説明

製パン機及び製パン機の運転方法

【課題】焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止し得る製パン機及びその製パン機の運転方法を提供する。
【解決手段】軸側連結部及び羽根側連結部Fcが挿通状態にあり、且つ、軸側連結部と羽根側連結部Fcとの周方向における相対位置関係が相対回転許容角度範囲内の抜け止め相対位置関係にあるときに、軸側連結部と羽根側連結部Fcとの回転軸心方向での相対離間を阻止するように互いに干渉する軸側抜け止め部Se、羽根側抜け止め部Feが、それぞれ軸側連結部、羽根側連結部Fcに設けられた製パン機であって、制御手段が、最終の発酵工程の開始時点以後に、軸側連結部と羽根側連結部Fcとの周方向における相対位置関係が抜け止め相対位置関係になるように、回転軸Sを回転させるべく回転駆動手段を作動させる抜け止め処理を実行可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱手段を有する加熱室と、回転軸を底部から突出する状態で備え且つ加熱室内に着脱自在に配置されるパンケースと、加熱室内に配置されたパンケースの回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、回転軸に着脱自在に取り付けられて回転軸と一体回転する混練羽根と、加熱手段及び回転駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、制御手段が、回転駆動手段を作動させてパンケース内の製パン材料を混練する混練工程の後、加熱手段を加熱作動させて製パン材料を発酵させる発酵工程を少なくとも1回実行し、さらに、加熱手段を加熱作動させて製パン材料を焼き上げる焼成工程を実行するように構成された製パン機、及び、その製パン機の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる製パン機は、製パン材料を収容したパンケースを加熱室内に装着して、混練工程、少なくとも1回の発酵工程、焼成工程を順次実行させることにより、パンを焼き上げるものである。
そして、このような製パン機では、回転軸、混練羽根にそれぞれ軸側連結部、羽根側連結部が設けられている。それら軸側連結部及び羽根側連結部は、回転軸心周りに沿う周方向における相対位置関係が所定の挿通許容位置関係にあるときに、回転軸心方向での相対接近で一方が他方に挿通可能で、且つ、一方が他方に挿通された挿通状態で回転軸心と同心状となるように構成されている。
そのような挿通状態では、回転軸と混練羽根とが、所定の相対回転許容角度範囲内で回転軸心周りに相対回転自在であり、しかも、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が相対回転許容角度範囲内の抜け止め相対位置関係にあるときには、軸側連結部に設けられた軸側抜け止め部と羽根側連結部に設けられた羽根側抜け止め部とが互いに干渉する状態となって、混練羽根が回転軸から抜けるのが防止されるように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、上記特許文献1では、軸側連結部に対する羽根側連結部の周方向での相対位置が、相対回転許容角度範囲の端部にあるときに、軸側連結部と羽根側連結部とが抜け止め相対位置関係で位置するように構成されていた。つまり、混練羽根を回転させて製パン材料を捏ねるべく、回転軸を回転駆動すると、軸側連結部に対する羽根側連結部の周方向での相対位置が相対回転許容角度範囲の端部に位置することから、混練工程等、混練羽根を回転駆動してパンケース内の製パン材料を捏ねる際には、軸側連結部と羽根側連結部とが抜け止め相対位置関係に位置するように構成されていた。そして、パン材料を捏ねる際に、例えば、製パン材料が混練羽根とパンケースの底面との間に入り込んで、混練羽根を持ち上げるように作用する力が働いても、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止されるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−94754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、発酵工程やその発酵工程の後の焼成工程では、パンケース内の製パン材料が膨張するので、その製パン材料の膨張により混練羽根が回転軸に対して回転させられることにより、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれる場合がある。
一方、一般に、最終の発酵工程以後では、混練羽根を回転駆動してパンケース内の製パン材料を捏ねることは行われないため、軸側連結部と羽根側連結部とが抜け止め相対位置関係に復帰することはない。
従って、焼き上がったパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けて、その混練羽根がパンに残ったままで、パンがパンケースから取り出される場合がある。そのため、焼き上がったパンから混練羽根を取り出す作業が必要となり、手間がかかり改善が望まれていた。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止し得る製パン機及びその製パン機の運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る製パン機は、加熱手段を有する加熱室と、回転軸を底部から突出する状態で備え且つ前記加熱室内に着脱自在に配置されるパンケースと、前記加熱室内に配置された前記パンケースの前記回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記回転軸に着脱自在に取り付けられて前記回転軸と一体回転する混練羽根と、前記加熱手段及び前記回転駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記回転駆動手段を作動させて前記パンケース内の製パン材料を混練する混練工程の後、前記加熱手段を加熱作動させて前記製パン材料を発酵させる発酵工程を少なくとも1回実行し、さらに、前記加熱手段を加熱作動させて前記製パン材料を焼き上げる焼成工程を実行するように構成され、前記回転軸、前記混練羽根にそれぞれ軸側連結部、羽根側連結部が、前記回転軸の回転軸心方向での相対接近により一方が他方に挿通可能で、且つ、一方が他方に挿通された挿通状態で前記回転軸と同心状となるように設けられ、前記軸側連結部及び前記羽根側連結部が、前記回転軸心周りに沿う周方向における相対位置関係が所定の挿通許容位置関係にあるときに前記挿通状態になるのが許容され、且つ、前記挿通状態において、前記回転軸心を中心とする中心角で定義される相対回転許容角度範囲内で相対回転自在に構成され、前記軸側連結部及び前記羽根側連結部が前記挿通状態にあり、且つ、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記周方向における相対位置関係が前記相対回転許容角度範囲内の抜け止め相対位置関係にあるときに、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記回転軸心方向での相対離間を阻止するように互いに干渉する軸側抜け止め部、羽根側抜け止め部が、それぞれ前記軸側連結部、前記羽根側連結部に設けられた製パン機であって、その特徴構成は、
前記制御手段が、最終の発酵工程の開始時点以後に、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記周方向における相対位置関係が前記抜け止め相対位置関係になるように、前記回転軸を回転させるべく前記回転駆動手段を作動させる抜け止め処理を実行可能に構成されている点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、最終の発酵工程の開始時点以後に、制御手段に抜け止め処理を実行させて、軸側連結部と羽根側連結部との周方向における相対位置関係が抜け止め相対位置関係になるように、回転軸を回転させるべく回転駆動手段を作動させる。
これにより、製パン材料の膨張により混練羽根が回転軸に対して回転させられて、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれても、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係を抜け止め相対位置関係に復帰させることができるので、パンが焼き上がったときに、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれているのを抑制することができる。
従って、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止し得る製パン機を提供することができる。
【0009】
本発明に係る製パン機の更なる特徴構成は、前記制御手段が、前記最終の発酵工程の中間時点から前記焼成工程の中間時点までの間で、前記抜け止め処理を実行する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、最終の発酵工程の中間時点から焼成工程の中間時点までの間で、制御手段により、抜け止め処理が実行される。
つまり、最終の発酵工程中は、製パン材料は膨張するが、その膨張の程度は発酵工程の中間以降になると小さくなる。そこで、抜け止め処理を発酵工程の中間時点以後に実行することにより、発酵工程の中間よりも前において、製パン材料の比較的大きな膨張により、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれていても、抜け止め相対位置関係に復帰させることができる。又、発酵工程の前半に抜け止め処理を実行しても、その実行後に、再び、製パン材料の膨張により混練羽根が回転軸に対して回転させられて、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれる場合があり、それを防止するのにも、抜け止め処理を発酵工程の中間時点以後に実行するのが好ましい。
一方、焼成工程中は、製パン材料の膨張の程度は発酵工程中よりも更に小さくなり、焼成工程の後半では殆ど膨張しなくなる。そこで、抜け止め処理において混練羽根を強制的に回転させることにより、焼き上がったパンに形成される空洞の大きさを極力小さくするには、抜け止め処理を焼成工程の中間よりも前に実行するのが好ましい。
従って、最終の発酵工程の中間時点から焼成工程の中間時点までの間で、抜け止め処理が実行されるので、焼き上がったパンに形成される空洞の大きさを極力小さくしながら、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止することができる。
【0011】
本発明に係る製パン機の更なる特徴構成は、前記軸側連結部に対する前記羽根側連結部の前記周方向での相対位置が、前記相対回転許容角度範囲の端部にあるときに、前記軸側連結部と前記羽根側連結部とが前記抜け止め相対位置関係になる点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、抜け止め処理においては、軸側連結部が羽根側連結部に対して相対回転許容角度範囲内のどの位置にいても、羽根側連結部に対して相対回転許容角度範囲の端部に位置させるのに十分な角度を回転させるべく、回転駆動手段の作動を制御させるようにする。すると、軸側連結部を的確に羽根側連結部に対して相対回転許容角度範囲の端部に位置させることができるので、的確に軸側連結部と羽根側連結部とを抜け止め相対位置関係で位置させることができる。
従って、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのをより一層的確に防止することができる。
【0013】
本発明に係る製パン機の更なる特徴構成は、前記軸側連結部に対する前記羽根側連結部の前記周方向での相対位置が、前記相対回転許容角度範囲の端部から0度よりも大きく且つ前記相対回転許容角度よりも小さい抜け止め角度範囲内にある状態において、前記軸側連結部と前記羽根側連結部とが前記抜け止め相対位置関係になるように構成され、前記抜け止め角度範囲が、前記相対回転許容角度範囲の両端部夫々に設けられ、
前記制御手段が、前記抜け止め処理において、前記相対回転許容角度範囲の両端部夫々の前記抜け止め角度が等しい場合は、前記相対回転許容角度から一方の前記抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、前記相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ前記回転軸を回転させるべく、前記相対回転許容角度範囲の両端部夫々の前記抜け止め角度が異なる場合は、前記相対回転許容角度から小さいほうの前記抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、前記相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ前記回転軸を回転させるべく、前記回転駆動手段を作動させる点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、軸側連結部に対する羽根側連結部の周方向での相対位置が、相対回転許容角度範囲の端部から、0度よりも大きく且つ相対回転許容角度よりも小さい抜け止め角度範囲内にある状態において、軸側連結部と羽根側連結部とが抜け止め相対位置関係で位置する。しかも、抜け止め角度範囲が、相対回転許容角度範囲の両端部夫々に設けられている。
そして、抜け止め処理では、相対回転許容角度範囲の両端部夫々の抜け止め角度が等しい場合は、相対回転許容角度から一方の抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ回転軸を回転させるべく、回転駆動手段の作動が制御される。一方、相対回転許容角度範囲の両端部夫々の抜け止め角度が異なる場合は、相対回転許容角度から小さいほうの抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ回転軸を回転させるべく、回転駆動手段の作動が制御される。
つまり、パンの膨張により、混練羽根が大きく回転してしまった場合であっても、的確に軸側連結部と羽根側連結部とを抜け止め相対位置関係で位置させて、軸側抜け止め部と羽根側抜け止め部とが干渉するようにすることができる。
従って、パンの膨張により、混練羽根が大きく回転してしまった場合であっても、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを的確に防止することができる。
【0015】
本発明に係る製パン機の更なる特徴構成は、前記制御手段が、前記抜け止め処理においては、その直前の前記回転駆動手段を作動させる工程における最後に回転させた前記回転軸の回転方向と同方向に前記回転軸を回転させるべく、前記回転駆動手段を作動させる点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、抜け止め処理では、その直前の回転駆動手段を作動させる工程で最後に回転軸が回転していた回転方向と同方向に回転軸が回転させられて、軸側連結部と羽根側連結部とが抜け止め相対位置関係で位置して、軸側抜け止め部と羽根側抜け止め部とが干渉する状態となる。
つまり、混練羽根を一体的に回転させている回転軸が停止した状態では、混練羽根は、回転軸の回転方向と同方向に回転軸に対して相対移動自在であるので、製パン材料の膨張により、混練羽根は回転軸の回転方向と同方向に回転させられる場合がある。
このような場合であっても、パンが膨張することにより回転させられた混練羽根を抜け止め相対位置関係に戻して、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止することができる。
【0017】
本発明に係る製パン機の更なる特徴構成は、前記制御手段が、前記抜け止め処理においては、その直前の前記回転駆動手段を作動させる工程における最後に回転させた前記回転軸の回転方向とは逆方向に前記回転軸を回転させるべく、前記回転駆動手段を作動させる点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、抜け止め処理では、その直前の回転駆動手段を作動させる工程で最後に回転軸が回転していた回転方向とは逆方向に回転軸が回転させられて、軸側連結部と羽根側連結部とが抜け止め相対位置関係で位置して、軸側抜け止め部と羽根側抜け止め部とが干渉する状態となる。
つまり、先に説明したように、製パン材料の膨張により、混練羽根は回転軸の回転方向と同方向に回転させられる場合がある。
この場合、抜け止め処理における回転軸の回転方向を、直前の回転駆動手段を作動させる工程における回転軸の回転方向とは逆方向に設定することにより、抜け止め処理において混練羽根が強制的に回転させられることにより新たに形成される空洞を極力小さくすることができるので、焼き上がったパンに混練羽根により形成される空洞の大きさを極力小さくすることができる。
【0019】
本発明に係る製パン機の更なる特徴構成は、前記羽根側連結部が、内周面における周方向の一部に内方側に突出する突起部を備えた円筒状に構成され、
前記軸側連結部に、それが前記挿通許容位置関係に相対位置する前記円筒状の羽根側連結部に挿通されたときに、前記突起部に対向するまで又は前記突起部を越えるまで前記円筒状の羽根側連結部に挿通可能な頭部と、前記軸側連結部が前記円筒状の羽根側連結部に挿通された状態で、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との相対回転に伴って前記突起部を係合させる凹部とが備えられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、円筒状の羽根側連結部を、軸側連結部に対して挿通許容位置関係に位置させた状態で、円筒状の羽根側連結部を回転軸心に沿って軸側連結部に近づけて、その円筒状の羽根側連結部に軸側連結部を挿通させる。すると、円筒状の羽根側連結部の内周部の突起部が軸側連結部の頭部に対向する又は頭部を越える状態になるまで、円筒状の羽根側連結部に軸側連結部を挿通させることができる。
そして、そのように円筒状の羽根側連結部に軸側連結部が挿通された状態で、軸側連結部と羽根側連結部とが相対回転すると、円筒状の羽根側連結部の内周部の突起部と軸側連結部の凹部とが係合して、混練羽根が回転軸に対して抜け止めされる。
【0021】
つまり、混練羽根における円筒状の羽根側連結部の筒内には、製パン材料が詰まり易いが、その円筒状の羽根側連結部を回転軸から外すことにより、混練羽根をパンケースから容易に取り外すことができるので、混練羽根をパンケースから取り外して、その混練羽根の円筒状の羽根側連結部を十分に洗浄することができる。
一方、回転軸はパンケースから容易に取り外すことはできないが、その回転軸の外形形状は、概略、棒状等の簡単な形状とすることができるので、回転軸を、パンケースから取り外さなくても、十分適切に洗浄することができる。
従って、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを的確に防止することができるのに加えて、回転軸や混練羽根の洗浄を容易に行えるようにすることができる。
【0022】
本発明に係る製パン機の運転方法は、上記特徴構成のいずれかに記載の製パン機の運転方法であって、その特徴構成は、
最終の発酵工程の開始時点以後に、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記周方向における相対位置関係が前記抜け止め相対位置関係になるように、前記回転軸を回転させるべく前記回転駆動手段を作動させる抜け止め処理を実行する点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、最終の発酵工程の開始時点以後に、抜け止め処理を実行して、軸側連結部と羽根側連結部との周方向における相対位置関係が抜け止め相対位置関係になるように、回転軸を回転させるべく回転駆動手段を作動させる。
これにより、製パン材料の膨張により混練羽根が回転軸に対して回転させられて、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれていても、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係を抜け止め相対位置関係に復帰させることができるので、パンが焼き上がったときに、軸側連結部と羽根側連結部との相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれているのを抑制することができる。
従って、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止し得る製パン機の運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】蓋体を開けた状態での製パン機の外観を示す斜視図
【図2】製パン機の縦断正面図
【図3】蓋体を開け且つパンケースを外した状態での製パン機の一部切り欠き斜視図
【図4】パンケースを外した状態での製パン機の要部の横断平面図
【図5】実施形態に係る回転軸及び混練羽根を挿通状態で示す斜視図
【図6】実施形態に係る回転軸及び混練羽根を分離状態で示す斜視図
【図7】実施形態に係る回転軸及び混練羽根を挿通状態で示す平面図
【図8】図7のVIII−VIII方向での断面図
【図9】実施形態に係る回転軸及び混練羽根を抜け止め相対位置関係で示す平面図
【図10】図9のX−X方向での断面図
【図11】自動焼き上げモードのタイムチャートを示す図
【図12】混練羽根によりパンに形成される空洞を示す図
【図13】第1別実施形態に係る軸側連結部及び羽根側連結部を示す図
【図14】第2別実施形態に係る軸側連結部及び羽根側連結部を示す図
【図15】第3別実施形態に係る軸側連結部及び羽根側連結部を示す図
【図16】第4別実施形態に係る軸側連結部及び羽根側連結部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、製パン機は、上部が上部開口1にて開口したケーシング2を内部に備えた本体3と、ケーシング2の上部開口1を開閉自在な蓋体4とを備えて構成されている。
本体3は、平面視が概ね長方形状で、上部が開口した有底箱状に構成され、平面視において、その本体3内における長手方向の一端側に寄せて、四隅が丸みを帯びた概ね長方形状のケーシング2が設けられている。そして、本体3内が、平面視で長手方向一端側のケーシング2内に形成される加熱室5と、平面視で長手方向他端側の制御部収容室6と、それら加熱室5及び制御部収容室6の下方の伝動部収容室7との三区画に仕切られている。
【0026】
具体的には、図2及び図4に示すように、本体3には、平面視で、矩形板状の底板部材2Aが本体3内の略全域にわたって配設されている。底板部材2Aは、本体3の底部との間に伝動部収容室7を形成すべく、スペーサ(図示せず)により間隔を開けて配設されている(図2参照)。又、本体3には、平面視で四隅が丸みを帯びた概ね長方形状で角筒状に構成された周壁部材2Bが、本体3の長手方向の一端側(図2の左側)に寄せた状態で底板部材2A上に固定されて配設されている。この周壁部材2Bは、底板部材2Aの上部の空間において、本体3の長手方向の一端側に加熱室5の一部を形成し、他端側(図2の右側)に制御部収容室6を形成すべく配設されている。本体3の長手方向の一端側の底板部材2Aによりケーシング2の底部が形成され、周壁部材2Bによりケーシング2の側周面が形成されて、ケーシング2は上部開口1を備えた有底箱状に形成される。
【0027】
図1及び図2に示すように、蓋体4は、ケーシング2の上部開口1の開口縁部に、ヒンジ構造により水平方向の軸心周りに揺動自在に設けられて、その揺動によりケーシング2の上部開口1を開閉自在に構成されている。
この蓋体4は、縦断正面視及び縦断側面視で上方に膨出する概略逆U字形状に構成されると共に、耐熱性の透明ガラスから成る確認窓8、及び、蒸気抜き孔9が設けられている。
そして、ケーシング2と蓋体4とにより区画形成される内部空間が加熱室5として形成され、この加熱室5内にパンケース10が着脱自在に配置される。
【0028】
図1及び図2に示すように、パンケース10の底部には、混練羽根Fが着脱自在に取り付けられる回転軸Sが内部に突出する状態で備えられている。又、図2〜図4に示すように、加熱室5の底部には、その加熱室5を加熱する電熱ヒータ11(加熱手段の一例)、及び、電動モータ12(回転駆動手段の一例)により回転駆動される駆動軸13が設けられている。
又、図2〜図4に示すように、この製パン機には、パンケース10が加熱室5内に配置されるのに伴って、回転軸Sと駆動軸13とを係合させて回転軸Sを駆動軸13に伝動連結するカップリング14が設けられ、更に、伝動部収容室7には、電動モータ12と駆動軸13とを伝動連結する伝動部15が設けられている。そして、パンケース10が加熱室5内に配置されるのに伴って、カップリング14により駆動軸13と回転軸Sとが伝動連結され、電動モータ12により駆動軸13が回転駆動されることにより、その駆動軸13の回転駆動力がカップリング14により回転軸Sに伝動されて回転軸Sが回転駆動され、その回転軸Sと一体で混練羽根Fが回転するように構成されている。
【0029】
又、図2に示すように、電動モータ12は、制御部収容室6に設けられ、更に、その制御部収容室6には、電動モータ12及び電熱ヒータ11等の作動を制御することにより製パン機の運転を制御する制御部(制御手段の一例)16が設けられている。
又、図1及び図3に示すように、制御部収容室6の上部を閉じる蓋カバー17には、運転スイッチ等を備えた操作部18が設けられている。
【0030】
図1及び図2に示すように、パンケース10は、平面視で四隅が丸みを帯びた長方形状で、上部が開口した有底箱状であり、その上部開口の縁部には、その長手方向の両端側に振り分けて、一対の取手10aが設けられている。
図2に示すように、パンケース10の底部の裏面側には、パンケース10を載置支持するパンケース台19が一体的に取り付けられている。
そして、図1及び図2に示すように、パンケース10は、パンケース台19に載置支持される状態で、ケーシング2内に装着される。
又、パンケース10がケーシング2内に装着された状態では、パンケース10の上部開口がケーシング2の上部開口1よりも下方に位置するように構成されている。このことにより、蓋体4が開かれても、パンケース10内からの放熱を抑制して、パンケース10内の温度低下を抑制する構成となっている。
【0031】
図1及び図2に示すように、この実施形態では、パンケース10の底部に、一対の回転軸Sが、長手方向に並べられた状態で、上下方向の軸心回りで回転自在に支持されて設けられ、ケーシング2の底部には、各回転軸Sに夫々対応する状態で、一対の駆動軸13が、加熱室5の長手方向に並べられた状態で、上下方向の軸心回りで回転自在に支持されて設けられている。
図2に示すように、各回転軸Sにおけるパンケース10の底部から下方への突出部には、従動側連結具20が固定され、又、図2〜図4に示すように、各駆動軸13におけるケーシング2の底部から上方への突出部には、パンケース台16に載置支持されたパンケース10がケーシング2内に装着されたときに、各従動側連結具20に係合するように、駆動側連結具21が固定されている。
【0032】
尚、詳細な図示を省略するが、駆動側連結具21は、上方に向けて開く4個の凹部を駆動軸13の軸心回りに等間隔で備えて構成され、従動側連結具20は、円柱状の棒状体をその軸心が回転軸Sの回転軸心Saに直交する方向に沿う形態で備えて構成されている。
そして、従動側連結具20の棒状体が駆動側連結具21の互いに対向する一対の凹部に嵌まり込むことにより、従動側連結具20と駆動側連結具21とが伝動連結されるように構成されている。
つまり、従動側連結具20と駆動側連結具21とにより、カップリング14が構成されている。
【0033】
図2に示すように、一対の駆動軸13夫々におけるケーシング2の底部から下方への突出部には、互いに同径の小プーリ22が固定され、更に、一方の小プーリ22の下側に突出する回転軸部(図示省略)には、大プーリ23が固定されている。
電動モータ12の出力軸12aと大プーリ23とにわたって、第1タイミングベルト24が巻回され、各駆動軸13の小プーリ22にわたって、第2タイミングベルト25が巻回されている。そして、電動モータ12により、一対の駆動軸13が回転駆動されるように構成されている。
つまり、伝動部15は、一対の駆動軸13夫々に夫々固定された一対の小プーリ22、一方の駆動軸13に固定された大プーリ23、電動モータ12の出力軸12aと大プーリ23とにわたって巻回された第1タイミングベルト24、及び、一対の小プーリ22にわたって巻回された第2タイミングベルト25等を備えて構成されて、電動モータ12と一対の駆動軸13を伝動連結するように構成されている。
【0034】
図2〜図4に示すように、電熱ヒータ11は、長尺状に構成され、その長尺状の電熱ヒータ11が、ケーシング2の底面上を巡らせるように屈曲させた形態で、複数個のヒータ支持具26により、ケーシング2の底面上にその底面と離間した状態で支持されている。ちなみに、電熱ヒータ11としては、例えば、いわゆるシーズヒータを用いることができる。
【0035】
次に、図5〜図10に基づいて、回転軸S、混練羽根Fについて説明を加える。
尚、一対の回転軸Sは夫々同様に構成され、一対の混練羽根Fも夫々同様に構成されているので、以下では、一方の回転軸S、一方の混練羽根Fを対象にして説明する。
回転軸S、混練羽根Fにそれぞれ軸側連結部Sc、羽根側連結部Fcが、回転軸Sの回転軸心Sa方向での相対接近で一方が他方に挿通可能で、且つ、一方が他方に挿通された挿通状態で回転軸心Saと同心状となるように設けられている。
又、軸側連結部Sc及び羽根側連結部Fcが、回転軸心Sa周りに沿う方向(以下、単に周方向と記載する場合がある)における相対位置関係が所定の挿通許容位置関係にあるとき(図6参照)に挿通状態になるのが許容され、且つ、挿通状態(図5及び図7参照)において、回転軸心Saを中心とする中心角で定義される相対回転許容角度(図7における中心角2α)範囲内で相対回転自在に構成されている。
そして、軸側連結部Sc及び羽根側連結部Fcが挿通状態にあり、且つ、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの周方向における相対位置関係が相対回転許容角度範囲内の抜け止め相対位置関係にあるときに(図9及び図10参照)、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの回転軸心Sa方向での相対離間を阻止するように互いに干渉する軸側抜け止め部Se、羽根側抜け止め部Feが、それぞれ軸側連結部Sc、羽根側連結部Fcに設けられている。
【0036】
回転軸Sについて、更に説明を加えると、この実施形態では、回転軸Sは、円柱状の軸状部31を備えて、概略、円柱状に構成されている。そして、その軸状部31の先端に、その軸状部31の軸心に直交する面での横断面形状が180度よりも大きい中心角の弓形形状となる頭部32が備えられ、更に、その頭部32における弓形の横断面形状の弦に対応する側面部の下方に、弦部と平行な方向に沿い且つ軸状部31の軸心側に向けて入り込む溝部33が備えられている。
そして、上述の如き概略円柱状の回転軸Sが、その軸状部31の軸心を回転軸心Saとする状態で、パンケース10の底部に回転自在に支持されている。
【0037】
混練羽根Fについて、更に説明を加えると、この実施形態では、混練羽根Fは、円筒状の円筒状基部51と、その円筒状基部51の外周面から、板面を円筒状基部51の軸心に沿わせた形態でその円筒状基部51の軸心に直交する方向に延びる板状の羽根体52とを備えて構成されている。
円筒状基部51は、その一端側から回転軸Sの軸状部31が挿脱自在であり、その軸状部31が挿通された状態では、円筒状基部51の内周面と円柱状の軸状部31の外周面とが互いに近接又は当接した状態となるように構成されている。
更に、円筒状基部51の内周面の上端側には、その円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させたときにその頭部32を通過させることが可能で、且つ、円筒状基部51に軸状部31を挿通させた挿通状態において、回転軸Sの溝部33の開口部に対向する状態となるように(図8参照)、内径側に突出する突起部53が備えられている。
【0038】
図7及び図8に示すように、この突起部53は、円筒状基部51の軸心方向視において、その円筒状基部51の内周面に対応する円の弓形となる形態に形成され、回転軸Sの溝部33の溝幅(回転軸心Saに沿う方向の幅)よりも薄い厚さで、円筒状基部51の内周面に備えられている。
そして、図7に示すように、回転軸心Sa方向視において、回転軸心Saと混練羽根Fの突起部53における弓型の弦の中央の点とを結ぶ半径上の位置を、混練羽根Fにおける周方向での基準部位Fpとし、回転軸心Sa方向視において、回転軸心Saと回転軸Sの頭部32における弓型の弦の中央の点とを結ぶ半径上の位置を、回転軸Sにおける周方向での基準部位Spとする。
そして、図6に示すように、夫々の周方向での基準部位Sp,Fpが略同位置に位置する状態での周方向の相対位置関係にて、混練羽根Fを回転軸Sの上方に位置させて、混練羽根Fを回転軸心Saに沿って回転軸Sに近付けると、図7及び図8に示すように、混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31をその頭部32の先端部が円筒状基部51の突起部53を越える状態となるまで挿通させることが可能である。
【0039】
図7に示すように、そのように回転軸Sの軸状部31を混練羽根Fの円筒状基部51に挿通させた挿通状態での回転軸心Sa方向視で、突起部53における弓形形状の外形の弦と頭部32における弓形形状の外形の弦とが互いに対向し、突起部53の外形に対応する弓型の円弧と頭部32の外形に対応する弓型の円弧とが同心状になるように構成されている。
そして、回転軸心Sa方向視において、突起部53の外形に対応する弓型の円弧の中心角の方が、頭部32の外形に対応する弓型の円弧の中心角より小さくなるように構成されている。
【0040】
又、そのように混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させた挿通状態では、図9及び図10に示すように、混練羽根Fの突起部53が回転軸Sの溝部33の底部(回転軸心Sa側の底部)に当接する状態となるまで、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って両側に相対回転自在である。
そして、そのように混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させた挿通状態で、電動モータ12により回転軸Sが回転駆動されると、混練羽根Fの突起部53が回転軸Sの溝部33の底部に当接する状態となって、混練羽根Fが回転軸Sと一体的に回転する。つまり、軸側連結部Scに対する羽根側連結部Fcの周方向での相対位置が、相対回転許容角度範囲の端部にあるときに、羽根側連結部Fcが軸側連結部Scと一体で回転するように構成されている。
【0041】
つまり、図7に示すように、混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させた挿通状態で、混練羽根Fの基準部位Fpが周方向で回転軸Sの基準部位Spと同位置に位置する状態において、回転軸心Saと混練羽根Fの突起部53における弓型の弦の中央の点とを結ぶ半径と、混練羽根Fの突起部53が回転軸Sの溝部33の底部に当接する状態(図9参照)において、回転軸心Saと混練羽根Fの突起部53における弓型の弦の中央の点とを結ぶ半径とにより形成される中心角をαとする。ちなみに、この実施形態では、中心角αは、例えば、20度程度に設定されている。
すると、混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させた挿通状態で、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で同位置に位置する状態から、それら基準位置Sp,Fpが中心角でαずれる状態となるまで、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って両側に相対回転自在となる。
【0042】
又、そのような挿通状態で、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で同位置に位置する状態から、混練羽根Fと回転軸Sとが周方向に沿っていずれか一方側に遊び角度β(<α)だけ相対回転すると、混練羽根Fの突起部53の弓形の弦に回転軸Sの頭部32の弓形の弦の端部が回転軸心Sa方向視で重なり、更に相対回転すると、混練羽根Fの突起部53が回転軸Sの溝部33に入り込んで、それら突起部53と溝部33とが干渉する状態となる。そして、そのように突起部53と溝部33とが干渉する状態では、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って相対離間移動させることができない状態となって、混練羽根Fが回転軸Sに対して抜け止め(即ち、相対離間が阻止)される。
つまり、この実施形態では、回転軸Sにおける頭部32及び溝部33を備えた軸状部31が、軸側連結部Scとして機能し、混練羽根Fにおける内周面に突起部53を備えた円筒状基部51が、羽根側連結部Fcとして機能するように構成されている。
そして、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で略同位置(概略遊び角度βだけずれる範囲まで許容される)に位置する相対位置関係が、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの挿通許容位置関係に相当し、回転軸心Saを中心とする中心角αの2倍が、相対回転許容角度に相当する。
【0043】
又、回転軸Sの溝部33が、軸側連結部Scの軸側抜け止め部Seとして機能し、混練羽根Fの突起部53が、羽根側連結部Fcの羽根側抜け止め部Feとして機能するように構成されている。
そして、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対位置関係が、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向のいずれか一方側に中心角で遊び角度βだけずれた位置に対応する相対位置関係から、そのずれた中心角がαになる状態に対応する相対位置関係までの間(即ち、αからβを減じた大きさの中心角の範囲)で、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係で位置することになる。
【0044】
つまり、この実施形態では、羽根側連結部Fcが、内周面における周方向の一部に内方側に突出する突起部53を備えた円筒状に構成され、軸側連結部Scに、それが挿通許容位置関係に相対位置する円筒状の羽根側連結部Fcに挿通されたときに、突起部53を越えるまで円筒状の羽根側連結部Fcに挿通可能な頭部32と、軸側連結部Scが円筒状の羽根側連結部Fcに挿通された状態で、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対回転に伴って突起部53を係合させる凹部としての溝部33とが備えられていることになる。
【0045】
又、軸側連結部Scに対する羽根側連結部Fcの周方向での相対位置が、相対回転許容角度(この実施形態では2α)範囲の端部にあるときに、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係で位置するように構成されていることになる。
更に、軸側連結部Scに対する羽根側連結部Fcの周方向での相対位置が、相対回転許容角度範囲の両端部夫々から、0度よりも大きく且つ相対回転許容角度(この実施形態では、2α)よりも小さい抜け止め角度(この実施形態では、α−β)範囲内にある状態において、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係になるように構成され、抜け止め角度範囲が、相対回転許容角度範囲の両端部夫々に設けられていることになる。尚、この実施形態では、相対回転許容角度範囲の両端部夫々の抜け止め角度は、両方とも「α−β」で等しくなるように構成されている。
【0046】
次に、制御部16の制御動作について説明する。
制御部16は、電動モータ12を作動させて混練羽根Fを回転させることによりパンケース10内の製パン材料(図示省略)を混練する混練工程の後、電熱ヒータ11を加熱作動させてパンケース10内の製パン材料を発酵させる発酵工程を少なくとも1回実行し、さらに、電熱ヒータ11を加熱作動させて製パン材料を焼き上げる焼成工程を実行するように構成されている。
【0047】
そして、本発明では、制御部16が、最終の発酵工程の開始時点以後に、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの周方向における相対位置関係が抜け止め相対位置関係になるように、回転軸Sを回転させるべく電動モータ12を作動させる抜け止め処理を実行可能に構成されている。
この実施形態では、制御部16は、抜け止め処理では、回転軸Sを予め設定された強制回転角度γだけ回転させるのに必要な時間(例えば、30〜50msec)、電動モータ12を作動させる。
ちなみに、この実施形態では、相対回転許容角度範囲の両端部夫々の抜け止め角度は「α−β」で等しいので、強制回転角度γ(図示省略)は、相対回転許容角度(2α)から一方の抜け止め角度(α−β)を減じた角度以上で、且つ、相対回転許容角度(2α)以下の範囲に設定される。つまり、強制回転角度γは、α+β(=2α−(α−β))〜2αの範囲に設定される。
【0048】
図11のタイムチャートに示すように、この実施形態では、制御部16は、混練工程の前に、電熱ヒータ11を加熱作動させて、パンケース10内の製パン材料を予熱する予熱工程を実行するように構成されている。
又、混練工程の初期に、電熱ヒータ11を加熱作動させて、パンケース10内の製パン材料を加熱するように構成されている。
又、制御部16は、発酵工程を3回実行し、1回目の発酵工程と2回目の発酵工程との間、及び、2回目の発酵工程と3回目の発酵工程との間の夫々において、電動モータ12を作動させて混練羽根Fを回転させることにより、パンケース10内の製パン材料を捏ねて、製パン材料から気体を抜くガス抜き工程を実行するように構成されている。尚、このガス抜き工程中も、製パン材料の発酵は進行する。
更に、制御部16は、焼成工程の終了後に、電熱ヒータ11を加熱作動させて、焼き上がったパンを保温する保温工程を実行するように構成されている。
【0049】
予熱工程、混練工程、3回の発酵工程、2回のガス抜き工程、焼成工程、及び、保温工程の各工程を実行する工程時間は、夫々の工程に対応して設定されている。尚、図11に示すタイムチャートにおいて、各工程を示す幅は、実際の工程時間の時間幅を示すものではない。
図示を省略するが、加熱室5内の温度を検出する温度センサが設けられ、制御部16は、予熱工程、混練工程、各発酵工程、焼成工程、保温工程においては、温度センサの検出温度が各工程に応じて設定された目標温度になるように、電熱ヒータ11の加熱作動を制御(例えば、オンオフ制御)するように構成されている。尚、図11に示すタイムチャートにて示す電熱ヒータ11のオンオフの時間間隔は、電熱ヒータ11のオンオフを模式的に示すものであり、実際の時間間隔を示すものではない。
又、電動モータ12は、その回転方向を切り換え可能に構成され、制御部16は、混練工程、各ガス抜き工程においては、所定の反転用設定時間毎に、混練羽根Fの回転方向を反転させるべく、電動モータ12の作動を制御するように構成されている。
【0050】
図示を省略するが、操作部18には、この製パン機の運転停止を指令する運転スイッチのほかに、自動焼き上げスイッチ、焼き上げ時刻を指令するタイマー、及び、自動抜け止めスイッチ等が設けられている。
そして、制御部16は、自動焼き上げスイッチがオンされると、タイマーにて指令された時刻に終了するように、予熱工程、混練工程、3回の発酵工程、2回のガス抜き工程、焼成工程、及び、保温工程を、図11に示すタイムチャートの順序で、各工程に応じて設定された運転条件(工程時間、目標温度)で実行すべく、電熱ヒータ11及び電動モータ12夫々の作動を制御する自動焼き上げモードを実行する。
又、自動抜け止めスイッチがオンされていると、制御部16は、自動焼き上げモードの実行中において、焼成工程の開始直後(例えば、焼成工程の開始時点の数秒後)に抜け止め処理を自動的に実行する。つまり、抜け止め処理は焼成工程中に実行される。
【0051】
つまり、この実施形態では、制御部16が、最終の発酵工程の中間時点から焼成工程の中間時点までの間で、抜け止め処理を実行するように構成されていることになる。
又、制御部16が、抜け止め処理において、相対回転許容角度(2α)から一方の抜け止め角度(この実施形態では、(α―β))を減じた角度以上で、且つ、相対回転許容角度(2α)以下の範囲に設定される強制回転角度γだけ回転軸Sを回転させるべく、電動モータ12を作動させるように構成されていることになる。
更に、制御部16が、抜け止め処理においては、その直前の電動モータ12を作動させる工程(2回目のガス抜き工程)における回転軸Sの回転方向とは逆方向に回転軸Sを回転させるべく、電動モータ12を作動させるように構成されていることになる。
【0052】
上述のように、抜け止め処理が焼成工程の開始直後に自動的に実行されるので、製パン材料の膨張により混練羽根Fが回転軸Sに対して回転させられて、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対位置関係が抜け止め相対位置関係からずれていても、パンが焼き上がったときには、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対位置関係が抜け止め相対位置関係になっているようにすることができる。
そして、焼き上がったパンをパンケース10から取り出す際には、混練羽根Fが回転軸Sに取り付けられた状態で、パンをパンケース10から取り出すことができるので、焼き上がったパンから混練羽根Fを取り出す手間が不要となる。
【0053】
次に、焼き上げたパンに混練羽根Fにより形成される空洞の大きさが、抜け止め処理を実行するタイミングにより変化することを検証した結果を説明する。
図12は、焼き上げたパンにおけるパンケース10の底面に当接した面を撮影した写真であり、(a)は、本実施形態のように焼成工程の開始直後に抜け止め処理を実行した場合の写真であり、(b)は、焼成工程の終了直前に抜け止め処理を実行した場合の写真である。
抜け止め処理により強制的に混練羽根Fが回転させられると、製パン材料に空洞Vが発生する場合があるが、抜け止め処理を焼成工程の開始直後に実行すると、その実行後も、製パン材料がある程度膨張するので、空洞Vが塞がり易い。一方、抜け止め処理を焼成工程の終了直前に実行すると、その実行後は、製パン材料は殆ど膨張しないので、空洞Vが塞がり難い。
つまり、抜け止め処理を、焼成工程の開始直後に実行した方が、焼成工程の終了直前に実行する場合に比べて、空洞Vを小さくできることが分かる。
【0054】
〔別実施形態〕
(A)制御部16に抜け止め処理を自動的に実行させるに当たって、その実行タイミングは、上記の実施形態において例示したタイミング、即ち、焼成工程の開始直後のタイミングに限定されるものではなく、最終の発酵工程の開始時点(上記の実施形態では3回目の発酵工程)以後の条件、好ましくは、最終の発酵時点の中間時点から焼成工程の中間時点までの間で、適宜設定することができる。例えば、焼成工程の開始直前(例えば、焼成工程の開始時点の数秒前)や、焼成工程の開始時点と同時に設定することができる。又、焼成工程の終了時に設定しても良い。
又、制御部16を、抜け止め処理を複数回実行するように構成しても良い。但し、抜け止め処理を複数回実行するにしても、回転軸Sの回転角度の合計が強制回転角度γになるように実行するのが好ましい。
【0055】
(B)抜け止め処理において回転軸Sを回転させるに当たって、その回転方向は、上記の実施形態において例示した方向、即ち、抜け止め処理の直前の電動モータ12を作動させる工程(上記の実施形態では、2回目のガス抜き工程)における最後に回転させた回転軸Sの回転方向とは逆方向に限定されるものではなく、抜け止め処理の直前の電動モータ12を作動させる工程における最後に回転させた回転軸Sの回転方向と同方向でも良い。
【0056】
(C)軸側連結部Sc及び羽根側連結部Fc夫々の具体的な構成は、上記の実施形態において例示した構成に限定されるものではなく、例えば、下記の第1〜第4の別実施形態にて示す如く、種々の構成が可能である。
【0057】
(C−1)図13に基づいて、第1別実施形態を説明する。尚、図13(a)は、回転軸S及び混練羽根Fを分離状態で示す斜視図であり、(b)、(c)は、回転軸S及び混練羽根Fを挿通状態で示す横断平面図である。尚、以下の説明では、混練羽根Fにおいて、回転軸Sに装着した状態でのパンケース10側に対応する側を下側とし、パンケース10側とは反対側に対応する側を上側とする。
混練羽根Fは、上記の実施形態と同様の円筒状基部51と羽根体52とを備えて構成されているが、突起部53に代えて、円筒状基部51の内周面に、その下端から軸心方向に沿って上方に延びる挿通用溝部57と、その挿通用溝部57の上端に連通して、周方向の両側に周方向に沿って延びる抜け止め用溝部58とが備えられている。
回転軸Sは、上記の実施形態と同様の円柱状の軸状部31を備えて、概略円柱状に構成されている。
この軸状部31の外周面の上端部には、外径が混練羽根Fの挿通用溝部57及び抜け止め用溝部58夫々の幅よりも小さい円柱状の突起部38が、径方向外方に突出する状態で備えられている。
【0058】
つまり、回転軸心Sa方向視において、回転軸心Saと混練羽根Fの挿通用溝部57における幅方向の中央とを結ぶ半径上の位置を、混練羽根Fにおける周方向での基準部位Fpとし、回転軸心Saと回転軸Sの突起部38の軸心とを結ぶ半径上の位置を、回転軸Sにおける周方向での基準部位Spとする。
そして、図13(a)に示すように、夫々の周方向での基準部位Sp,Fpが略同位置に位置する状態での周方向の相対位置関係にて、混練羽根Fを回転軸Sの上方に位置させて、混練羽根Fを回転軸心Saに沿って回転軸Sに近付けると、図13(b)に示すように、回転軸Sの突起部38が混練羽根Fの挿通用溝部57に嵌まり込んだ状態で、混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させることが可能である。
又、そのように混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させた挿通状態で、図13(c)に示すように、回転軸Sの突起部38が混練羽根Fの抜け止め用溝部58の端部に当接する状態となるまで、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って両側に相対回転自在である。又、回転軸Sの突起部38が混練羽根Fの抜け止め用溝部58に嵌まり込んで、それら突起部38と抜け止め用溝部58とが干渉する状態では、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って相対離間移動させることができない状態となって、混練羽根Fが回転軸Sに対して抜け止めされる。
【0059】
つまり、回転軸Sにおける突起部38を外周面に備えた軸状部31が、軸側連結部Scとして機能し、混練羽根Fにおける挿通用溝部57及び抜け止め用溝部58を内周面に有する円筒状基部51が、羽根側連結部Fcとして機能するように構成されている。又、回転軸Sの突起部38が、軸側連結部Scの軸側抜け止め部Seとして機能し、混練羽根Fの抜け止め用溝部58が、羽根側連結部Fcの羽根側抜け止め部Feとして機能するように構成されている。
【0060】
そして、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で略同位置(若干の遊び角度を含む)に位置する相対位置関係(図13(a)、(b)に示す状態)が、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの挿通許容位置関係に相当する。又、そのように軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが挿通許容位置関係に位置する状態から、図13(c)に示すように、回転軸Sの突起部38が混練羽根Fの抜け止め用溝部58の一方の端部に当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度と、回転軸Sの突起部38が混練羽根Fの抜け止め用溝部58の他方の端部に当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度とを合わせた角度が、相対回転許容角度に相当する。
又、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対位置関係が、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向のいずれか一方側に若干の遊び角度だけずれた状態に対応する相対位置関係から、回転軸Sの突起部38が混練羽根Fの抜け止め用溝部58の端部に当接する状態に対応する相対位置関係までの間で、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係で位置することになる。
【0061】
(C−2)図14に基づいて、第2別実施形態を説明する。尚、図14(a)は、回転軸S及び混練羽根Fを分離状態で示す斜視図であり、(b)、(c)は、回転軸S及び混練羽根Fを挿通状態で示す横断平面図である。尚、以下の説明では、回転軸Sにおいて、パンケース10に設けられた状態でのパンケース10側に対応する側を下側とし、パンケース10側とは反対側に対応する側を上側とする。
回転軸Sは、横断面形状が円形の円形凹部34を上端部に備えた円柱状の軸状部31を備えて、概略円柱状に構成され、その円形凹部34の内周面に、その上端から軸心方向に沿って下方に延びる挿通用溝部35と、その挿通用溝部35の下端に連通して、周方向の両側に周方向に沿って延びる抜け止め用溝部36とが備えられている。
又、混練羽根Fは、円柱状の円柱状基部54と、その円柱状基部54の外周面から延びる上記の実施形態と同様の羽根体52と、円柱状基部54の下端面から円柱状基部54と同心状に突出し且つ円柱状基部54よりも小径の円柱状嵌め込み部55を備えて構成されている。円柱状嵌め込み部55は、回転軸Sの円形凹部34に挿脱自在である。
更に、円柱状嵌め込み部55の外周面には、外径が回転軸Sの挿通用溝部35及び抜け止め用溝部36夫々の幅よりも小さい円柱状の突起部56が、径方向外方に突出する状態で備えられている。
【0062】
つまり、回転軸心Sa方向視において、回転軸心Saと混練羽根Fの突起部56の軸心とを結ぶ半径上の位置を、混練羽根Fにおける周方向での基準部位Fpとし、回転軸心Saと回転軸Sの挿通用溝部35における幅方向の中央とを結ぶ半径上の位置を、回転軸Sにおける周方向での基準部位Spとする。
そして、図14(a)に示すように、夫々の周方向での基準部位Sp,Fpが略同位置に位置する状態での周方向の相対位置関係にて、混練羽根Fを回転軸Sの上方に位置させて、混練羽根Fを回転軸心Saに沿って回転軸Sに近付けると、図14(b)に示すように、混練羽根Fの突起部56が回転軸Sの挿通用溝部35に嵌まり込んだ状態で、混練羽根Fの円柱状嵌め込み部55を回転軸Sの円形凹部34に挿通させることが可能である。
又、そのように混練羽根Fの円柱状嵌め込み部55を回転軸Sの円形凹部34に挿通させた挿通状態で、図14(c)に示すように、混練羽根Fの突起部56が回転軸Sの抜け止め用溝部36の端部に当接する状態となるまで、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って両側に相対回転自在である。又、混練羽根Fの突起部56が回転軸Sの抜け止め用溝部36に嵌まり込んで、それら突起部56と抜け止め用溝部36とが干渉する状態では、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って相対離間移動させることができない状態となって、混練羽根Fが回転軸Sに対して抜け止めされる。
【0063】
つまり、回転軸Sにおける挿通用溝部35及び抜け止め用溝部36を内周面に有する円形凹部34を備えた軸状部31が、軸側連結部Scとして機能し、混練羽根Fにおける突起部56を外周面に備えた円柱状嵌め込み部55が、羽根側連結部Fcとして機能するように構成されている。又、回転軸Sの抜け止め用溝部36が、軸側連結部Scの軸側抜け止め部Seとして機能し、混練羽根Fの突起部56が、羽根側連結部Fcの羽根側抜け止め部Feとして機能するように構成されている。
【0064】
そして、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で略同位置(若干の遊び角度を含む)に位置する相対位置関係(図14(a)、(b)に示す状態)が、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの挿通許容位置関係に相当する。又、そのように軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが挿通許容位置関係に位置する状態から、図14(c)に示すように、回転軸Sの抜け止め用溝部36の一方の端部に混練羽根Fの突起部56が当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度と、回転軸Sの抜け止め用溝部36の他方の端部に混練羽根Fの突起部56が当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度とを合わせた角度が、相対回転許容角度に相当する。
又、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対位置関係が、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向のいずれか一方側に若干の遊び角度だけずれた状態に対応する相対位置関係から、混練羽根Fの突起部56が回転軸Sの抜け止め用溝部36の端部に当接する状態に対応する相対位置関係までの間で、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係で位置することになる。
【0065】
(C−3)図15に基づいて、第3別実施形態を説明する。尚、図15(a)は、回転軸S及び混練羽根Fを分離状態で示す斜視図であり、(b)、(c)は、回転軸S及び混練羽根Fを挿通状態で示す横断平面図である。以下の説明では、混練羽根Fにおいて、回転軸Sに装着した状態でのパンケース10側に対応する側を下側とし、パンケース10側とは反対側に対応する側を上側とする。
混練羽根Fは、上記の実施形態と同様に、円筒状基部51と羽根体52とを備えて構成されているが、実施形態の突起部53に代えて、円筒状基部51の内周面の上端部に、下方側ほど円筒状基部51の軸心側に位置する羽根側傾斜面60を有する突起部59が備えられている。
【0066】
回転軸Sは、上記の実施形態と同様の円柱状の軸状部31の上端部に、180度より大きい中心角の弓形状の上端面を有する頭部39を備えて、概略円柱状に構成されている。
この回転軸Sの頭部39の側周面において、頭部39の弓形の上端面の弦から下方に延びる部分は、弦の中央から下方に延びる稜線の両側の2面の軸側傾斜面40からなる山状に構成され、それ以外の側面部分は、円柱状の側面の一部にて構成されている。各軸側傾斜面40は、稜線とは反対側の上下の角部のうちの下側の角部が上側の角部よりも内径側に後退した形態の、所謂オーバーハング状に形成されている。この頭部39における2面のオーバーハング状の軸側傾斜面40夫々の下方に、凹部40dが形成される。
【0067】
回転軸心Sa方向視において、回転軸心Saと混練羽根Fの突起部59における幅方向の中央の点とを結ぶ半径上の位置を、混練羽根Fにおける周方向での基準部位Fpとし、回転軸心Saと回転軸Sの頭部39における弓型の弦の中央の点とを結ぶ半径上の位置を、回転軸Sにおける周方向での基準部位Spとする。
そして、図15(a)に示すように、夫々の周方向での基準部位Sp,Fpが略同位置に位置する状態での周方向の相対位置関係にて、混練羽根Fを回転軸Sの上方に位置させて、混練羽根Fを回転軸心Saに沿って回転軸Sに近付けると、図15(a)に示すように、回転軸Sの頭部39を、混練羽根Fの円筒状基部51にその突起部59に対向する状態となるまで挿通させることが可能である。
又、そのように混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの頭部39に挿通させた挿通状態で、図15(c)に示すように、混練羽根の突起部59が回転軸Sの凹部40dに入り込んで、突起部59の羽根側傾斜面60が凹部40dのオーバーハング状の軸側傾斜面40に当接する状態となるまで、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って両側に相対回転自在である。
【0068】
混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って相対回転させると、混練羽根Fの突起部59が回転軸Sの凹部40dに入り込んで、突起部59の羽根側傾斜面60が凹部40dのオーバーハング状の軸側傾斜面40とが略全面にわたって当接するように構成されている。そして、突起部59が凹部40dに入り込んで、それらが上下方向で重なって干渉する状態では、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って相対離間移動させることができない状態となって、混練羽根Fが回転軸Sに対して抜け止めされる。
【0069】
つまり、回転軸Sにおける2枚のオーバーハング状の軸側傾斜面40を有する頭部39を備えた軸状部31が、軸側連結部Scとして機能し、混練羽根Fにおける羽根側傾斜面60を有する突起部59を内周面に備えた円筒状基部51が、羽根側連結部Fcとして機能するように構成されている。又、回転軸Sの2面のオーバーハング状の軸側傾斜面40夫々により形成される凹部40dが、軸側連結部Scの軸側抜け止め部Seとして機能し、混練羽根Fの突起部59が、羽根側連結部Fcの羽根側抜け止め部Feとして機能するように構成されている。
そして、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で略同位置(若干の遊び角度を含む)に位置する相対位置関係(図15(a),(b)に示す状態)が、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの挿通許容位置関係に相当する。又、そのように軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが挿通許容位置関係に位置する状態から、図15(c)に示すように、回転軸Sの一方のオーバーハング状の軸側傾斜面40が混練羽根Fの羽根側傾斜面60に当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度と、回転軸Sの他方のオーバーハング状の軸側傾斜面40が混練羽根Fの羽根側傾斜面60に当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度とを合わせた角度が、相対回転許容角度に相当する。
又、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの相対位置関係が、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向のいずれか一方側に若干の遊び角度だけずれた状態に対応する相対位置関係から、回転軸Sのオーバーハング状の軸側傾斜面40が混練羽根Fの羽根側傾斜面60に当接する状態に対応する相対位置関係までの間で、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係で位置することになる。
【0070】
(C−4)図16に基づいて、第4別実施形態を説明する。尚、図16(a)は、回転軸S及び混練羽根Fを分離状態で示す斜視図であり、(b)、(c)は、回転軸S及び混練羽根Fを挿通状態で示す横断平面図である。
混練羽根Fは、上記の実施形態と同様に、円筒状基部51と羽根体52とを備えて構成されているが、円筒状基部51の上端部の孔が、中心角が180度よりも大きい弓形状の弓形状孔61に形成されている。その弓形状孔61の内周面において、弓形の弦に対応する部分の羽根側粗面62は、例えば、サンドブラスト処理等を施して、梨地状等の表面粗度が大きい粗面に形成されている。
【0071】
回転軸Sは、上記の実施形態と同様の円柱状の軸状部31の上端部に、中心角が180度よりも大きい弓形の弦と二等辺三角形の底辺とが合わさった形状の横断面形状を有する頭部41を備えて、概略円柱状に構成されている。この頭部41の外周面のうち、横断面形状の二等辺三角形における長さが等しい2辺夫々に対応する2面の軸側粗面42は、例えば、サンドブラスト処理等を施して、梨地状等の表面粗度が大きい粗面に形成されている。
【0072】
回転軸心Sa方向視において、回転軸心Saと混練羽根Fの弓形状孔61における弦の中央の点とを結ぶ半径上の位置を、混練羽根Fにおける周方向での基準部位Fpとし、回転軸心Saと回転軸Sの頭部41における2面の軸側粗面42にて形成される角部とを結ぶ半径上の位置を、回転軸Sにおける周方向での基準部位Spとする。
そして、図16(a)に示すように、夫々の周方向での基準部位Sp,Fpが略同位置に位置する状態での周方向の相対位置関係にて、混練羽根Fを回転軸Sの上方に位置させて、混練羽根Fを回転軸心Saに沿って回転軸Sに近付けると、図16(a)に示すように、回転軸Sの頭部41が混練羽根Fの弓形状孔61に嵌まり込んだ状態で、混練羽根Fの円筒状基部51に回転軸Sの軸状部31を挿通させることが可能である。
又、そのように混練羽根Fの弓形状孔61に回転軸Sの頭部41を挿通させた挿通状態で、図16(c)に示すように、回転軸Sの各軸側粗面42が混練羽根Fの羽根側粗面62に当接する状態となるまで、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って両側に相対回転自在である。
【0073】
混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って相対回転させると、回転軸Sの各軸側粗面42と混練羽根Fの羽根側粗面62とが略全面にわたって当接するように構成されており、このように両者とも表面粗度が大きい軸側粗面42と羽根側粗面62とが当接して、それら軸側粗面42と羽根側粗面62とが干渉する状態では、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って相対離間移動させることが困難な状態となって、混練羽根Fが回転軸Sに対して抜け止めされる。
【0074】
つまり、回転軸Sにおける軸側粗面42を外周面に有する頭部41を備えた軸状部31が、軸側連結部Scとして機能し、混練羽根Fにおける上端部に弓形状孔61を備えた円筒状基部51が、羽根側連結部Fcとして機能するように構成されている。又、回転軸Sの2面の軸側粗面42が、軸側連結部Scの軸側抜け止め部Seとして機能し、混練羽根Fの羽根側粗面62が、羽根側連結部Fcの羽根側抜け止め部Feとして機能するように構成されている。
そして、回転軸Sの基準部位Spと混練羽根Fの基準部位Fpとが周方向で略同位置(若干の遊び角度を含む)に位置する状態(図16(a),(b)に示す状態)が、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとの挿通許容位置関係に相当する。又、そのように軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが挿通許容位置関係に位置する状態から、図16(c)に示すように、回転軸Sの一方の軸側粗面42が羽根側連結部Fcの羽根側粗面62に当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度と、回転軸Sの他方の軸側粗面42が羽根側連結部Fcの羽根側粗面62に当接するまで回転軸Sを混練羽根Fに対して相対回転させた角度とを合わせた角度が、相対回転許容角度に相当する。
又、回転軸Sの一方の軸側粗面42が羽根側連結部Fcの羽根側粗面62に当接する状態、及び、回転軸Sの他方の軸側粗面42が羽根側連結部Fcの羽根側粗面62に当接する状態において、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係で位置することになる。つまり、軸側連結部Scに対する羽根側連結部Fcの周方向での相対位置が、相対回転許容角度範囲の両端部夫々にあるときに、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとが抜け止め相対位置関係になる。
【0075】
(C−5)更に、上記の第1〜第4別実施形態とは別に、上記実施形態において説明した軸側連結部Sc及び羽根側連結部Fc夫々の構成を基本にして、下記の別実施形態が可能である。
即ち、回転軸Sに溝部33を設けるに、上記実施形態では、相対回転許容角度範囲の両端部夫々の抜け止め角度が等しくなるように設けたが、相対回転許容角度範囲の両端部夫々の抜け止め角度が異なるように設けても良い。
この場合、制御部16を構成するに、抜け止め処理において、相対回転許容角度から小さいほうの抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ回転軸Sを回転させるべく、電動モータ12を作動させるように構成する。
【0076】
(C−6)上記の実施形態では、軸側連結部Scの軸側抜け止め部Se及び羽根側連結部Fcの羽根側抜け止め部Feを構成するに、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って相対離間移動させることができないように干渉させるべく構成したが、これに代えて、回転軸Sと混練羽根Fとを回転軸心Sa方向に沿って所定の範囲では相対移動させることができるが、その所定の範囲以上は相対移動させることができないように(即ち、相対離間できないように)干渉させるべく構成しても良い。
【0077】
又、回転軸Sに溝部33を設けるに、上記実施形態では、基準部位Spの両側に存在するように設けたが、基準部位Spの一方側にのみ存在するように設けても良い。この場合は、混練羽根Fの突起部53と回転軸Sの溝部33とが互いに近接する向きに、混練羽根Fと回転軸Sとを周方向に沿って相対回転させることにより、軸側連結部Scと羽根側連結部Fcとを抜け止め相対位置関係に位置させることになる。
そして、制御部16を構成するに、抜け止め処理において、相対回転許容角度から抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ回転軸Sを回転させるべく、電動モータ12を作動させるように構成する。但し、回転軸Sの回転方向は、混練羽根Fの突起部53と回転軸Sの溝部33とが互いに近接する方向である。
【0078】
(D)抜け止め相対位置関係で位置するときの軸側連結部Scに対する羽根側連結部Fcにおける回転軸Sの周方向での相対位置は、上記の実施形態において例示した相対回転許容角度範囲の端部に限定されるものではなく、相対回転許容角度範囲の中間に設定しても良い。
【0079】
(E)自動焼き上げモードにおいて、異なる複数種の工程(上記の実施形態では、予熱工程、混練工程、発酵工程、ガス抜き工程、焼成工程、及び、保温工程)の実行形態(工程の種類、順序、回数)は、上記の実施形態において例示した実行形態に限定されるものではない。
例えば、ガス抜き工程と発酵工程とを順次実行するガス抜き発酵工程を実行するに当たって、その回数は、上記の実施形態において例示した2回に限定されるものではなく、1回でも3回以上でも良い。
又、ガス抜き工程を省略して、発酵工程を1回だけ実行しても良い。
又、別の材料を投入する工程を実行しても良い。
又、上記の実施形態では、3回目の発酵工程に続いて、直ちに焼成工程を実行したが、3回目の発酵工程の後、電熱ヒータ11及び電動モータ12共に制御せずに、所定の時間放置する待機工程を実行し、その後、焼成工程を実行するように構成しても良い。又、この待機工程は、予熱工程と混練工程等の間や、混練工程と1回目の発酵工程との間で実行しても良い。
【0080】
(F)抜け止め処理を実行するタイミングを任意に設定可能な抜け止めタイミング設定部を設けても良い。但し、設定可能なタイミングは、最終の発酵工程の開始時点以後に限定される。この場合、焼き上がったパンに形成される空洞が極力小さくなるように、抜け止め処理を実行するタイミングを設定することができる。
【0081】
(G)回転軸Sの設置数は、上記の実施形態において例示した2個に限定されるものではなく、1個でも3個以上でも良い。
【0082】
(H)加熱手段の具体例は、上記の実施形態において例示した電熱ヒータ11に限定されるものではなく、例えば、IH(電磁誘導)ヒータを採用することができる。
又、本発明を適用可能な製パン機は、上記の実施形態において例示した如き製パン専用タイプのものに限定されるものではなく、例えば、炊飯機能も備えた炊飯兼用タイプのものにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、焼き上げたパンをパンケースから取り出す際に、混練羽根が回転軸から抜けるのを防止し得る製パン機及びその製パン機の運転方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0084】
5 加熱室
10 パンケース
11 電熱ヒータ(加熱手段)
12 電動モータ(回転駆動手段)
16 制御部(制御手段)
32 頭部
33 溝部(凹部)
39 頭部
40d 凹部
53 突起部
59 突起部
F 混練羽根
Fc 羽根側連結部
Fe 羽根側抜け止め部
S 回転軸
Sa 回転軸心
Sc 軸側連結部
Se 軸側抜け止め部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段を有する加熱室と、回転軸を底部から突出する状態で備え且つ前記加熱室内に着脱自在に配置されるパンケースと、前記加熱室内に配置された前記パンケースの前記回転軸を回転駆動する回転駆動手段と、前記回転軸に着脱自在に取り付けられて前記回転軸と一体回転する混練羽根と、前記加熱手段及び前記回転駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、前記回転駆動手段を作動させて前記パンケース内の製パン材料を混練する混練工程の後、前記加熱手段を加熱作動させて前記製パン材料を発酵させる発酵工程を少なくとも1回実行し、さらに、前記加熱手段を加熱作動させて前記製パン材料を焼き上げる焼成工程を実行するように構成され、
前記回転軸、前記混練羽根にそれぞれ軸側連結部、羽根側連結部が、前記回転軸の回転軸心方向での相対接近により一方が他方に挿通可能で、且つ、一方が他方に挿通された挿通状態で前記回転軸と同心状となるように設けられ、
前記軸側連結部及び前記羽根側連結部が、前記回転軸心周りに沿う周方向における相対位置関係が所定の挿通許容位置関係にあるときに前記挿通状態になるのが許容され、且つ、前記挿通状態において、前記回転軸心を中心とする中心角で定義される相対回転許容角度範囲内で相対回転自在に構成され、
前記軸側連結部及び前記羽根側連結部が前記挿通状態にあり、且つ、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記周方向における相対位置関係が前記相対回転許容角度範囲内の抜け止め相対位置関係にあるときに、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記回転軸心方向での相対離間を阻止するように互いに干渉する軸側抜け止め部、羽根側抜け止め部が、それぞれ前記軸側連結部、前記羽根側連結部に設けられた製パン機であって、
前記制御手段が、最終の発酵工程の開始時点以後に、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記周方向における相対位置関係が前記抜け止め相対位置関係になるように、前記回転軸を回転させるべく前記回転駆動手段を作動させる抜け止め処理を実行可能に構成されている製パン機。
【請求項2】
前記制御手段が、前記最終の発酵工程の中間時点から前記焼成工程の中間時点までの間で、前記抜け止め処理を実行する請求項1に記載の製パン機。
【請求項3】
前記軸側連結部に対する前記羽根側連結部の前記周方向での相対位置が、前記相対回転許容角度範囲の端部にあるときに、前記軸側連結部と前記羽根側連結部とが前記抜け止め相対位置関係になる請求項1又は2に記載の製パン機。
【請求項4】
前記軸側連結部に対する前記羽根側連結部の前記周方向での相対位置が、前記相対回転許容角度範囲の端部から0度よりも大きく且つ前記相対回転許容角度よりも小さい抜け止め角度範囲内にある状態において、前記軸側連結部と前記羽根側連結部とが前記抜け止め相対位置関係になるように構成され、前記抜け止め角度範囲が、前記相対回転許容角度範囲の両端部夫々に設けられ、
前記制御手段が、前記抜け止め処理において、前記相対回転許容角度範囲の両端部夫々の前記抜け止め角度が等しい場合は、前記相対回転許容角度から一方の前記抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、前記相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ前記回転軸を回転させるべく、前記相対回転許容角度範囲の両端部夫々の前記抜け止め角度が異なる場合は、前記相対回転許容角度から小さいほうの前記抜け止め角度を減じた角度以上で、且つ、前記相対回転許容角度以下の範囲に設定される角度だけ前記回転軸を回転させるべく、前記回転駆動手段を作動させる請求項3に記載の製パン機。
【請求項5】
前記制御手段が、前記抜け止め処理においては、その直前の前記回転駆動手段を作動させる工程における最後に回転させた前記回転軸の回転方向と同方向に前記回転軸を回転させるべく、前記回転駆動手段を作動させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製パン機。
【請求項6】
前記制御手段が、前記抜け止め処理においては、その直前の前記回転駆動手段を作動させる工程における最後に回転させた前記回転軸の回転方向とは逆方向に前記回転軸を回転させるべく、前記回転駆動手段を作動させる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製パン機。
【請求項7】
前記羽根側連結部が、内周面における周方向の一部に内方側に突出する突起部を備えた円筒状に構成され、
前記軸側連結部に、それが前記挿通許容位置関係に相対位置する前記円筒状の羽根側連結部に挿通されたときに、前記突起部に対向するまで又は前記突起部を越えるまで前記円筒状の羽根側連結部に挿通可能な頭部と、前記軸側連結部が前記円筒状の羽根側連結部に挿通された状態で、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との相対回転に伴って前記突起部を係合させる凹部とが備えられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の製パン機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製パン機の運転方法であって、
最終の発酵工程の開始時点以後に、前記軸側連結部と前記羽根側連結部との前記周方向における相対位置関係が前記抜け止め相対位置関係になるように、前記回転軸を回転させるべく前記回転駆動手段を作動させる抜け止め処理を実行する製パン機の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−59559(P2013−59559A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201020(P2011−201020)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】