説明

製品管理システム

【課題】製品が生産から廃棄までを一環して管理すると共に、クレームに対しても容易かつ迅速に対応する。
【解決手段】少なくとも、出荷される各製品ごとに作成されるレコードが蓄積される製品データベース12と、データベースを検索する検索部110と、データベースに対する情報の入出力を行う入出力部111と、ネットワークを介して拠点に備えたコンピュータと接続する通信部112と、ネットワークを介して受信した情報を記憶する記憶部113とを備え、製品データベース12を構成するレコードは、少なくとも、各製品に個別に付された製品番号と、製品が出荷されてから廃棄されるまでにおける該製品の存在場所を表す物流情報とをデータ項目として有し、拠点に備えたコンピュータにおいて入力され通信部112及び入出力部111を介して物流情報のフィールドに記録された内容に基づいて、製品の物流を個別に管理する製品管理システム10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産した製品や工事施工物件、保守契約物件等の生涯管理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
メーカーの工場において生産された製品は、物流拠点や販売拠点、更には販売業者を経て顧客に渡るのが一般的である。そして、製品に故障や不具合が発生した場合には、販売業者やメーカーにクレームとして伝えられ、販売業者やメーカーの顧客担当者が顧客先に出向いて修理を行ったり、当該製品がメーカーに運ばれてメーカーにおいて修理が行われたりする。また、寿命等により修理不可能な場合には、廃棄されることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、工場からの出荷後はメーカーが製品を一括して管理することができないため、製品が流通のどの段階にあるのかを把握することができない。従って、製品に不具合等が発生したとしても、メーカーはそれを迅速に認識して対処することができないという問題がある。
【0004】
また、顧客は製品の寿命を把握することができないため、寿命が過ぎた後も引き続きその製品を使用し、適切なタイミングで廃棄を行わないためにトラブルが発生する場合がある。更に、産業廃棄物等の場合には顧客が自由に廃棄することができないため、メーカー側で廃棄についても責任を持たなければならない。
【0005】
一方、寿命が過ぎる前であっても、クレームが発生した場合には個別に対応しているために、過去に寄せられたクレームと同じようなクレームが他の顧客から寄せられたときにも別の担当者が一から対応していることが多く、迅速な対応を図ることができる体制にはなっていない。
【0006】
そこで本発明は、製品が生産から廃棄までを一環して管理すると共に、クレームに対しても容易かつ迅速に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための具体的手段として本発明は、少なくとも、出荷される各製品ごとに作成されるレコードが蓄積される製品データベースと、データベースを検索する検索部と、データベースに対する情報の入出力を行う入出力部と、ネットワークを介して拠点に備えたコンピュータと接続する通信部と、ネットワークを介して受信した情報を記憶する記憶部とを備え、製品データベースを構成するレコードは、少なくとも、各製品に個別に付された製品番号と、製品が出荷されてから廃棄されるまでにおける該製品の存在場所を表す物流情報とをデータ項目として有し、拠点に備えたコンピュータにおいて入力され通信部及び入出力部を介して物流情報のフィールドに記録された内容に基づいて、製品の物流を個別に管理する製品管理システムを提供する。
【0008】
そして、拠点には、生産・廃棄処理工場、物流・営業拠点、販売業者、顧客の何れかが含まれること、製品データベースは、廃棄の依頼の有無を示す廃棄依頼のデータ項目を有すること、製品データベースは、製品が廃棄されたか否かを示す廃棄フラグのデータ項目を有し、廃棄フラグのフィールドが廃棄されたことを示すときは、製品に関するレコードを削除すること、過去に発生した各クレームごとに作成されるレコードからなるクレームデータベースを備え、クレームデータベースは、少なくとも、クレーム内容と対応内容とをデータ項目として有し、いずれかの拠点で新たなクレームが発生して拠点のコンピュータにおいてクレームの内容が入力されてネットワークを介して内容を受信して記憶部に記憶したときは、クレームデータベースを検索部が検索し、そのクレームと同一のクレームがクレームデータベースに存在する場合には、同一のクレームが記録されたレコードの対応内容のフィールドを入出力部が読み出すこと、入出力部が読み出したフィールドの内容を、クレームが発生した拠点のコンピュータに転送すること、クレームデータベースは、クレームの内容が公開可能か否かを示す公開可否フラグをデータ項目として有し、検索部においては、公開可否フラグのフィールドの内容に基づき、クレームが発生した拠点のコンピュータに対応内容のフィールドの内容を送信するか否かを決定すること、クレームデータベースは、クレームの対象となった製品の品目を示す品目番号をデータ項目として有し、その品目を担当する社員に関する情報が記録された担当者のデータ項目を少なくとも有するレコードが蓄積される品目データベースを備え、更に、担当者の連絡先を示す電話番号またはメールアドレスのデータ項目を有する社員データベースを備え、品目番号に基づき、品目データベース及び社員データベースを検索し、品目を担当する担当者を求めること、新たに発生したクレームと同一のクレームがクレームデータベースに存在しない場合には、クレーム内容をデータ項目として有するレコードをクレーム対応データベースに作成し、クレーム内容のフィールドに、新たに発生したクレームの内容を記録すること、クレーム対応データベースを構成するレコードは、少なくとも、対応開始、行動予定、発生原因、解決策、解決方針、効果のデータ項目を有することを付加的な要件とする。
【0009】
このように構成される製品管理システムによれば、製品の存在場所が常にデータベースに記録されるため、物流段階における製品の動きを把握することができると共に、廃棄の申請に応じ、廃棄する製品を集荷することができる。
【0010】
また、クレームが発生した場合には、まず過去に同じクレームがあったかどうかを検索し、同じクレームがあった場合には、そのときの対応内容を参照して迅速に解決を図ることができる。また、対応内容を拠点のパソコンに画面表示させることにより顧客のみで解決することができる。
【0011】
更に、過去に同じクレームがなかった場合でも、クレームの内容に応じて品目ごとの担当者に迅速に連絡がなされ、当該品目に関する各部門において原因を究明すると共に解決策を検討することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製品の存在場所が常にデータベースに記録されるため、物流段階における製品の動きを把握することができると共に、廃棄の申請に応じ、廃棄する製品を集荷することができるため、製品の生産・出荷から廃棄までの生涯管理を容易かつ円滑に行うことができる。
【0013】
また、クレームが発生した場合には、まず過去に同じクレームがあったかどうかを検索し、同じクレームがあった場合には、そのときの対応内容を参照して迅速に解決を図ることができる。また、対応内容を拠点のパソコンに画面表示させることができるため、担当者が拠点に出向かずに迅速かつ的確な対応を行うことができる。
【0014】
更に、過去に同じクレームがなかった場合でも、クレームの内容に応じて品目ごとの担当者に迅速に連絡がなされ、当該品目に関する各部門において原因を究明すると共に解決策を検討することができるため、この場合も迅速かつ的確な対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る製品管理システムの構成の一例を示す説明図である。
【図2】同製品管理システムを構成するデータベースの内容を示す説明図である。
【図3】同製品管理システムにおける製品の生涯管理の手順を示すフローチャートである。
【図4】同製品管理システムにおけるクレーム処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】同製品管理システムにおける管理の対象が物件である場合の物件データベースの内容の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態の一例として、製品の生産から廃棄までを一括して管理することができる図1に示す製品管理システム10を例に挙げて説明する。この製品管理システム10は、メーカー100において構築されたシステムであり、サーバー11と、このサーバー11からアクセスされる製品DB12、顧客DB13、クレーム対応DB14、クレームDB15、品目DB16、社員DB17、関係業者DB18とから構成される。
【0017】
サーバー11には、各DBを検索する検索部110と、各データベースに対する情報の入出力を行う入出力部111と、インターネット等のネットワークを介して各拠点に備えたコンピュータと接続する通信部112と、ネットワークを介して受信した情報を記憶する記憶部113とを備えている。
【0018】
一方、管理の対象となる製品は、生産・廃棄処理工場21において生産され、物流・営業拠点22及び販売業者23を経て、顧客24に提供される。そして、生産・廃棄処理工場21、物流・営業拠点22、販売業者23、顧客24のそれぞれの拠点に備えたコンピュータ21a、22a、23a、24aは、ネットワークの一種であるインターネット25を介してサーバー11に接続可能となっている。
【0019】
サーバー11には、インターネット25を介してアクセスされるホームページを有しており、コンピュータ21a、21b、21c、21dからは、通信部112を介してこのホームページの内容を見たり、メーカー100に対する要望、クレーム等の情報を書き込んだりすることができる。そして、書き込まれた情報は、最新の情報として各DBに反映させることができる。
【0020】
次に、各DBの内容について図2を参照して説明する。製品DB12は、個々の製品ごとにレコードが作成されるデータベースであり、各レコードのデータ項目は、各製品に付される固有の番号である製品番号12aと、当該製品の品目ごとに付される番号である品目番号12bと、当該製品の製造時のロットごとに付されるロット番号12cと、当該製品の生産日や生産拠点、生産ラインを示す生産情報12dと、当該製品の入出荷業者名や存在場所を示す物流情報12eと、当該製品に関する廃棄の依頼の有無を示す廃棄依頼12fと、当該製品が廃棄済みかどうかを示すフラグである廃棄フラグ12gとから構成される。
【0021】
顧客DB13は、顧客ごとにレコードが作成されるデータベースであり、各レコードのデータ項目は、製品を購入した顧客ごとに付される固有の番号である顧客番号13aと、当該顧客の氏名や名称を示す顧客名称13bと、当該顧客が購入した製品の製品番号を示す購入製品13cと、当該顧客の営業担当者の社員番号を示す担当者13dとから構成される。
【0022】
クレーム対応DB14は、顧客が購入した製品について顧客から寄せられたクレームを記録し、クレーム対応の進捗管理のためにクレームごとにレコードが作成されるデータベースであり、各レコードのデータ項目は、クレームに対する対応を開始したか否かを示す対応開始14aと、担当者の行動予定を示す行動予定14bと、各部門で究明したクレームの発生の原因を示す発生原因14cと、各部門で検討した解決策を示す解決策14dと、最終的に決定した解決の方針を示す解決方針14eと、実際に解決策を実施して得られた効果を示す効果14fとから構成される。
【0023】
クレームDB15は、過去のクレームの内容をクレームごとのレコードとして蓄積したデータベースであり、各レコードのデータ項目は、クレームごとに付された番号であるクレーム番号15aと、当該クレームが発生した顧客の番号を示す顧客番号15bと、当該クレームが発生した製品の番号を示す製品番号15cと、当該クレームの具体的内容を示すクレーム内容15dと、当該クレームに対応した担当者の社員番号を示す対応者15eと、具体的な対応の内容を示す対応内容15fと、クレームの内容が対外的に公開可能か否かを示す公開可否フラグ15gと、クレームが解決したか否かを示す解決済みフラグ15hとから構成される。
【0024】
品目DB16は、製品の品目ごとにレコードが作成されたデータベースであり、各レコードのデータ項目は、品目ごとに付された固有の番号である品目番号16aと、当該品目を構成する部品の購入先や加工者の業者番号を示す関係業者16bと、当該品目の設計や製造、部品の購入、検査を行った社員の社員番号を示す担当者16cと、当該品目の不具合発生状況や取扱注意事項を示す品質状況16dとから構成される。
【0025】
社員DB17は、製品を提供する会社の社員ごとにレコードが作成されるデータベースであり、開くレコードのデータ項目は、社員の番号を示す社員番号17aと、その社員の氏名を示す社員氏名17bと、その社員の緊急連絡時の電話番号を示す電話番号17cと、その社員の緊急連絡時の電子メールアドレスを示すメールアドレス17dとから構成される。
【0026】
関係業者DB18は、製品の製造に携わった業者ごとにレコードが作成されるデータベースであり、各レコードのデータ項目は、業者ごとに付された固有の番号である業者番号18aと、当該業者の名称である業者名称18bと、当該業者との取引開始時期や取引の量を示す取引状態18cと、当該業者からの受入検査における不良品発生率、欠品率、顧客評価を示す品質状態18dとから構成される。
【0027】
次に、製品の流通及びそれに伴う処理について図3、図4のフローチャートを参照して説明する。まず、生産・廃棄処理工場21において生産されたメーカー100の製品20は、物流・営業拠点22に出荷される。そして、物流・営業拠点22においては、製品を販売業者23に出荷し、顧客24は販売業者23を通じて購入した製品を手にすることができる。
【0028】
生産・廃棄処理工場21において製品が生産されると、まず、個々の製品に固有の番号が付される。この固有の番号は、例えばバーコードとして製品に貼り付けると共に、コンピュータ21aからサーバー11のホームページにアクセスしてその番号を入力することにより、入出力部111によって製品DB12の製品番号12aのフィールドに登録される。またこのとき、当該製品の品目番号12b、ロット番号12c、生産日や生産拠点、生産ラインについての生産情報12dも併せて製品DB12に記録する(S1)。
【0029】
製品番号が付された製品は、生産・廃棄処理工場21から物流・営業拠点22に出荷される。出荷の時点では、その製品が生産・廃棄処理工場21から出荷された旨及び出荷業者を入出力部111によって製品DB12の物流情報12eに記録する(S2)。
【0030】
物流・営業拠点22においては、生産・廃棄処理工場21からの製品入荷を検収した段階で、コンピュータ22aからサーバー11のホームページにアクセスすることにより、製品DB12の物流情報12eに、その製品が物流・営業拠点22に入荷して検収が終了した旨及びその物流・営業拠点22の名称、保管場所を入出力部111によって記録する(S3)。
【0031】
次に、販売業者23からの出荷依頼により物流・営業拠点22から販売業者23に製品を出荷する場合は、出荷の時点で物流・営業拠点22において製品に付された製品番号をバーコードリーダ等を用いて読み取り、通信部112を介してサーバー11のホームページにアクセスし、製品DB12の物流情報12eに物流・営業拠点22から出荷した旨を入出力部111によって記録する(S4)。この点は、顧客24から直接注文を受けて出荷した場合も同様である。
【0032】
一方、販売業者23においては、物流・営業拠点22からの製品入荷を検収した段階で、バーコードリーダ等を用いてその製品番号を読み取り、コンピュータ23aからサーバー11のホームページにアクセスし、製品DB12の物流情報12eに、その製品が販売業者23に入荷して検収が終了した旨及びその販売業者23の名称を入出力部111によって記録する(S5)。
【0033】
販売業者23においては、顧客からの注文に応じて製品を出荷する段階で、製品番号をバーコードリーダ等で読み取り、コンピュータ23aからサーバー11のホームページにアクセスし、製品DB12の物流情報12eに、顧客24にその製品を出荷した旨、顧客名等を入出力部111によって記録する(S6)。
【0034】
一方、製品を受け取った顧客24は、検収を完了すると、コンピュータ24aからサーバー11のホームページにアクセスし、製品DBの物流情報12eのフィールドに、製品を受け取った旨及びその購入者の氏名、住所等を記録する。また、購入者の氏名や名称、購入した製品の製品番号、営業の担当者を入力することにより顧客登録がなされる。顧客登録を行うと、顧客DB13を構成するレコードが作成され、顧客ごとに固有の番号が付与されて顧客番号13aに格納され、入力した内容が、顧客名称13a、購入製品13c、担当者13dに格納される(S7)。
【0035】
このように、生産・廃棄処理工場21における出荷から顧客24に製品が渡るまでの間において、製品の存在場所が常にデータベースに記録されるため、メーカー100は、製品の流通段階における製品の動きを把握することができる。
【0036】
製品が不要となって廃棄しようとする場合は、顧客24のコンピュータ24aから通信部112を介してサーバー11のホームページにアクセスし、廃棄を依頼する旨を入力すると、入出力部111によって製品DB12を構成するレコードの廃棄依頼12fのフィールドにその旨が記録される。
【0037】
一方、これを認識したメーカー100では、販売業者23または物流・営業拠点22に対して回収を指示し、当該製品を生産・廃棄処理工場21に集荷させる(S10、S11)。そして、生産・廃棄処理工場21において廃棄処理を行い、廃棄が完了すると、コンピュータ21aからサーバー11のホームページにアクセスし、入出力部111が製品DB12の廃棄フラグ12gにその製品が廃棄された旨をセットする。廃棄フラグ12gがセットされると、製品の生涯管理が終了する(S12)。
【0038】
こうして、顧客からの廃棄の申請に応じ、廃棄する製品を集荷することができるため、製品の出荷から廃棄までの生涯管理を容易かつ円滑に行うことができる。
【0039】
次に、クレーム処理について、図4を参照して説明する。顧客24において製品に故障等が発生した場合は、コンピュータ24aからサーバー11のホームページにアクセスし、そのホームページにおいて、製品番号及び顧客番号、具体的なクレームの内容を書き込むと、記憶部113を構成するメモリやハードディスクにそのクレームの内容が記憶される(S20)。また、製品の故障箇所をデジタルカメラで撮影し、デジタル画像を入力してホームページに書き込む。こうして各情報がホームページに入力されると、クレーム番号が付けられる。
【0040】
そしてサーバー11は、クレーム番号ごとのレコードをクレームDB15に作成する。このレコードには、個々のクレームごとにクレーム番号15aが付され、ホームページに書き込まれた内容に対応して、顧客番号15b、製品番号15c、クレーム内容15dが記録される。
【0041】
こうしてクレームが発生して記憶部113に記憶されると、メーカー100においては、サーバー11の検索部110が、クレームDB15から過去に作成された同じクレームがあるかどうかを検索する(S21)。該当するクレームがあった場合は、そのクレームの公開可否フラグを読み出し、その値からそのクレームが公開可能かどうかを検索部110において判断する(S22)。
【0042】
そして、クレームDB15の公開可否フラグ15gが公開可能であることを表している場合は、そのレコードの対応内容15fのフィールドを入出力部111が読み出して顧客24のパソコンに転送して表示させる(S23)。そして、顧客自身が対応し、解決した場合は、解決済みフラグ15hに解決済みである旨をセットする(S24)。
【0043】
一方、過去に作成されたクレームDBに該当するクレームがあるが公開不可能である場合、または過去に作成されたクレームDBに該当するクレームがない場合は、顧客DB13に登録されている担当者13dの社員番号を入出力部111が読み出し、これに基づき、検索部110が社員DB17において当該担当者の社員氏名17a、電話番号17c、メールアドレス17dを検索する。そして、顧客からの連絡を受けた対応者は、検索により求めた担当者の携帯電話に電話するか、または電子メールを送信することにより当該担当者と連絡をとる(S25)。
【0044】
連絡を受けた担当者は、顧客24を訪問するか電話連絡をとることにより、クレームの内容を確認する。そして、再度担当者がクレームDB15を検索して解決策を検討する(S26)。そして、解決できると判断した場合は、当該担当者が解決を図る(S27)。
【0045】
一方、解決策を見いだせない場合には、その製品の品目に応じた解決を図るために、その製品の製品DB12に登録された品目番号12bを入出力部111が読み出し、これに基づき、予め作成してある品目DB16を検索部110が検索し、担当者16cのフィールドからその品目の設計製造、購入、検査を行った各部門の担当者の社員番号をそれぞれ求める。そして、その社員番号に基づき、社員DB17を検索して各担当者の社員氏名17b、電話番号17cを求め、その電話番号に電話して当該担当者に連絡する。
【0046】
連絡を受けた各担当者が個別に対応を開始すると、クレーム対応DB14の対応開始14aのフィールドに対応を開始した旨のフラグをセットする(S28)。そして、各部門の担当者の当該品目に関する専門知識を生かしてクレームの発生原因を究明する。原因の究明にあたっては、品目DB16の品質状況16dのフィールドに記録された、当該品目に関する不具合発生内容や取扱注意事項を参照することができる。
【0047】
また、品目DB16の関係業者16bのフィールドに記録された加工者の業者番号から関係業者DB18を検索し、業者名称18b、取引状態18c、品質状態18dを参照することができる。なお、クレーム対応DB14の行動予定14bのフィールドに各担当者の行動予定等を入力することで、進捗管理を行う。
【0048】
そして、各担当者が原因を究明すると、その原因をクレーム対応DB14の発生原因14cのフィールドに入力する(S29)。こうして各部門から出された原因について、メーカー100において重要度別にランク付けを行い、各部門に解決策を検討させる。
【0049】
各部門は、解決策をクレーム対応DB14の解決策14dに入力し、メーカー100では、解決策について全体的な妥当性を判断し、解決策の方針を決定する。そして、決定した方針をクレーム対応DB14の解決方針14eのフィールドに書き込み、顧客24には、クレームの発生原因及び解決策の方針を連絡する(S30)。
【0050】
次に、その解決策を実施し、効果を評価してクレーム対応DB14の効果14fのフィールドに記録する(S31)。更に、評価結果と今後の対策を顧客24に報告して承諾を得る。この時点で発生したクレームは完結する。
【0051】
このように、クレームが発生した場合には、まず過去に同じクレームがあったかどうかを検索し、同じクレームがあった場合には、そのときの対応内容を顧客のパソコンに画面表示させることができるため、担当者が顧客に出向かずに、迅速かつ的確な対応を行うことができる。
【0052】
また、過去に同じクレームがなかった場合でも、クレームの内容に応じて部門ごとの担当者に迅速に連絡がなされ、各部門において原因を究明すると共に解決策を検討することができるため、この場合も迅速かつ的確な対応が可能である。
【0053】
なお、本実施の形態においては、製品の生産から廃棄までを管理する場合について説明したが、管理の対象は製品には限定されず、例えば、工事施工物件や保守契約物件についても同様の管理が可能である。例えば、工事施工物件を管理する場合は、図1に示したデータベースのほかに、図5に示す物件DB30をサーバー11に接続することにより、工事施工物件についても管理及びクレーム対応を行うことができる。
【0054】
この場合、例えば図5に示すように、物件番号30a、物件名称30b、使用製品30c、関係業者30d、担当者30eのフィールドを有するレコードを物件ごとに作成する。そして、物件番号30aのフィールドの内容をもとにして関係業者30dのフィールドに記録された業者や、担当者30eのフィールドに記録された施工担当者と連絡とりながらクレームの解決を図る。また、その物件に使用した製品に問題がある場合には、使用製品30cのフィールドに記録された製品番号に基づき、図1及び図2製品DB12を検索して解決を図る。保守契約物件についても同様の管理が可能である。
【0055】
なお、データベースがリレーショナルデータベースの場合は、上記の例で説明したレコードは行、フィールドは列となる。
【符号の説明】
【0056】
10…製品管理システム 100…メーカー
11…サーバー 110…検索部 111…入出力部
112…通信部 113…記憶部 12…製品DB
13…顧客DB 14…クレーム対応DB
15…クレームDB 16…品目DB 17…社員DB
18…関係業者DB
20…製品 21…生産・廃棄処理工場
22…物流・営業拠点 23…販売業者 24…顧客
21a、21b、21c、21d…コンピュータ
25…インターネット 30…物件DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、出荷される各製品ごとに作成されるレコードが蓄積される製品データベースと、データベースを検索する検索部と、データベースに対する情報の入出力を行う入出力部と、ネットワークを介して拠点に備えたコンピュータと接続する通信部と、該ネットワークを介して受信した情報を記憶する記憶部とを備え、
該製品データベースを構成するレコードは、少なくとも、各製品に個別に付された製品番号と、製品が出荷されてから廃棄されるまでにおける該製品の存在場所を表す物流情報とをデータ項目として有し、該拠点に備えたコンピュータにおいて入力され該通信部及び該入出力部を介して該物流情報のフィールドに記録された内容に基づいて、該製品の物流を個別に管理する製品管理システム。
【請求項2】
拠点には、生産・廃棄処理工場、物流・営業拠点、販売業者、顧客の何れかが含まれる請求項1に記載の製品管理システム。
【請求項3】
製品データベースは、廃棄の依頼の有無を示す廃棄依頼のデータ項目を有する請求項1または2に記載の製品管理システム。
【請求項4】
製品データベースは、製品が廃棄されたか否かを示す廃棄フラグのデータ項目を有し、該廃棄フラグのフィールドが廃棄されたことを示すときは、該製品に関するレコードを削除する請求項1乃至3に記載の製品管理システム。
【請求項5】
過去に発生した各クレームごとに作成されるレコードからなるクレームデータベースを備え、
該クレームデータベースは、少なくとも、クレーム内容と対応内容とをデータ項目として有し、
いずれかの拠点で新たなクレームが発生して該拠点のコンピュータにおいて該クレームの内容が入力されてネットワークを介して該内容を受信して記憶部に記憶したときは、該クレームデータベースを検索部が検索し、該クレームと同一のクレームがクレームデータベースに存在する場合には、該同一のクレームが記録されたレコードの対応内容のフィールドを入出力部が読み出す請求項1乃至4に記載の製品管理システム。
【請求項6】
入出力部が読み出したフィールドの内容を、クレームが発生した拠点のコンピュータに転送する請求項5に記載の製品管理システム。
【請求項7】
クレームデータベースは、クレームの内容が公開可能か否かを示す公開可否フラグをデータ項目として有し、検索部においては、該公開可否フラグのフィールドの内容に基づき、クレームが発生した拠点のコンピュータに対応内容のフィールドの内容を送信するか否かを決定する請求項5または6に記載の製品管理システム。
【請求項8】
クレームデータベースは、クレームの対象となった製品の品目を示す品目番号をデータ項目として有し、
該品目を担当する社員に関する情報が記録された担当者のデータ項目を少なくとも有するレコードが蓄積される品目データベースを備え、
更に、該担当者の連絡先を示す電話番号またはメールアドレスのデータ項目を有する社員データベースを備え、
該品目番号に基づき、該品目データベース及び該社員データベースを検索し、該品目を担当する担当者を求める請求項5乃至7に記載の製品管理システム。
【請求項9】
新たに発生したクレームと同一のクレームがクレームデータベースに存在しない場合には、
クレーム内容をデータ項目として有するレコードをクレーム対応データベースに作成し、該クレーム内容のフィールドに、該新たに発生したクレームの内容を記録する請求項5乃至8に記載の製品管理システム。
【請求項10】
クレーム対応データベースを構成するレコードは、少なくとも、対応開始、行動予定、発生原因、解決策、解決方針、効果のデータ項目を有する請求項9に記載の製品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−272132(P2010−272132A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173487(P2010−173487)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【分割の表示】特願2000−378715(P2000−378715)の分割
【原出願日】平成12年12月13日(2000.12.13)
【出願人】(000114905)ヤマトプロテック株式会社 (46)