁断装置において、次の構成を含むことを特徴としている。
前記搬送経路に設けた前記直刃カッターに対する直前搬送ローラ及び直後搬送ローラと、
前記直後搬送ローラ及び前記スリッタの下方位置に設け前記各印刷部を裁断する際に発生する印刷紙の屑を受ける屑収納部。
前記直前搬送ローラ及び直後搬送ローラの直下に設け前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の屑を前記屑収納部の手前側へ案内する屑落下案内板。
前記スリッタの直下に設けスリッタにより裁断された印刷紙の屑を前記屑収納部の前記手前側より奥側へ送り出す屑誘導案内板。
【0007】
請求項2の裁断装置は、請求項1において、前記屑収納部は、前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分と、前記スリッタにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分との間に、仕切版を形成したことを特徴としている。
【0008】
請求項3の裁断装置は、請求項1において、前記屑収納部は、前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分と、前記スリッタにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分とを、それぞれ異なる箱体で形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の裁断装置によれば、搬送された印刷紙(印刷シート)に対して搬送方向と直角な方向に直刃カッターで切断される端縁屑と、搬送方向に沿ってスリッタで切断される側縁屑とを別々に収納することで端縁屑と側縁屑とが縦横に重なって容積が増大することを防止し、屑を収納する容器内空間の有効利用を図ることにより屑の収納効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の裁断装置の外観の一例を示す斜視説明図である。
【図2】本発明の裁断装置の構成の概略を示す構造説明図である。
【図3】裁断装置により裁断される印刷シートの一例を示す平面説明図である。
【図4】(a)(b)は、本発明の裁断装置で使用される屑収納容器の一例を示すものであり、(a)は斜視説明図、(b)は断面説明図である。
【図5】(a)(b)は、従来の裁断装置で使用される屑収納容器の一例を示すものであり、(a)は斜視説明図、(b)は断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の裁断装置の実施態様の一例について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
裁断装置1は、図1に示すように一端側に用紙供給部となる給紙ユニット2を備え、給紙ユニット2から供給された印刷シートが内部において、搬送方向に直交する方向及び搬送方向でそれぞれ切断され、裁断紙が排紙ローラで排出され、他端側に装着された排紙トレイ内に積載される。給紙ユニット2上には、載置された複数の印刷シートを給紙ローラに押し付けるための用紙台2aが装着されている。
【0012】
印刷シート100は、例えば図3に示されるように、A4サイズの用紙において、複数の名刺(印刷部)N、N・・が長手方向(図の上下方向)に5列(第1列L1乃至第5列L5)及び左右方向に2行(第1行M1及び第2行M2)に配置するように印刷されている。
印刷シート100の周囲には、上余白部分102,下余白部分103,左余白部分104,右余白部分105がそれぞれ形成され、第1行M1と第2行M2の間には縦余白部分106が形成され、隣接する列の間には横余白部分121〜124が形成されている。
各名刺(印刷部)は、左側縁107及び側縁108、側縁109及び右側縁110と、上端縁111又は端縁112〜120で囲まれた領域であり、縦余白部分106及び横余白部分121〜124は、各名刺Nの側縁108、109又は端縁112〜119に隣接し、各名刺の文字、図形の印刷インキや着色料が隣接する名刺上にはみ出すことを防止する。また、縦余白部分106内の上側(搬送先側)に位置マーク101が印刷されている。位置マーク101の上端縁は、印刷シート100の第1列L1の名刺の上端縁111と一直線をなすようになっている。
【0013】
排紙トレイ10は、上側が開口するとともに、排出先の先方に傾斜する底面を有することで、排出された裁断紙の積載を整頓するようになっている。
コントロールパネル部5は、印刷シート100を所望位置で裁断するための各種情報を入力するものであり、テンキー等を有して構成されている。
【0014】
裁断装置1の内部には、図2に示すように、給紙ユニット2から印刷シートをピックアップする給紙ローラ61、印刷シートを搬送する上下一対の分離ローラ62,63、印刷シートの位置を検知する位置センサ80、位置センサ80の奥側に配され給紙された印刷シートの先端及び切断された切り屑残りを検出する先端センサ(図示せず)及び給紙された印刷シートの位置マーク101を検出するマークセンサ(図示せず)、印刷シートを搬送する上下一対のカッター前搬送ローラ(直刃カッターに対する直前搬送ローラ)64,65、印刷シートを搬送方向と直交する方向に切断する往復運動可能な直刃を有する直刃ユニット66,67、印刷シートを搬送する上下一対のカッター後搬送ローラ(直後搬送ローラ)68,69、直刃ユニット66,67より搬送先側に設置され印刷シートを搬送方向に切断するスリッタユニット(上刃)71及びスリッタユニット(下刃)72が設けられている。
【0015】
裁断装置1の排出側下方(カッター後搬送ローラ68,69及びスリッタユニット71,72の下方位置)には、印刷シートから各印刷部を裁断する際に発生する屑を受ける屑収納容器30が設置されている。また、直刃ユニット66,67の下方には印刷シートから裁断された端縁屑6を屑収納容器30に導く屑落下案内板11が、スリッタユニット71,72の下方には印刷シートから裁断された側縁屑7を上面が開口された屑収納容器30に導く屑誘導案内板15がそれぞれ形成されている。
【0016】
屑収納容器30は、搬送方向に交差する方向に端縁屑6を積載可能とする屑収納部32と、搬送方向に沿った方向に側縁屑7を積載可能とする屑収納部33とに仕切る仕切板31を有している。また、仕切板31は、屑収納容器30から突出する部分に屑収納部33側に傾斜する傾斜延設片31aを備えて形成されている。
【0017】
屑落下案内板11は、カッター前搬送ローラ(直前搬送ローラ)64,65及びカッター後搬送ローラ(直後搬送ローラ)68,69の直下に設け、図2の表裏方向に長尺状となる平板で形成された傾斜部11aを備えることで、直刃ユニット66,67により搬送方向に直交する方向に裁断された印刷紙の端縁屑6を屑収納容器30の手前側の屑収納部32へ案内する。
【0018】
屑誘導案内板15は、スリッタユニット71,72の直下に設け、図2の表裏方向に長尺状となる平板で形成された傾斜部15aを備えることで、スリッタユニット71,72により搬送方向に裁断された印刷紙の側縁屑7を屑収納容器30の屑収納部32より奥側の屑収納部33へ送り出す。
屑誘導案内板15の傾斜部15aの先端位置は、屑収納部33の端部位置に対応させるとともに、屑収納容器30の仕切板31の傾斜延設片31aの先端位置より搬送先側に位置するようにすることで側縁屑7の裏面側に接触し、カールした側縁屑7が屑収納部33に裏返って落下するように仕切板31との距離を持たせて懐を深くした位置関係に配置している。その結果、側縁屑7を屑収納部33の長手方向に沿うように揃えて落下させるように送り出すことができる。
【0019】
前記屑収納容器30は、直刃ユニット66,67により裁断された印刷シートの端縁屑6を収納する屑収納部32と、スリッタユニット71,72により裁断された印刷シートの側縁屑7を収納する屑収納部33とを一つの容器に仕切板31を設けることで形成したが、それぞれ異なる箱体で形成するものであってもよい。
【0020】
次に、裁断装置1を使用して印刷シートから裁断紙を得る場合の手順について説明する。裁断する印刷シートとしては、図3に示した、名刺が行列状に印刷された印刷紙を使用した場合について説明する。
給紙ユニット2の用紙台2a上へ供給された複数の印刷シートは、一対の側板2bの位置を調節することで用紙台2aの中央位置に配置され、給紙ローラ61でピックアップされて上下一対の分離ローラ62,63間に搬送され、更に上下一対の搬送ローラ64,65間に搬送され、直刃ユニット66,67へ供給される。
そして、各種センサ(位置センサ80・先端センサ・マークセンサ)からの信号により、直刃ユニット66,67へ供給される印刷シートの第1列の名刺の上端縁を検出して上端縁検出信号を出力し、直刃ユニット66,67が、前記上端縁検出信号により制御され、直刃ユニット66,67により印刷シートを第1列の名刺の上端縁に沿って裁断する。印刷シートにおいて、直刃ユニット66,67により搬送方向に直交する方向で切断された部位は端縁屑6となり、屑落下案内板11に沿って落下することで屑収納部32内に導かれる。
【0021】
次に、第1列の名刺の下端縁を直刃ユニット66,67により裁断し、その後、順次、各列の上端縁及び下端縁を裁断し、それにより名刺の各列を順次裁断分離する。すなわち、印刷シート100における上余白部分102,下余白部分103,横余白部分121〜124は、直刃ユニット66,67により搬送方向に直交する方向で切断されて端縁屑6となり、屑落下案内板11に沿って落下することで屑収納部32内に導かれる。
【0022】
続いて、カッター後搬送ローラ68,69が直刃ユニット66,67において裁断分離された名刺の各列をスリッタユニット71,72へ順次供給し、スリッタユニット71,72が有する複数組の円形上刃及び円形下刃により、カッター後搬送ローラ68,69から供給された各列の各名刺の右側縁及び左側縁を切断し名刺を個々に分離して裁断紙とし、排紙ローラ3,4を介して排紙トレイ10へ排出する。すなわち、印刷シート100における左余白部分104,右余白部分105,縦余白部分106は、スリッタユニット71,72により搬送方向で切断されて側縁屑7となり、屑誘導案内板15に沿って落下することで屑収納部33内に導かれる。
【0023】
上述した裁断装置の構造によれば、屑落下案内板11及び屑誘導案内板15を設けることで、給紙ユニット2から搬送された印刷シートに対して搬送方向と直角な方向に直刃ユニット66,67で切断される端縁屑6と、搬送方向に沿ってスリッタユニット71,72で切断される側縁屑7とを屑収納容器30の屑収納部32と屑収納部33とで別々に収納可能とすることで、端縁屑6と側縁屑7とが縦横に重なって容積が増大することを防止し、屑を収納する容器内空間の有効利用を図ることにより屑の収納効率を高めることができ、屑収納容器30に貯まった屑を処分する回数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0024】
1…裁断装置、 2…給紙ユニット、 3…排紙ローラ、 4…排紙ローラ、 6…端縁屑、 7…側縁屑、 10…排紙トレイ、 11…屑落下案内板、 11a…傾斜部、 15…屑誘導案内板、 15a…傾斜部、 30…屑収納容器、 31…仕切板、 31a…傾斜延設片、 32…屑収納部、 33…屑収納部、 64,65…カッター前搬送ローラ(直前搬送ローラ)、 66,67…直刃ユニット(直刃カッター)、 68,69…カッター後搬送ローラ(直後搬送ローラ)、 71,72…スリッタユニット、 100…印刷シート(印刷紙)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷部が印刷された印刷紙に対して、前記印刷紙の搬送経路に設けた直刃カッターによる印刷紙の搬送方向に直交する方向の切断と、前記直刃カッターより搬送先側に設けたスリッタによる印刷紙の搬送方向の切断とにより、前記各印刷部を印刷紙から分離するよう裁断する裁断装置において、
前記搬送経路に設けた前記直刃カッターに対する直前搬送ローラ及び直後搬送ローラと、
前記直後搬送ローラ及び前記スリッタの下方位置に設け前記各印刷部を裁断する際に発生する印刷紙の屑を受ける屑収納部と、
前記直前搬送ローラ及び直後搬送ローラの直下に設け前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の屑を前記屑収納部の手前側へ案内する屑落下案内板と、
前記スリッタの直下に設けスリッタにより裁断された印刷紙の屑を前記屑収納部の前記手前側より奥側へ送り出す屑誘導案内板と、
を備えたことを特徴とする裁断装置。
【請求項2】
前記屑収納部は、前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分と、前記スリッタにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分との間に、仕切版を形成した請求項1に記載の裁断装置。
【請求項3】
前記屑収納部は、前記直刃カッターにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分と、前記スリッタにより裁断された印刷紙の屑を収納する部分とを、それぞれ異なる箱体で形成した請求項1に記載の裁断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−5613(P2011−5613A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154047(P2009−154047)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】