補強部材付きパレット
【課題】桟にフォークが当たって破損するのを抑制できる。
【解決手段】桁部1間がフォーク挿入部2となった合成樹脂で一体に成形されたパレット3である。隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4と、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4を平面視で重ならない位置に形成する。上の桟4a間又は/及び下の桟4b間に補強部材6を配設固着する。
【解決手段】桁部1間がフォーク挿入部2となった合成樹脂で一体に成形されたパレット3である。隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4と、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4を平面視で重ならない位置に形成する。上の桟4a間又は/及び下の桟4b間に補強部材6を配設固着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強部材付きパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂で一体に成形されたパレットが知られている。このパレットは一体成形であるため、生産性に優れているという特徴がある。この一体成形のパレットにおいて、フォーク挿入部の上面部、下面部をそれぞれ桟で形成するに当たり、上金型と下金型をそれぞれ上方、下方に型抜きして金型構造を簡略化するため、隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上下別々に成形した半割の上部材と下部材とを結合して形成するパレットにおいて、フォーク挿入部内に断面ロ字状をした補強枠を嵌め込むものが特許文献2により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−294435号公報
【特許文献2】実開昭50−136153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のように、合成樹脂の一体成形のパレットにおいて、金型構造を簡略化するため隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成するものにおいては、下の隣り合う桟間には上の桟より巾広の隙間が形成され、また、上の隣り合う桟間には下の桟より巾広の隙間が形成される。
【0006】
このため、桟の巾が狭くなり、フォークリフトのフォーク先端が桟に当たると、フォークの先端で桟が押し曲げられ、桟に亀裂が生じたり、割れたりする等の破損のおそれがある。
【0007】
また、上記特許文献2に示された補強枠付きパレットは、上部材と下部材を結合するものであるから、製造に当たっては、上部材、下部材をそれぞれ別々に成形する工程、次に、上部材と下部材との間に補強枠を介在させる工程、次に、補強部材を介在させた状態で上部材と下部材とを結合する結合工程が必要となり、製造工程が多く、生産性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、合成樹脂の一体成形のパレットにおいて、フォークが当たることで桟の変形又は破損を防止できる補強部材付きパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の補強部材付きパレットは、桁部1間がフォーク挿入部2となった合成樹脂で一体に成形されたパレット3であって、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4aと、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4cを平面視で重ならない位置に形成し、上の桟4a間又は/及び下の桟4c間に補強部材6を配設固着して成ることを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることで、上の桟4a間又は/及び下の桟4b間を補強部材6で埋めることができ、上の桟4a又は/及び下の桟4cにフォーク先端が当たって変形しようとしても、フォーク先端が当たった上の桟4a又は/及び下の桟4cの奥側に存在する補強部材6により上の桟4a又は/及び下の桟4cの変形又は破損を防止できる。
【0011】
また、桁部1間がフォーク挿入部2となった合成樹脂で一体に成形された4方差し片面使用パレット3であって、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4aと、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4cを平面視で重ならない位置に形成し、下の桟4c間の隙間5に補強部材6を配設固着して成ることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
このような構成とすることで、下の桟4cと下の桟4cとの間の隙間5を補強部材6で埋めることができ、下の桟4cにフォーク先端が当たって下の桟4cが押されて変形しようとしても、フォーク先端が当たった下の桟4cの奥側に存在する補強部材6により下の桟4cの変形を防止できる。
【0013】
また、補強部材6の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも弱いことが好ましい。
【0014】
すなわち、載置物を載置してフォークで持ち上げた際にパレット3に曲げ応力が作用したり、あるいは、パレット3の上面部10又は下面部11に部分的に外力が作用することで、パレット3が撓み変形することがある。この場合、補強部材6の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも強いと、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形せず、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるおそれがある。しかしながら、上記のように、補強部材6の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くすることで、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形し、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるのを回避できる。
【0015】
また、複数の隙間5にそれぞれ配設される複数の補強部材6が連結部7で連結してあることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、連結部7で連結した複数の補強部材6を一つのブロックとして取り扱うことができ、複数の補強部材6を一度に複数の隙間5に嵌め込むことができる。
【0017】
また、フォーク挿入部2の入り口側に位置する下の桟4cが、フォーク挿入部2に面する部分が入り口側程下となるように下り傾斜した傾斜桟4c1として形成され、該フォーク挿入部2の入り口側に位置する傾斜桟4c1と、この傾斜桟4c1と奥側に隣接する桟4cとの間の隙間5に補強部材6が配設固着してあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、下の桟4cと下の桟4cとの間の隙間5を補強部材6で埋めることができ、下の桟4cにフォーク先端が当たって下の桟4cが押されて変形しようとしても、フォーク先端が当たった下の桟4cの奥側に存在する補強部材6により下の桟4cの変形又は破損を防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のように構成したので、請求項1記載の発明においては、上の桟間又は/及び下の桟間を補強部材で埋めることができ、上の桟又は/及び下の桟にフォーク先端が当たって変形しようとしても、フォーク先端が当たった上の桟又は/及び下の桟の奥側に存在する補強部材により上の桟又は/及び下の桟の変形又は破損を防止できる。これにより合成樹脂の一体成形のパレットにおける巾の狭い上の桟又は/及び下の桟がフォークの先端で押し曲げられて破損するのを抑制できる。
【0020】
また、請求項2記載の発明においては、4方差し片面使用パレットにおける下の桟間の隙間を補強部材で埋め、下の桟にフォーク先端が当たっても下の桟の奥側に位置する補強部材で補強して該下の桟の変形又は破損を防止できる。これにより合成樹脂の一体成形のパレットにおける巾の狭い下の桟がフォークの先端で押し曲げられて破損するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の補強部材付きパレットを示し、図3のX−X線の断面図である。
【図2】同上の分解断面図である。
【図3】同上の斜視図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上の下面図である。
【図6】同上の図3のY−Y線の断面図である。
【図7】同上の図1の要部拡大断面図である。
【図8】同上の要部の上方から見た分解斜視図である。
【図9】同上の要部の下方から見た分解斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明に用いる補強部材ブロックの他の実施形態を示す上方から見た斜視図である。
【図13】同上の下方から見た斜視図である。
【図14】同上のパレットを製造する金型装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0023】
パレット3は合成樹脂の射出成形により一体に成形されたもので、上面部10と下面部11とが複数の筒状をした桁部1により一体に連結され、桁部1間がフォーク挿入部2となっている。
【0024】
添付図面に示す実施形態には、パレット3として4方差し片面使用パレット3を例として示している。
【0025】
添付図面においては、上面部10と下面部11とが、周囲のコーナ部同士を連結する4個の隅の桁部1と、上面部10と下面部11の周囲の4辺の各中間部同士を連結する4個の中間の桁部1と、上面部10と下面部11の各中央部同士を連結する1個の中央の桁部1とにより一体に連結してある。
【0026】
上記各桁部1間の空間がフォーク挿入部2を形成しており、上記のようにコーナ部の4個の桁部1と、中間の4個の桁部1と、中央の1個の桁部1とが配置されていることから、隣接する桁部1間に形成されるフォーク挿入部2としては、前後方向のフォーク挿入部2と左右方向のフォーク挿入部2が平面視で井の字状に交差するように形成され、4方差しのパレット3を構成している。また、図1、図2、図5、図6に示すように、下面部11の前後方向のフォーク挿入部2と左右方向のフォーク挿入部2が交差する部位は上下に開口する下開口部12となっている。したがって、添付図面に示す実施形態におけるパレット3は上面部10が載置面となった片面使用のパレット3である。
【0027】
上面部10に、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4が形成してあり、下面部11に、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4が形成してある。
【0028】
上記上の桟4としては、中間の桁部1の上端部と中央の桁部1の上端部とを連結する桟4aと、隅部の桁部1の上端部と中間の桁部1の上端部とを連結する桟4bがあり、上記下の桟4としては、中間の桁部1の下端部と中央の桁部1の下端部とを連結する桟4cと、隅部の桁部1の下端部と中間の桁部1の下端部とを連結する桟4dがある。
【0029】
また、上面部10のフォーク挿入部2が縦横に交差している部分の上方に位置する部位(つまり上面部10の下開口部12の真上の部分)には複数の桟13が形成してあり、更に、上面部10、下面部11の各桁部1に対応する部位には桁部桟14が形成してある。
【0030】
ここで、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4と、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4のうち、中間の桁部1と中央の桁部1とを上下において連結する複数の桟4a、4cは、添付図面に示すように、隣接する桁部1間に並列するように架け渡して形成してあると共に、並列した桟4a同士、並列した桟4c同士はそれぞれ分離独立している(つまり並列した桟4a同士は連結桟で相互に連結してなく、また、並列した桟4c同士は連結桟で相互に連結してない)。そして、この中間の桁部1と中央の桁部1とを上下において連結する複数の桟4a、4cは、図2に示すように、平面視で重ならない位置に形成してある。つまり、並列した上の桟4aと桟4aとの間の隙間5の真下に下の桟4cが位置し、並列した下の桟4cと桟4cとの間の隙間5の真上に上の桟4aが位置するように形成している。
【0031】
このように、中間の桁部1と中央の桁部1を上下において連結する複数の桟4a、4cを、平面視で重ならない位置に形成したのは、図14に示すように、中間の桁部1と中央の桁部1との間に形成されるフォーク挿入部2の部分を上方に型抜きする上金型23と下方に型抜きする下金型24とで形成して金型構造を簡略化するためである。
【0032】
なお、添付図面に示す実施形態で上の桟4a、下の桟4cは断面U字状、又は断面略E字状をしており、内部に補強リブ16を一体に形成し、更に、上下に貫通する水抜き孔17を形成している。
【0033】
下の桟4cのうち入り口側に位置する下の桟4cが、図1、図2に示すように、フォーク挿入部2に面する部分(上面)が傾斜した傾斜桟4c1として形成してある。この傾斜桟4c1の傾斜面22は、入り口側程下となるように下り傾斜している。
【0034】
一方、添付図面に示す実施形態では、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4と、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4のうち、隅部の桁部1と中間の桁部1とを上下において連結する複数の桟4b、4dは、並列した桟4b同士、並列した桟4d同士をそれぞれ連結桟15で連結している。
【0035】
ここで、隅部の桁部1と中間の桁部1とを上下において連結する複数の桟4b、4dは、並列した桟4b同士、並列した桟4d同士をそれぞれ連結桟15で連結したのは以下の理由による。すなわち、図14に示すように、隅部の桁部1と中間の桁部1間に形成されるフォーク挿入部2の部分は、側方に型抜きする側金型25を挿入することで形成できるので、該フォーク挿入部2の上面部10を上方に型抜きする上金型23で形成し、下面部11を下方に型抜きする下金型24で形成することができ、この結果、並列した桟4b同士、並列した桟4d同士をそれぞれ連結桟15で連結することができる。
【0036】
なお、図14において矢印は、それぞれ上金型23、下金型24、側金型25の型開き方向を示している。
【0037】
上記のようなパレットを成形するに当たって金型を簡略化する構造とする技術は既に、特開平1−294435号公報等により周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
そして、上記のように金型構造を簡略化するため中間の桁部1と中央の桁部1とを上面側及び下面側において連結する複数の上下の桟4a、4cを平面視で重ならない位置に形成すると、上下の桟4a、4cの巾が狭くなるが、この上下の桟4a、桟4cにはフォークリフトのフォークの先端が当たり易く、フォークの先端がこの巾の狭い上下の桟4a、桟4cに当たると、フォークの先端で上下の桟4a、桟4cが押し曲げられ、上下の桟4a、桟4cに亀裂が生じたり、割れたりする等の破損のおそれがある。
【0039】
そこで、本発明においては、上の桟4a間の隙間5又は/及び下の桟4c間の隙間5に補強部材6を配設固着するようになっている。
【0040】
図1、図2、図5、図6、図7には下の桟4c間の隙間5に補強部材6を配設固着した例を示している。また、図10には上の桟4a間の隙間5及び下の桟4c間の隙間5にそれぞれ補強部材6を配設固着した例を示している。更に、図11には上の桟4a間の隙間5に補強部材6を配設固着した例を示している。
【0041】
補強部材6は合成樹脂、金属等により形成してある。
【0042】
図7、図8、図9に示す下の桟4c間に配設固着する補強部材6(以下補強部材6bという)は、下方に開口する断面U字状に形成してあり、隙間5にぴったりと嵌り込むように、長さが下の桟4c間の隙間5の長さとほぼ同じ長さで、且つ、巾が上記隙間5の巾とほぼ同じ巾で、且つ、高さが上記隙間5の上下長さと同じ長さの細長い形状をしてあり、断面U字状の内部に補強リブ18が一体に形成してある。
【0043】
なお、上記実施形態では補強部材6bが隙間5にぴったり嵌り込む例を説明したが、隙間5にぴったり嵌り込まなくてもよい。つまり、隙間5の長さより短かったり、上下長さより低くてもよい。
【0044】
また、添付図面に示す実施形態では複数の補強部材6bを連結部7で一体に連結して補強部材ブロックAとして構成してある。
【0045】
連結部7は隣り合う補強部材6bの上下方向の端部間を連結するもので、添付図面に示す実施形態では隣り合う補強部材6b下端部間を板状の連結部7で連結する例を示しており、板状の連結部7には水抜き孔19が設けてある。
【0046】
各補強部材6bの挿入方向の先端コーナ部分(図7、図8に示す実施形態では上端部のコーナ部分)に傾斜面9を形成している。
【0047】
また、補強部材6bには長手方向と直交する方向で且つ側方に向けて突出する係止突起20を形成しており、図7、図8においては補強部材6bの側面の挿入方向の先端部に設けてあり、この係止突起20の挿入方向の面が上記した先端コーナ部分の傾斜面9の一部を構成している。
【0048】
上記構成の補強部材ブロックAは、パレット3の外側から複数の隙間5に補強部材6bを嵌め込んで固着するものである。
【0049】
ここで、下の桟4cの側面のフォーク挿入部2側の端部には図7、図8に示すように被係止部21となる切欠き段部が形成してあり、また、下の桟4cのフォーク挿入部2と反対側の端部(下面)には図9に示すように上記板状の連結部7が嵌り込む凹部8を形成してある。
【0050】
そして、補強部材ブロックAの各補強部材6bを外側(下側)から複数の隙間5に一度の嵌め込みでそれぞれ嵌め込み、各係止突起20をそれぞれ被係止部21に係止すると共に、板状の連結部7を凹部8に嵌め込む。これにより、各補強部材6bを一度の嵌め込み操作で、それぞれ複数の隙間5に嵌めこんだ状態で固着する。この場合、図7に示すように、連結部7が凹部8に嵌り込むことで、補強部材6bが隙間5からフォーク挿入部2内に飛び出すのが防止され、また、係止突起20をそれぞれ被係止部21に係止することで、補強部材6bが隙間5から外方に抜けるのが防止される。また、嵌め込み挿入する際、傾斜面9を設けてあるので、スムーズに嵌め込むことができる。なお、図7に示す実施形態では、連結部7を凹部8に嵌め込むことで、補強部材6bの下端面、連結部7の下面、下の桟4c下面が面一となるように構成してあるが、補強部材6bの下端面が連結部7の下面、下の桟4c下面よりも上に若干引き込んだ位置であってもよく、また、補強部材6bの下端面が連結部7の下面、下の桟4c下面よりも若干突出した位置であってもよい。
【0051】
上記のように、補強部材6bを隙間5に嵌め込んで配設固着することで隙間5が埋められる。このように、下の桟4c間の隙間5に補強部材6bが嵌め込んであるので、補強部材6bにより巾の狭い下の桟4cを下の桟4cの巾方向において補強でき、フォーク挿入部2にフォークを挿入する際、フォーク先端が下の桟4cに当たっても巾の狭い下の桟4cが変形又は破損しにくくなる。
【0052】
なお、添付図面に示す実施形態は、補強部材ブロックAの各補強部材6bを外側(下側)から複数の隙間5にそれぞれ嵌め込む例で説明しているが、フォーク挿入部2内から補強部材6bを嵌め込む構成としてもよい。
【0053】
図10には上の桟4a間の隙間5及び下の桟4c間の隙間5にそれぞれ補強部材6(以下補強部材6aという)を配設固着した例を示している。
【0054】
本実施形態において、下の桟4c間の隙間5に補強部材6bを配設固着することについては、前述の実施形態と同じなので、説明は省略し、上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着することについて以下説明する。
【0055】
図10に示す上の桟4a間の隙間5に配設固着される補強部材6aは、複数(図10では3個)の補強部材6aの下端部間を板状の連結部7で連結してブロック化(補強部材ブロックAとして形成)した例を示している。
【0056】
本実施形態では補強部材6aに係止突起20を設けてあり、また、補強部材6a及び連結部7にそれぞれ水抜き孔19を設けてある。ここで、図の実施形態では補強部材6aは下方に開口する断面U字状をした例を示しており、補強部材6aの上面に水抜き孔19を設けてある。
【0057】
また、上の桟4aには被係止部21、凹部8を設けてある。
【0058】
そして、補強部材ブロックAをフォーク挿入部2内に入れて、複数の補強部材6aを一度の嵌め込みでそれぞれ上の桟4a間の隙間5に嵌め込み、各補強部材6aに設けた係止突起20をそれぞれ上の桟4aに設けた被係止部21に係止すると共に、板状の連結部7を凹部8に嵌め込むことで、上の桟4a間の隙間5に補強部材6aが配設固着されて上の桟4a間の隙間5が埋められる。
【0059】
図10の実施形形態では、上下の桟4a、4c間の隙間5にそれぞれ補強部材6(補強部材6a、6b)が嵌め込んであるので、補強部材6により巾の狭い上の桟4a、下の桟4cを、それぞれ巾方向において補強でき、フォーク挿入部2にフォークを挿入する際、フォーク先端が上の桟4aや下の桟4cに当たっても巾の狭い上の桟4aや下の桟4cが変形又は破損しにくくなる。
【0060】
なお、添付図面に示す実施形態は、補強部材ブロックAの各補強部材6aをフォーク挿入部2内から嵌め込む例で説明しているが、外側(上側)から補強部材6bを嵌め込む構成としてもよい。
【0061】
図11には上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着した例を示している。
【0062】
本実施形態における上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着する構成は、前述の図10における上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着する例と同じなので、説明は省略する。
【0063】
ところで、載置物を載置してフォークで持ち上げた際にパレット3に曲げ応力が作用したり、あるいは、パレット3の上面部10又は下面部11に部分的に外力が作用することで、パレット3が撓み変形することがある。
【0064】
この場合、補強部材6の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも強いと、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形せず、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるおそれがある。
【0065】
そこで、本発明においては、これを回避するため、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くすることが好ましい。
【0066】
このように、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度(又は補強部材6が係合している桟4の曲げ強度)よりも弱くすることで、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形し、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるのを回避できる。
【0067】
図12、図13には、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度をパレット3の曲げ強度よりも弱くするに当り、形状的にパレット3の曲げ強度よりも弱くする例を示している。
【0068】
すなわち、図12、図13に示すように、補強部材6の高さ方向(図12のH方向)の一部を、切欠して高さ方向切欠部30を設けて補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を弱くすることが考えられる。あるいは、図示していないが補強部材6の高さ方向の一部の肉厚を薄くしたり、あるいは、図示していないが補強部材6に補強用のリブを設け、この補強用のリブの一部の高さを低くして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0069】
また、図12、図13に示すように、補強部材6の巾方向(図12のW方向)の一部を巾の狭い巾狭部31として補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を弱くすることが考えられる。あるいは、図示していないが補強部材6の巾方向の一部の肉厚を薄くして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0070】
また、図12に示すように、補強部材6の上面部を切欠して上面切欠部32として補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を弱くすることが考えられる。この場合、上面切欠部32の面積よりも切欠されていない上面部の面積を広くするのが好ましい。また、図示していないが補強部材6の上面部の一部の肉厚を薄くして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0071】
また、図示していないが、補強部材6に補強用のリブを設ける場合、一部のリブの本数を少なくして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、補強部材6の曲げ強度を形状的にパレット3の曲げ強度よりも弱くする例を示したが、物性的にパレット3の曲げ強度よりも弱くしてもよい。
【0073】
つまり、補強部材6の一部又は全部を、パレット3よりも曲げ強度の弱い材料で形成することで、物性的にパレット3の曲げ強度よりも弱くすることができる。
【0074】
また、補強部材ブロックAにおいて、連結部7部分の曲げ強度・衝撃強度をパレット3より弱くすることも好ましい。この場合、曲げ強度の弱い部分を、他の分部と材料を変えて、二色成形で成形してもよい。
【0075】
この場合、連結部7の曲げ強度を弱くすると、補強部材ブロックAの曲げ強度を弱くして、パレット3が撓み変形する際、補強部材ブロックAがパレット3の撓み変形に追随して変形することは前述の通りである。しかも、これに加え、フォークの先端が当った時に連結部7が破損することがあるので、連結部7部分の衝撃強度をパレット3より弱くすることで、ある程度の衝撃を吸収又は逃がして連結部7が破損するのを防止できる。
【0076】
連結部7部分の曲げ強度・衝撃強度をパレット3より弱くするには、形状的に切欠したり、あるいは補強部材6よりも肉厚を薄くしたりすることが考えられる。また、物性的にパレット3より曲げ強度の弱い材料で形成してもよい。
【0077】
ところで、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くするための上記した各手段、連結部7部分の曲げ強度・衝撃強度をパレット3より弱くする各手段は、それぞれ単独であっても、異なる手段をいくつか組合わせてもよい。
【0078】
上記の図12、図13に示す実施形態の補強部材6(補強部材ブロックA)は、下の桟4c間の隙間5に配設固着するための補強部材6b(補強部材ブロックA)を示している、さらに、この実施形態の補強部材6b(補強部材ブロックA)は、フォーク挿入部2内から下の桟4c間の隙間5に嵌めこむタイプとなっており、補強部材6の上面部間を連結部7で連結している。この例の場合、補強部材6の下端部が挿入方向の先端部となるので、下端部のコーナ部分に傾斜面9を形成して下の桟4b間の隙間5に容易に嵌めこむことができるようにしている。
【0079】
なお、図12、図13に示す実施形態においては連結部7の下面から係止突起20が下方に突出して形成してあり、この係止突起20は下の桟4cの上面に形成した被係止部21を兼用する水抜き孔19に係止される。
【0080】
もちろん、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くするための上記各手段を、上の桟4a間の隙間5に配設固着するための補強部材6a(補強部材ブロックA)に適用してもよい。この上の桟4a間の隙間5に配設固着するための補強部材6a(補強部材ブロックA)に適用する場合、前述のように、補強部材ブロックAの各補強部材6aをフォーク挿入部2内から嵌め込む場合、あるいは、外側(上側)から補強部材6bを嵌め込む場合のいずれの場合に適用してもよい。
【0081】
また、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも強くなければよいので、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度と、パレット3の曲げ強度を同じにしても、パレット3の撓み変形に、補強部材6(補強部材ブロックA)を追随させることが可能である。
【0082】
また、補強部材6や連結部7を硬質合成樹脂とエラストマーなどの軟質合成樹脂との二色成形により成形し、補強部材6の上面又は/及び下面、連結部7の上面又は/及び下面を軟質合成樹脂で形成して滑り止め面としてもよい。
【0083】
この場合、例えば、上の桟4a間の隙間5に補強部材6a(補強部材ブロックA)を嵌め込んだ状態で、パレット3の上面に上記滑り止め面が露出するように構成することで、荷物の滑り止め効果がある。この場合、滑り止め面はパレット3の上面と面一又は上方にやや突出するように形成するのが好ましい。
【0084】
また、上の桟4a間の隙間5に補強部材6a(補強部材ブロックA)を嵌め込んだ状態で、フォーク挿入部2に滑り止め面が露出するように構成することで、フォーク挿入部2にフォークを挿入してパレット3を持ち上げた場合、フォークが滑り止め面に当るため、フォークがパレット3に対して滑るのが防止され、フォークからパレット3が滑り落ち等のトラブルを防止できる。
【0085】
なお、上記実施形態では、パレット3として4方差し片面使用パレットの例を示したが、2方差し片面使用パレットでもよく、また、4方差し両面使用のパレットでもよく、更に、2方差し両面使用のパレットでもよいのはもちろんである。
【0086】
また、添付図面に示す実施形態では、複数の補強部材6を連結部7で一体に連結して補強部材ブロックAとして構成した例で説明したが、連結部7で連結していない補強部材6単体を隙間5に嵌め込み固着してもよい。
【0087】
なお、隙間5に嵌め込んで配設した補強部材6を桟4に固着するに当たって、実施形態のように係止による固着だけに限定されるものではなく、無理嵌めによる固着、接着による固着、熱溶着や超音波溶着等の溶着による固着、ボルトなどの固着具を用いた固着等種々の固着形態が採用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 桁部
2 フォーク挿入部
3 パレット
4 桟
5 隙間
6 補強部材
7 連結部
8 凹部
9 傾斜面
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強部材付きパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂で一体に成形されたパレットが知られている。このパレットは一体成形であるため、生産性に優れているという特徴がある。この一体成形のパレットにおいて、フォーク挿入部の上面部、下面部をそれぞれ桟で形成するに当たり、上金型と下金型をそれぞれ上方、下方に型抜きして金型構造を簡略化するため、隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成することが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、上下別々に成形した半割の上部材と下部材とを結合して形成するパレットにおいて、フォーク挿入部内に断面ロ字状をした補強枠を嵌め込むものが特許文献2により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−294435号公報
【特許文献2】実開昭50−136153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のように、合成樹脂の一体成形のパレットにおいて、金型構造を簡略化するため隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成するものにおいては、下の隣り合う桟間には上の桟より巾広の隙間が形成され、また、上の隣り合う桟間には下の桟より巾広の隙間が形成される。
【0006】
このため、桟の巾が狭くなり、フォークリフトのフォーク先端が桟に当たると、フォークの先端で桟が押し曲げられ、桟に亀裂が生じたり、割れたりする等の破損のおそれがある。
【0007】
また、上記特許文献2に示された補強枠付きパレットは、上部材と下部材を結合するものであるから、製造に当たっては、上部材、下部材をそれぞれ別々に成形する工程、次に、上部材と下部材との間に補強枠を介在させる工程、次に、補強部材を介在させた状態で上部材と下部材とを結合する結合工程が必要となり、製造工程が多く、生産性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、合成樹脂の一体成形のパレットにおいて、フォークが当たることで桟の変形又は破損を防止できる補強部材付きパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の補強部材付きパレットは、桁部1間がフォーク挿入部2となった合成樹脂で一体に成形されたパレット3であって、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4aと、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4cを平面視で重ならない位置に形成し、上の桟4a間又は/及び下の桟4c間に補強部材6を配設固着して成ることを特徴とする。
【0010】
このような構成とすることで、上の桟4a間又は/及び下の桟4b間を補強部材6で埋めることができ、上の桟4a又は/及び下の桟4cにフォーク先端が当たって変形しようとしても、フォーク先端が当たった上の桟4a又は/及び下の桟4cの奥側に存在する補強部材6により上の桟4a又は/及び下の桟4cの変形又は破損を防止できる。
【0011】
また、桁部1間がフォーク挿入部2となった合成樹脂で一体に成形された4方差し片面使用パレット3であって、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4aと、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4cを平面視で重ならない位置に形成し、下の桟4c間の隙間5に補強部材6を配設固着して成ることを特徴とするものであってもよい。
【0012】
このような構成とすることで、下の桟4cと下の桟4cとの間の隙間5を補強部材6で埋めることができ、下の桟4cにフォーク先端が当たって下の桟4cが押されて変形しようとしても、フォーク先端が当たった下の桟4cの奥側に存在する補強部材6により下の桟4cの変形を防止できる。
【0013】
また、補強部材6の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも弱いことが好ましい。
【0014】
すなわち、載置物を載置してフォークで持ち上げた際にパレット3に曲げ応力が作用したり、あるいは、パレット3の上面部10又は下面部11に部分的に外力が作用することで、パレット3が撓み変形することがある。この場合、補強部材6の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも強いと、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形せず、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるおそれがある。しかしながら、上記のように、補強部材6の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くすることで、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形し、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるのを回避できる。
【0015】
また、複数の隙間5にそれぞれ配設される複数の補強部材6が連結部7で連結してあることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、連結部7で連結した複数の補強部材6を一つのブロックとして取り扱うことができ、複数の補強部材6を一度に複数の隙間5に嵌め込むことができる。
【0017】
また、フォーク挿入部2の入り口側に位置する下の桟4cが、フォーク挿入部2に面する部分が入り口側程下となるように下り傾斜した傾斜桟4c1として形成され、該フォーク挿入部2の入り口側に位置する傾斜桟4c1と、この傾斜桟4c1と奥側に隣接する桟4cとの間の隙間5に補強部材6が配設固着してあることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、下の桟4cと下の桟4cとの間の隙間5を補強部材6で埋めることができ、下の桟4cにフォーク先端が当たって下の桟4cが押されて変形しようとしても、フォーク先端が当たった下の桟4cの奥側に存在する補強部材6により下の桟4cの変形又は破損を防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記のように構成したので、請求項1記載の発明においては、上の桟間又は/及び下の桟間を補強部材で埋めることができ、上の桟又は/及び下の桟にフォーク先端が当たって変形しようとしても、フォーク先端が当たった上の桟又は/及び下の桟の奥側に存在する補強部材により上の桟又は/及び下の桟の変形又は破損を防止できる。これにより合成樹脂の一体成形のパレットにおける巾の狭い上の桟又は/及び下の桟がフォークの先端で押し曲げられて破損するのを抑制できる。
【0020】
また、請求項2記載の発明においては、4方差し片面使用パレットにおける下の桟間の隙間を補強部材で埋め、下の桟にフォーク先端が当たっても下の桟の奥側に位置する補強部材で補強して該下の桟の変形又は破損を防止できる。これにより合成樹脂の一体成形のパレットにおける巾の狭い下の桟がフォークの先端で押し曲げられて破損するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の補強部材付きパレットを示し、図3のX−X線の断面図である。
【図2】同上の分解断面図である。
【図3】同上の斜視図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上の下面図である。
【図6】同上の図3のY−Y線の断面図である。
【図7】同上の図1の要部拡大断面図である。
【図8】同上の要部の上方から見た分解斜視図である。
【図9】同上の要部の下方から見た分解斜視図である。
【図10】本発明の他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明に用いる補強部材ブロックの他の実施形態を示す上方から見た斜視図である。
【図13】同上の下方から見た斜視図である。
【図14】同上のパレットを製造する金型装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0023】
パレット3は合成樹脂の射出成形により一体に成形されたもので、上面部10と下面部11とが複数の筒状をした桁部1により一体に連結され、桁部1間がフォーク挿入部2となっている。
【0024】
添付図面に示す実施形態には、パレット3として4方差し片面使用パレット3を例として示している。
【0025】
添付図面においては、上面部10と下面部11とが、周囲のコーナ部同士を連結する4個の隅の桁部1と、上面部10と下面部11の周囲の4辺の各中間部同士を連結する4個の中間の桁部1と、上面部10と下面部11の各中央部同士を連結する1個の中央の桁部1とにより一体に連結してある。
【0026】
上記各桁部1間の空間がフォーク挿入部2を形成しており、上記のようにコーナ部の4個の桁部1と、中間の4個の桁部1と、中央の1個の桁部1とが配置されていることから、隣接する桁部1間に形成されるフォーク挿入部2としては、前後方向のフォーク挿入部2と左右方向のフォーク挿入部2が平面視で井の字状に交差するように形成され、4方差しのパレット3を構成している。また、図1、図2、図5、図6に示すように、下面部11の前後方向のフォーク挿入部2と左右方向のフォーク挿入部2が交差する部位は上下に開口する下開口部12となっている。したがって、添付図面に示す実施形態におけるパレット3は上面部10が載置面となった片面使用のパレット3である。
【0027】
上面部10に、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4が形成してあり、下面部11に、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4が形成してある。
【0028】
上記上の桟4としては、中間の桁部1の上端部と中央の桁部1の上端部とを連結する桟4aと、隅部の桁部1の上端部と中間の桁部1の上端部とを連結する桟4bがあり、上記下の桟4としては、中間の桁部1の下端部と中央の桁部1の下端部とを連結する桟4cと、隅部の桁部1の下端部と中間の桁部1の下端部とを連結する桟4dがある。
【0029】
また、上面部10のフォーク挿入部2が縦横に交差している部分の上方に位置する部位(つまり上面部10の下開口部12の真上の部分)には複数の桟13が形成してあり、更に、上面部10、下面部11の各桁部1に対応する部位には桁部桟14が形成してある。
【0030】
ここで、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4と、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4のうち、中間の桁部1と中央の桁部1とを上下において連結する複数の桟4a、4cは、添付図面に示すように、隣接する桁部1間に並列するように架け渡して形成してあると共に、並列した桟4a同士、並列した桟4c同士はそれぞれ分離独立している(つまり並列した桟4a同士は連結桟で相互に連結してなく、また、並列した桟4c同士は連結桟で相互に連結してない)。そして、この中間の桁部1と中央の桁部1とを上下において連結する複数の桟4a、4cは、図2に示すように、平面視で重ならない位置に形成してある。つまり、並列した上の桟4aと桟4aとの間の隙間5の真下に下の桟4cが位置し、並列した下の桟4cと桟4cとの間の隙間5の真上に上の桟4aが位置するように形成している。
【0031】
このように、中間の桁部1と中央の桁部1を上下において連結する複数の桟4a、4cを、平面視で重ならない位置に形成したのは、図14に示すように、中間の桁部1と中央の桁部1との間に形成されるフォーク挿入部2の部分を上方に型抜きする上金型23と下方に型抜きする下金型24とで形成して金型構造を簡略化するためである。
【0032】
なお、添付図面に示す実施形態で上の桟4a、下の桟4cは断面U字状、又は断面略E字状をしており、内部に補強リブ16を一体に形成し、更に、上下に貫通する水抜き孔17を形成している。
【0033】
下の桟4cのうち入り口側に位置する下の桟4cが、図1、図2に示すように、フォーク挿入部2に面する部分(上面)が傾斜した傾斜桟4c1として形成してある。この傾斜桟4c1の傾斜面22は、入り口側程下となるように下り傾斜している。
【0034】
一方、添付図面に示す実施形態では、隣接する桁部1を上面側において連結する上の桟4と、隣接する桁部1を下面側において連結する下の桟4のうち、隅部の桁部1と中間の桁部1とを上下において連結する複数の桟4b、4dは、並列した桟4b同士、並列した桟4d同士をそれぞれ連結桟15で連結している。
【0035】
ここで、隅部の桁部1と中間の桁部1とを上下において連結する複数の桟4b、4dは、並列した桟4b同士、並列した桟4d同士をそれぞれ連結桟15で連結したのは以下の理由による。すなわち、図14に示すように、隅部の桁部1と中間の桁部1間に形成されるフォーク挿入部2の部分は、側方に型抜きする側金型25を挿入することで形成できるので、該フォーク挿入部2の上面部10を上方に型抜きする上金型23で形成し、下面部11を下方に型抜きする下金型24で形成することができ、この結果、並列した桟4b同士、並列した桟4d同士をそれぞれ連結桟15で連結することができる。
【0036】
なお、図14において矢印は、それぞれ上金型23、下金型24、側金型25の型開き方向を示している。
【0037】
上記のようなパレットを成形するに当たって金型を簡略化する構造とする技術は既に、特開平1−294435号公報等により周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
そして、上記のように金型構造を簡略化するため中間の桁部1と中央の桁部1とを上面側及び下面側において連結する複数の上下の桟4a、4cを平面視で重ならない位置に形成すると、上下の桟4a、4cの巾が狭くなるが、この上下の桟4a、桟4cにはフォークリフトのフォークの先端が当たり易く、フォークの先端がこの巾の狭い上下の桟4a、桟4cに当たると、フォークの先端で上下の桟4a、桟4cが押し曲げられ、上下の桟4a、桟4cに亀裂が生じたり、割れたりする等の破損のおそれがある。
【0039】
そこで、本発明においては、上の桟4a間の隙間5又は/及び下の桟4c間の隙間5に補強部材6を配設固着するようになっている。
【0040】
図1、図2、図5、図6、図7には下の桟4c間の隙間5に補強部材6を配設固着した例を示している。また、図10には上の桟4a間の隙間5及び下の桟4c間の隙間5にそれぞれ補強部材6を配設固着した例を示している。更に、図11には上の桟4a間の隙間5に補強部材6を配設固着した例を示している。
【0041】
補強部材6は合成樹脂、金属等により形成してある。
【0042】
図7、図8、図9に示す下の桟4c間に配設固着する補強部材6(以下補強部材6bという)は、下方に開口する断面U字状に形成してあり、隙間5にぴったりと嵌り込むように、長さが下の桟4c間の隙間5の長さとほぼ同じ長さで、且つ、巾が上記隙間5の巾とほぼ同じ巾で、且つ、高さが上記隙間5の上下長さと同じ長さの細長い形状をしてあり、断面U字状の内部に補強リブ18が一体に形成してある。
【0043】
なお、上記実施形態では補強部材6bが隙間5にぴったり嵌り込む例を説明したが、隙間5にぴったり嵌り込まなくてもよい。つまり、隙間5の長さより短かったり、上下長さより低くてもよい。
【0044】
また、添付図面に示す実施形態では複数の補強部材6bを連結部7で一体に連結して補強部材ブロックAとして構成してある。
【0045】
連結部7は隣り合う補強部材6bの上下方向の端部間を連結するもので、添付図面に示す実施形態では隣り合う補強部材6b下端部間を板状の連結部7で連結する例を示しており、板状の連結部7には水抜き孔19が設けてある。
【0046】
各補強部材6bの挿入方向の先端コーナ部分(図7、図8に示す実施形態では上端部のコーナ部分)に傾斜面9を形成している。
【0047】
また、補強部材6bには長手方向と直交する方向で且つ側方に向けて突出する係止突起20を形成しており、図7、図8においては補強部材6bの側面の挿入方向の先端部に設けてあり、この係止突起20の挿入方向の面が上記した先端コーナ部分の傾斜面9の一部を構成している。
【0048】
上記構成の補強部材ブロックAは、パレット3の外側から複数の隙間5に補強部材6bを嵌め込んで固着するものである。
【0049】
ここで、下の桟4cの側面のフォーク挿入部2側の端部には図7、図8に示すように被係止部21となる切欠き段部が形成してあり、また、下の桟4cのフォーク挿入部2と反対側の端部(下面)には図9に示すように上記板状の連結部7が嵌り込む凹部8を形成してある。
【0050】
そして、補強部材ブロックAの各補強部材6bを外側(下側)から複数の隙間5に一度の嵌め込みでそれぞれ嵌め込み、各係止突起20をそれぞれ被係止部21に係止すると共に、板状の連結部7を凹部8に嵌め込む。これにより、各補強部材6bを一度の嵌め込み操作で、それぞれ複数の隙間5に嵌めこんだ状態で固着する。この場合、図7に示すように、連結部7が凹部8に嵌り込むことで、補強部材6bが隙間5からフォーク挿入部2内に飛び出すのが防止され、また、係止突起20をそれぞれ被係止部21に係止することで、補強部材6bが隙間5から外方に抜けるのが防止される。また、嵌め込み挿入する際、傾斜面9を設けてあるので、スムーズに嵌め込むことができる。なお、図7に示す実施形態では、連結部7を凹部8に嵌め込むことで、補強部材6bの下端面、連結部7の下面、下の桟4c下面が面一となるように構成してあるが、補強部材6bの下端面が連結部7の下面、下の桟4c下面よりも上に若干引き込んだ位置であってもよく、また、補強部材6bの下端面が連結部7の下面、下の桟4c下面よりも若干突出した位置であってもよい。
【0051】
上記のように、補強部材6bを隙間5に嵌め込んで配設固着することで隙間5が埋められる。このように、下の桟4c間の隙間5に補強部材6bが嵌め込んであるので、補強部材6bにより巾の狭い下の桟4cを下の桟4cの巾方向において補強でき、フォーク挿入部2にフォークを挿入する際、フォーク先端が下の桟4cに当たっても巾の狭い下の桟4cが変形又は破損しにくくなる。
【0052】
なお、添付図面に示す実施形態は、補強部材ブロックAの各補強部材6bを外側(下側)から複数の隙間5にそれぞれ嵌め込む例で説明しているが、フォーク挿入部2内から補強部材6bを嵌め込む構成としてもよい。
【0053】
図10には上の桟4a間の隙間5及び下の桟4c間の隙間5にそれぞれ補強部材6(以下補強部材6aという)を配設固着した例を示している。
【0054】
本実施形態において、下の桟4c間の隙間5に補強部材6bを配設固着することについては、前述の実施形態と同じなので、説明は省略し、上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着することについて以下説明する。
【0055】
図10に示す上の桟4a間の隙間5に配設固着される補強部材6aは、複数(図10では3個)の補強部材6aの下端部間を板状の連結部7で連結してブロック化(補強部材ブロックAとして形成)した例を示している。
【0056】
本実施形態では補強部材6aに係止突起20を設けてあり、また、補強部材6a及び連結部7にそれぞれ水抜き孔19を設けてある。ここで、図の実施形態では補強部材6aは下方に開口する断面U字状をした例を示しており、補強部材6aの上面に水抜き孔19を設けてある。
【0057】
また、上の桟4aには被係止部21、凹部8を設けてある。
【0058】
そして、補強部材ブロックAをフォーク挿入部2内に入れて、複数の補強部材6aを一度の嵌め込みでそれぞれ上の桟4a間の隙間5に嵌め込み、各補強部材6aに設けた係止突起20をそれぞれ上の桟4aに設けた被係止部21に係止すると共に、板状の連結部7を凹部8に嵌め込むことで、上の桟4a間の隙間5に補強部材6aが配設固着されて上の桟4a間の隙間5が埋められる。
【0059】
図10の実施形形態では、上下の桟4a、4c間の隙間5にそれぞれ補強部材6(補強部材6a、6b)が嵌め込んであるので、補強部材6により巾の狭い上の桟4a、下の桟4cを、それぞれ巾方向において補強でき、フォーク挿入部2にフォークを挿入する際、フォーク先端が上の桟4aや下の桟4cに当たっても巾の狭い上の桟4aや下の桟4cが変形又は破損しにくくなる。
【0060】
なお、添付図面に示す実施形態は、補強部材ブロックAの各補強部材6aをフォーク挿入部2内から嵌め込む例で説明しているが、外側(上側)から補強部材6bを嵌め込む構成としてもよい。
【0061】
図11には上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着した例を示している。
【0062】
本実施形態における上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着する構成は、前述の図10における上の桟4a間の隙間5に補強部材6aを配設固着する例と同じなので、説明は省略する。
【0063】
ところで、載置物を載置してフォークで持ち上げた際にパレット3に曲げ応力が作用したり、あるいは、パレット3の上面部10又は下面部11に部分的に外力が作用することで、パレット3が撓み変形することがある。
【0064】
この場合、補強部材6の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも強いと、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形せず、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるおそれがある。
【0065】
そこで、本発明においては、これを回避するため、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くすることが好ましい。
【0066】
このように、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度(又は補強部材6が係合している桟4の曲げ強度)よりも弱くすることで、曲げ応力が作用してパレット3が撓み変形する際、補強部材6がパレット3の撓み変形に追随して変形し、桟4間に嵌め込んだ補強部材6がパレット3の桟4間から外れるのを回避できる。
【0067】
図12、図13には、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度をパレット3の曲げ強度よりも弱くするに当り、形状的にパレット3の曲げ強度よりも弱くする例を示している。
【0068】
すなわち、図12、図13に示すように、補強部材6の高さ方向(図12のH方向)の一部を、切欠して高さ方向切欠部30を設けて補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を弱くすることが考えられる。あるいは、図示していないが補強部材6の高さ方向の一部の肉厚を薄くしたり、あるいは、図示していないが補強部材6に補強用のリブを設け、この補強用のリブの一部の高さを低くして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0069】
また、図12、図13に示すように、補強部材6の巾方向(図12のW方向)の一部を巾の狭い巾狭部31として補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を弱くすることが考えられる。あるいは、図示していないが補強部材6の巾方向の一部の肉厚を薄くして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0070】
また、図12に示すように、補強部材6の上面部を切欠して上面切欠部32として補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を弱くすることが考えられる。この場合、上面切欠部32の面積よりも切欠されていない上面部の面積を広くするのが好ましい。また、図示していないが補強部材6の上面部の一部の肉厚を薄くして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0071】
また、図示していないが、補強部材6に補強用のリブを設ける場合、一部のリブの本数を少なくして曲げ強度を弱くしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、補強部材6の曲げ強度を形状的にパレット3の曲げ強度よりも弱くする例を示したが、物性的にパレット3の曲げ強度よりも弱くしてもよい。
【0073】
つまり、補強部材6の一部又は全部を、パレット3よりも曲げ強度の弱い材料で形成することで、物性的にパレット3の曲げ強度よりも弱くすることができる。
【0074】
また、補強部材ブロックAにおいて、連結部7部分の曲げ強度・衝撃強度をパレット3より弱くすることも好ましい。この場合、曲げ強度の弱い部分を、他の分部と材料を変えて、二色成形で成形してもよい。
【0075】
この場合、連結部7の曲げ強度を弱くすると、補強部材ブロックAの曲げ強度を弱くして、パレット3が撓み変形する際、補強部材ブロックAがパレット3の撓み変形に追随して変形することは前述の通りである。しかも、これに加え、フォークの先端が当った時に連結部7が破損することがあるので、連結部7部分の衝撃強度をパレット3より弱くすることで、ある程度の衝撃を吸収又は逃がして連結部7が破損するのを防止できる。
【0076】
連結部7部分の曲げ強度・衝撃強度をパレット3より弱くするには、形状的に切欠したり、あるいは補強部材6よりも肉厚を薄くしたりすることが考えられる。また、物性的にパレット3より曲げ強度の弱い材料で形成してもよい。
【0077】
ところで、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くするための上記した各手段、連結部7部分の曲げ強度・衝撃強度をパレット3より弱くする各手段は、それぞれ単独であっても、異なる手段をいくつか組合わせてもよい。
【0078】
上記の図12、図13に示す実施形態の補強部材6(補強部材ブロックA)は、下の桟4c間の隙間5に配設固着するための補強部材6b(補強部材ブロックA)を示している、さらに、この実施形態の補強部材6b(補強部材ブロックA)は、フォーク挿入部2内から下の桟4c間の隙間5に嵌めこむタイプとなっており、補強部材6の上面部間を連結部7で連結している。この例の場合、補強部材6の下端部が挿入方向の先端部となるので、下端部のコーナ部分に傾斜面9を形成して下の桟4b間の隙間5に容易に嵌めこむことができるようにしている。
【0079】
なお、図12、図13に示す実施形態においては連結部7の下面から係止突起20が下方に突出して形成してあり、この係止突起20は下の桟4cの上面に形成した被係止部21を兼用する水抜き孔19に係止される。
【0080】
もちろん、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度を、パレット3の曲げ強度よりも弱くするための上記各手段を、上の桟4a間の隙間5に配設固着するための補強部材6a(補強部材ブロックA)に適用してもよい。この上の桟4a間の隙間5に配設固着するための補強部材6a(補強部材ブロックA)に適用する場合、前述のように、補強部材ブロックAの各補強部材6aをフォーク挿入部2内から嵌め込む場合、あるいは、外側(上側)から補強部材6bを嵌め込む場合のいずれの場合に適用してもよい。
【0081】
また、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度が、パレット3の曲げ強度よりも強くなければよいので、補強部材6(補強部材ブロックA)の曲げ強度と、パレット3の曲げ強度を同じにしても、パレット3の撓み変形に、補強部材6(補強部材ブロックA)を追随させることが可能である。
【0082】
また、補強部材6や連結部7を硬質合成樹脂とエラストマーなどの軟質合成樹脂との二色成形により成形し、補強部材6の上面又は/及び下面、連結部7の上面又は/及び下面を軟質合成樹脂で形成して滑り止め面としてもよい。
【0083】
この場合、例えば、上の桟4a間の隙間5に補強部材6a(補強部材ブロックA)を嵌め込んだ状態で、パレット3の上面に上記滑り止め面が露出するように構成することで、荷物の滑り止め効果がある。この場合、滑り止め面はパレット3の上面と面一又は上方にやや突出するように形成するのが好ましい。
【0084】
また、上の桟4a間の隙間5に補強部材6a(補強部材ブロックA)を嵌め込んだ状態で、フォーク挿入部2に滑り止め面が露出するように構成することで、フォーク挿入部2にフォークを挿入してパレット3を持ち上げた場合、フォークが滑り止め面に当るため、フォークがパレット3に対して滑るのが防止され、フォークからパレット3が滑り落ち等のトラブルを防止できる。
【0085】
なお、上記実施形態では、パレット3として4方差し片面使用パレットの例を示したが、2方差し片面使用パレットでもよく、また、4方差し両面使用のパレットでもよく、更に、2方差し両面使用のパレットでもよいのはもちろんである。
【0086】
また、添付図面に示す実施形態では、複数の補強部材6を連結部7で一体に連結して補強部材ブロックAとして構成した例で説明したが、連結部7で連結していない補強部材6単体を隙間5に嵌め込み固着してもよい。
【0087】
なお、隙間5に嵌め込んで配設した補強部材6を桟4に固着するに当たって、実施形態のように係止による固着だけに限定されるものではなく、無理嵌めによる固着、接着による固着、熱溶着や超音波溶着等の溶着による固着、ボルトなどの固着具を用いた固着等種々の固着形態が採用できる。
【符号の説明】
【0088】
1 桁部
2 フォーク挿入部
3 パレット
4 桟
5 隙間
6 補強部材
7 連結部
8 凹部
9 傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂で一体に成形されたパレットであって、隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成し、上の桟間又は/及び下の桟間に補強部材を配設固着して成ることを特徴とする補強部材付きパレット。
【請求項2】
桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂で一体に成形された4方差し片面使用パレットであって、隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成し、下の桟間の隙間に補強部材を配設固着して成ることを特徴とする補強部材付きパレット。
【請求項3】
補強部材の曲げ強度が、パレットの曲げ強度よりも弱いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の補強部材付きパレット。
【請求項4】
複数の隙間にそれぞれ配設される複数の補強部材が連結部で連結してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の補強部材付きパレット。
【請求項5】
フォーク挿入部の入り口側に位置する下の桟が、フォーク挿入部に面する部分が入り口側程下となるように下り傾斜した傾斜桟として形成され、該フォーク挿入部の入り口側に位置する傾斜桟と、この傾斜桟と奥側に隣接する桟との間の隙間に補強部材が配設固着してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の補強部材付きパレット。
【請求項1】
桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂で一体に成形されたパレットであって、隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成し、上の桟間又は/及び下の桟間に補強部材を配設固着して成ることを特徴とする補強部材付きパレット。
【請求項2】
桁部間がフォーク挿入部となった合成樹脂で一体に成形された4方差し片面使用パレットであって、隣接する桁部を上面側において連結する上の桟と、隣接する桁部を下面側において連結する下の桟を平面視で重ならない位置に形成し、下の桟間の隙間に補強部材を配設固着して成ることを特徴とする補強部材付きパレット。
【請求項3】
補強部材の曲げ強度が、パレットの曲げ強度よりも弱いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の補強部材付きパレット。
【請求項4】
複数の隙間にそれぞれ配設される複数の補強部材が連結部で連結してあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の補強部材付きパレット。
【請求項5】
フォーク挿入部の入り口側に位置する下の桟が、フォーク挿入部に面する部分が入り口側程下となるように下り傾斜した傾斜桟として形成され、該フォーク挿入部の入り口側に位置する傾斜桟と、この傾斜桟と奥側に隣接する桟との間の隙間に補強部材が配設固着してあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の補強部材付きパレット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−12112(P2012−12112A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294402(P2010−294402)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
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