複合体ウェブおよび封止システム
【課題】基材上に1つ以上のポリマー構造体を含む新規な複合体ウェブ、およびかかる複合体ウェブを製造するための新規な方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】基材に配置された1つ以上のポリマー構造体を有する複合体ウェブ、複合体ウェブを含む封止システム、および物品の取り付け方法が開示されている。ポリマー構造体は、熱可塑性組成物を用いて形成され、基材の表面に取り付けられている。ポリマー構造体は、基材に取り付けられた領域と、基材の表面に取り付けられていない分離領域とを含んでいる。
【解決手段】基材に配置された1つ以上のポリマー構造体を有する複合体ウェブ、複合体ウェブを含む封止システム、および物品の取り付け方法が開示されている。ポリマー構造体は、熱可塑性組成物を用いて形成され、基材の表面に取り付けられている。ポリマー構造体は、基材に取り付けられた領域と、基材の表面に取り付けられていない分離領域とを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に1つ以上のポリマー構造体を含む複合体ウェブ、およびかかる複合体ウェブを製造するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用中に受ける力に耐えるように何らかの補強を必要とするウェブで形成された物品の製造は知られている。多くの場合、補強は、単に基材またはウェブ全体を覆うことによりなされている。しかしながら、かかるやり方は、補強を必要としない領域さえも含む、ウェブの全表面の剛性ばかりでなく、ウェブのコストおよび重量をも増加させる可能性がある。さらに、ウェブと同一の広がりを有する補強層は、通気性を減じる恐れもある。
【0003】
これらの問題のいくつかを解決するために、小片の補強材料を、補強を必要とする選択した領域においてウェブまたは基材に取り付けてもよい。しかしながら、かかる不連続片の取扱いおよび取り付けは、処理量を減少し、廃棄物を生じ(個々の小片がしっかりと取り付けられない場合)、ウェブでの正確な位置決めまたは配置を必要とし、接着剤または他の結合剤等の使用を必要とする等の問題が生じる可能性がある。不連続片は、刺激や不快感の元となることがある比較的鋭い縁部を有する場合がある。補強片は一般的に基材の表面に配置されるため、刺激や不快感は悪化する可能性がある。
【0004】
補強基材またはウェブに加えて(またはその代わりに)、弾性を示す物品の製造も望ましい。弾性、すなわち、中程度の伸びの後に少なくとも部分的に元の形状を回復する能力を有する物品を製造することが、多くの理由から望まれている。例えば、弾性があると、衣類(例えば、おむつ、トレーニングパンツ、ガウン、寝具等)のような品目のための締結システムにとって有用である。衣類の弾性は、動的フィットと呼ぶことのできるもの、すなわち、着用者による動きに応じて伸張および回復する能力を与える。
【0005】
弾性は、他の用途と組み合わせるのにも有用である。例えば、ファスナによっては、ファスナを伸張し、所望の張力を与える回復力に頼ることにより生じさせることのできる張力をかけた状態にファスナを保持すると、より一貫性のある取り付けをもたらす。他の例では、弾性によって、ファスナまたは他の物品のサイズまたは長さを容易に調整することができる。
【0006】
弾性は様々な異なる用途において有用であるが、製造には問題がある。弾性を与える多くの試みは、例えば、裏材または他の非弾性部材を糊付けしたり、縫製して所望の弾性を与える個々の弾性構成要素によるものである。かかる複合体物品の製造は、弾性構成要素を確実に取り付けること及び/または確実な取り付けを維持するのが困難であるという点で問題がある。さらに、個々の弾性構成要素の用意および取り付けにかかるコストおよび困難さは比較的高い。個々の弾性構成要素の取扱いおよび取り付けにより、処理量が減少し、さらに廃棄物が出る(個々の構成要素がしっかりと取り付けられない場合)等の可能性がある。
【0007】
他の例では、所望の弾性を与えるように物品全体を構築してもよい。例えば、多くの弾性締結システムは、弾性材料が裏材と同一の広がりを有するフィルムの形態で備えられている弾性積層体裏材の使用に頼る。かかるやり方だと、同一の広がりを有する1又は複数の弾性層を与えるのにさらにコストがかかる。さらに、多くの弾性材料には通気性がない。弾性積層体裏材を衣類に用いられる場合、通気性を改善するために裏材を穿孔するのが望ましい。しかしながら、かかる追加の処理をすると、弾性積層体裏材を製造するコストが上がってしまう。弾性積層体裏材の他の潜在的な欠点は、裏材の異なる部分で生じる弾性回復力に何らかの調整を行うのが困難なことである。
【0008】
基材に不連続ポリマー構造体を備える様々なやり方が、例えば、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0085485 A1号明細書、「構造化不連続ポリマー領域を備えた複合体ウェブのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR COMPOSITE WEBS WITH STRUCTURED DISCRETE POLYMERIC REGIONS」、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0087098 A1号明細書、「補強ポリマー領域と弾性ポリマー領域を備えた複合体ウェブ(COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING POLYMERIC REGIONS AND ELASTIC POLYMERIC REGIONS)」、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0084996 A1号明細書、「補強不連続ポリマー領域を備えた複合体ウェブの製造方法(METHODS FOR PRODUCING COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING DISCRETE POLYMERIC REGIONS)」および2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0087059 A1号明細書、「不連続弾性ポリマー領域を備えた複合体ウェブ(COMPOSITE WEBS WITH DISCRETE ELASTIC POLYMERIC REGIONS)」に開示されているが、これらのやり方は、ロール温度、基材の組成等の点で特定の態様に限定されるであろう。
【0009】
取り付け手段を備えた封止要素およびシステムは周知である。当業界では、様々な設計および材料を含む数多くの様々なシステムが提供されている。例えば、米国特許第3,899,803号明細書には、シートと実質的に同じ面において1つの枠内に一体形成された別個の保持手段を有する保持要素を含むシート部材を含む自己保持装置が教示されている。保持要素として使用されるように、シートを曲げて、保持要素をシートの面に垂直に突出させる。
【0010】
さらに、米国特許第5,983,467号明細書には、相対剪断力を適用すると、第2の部分の表面にある構造体中の1つ以上の相補アパーチャとスライド可能に係合する第1の部分の表面にある1つ以上の島により概して達成される連結装置が教示されている。米国特許第4,887,339号明細書には、所定の長さに切断されると、ファスナの解除可能に係合可能な要素を形成するように構成されたポリマーシート材料のストリップが教示されている。米国特許第4,183,121号明細書には、2つの対向する接合する細長いストリップから構成される分離可能なファスナであって、当該ストリップの軸の1つとある角度を成して平行に配列されている一連の可撓性の相互係合する舌状部と、当該ストリップ中に部分的に重なる複数の開口部とを有するファスナが教示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
封止要素およびシステムに関する多くの技術があるにも係らず、低プロフィールの面内封止要素を低コストで提供するような封止システムが依然として必要とされている。かかる封止システムは、包装および使い捨ておむつのような品目に有利に用いることができるが、これらに限られるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基材上に配置された1つ以上のポリマー構造体を有する複合体ウェブ、複合体ウェブ、かかる複合体ウェブの製造方法、かかる複合体ウェブの製造システム、および複合体ウェブを含む封止システム並びに物品の取り付け方法を提供する。
【0013】
例えば、結合領域(bonded areas)と分離領域(detached areas)の両方を含む構造体がもたらされるように、1つ以上のポリマー構造体を有する複合体ウェブを基材に取り付けることができる。かかる構造体は、都合よいことに、例えば、ループ材料の繊維と係合することにより、本明細書に記載した押出しプロセスにより与えられるループ状材料と係合することにより、本明細書に記載した自己接合設計による等により、封止を行う封止要素および封止システムを与えることができる。
【0014】
ポリマー構造体は、熱可塑性組成物を用いて形成される。本発明に関して用いる「熱可塑性」(およびその変形)とは、熱に晒されると軟化し、室温まで冷却されると元の状態または元の状態近くまで戻るポリマーまたはポリマー組成物を意味する。本発明の方法に関連して使用される熱可塑性組成物は、本明細書に記載してあるように、形成ツールの凹部に流れ込む、または入り込むことができるものでなければならない。
【0015】
好適な熱可塑性組成物は、溶融加工可能なものである。かかるポリマーは、凹部を少なくとも部分的に充填するのに十分流れるとともに、溶融プロセス中に大幅に分解しないものである。様々な熱可塑性組成物が、凹部の幾何形状および処理条件に応じて、本発明のプロセスで用いるのに好適な溶融およびフロー特性を有している。さらに、溶融加工可能な材料および処理条件は、熱可塑性組成物の粘弾回復特性が、本明細書で説明するように、溶融した熱可塑性組成物をワイピングしている間に凹部から著しく引き抜かれないように選択するのが好ましい。
【0016】
本方法およびシステムにおいて、1つ以上のポリマー構造体を形成し、基材へ転写するのに用いる形成ツールは、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に維持される。本発明の熱可塑性組成物の溶融処理温度は、熱可塑性組成物が、5秒以内の時間内に形成ツール(本明細書に記載)の凹部へ流れ込み、または入り込むことのできる最低温度である。
【0017】
場合によっては、溶融処理温度は、アモルファス熱可塑性組成物のガラス転移温度であるかまたはそれより僅かに高く、あるいは結晶性または半結晶性熱可塑性組成物の融点であるかまたはそれより僅かに高い。熱可塑性組成物が、1種類以上の結晶性ポリマーおよび1種類以上の半結晶性ポリマーのいずれかまたは両方とブレンドされた1種類以上のアモルファスポリマーを含む場合は、溶融処理温度は、アモルファスポリマーの最高ガラス転移温度または結晶性および半結晶性ポリマーの最高融点より高い。さらに、ロール温度は、形成ツールに付着する溶融熱可塑性組成物の温度より少なくとも摂氏20°以上低いことが好ましい。
【0018】
形成ツールを比較的冷たく維持する潜在的な利点の一つは、形成ツール(円柱外側表面か、そこに形成された凹部内のいずれか)に適用された溶融熱可塑性組成物を、溶融熱可塑性組成物を少なくとも部分的に凍結または固化できるとともに外部ロール表面から遠位にある溶融熱可塑性組成物の少なくとも一部がポリマー構造体を形成する熱可塑性組成物の転写を行うのに十分な長さにわたって溶融したままであるように、この熱可塑性組成物の溶融処理温度未満に外部ロール表面と直接接触している溶融熱可塑性組成物が下がるということである。その結果、外部ロール表面から遠位の溶融熱可塑性組成物を基材に取り付けることができるとともに、外部ロール表面と接触している凍結または固化した熱可塑性組成物をその表面からきれいに剥がすことができる。
【0019】
形成ツールを比較的冷たく維持する他の潜在的な利点は、溶融熱可塑性組成物が転写される基材の組成が、形成ツール温度に制限されないことである。例えば、ロール温度を、転写プロセス中、基材へのいかなる損傷をも制限するように十分低くすることができる。ポリマー構造体は、そうである限り、ポリマー構造体と同じまたは同様の熱可塑性組成物を有する多孔性および非多孔性基材(例えば、フィルム)上にポリマー構造体を形成することができる。熱可塑性組成物自身でできた基材を含む場合は、基材の熱可塑性組成物は、その上に形成されるポリマー構造体に用いられる熱可塑性組成物の溶融処理温度またはそれ以下の溶融処理温度を有しているのが好ましい。基材の熱可塑性組成物の溶融処理温度にも、ポリマー構造体を形成するのに用いられる熱可塑性組成物に関連して上記に挙げたのと同じ定義が当てはまる。さらに、ロール温度は、基材の熱可塑性組成物の加工温度より少なくとも摂氏20°以上低いことが好ましいであろう。
【0020】
基材の内部凝集力および/または基材の引張り強度に関する問題は、基材を形成ツールから引き離すときにかかる力により基材の残りの部分から分離できるような繊維状構造体(例えば、織布、不織布または編繊維)を基材が含む場合はさらに問題となることがある。これらの問題点は、凹部における熱可塑性組成物の凍結または固化のために、本発明により制限される。凍結または固化により、基材およびポリマー構造体が形成ツールから除去される際に基材にかかる力を制限することができる。
【0021】
本発明の方法の他の潜在的な利点は、基材に面している熱可塑性組成物の一部を溶融させながら、1つ以上のポリマー構造体を基材の主面に転写できることである。基材が多孔性、繊維状等の場合には、圧力を加えることによって、熱可塑性組成物の一部を基材に浸透させ、及び/または基材の繊維を包み込むことによって、1つ以上のポリマー構造体の基材への取り付けを向上できる。基材が多孔性でなく、凹部の溶融熱可塑性組成物の温度に比べて十分に低い溶融処理温度を有する熱可塑性組成物で基材ができている場合には、ポリマー構造体の取り付けは、ポリマー構造体の熱可塑性組成物と基材の熱可塑性組成物を混合することにより成すことができる。
【0022】
本発明の他の潜在的な利点は、上部表面(すなわち、基材から見て外方に向いた表面)に形成された表面フィーチャーを含むポリマー構造体を提供する可能性である。表面フィーチャーは、例えば、ステム、フック、角錐、溝、インディシア(英数字その他)等であってよく、例えば、機械的締結等のような追加の機能を与える。これらの表面フィーチャーは、ポリマー構造体自身の形成および転写と同時に一体化されたプロセス工程(別個の後のプロセス工程に対して)で与えてもよい。あるいは、表面フィーチャーは、ポリマー構造体の形成後に与えることもできる。
【0023】
他の潜在的な利点は、1つ以上のポリマー構造体の形状、間隔および体積を制御できることである。場合によっては、各ポリマー構造体を不連続ポリマー構造体(すなわち、基材に転写された熱可塑性組成物により互いに接続されていない)として、複数のポリマー構造体を基材の第1の主面に与えるのが好ましい。
【0024】
本発明の他の潜在的な利点は、厚い熱可塑性組成物構造体間に薄いベースフィルムを提供できることに見出される。厚い熱可塑性組成物構造体は基材に取り付けられるが、ベースフィルムは基材に取り付けても取り付けなくてもよい。ベースフィルムは、例えば、接着剤により基材に取り付けることができる。
【0025】
本発明の方法のその他の潜在的な利点は、基材の長手方向に延在する1つ以上のポリマー構造体を備えることができることである(基材の幅を超えるように形成されない、すなわち、ポリマー構造体は、基材の主面と同一の広がりを持たないのが好ましい)。
【0026】
本発明の方法のその他の潜在的な利点は、あるポリマー構造体を熱可塑性組成物から形成でき、他のポリマー構造体を異なる熱可塑性組成物から形成するというように、異なる熱可塑性組成物を基材の幅を方向にわたって異なる領域に備えることのできる能力である。
【0027】
本発明の方法のさらに他の潜在的な利点は、基材の両主面に1つ以上のポリマー構造体を備えることができることである。対向する主面のポリマー構造体は、所望により、同一または異なる構造で形成することができる。
【0028】
一態様において、本発明は、外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、形成ツールの外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に形成ツールの外部表面を維持する工程と、形成ツールの外部表面上の溶融した熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した熱可塑性組成物の少なくとも一部を1つ以上の凹部に入れる工程と、1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を基材に、基材の第1の主面を1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物と接触させることにより転写する工程と、転写後に基材と1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を形成ツールから分離する工程とを含む、複合体ウェブの製造方法を提供する。複合体ウェブは、基材の第1の主面に配置された熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含むように形成される。この複合体ウェブにおいて、1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む。
【0029】
他の態様において、本発明は、外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、形成ツールの外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に形成ツールの外部表面を維持する工程と、形成ツールの外部表面上の溶融した熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した熱可塑性組成物の少なくとも一部を1つ以上の凹部に入れる工程と、1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を基材に、基材の第1の主面を1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物と接触させることにより転写する工程と、転写後に基材と1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を前記形成ツールから分離する工程とを含む、複合体ウェブの製造方法を提供する。1つ以上の凹部の表面から遠位の1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物の第1の部分は、1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物が、少なくとも基材の第1の主面と接触するまで熱可塑性組成物の溶融処理温度以上に保たれ、1つ以上の凹部の表面から遠位の1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物の第2の部分は、堆積後、かつ、基材の第1の主面との接触の前に、溶融処理温度より低くなる。複合体ウェブは、基材の第1の主面に配置された熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含むように形成され、1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、基材の第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含み、結合領域は、熱可塑性組成物の第1の部分を含み、分離領域は、熱可塑性組成物の第2の部分を含む。
【0030】
他の態様において、本発明は、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める複合体ウェブを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む。分離領域において、少なくとも1つのポリマー構造体は、基材の第1の主面に片持ちされた状態にあり、位置合せされている。
【0031】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める複合体ウェブを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、この結合領域から延在している3つ以上の別個の分離領域とを含み、3つ以上の別個の分離領域は基材の第1の主面に片持ちされた状態にあるが、取り付けられていない。
【0032】
他の態様において、本発明は、第1の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第1の封止要素を含み、第1の封止要素が第1の基材の第1の主面の領域を占める、封止システムを提供する。第1の封止要素により占められた領域は、熱可塑性ポリマー構造体が第1の基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、熱可塑性ポリマー構造体が、第1の基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含む。分離領域の熱可塑性ポリマー構造体の一部は、第1の基材の第1の主面の上に支持された第1の片持ちタブを形成し、第1の封止要素の結合領域と第1の封止要素の片持ちタブと第1の基材の第1の主面とが第1のポケットを形成する。封止システムはまた、第2の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第2の封止要素を含む。第2の封止要素は、第2の基材の第1の主面の領域を占め、第2の封止要素により占められた領域は、熱可塑性ポリマー構造体が第2の基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、熱可塑性ポリマー構造体が、第2の基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含む。分離領域の熱可塑性ポリマー構造体の一部は、第2の基材の第1の主面の上に支持された第2の片持ちタブを形成し、第2の封止要素の結合領域と第2の封止要素の片持ちタブと第2の基材の第1の主面とが第2のポケットを形成する。第1の封止要素の片持ちタブは、第2のポケット内に配置され、第2の封止要素の片持ちタブは、封止システムが閉じた構成にあるときに、第1のポケット内に配置される。
【0033】
他の態様において、本発明は、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める封止システムを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む。分離領域において、少なくとも1つのポリマー構造体は基材の第1の主面に片持ちされた状態にあり、位置合せされている。封止システムはまた、1つ以上のポリマー構造体の分離領域を受容することのできる1つ以上の開口部を有する相補的な表面も含む。閉じた構成において、基材の第1の主面は相補的表面と対向しており、少なくとも1つのポリマー構造体の少なくとも1つの分離領域は、相補的表面と基材の互いに対する動きが制限されるように、相補的表面の1つ以上の開口部内に配置される。
【0034】
他の態様において、本発明は、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める封止システムを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の前記第1の主面に取り付けられていない結合領域から延在している3つ以上の別個の分離に領域とを含む。3つ以上の別個の分離領域において、少なくとも1つのポリマー構造体は基材の第1の主面に片持ちされた状態にある。封止システムはまた、1つ以上のポリマー構造体の別個の分離領域を受容することのできる1つ以上の開口部を有する相補的表面も含む。閉じた構成において、基材の第1の主面は相補的表面と対向しており、少なくとも1つのポリマー構造体の少なくとも1つの別個の分離領域は、相補的表面と基材の互いに対する動きが制限されるように、相補的表面の1つ以上の開口部内に配置される。
【0035】
本発明のこれらおよびその他の特徴および利点を、本発明の様々な例証の実施形態により以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の方法により製造された複合体ウェブにある1つのポリマー構造体の断面図である。
【図2】複合体ウェブのポリマー構造体およびポリマー構造体間の基材に取り付けられていないベースフィルムの断面図である。
【図3】複合体ウェブのポリマー構造体およびポリマー構造体間の基材に取り付けられたベースフィルムの断面図である。
【図4】本発明の方法による複合体ウェブの製造に用いることのできる外部表面にある凹部を含む形成ツールの一部の平面図である。
【図5】図4の線5−5に沿った図4の凹部の断面図である。
【図6】本発明の方法による複合体ウェブのポリマー構造体の製造に用いることのできる形成ツールにある変形凹部の平面図である。
【図7】図6の線7−7に沿った図6の熱可塑性組成物を含有する凹部の一つの一部の拡大断面図である。
【図8】本発明の方法による複合体ウェブのポリマー構造体の製造に用いることのできる形成ツールにある他の凹部の一部の平面図である。
【図9】図8の線9−9に沿った図8の凹部の断面図である。
【図10】形成ツールにある1つのリング形の凹部の平面図である。
【図11】図10の線11−11に沿った図10の凹部の断面図である。
【図12】図10の線12−12に沿った図10の凹部の断面図である。
【図13】基材にある図10の凹部により形成されたポリマー構造体の断面図である。
【図14】基材の両主側にあるリング形ポリマー構造体を備えた複合体ウェブの一部の断面図である。
【図15】本発明の方法に従って基材にポリマー構造体を提供するのに用いてよい1つのポリマー転写システムの図である。
【図16】図15のシステムにおけるドクターブレードと形成ロールにある凹部の間の関係を示す拡大概略図である。
【図17】ベースフィルムが形成ロールの外部表面に形成された図15のシステムにおける、ドクターブレードと形成ロールにある凹部の間の関係を示す拡大概略図である。
【図18】形成ロールに対して基材を押し付けるコンフォーマルなバックアップロールを示す拡大部分断面図である。
【図19】区画された分配システムと方法に関連して有用な他の形成ロールとポリマー源を示す図である。
【図20】パターン化された凹部の形成された形成ロールの外部表面の一部の平面図である。
【図21】図20の形成ロールを用いて形成されたポリマー構造体を含む複合体ウェブの平面図である。
【図22】伸張後の図21の複合体ウェブの断面図である。
【図23】図20に示したのと同様の複合体ウェブにポリマー構造体を製造する他のシステムである。
【図24】図20に示したのと同様の複合体ウェブにポリマー構造体を製造する他の変形システムである。
【図25A】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25B】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25C】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25D】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25E】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図26a】楕円形の封止要素を含む複合体ウェブを示す。図26aは基材に取り付けられた複数の楕円形封止要素の平面図である。
【図26b】楕円形の封止要素を含む複合体ウェブを示す。図26bは図26aの線26b−26bに沿った図26aの単一楕円形要素の断面図である。
【図27a】バーブを有する封止要素を含む複合体ウェブを示す。図27aは基材に取り付けられた、各分離領域にバーブを備えた分離領域を含む複数の封止要素の平面図である。
【図27b】バーブを有する封止要素を含む複合体ウェブを示す。図27bは図27aの線27b−27bに沿った図27aの封止要素の断面図である。
【図28a】バーブを含む封止要素を有する本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28aは基材に取り付けられた複数の封止要素の平面図である。
【図28b】バーブを含む封止要素を有する本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28bは図28aの単一封止要素の拡大図である。
【図28c】バーブを含む封止要素を有する複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28cは図28bに示す線28c−28cに沿った図28aの単一封止要素の断面図である。
【図29A】封止要素を含む本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図29Aは基材に取り付けられた複数の封止要素の平面図である。
【図29B】封止要素を含む本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図29Bは図29Aの要素のいくつかの拡大平面図である。
【図29C】封止要素を含む本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図29Cは基材に結合される領域を形成するためにドクターブレード中のMD溝を用いて作成された図29Aおよび29Bの封止要素を示す。
【図30】個々の封止要素の変形形状を含む本発明の複合体ウェブの平面図を示す。
【図31a】封止システムを与える本発明の複合体ウェブの変形実施形態を示す。このシステムには、可撓性要素を有する封止要素が含まれる。図31aは、結合領域と、可撓性でバーブを含む分離領域とを含むスプリングタイプの係合部材封止要素の平面図である。
【図31b】封止システムを与える本発明の複合体ウェブの変形実施形態を示す。このシステムには、可撓性要素を有する封止要素が含まれる。図31bは、補助スロット受け部材により係合方向にある図31aのスプリングタイプの係合部材を示す。
【図32a】隆起部分とそれを取り囲む谷とを含む複合体ウェブの実施形態を示す。図32aはリッジの形態にある隆起部分を含む複合体ウェブの斜視図である。
【図32b】隆起部分とそれを取り囲む谷とを含む複合体ウェブの実施形態を示す。図32bは隆起部分とそれを取り囲む谷と、さらに隆起部分に取り付けられたポリマー構造体を含む複合体ウェブの断面図である。
【図33a】タブを含む封止システムの封止要素を示す。図33aは基材に取り付けられた第1の封止要素を示す。
【図33b】タブを含む封止システムの封止要素を示す。図33bは第2の基材の補助封止要素と嵌合され、図33aに示した線33b−33bに沿った図33aの封止要素の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上述した通り、本発明は、基材の表面に配置され、本発明の封止要素およびシステムを提供するポリマー構造体を含む複合体ウェブを提供する。様々な異なる構造を説明して、本発明による封止要素およびシステムの様々な実施形態を例示する。これらの例示の構成は、本発明を制限するものではなく、添付の請求項によってのみ制限されるものである。
【0038】
本明細書において、本発明の封止要素およびシステムに関して「占める」とは、要素またはシステムが基材の表面の上に直接配置、または基材の表面に取り付けられていることを意味するものと考えられ、要素またはシステムが基材の表面の上の直接の領域と、基材の表面に取り付けられた領域の両方を含む状況が含まれる。
【0039】
本明細書において「繊維」という用語には、不定の長さの繊維(例えば、フィラメント)および不連続な長さの繊維、例えば、ステープル繊維が含まれる。本発明で用いる繊維は多成分繊維であってもよい。「多成分繊維」という用語は、ドメインが分散、ランダムまたは非構造化となる傾向にあるブレンドに対して、繊維断面において、少なくとも2つの別個の長手方向に同延の構造化ポリマードメインを有する繊維のことを指す。別個のドメインはこのように、異なるポリマー部類(例えば、ナイロンとポリプロピレン)または同じポリマー部類(例えば、ナイロン)だがそれらの特性または特徴が異なるものから形成される。「多成分繊維」という用語には、同心および偏心シース−コア繊維構造、対称および非対称サイドバイサイド繊維構造、海島繊維構造、パイくさび繊維構造およびこれらの構造の中空繊維が含まれるがこれらに限られるものではない。
【0040】
図1は本発明に従って製造された複合体ウェブの一部の断面図である。複合体ウェブは、第1の主面11と第2の主面12とを備えた基材10を含む。1つ以上のポリマー構造体14が基材10の第1の主面11に配置されている。基材は2つ以上のポリマー構造体を含んでいてもよいものと考えられる。
【0041】
ポリマー構造体14は、それが配置された基材10の表面11の所望の部分を覆っていてもよい。ただし、ポリマー構造体14は基材10の表面全ては覆わない。例えば、ポリマー構造体は、基材の第1の主面の全てより少ない、好ましくは基材の第1の主面の75%未満、さらには基材の第1の主面の50%未満を占めるのが好ましい。この範囲の下端では、ポリマー構造体は、基材の第1の主面の少なくとも2%、好ましくは基材の第1の主面の5%以上、さらには基材の第1の主面の10%以上を占めるのが好ましい。ポリマー構造体が占める表面積の百分率で表した更なる割合は、例えば、1999年2月25日出願の米国特許出願第09/257,447号明細書「不連続ステム領域を有するウェブ(WEB HAVING DISCRETE STEM REGIONS)」(国際公開第00/50229号パンフレット)に記載されている。
【0042】
図2は、ポリマー構造体114が基材110の主面111に取り付けられた別の複合体ウェブ構造を示す。しかしながら、ポリマー構造体114は、薄いベースフィルム116により互いに接続されている。ベースフィルム116は、一般的に、ポリマー構造体114を基材110に形成し転写しながら作成される。さらに、ベースフィルム116は、一般的に、ポリマー構造体114と同じ熱可塑性組成物で製造される。ベースフィルムを備えたポリマー構造体の製造についてのいくつかの具体的プロセスについて以下に詳細に説明する。
【0043】
ベースフィルム116は、ポリマー構造体114の取り付け後複合体ウェブから除去してもよいし、適所に残してもよい。図2に示す通り、ベースフィルム116は、基材110の表面111の全表面を覆うように直接取り付けなくてもよい。かかる構成において、ベースフィルム116は、ポリマー構造体114の端部近傍で基材110に取り付けることにより、かつ/またはベースフィルム116をポリマー構造体114自身に取り付けることにより複合体ウェブの一部として保持してもよい。
【0044】
ポリマー構造体114およびベースフィルム116は、相対的な厚さにより複合体ウェブ構造において互いに区別することができる。ポリマー構造体114は、ベースフィルム116の最大厚さよりも厚い最大厚さ(基材110の局所表面111に対して法線で測定)を有する。例えば、ベースフィルム116の最大厚さは、形成ツールの凹部により形成されたポリマー構造体114の最大厚さの25%以下であるのが好ましい(より好ましくは10%以下)。
【0045】
図3に、ポリマー構造体114間のベースフィルム116が基材110の表面111に取り付けられた複合体ウェブを示す。場合によっては、ポリマー構造体114を取り付けるのと同時に、ポリマー構造体114を取り付けるのに用いるのと同じ機構(例えば、ベースフィルム116中の熱可塑性組成物が基材110に浸透すること、ベースフィルム116の熱可塑性組成物を基材熱可塑性組成物と混合すること等)を用いて、ベースフィルム116を基材110に取り付けてもよい。
【0046】
他の場合には、ポリマー構造体114を取り付けた後にベースフィルム116を基材110に取り付けてもよい。例えば、ベースフィルム116は、熱溶接、化学溶接、熱封止、圧力溶接、レーザー、超音波エネルギー等により基材110に取り付けてもよい。
【0047】
しかしながら、図示した実施形態においては、ベースフィルム116は、ベースフィルム116と表面111の間に介挿された接着剤118により基材110の表面111に取り付けられている。接着剤118は、例えば、硬化性、感圧、熱活性、ホットメルト等の好適な組成物としてよい。さらに、接着剤118は、基材をベースフィルム116およびポリマー構造体114と接触させる前に、基材110の表面111に提供してもよい、あるいは、ベースフィルム116を基材110と接触させる前にベースフィルム116に提供してもよい。
【0048】
接着剤118は、ポリマー構造体114と基材110の間に配置させるようには図示されていないが、これらの位置に提供してもよい。しかしながら、ポリマー構造体114の基材110への取り付け中に遭遇する条件(例えば、熱、圧力等)によっては、接着剤が劣化する等して、接着剤118が基材110への取り付けの主な機構として機能しないことがある。
【0049】
本発明の複合体ウェブのポリマー構造体は、規則的な繰り返しパターン(xおよびy方向の両方について)で基材の表面に均一な間隔であってもよいし、あるいは、ポリマー構造体の間隔および構成は所望であれば不均一としてもよい。さらに、ポリマー構造体が配置されたパターンは不規則であってもよい。
【0050】
他の態様において、本発明に従って製造された複合体ウェブのある部分には、均一な間隔で配置されたポリマー構造体が含まれていてもよいが、同じ複合体ウェブのその他の部分にはポリマー構造体がなくてもよい。さらに他の態様において、本発明に従って製造された複合体ウェブのある部分には、均一な間隔のポリマー構造体が含まれていてもよいが、同じ複合体ウェブのその他の部分には不均一な間隔のパターンで配列されたポリマー構造体が含まれていてもよい。さらに、本発明に従って製造された複合体ウェブの異なる部分には、互いに異なる繰り返しパターンで両者とも均一な間隔の異なる組のポリマー構造体が含まれていてもよい。
【0051】
ポリマー構造体は、所望の形状、例えば、正方形、矩形、六角形等とすることができる。形状は、認識可能な幾何形状の形態であってもなくてもよく、不規則な周囲を備えて無作為に形成してもよい。さらに、形状は必ずしも中空でない形状でなくてもよく、熱可塑性組成物が転写されない、またはベースフィルムが転写されない形状内に形成された島を含んでいてもよい。さらに他の変形例においては、ポリマー構造体の一部または全てが、インディシアの形態、例えば、文字、数字またはその他グラフィックシンボルであってもよい。
【0052】
本発明の複合体ウェブと組み合わせて用いられる基材は様々な構造を有していてよい。例えば、基材は織材料、不織材料、編材料、ネット、スクリム、発泡体、紙、フィルムまたはニップ点を通して供給できるその他連続媒体であってもよい。基材は、伸展性、弾性、可撓性、コンフォーマル性、通気性、多孔性および剛性のような様々な特性を有することができる。さらに、基材は、プリーツ、波形、マイクロクレープであったり、平坦なシート構造からの他の変形形状を含んでいてもよい。
【0053】
基材がその機械的安定性を失うよう、基材の軟化または溶解となる温度まで加熱されるロールにより基材を接触させるプロセスとは異なり、本発明の方法およびシステムは、基材がその機械的安定性を失うよう、軟化または溶融する温度より低い温度で好ましくは維持されるロールを用いる。一つの潜在的な利点は、ポリマー構造体およびベースフィルムに用いるものと同じまたは同様の熱可塑性組成物で基材を製造できることである。例えば、ポリオレフィン熱可塑性組成物のポリマー構造体を、同じまたは同様の熱可塑性組成物を含む基材に適用することができる(例えば、ポリプロピレン基材にポリプロピレンポリマー構造)。
【0054】
場合によっては、基材はあるレベルの伸展性を示し、また場合によっては弾性も示す。好ましい伸展性ウェブの初期降伏引張り力は少なくとも約50gm/cm、好ましくは少なくとも約100gm/cmである。さらに、伸展性ウェブは伸展性の不織ウェブであるのが好ましい。
【0055】
本発明に用いられる不織ウェブを作成するのに好適なプロセスは、エアレイング、スパンボンド、スパンレース、ボンドメルトブローンウェブおよびボンドカードウェブ形成プロセスが挙げられるがこれらに限られるものではない。スパンボンド不織ウェブは、紡糸口金において一連の微細ダイオリフィスから溶融熱可塑材をフィラメントとして押出すことにより作成される。押出されたフィラメントの直径は、例えば、非エダクティブまたはエダクティブ流体延伸または、米国特許第4,340,563号明細書(アペルら(Appel et al.)、同第3,692,618号明細書(ドルシュナーら(Dorschner et al.)、同第3,338,992号明細書および同第3,341,394号明細書(キンレー(Kinney))、同第3,276,944号明細書(レヴィ(Levy))、同第3,502,538号明細書(パターソン(Peterson))、同第3,502,763号明細書(ハートマン(Hartman))および同第3,542,615号明細書(ドボら(Dobo et al.))に記載されているようなその他の公知のスパンボンド機構により張力をかけると即時に減少する。スパンボンドウェブは好ましくはボンド(ポイントまたは連続ボンディング)される。
【0056】
不織ウェブ層をボンドカードウェブから作成してもよい。カードウェブは、分離ステープル繊維から作成され、繊維は結合またはカーディングユニットに送られ、そこで分離され、機械方向にステープル繊維が位置合わせされて、機械方向配向の繊維状不織ウェブが形成される。しかしながら、ランドマイザーを用いてこの機械方向配向を減じることができる。
【0057】
カーディングされたウェブを形成したら、いくつかあるボンディング方法のうちの1つ以上によりそのウェブを結合して、好適な引張特性を得る。あるボンディング方法は、パウダーボンディングであり、粉末状接着剤をウェブに分散させて、次に、通常は、ウェブおよび接着剤をホットエアで加熱することにより粉末状接着剤を活性化させる。他のボンディング方法は、パターンボンディングであり、加熱されたカレンダーロールまたは超音波ボンディング装置を用いて、通常は、局所ボンドパターンで繊維を結合する。ただし、所望であれば、ウェブはその全表面にわたって結合することもできる。通常、1つに結合させるウェブの繊維が多ければ多いほど、不織ウェブの引張特性が大きくなる。
【0058】
エアレイングは、本発明に有用な繊維状不織ウェブを作成することのできる他のプロセスである。エアレイングプロセスにおいて、6〜19ミリメートルの長さを有する小さな繊維の束が分離され、給気中に同伴させ、多くの場合真空供給器の助けを借りて、形成スクリーン上に堆積させる。ランダムに堆積させた繊維を、例えば、ホットエアまたはスプレー接着剤を用いて互いに結合する。
【0059】
溶融ブローン不織ウェブは、マルチダイオリフィスから熱可塑性ポリマーを押出すことにより形成される。ポリマー溶融流れは、ポリマーがダイオリフィスから排出される場所で直ちにダイの2面に沿って高速ホットエアまたは蒸気により即時に減衰される。得られるファイバーは、収集面で収集される前に、生じる乱気流の中で、合着ウェブへと交絡する。通常、十分な完全性と強度を本発明において与えるために、溶融ブローンウェブは、上述したエアボンディング、熱または超音波ボンディング等により更に結合されなければならない。
【0060】
ウェブは、国際公開第96/10481号パンフレット(アブートら(Abuto et al.)に開示されているようなスキップスリット加工により伸展性とさせることができる。弾性、伸展性ウェブが望ましい場合には、スリットは不連続であり、通常、ウェブに弾性構成要素を取り付ける前に切断される。これより困難であるが、非弾性ウェブを弾性ウェブに積層した後、非弾性ウェブ層にスリットを作成することも可能である。非弾性ウェブのスリットの少なくとも一部は、弾性ウェブ層の伸展性または弾性の意図する方向(少なくとも第1の方向)に対して略垂直(または実質的に垂直なベクトルを有する)ものとする。略垂直とは、選択したスリットの縦軸と伸展方向間の角度が60〜120度であることを意味する。全体の積層体が弾性となるように、十分な数の上にスリットが略垂直である。弾性積層体を少なくとも2つの異なる方向に弾性としたいときに、2つの方向にスリットを入れると有利である。
【0061】
本発明に関連して用いる不織ウェブはまた、米国特許第4,965,122号明細書、同第4,981,747号明細書、同第5,114,781号明細書、同第5,116,662号明細書および同第5,226,992号明細書(全てモーマン(Morman))に記載されているようなネックのある、または可逆的にネックのある不織ウェブとすることもできる。これらの実施形態において、不織ウェブは、伸展性の所望の方向に対して垂直な方向に延ばす。不織ウェブをこの伸び条件に設定すると、伸展方向に伸張および回復特性を有する。
【0062】
本発明に用いる基材は、基材の主面の片側または両側にある程度の多孔性を示すのが好ましく、溶融熱可塑性組成物を基材の主面の片側に与えると、溶融熱可塑性組成物が基材の多孔性表面の一部に浸透し、及び/またはこれを包み込むにつれて、溶融熱可塑性組成物と基材の間に機械的結合が形成される。本発明で用いる「多孔性」という用語には、形成されたボイドを含む構造と、繊維の間隙へ溶融熱可塑性組成物の浸透を可能とする多数の繊維から形成された構造(例えば、織、不織、編等)の両方が含まれる。多孔性表面に繊維が含まれる場合には、熱可塑性組成物は、基材の表面に繊維または繊維の部分を包み込むのが好ましい。
【0063】
基材が多孔性でなく(例えば、ポリマーフィルムのようなフィルムであり)、凹部の溶融熱可塑性組成物の温度に比べて十分に低い溶融加工温度を有する熱可塑性組成物でできている場合には、ポリマー構造体の取り付けは、ポリマー構造体中の熱可塑性組成物と基材中の熱可塑性組成物を混合する(例えば、ポリマー材料の溶融ボンディングまたはヒートシーリングにあるような表面混合)ことによりなされる。熱可塑性組成物自身でできた基材に、本発明によるポリマー構造体を取り付けるために、基材熱可塑性組成物は、そこに形成されたポリマー構造体に用いる熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有しているのが好ましい。
【0064】
溶融熱可塑性組成物を適用する適切な基材を選択するときは、基材の材料の種類および構造を考慮しなければならない。例えば、加工中にバラバラに壊れないよう、基材は十分な内部強度を有していなければならない。基材は、形成ツールから無傷で取り外せるよう形成ツールの温度で機械方向に十分な強度を有しているのが好ましい。
【0065】
本発明の方法により製造された物品の様々な断面図に示した基材は単一層構造として示されているが、基材は単一または多層構造であってもよいものと考えられる。多層構造を用いる場合には、様々な層が同一または異なる特性、構造を有することが理解されるでああろう。これらの態様のいくつかについては、例えば、1999年2月25日出願の米国特許出願第09/257,447号明細書「不連続ステム領域を有するウェブ(WEB HAVING DISCRETE STEM REGIONS)」(国際公開第00/50229号パンフレット)に記載されている。
【0066】
本発明のポリマー構造体は、様々な異なる熱可塑性ポリマー材料で形成することができる。本発明で用いることができる熱可塑性組成物としては、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメタクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリ塩化ビニル、アクリレート変性エチレン酢酸ビニルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、フルオロカーボン等が挙げられるがこれらに限られるものではない。好適な熱可塑性ポリマーのメルトフローインデックスは、ASTM D1238に規定されたポリマーについて適正な条件で測定したとき、通常、5〜200グラム/10分である。さらに、熱可塑性組成物は、例えば、熱可塑性ホットメルト接着剤であってもよい。
【0067】
本発明の熱可塑性組成物は、非エラストマーまたはエラストマー熱可塑性ポリマーのいずれか、または両方を含んでいてもよい。非エラストマー熱可塑性ポリマーは、冷却すると元の状態または元の状態近くまで溶融して戻り、周囲条件(室温および室内圧)でエラストマー特性を示さない溶融加工可能なものである。本発明で用いる「非エラストマー」とは、伸張させた後元の形状に実質的に戻らない材料のことを意味する。さらに、非エラストマーポリマーは、変形と緩和の後、永久歪を持続するのが好ましく、歪は、中程度の伸び、例えば、約50%で元の長さの好ましくは、少なくとも約20パーセント以上、より好ましくは少なくとも約30パーセント以上である(破断またはその他不具合なしに50%まで伸張可能な材料について)。
【0068】
エラストマー(または弾性)熱可塑性ポリマーは、冷却すると元の状態または元の状態近くまで溶融して戻り、周囲条件(室温および室内圧)でエラストマー特性を示すポリマー組成物である。本発明で用いる「エラストマー」とは、伸張させた後元の形状に実質的に戻る材料のことを意味する。さらに、エラストマーポリマーは、変形と緩和の後、僅かな永久歪を持続するのが好ましく、歪は、中程度の伸び、例えば、約50%で元の長さの好ましくは、約30パーセント以下、より好ましくは、約20パーセント以下である。本発明のエラストマー熱可塑性組成物は、純粋なエラストマーおよびエラストマー相または室温で実質的にエラストマー特性を示す成分とのブレンドの両方とすることができる。米国特許第5,501,679号明細書(クリューガーら(Krueger et al.))には、本発明で用いられるエラストマー材料に関してさらに記載がある。
【0069】
弾性熱可塑性組成物は1種類以上のポリマーを含むことができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリマーが室温で実質的にエラストマー特性を示すようなエラストマー相とのブレンドとすることができる。好適な弾性熱可塑性ポリマー組成物としては、従来のA−BまたはA−B−Aブロックコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー)のようなブロックコポリマー、エラストマーポリウレタン、オレフィンエラストマー、特に、エラストマーエチレンコポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、エチレン/オクテンコポリマーエラストマー、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーエラストマー)、およびこれらを互いに混合したもの、他の弾性熱可塑性ポリマーと混合したもの、非弾性熱可塑性ポリマーと混合したものが挙げられる。
【0070】
本発明に用いる熱可塑性組成物はまた、所望の効果を得るために様々な添加剤と組み合わせることができる。例えば、フィラー、減粘剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤(例えば、染料や顔料)、酸化防止剤、帯電防止剤、ボンディング助剤、アンチブロッキング剤、滑剤、安定剤(例えば、熱および紫外線)、発泡剤、微水球、ガラス泡、補強繊維(例えば、マイクロファイバー)、内部離型剤、熱伝導性粒子、導電性粒子等が挙げられる。熱可塑性組成物に有用なかかる材料の量は、かかる材料を処理および使用する当業者により容易に求めることができる。
【0071】
図4は、本発明の転写ロール30における1つの例示的の凹部34の平面図であり、図5は図4の線5−5に沿った凹部34の断面図である。凹部34は、直径が文字dで表される円形フットプリント(例えば、ロール表面32の凹部34における開口部の形状)を有する。凹部34は、転写ロール30の外部表面32から測定した深さ(文字hで表される)を有する。
【0072】
本発明に関連して用いられる形成ツールは、基材上にポリマー構造を形成するのに十分大きな凹部を含むのが好ましい。本発明の原理に従って形成された凹部および/またはポリマー構造は、様々なやり方で特徴付けられる。例えば、凹部34は、形成ツールの外部表面にあるフットプリントが占める面積、フットプリントの最大寸法(ロール表面の任意の方向における)、凹部の体積、フットプリントの形状等で特徴付けられる。
【0073】
凹部のフットプリントの占める面積で特徴付けられるとき、各凹部34は、約4平方ミリメートル(mm2)以上のフットプリントを有する。他の場合には、各凹部34は約8mm2以上の面積のフットプリントを有する。
【0074】
凹部を特徴付ける他のやり方は、転写ロール30の表面32で測定した最大フットプリント寸法によるものである。図4および5に示す円形フットプリントを備えた凹部については、最大寸法は全方向において同じであるが、本発明で用いる凹部は任意の所望の形状(例えば、細長い形状、不規則な形状等)としてよい。最大寸法は、転写ロール30の外部表面の一つ以上の方向で生じるが他の方向では生じないものである。最大のフットプリント寸法で特徴付けるときは、凹部は約2ミリメートル(mm)以上、場合によっては約5mm以上の最大フットプリント寸法を有する。
【0075】
細長いストランドをポリマー構造の一部として形成する場合には(形成ツールの溝か、形成ツールの外部表面に付着した熱可塑性組成物のストランドにより)、ストランドの幅は、その長手方向と直角な方向で測定したとき1ミリメートル以上であるのが好ましい。
【0076】
本発明で用いる凹部を特徴付けるさらに他のやり方は体積によるものである。例えば、凹部は、少なくとも約3立方ミリメートル(mm3)以上の凹部体積、あるいは約5立方ミリメートルの凹部体積を有する。
【0077】
図6および7に、凹部134がロール130の面に実質的に沿って配向された(すなわち、軸131と略位置合せされている)形成ツール130にある他の組の凹部を示す。ロール130は、使用の際に軸131周りに回転し、その結果、凹部134が一般的にクロスウェブ方向(ダウンウェブまたは機械方向に対する)に配向されたポリマー構造体を付着するように設計されている。2つ以上の凹部134がロール130の外部表面132に示されているが、ロールは、所望であれば、外部表面132に形成された1つのみのかかる凹部を含んでいてもよいものと考えられる。
【0078】
図7の断面図(図6の線7−7に沿った)は、本発明の形成ツールにおける凹部の他の任意の特徴を示している。凹部134は、浅い領域135と深い領域136を有している。異なる領域の深さは、形成ツール130の外部表面132に対して法線で測定される。例えば、深い領域136は図7に示すような高さhを有している。
【0079】
図7において、凹部134はその中に配置された熱可塑性組成物141を含んでいる。凹部134内の熱可塑性組成物141は、図7において、破線146で仕切られた2つの異なる特性を示すのが好ましい。凹部134の表面137近傍(例えば、表面137と破線146の間)の熱可塑性組成物141の部分は、凹部134への堆積後、凹部134の熱可塑性組成物141が基材と接触する前に熱可塑性組成物141の溶融処理温度より低くなるのが好ましい(詳細は後述する)。場合によっては、スキン層の凍結、固化、形成等する際に、溶融処理温度より低い熱可塑性組成物141の部分を特徴付けることができる。
【0080】
これとは対照的に、凹部134の表面137から遠位(例えば、破線146の逆側)の熱可塑性組成物141の部分は、凹部134の熱可塑性組成物141が基材と少なくとも接触するまで、熱可塑性組成物141の溶融処理温度以上に保たれることが好ましい。熱可塑性組成物141の遠位部分は、溶融処理温度以上に保たれるため、その部分を、例えば溶融しているものと特徴付けてもよい。溶融処理温度以上に保たれる熱可塑性組成物141のその遠位部分は、多孔性基材に浸透したり、本明細書に記載したポリマー基材と混合させることが可能である。
【0081】
破線146は、鋭い境界を仕切っているが、溶融および固化または凍結熱可塑性組成物141間の実際の境界は、鋭い線ではなく、むしろある程度の深さのある移行部である。
【0082】
図7に関連した図示した他の特徴は、処理中に、凹部134の浅い部分135を充填する質量の小さな溶融熱可塑性組成物に比べて、領域136を充填する質量の大きな熱可塑性組成物141である。異なる領域におけるこれらの異なる量の熱可塑性組成物は数多くの利点を与えることができる。
【0083】
1つの潜在的な利点は、領域136の局所的に質量の増加した熱可塑性組成物141が、浅い領域135の熱可塑性組成物141に比べて、溶融処理温度以上に保たれるより大きな塊の熱可塑性組成物141を好ましくは含むことができることである。領域136内の溶融処理温度以上のより大きな塊の熱可塑性組成物141は、例えば、多孔性基材に浸透したり、転写条件下で、例えば、ポリマーフィルム基材にある同じまたは異なるポリマーと混合する際により効果的である。逆に、浅い領域135内の溶融処理温度以上で、少量の熱可塑性組成物141は、例えば、多孔性基材に浸透したり、転写条件下で、例えば、ポリマーフィルム基材にある同じまたは異なるポリマーと混合する際にあまり効果的でない。
【0084】
場合によっては、浅い領域135にある熱可塑性組成物141は全て、浅い領域135にある熱可塑性組成物141が基材に浸透したり、混合されないよう基材と接触する前に、溶融処理温度より低くする。しかしながら、同じ場合に、深い領域136にある熱可塑性組成物141の少なくとも一部は、凹部134にある熱可塑性組成物と基材の間に結合が形成されるように基材に浸透かつ/または混合する能力を保持するために、溶融処理温度のまま、またはそれ以上であるのが好ましい。
【0085】
異なる領域135および136にある溶融処理温度以上である異なる量の熱可塑性組成物141は、異なる結合特性を示すものと説明できるポリマー構造体の形成に寄与する。基材に結合された得られたポリマー構造体の領域(一般的に、熱可塑性組成物141の多く、または少なくとも一部が溶融処理温度のまま、またはそれ以上の深い領域136に略対応する)は、「結合領域」と説明することができる。凹部134の浅い領域135に対応するポリマー構体造の部分(一般的に熱可塑性組成物141の全てまたは僅かが、溶融処理温度のまま、またはそれ以上の領域)は一般的に、基材と制限された結合を形成するか、または結合を形成せず、ここでは、凹部134により形成されたポリマー構造体の「分離領域」と呼ばれる。
【0086】
図6および7に示す凹部134は、局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物を大きな凹部へ供給する一つのやり方を表している。図8および9の凹部234は、その長手方向に沿って形成ツール230の外部表面232から一定の深さを有しているのが好ましい(例えば、図9の断面図参照)。しかしながら、局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物は、凹部234の狭い周囲領域235に比べて凹部234が広がる領域236により供給することができる。その結果、広い領域236は、図6および7の凹部134に関して上述した異なる結合特徴を提供する局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物を供給する。図6〜8に示した2つの特徴を組み合わせる、例えば、周囲の凹部より深くて広い領域に含まれる凹部に局所的に大きな塊の熱可塑性組成物を与えることも考えられる。
【0087】
図6〜8に図示したような凹部は、場合によっては、1つ以上の方向に異なる体積という特徴を有していてもよい。例えば、細長い凹部については、局所的に大きな塊の領域の単位長さ当たりの体積は、周囲の凹部の単位長さ当たりの体積の125%以上(好ましくは150%以上)であるのが好ましい。
【0088】
局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物を基材に供給して、例えば、ポリマー構造体の異なる結合(differential bonding)を達成するさらに他のやり方を図23および24を参照して以下に説明する。これらのプロセスにおいて、溶融熱可塑性組成物は、例えば、溶融熱可塑性組成物のストランドとして凹部にある熱可塑性組成物の塊に適用する。溶融熱可塑性組成物が、凹部にある溶融熱可塑性組成物に延在する領域は、異なった形で結合されたポリマー構造体を基材上に形成するのに必要な局所的に大きな塊の熱可塑性組成物を提供する。
【0089】
図10〜13に、本発明の方法に関連して基材上にポリマー構造体を提供するのに用いる凹部におけるさらに他の態様を示す。リング形凹部334は、凹部334により形成されたリング内に配置された島333のある細長いトラフの形態で形成ツールの表面332に配置されている。図示したリング形凹部334は、細長い楕円状形状であるが、本発明のリング形凹部は、所望の形状、例えば、円形、四角形、三角形等で形成してもよい。
【0090】
図10に示すような島を含む凹部を用いると、基材の一部が周囲のポリマー構造体内で露出する、またはベースフィルムが周囲ポリマー構造体内に提供されている基材上にポリマー構造体を与えることができる。例えば、得られた構造体を用いて、例えば、基材上に形成されたボタン穴、スロット、穿孔またはその他開口部の領域において基材を強化することができる。同様の構造についてその他の用途も考えられる。
【0091】
凹部334の中心に形成された島333は、凹部334を囲む形成ツールの外部表面332と同じ高さであってもよい。凹部334には、その中に形成された単一の島333のみが図示されているが、本発明の方法に関連して用いる凹部は、所望であれば、各凹部内に配置された2つ以上の島を含んでいてもよい。さらに、島と周囲の凹部の形状もまた変えてもよく、例えば、円形の最外周囲を有する凹部を異なる形状を有する島と対にしてもよい。他の態様において、島は図10に示すように凹部内の中心になくてもよい。
【0092】
形成ツール330の凹部334の配向は様々な因子に基づいて選択してよい。凹部334は、機械方向(すなわち、基材の移動方向)、クロスウェブ方向(すなわち、基材の移動方向に直角)または機械方向またはクロスウェブ方向の間のその他の方向に位置合わせされる。
【0093】
図11に示した他の態様は、凹部334の深さの変化である。凹部は、島近傍で最も深く、凹部334の最外周囲で浅い。かかる構造により、ポリマー構造体が薄くなり、より可撓性の端部を備えたポリマー構造体が得られる。
【0094】
図12に、図10の凹部の他の任意の態様を示す。図12の断面図に示されるように、形成ツール330の332の外部表面からの凹部334の深さは、深い領域336よりも浅い領域335により異なる。凹部334の深い領域336は、基材に転写するための局所的に質量の増加した溶融熱可塑性組成物を与える。
【0095】
凹部334により基材310の表面311に形成可能なポリマー構造体314の一例を図13に示す。ポリマー構造体314は、基材310の表面311の領域を占めている。ポリマー構造体314により占められる領域は、凹部334の浅い領域335に対応する分離領域315と、凹部334の領域336に対応する結合領域316とを含むものと説明することができる。基材310の表面311は多孔性であってもよい。その結果、領域336にある質量の増加した熱可塑性組成物により、基材310の本体内の破線により示されるポリマー構造体314の結合領域316内の熱可塑性組成物により基材310の浸透がなされる。これに対し、凹部334の領域335にある質量の減少した熱可塑性組成物により、ポリマー構造体314の分離領域315にある熱可塑性組成物により基材310の浸透はほとんど、または全くない。その結果、ポリマー構造体314は、基材310に対する異なる形で結合したと説明することができる。
【0096】
場合によっては、異なる結合は、熱可塑性組成物の多孔性基材への透過により特徴付けられる。例えば、結合領域316にある熱可塑性組成物は、好ましくは、多孔性基材310に、基材310の多孔性部分の厚さの少なくとも50%の深さまで浸透する(図示した基材310の場合には、多孔性部分は基材の厚さの全てである)。これに対して、分離領域315内にある熱可塑性組成物は、多孔性基材310に、基材310の多孔性部分の厚さの25%以下の深さまで浸透するのが好ましい。図示した実施例において、分離領域315にある熱可塑性組成物は、基材310へは全く浸透しない。
【0097】
基材310の表面311が多孔性でなく、例えば、熱可塑性組成物で製造されたフィルムの場合には、上述した異なる結合特性も達成され、例えば、ポリマー構造体314の溶融熱可塑性組成物を、基材310の表面311の熱可塑性組成物と混合することにより、結合領域316が取り付けられている。分離領域315にあるポリマー構造体314の熱可塑性組成物は、基材310の表面311の熱可塑性組成物とほとんど、あるいは全く混合されない。
【0098】
図12および13に関して示す他の態様は、ポリマー構造体314の上部表面354に形成された表面フィーチャー352である(上部表面354は、通常、基材310から向きがそれている)。表面フィーチャー352としては、例えば、ステム(キャップドまたはその他)、フック(フック・アンド・ループファスニングシステムの一部としての)、角錐、インディシア(英数字その他)等が挙げられる。表面フィーチャー352は、機械的締結システムには有用であるが、本発明のポリマー構造体に与えられた表面フィーチャーは、これらに限られるものではないが、担持向上、摩耗、研磨等をはじめとするその他の機能を果たす。さらに、表面フィーチャーは、ポリマー構造体の全てまたはいくつかに提供してもよい。
【0099】
図13の表面フィーチャー352は、ポリマー構造体314の表面354に対して鋭角で配向されたステムとして図示されている。ステムは、実質的に一定の寸法を有するものとして図示されているが、テーパーがついていたり、曲げられたり、キャップされていたり、例えば、メカニカルファスナとしての使用を向上させるために形成されたその他のものであってもよい。さらに、ステムは一方向について角度をなすように図示されているが、異なる方向に角度をついていて、かつ/または表面354に対して法線に配向されていてもよい。
【0100】
図13に示したステムの配向は数多くの理由から有利である。例えば、角度のついたステムは、ステムを係合するように構成されたループ表面またはその他繊維状基材を係合するためにキャップやその他構造を必要としない。図13に示す複合体ウェブは、選択した方向にループまたはその他表面を固定し、ウェブを逆の方向に動かすと剥離することができる。かかる構造は、弾性基材に用いると特に有用である。
【0101】
図13に示したステムの角度のついた配向は様々なやり方で行ってよい。例えば、ステムは、所望の方向に角度または傾斜をつけた孔やキャビティを有するツールを用いて製造してもよい。あるいは、ステムは形成後に曲げてもよい。
【0102】
図12に示す凹部334は、表面フィーチャー352が、凹部334を充填している熱可塑性組成物により形成されたキャビティ350を含んでいる(キャビティ350はまた図10の平面図にも示されている)。キャビティ350の形状、サイズ、間隔、深さおよびその他特徴は、用いる熱可塑性組成物、凹部に分配された熱可塑性組成物の温度等といった因子に応じて異なる。
【0103】
キャビティ(形成される得られた表面フィーチャー352)の形状またはプロフィールは、図12および13に関して示したものとは異なっていてもよい。例えば、キャビティは、フック形で形成されることが多く、テーパーのついた直径等を有している。それらを用いて形成される変形のキャビティおよび構造については、米国特許第5,792,411号明細書(発明の名称「レーザー機械加工複製ツール(LASER MACHINED REPLICATION TOOLING)」)、米国特許第6,190,594 B1号明細書(発明の名称「構造化表面を備えた物品のためのツール(TOOLING FOR ARTICLES WITH STRUCTURED SURFACES)」)、米国特許第6,432,339号明細書(発明の名称「鋳型ベルトを備えたファスナ製品の連続成形(CONTINUOUS MOLDING OF FASTENER PRODUCTS WITH A MOLD BELT)」)等に示されている。
【0104】
図13に示した他の態様において、基材310は、ポリマー構造体314の部分315により占められた領域で終わっていてもよい。この一例は、図13に破線309で示されている。線309は、転写プロセス中の基材310の端部を示す。あるいは、線309は、ポリマー構造体314が表面311に転写された後、それに沿って基材310が分離される線を示す。
【0105】
さらに他の態様において、基材310自身は、ポリマー構造体により占められていないポリマー構造体と同じ表面の領域内にポリマー構造体が配置されたのと反対側の表面にループ構造体を含んでいてもよい。その結果、複合体ウェブは、両方のステム、フック等を有する単体ファスナおよび締結に必要な相補的ループ材料を提供する。
【0106】
図14に、本発明に従って製造された複合体ウェブのさらに他の実施形態を示す。複合体ウェブは、対向する主面411および412を備えた基材410を有している。図14に示した一つの特徴は、対向する主面411および412にそれぞれ配置されたポリマー構造体の両面性である。ポリマー構造体414は、主面411に備えられており、ポリマー構造体424は、反対側の主面412に備えられている。ポリマー構造体414およびポリマー構造体424は両方とも、複合体ウェブの逆側で露出している。
【0107】
対向する主面上の不連続ポリマー構造体は、基材410を通して位置合わせされている状態で図示されている。すなわち、ポリマー構造体414は、基材410の反対側のポリマー構造体424と位置合せされている。さらに、ポリマー構造体414は、基材410の反対側に配置されたポリマー領域424と実質的に同じサイズで図示されている。しかしながら、両主面にポリマー構造体を有する複合体ウェブが望ましいときは、対向する表面にあるポリマー構造体は図14に示すのと同じサイズであってもなくてもよいものと考えられる。また、ポリマー構造体は、図14に示すように基材410を通して互いに位置合わせさせていてもされていなくてもよいものと考えられる。
【0108】
ポリマー構造体414および424は、基材410にグロメット構造を形成するものと考えてもよい。その結果、図10に示すように、基材410を通して任意の開口部404を与えることが望ましい。開口部は、任意の好適な技術、例えば、ツールによる機械穿孔、レーザーアブレーション、水またはガスジェット切断等により形成される。
【0109】
図示していないが、本発明により製造された複合体ウェブにおける他の態様としては、2枚以上の基材を積層して、1つ以上のポリマー構造体を積層した基材間に配置するものが挙げられる。かかる積層構造体は、複合体ウェブの両側に、例えば、布状またはより柔らかい感触または外観、通気性、多孔性等を与えるのに有用である。これは、ポリマー構造体が複合体ウェブの露出面に配置されている複合体ウェブと対照的である。積層複合体ウェブ構造を用いて、複合体ウェブ構造の反対側に異なる特性を与えることもできる。例えば、多孔性またはその他特性は、異なる基材間で異なる。かかる積層プロセスは、例えば、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0087098A1号明細書、発明の名称「ポリマー領域および弾性ポリマー領域が強化された複合体ウェブ(COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING POLYMERIC REGIONS AND ELASTIC POLYMERIC REGIONS)」および2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0084996 A1号明細書、発明の名称「不連続ポリマー領域が強化された複合体ウェブの製造方法(METHODS FOR PRODUCING COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING DISCRETE POLYMERIC REGIONS)」に例示されている。
【0110】
図15に、本発明の原理に従って基材10の一表面にポリマー構造体14を提供するシステムおよび方法におけるウェブ経路およびロールを示す。図15に示すシステムには、システムによりウェブ経路を画定する基材10が含まれている。基材10は、様々なロールに回転矢印で示される下流方向にシステムを移動する。供給されたものを巻き戻す等した後(すなわち、基材10は図15に示したシステムでインラインで製造される)、基材10は、バックアップロール20と形成ツール30の間に形成された転写ニップへ向けられる。
【0111】
複合体ウェブは、例証した実施形態においてロールの形態で形成ツールを用いて形成されるのが好ましいが、この代わりに、本発明の形成ツールは、ロール以外の形態、例えば、エンドレスベルト等で提供されてもよいものと考えられる。さらに、形成ツール(ロールその他)は、例えば、機械加工、エッチング、螺旋巻きロール(米国特許第6,190,594B1号明細書、発明の名称「構造化表面を備えた物品用ツール(TOOLING FOR ARTICLES WITH STRUCTURED SURFACES)」)、積み重ねプレート技術等、任意の好適な技術により製造してもよい。
【0112】
ポリマー構造体14を基材10に提供するプロセスには、溶融熱可塑性組成物供給物を外部表面32に形成された1つ以上の凹部を含む形成ロール30の外部表面32に供給することが含まれる。溶融熱可塑性組成物41は、押出機40の形態の分配装置により形成ロール30の外部表面32に供給される。溶融熱可塑性組成物は、形成ロール30の外部表面32に作用するドクターブレード42により外部表面32から拭き取られ除去される。熱可塑性組成物は形成ロール30の外部表面32から全て除去するのが望ましいが、熱可塑性組成物の一部はドクターブレード42で拭き取った後も外部表面32に残る場合がある。
【0113】
ドクターブレード42は、熱可塑性組成物の少なくとも溶融処理温度である温度まで加熱するのが好ましい。ドクターブレード温度は、押出機40により押出される溶融熱可塑性組成物41の温度と同じ、またはそれより高いのが好ましい。
【0114】
ロール30のロール温度も、本発明のシステムにおいて制御されるのが好ましい。上述した通り、ロール温度は、ロール30に示されている熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いのが好ましい。ロール温度を制御することにより、本明細書に記載した様々な処理の利点が得られる。
【0115】
図示したシステムの押出機40は、溶融熱可塑性組成物41を、ドクターブレード42とロール30の外部表面32の界面に押出すのが好ましい。場合によっては、溶融熱可塑性組成物41は、ドクターブレード42からブレード42とロール30の間の界面へと流れる。
【0116】
形成ロール30の外部表面32に形成された凹部は、溶融熱可塑性組成物が形成ロール30の外部表面32に堆積すると、溶融熱可塑性組成物の一部を受けるのが好ましい。溶融熱可塑性組成物による凹部の充填は、形成ロール30の外部表面32のドクターブレード42の拭き取り動作により促進することができる。押出機からの溶融熱可塑性組成物41の流量を制御して、溶融熱可塑性組成物の体積を、ドクターブレードを通過する凹部の体積と同等とするのが好ましい。この関係は、ドクターブレード42背面に熱可塑性組成物が堆積するのを防ぐ、または減じるため有利である。ドクターブレード42背面の熱可塑性組成物の堆積は、ロール温度が下がって、熱可塑性組成物の粘度が増大して、凹部が適正に充填できなくなるため好ましくない。
【0117】
図16は、形成ロール30の凹部34を備えたドクターブレード42と外部表面32の関係を示す拡大部分断面図である。外部表面32が、矢印により示される方向にドクターブレード42を通過して動くようロール30を回転する。図示した実施形態における溶融熱可塑性組成物41は、ドクターブレード42の上部表面に入って、ドクターブレード42とロール30の外部表面32の間の界面に向かう表面に流れる。あるいは、溶融熱可塑性組成物の流れを調整して、ドクターブレード42とロール30の間の界面に直接流すことができる。
【0118】
凹部がドクターブレード42の下を通過する際、図16に示すように、溶融熱可塑性組成物41で充填されるのが好ましい。図示した実施形態において、溶融熱可塑性組成物41の流れを調整して、ドクターブレード42の下を通過する凹部34の体積と同等にするのが好ましい。その結果、限られた量の熱可塑性組成物材料が、ロール30とドクターブレード42の界面で堆積する、または全く堆積しない。
【0119】
この結果を得るには、ドクターブレード温度、溶融熱可塑性組成物温度、ロール速度、溶融熱可塑性組成物の流量、ドクターブレード42により形成ロール30にかかる圧力または力等のうち1つ以上によって、ロール30の温度を制御することが必要である。
【0120】
図16に示される他の任意の特徴は、溶融熱可塑性組成物41が、ドクターブレード42によるロール30の外部表面32から大部分除去されることである。このように、ドクターブレード42を通過した凹部34の溶融熱可塑性組成物は、凹部のみに限定される。これとは対照的に、図17に、凹部がドクターブレード142を通過した後、溶融熱可塑性組成物141の層143が、ロール130の外部表面132に残る別のプロセスを示す。層143を用いて、図2および3に関して上述したベースフィルムを形成することができる。本発明のシステムおよび方法におけるベースフィルム形成の制御は、例えば、ロール温度、ドクターブレード温度、溶融熱可塑性組成物温度、ロール速度、溶融熱可塑性組成物のフローレート、ドクターブレードにより形成ロールにかかる圧力および力、ドクターブレードと形成ロールの間のギャップ(ある場合)、凹部間の間隔、凹部の体積等を調整することによりなされる。
【0121】
図17に関連して示された他の任意の特徴は、凹部134の少なくとも周囲部分のリッジ135の追加である。リッジ135は、ロール130の外部表面132上に隆起している。隆起したリッジ135の一つの潜在的な利点は、ポリマー構造体周囲に脆弱な薄い領域を提供することにより、基材のポリマー構造体からのベースフィルムの除去が促されることである。
【0122】
所望の溶融熱可塑性組成物で少なくとも部分的に充填された凹部のある図15に戻ると、凹部およびそれが含有する溶融熱可塑性組成物を、転写ニップ(すなわち、形成ロール30とバックアップロール20により形成されたニップ)でバックアップロール20に対して基材10と接触させるまで形成ロール30は回転し続ける。この時点で、凹部にある溶融熱可塑性組成物の基材10への転写が始まる。ロール温度を、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低い点まで制御することにより、凹部の熱可塑性組成物は、凹部からきれいに剥離して、凹部にある実質的に全ての熱可塑性組成物を基材10に転写することができ好ましい。
【0123】
溶融熱可塑性組成物が堆積した1つ以上の多孔性主面を有する基材10を本発明の方法で用いるときは、溶融熱可塑性組成物を基材10の多孔性表面に浸透させることによって機械的結合を形成するのが好ましい。本発明で用いる「多孔性」という用語には、形成されたボイドを含む構造と、溶融熱可塑性組成物の透過を可能とする多数の繊維から形成された構成(例えば、織、不織、編等)の両方が含まれる。基材10が多孔性でなく、熱可塑性組成物でできている場合には、ポリマー構造体の取り付けは、本明細書に記載している混合により行うことができる。
【0124】
形成ロール30とバックアップロール20の間のニップ圧は、ロール30の凹部にある熱可塑性組成物の基材10への取り付けがなされるのに十分なものであるのが好ましい。基材表面が多孔性の場合には、ポリマー構造体中の熱可塑性組成物の一部が、多孔性基材10の一部に浸透及び/またはこれを包み込んで、ポリマー構造体の基材10への取り付けが改善される。基材10表面が繊維を含む場合(例えば、基材10が織、不織または編材料をその主面に含む場合)、熱可塑性組成物は、基材10の表面に繊維の全てまたは少なくとも一部を包み込んで、ポリマー構造体の基材10への取り付けを改善するのが好ましい。
【0125】
ある条件下では、凹部34にある溶融熱可塑性組成物は、例えば、基材10がその厚さ全体にわたって多孔性である場合に、基材10を完全に透過してもよい。他の場合には、溶融熱可塑性組成物の透過は、基材10の外側層まで制限される。
【0126】
しかしながら、基材10の外側表面がある程度多孔性を示しても、多孔性は必ずしも基材10の全厚にわたって延在しているわけではないものと考えられる。例えば、基材10は様々な異なる層を有していてよく、1層が実質的に非多孔性であってもよい。他の態様において、基材10の全厚は、基材10の外側表面が上述したようにある程度多孔性を示したとしても、全体として非多孔性としてもよい。
【0127】
バックアップロール20は、基材の材料および/または処理される溶融熱可塑性組成物の種類に応じて様々な異なる特徴を有している。場合によっては、バックアップロール20の外部は、形成ロール30の形状に沿うゴムまたはその他のコンフォーマルな材料であってもよい。ゴム等のコンフォーマルな材料を用いる場合には、例えば、約10〜90ショアAのジュロメータを有している。
【0128】
転写ニップの一つの態様を、図18の拡大断面図に示す。コンフォーマルなバックアップロール30が基材10の一部を凹部34(およびその中に含まれる熱可塑性組成物41)に押し付けられているのを示す。凹部34に向かう基材10の表面が多孔性の場合には、溶融熱可塑性組成物41の一部を、基材10の多孔性表面に押し付けてもよい。基材10を凹部に押し付けるのは、基材10と溶融熱可塑性組成物41の間の接触の確度を改善するために、凹部34が溶融熱可塑性組成物41で完全に充填されていない場合には、特に有利である。
【0129】
他のバックアップロールを本発明に関連して用いてもよい。例えば、バックアップロールは、基材を凹部へ押し込む作用をする嵌合突出部を有していてもよい。他の態様において、バックアップロールは、バックアップロールが隆起構造を有している場合のみ、増大した圧力が基材10に適用されるような構造化(平滑なものとは対照的な)表面を有していてもよい。例えば、バックアップロールは、基材10の凹部に形成されたポリマー構造体の異なる結合を得るために、波形表面やリブ、ポスト等を含むその他を有していてもよい。
【0130】
上述した形成ロールの温度を制御することによって、凹部34にある熱可塑性組成物41の転写が促される。というのは、ロール温度が低いと、凹部34の表面に直接近接する熱可塑性組成物の凍結または固化が好ましくはなされ、一方で、凹部34の表面から最も遠いある量の熱可塑性組成物41が十分に溶融したままとなって、基材10への所望の取り付けがなされるからである。これらの表面を低表面エネルギー材料(例えば、フルオロエチレン等)でコートすると、熱可塑性組成物の凹部34および/またはロール30の外部表面32からの剥離が促される。
【0131】
形成ロールの温度の制御に加えて、バックアップロール20の温度の制御も有用である。例えば、バックアップロール20の表面を選択した温度まで加熱または冷却するのが望ましい。
【0132】
図15に示したシステムおよび方法は、片主面にのみポリマー構造体を備えた複合体ウェブを作成するものであるが、本発明の原理に従って、基材の両主面にポリマー構造体を与えてもよい。一例としては、例えば、ポリマー構造体を2つの個別の基材のそれぞれの一主面に形成し、2つの基材を積層して、両主面にポリマー構造体を備えた単一基材を形成するものが挙げられる(例えば、図14参照)。あるいは、単一基材を、2本の形成ロールにより形成されたニップに向けてもよい。形成ロールはそれぞれ、ウェブの両側にポリマー構造を実質的に同時に付着する。
【0133】
図15には、1種類のみの熱可塑性組成物を形成ロール30を用いて適用するのを示してあるが、2種類以上の異なる熱可塑性組成物を形成ロール30の外部表面に適用してもよいものと考えられる。図19に、3種類の溶融熱可塑性組成物(ゾーンA、BおよびC)を軸531の周囲を回転する形成ロール530の表面の異なる部分に分配する1つのシステムの一部を示す。押出し機540a、540bおよび540cを用いる場合は、異なる熱可塑性組成物を、異なるゾーンの溶融熱可塑性組成物が処理中に混合しないようなやり方で分配してもよい。
【0134】
形成ロール530はまた、異なる溶融熱可塑性組成物を適用してもよい異なる組の凹部534a、534bおよび534cを有している。形成ロール530の異なるゾーンの凹部は、異なる形状、異なるサイズおよび異なる間隔を有している。例えば、ゾーンCの三角形の凹部は、不規則な繰り返しのないパターンで構成し、ゾーンAおよびBの凹部は規則的な繰り返しパターンで構成する。
【0135】
図19のシステムでは、異なる組のポリマー構造体が異なる熱可塑性組成物を用いて単一の基材または異なる基材に形成される。つまり、熱可塑性組成物は、複合体ウェブを用いて作成される最終物品の製造または最終用途性能に関連して数多くの異なる特性について選択してよい。
【0136】
図20は、本発明に関連して用いることのできる形成ロール630の一部の平面図である。ロール630は、パターン化された凹部634の形成された外部表面632を含んでいる。凹部634は、例えば、スクリーン状パターンが形成されるような交差するトラフの形態であってもよい。
【0137】
図21および22に、図20の形成ツール630を用いて製造される複合体ウェブを示す。図21は、物品の平面図であり、図22は、図21の線22−22に沿った複合体ウェブの断面図である。ポリマー構造体614は、基材610の表面611に取り付けられたセグメント616(例えば、図22参照)と、基材610の表面611に取り付けられていないセグメント615とを含んでいる。取り付けられていないセグメント615の逆の基材610の部分618は、ポリマー構造体614から間隔の空いた弓形チャネルを形成するのが好ましい。
【0138】
同様に、図示されていないが、ポリマー構造体614の全てまたは一部が、上部表面に形成された表面フィーチャーを含んでいてもよい(例えば、図12および13に関連して記載してある)。
【0139】
図21および22の複合体ウェブは、例えば、エラストマー熱可塑性組成物を基材610に転写することにより形成してもよい。エラストマー熱可塑性組成物は、好ましくは、弾性を示すポリマー構造体614を形成するのが好ましい。さらに、基材610の一部が、他の部分よりもポリマー構造体614に、より確実に取り付けられるよう、ポリマー構造体614は、基材610に異なる結合を示すのが好ましい。例えば、ポリマー構造体614の様々なストランドまたはセグメント間の交差部分が、介在セグメントよりもより確実に取り付けられるのが好ましい。これらの確実な取り付け点は、図6〜13に関連して上述した通り、溶融熱可塑性組成物の局所的に質量が増加した結果である。
【0140】
さらに、基材610は、エラストマーポリマー構造体614よりも低い降伏点を有する非エラストマー材料または弾性材料で製造されるのが好ましい。熱可塑性組成物の転写後、基材610(そこに形成されたポリマー構造体614を有する)は、矢印602の方向に伸張することができる(図21参照)。伸張は、基材610がセグメント615の少なくともいくつかに沿ってポリマー構造体614から剥がれ、その結果、図22に示すようなギャザーまたは皺となるのに十分なものであるのが好ましい。
【0141】
伸張はまた、基材610の永久伸びを生じさせるのに十分で、伸張力が緩められた後、弓形部分618を形成するのに必要な更なる長さを与えるものが好ましい。ポリマー構造体614自身は、伸張の結果、ある程度、永久伸びを経験するが、その程度は、弓形部分618が図22に示すように形成されるよう、基材よりは少ない。
【0142】
基材610は伸展性であるのが好ましいが、非伸展性基材610は、例えば、基材にスリットを入れることによって伸展性とすることができる。スリットは、エラストマーポリマー構造体614により架け渡されているのが好ましい。基材の伸展性を与える、または改善するいくつかの例証のスリット加工プロセスは、国際公開第96/10481号パンフレット(アブートら(Abuto et al.)に記載されている。その他の技術を用いて、本発明で用いる基材に伸展性を与えたりこれを改善することもできる。例えば、米国特許4,223,059号明細書(シュワルツ(Schwarz))および同第5,167,897号明細書(ウェーバーら(Weber et al.))に記載された機械的伸張法を用いて、伸展性を与えたり改善することができる。
【0143】
方向602における伸張に加えて、図21の矢印603の方向における複合体ウェブの伸張もまた有利である。得られる二次元伸張により、基材に両方向での永久伸びを生じさせ、基材の、ポリマー構造体614における交差点間に枕状構造を形成する。
【0144】
図22の複合体ウェブを得る他の態様としては、自身が弾性の基材610を用いることができる。かかる弾性基材は、ポリマー構造体614がそこに転写される前に、機械方向および/または1つ以上の異なる方向に伸張してもよい。ポリマー構造体を伸張した弾性基材610に形成した後、基材610を弛緩させて、弓形部分618を形成させてもよい。
【0145】
図21および22に示すような複合体ウェブは、例えば、使い捨て物品、おむつ、失禁用装具、ガウン、衣服、ろ過装置等の弾性コンポーネントとして有用である。
【0146】
図20のパターン化された凹部の一態様として、図21および22のポリマー構造体614は、図23に示すシステムおよび方法により形成してもよい。このシステムは、外部表面732を備えた形成ロール730を含んでいる。一連の凹部734は、形成ロール730の外部表面732に形成される。図23に示した一つの特徴はドクターブレード742が、ノッチ750を含むということであり、拭き取り後、溶融熱可塑性組成物の一部が、ドクターブレード742とロール730の界面を通過して、ロール730の周囲の一部周囲に延在する一連のストランド752においてロール730の外部表面732に残る。このようにして、ポリマー構造体614の形状に正確に対応するパターン化凹部を必要とすることなく、図21および22のクロスハッチパターンが得られる。
【0147】
図24に、本発明に関連して用いられるさらに他のシステムおよび方法を示す。このシステムは、外部表面832とそこに形成された凹部834を備えた形成ロール830を含んでいる。図16および17に関連して説明したのと同様のやり方で、システムは、ドクターブレードに加えて押出しダイとして機能するドクターブレード842を含んでいる。ドクターブレードは、第1の溶融熱可塑性組成物841が押出されるオリフィス843を含んでいる。溶融熱可塑性組成物841は、ロール830との界面に達するまで、ドクターブロック(doctor block)842の面844へと下方に流れる。このとき、溶融熱可塑性組成物841は凹部834を充填する。
【0148】
溶融熱可塑性組成物841の押出しに加えて、図24のドクターブロック(doctor block)842はまた、第2の溶融熱可塑性組成物861が形成ロール830の外部表面832に流れる任意のオリフィス863も含んでいる。第2の溶融熱可塑性組成物861は、ロール830が示した矢印の方向に回転するにつれて、略連続したストランド860の形態で提供されるのが好ましい。第2の溶融熱可塑性組成物861はまた、第1の溶融熱可塑性組成物841と同じ、または異なっていてもよい。
【0149】
他の態様としては、凹部834のサイズが制限されていたり、ロール面を越えて延在しているものが挙げられる(例えば、図23参照)。凹部834が図23に示すようにロール面を越えて延在している場合には、図24のシステムは、図21および22に示すようなポリマー構造体を形成する他のシステムおよび方法形態を提供する。図24のシステムの一つの潜在的な利点は、溶融熱可塑性組成物841および861を変えて、例えば、異なる特性を得られる複合体ウェブに提供できることである。
【0150】
図21のポリマー構造体614を形成するのに用いる方法に関わらず、ポリマー構造体614は、セグメント615と616の間の交差点での大きな塊となっている熱可塑性組成物のために、本明細書に記載したような異なる結合を示してもよい。大きな塊となっているこれらの領域は、基材610に確実に取り付けられている結合領域617(図21参照)を形成する。セグメント615および616は、基材610に確実に取り付けられていてもいなくてもよい。すなわち、分離領域であってもよい。分離領域は、ポリマー構造体のそこへの転写直後、基材に軽く取り付けられてもよいが、伸張またはその他物理的操作(例えば、曲げ、湾曲等)の後、基材610から取り外される。あるいは、分離領域は、ポリマー構造体614の基材への転写中に結合が形成されないよう、基材610と接触する前に溶融加工温度より低くなる熱可塑性組成物により形成されてもよい。
【0151】
図25A〜25Eに、異なるポリマー構造体に2種類の異なる熱可塑性組成物が、基材に転写される、または同じ熱可塑性組成物を基材の2つの異なる構造に適用される別の態様の複合体ウェブ構造を示す。これらの構成は、本発明の転写方法を用いて、あるやり方で基材の同じ領域に互いに重なる異なるポリマー構造体が提供されるのを例示するためのものである。一例において、ポリマー構造体の一つは、弾性挙動を示すが、他のものは示さない。
【0152】
2つの異なる構造体のみを各図においては示してあるが、3つ以上の異なるポリマー構造体を提供できるものと考えられる。同じく、図13に示すような表面フィーチャーを所望であればポリマー構造体に提供してもよい。さらに、各図には一組のみのポリマー構造体を示してあるが、各複合体網(wed)は、複数の同じ、または異なるポリマー構造体を含んでいてもよい。異なるポリマー構造体は、例えば、図15に示すステーションのような連続ステーションにより適用してもよい。
【0153】
図25Aは、基材910a上の第1のポリマー構造体914aと、基材910aと第1のポリマー構造体914aの両方に配置された第2のポリマー構造体924aとを示す。第2のポリマー構造体924aは、第1のポリマー構造体914aに取り付けても、所望であれば取り付けなくてもよい。
【0154】
図25Bは、基材910b上の第1のポリマー構造体914bと、基材910bと第1のポリマー構造体914bの両方に配置された第2のポリマー構造体924bとを示す。第2のポリマー構造体924bは、第1のポリマー構造体914bの上部表面に取り付けられるように図示されている。
【0155】
図25Cは、基材910c上の第1のポリマー構造体914cと、領域926cにおいて基材910cに取り付けられ、第1のポリマー構造体914c上に延在している第2のポリマー構造体924cとを示す。第2のポリマー構造体924cは、第1のポリマー構造体914cの上部表面から取り外されるように図示されている。
【0156】
図25Dに、基材910dに直接取り付けられた第1のポリマー構造体914dと、第1のポリマー構造体914dにのみ配置されている、すなわち、基材910d上の第1のポリマー構造体914dのフットプリント内にある第2のポリマー構造体924dとを示す。第2のポリマー構造体924dは、第1のポリマー構造体914dの上部表面に取り付けられるように図示されている。
【0157】
図25Eに、両者とも基材に取り付けられた第1のポリマー構造体914eと第2のポリマー構造体924eとが示されている。両構造とも、図25Eの領域928e内に通常配置されている分離部分を含んでいる。第1のポリマー構造体914eは、基材に取り付けられた部分と、基材から取り外された部分とを含んでいる。第1のポリマー構造体914eの分離部分は、通常、第2のポリマー構造体924eの一部の下に配置されている。第2のポリマー構造体924eも、基材に取り付けられた部分と、基材から取り外された部分とを含んでいる。第2のポリマー構造体924eの分離部分は、通常、第1のポリマー構造体914eの上に配置されている。
【0158】
基材上への非弾性または弾性熱可塑性ポリマー構造体の堆積に加えて、追加の材料を公知の方法を用いて基材の主面にコートすることもできる。かかる材料としては、例えば、米国特許第5,019,071号明細書(ベニーら(Bany et al.))、同第5,028,646号明細書(ミラーら(Miller et al.))および同第5,300,057号明細書(ミラーら(Miller et al.))に記載された接着剤または米国特許第5,389,438号明細書(ミラーら(Miller et al.))および同第6,261,278号明細書(チェンら(Chen et al.))に記載された粘着剤がある。
【0159】
封止要素およびシステム
当業界では、基材間に接続を与える多くの種類の構造および封止を与える要素の多くのシステムがあるが、改善された封止要素およびシステムが尚必要とされている。本明細書に記載したポリマー構造体および複合体ウェブを用いて、封止要素およびシステムを与えることができる。例えば、上述した通り、図12に示すような形成ツールにより与えられる、図13に示すようなポリマー構造体は、機械的締結システムに有用な表面フィーチャー352を与えることができる。さらに、図25Eに示すような特定の複合体ウェブ構造は、封止配向を与えるための、例えば、ファイバー、ループ等を、ポリマー構造体914eの分離部分間の固定材料により、機械的締結を与えることができる。更なる例証の封止要素およびシステムのいくつかを後述するが、本発明により考えられる封止要素およびシステムは、本明細書に記載した実施形態に限定されないものと考えられる。
【0160】
本明細書に記載された基材に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む複合体ウェブは、これらに限られるものではないが、封止要素を与えるポリマー構造体を備えた、低プロフィールの面内封止要素およびシステムをはじめとする封止要素およびシステムを与えることができ有利である。かかる要素は、例えば、ループ材料の繊維と係合する、本明細書に記載した押出しプロセスにより与えられるループ状材料と係合する、本明細書に記載した自己接合設計による等により、封止を行う。
【0161】
本発明の封止要素および封止システムは、一般的に、本明細書に開示されたようにして提供された複合体ウェブを含む。この複合体ウェブは、第1の主面を備えた基材と基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含む。かかるポリマー構造体は、本発明の封止システムの封止要素を提供する。本システムにおいて、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体は、基材の第1の主面の領域を占めている。ポリマー構造体により占められるかかる領域は、結合領域、すなわち取り付け領域を含み、ポリマー構造の熱可塑性組成物は、第1の主面に取り付けられている。ポリマー構造体により占められるかかる領域は、ポリマー構造体が基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域を少なくとも1つさらに含んでいる。
【0162】
封止要素および封止システムを提供する本発明の複合体ウェブは、任意で、既に本明細書に開示されたような材料を含んでいてもよい。例えば、基材の第1の主面は、1つ以上のポリマー構造体の熱可塑性組成物の溶融処理温度またはそれより低い溶融処理温度のポリマー材料を含んでいてもよい。複合体ウェブはまた、ポリマーフィルムの形態のポリマー材料も含んでいてもよい。
【0163】
さらに、本発明の封止要素およびシステムを形成するためのポリマー構造体の取り付けには、本明細書に開示された構造および方法が含まれる。例えば、本発明は、多孔性表面を含む第1の主面を有する基材を含む複合体ウェブであって、1つ以上のポリマー構造体の結合領域の熱可塑性組成物が、基材の多孔性部分の厚さの、例えば、少なくとも50%の深さまで、基材の多孔性の第1の主面に浸透する複合体ウェブを含む。基材の第1の主面は、さらに、1つ以上のポリマー構造体の熱可塑性組成物の溶融処理温度またはそれ以下の溶融処理温度を有する繊維、好ましくはポリマー繊維を含んでいてもよく、繊維の少なくとも数本の少なくとも一部が結合領域内の熱可塑性組成物に中に包み込まれている。実施形態としては、さらに、各ポリマー構造体、または1つ以上のポリマー構造体の少なくとも一部が、1つの片の完全に一体化された塊の熱可塑性組成物を含む、封止要素およびシステムを与える複合体ウェブが挙げられる。
【0164】
さらに、本発明の複合体ウェブとしてはまた、1つ以上のポリマー構造の熱可塑性組成物が、1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すような1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む実施形態もあると考えられる。さらに、本発明の複合体ウェブは、基材の第1の主面から向きがそれた上面を含む1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つを含み、上面はそこに形成された、そこから突出しているステムやピンのような表面フィーチャーを含む。
【0165】
本明細書において前に開示したような複合体ウェブを提供する方法はまた、本発明の封止要素およびシステムを提供する方法も与えるのにも役立つ。例えば、上述したような基材に取り付けられたポリマー構造体のような物品の取り付け方法が考えられる。この方法には、例えば、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含む本明細書に開示されたような複合体ウェブを提供することが含まれ、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が、基材の第1の主面の領域を占めており、1つ以上のポリマー構造体により占められた領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が好適なやり方で第1の主面に取り付けられている結合領域と、さらに、ポリマー構造が基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含む。
【0166】
基材、熱可塑性材料、熱可塑性ポリマー構造を含む複合体ウェブの形成方法、ポリマー構造体のウェブ上での形状および付着について、封止要素およびシステムを提供するのに好適に説明する。さらに、ポリマー構造体封止要素は、本明細書に記載した好適なやり方で基材に取り付けてよい。封止要素を取り付けるのに有用な技術としては、例えば、親和性のある基材へ溶融させるのに十分な熱を保持する厚い領域を提供するグラビアロールにおいてセルを用いて封止要素を作成することが挙げられる。かかる方法の一例を、図12および15に関連させて説明する。基材表面が不織または織材料のような繊維系材料を含む場合には、この領域は基材へと流れて繊維を包み込み、様々な深さのグラビアセルを用いて結合領域および分離領域が得られる。他の可能な方法としては、溝がドクターブレードへと切断されて、グラビアセルと重なる構成においてグラビアロールに付着した溶融ポリマーのゾーンが得られる押出しプロセスが含まれる。かかる方法の一例を、図23に関連させて説明する。これによって、基材と封止要素の両方に十分な熱および流動性を保持するポリマーの厚い領域が与えられる。
【0167】
図26a〜26bに、分離末端領域26bを備えた楕円形状封止要素26aを含む本発明によるある複合体ウェブ構造を示す。図26aに、基材26cの第1の主面に取り付けられた楕円形状の封止要素26aを含む基材の平面図を示す。封止要素26aは、楕円形状の封止要素26aの分離領域26b間に延在する結合領域26dにおいて基材に取り付けられている。あるいは、楕円形状の封止要素26aを、結合領域26dにより互いに接続されていない分離された別個の封止要素として、基材26cの第1の主面に取り付けてもよいものと考えられる。さらに、楕円形状の封止要素26aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材26cの全表面または基材26cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材26cに取り付けてもよい。
【0168】
図26bは、図26aに示す線26b−26bに沿った単一の楕円形状要素26aの断面図である。図26bに、取り付け点26eで基材に浸透するのが好ましい封止要素26aの中央部分と、基材26cからは取り外された2つの部分26bとを示す。図示された封止要素26aの部分26bは、基材26cの第1の主面に片持ち状態にあり、位置合せされている。
【0169】
「片持ち状態にある」(およびこの変形)という用語は、基材上に突出している封止要素の部材または一部のことを意味し、この封止要素の部材または部分は一端でのみ支持されている。封止要素の分離され片持ち状態にある領域は、例えば、図26bに示すような基材の第1の主部分と位置合せされた配向を有している。すなわち、封止要素26aの分離され片持ち状態にある部分26bは、基材26cの表面に実質的に平行である。あるいは、分離され片持ち状態にある部分26bは、部材が基材の表面に実質的に平行でないやり方で配向されていてもよい。「片持ち状態にある」(およびこの変形)という用語を用いるとき、ポリマー構造体の片持ち状態にある部分が、片持ち状態にある基材表面と接触していないことを示唆することは意味していない。場合によっては、片持ち状態にある部分は、下にある基材表面と接触していてもよく(取り付けられてはいないが)、他の場合においては、片持ち状態にある部分は、下にある基材表面と接触していなくてもよい。
【0170】
図26bに示すように、断面図は、基材26cの第1の主面の表面の領域を占める楕円形ポリマー封止要素26aを示す。この要素は、基材26cの表面に取り付けられた結合領域26eと、基材26cに取り付けられていない分離領域26bとを含む。さらに、分離領域26bにおいて、図示されたポリマー封止要素は、基材26cの第1の主面に片持ち状態にあり、位置合せされている。
【0171】
図26に示したような封止要素は、封止要素が適切なサイズであるときは、ループ材料と係合可能であるのが好ましい。かかる封止要素は、一般的に、剪断抵抗、すなわち、2枚の基材間の滑り運動を制限する能力を有しているが、封止要素は強い剥離力は示さない。剪断抵抗と剥離特性の両方が増大した本発明の封止要素を作成するためには、ポリマー封止要素はバーブ構造を含んでいてよい。
【0172】
バーブ構造を含むポリマー封止要素の一例を図27a〜27bに示す。図27aは、バーブ構造27fを含む封止要素27aを含む基材の平面図である。封止要素27aは、少なくとも1つの分離領域27bを含み、結合領域27eで基材27cの第1の主面に取り付けられている。分離領域27bは、基材27cの第1の主面に片持ち領域にあり、基材27cの第1の主面の上に支持された自由端を有するステムとして特徴付けられてもよい。
【0173】
封止要素27aは、封止要素27a間に延在する結合領域27dにより互いに接続されている。あるいは、封止要素27aは、分離した別個の封止要素として、すなわち、結合領域27dにより相互接続せずに、基材27cの第1の主面に取り付けてもよいものと考えられる。さらに、封止要素27aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材27cの全表面または基材27cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材27cに取り付けてもよい。
【0174】
図27aに示すように、封止要素27aはそれぞれ、分離領域27bにバーブ構造体27fを含んでいる。あるいは、封止要素27aのいくつかは、分離領域27bのいずれかのみにバーブ構造27fを含んでいてもよいものと考えられる。さらに、特定の実施形態は、バーブ構造27fを有さない封止要素27aを含んでいてもよい。図27aに示すように、封止要素27aはそれぞれ、4つの別個の分離領域27bを含んでいる。あるいは、封止要素27aのいくつか、または全ては、5つ以上か、4つ未満の別個の分離領域27bを含んでいてよい。
【0175】
同様に、バーブ構造27fは、結合領域27eから分離領域27bの遠位近傍に図示されている。しかしながら、バーブ構造27fは、分離領域27bに沿った任意の点に位置していてよい、バーブ構造27fの位置は、分離領域27bによって異なり、バーブ構造27fの位置は封止要素27aによって異なるものと考えられる。
【0176】
本明細書から分かる通り、バーブは、第1の方向に外側へ延在する構造であり、第1の方向に垂直から、第1の方向に実質的に逆までの範囲にある第2の方向に実質的に延在する突出部を含んでいる。かかる要素は、ループ材料の繊維を係合するのに好適であり、例えば、バーブを含まない封止要素に比べて、増大した剥離および剪断特性を有する封止要素が与えられる。
【0177】
さらに、封止要素27aは、図27bに示すように片持ち状態にある分離領域27bを含んでいてもよい。かかる片持ち状態にある分離領域27bは、基材27cの第1の主面と位置合せされていてもいなくてもよい。図27bは、図27aの線27b−27bに沿った図27aの封止要素27aの断面図である。本実施形態において、要素27aの分離領域27bは片持ち状態にあり、基材表面27cとは位置合せされておらず、基材27cの表面から離れるように傾斜している。基材27cの第1の主面と位置合せされていない分離領域27bを提供するには、本明細書に記載したツールロールを用いて封止要素27aの形成を超えた更なる処理を必要とする。例えば、分離領域27bは、例えば、逆回転ロール、ブラシ、真空組立品等を用いて分離領域27bを操作することにより、形成される形状から変形させる必要はない。他の例において、基材27cを、封止要素27aを形成した直後に鋭角に覆うように向けてもよい。
【0178】
図28a〜28cに、バーブを含む封止要素を有する本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28aは、分離した別個の封止要素28aが取り付けられた第1の主面28cを含む基材の平面図である。封止要素28aは、バーブ構造28fを備えた分離領域28bを含む。図28aに示すように、封止要素28aは、基材28cの表面にわたって規則的な間隔を有している。しかしながら、図27aに示した実施形態に関連して記載した通り、封止要素28aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材の全表面28cまたは基材28cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材28cに取り付けてもよい。図28aの各要素28aは、図28bにその一つを拡大で示してあるが、分離領域28bにバーブ構造28fを含んでいる。あるいは、封止要素28aのいくつかは、分離領域28bのいずれかのみにバーブ構造28fを含んでいてもよいものと考えられる。さらに、特定の実施形態は、バーブ構造28fを有さない封止要素28aを含んでいてもよい。図28aおよび28bに示すように、封止要素28aはそれぞれ、4つの別個の分離領域28bを含んでいる。あるいは、封止要素28aのいくつか、または全ては、5つ以上か、4つ未満の別個の分離領域28bを含んでいてよい。同様に、図28bに示すように、バーブ構造28fは、結合領域28eに対して分離領域28bの遠位近傍に図示されている。しかしながら、バーブ構造28fは、分離領域28bに沿った任意の点に位置していてよく、バーブ構造28fの位置は、分離領域28b、封止要素28aによって異なるものと考えられる。
【0179】
本発明の複合体ウェブは、必要な封止要素の形状およびサイズに応じて、様々な特定の封止要件に適合可能である。図29および30に、例えば、数多くの様々な要件を満たす封止要素の様々な形状をはじめとする、本発明の複合体ウェブの特定の更なる予測される実施形態を示す。
【0180】
図29Aは、第1の主面29cと、結合領域29eに取り付けられた別個の封止要素29a(図29B参照)を含む基材の平面図である。本実施形態において、封止要素29aは、要素の結合領域29eの片側のみに少なくとも1つの分離領域29bを含む。分離領域29bは、タブのような単一の別個の領域を含んでいてもよいし、図29Bに示すような2つ以上の別個の部材を含んでいてもよい。
【0181】
図29Aに示すように、封止要素29aは、基材29cの表面にわたって規則的なパターンで規則的な間隔を有している。しかしながら、例えば、図27aに示した実施形態に関連して記載した通り、封止要素29aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材29cの全表面または基材29cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材29cに取り付けてもよい。
【0182】
さらに、図29Cに示す通り、封止要素29aは、図26および27に示した実施形態に関連して記載したように、封止要素29aの結合領域29e間に延在する結合領域29dにより互いに接続されていてもよい。
【0183】
図30に示す通り、さらに、本発明の封止要素は、封止要件および存在する任意の物理的制約に応じて、封止要素の結合領域の多数の側部に多数の分離領域を含んでいてもよいものと考えられる。例えば、図30の封止要素30aは、結合領域30cから延在している8つの別個の分離領域30bを含む。本発明の封止要素は、適宜、様々な形状およびサイズの多少の別個の分離領域を含んでいてもよい。
【0184】
図31a〜31bに、本発明の複合体ウェブの封止システムの更なる実施形態を示す。本実施形態は、スプリングタイプの係合部材を提供する可撓性の分離領域を含む熱可塑性ポリマー構造を有する封止要素を含む。図31aは、スプリングタイプの係合部材31jを与える熱可塑性ポリマー構造体を含む分離領域31bを有する別個の封止要素31aを含む基材31cの第1の主面の平面図である。本実施形態において、別個の封止要素31aは、熱可塑性ポリマー構造体が基材表面31cに取り付けられたベースを含む結合領域31eと、分離領域31bに1つ以上の片持ち状態にある部材を含む結合領域31eの片側に分離領域31bとを含む。分離領域31bの片持ち状態にある部材は、可撓性であるのが好ましく、さらにバーブ31fを含んでいてもよい。加えて、片持ち状態にある部材は、封止要件に応じて、基材31cの表面と位置合せされているか、または基材31cの表面に向かうか、離れるようにして傾斜していてもよい。
【0185】
図31aに示した封止要素に加えて、封止システムはさらに、図31bに図示する通り、1つ以上の開口部31mを含む補助基材31kを含んでいる。補助基材31kにある1つ以上の開口部31mは、開口部31mが、封止要素31aのスプリングタイプの係合部材31jを形成する1つ以上の熱可塑性ポリマー構造を受容し、スプリングタイプの係合部材31jが補助基材31kの1つ以上の開口部31m内に配置されているとき、補助基材31mの動きと、封止要素31aが取り付けられている基材31cの動きが、互いに制限できることができる限りは、例えば、丸穴、楕円形穴、矩形穴、スリット等のような任意の形状であってよい。
【0186】
例えば、図31bは、スプリングタイプの係合部材31jの受容部材を提供する補助基材31kにおける補助スロット開口部31mと係合された配向にある図31aのスプリングタイプの係合部材31jを示す。図31aの封止要素を係合するのに好適なその他の補助表面としては、例えば、ファイバーループにより形成された開口部が挙げられる。
【0187】
図32aおよび32bは、隆起部分とそれを取り囲む谷を含む基材の第1の主面を有する複合体ウェブを含む、本発明の他の予測される実施形態を示す。隆起部分は、例えば、リッジ(図示)、別個のピン等を含んでいてもよい。図32aに示す通り、基材32cの第1の主面は、隆起部分32nと、隆起部分32nの間に凹部または谷32pとを含んでいてもよい。図32aに、谷32pの表面から均一な高さhを有する隆起部分32nを示すが、本発明の実施形態はまた、不均一な高さの隆起部分32nと、取り囲む谷32pの表面に実質的に平行でない表面32oを有する隆起部分とを含んでいてもよいものと考えられる。図32aに示したような複合体ウェブを含むかかる構造は、記載した通りに、例えば、図6および7に関連して上記で開示した実施形態で記載したツールにより任意で形成されてもよい。
【0188】
図32は、隆起部分32nに取り付けられたポリマー構造体32rをさらに含む図32aの構造の図である。ポリマー構造体32rは、本明細書で述べたボンディングや取り付けのやり方を含む適切なやり方で隆起部分32nに取り付けてよい。さらに、ポリマー構造体32rは、これらに限られるものではないが、本明細書に開示した任意の構成の封止要素をはじめとする封止要素を含んでいてもよい。さらに、図32bには、ポリマー構造体32rが各隆起部分32nに取り付けられた実施形態を示したが、本発明では、全ての隆起部分32nがそこに取り付けられたポリマー構造体32rを含むわけではない実施形態も予測されるものと考えられる。
【0189】
さらに、ポリマー構造体は、基材表面32cの隆起部分32nに、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン等で取り付けられていてもよい。さらに、ポリマー構造32rは、取り囲む谷32pの表面に実質的に平行でない表面32oを有する隆起部分32rに取り付けられていてもよい。
【0190】
図33aおよび33bに、閉じた構成にある自己接合システムを提供する封止システムを示す。図33aに、基材33cに取り付けられた第1の封止要素33aを示す。封止要素33aは、結合領域33eと、結合領域33eの片側に分離領域33bとを含む。分離領域33bは、基材33cの第1の主面に片持ち状態にあり、好ましくは位置合せされて、片持ち状態にあるタブ構造が、基材33cの第1の主面の上で支持された分離領域33bに形成された単一部材33sを含む。
【0191】
封止要素33aは、成形して、基材33cにより片側に、そして分離領域33bにより逆側に結合されたポケットを形成するのが好ましい。ポケットの部材のx軸に沿った左への動きは、結合領域33eにより防止される。同様に、ポケットに完全に挿入された部材については、y軸に沿ったいずれかの方向における動きも同様に、結合領域33eにより制限される(結合領域33e近傍の部材の端部が結合領域33eと接触するためである)。
【0192】
図33bは、図33aの線33b−33bに沿った補助の第2の封止要素33a’と嵌合するときの図33aの断面図である。第2の封止要素33a’は、基材33c’の第1の主面に取り付けられており、分離領域33b’と結合領域33e’とを含む。分離領域33b’は、片持ち状態にあるタブ構造を提供し、結合領域33e’は、第1の封止要素33aにより形成された第1のポケットと同様のやり方で第2のポケットを形成する。図33bに示す通り、閉じた構成にあるとき、第1の封止要素33aの片持ち状態にあるタブは、第2の封止要素33a’の第2のポケットに配置されているのが好ましく、第2の封止要素33a’の片持ち状態にあるタブは、第1の封止要素33aの第1のポケットに配置されているのが好ましく、封止要素33aと33a’は自己嵌合配向で係合する封止システムが得られる。
【0193】
第1の封止要素、第2の封止要素、または両封止要素のいずれかの熱可塑性構造の結合領域は、ポケットの形成を支援する箱形結合領域またはU形結合領域のような任意の便利な形状としてよい。さらに、封止要素が、例えば、U形結合領域を含み、封止システムが閉じた構成にあるときは、第1の封止要素の片持ち状態にあるタブは、第2のポケット内に少なくとも部分的または実質的に完全に配置されていてもよい、または、第2の封止要素の片持ち状態にあるタブは、第1のポケット内に少なくとも部分的または実質的に完全に配置されていてもよい。
【0194】
さらに、図33の封止システムは、封止要素が両方とも同じ細長い卵形である封止システムを図示しているが、本発明ではまた、封止要素が様々な形状およびサイズであり、閉じた構成で配向したときに、要素が自己接合封止システムを必要とする限りは、第1の封止要素および第2の封止要素が必ずしも同じ形状および結合構成である必要がない封止システムも予測される。
【実施例】
【0195】
以下の実施例は、本発明の理解を高めるためのものである。実施例は本発明を限定するものではない。
【0196】
実施例1
図15に示すのと同様のシステムを用いて複合体ウェブを作成した。ギアポンプを備えた直径40mmの二軸押出し機を用いて、約246℃の溶融温度で溶融ポリプロピレンポリマー(7C05N、ハンツマン(Huntsman))をダイへ分配した。溶融ポリマーのフィルムを、加熱したドクターブレードおよび冷却した形成ロールの界面領域へと垂直下方へ押出すようにダイを配置した。
【0197】
ドクターブレードを、直線1インチ当たり93ポンド(直線1cm当たり163ニュートン)(溶融ポリマーにより、ベースフィルムの厚さを画定するブレードとロールの間にギャップを作成できる圧力)で形成ロールに押し付けた。ドクターブレードを246℃の温度に維持し、ロール内部に冷却油を循環させることにより、形成ロールを30℃の温度に維持した。
【0198】
形成ロールの外部表面を、コンピュータ制御のミリング機を用いて機械加工し、図10に示した凹部の形状と同様の、中心島を備えた一連の細長い楕円またはリング形凹部を与えた。しかしながら、凹部は一定の深さを有していた。ロール周囲に8つの凹部があった。凹部は、最も広い領域で、長さ8.825cm、幅2.00cmの楕円であった。各楕円の長軸を、機械方向(ダウンウェブ)に18度の角度で配向した。楕円は中心から中心までの間隔を12.1cmとなるように構成した。楕円凹部の全楕円の深さは0.80mm、これらの凹部の側部の半径は0.80mmであった。
【0199】
形成ロールの回転により、ドクターブレードが溶融ポリマーをこれらの凹部にすり込んで、ベースフィルム層(図17に図示)も形成された。ドクターブレードのすり込み操作後、すり込まれポリマーがポリプロピレン不織基材(BBA不織布(BBA Nonwovens)製の坪量が1平方メートル当たり27グラム(gsm)の製品(Product)C0075スタイル(Style)3320)と接触して、直線1インチ当たり14ポンド(25ニュートン/直線1cm)のニップ圧を用いて、コンフォーマルなバックアップロール(75ショアAのジュロメータ)に押し付けられるまで形成ロールを回転し続けた。
【0200】
楕円凹部にあるポリマーと不織基材の機械的結合が達成されたが、ベースフィルムと基材の間にはかかる結合は生じなかった。ベースフィルムと楕円フィーチャーの両方を形成するポリマーは、基材を形成ロールから離すと、形成ロールの表面からきれいに、実質的に完全に剥がれた。形成されたベースフィルムの厚さは0.051mmであり、楕円領域(基材と楕円領域の両方を測定)の厚さは0.83mmであった。
【0201】
実施例2
図15に示すのと同様のシステムを用いて複合体ウェブを作成した。ギアポンプを備えた直径40mmの二軸押出し機を用いて、約246℃の溶融温度でスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマー(クラトン(KRATON G−1657)からなる溶融ポリマーをダイへ分配した。溶融ポリマーのフィルムを、加熱したドクターブレードおよび冷却した形成ロールの界面領域へと垂直下方へ押出すようにダイを配置した。ドクターブレードを246℃の温度に維持し、ロール内部に冷却油を循環させることにより、形成ロールを30℃の温度に維持した。ドクターブレードを、直線1インチ当たり450ポンド(788ニュートン/直線1cm)の圧力で形成ロールに対して保持した。
【0202】
形成ロールの外部表面を、コンピュータ制御のミリング機を用いて機械加工し、ロール周囲に配置された一連の6つの異なる領域が得られるようにした。これらの領域はそれぞれ、幅方向(形成ロールの軸に平行)に一連の交差方向(CD)溝(凹部)を含んでいた。6つのパターンはそれぞれ30CD溝を有しており、それぞれ長さは9cm(ロール軸に平行な方向に)であった。
【0203】
6つのパターンの中で、領域1は幅1.241mm、深さ0.2769mmのCD溝、溝間の中心から中心の間隔が4.033mm(機械方向、すなわち交差方向の溝に垂直で測定)で機械加工された。領域2は、幅1.695mm、深さ0.1727mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。領域3は、幅1.645mm、深さ0.2007mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。領域4は、幅1.531mm、深さ0.2261mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。領域5は、幅2.387mm、深さ0.3023mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのロール軸に平行なCD溝を含んでいた。領域6は、幅2.195mm、深さ0.3531mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。
【0204】
ロールに形成されたCD溝に加えて、ドクターブレードを機械加工して、ポリマーの15本のストランドがロールの外部表面の機械方向(MD)に形成されるよう15のノッチを含めた(図23に図示)。ノッチは、幅方向に測定した中心から中心までの間隔が6.30mmの溝(幅0.135mm×深さ0.381mm)としてドクターブレードに形成された。
【0205】
ポリマー(クラトン(KRATON)G−1657)は、コンフォーマルなバックアップロールで形成されたニップ(75ショアAのジュロメータのゴムカバーを備えた鋼コア)で不織ポリプロピレン基材(BBA不織布(BBA Nonwovens)製の坪量27gsmで製品(Product)C0075スタイル(Style)3320)に転写された。バックアップロールのコアを5℃の温度で水を循環させることにより冷却した。形成ロールとバックアップロール間のニップにかけた圧力は、直線1インチ当たり14ポンド(25ニュートン/直線1cm)であった。溝とロール表面にあったポリマーは、基材を形成ロールから除去したときに、きれいに、実質的に完全に、形成ロールの表面から剥がれた(図15に図示)。
【0206】
6つのパターンのそれぞれに転写されたポリマーの量は異なるレベルの基材への浸透を示した。これを実証するように、領域3のパターンに対応する得られた複合体ウェブの領域は、MDストランド(ノッチの入ったドクターブレードにより形成された)がCDストランド(CD溝においてポリマーにより形成された)と交差する領域においてのみポリマーと基材の間に強固な結合を示した。これらの領域において、ポリマーは基材に浸透し、基材の繊維の多くを包み込んでいた。しかしながら、CDストランドおよびMDストランドのポリマーの残り、すなわち、交差部以外の部分においては、ポリマーは基材に強固な結合は形成しなかった。ポリマーによる基材への浸透はほとんど、あるいは全く見られなかった。
【0207】
領域3に対応する複合体ウェブの片をCD方向に伸張して(例えば、手で100%伸張)解放すると、図22に示すように、不織基材は、CDおよびMDストランドの交差部に対応するボンド点間に弓形部分を形成した。重いパターンについては、領域6(CD溝が大きい)のように、ポリマーは不織基材に浸透し、CDストランドの全長にわたって多くのファイバーを包み込んでいた。領域6に対応するウェブの片をCD方向に伸張して解放すると、領域3から伸張された複合体ウェブの試料に見られた通り、基材は弓形部分は形成しなかった。6つのパターンのそれぞれにより形成された複合体ウェブは、初期の伸張および弛緩の後、良好な弾性を示した。6つのパターンのそれぞれについて、CDストランドとMDストランド間の基材の大部分は実質的にポリマーを含まず、高通気性ウェブ(不織基材自身が高通気性であるため)が形成された。
【0208】
前述の特定の実施形態は本発明の実施の例証である。本発明は、本文書に記載に特定されていない要素や項目がなくても好適に実施される。全ての特許、特許出願および公報の全ての開示内容は、それぞれ参考文献として本文書に組み込まれる。本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明白であろう。本発明は本明細書に規定した例示のための実施形態に不当に限定されるものではないことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に1つ以上のポリマー構造体を含む複合体ウェブ、およびかかる複合体ウェブを製造するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
使用中に受ける力に耐えるように何らかの補強を必要とするウェブで形成された物品の製造は知られている。多くの場合、補強は、単に基材またはウェブ全体を覆うことによりなされている。しかしながら、かかるやり方は、補強を必要としない領域さえも含む、ウェブの全表面の剛性ばかりでなく、ウェブのコストおよび重量をも増加させる可能性がある。さらに、ウェブと同一の広がりを有する補強層は、通気性を減じる恐れもある。
【0003】
これらの問題のいくつかを解決するために、小片の補強材料を、補強を必要とする選択した領域においてウェブまたは基材に取り付けてもよい。しかしながら、かかる不連続片の取扱いおよび取り付けは、処理量を減少し、廃棄物を生じ(個々の小片がしっかりと取り付けられない場合)、ウェブでの正確な位置決めまたは配置を必要とし、接着剤または他の結合剤等の使用を必要とする等の問題が生じる可能性がある。不連続片は、刺激や不快感の元となることがある比較的鋭い縁部を有する場合がある。補強片は一般的に基材の表面に配置されるため、刺激や不快感は悪化する可能性がある。
【0004】
補強基材またはウェブに加えて(またはその代わりに)、弾性を示す物品の製造も望ましい。弾性、すなわち、中程度の伸びの後に少なくとも部分的に元の形状を回復する能力を有する物品を製造することが、多くの理由から望まれている。例えば、弾性があると、衣類(例えば、おむつ、トレーニングパンツ、ガウン、寝具等)のような品目のための締結システムにとって有用である。衣類の弾性は、動的フィットと呼ぶことのできるもの、すなわち、着用者による動きに応じて伸張および回復する能力を与える。
【0005】
弾性は、他の用途と組み合わせるのにも有用である。例えば、ファスナによっては、ファスナを伸張し、所望の張力を与える回復力に頼ることにより生じさせることのできる張力をかけた状態にファスナを保持すると、より一貫性のある取り付けをもたらす。他の例では、弾性によって、ファスナまたは他の物品のサイズまたは長さを容易に調整することができる。
【0006】
弾性は様々な異なる用途において有用であるが、製造には問題がある。弾性を与える多くの試みは、例えば、裏材または他の非弾性部材を糊付けしたり、縫製して所望の弾性を与える個々の弾性構成要素によるものである。かかる複合体物品の製造は、弾性構成要素を確実に取り付けること及び/または確実な取り付けを維持するのが困難であるという点で問題がある。さらに、個々の弾性構成要素の用意および取り付けにかかるコストおよび困難さは比較的高い。個々の弾性構成要素の取扱いおよび取り付けにより、処理量が減少し、さらに廃棄物が出る(個々の構成要素がしっかりと取り付けられない場合)等の可能性がある。
【0007】
他の例では、所望の弾性を与えるように物品全体を構築してもよい。例えば、多くの弾性締結システムは、弾性材料が裏材と同一の広がりを有するフィルムの形態で備えられている弾性積層体裏材の使用に頼る。かかるやり方だと、同一の広がりを有する1又は複数の弾性層を与えるのにさらにコストがかかる。さらに、多くの弾性材料には通気性がない。弾性積層体裏材を衣類に用いられる場合、通気性を改善するために裏材を穿孔するのが望ましい。しかしながら、かかる追加の処理をすると、弾性積層体裏材を製造するコストが上がってしまう。弾性積層体裏材の他の潜在的な欠点は、裏材の異なる部分で生じる弾性回復力に何らかの調整を行うのが困難なことである。
【0008】
基材に不連続ポリマー構造体を備える様々なやり方が、例えば、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0085485 A1号明細書、「構造化不連続ポリマー領域を備えた複合体ウェブのシステムおよび方法(SYSTEMS AND METHODS FOR COMPOSITE WEBS WITH STRUCTURED DISCRETE POLYMERIC REGIONS」、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0087098 A1号明細書、「補強ポリマー領域と弾性ポリマー領域を備えた複合体ウェブ(COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING POLYMERIC REGIONS AND ELASTIC POLYMERIC REGIONS)」、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0084996 A1号明細書、「補強不連続ポリマー領域を備えた複合体ウェブの製造方法(METHODS FOR PRODUCING COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING DISCRETE POLYMERIC REGIONS)」および2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0087059 A1号明細書、「不連続弾性ポリマー領域を備えた複合体ウェブ(COMPOSITE WEBS WITH DISCRETE ELASTIC POLYMERIC REGIONS)」に開示されているが、これらのやり方は、ロール温度、基材の組成等の点で特定の態様に限定されるであろう。
【0009】
取り付け手段を備えた封止要素およびシステムは周知である。当業界では、様々な設計および材料を含む数多くの様々なシステムが提供されている。例えば、米国特許第3,899,803号明細書には、シートと実質的に同じ面において1つの枠内に一体形成された別個の保持手段を有する保持要素を含むシート部材を含む自己保持装置が教示されている。保持要素として使用されるように、シートを曲げて、保持要素をシートの面に垂直に突出させる。
【0010】
さらに、米国特許第5,983,467号明細書には、相対剪断力を適用すると、第2の部分の表面にある構造体中の1つ以上の相補アパーチャとスライド可能に係合する第1の部分の表面にある1つ以上の島により概して達成される連結装置が教示されている。米国特許第4,887,339号明細書には、所定の長さに切断されると、ファスナの解除可能に係合可能な要素を形成するように構成されたポリマーシート材料のストリップが教示されている。米国特許第4,183,121号明細書には、2つの対向する接合する細長いストリップから構成される分離可能なファスナであって、当該ストリップの軸の1つとある角度を成して平行に配列されている一連の可撓性の相互係合する舌状部と、当該ストリップ中に部分的に重なる複数の開口部とを有するファスナが教示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
封止要素およびシステムに関する多くの技術があるにも係らず、低プロフィールの面内封止要素を低コストで提供するような封止システムが依然として必要とされている。かかる封止システムは、包装および使い捨ておむつのような品目に有利に用いることができるが、これらに限られるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、基材上に配置された1つ以上のポリマー構造体を有する複合体ウェブ、複合体ウェブ、かかる複合体ウェブの製造方法、かかる複合体ウェブの製造システム、および複合体ウェブを含む封止システム並びに物品の取り付け方法を提供する。
【0013】
例えば、結合領域(bonded areas)と分離領域(detached areas)の両方を含む構造体がもたらされるように、1つ以上のポリマー構造体を有する複合体ウェブを基材に取り付けることができる。かかる構造体は、都合よいことに、例えば、ループ材料の繊維と係合することにより、本明細書に記載した押出しプロセスにより与えられるループ状材料と係合することにより、本明細書に記載した自己接合設計による等により、封止を行う封止要素および封止システムを与えることができる。
【0014】
ポリマー構造体は、熱可塑性組成物を用いて形成される。本発明に関して用いる「熱可塑性」(およびその変形)とは、熱に晒されると軟化し、室温まで冷却されると元の状態または元の状態近くまで戻るポリマーまたはポリマー組成物を意味する。本発明の方法に関連して使用される熱可塑性組成物は、本明細書に記載してあるように、形成ツールの凹部に流れ込む、または入り込むことができるものでなければならない。
【0015】
好適な熱可塑性組成物は、溶融加工可能なものである。かかるポリマーは、凹部を少なくとも部分的に充填するのに十分流れるとともに、溶融プロセス中に大幅に分解しないものである。様々な熱可塑性組成物が、凹部の幾何形状および処理条件に応じて、本発明のプロセスで用いるのに好適な溶融およびフロー特性を有している。さらに、溶融加工可能な材料および処理条件は、熱可塑性組成物の粘弾回復特性が、本明細書で説明するように、溶融した熱可塑性組成物をワイピングしている間に凹部から著しく引き抜かれないように選択するのが好ましい。
【0016】
本方法およびシステムにおいて、1つ以上のポリマー構造体を形成し、基材へ転写するのに用いる形成ツールは、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に維持される。本発明の熱可塑性組成物の溶融処理温度は、熱可塑性組成物が、5秒以内の時間内に形成ツール(本明細書に記載)の凹部へ流れ込み、または入り込むことのできる最低温度である。
【0017】
場合によっては、溶融処理温度は、アモルファス熱可塑性組成物のガラス転移温度であるかまたはそれより僅かに高く、あるいは結晶性または半結晶性熱可塑性組成物の融点であるかまたはそれより僅かに高い。熱可塑性組成物が、1種類以上の結晶性ポリマーおよび1種類以上の半結晶性ポリマーのいずれかまたは両方とブレンドされた1種類以上のアモルファスポリマーを含む場合は、溶融処理温度は、アモルファスポリマーの最高ガラス転移温度または結晶性および半結晶性ポリマーの最高融点より高い。さらに、ロール温度は、形成ツールに付着する溶融熱可塑性組成物の温度より少なくとも摂氏20°以上低いことが好ましい。
【0018】
形成ツールを比較的冷たく維持する潜在的な利点の一つは、形成ツール(円柱外側表面か、そこに形成された凹部内のいずれか)に適用された溶融熱可塑性組成物を、溶融熱可塑性組成物を少なくとも部分的に凍結または固化できるとともに外部ロール表面から遠位にある溶融熱可塑性組成物の少なくとも一部がポリマー構造体を形成する熱可塑性組成物の転写を行うのに十分な長さにわたって溶融したままであるように、この熱可塑性組成物の溶融処理温度未満に外部ロール表面と直接接触している溶融熱可塑性組成物が下がるということである。その結果、外部ロール表面から遠位の溶融熱可塑性組成物を基材に取り付けることができるとともに、外部ロール表面と接触している凍結または固化した熱可塑性組成物をその表面からきれいに剥がすことができる。
【0019】
形成ツールを比較的冷たく維持する他の潜在的な利点は、溶融熱可塑性組成物が転写される基材の組成が、形成ツール温度に制限されないことである。例えば、ロール温度を、転写プロセス中、基材へのいかなる損傷をも制限するように十分低くすることができる。ポリマー構造体は、そうである限り、ポリマー構造体と同じまたは同様の熱可塑性組成物を有する多孔性および非多孔性基材(例えば、フィルム)上にポリマー構造体を形成することができる。熱可塑性組成物自身でできた基材を含む場合は、基材の熱可塑性組成物は、その上に形成されるポリマー構造体に用いられる熱可塑性組成物の溶融処理温度またはそれ以下の溶融処理温度を有しているのが好ましい。基材の熱可塑性組成物の溶融処理温度にも、ポリマー構造体を形成するのに用いられる熱可塑性組成物に関連して上記に挙げたのと同じ定義が当てはまる。さらに、ロール温度は、基材の熱可塑性組成物の加工温度より少なくとも摂氏20°以上低いことが好ましいであろう。
【0020】
基材の内部凝集力および/または基材の引張り強度に関する問題は、基材を形成ツールから引き離すときにかかる力により基材の残りの部分から分離できるような繊維状構造体(例えば、織布、不織布または編繊維)を基材が含む場合はさらに問題となることがある。これらの問題点は、凹部における熱可塑性組成物の凍結または固化のために、本発明により制限される。凍結または固化により、基材およびポリマー構造体が形成ツールから除去される際に基材にかかる力を制限することができる。
【0021】
本発明の方法の他の潜在的な利点は、基材に面している熱可塑性組成物の一部を溶融させながら、1つ以上のポリマー構造体を基材の主面に転写できることである。基材が多孔性、繊維状等の場合には、圧力を加えることによって、熱可塑性組成物の一部を基材に浸透させ、及び/または基材の繊維を包み込むことによって、1つ以上のポリマー構造体の基材への取り付けを向上できる。基材が多孔性でなく、凹部の溶融熱可塑性組成物の温度に比べて十分に低い溶融処理温度を有する熱可塑性組成物で基材ができている場合には、ポリマー構造体の取り付けは、ポリマー構造体の熱可塑性組成物と基材の熱可塑性組成物を混合することにより成すことができる。
【0022】
本発明の他の潜在的な利点は、上部表面(すなわち、基材から見て外方に向いた表面)に形成された表面フィーチャーを含むポリマー構造体を提供する可能性である。表面フィーチャーは、例えば、ステム、フック、角錐、溝、インディシア(英数字その他)等であってよく、例えば、機械的締結等のような追加の機能を与える。これらの表面フィーチャーは、ポリマー構造体自身の形成および転写と同時に一体化されたプロセス工程(別個の後のプロセス工程に対して)で与えてもよい。あるいは、表面フィーチャーは、ポリマー構造体の形成後に与えることもできる。
【0023】
他の潜在的な利点は、1つ以上のポリマー構造体の形状、間隔および体積を制御できることである。場合によっては、各ポリマー構造体を不連続ポリマー構造体(すなわち、基材に転写された熱可塑性組成物により互いに接続されていない)として、複数のポリマー構造体を基材の第1の主面に与えるのが好ましい。
【0024】
本発明の他の潜在的な利点は、厚い熱可塑性組成物構造体間に薄いベースフィルムを提供できることに見出される。厚い熱可塑性組成物構造体は基材に取り付けられるが、ベースフィルムは基材に取り付けても取り付けなくてもよい。ベースフィルムは、例えば、接着剤により基材に取り付けることができる。
【0025】
本発明の方法のその他の潜在的な利点は、基材の長手方向に延在する1つ以上のポリマー構造体を備えることができることである(基材の幅を超えるように形成されない、すなわち、ポリマー構造体は、基材の主面と同一の広がりを持たないのが好ましい)。
【0026】
本発明の方法のその他の潜在的な利点は、あるポリマー構造体を熱可塑性組成物から形成でき、他のポリマー構造体を異なる熱可塑性組成物から形成するというように、異なる熱可塑性組成物を基材の幅を方向にわたって異なる領域に備えることのできる能力である。
【0027】
本発明の方法のさらに他の潜在的な利点は、基材の両主面に1つ以上のポリマー構造体を備えることができることである。対向する主面のポリマー構造体は、所望により、同一または異なる構造で形成することができる。
【0028】
一態様において、本発明は、外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、形成ツールの外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に形成ツールの外部表面を維持する工程と、形成ツールの外部表面上の溶融した熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した熱可塑性組成物の少なくとも一部を1つ以上の凹部に入れる工程と、1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を基材に、基材の第1の主面を1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物と接触させることにより転写する工程と、転写後に基材と1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を形成ツールから分離する工程とを含む、複合体ウェブの製造方法を提供する。複合体ウェブは、基材の第1の主面に配置された熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含むように形成される。この複合体ウェブにおいて、1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む。
【0029】
他の態様において、本発明は、外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、形成ツールの外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に形成ツールの外部表面を維持する工程と、形成ツールの外部表面上の溶融した熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した熱可塑性組成物の少なくとも一部を1つ以上の凹部に入れる工程と、1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を基材に、基材の第1の主面を1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物と接触させることにより転写する工程と、転写後に基材と1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物を前記形成ツールから分離する工程とを含む、複合体ウェブの製造方法を提供する。1つ以上の凹部の表面から遠位の1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物の第1の部分は、1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物が、少なくとも基材の第1の主面と接触するまで熱可塑性組成物の溶融処理温度以上に保たれ、1つ以上の凹部の表面から遠位の1つ以上の凹部にある熱可塑性組成物の第2の部分は、堆積後、かつ、基材の第1の主面との接触の前に、溶融処理温度より低くなる。複合体ウェブは、基材の第1の主面に配置された熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含むように形成され、1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、基材の第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含み、結合領域は、熱可塑性組成物の第1の部分を含み、分離領域は、熱可塑性組成物の第2の部分を含む。
【0030】
他の態様において、本発明は、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める複合体ウェブを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む。分離領域において、少なくとも1つのポリマー構造体は、基材の第1の主面に片持ちされた状態にあり、位置合せされている。
【0031】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める複合体ウェブを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、この結合領域から延在している3つ以上の別個の分離領域とを含み、3つ以上の別個の分離領域は基材の第1の主面に片持ちされた状態にあるが、取り付けられていない。
【0032】
他の態様において、本発明は、第1の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第1の封止要素を含み、第1の封止要素が第1の基材の第1の主面の領域を占める、封止システムを提供する。第1の封止要素により占められた領域は、熱可塑性ポリマー構造体が第1の基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、熱可塑性ポリマー構造体が、第1の基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含む。分離領域の熱可塑性ポリマー構造体の一部は、第1の基材の第1の主面の上に支持された第1の片持ちタブを形成し、第1の封止要素の結合領域と第1の封止要素の片持ちタブと第1の基材の第1の主面とが第1のポケットを形成する。封止システムはまた、第2の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第2の封止要素を含む。第2の封止要素は、第2の基材の第1の主面の領域を占め、第2の封止要素により占められた領域は、熱可塑性ポリマー構造体が第2の基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、熱可塑性ポリマー構造体が、第2の基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含む。分離領域の熱可塑性ポリマー構造体の一部は、第2の基材の第1の主面の上に支持された第2の片持ちタブを形成し、第2の封止要素の結合領域と第2の封止要素の片持ちタブと第2の基材の第1の主面とが第2のポケットを形成する。第1の封止要素の片持ちタブは、第2のポケット内に配置され、第2の封止要素の片持ちタブは、封止システムが閉じた構成にあるときに、第1のポケット内に配置される。
【0033】
他の態様において、本発明は、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める封止システムを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む。分離領域において、少なくとも1つのポリマー構造体は基材の第1の主面に片持ちされた状態にあり、位置合せされている。封止システムはまた、1つ以上のポリマー構造体の分離領域を受容することのできる1つ以上の開口部を有する相補的な表面も含む。閉じた構成において、基材の第1の主面は相補的表面と対向しており、少なくとも1つのポリマー構造体の少なくとも1つの分離領域は、相補的表面と基材の互いに対する動きが制限されるように、相補的表面の1つ以上の開口部内に配置される。
【0034】
他の態様において、本発明は、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた1つ以上のポリマー構造体とを含み、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が基材の第1の主面の領域を占める封止システムを提供する。1つ以上のポリマー構造体のうちの少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が基材の第1の主面に取り付けられた結合領域と、ポリマー構造体が基材の前記第1の主面に取り付けられていない結合領域から延在している3つ以上の別個の分離に領域とを含む。3つ以上の別個の分離領域において、少なくとも1つのポリマー構造体は基材の第1の主面に片持ちされた状態にある。封止システムはまた、1つ以上のポリマー構造体の別個の分離領域を受容することのできる1つ以上の開口部を有する相補的表面も含む。閉じた構成において、基材の第1の主面は相補的表面と対向しており、少なくとも1つのポリマー構造体の少なくとも1つの別個の分離領域は、相補的表面と基材の互いに対する動きが制限されるように、相補的表面の1つ以上の開口部内に配置される。
【0035】
本発明のこれらおよびその他の特徴および利点を、本発明の様々な例証の実施形態により以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の方法により製造された複合体ウェブにある1つのポリマー構造体の断面図である。
【図2】複合体ウェブのポリマー構造体およびポリマー構造体間の基材に取り付けられていないベースフィルムの断面図である。
【図3】複合体ウェブのポリマー構造体およびポリマー構造体間の基材に取り付けられたベースフィルムの断面図である。
【図4】本発明の方法による複合体ウェブの製造に用いることのできる外部表面にある凹部を含む形成ツールの一部の平面図である。
【図5】図4の線5−5に沿った図4の凹部の断面図である。
【図6】本発明の方法による複合体ウェブのポリマー構造体の製造に用いることのできる形成ツールにある変形凹部の平面図である。
【図7】図6の線7−7に沿った図6の熱可塑性組成物を含有する凹部の一つの一部の拡大断面図である。
【図8】本発明の方法による複合体ウェブのポリマー構造体の製造に用いることのできる形成ツールにある他の凹部の一部の平面図である。
【図9】図8の線9−9に沿った図8の凹部の断面図である。
【図10】形成ツールにある1つのリング形の凹部の平面図である。
【図11】図10の線11−11に沿った図10の凹部の断面図である。
【図12】図10の線12−12に沿った図10の凹部の断面図である。
【図13】基材にある図10の凹部により形成されたポリマー構造体の断面図である。
【図14】基材の両主側にあるリング形ポリマー構造体を備えた複合体ウェブの一部の断面図である。
【図15】本発明の方法に従って基材にポリマー構造体を提供するのに用いてよい1つのポリマー転写システムの図である。
【図16】図15のシステムにおけるドクターブレードと形成ロールにある凹部の間の関係を示す拡大概略図である。
【図17】ベースフィルムが形成ロールの外部表面に形成された図15のシステムにおける、ドクターブレードと形成ロールにある凹部の間の関係を示す拡大概略図である。
【図18】形成ロールに対して基材を押し付けるコンフォーマルなバックアップロールを示す拡大部分断面図である。
【図19】区画された分配システムと方法に関連して有用な他の形成ロールとポリマー源を示す図である。
【図20】パターン化された凹部の形成された形成ロールの外部表面の一部の平面図である。
【図21】図20の形成ロールを用いて形成されたポリマー構造体を含む複合体ウェブの平面図である。
【図22】伸張後の図21の複合体ウェブの断面図である。
【図23】図20に示したのと同様の複合体ウェブにポリマー構造体を製造する他のシステムである。
【図24】図20に示したのと同様の複合体ウェブにポリマー構造体を製造する他の変形システムである。
【図25A】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25B】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25C】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25D】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図25E】基材の表面に配置された2種類の異なる熱可塑性組成物を備えた他の複合体ウェブの部分の断面図である。
【図26a】楕円形の封止要素を含む複合体ウェブを示す。図26aは基材に取り付けられた複数の楕円形封止要素の平面図である。
【図26b】楕円形の封止要素を含む複合体ウェブを示す。図26bは図26aの線26b−26bに沿った図26aの単一楕円形要素の断面図である。
【図27a】バーブを有する封止要素を含む複合体ウェブを示す。図27aは基材に取り付けられた、各分離領域にバーブを備えた分離領域を含む複数の封止要素の平面図である。
【図27b】バーブを有する封止要素を含む複合体ウェブを示す。図27bは図27aの線27b−27bに沿った図27aの封止要素の断面図である。
【図28a】バーブを含む封止要素を有する本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28aは基材に取り付けられた複数の封止要素の平面図である。
【図28b】バーブを含む封止要素を有する本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28bは図28aの単一封止要素の拡大図である。
【図28c】バーブを含む封止要素を有する複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28cは図28bに示す線28c−28cに沿った図28aの単一封止要素の断面図である。
【図29A】封止要素を含む本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図29Aは基材に取り付けられた複数の封止要素の平面図である。
【図29B】封止要素を含む本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図29Bは図29Aの要素のいくつかの拡大平面図である。
【図29C】封止要素を含む本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図29Cは基材に結合される領域を形成するためにドクターブレード中のMD溝を用いて作成された図29Aおよび29Bの封止要素を示す。
【図30】個々の封止要素の変形形状を含む本発明の複合体ウェブの平面図を示す。
【図31a】封止システムを与える本発明の複合体ウェブの変形実施形態を示す。このシステムには、可撓性要素を有する封止要素が含まれる。図31aは、結合領域と、可撓性でバーブを含む分離領域とを含むスプリングタイプの係合部材封止要素の平面図である。
【図31b】封止システムを与える本発明の複合体ウェブの変形実施形態を示す。このシステムには、可撓性要素を有する封止要素が含まれる。図31bは、補助スロット受け部材により係合方向にある図31aのスプリングタイプの係合部材を示す。
【図32a】隆起部分とそれを取り囲む谷とを含む複合体ウェブの実施形態を示す。図32aはリッジの形態にある隆起部分を含む複合体ウェブの斜視図である。
【図32b】隆起部分とそれを取り囲む谷とを含む複合体ウェブの実施形態を示す。図32bは隆起部分とそれを取り囲む谷と、さらに隆起部分に取り付けられたポリマー構造体を含む複合体ウェブの断面図である。
【図33a】タブを含む封止システムの封止要素を示す。図33aは基材に取り付けられた第1の封止要素を示す。
【図33b】タブを含む封止システムの封止要素を示す。図33bは第2の基材の補助封止要素と嵌合され、図33aに示した線33b−33bに沿った図33aの封止要素の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
上述した通り、本発明は、基材の表面に配置され、本発明の封止要素およびシステムを提供するポリマー構造体を含む複合体ウェブを提供する。様々な異なる構造を説明して、本発明による封止要素およびシステムの様々な実施形態を例示する。これらの例示の構成は、本発明を制限するものではなく、添付の請求項によってのみ制限されるものである。
【0038】
本明細書において、本発明の封止要素およびシステムに関して「占める」とは、要素またはシステムが基材の表面の上に直接配置、または基材の表面に取り付けられていることを意味するものと考えられ、要素またはシステムが基材の表面の上の直接の領域と、基材の表面に取り付けられた領域の両方を含む状況が含まれる。
【0039】
本明細書において「繊維」という用語には、不定の長さの繊維(例えば、フィラメント)および不連続な長さの繊維、例えば、ステープル繊維が含まれる。本発明で用いる繊維は多成分繊維であってもよい。「多成分繊維」という用語は、ドメインが分散、ランダムまたは非構造化となる傾向にあるブレンドに対して、繊維断面において、少なくとも2つの別個の長手方向に同延の構造化ポリマードメインを有する繊維のことを指す。別個のドメインはこのように、異なるポリマー部類(例えば、ナイロンとポリプロピレン)または同じポリマー部類(例えば、ナイロン)だがそれらの特性または特徴が異なるものから形成される。「多成分繊維」という用語には、同心および偏心シース−コア繊維構造、対称および非対称サイドバイサイド繊維構造、海島繊維構造、パイくさび繊維構造およびこれらの構造の中空繊維が含まれるがこれらに限られるものではない。
【0040】
図1は本発明に従って製造された複合体ウェブの一部の断面図である。複合体ウェブは、第1の主面11と第2の主面12とを備えた基材10を含む。1つ以上のポリマー構造体14が基材10の第1の主面11に配置されている。基材は2つ以上のポリマー構造体を含んでいてもよいものと考えられる。
【0041】
ポリマー構造体14は、それが配置された基材10の表面11の所望の部分を覆っていてもよい。ただし、ポリマー構造体14は基材10の表面全ては覆わない。例えば、ポリマー構造体は、基材の第1の主面の全てより少ない、好ましくは基材の第1の主面の75%未満、さらには基材の第1の主面の50%未満を占めるのが好ましい。この範囲の下端では、ポリマー構造体は、基材の第1の主面の少なくとも2%、好ましくは基材の第1の主面の5%以上、さらには基材の第1の主面の10%以上を占めるのが好ましい。ポリマー構造体が占める表面積の百分率で表した更なる割合は、例えば、1999年2月25日出願の米国特許出願第09/257,447号明細書「不連続ステム領域を有するウェブ(WEB HAVING DISCRETE STEM REGIONS)」(国際公開第00/50229号パンフレット)に記載されている。
【0042】
図2は、ポリマー構造体114が基材110の主面111に取り付けられた別の複合体ウェブ構造を示す。しかしながら、ポリマー構造体114は、薄いベースフィルム116により互いに接続されている。ベースフィルム116は、一般的に、ポリマー構造体114を基材110に形成し転写しながら作成される。さらに、ベースフィルム116は、一般的に、ポリマー構造体114と同じ熱可塑性組成物で製造される。ベースフィルムを備えたポリマー構造体の製造についてのいくつかの具体的プロセスについて以下に詳細に説明する。
【0043】
ベースフィルム116は、ポリマー構造体114の取り付け後複合体ウェブから除去してもよいし、適所に残してもよい。図2に示す通り、ベースフィルム116は、基材110の表面111の全表面を覆うように直接取り付けなくてもよい。かかる構成において、ベースフィルム116は、ポリマー構造体114の端部近傍で基材110に取り付けることにより、かつ/またはベースフィルム116をポリマー構造体114自身に取り付けることにより複合体ウェブの一部として保持してもよい。
【0044】
ポリマー構造体114およびベースフィルム116は、相対的な厚さにより複合体ウェブ構造において互いに区別することができる。ポリマー構造体114は、ベースフィルム116の最大厚さよりも厚い最大厚さ(基材110の局所表面111に対して法線で測定)を有する。例えば、ベースフィルム116の最大厚さは、形成ツールの凹部により形成されたポリマー構造体114の最大厚さの25%以下であるのが好ましい(より好ましくは10%以下)。
【0045】
図3に、ポリマー構造体114間のベースフィルム116が基材110の表面111に取り付けられた複合体ウェブを示す。場合によっては、ポリマー構造体114を取り付けるのと同時に、ポリマー構造体114を取り付けるのに用いるのと同じ機構(例えば、ベースフィルム116中の熱可塑性組成物が基材110に浸透すること、ベースフィルム116の熱可塑性組成物を基材熱可塑性組成物と混合すること等)を用いて、ベースフィルム116を基材110に取り付けてもよい。
【0046】
他の場合には、ポリマー構造体114を取り付けた後にベースフィルム116を基材110に取り付けてもよい。例えば、ベースフィルム116は、熱溶接、化学溶接、熱封止、圧力溶接、レーザー、超音波エネルギー等により基材110に取り付けてもよい。
【0047】
しかしながら、図示した実施形態においては、ベースフィルム116は、ベースフィルム116と表面111の間に介挿された接着剤118により基材110の表面111に取り付けられている。接着剤118は、例えば、硬化性、感圧、熱活性、ホットメルト等の好適な組成物としてよい。さらに、接着剤118は、基材をベースフィルム116およびポリマー構造体114と接触させる前に、基材110の表面111に提供してもよい、あるいは、ベースフィルム116を基材110と接触させる前にベースフィルム116に提供してもよい。
【0048】
接着剤118は、ポリマー構造体114と基材110の間に配置させるようには図示されていないが、これらの位置に提供してもよい。しかしながら、ポリマー構造体114の基材110への取り付け中に遭遇する条件(例えば、熱、圧力等)によっては、接着剤が劣化する等して、接着剤118が基材110への取り付けの主な機構として機能しないことがある。
【0049】
本発明の複合体ウェブのポリマー構造体は、規則的な繰り返しパターン(xおよびy方向の両方について)で基材の表面に均一な間隔であってもよいし、あるいは、ポリマー構造体の間隔および構成は所望であれば不均一としてもよい。さらに、ポリマー構造体が配置されたパターンは不規則であってもよい。
【0050】
他の態様において、本発明に従って製造された複合体ウェブのある部分には、均一な間隔で配置されたポリマー構造体が含まれていてもよいが、同じ複合体ウェブのその他の部分にはポリマー構造体がなくてもよい。さらに他の態様において、本発明に従って製造された複合体ウェブのある部分には、均一な間隔のポリマー構造体が含まれていてもよいが、同じ複合体ウェブのその他の部分には不均一な間隔のパターンで配列されたポリマー構造体が含まれていてもよい。さらに、本発明に従って製造された複合体ウェブの異なる部分には、互いに異なる繰り返しパターンで両者とも均一な間隔の異なる組のポリマー構造体が含まれていてもよい。
【0051】
ポリマー構造体は、所望の形状、例えば、正方形、矩形、六角形等とすることができる。形状は、認識可能な幾何形状の形態であってもなくてもよく、不規則な周囲を備えて無作為に形成してもよい。さらに、形状は必ずしも中空でない形状でなくてもよく、熱可塑性組成物が転写されない、またはベースフィルムが転写されない形状内に形成された島を含んでいてもよい。さらに他の変形例においては、ポリマー構造体の一部または全てが、インディシアの形態、例えば、文字、数字またはその他グラフィックシンボルであってもよい。
【0052】
本発明の複合体ウェブと組み合わせて用いられる基材は様々な構造を有していてよい。例えば、基材は織材料、不織材料、編材料、ネット、スクリム、発泡体、紙、フィルムまたはニップ点を通して供給できるその他連続媒体であってもよい。基材は、伸展性、弾性、可撓性、コンフォーマル性、通気性、多孔性および剛性のような様々な特性を有することができる。さらに、基材は、プリーツ、波形、マイクロクレープであったり、平坦なシート構造からの他の変形形状を含んでいてもよい。
【0053】
基材がその機械的安定性を失うよう、基材の軟化または溶解となる温度まで加熱されるロールにより基材を接触させるプロセスとは異なり、本発明の方法およびシステムは、基材がその機械的安定性を失うよう、軟化または溶融する温度より低い温度で好ましくは維持されるロールを用いる。一つの潜在的な利点は、ポリマー構造体およびベースフィルムに用いるものと同じまたは同様の熱可塑性組成物で基材を製造できることである。例えば、ポリオレフィン熱可塑性組成物のポリマー構造体を、同じまたは同様の熱可塑性組成物を含む基材に適用することができる(例えば、ポリプロピレン基材にポリプロピレンポリマー構造)。
【0054】
場合によっては、基材はあるレベルの伸展性を示し、また場合によっては弾性も示す。好ましい伸展性ウェブの初期降伏引張り力は少なくとも約50gm/cm、好ましくは少なくとも約100gm/cmである。さらに、伸展性ウェブは伸展性の不織ウェブであるのが好ましい。
【0055】
本発明に用いられる不織ウェブを作成するのに好適なプロセスは、エアレイング、スパンボンド、スパンレース、ボンドメルトブローンウェブおよびボンドカードウェブ形成プロセスが挙げられるがこれらに限られるものではない。スパンボンド不織ウェブは、紡糸口金において一連の微細ダイオリフィスから溶融熱可塑材をフィラメントとして押出すことにより作成される。押出されたフィラメントの直径は、例えば、非エダクティブまたはエダクティブ流体延伸または、米国特許第4,340,563号明細書(アペルら(Appel et al.)、同第3,692,618号明細書(ドルシュナーら(Dorschner et al.)、同第3,338,992号明細書および同第3,341,394号明細書(キンレー(Kinney))、同第3,276,944号明細書(レヴィ(Levy))、同第3,502,538号明細書(パターソン(Peterson))、同第3,502,763号明細書(ハートマン(Hartman))および同第3,542,615号明細書(ドボら(Dobo et al.))に記載されているようなその他の公知のスパンボンド機構により張力をかけると即時に減少する。スパンボンドウェブは好ましくはボンド(ポイントまたは連続ボンディング)される。
【0056】
不織ウェブ層をボンドカードウェブから作成してもよい。カードウェブは、分離ステープル繊維から作成され、繊維は結合またはカーディングユニットに送られ、そこで分離され、機械方向にステープル繊維が位置合わせされて、機械方向配向の繊維状不織ウェブが形成される。しかしながら、ランドマイザーを用いてこの機械方向配向を減じることができる。
【0057】
カーディングされたウェブを形成したら、いくつかあるボンディング方法のうちの1つ以上によりそのウェブを結合して、好適な引張特性を得る。あるボンディング方法は、パウダーボンディングであり、粉末状接着剤をウェブに分散させて、次に、通常は、ウェブおよび接着剤をホットエアで加熱することにより粉末状接着剤を活性化させる。他のボンディング方法は、パターンボンディングであり、加熱されたカレンダーロールまたは超音波ボンディング装置を用いて、通常は、局所ボンドパターンで繊維を結合する。ただし、所望であれば、ウェブはその全表面にわたって結合することもできる。通常、1つに結合させるウェブの繊維が多ければ多いほど、不織ウェブの引張特性が大きくなる。
【0058】
エアレイングは、本発明に有用な繊維状不織ウェブを作成することのできる他のプロセスである。エアレイングプロセスにおいて、6〜19ミリメートルの長さを有する小さな繊維の束が分離され、給気中に同伴させ、多くの場合真空供給器の助けを借りて、形成スクリーン上に堆積させる。ランダムに堆積させた繊維を、例えば、ホットエアまたはスプレー接着剤を用いて互いに結合する。
【0059】
溶融ブローン不織ウェブは、マルチダイオリフィスから熱可塑性ポリマーを押出すことにより形成される。ポリマー溶融流れは、ポリマーがダイオリフィスから排出される場所で直ちにダイの2面に沿って高速ホットエアまたは蒸気により即時に減衰される。得られるファイバーは、収集面で収集される前に、生じる乱気流の中で、合着ウェブへと交絡する。通常、十分な完全性と強度を本発明において与えるために、溶融ブローンウェブは、上述したエアボンディング、熱または超音波ボンディング等により更に結合されなければならない。
【0060】
ウェブは、国際公開第96/10481号パンフレット(アブートら(Abuto et al.)に開示されているようなスキップスリット加工により伸展性とさせることができる。弾性、伸展性ウェブが望ましい場合には、スリットは不連続であり、通常、ウェブに弾性構成要素を取り付ける前に切断される。これより困難であるが、非弾性ウェブを弾性ウェブに積層した後、非弾性ウェブ層にスリットを作成することも可能である。非弾性ウェブのスリットの少なくとも一部は、弾性ウェブ層の伸展性または弾性の意図する方向(少なくとも第1の方向)に対して略垂直(または実質的に垂直なベクトルを有する)ものとする。略垂直とは、選択したスリットの縦軸と伸展方向間の角度が60〜120度であることを意味する。全体の積層体が弾性となるように、十分な数の上にスリットが略垂直である。弾性積層体を少なくとも2つの異なる方向に弾性としたいときに、2つの方向にスリットを入れると有利である。
【0061】
本発明に関連して用いる不織ウェブはまた、米国特許第4,965,122号明細書、同第4,981,747号明細書、同第5,114,781号明細書、同第5,116,662号明細書および同第5,226,992号明細書(全てモーマン(Morman))に記載されているようなネックのある、または可逆的にネックのある不織ウェブとすることもできる。これらの実施形態において、不織ウェブは、伸展性の所望の方向に対して垂直な方向に延ばす。不織ウェブをこの伸び条件に設定すると、伸展方向に伸張および回復特性を有する。
【0062】
本発明に用いる基材は、基材の主面の片側または両側にある程度の多孔性を示すのが好ましく、溶融熱可塑性組成物を基材の主面の片側に与えると、溶融熱可塑性組成物が基材の多孔性表面の一部に浸透し、及び/またはこれを包み込むにつれて、溶融熱可塑性組成物と基材の間に機械的結合が形成される。本発明で用いる「多孔性」という用語には、形成されたボイドを含む構造と、繊維の間隙へ溶融熱可塑性組成物の浸透を可能とする多数の繊維から形成された構造(例えば、織、不織、編等)の両方が含まれる。多孔性表面に繊維が含まれる場合には、熱可塑性組成物は、基材の表面に繊維または繊維の部分を包み込むのが好ましい。
【0063】
基材が多孔性でなく(例えば、ポリマーフィルムのようなフィルムであり)、凹部の溶融熱可塑性組成物の温度に比べて十分に低い溶融加工温度を有する熱可塑性組成物でできている場合には、ポリマー構造体の取り付けは、ポリマー構造体中の熱可塑性組成物と基材中の熱可塑性組成物を混合する(例えば、ポリマー材料の溶融ボンディングまたはヒートシーリングにあるような表面混合)ことによりなされる。熱可塑性組成物自身でできた基材に、本発明によるポリマー構造体を取り付けるために、基材熱可塑性組成物は、そこに形成されたポリマー構造体に用いる熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有しているのが好ましい。
【0064】
溶融熱可塑性組成物を適用する適切な基材を選択するときは、基材の材料の種類および構造を考慮しなければならない。例えば、加工中にバラバラに壊れないよう、基材は十分な内部強度を有していなければならない。基材は、形成ツールから無傷で取り外せるよう形成ツールの温度で機械方向に十分な強度を有しているのが好ましい。
【0065】
本発明の方法により製造された物品の様々な断面図に示した基材は単一層構造として示されているが、基材は単一または多層構造であってもよいものと考えられる。多層構造を用いる場合には、様々な層が同一または異なる特性、構造を有することが理解されるでああろう。これらの態様のいくつかについては、例えば、1999年2月25日出願の米国特許出願第09/257,447号明細書「不連続ステム領域を有するウェブ(WEB HAVING DISCRETE STEM REGIONS)」(国際公開第00/50229号パンフレット)に記載されている。
【0066】
本発明のポリマー構造体は、様々な異なる熱可塑性ポリマー材料で形成することができる。本発明で用いることができる熱可塑性組成物としては、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリメタクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリ塩化ビニル、アクリレート変性エチレン酢酸ビニルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、フルオロカーボン等が挙げられるがこれらに限られるものではない。好適な熱可塑性ポリマーのメルトフローインデックスは、ASTM D1238に規定されたポリマーについて適正な条件で測定したとき、通常、5〜200グラム/10分である。さらに、熱可塑性組成物は、例えば、熱可塑性ホットメルト接着剤であってもよい。
【0067】
本発明の熱可塑性組成物は、非エラストマーまたはエラストマー熱可塑性ポリマーのいずれか、または両方を含んでいてもよい。非エラストマー熱可塑性ポリマーは、冷却すると元の状態または元の状態近くまで溶融して戻り、周囲条件(室温および室内圧)でエラストマー特性を示さない溶融加工可能なものである。本発明で用いる「非エラストマー」とは、伸張させた後元の形状に実質的に戻らない材料のことを意味する。さらに、非エラストマーポリマーは、変形と緩和の後、永久歪を持続するのが好ましく、歪は、中程度の伸び、例えば、約50%で元の長さの好ましくは、少なくとも約20パーセント以上、より好ましくは少なくとも約30パーセント以上である(破断またはその他不具合なしに50%まで伸張可能な材料について)。
【0068】
エラストマー(または弾性)熱可塑性ポリマーは、冷却すると元の状態または元の状態近くまで溶融して戻り、周囲条件(室温および室内圧)でエラストマー特性を示すポリマー組成物である。本発明で用いる「エラストマー」とは、伸張させた後元の形状に実質的に戻る材料のことを意味する。さらに、エラストマーポリマーは、変形と緩和の後、僅かな永久歪を持続するのが好ましく、歪は、中程度の伸び、例えば、約50%で元の長さの好ましくは、約30パーセント以下、より好ましくは、約20パーセント以下である。本発明のエラストマー熱可塑性組成物は、純粋なエラストマーおよびエラストマー相または室温で実質的にエラストマー特性を示す成分とのブレンドの両方とすることができる。米国特許第5,501,679号明細書(クリューガーら(Krueger et al.))には、本発明で用いられるエラストマー材料に関してさらに記載がある。
【0069】
弾性熱可塑性組成物は1種類以上のポリマーを含むことができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリマーが室温で実質的にエラストマー特性を示すようなエラストマー相とのブレンドとすることができる。好適な弾性熱可塑性ポリマー組成物としては、従来のA−BまたはA−B−Aブロックコポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー)のようなブロックコポリマー、エラストマーポリウレタン、オレフィンエラストマー、特に、エラストマーエチレンコポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、エチレン/オクテンコポリマーエラストマー、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーエラストマー)、およびこれらを互いに混合したもの、他の弾性熱可塑性ポリマーと混合したもの、非弾性熱可塑性ポリマーと混合したものが挙げられる。
【0070】
本発明に用いる熱可塑性組成物はまた、所望の効果を得るために様々な添加剤と組み合わせることができる。例えば、フィラー、減粘剤、可塑剤、粘着付与剤、着色剤(例えば、染料や顔料)、酸化防止剤、帯電防止剤、ボンディング助剤、アンチブロッキング剤、滑剤、安定剤(例えば、熱および紫外線)、発泡剤、微水球、ガラス泡、補強繊維(例えば、マイクロファイバー)、内部離型剤、熱伝導性粒子、導電性粒子等が挙げられる。熱可塑性組成物に有用なかかる材料の量は、かかる材料を処理および使用する当業者により容易に求めることができる。
【0071】
図4は、本発明の転写ロール30における1つの例示的の凹部34の平面図であり、図5は図4の線5−5に沿った凹部34の断面図である。凹部34は、直径が文字dで表される円形フットプリント(例えば、ロール表面32の凹部34における開口部の形状)を有する。凹部34は、転写ロール30の外部表面32から測定した深さ(文字hで表される)を有する。
【0072】
本発明に関連して用いられる形成ツールは、基材上にポリマー構造を形成するのに十分大きな凹部を含むのが好ましい。本発明の原理に従って形成された凹部および/またはポリマー構造は、様々なやり方で特徴付けられる。例えば、凹部34は、形成ツールの外部表面にあるフットプリントが占める面積、フットプリントの最大寸法(ロール表面の任意の方向における)、凹部の体積、フットプリントの形状等で特徴付けられる。
【0073】
凹部のフットプリントの占める面積で特徴付けられるとき、各凹部34は、約4平方ミリメートル(mm2)以上のフットプリントを有する。他の場合には、各凹部34は約8mm2以上の面積のフットプリントを有する。
【0074】
凹部を特徴付ける他のやり方は、転写ロール30の表面32で測定した最大フットプリント寸法によるものである。図4および5に示す円形フットプリントを備えた凹部については、最大寸法は全方向において同じであるが、本発明で用いる凹部は任意の所望の形状(例えば、細長い形状、不規則な形状等)としてよい。最大寸法は、転写ロール30の外部表面の一つ以上の方向で生じるが他の方向では生じないものである。最大のフットプリント寸法で特徴付けるときは、凹部は約2ミリメートル(mm)以上、場合によっては約5mm以上の最大フットプリント寸法を有する。
【0075】
細長いストランドをポリマー構造の一部として形成する場合には(形成ツールの溝か、形成ツールの外部表面に付着した熱可塑性組成物のストランドにより)、ストランドの幅は、その長手方向と直角な方向で測定したとき1ミリメートル以上であるのが好ましい。
【0076】
本発明で用いる凹部を特徴付けるさらに他のやり方は体積によるものである。例えば、凹部は、少なくとも約3立方ミリメートル(mm3)以上の凹部体積、あるいは約5立方ミリメートルの凹部体積を有する。
【0077】
図6および7に、凹部134がロール130の面に実質的に沿って配向された(すなわち、軸131と略位置合せされている)形成ツール130にある他の組の凹部を示す。ロール130は、使用の際に軸131周りに回転し、その結果、凹部134が一般的にクロスウェブ方向(ダウンウェブまたは機械方向に対する)に配向されたポリマー構造体を付着するように設計されている。2つ以上の凹部134がロール130の外部表面132に示されているが、ロールは、所望であれば、外部表面132に形成された1つのみのかかる凹部を含んでいてもよいものと考えられる。
【0078】
図7の断面図(図6の線7−7に沿った)は、本発明の形成ツールにおける凹部の他の任意の特徴を示している。凹部134は、浅い領域135と深い領域136を有している。異なる領域の深さは、形成ツール130の外部表面132に対して法線で測定される。例えば、深い領域136は図7に示すような高さhを有している。
【0079】
図7において、凹部134はその中に配置された熱可塑性組成物141を含んでいる。凹部134内の熱可塑性組成物141は、図7において、破線146で仕切られた2つの異なる特性を示すのが好ましい。凹部134の表面137近傍(例えば、表面137と破線146の間)の熱可塑性組成物141の部分は、凹部134への堆積後、凹部134の熱可塑性組成物141が基材と接触する前に熱可塑性組成物141の溶融処理温度より低くなるのが好ましい(詳細は後述する)。場合によっては、スキン層の凍結、固化、形成等する際に、溶融処理温度より低い熱可塑性組成物141の部分を特徴付けることができる。
【0080】
これとは対照的に、凹部134の表面137から遠位(例えば、破線146の逆側)の熱可塑性組成物141の部分は、凹部134の熱可塑性組成物141が基材と少なくとも接触するまで、熱可塑性組成物141の溶融処理温度以上に保たれることが好ましい。熱可塑性組成物141の遠位部分は、溶融処理温度以上に保たれるため、その部分を、例えば溶融しているものと特徴付けてもよい。溶融処理温度以上に保たれる熱可塑性組成物141のその遠位部分は、多孔性基材に浸透したり、本明細書に記載したポリマー基材と混合させることが可能である。
【0081】
破線146は、鋭い境界を仕切っているが、溶融および固化または凍結熱可塑性組成物141間の実際の境界は、鋭い線ではなく、むしろある程度の深さのある移行部である。
【0082】
図7に関連した図示した他の特徴は、処理中に、凹部134の浅い部分135を充填する質量の小さな溶融熱可塑性組成物に比べて、領域136を充填する質量の大きな熱可塑性組成物141である。異なる領域におけるこれらの異なる量の熱可塑性組成物は数多くの利点を与えることができる。
【0083】
1つの潜在的な利点は、領域136の局所的に質量の増加した熱可塑性組成物141が、浅い領域135の熱可塑性組成物141に比べて、溶融処理温度以上に保たれるより大きな塊の熱可塑性組成物141を好ましくは含むことができることである。領域136内の溶融処理温度以上のより大きな塊の熱可塑性組成物141は、例えば、多孔性基材に浸透したり、転写条件下で、例えば、ポリマーフィルム基材にある同じまたは異なるポリマーと混合する際により効果的である。逆に、浅い領域135内の溶融処理温度以上で、少量の熱可塑性組成物141は、例えば、多孔性基材に浸透したり、転写条件下で、例えば、ポリマーフィルム基材にある同じまたは異なるポリマーと混合する際にあまり効果的でない。
【0084】
場合によっては、浅い領域135にある熱可塑性組成物141は全て、浅い領域135にある熱可塑性組成物141が基材に浸透したり、混合されないよう基材と接触する前に、溶融処理温度より低くする。しかしながら、同じ場合に、深い領域136にある熱可塑性組成物141の少なくとも一部は、凹部134にある熱可塑性組成物と基材の間に結合が形成されるように基材に浸透かつ/または混合する能力を保持するために、溶融処理温度のまま、またはそれ以上であるのが好ましい。
【0085】
異なる領域135および136にある溶融処理温度以上である異なる量の熱可塑性組成物141は、異なる結合特性を示すものと説明できるポリマー構造体の形成に寄与する。基材に結合された得られたポリマー構造体の領域(一般的に、熱可塑性組成物141の多く、または少なくとも一部が溶融処理温度のまま、またはそれ以上の深い領域136に略対応する)は、「結合領域」と説明することができる。凹部134の浅い領域135に対応するポリマー構体造の部分(一般的に熱可塑性組成物141の全てまたは僅かが、溶融処理温度のまま、またはそれ以上の領域)は一般的に、基材と制限された結合を形成するか、または結合を形成せず、ここでは、凹部134により形成されたポリマー構造体の「分離領域」と呼ばれる。
【0086】
図6および7に示す凹部134は、局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物を大きな凹部へ供給する一つのやり方を表している。図8および9の凹部234は、その長手方向に沿って形成ツール230の外部表面232から一定の深さを有しているのが好ましい(例えば、図9の断面図参照)。しかしながら、局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物は、凹部234の狭い周囲領域235に比べて凹部234が広がる領域236により供給することができる。その結果、広い領域236は、図6および7の凹部134に関して上述した異なる結合特徴を提供する局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物を供給する。図6〜8に示した2つの特徴を組み合わせる、例えば、周囲の凹部より深くて広い領域に含まれる凹部に局所的に大きな塊の熱可塑性組成物を与えることも考えられる。
【0087】
図6〜8に図示したような凹部は、場合によっては、1つ以上の方向に異なる体積という特徴を有していてもよい。例えば、細長い凹部については、局所的に大きな塊の領域の単位長さ当たりの体積は、周囲の凹部の単位長さ当たりの体積の125%以上(好ましくは150%以上)であるのが好ましい。
【0088】
局所的に大きな塊の溶融熱可塑性組成物を基材に供給して、例えば、ポリマー構造体の異なる結合(differential bonding)を達成するさらに他のやり方を図23および24を参照して以下に説明する。これらのプロセスにおいて、溶融熱可塑性組成物は、例えば、溶融熱可塑性組成物のストランドとして凹部にある熱可塑性組成物の塊に適用する。溶融熱可塑性組成物が、凹部にある溶融熱可塑性組成物に延在する領域は、異なった形で結合されたポリマー構造体を基材上に形成するのに必要な局所的に大きな塊の熱可塑性組成物を提供する。
【0089】
図10〜13に、本発明の方法に関連して基材上にポリマー構造体を提供するのに用いる凹部におけるさらに他の態様を示す。リング形凹部334は、凹部334により形成されたリング内に配置された島333のある細長いトラフの形態で形成ツールの表面332に配置されている。図示したリング形凹部334は、細長い楕円状形状であるが、本発明のリング形凹部は、所望の形状、例えば、円形、四角形、三角形等で形成してもよい。
【0090】
図10に示すような島を含む凹部を用いると、基材の一部が周囲のポリマー構造体内で露出する、またはベースフィルムが周囲ポリマー構造体内に提供されている基材上にポリマー構造体を与えることができる。例えば、得られた構造体を用いて、例えば、基材上に形成されたボタン穴、スロット、穿孔またはその他開口部の領域において基材を強化することができる。同様の構造についてその他の用途も考えられる。
【0091】
凹部334の中心に形成された島333は、凹部334を囲む形成ツールの外部表面332と同じ高さであってもよい。凹部334には、その中に形成された単一の島333のみが図示されているが、本発明の方法に関連して用いる凹部は、所望であれば、各凹部内に配置された2つ以上の島を含んでいてもよい。さらに、島と周囲の凹部の形状もまた変えてもよく、例えば、円形の最外周囲を有する凹部を異なる形状を有する島と対にしてもよい。他の態様において、島は図10に示すように凹部内の中心になくてもよい。
【0092】
形成ツール330の凹部334の配向は様々な因子に基づいて選択してよい。凹部334は、機械方向(すなわち、基材の移動方向)、クロスウェブ方向(すなわち、基材の移動方向に直角)または機械方向またはクロスウェブ方向の間のその他の方向に位置合わせされる。
【0093】
図11に示した他の態様は、凹部334の深さの変化である。凹部は、島近傍で最も深く、凹部334の最外周囲で浅い。かかる構造により、ポリマー構造体が薄くなり、より可撓性の端部を備えたポリマー構造体が得られる。
【0094】
図12に、図10の凹部の他の任意の態様を示す。図12の断面図に示されるように、形成ツール330の332の外部表面からの凹部334の深さは、深い領域336よりも浅い領域335により異なる。凹部334の深い領域336は、基材に転写するための局所的に質量の増加した溶融熱可塑性組成物を与える。
【0095】
凹部334により基材310の表面311に形成可能なポリマー構造体314の一例を図13に示す。ポリマー構造体314は、基材310の表面311の領域を占めている。ポリマー構造体314により占められる領域は、凹部334の浅い領域335に対応する分離領域315と、凹部334の領域336に対応する結合領域316とを含むものと説明することができる。基材310の表面311は多孔性であってもよい。その結果、領域336にある質量の増加した熱可塑性組成物により、基材310の本体内の破線により示されるポリマー構造体314の結合領域316内の熱可塑性組成物により基材310の浸透がなされる。これに対し、凹部334の領域335にある質量の減少した熱可塑性組成物により、ポリマー構造体314の分離領域315にある熱可塑性組成物により基材310の浸透はほとんど、または全くない。その結果、ポリマー構造体314は、基材310に対する異なる形で結合したと説明することができる。
【0096】
場合によっては、異なる結合は、熱可塑性組成物の多孔性基材への透過により特徴付けられる。例えば、結合領域316にある熱可塑性組成物は、好ましくは、多孔性基材310に、基材310の多孔性部分の厚さの少なくとも50%の深さまで浸透する(図示した基材310の場合には、多孔性部分は基材の厚さの全てである)。これに対して、分離領域315内にある熱可塑性組成物は、多孔性基材310に、基材310の多孔性部分の厚さの25%以下の深さまで浸透するのが好ましい。図示した実施例において、分離領域315にある熱可塑性組成物は、基材310へは全く浸透しない。
【0097】
基材310の表面311が多孔性でなく、例えば、熱可塑性組成物で製造されたフィルムの場合には、上述した異なる結合特性も達成され、例えば、ポリマー構造体314の溶融熱可塑性組成物を、基材310の表面311の熱可塑性組成物と混合することにより、結合領域316が取り付けられている。分離領域315にあるポリマー構造体314の熱可塑性組成物は、基材310の表面311の熱可塑性組成物とほとんど、あるいは全く混合されない。
【0098】
図12および13に関して示す他の態様は、ポリマー構造体314の上部表面354に形成された表面フィーチャー352である(上部表面354は、通常、基材310から向きがそれている)。表面フィーチャー352としては、例えば、ステム(キャップドまたはその他)、フック(フック・アンド・ループファスニングシステムの一部としての)、角錐、インディシア(英数字その他)等が挙げられる。表面フィーチャー352は、機械的締結システムには有用であるが、本発明のポリマー構造体に与えられた表面フィーチャーは、これらに限られるものではないが、担持向上、摩耗、研磨等をはじめとするその他の機能を果たす。さらに、表面フィーチャーは、ポリマー構造体の全てまたはいくつかに提供してもよい。
【0099】
図13の表面フィーチャー352は、ポリマー構造体314の表面354に対して鋭角で配向されたステムとして図示されている。ステムは、実質的に一定の寸法を有するものとして図示されているが、テーパーがついていたり、曲げられたり、キャップされていたり、例えば、メカニカルファスナとしての使用を向上させるために形成されたその他のものであってもよい。さらに、ステムは一方向について角度をなすように図示されているが、異なる方向に角度をついていて、かつ/または表面354に対して法線に配向されていてもよい。
【0100】
図13に示したステムの配向は数多くの理由から有利である。例えば、角度のついたステムは、ステムを係合するように構成されたループ表面またはその他繊維状基材を係合するためにキャップやその他構造を必要としない。図13に示す複合体ウェブは、選択した方向にループまたはその他表面を固定し、ウェブを逆の方向に動かすと剥離することができる。かかる構造は、弾性基材に用いると特に有用である。
【0101】
図13に示したステムの角度のついた配向は様々なやり方で行ってよい。例えば、ステムは、所望の方向に角度または傾斜をつけた孔やキャビティを有するツールを用いて製造してもよい。あるいは、ステムは形成後に曲げてもよい。
【0102】
図12に示す凹部334は、表面フィーチャー352が、凹部334を充填している熱可塑性組成物により形成されたキャビティ350を含んでいる(キャビティ350はまた図10の平面図にも示されている)。キャビティ350の形状、サイズ、間隔、深さおよびその他特徴は、用いる熱可塑性組成物、凹部に分配された熱可塑性組成物の温度等といった因子に応じて異なる。
【0103】
キャビティ(形成される得られた表面フィーチャー352)の形状またはプロフィールは、図12および13に関して示したものとは異なっていてもよい。例えば、キャビティは、フック形で形成されることが多く、テーパーのついた直径等を有している。それらを用いて形成される変形のキャビティおよび構造については、米国特許第5,792,411号明細書(発明の名称「レーザー機械加工複製ツール(LASER MACHINED REPLICATION TOOLING)」)、米国特許第6,190,594 B1号明細書(発明の名称「構造化表面を備えた物品のためのツール(TOOLING FOR ARTICLES WITH STRUCTURED SURFACES)」)、米国特許第6,432,339号明細書(発明の名称「鋳型ベルトを備えたファスナ製品の連続成形(CONTINUOUS MOLDING OF FASTENER PRODUCTS WITH A MOLD BELT)」)等に示されている。
【0104】
図13に示した他の態様において、基材310は、ポリマー構造体314の部分315により占められた領域で終わっていてもよい。この一例は、図13に破線309で示されている。線309は、転写プロセス中の基材310の端部を示す。あるいは、線309は、ポリマー構造体314が表面311に転写された後、それに沿って基材310が分離される線を示す。
【0105】
さらに他の態様において、基材310自身は、ポリマー構造体により占められていないポリマー構造体と同じ表面の領域内にポリマー構造体が配置されたのと反対側の表面にループ構造体を含んでいてもよい。その結果、複合体ウェブは、両方のステム、フック等を有する単体ファスナおよび締結に必要な相補的ループ材料を提供する。
【0106】
図14に、本発明に従って製造された複合体ウェブのさらに他の実施形態を示す。複合体ウェブは、対向する主面411および412を備えた基材410を有している。図14に示した一つの特徴は、対向する主面411および412にそれぞれ配置されたポリマー構造体の両面性である。ポリマー構造体414は、主面411に備えられており、ポリマー構造体424は、反対側の主面412に備えられている。ポリマー構造体414およびポリマー構造体424は両方とも、複合体ウェブの逆側で露出している。
【0107】
対向する主面上の不連続ポリマー構造体は、基材410を通して位置合わせされている状態で図示されている。すなわち、ポリマー構造体414は、基材410の反対側のポリマー構造体424と位置合せされている。さらに、ポリマー構造体414は、基材410の反対側に配置されたポリマー領域424と実質的に同じサイズで図示されている。しかしながら、両主面にポリマー構造体を有する複合体ウェブが望ましいときは、対向する表面にあるポリマー構造体は図14に示すのと同じサイズであってもなくてもよいものと考えられる。また、ポリマー構造体は、図14に示すように基材410を通して互いに位置合わせさせていてもされていなくてもよいものと考えられる。
【0108】
ポリマー構造体414および424は、基材410にグロメット構造を形成するものと考えてもよい。その結果、図10に示すように、基材410を通して任意の開口部404を与えることが望ましい。開口部は、任意の好適な技術、例えば、ツールによる機械穿孔、レーザーアブレーション、水またはガスジェット切断等により形成される。
【0109】
図示していないが、本発明により製造された複合体ウェブにおける他の態様としては、2枚以上の基材を積層して、1つ以上のポリマー構造体を積層した基材間に配置するものが挙げられる。かかる積層構造体は、複合体ウェブの両側に、例えば、布状またはより柔らかい感触または外観、通気性、多孔性等を与えるのに有用である。これは、ポリマー構造体が複合体ウェブの露出面に配置されている複合体ウェブと対照的である。積層複合体ウェブ構造を用いて、複合体ウェブ構造の反対側に異なる特性を与えることもできる。例えば、多孔性またはその他特性は、異なる基材間で異なる。かかる積層プロセスは、例えば、2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0087098A1号明細書、発明の名称「ポリマー領域および弾性ポリマー領域が強化された複合体ウェブ(COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING POLYMERIC REGIONS AND ELASTIC POLYMERIC REGIONS)」および2001年11月5日出願の米国特許出願公開第2003/0084996 A1号明細書、発明の名称「不連続ポリマー領域が強化された複合体ウェブの製造方法(METHODS FOR PRODUCING COMPOSITE WEBS WITH REINFORCING DISCRETE POLYMERIC REGIONS)」に例示されている。
【0110】
図15に、本発明の原理に従って基材10の一表面にポリマー構造体14を提供するシステムおよび方法におけるウェブ経路およびロールを示す。図15に示すシステムには、システムによりウェブ経路を画定する基材10が含まれている。基材10は、様々なロールに回転矢印で示される下流方向にシステムを移動する。供給されたものを巻き戻す等した後(すなわち、基材10は図15に示したシステムでインラインで製造される)、基材10は、バックアップロール20と形成ツール30の間に形成された転写ニップへ向けられる。
【0111】
複合体ウェブは、例証した実施形態においてロールの形態で形成ツールを用いて形成されるのが好ましいが、この代わりに、本発明の形成ツールは、ロール以外の形態、例えば、エンドレスベルト等で提供されてもよいものと考えられる。さらに、形成ツール(ロールその他)は、例えば、機械加工、エッチング、螺旋巻きロール(米国特許第6,190,594B1号明細書、発明の名称「構造化表面を備えた物品用ツール(TOOLING FOR ARTICLES WITH STRUCTURED SURFACES)」)、積み重ねプレート技術等、任意の好適な技術により製造してもよい。
【0112】
ポリマー構造体14を基材10に提供するプロセスには、溶融熱可塑性組成物供給物を外部表面32に形成された1つ以上の凹部を含む形成ロール30の外部表面32に供給することが含まれる。溶融熱可塑性組成物41は、押出機40の形態の分配装置により形成ロール30の外部表面32に供給される。溶融熱可塑性組成物は、形成ロール30の外部表面32に作用するドクターブレード42により外部表面32から拭き取られ除去される。熱可塑性組成物は形成ロール30の外部表面32から全て除去するのが望ましいが、熱可塑性組成物の一部はドクターブレード42で拭き取った後も外部表面32に残る場合がある。
【0113】
ドクターブレード42は、熱可塑性組成物の少なくとも溶融処理温度である温度まで加熱するのが好ましい。ドクターブレード温度は、押出機40により押出される溶融熱可塑性組成物41の温度と同じ、またはそれより高いのが好ましい。
【0114】
ロール30のロール温度も、本発明のシステムにおいて制御されるのが好ましい。上述した通り、ロール温度は、ロール30に示されている熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いのが好ましい。ロール温度を制御することにより、本明細書に記載した様々な処理の利点が得られる。
【0115】
図示したシステムの押出機40は、溶融熱可塑性組成物41を、ドクターブレード42とロール30の外部表面32の界面に押出すのが好ましい。場合によっては、溶融熱可塑性組成物41は、ドクターブレード42からブレード42とロール30の間の界面へと流れる。
【0116】
形成ロール30の外部表面32に形成された凹部は、溶融熱可塑性組成物が形成ロール30の外部表面32に堆積すると、溶融熱可塑性組成物の一部を受けるのが好ましい。溶融熱可塑性組成物による凹部の充填は、形成ロール30の外部表面32のドクターブレード42の拭き取り動作により促進することができる。押出機からの溶融熱可塑性組成物41の流量を制御して、溶融熱可塑性組成物の体積を、ドクターブレードを通過する凹部の体積と同等とするのが好ましい。この関係は、ドクターブレード42背面に熱可塑性組成物が堆積するのを防ぐ、または減じるため有利である。ドクターブレード42背面の熱可塑性組成物の堆積は、ロール温度が下がって、熱可塑性組成物の粘度が増大して、凹部が適正に充填できなくなるため好ましくない。
【0117】
図16は、形成ロール30の凹部34を備えたドクターブレード42と外部表面32の関係を示す拡大部分断面図である。外部表面32が、矢印により示される方向にドクターブレード42を通過して動くようロール30を回転する。図示した実施形態における溶融熱可塑性組成物41は、ドクターブレード42の上部表面に入って、ドクターブレード42とロール30の外部表面32の間の界面に向かう表面に流れる。あるいは、溶融熱可塑性組成物の流れを調整して、ドクターブレード42とロール30の間の界面に直接流すことができる。
【0118】
凹部がドクターブレード42の下を通過する際、図16に示すように、溶融熱可塑性組成物41で充填されるのが好ましい。図示した実施形態において、溶融熱可塑性組成物41の流れを調整して、ドクターブレード42の下を通過する凹部34の体積と同等にするのが好ましい。その結果、限られた量の熱可塑性組成物材料が、ロール30とドクターブレード42の界面で堆積する、または全く堆積しない。
【0119】
この結果を得るには、ドクターブレード温度、溶融熱可塑性組成物温度、ロール速度、溶融熱可塑性組成物の流量、ドクターブレード42により形成ロール30にかかる圧力または力等のうち1つ以上によって、ロール30の温度を制御することが必要である。
【0120】
図16に示される他の任意の特徴は、溶融熱可塑性組成物41が、ドクターブレード42によるロール30の外部表面32から大部分除去されることである。このように、ドクターブレード42を通過した凹部34の溶融熱可塑性組成物は、凹部のみに限定される。これとは対照的に、図17に、凹部がドクターブレード142を通過した後、溶融熱可塑性組成物141の層143が、ロール130の外部表面132に残る別のプロセスを示す。層143を用いて、図2および3に関して上述したベースフィルムを形成することができる。本発明のシステムおよび方法におけるベースフィルム形成の制御は、例えば、ロール温度、ドクターブレード温度、溶融熱可塑性組成物温度、ロール速度、溶融熱可塑性組成物のフローレート、ドクターブレードにより形成ロールにかかる圧力および力、ドクターブレードと形成ロールの間のギャップ(ある場合)、凹部間の間隔、凹部の体積等を調整することによりなされる。
【0121】
図17に関連して示された他の任意の特徴は、凹部134の少なくとも周囲部分のリッジ135の追加である。リッジ135は、ロール130の外部表面132上に隆起している。隆起したリッジ135の一つの潜在的な利点は、ポリマー構造体周囲に脆弱な薄い領域を提供することにより、基材のポリマー構造体からのベースフィルムの除去が促されることである。
【0122】
所望の溶融熱可塑性組成物で少なくとも部分的に充填された凹部のある図15に戻ると、凹部およびそれが含有する溶融熱可塑性組成物を、転写ニップ(すなわち、形成ロール30とバックアップロール20により形成されたニップ)でバックアップロール20に対して基材10と接触させるまで形成ロール30は回転し続ける。この時点で、凹部にある溶融熱可塑性組成物の基材10への転写が始まる。ロール温度を、熱可塑性組成物の溶融処理温度より低い点まで制御することにより、凹部の熱可塑性組成物は、凹部からきれいに剥離して、凹部にある実質的に全ての熱可塑性組成物を基材10に転写することができ好ましい。
【0123】
溶融熱可塑性組成物が堆積した1つ以上の多孔性主面を有する基材10を本発明の方法で用いるときは、溶融熱可塑性組成物を基材10の多孔性表面に浸透させることによって機械的結合を形成するのが好ましい。本発明で用いる「多孔性」という用語には、形成されたボイドを含む構造と、溶融熱可塑性組成物の透過を可能とする多数の繊維から形成された構成(例えば、織、不織、編等)の両方が含まれる。基材10が多孔性でなく、熱可塑性組成物でできている場合には、ポリマー構造体の取り付けは、本明細書に記載している混合により行うことができる。
【0124】
形成ロール30とバックアップロール20の間のニップ圧は、ロール30の凹部にある熱可塑性組成物の基材10への取り付けがなされるのに十分なものであるのが好ましい。基材表面が多孔性の場合には、ポリマー構造体中の熱可塑性組成物の一部が、多孔性基材10の一部に浸透及び/またはこれを包み込んで、ポリマー構造体の基材10への取り付けが改善される。基材10表面が繊維を含む場合(例えば、基材10が織、不織または編材料をその主面に含む場合)、熱可塑性組成物は、基材10の表面に繊維の全てまたは少なくとも一部を包み込んで、ポリマー構造体の基材10への取り付けを改善するのが好ましい。
【0125】
ある条件下では、凹部34にある溶融熱可塑性組成物は、例えば、基材10がその厚さ全体にわたって多孔性である場合に、基材10を完全に透過してもよい。他の場合には、溶融熱可塑性組成物の透過は、基材10の外側層まで制限される。
【0126】
しかしながら、基材10の外側表面がある程度多孔性を示しても、多孔性は必ずしも基材10の全厚にわたって延在しているわけではないものと考えられる。例えば、基材10は様々な異なる層を有していてよく、1層が実質的に非多孔性であってもよい。他の態様において、基材10の全厚は、基材10の外側表面が上述したようにある程度多孔性を示したとしても、全体として非多孔性としてもよい。
【0127】
バックアップロール20は、基材の材料および/または処理される溶融熱可塑性組成物の種類に応じて様々な異なる特徴を有している。場合によっては、バックアップロール20の外部は、形成ロール30の形状に沿うゴムまたはその他のコンフォーマルな材料であってもよい。ゴム等のコンフォーマルな材料を用いる場合には、例えば、約10〜90ショアAのジュロメータを有している。
【0128】
転写ニップの一つの態様を、図18の拡大断面図に示す。コンフォーマルなバックアップロール30が基材10の一部を凹部34(およびその中に含まれる熱可塑性組成物41)に押し付けられているのを示す。凹部34に向かう基材10の表面が多孔性の場合には、溶融熱可塑性組成物41の一部を、基材10の多孔性表面に押し付けてもよい。基材10を凹部に押し付けるのは、基材10と溶融熱可塑性組成物41の間の接触の確度を改善するために、凹部34が溶融熱可塑性組成物41で完全に充填されていない場合には、特に有利である。
【0129】
他のバックアップロールを本発明に関連して用いてもよい。例えば、バックアップロールは、基材を凹部へ押し込む作用をする嵌合突出部を有していてもよい。他の態様において、バックアップロールは、バックアップロールが隆起構造を有している場合のみ、増大した圧力が基材10に適用されるような構造化(平滑なものとは対照的な)表面を有していてもよい。例えば、バックアップロールは、基材10の凹部に形成されたポリマー構造体の異なる結合を得るために、波形表面やリブ、ポスト等を含むその他を有していてもよい。
【0130】
上述した形成ロールの温度を制御することによって、凹部34にある熱可塑性組成物41の転写が促される。というのは、ロール温度が低いと、凹部34の表面に直接近接する熱可塑性組成物の凍結または固化が好ましくはなされ、一方で、凹部34の表面から最も遠いある量の熱可塑性組成物41が十分に溶融したままとなって、基材10への所望の取り付けがなされるからである。これらの表面を低表面エネルギー材料(例えば、フルオロエチレン等)でコートすると、熱可塑性組成物の凹部34および/またはロール30の外部表面32からの剥離が促される。
【0131】
形成ロールの温度の制御に加えて、バックアップロール20の温度の制御も有用である。例えば、バックアップロール20の表面を選択した温度まで加熱または冷却するのが望ましい。
【0132】
図15に示したシステムおよび方法は、片主面にのみポリマー構造体を備えた複合体ウェブを作成するものであるが、本発明の原理に従って、基材の両主面にポリマー構造体を与えてもよい。一例としては、例えば、ポリマー構造体を2つの個別の基材のそれぞれの一主面に形成し、2つの基材を積層して、両主面にポリマー構造体を備えた単一基材を形成するものが挙げられる(例えば、図14参照)。あるいは、単一基材を、2本の形成ロールにより形成されたニップに向けてもよい。形成ロールはそれぞれ、ウェブの両側にポリマー構造を実質的に同時に付着する。
【0133】
図15には、1種類のみの熱可塑性組成物を形成ロール30を用いて適用するのを示してあるが、2種類以上の異なる熱可塑性組成物を形成ロール30の外部表面に適用してもよいものと考えられる。図19に、3種類の溶融熱可塑性組成物(ゾーンA、BおよびC)を軸531の周囲を回転する形成ロール530の表面の異なる部分に分配する1つのシステムの一部を示す。押出し機540a、540bおよび540cを用いる場合は、異なる熱可塑性組成物を、異なるゾーンの溶融熱可塑性組成物が処理中に混合しないようなやり方で分配してもよい。
【0134】
形成ロール530はまた、異なる溶融熱可塑性組成物を適用してもよい異なる組の凹部534a、534bおよび534cを有している。形成ロール530の異なるゾーンの凹部は、異なる形状、異なるサイズおよび異なる間隔を有している。例えば、ゾーンCの三角形の凹部は、不規則な繰り返しのないパターンで構成し、ゾーンAおよびBの凹部は規則的な繰り返しパターンで構成する。
【0135】
図19のシステムでは、異なる組のポリマー構造体が異なる熱可塑性組成物を用いて単一の基材または異なる基材に形成される。つまり、熱可塑性組成物は、複合体ウェブを用いて作成される最終物品の製造または最終用途性能に関連して数多くの異なる特性について選択してよい。
【0136】
図20は、本発明に関連して用いることのできる形成ロール630の一部の平面図である。ロール630は、パターン化された凹部634の形成された外部表面632を含んでいる。凹部634は、例えば、スクリーン状パターンが形成されるような交差するトラフの形態であってもよい。
【0137】
図21および22に、図20の形成ツール630を用いて製造される複合体ウェブを示す。図21は、物品の平面図であり、図22は、図21の線22−22に沿った複合体ウェブの断面図である。ポリマー構造体614は、基材610の表面611に取り付けられたセグメント616(例えば、図22参照)と、基材610の表面611に取り付けられていないセグメント615とを含んでいる。取り付けられていないセグメント615の逆の基材610の部分618は、ポリマー構造体614から間隔の空いた弓形チャネルを形成するのが好ましい。
【0138】
同様に、図示されていないが、ポリマー構造体614の全てまたは一部が、上部表面に形成された表面フィーチャーを含んでいてもよい(例えば、図12および13に関連して記載してある)。
【0139】
図21および22の複合体ウェブは、例えば、エラストマー熱可塑性組成物を基材610に転写することにより形成してもよい。エラストマー熱可塑性組成物は、好ましくは、弾性を示すポリマー構造体614を形成するのが好ましい。さらに、基材610の一部が、他の部分よりもポリマー構造体614に、より確実に取り付けられるよう、ポリマー構造体614は、基材610に異なる結合を示すのが好ましい。例えば、ポリマー構造体614の様々なストランドまたはセグメント間の交差部分が、介在セグメントよりもより確実に取り付けられるのが好ましい。これらの確実な取り付け点は、図6〜13に関連して上述した通り、溶融熱可塑性組成物の局所的に質量が増加した結果である。
【0140】
さらに、基材610は、エラストマーポリマー構造体614よりも低い降伏点を有する非エラストマー材料または弾性材料で製造されるのが好ましい。熱可塑性組成物の転写後、基材610(そこに形成されたポリマー構造体614を有する)は、矢印602の方向に伸張することができる(図21参照)。伸張は、基材610がセグメント615の少なくともいくつかに沿ってポリマー構造体614から剥がれ、その結果、図22に示すようなギャザーまたは皺となるのに十分なものであるのが好ましい。
【0141】
伸張はまた、基材610の永久伸びを生じさせるのに十分で、伸張力が緩められた後、弓形部分618を形成するのに必要な更なる長さを与えるものが好ましい。ポリマー構造体614自身は、伸張の結果、ある程度、永久伸びを経験するが、その程度は、弓形部分618が図22に示すように形成されるよう、基材よりは少ない。
【0142】
基材610は伸展性であるのが好ましいが、非伸展性基材610は、例えば、基材にスリットを入れることによって伸展性とすることができる。スリットは、エラストマーポリマー構造体614により架け渡されているのが好ましい。基材の伸展性を与える、または改善するいくつかの例証のスリット加工プロセスは、国際公開第96/10481号パンフレット(アブートら(Abuto et al.)に記載されている。その他の技術を用いて、本発明で用いる基材に伸展性を与えたりこれを改善することもできる。例えば、米国特許4,223,059号明細書(シュワルツ(Schwarz))および同第5,167,897号明細書(ウェーバーら(Weber et al.))に記載された機械的伸張法を用いて、伸展性を与えたり改善することができる。
【0143】
方向602における伸張に加えて、図21の矢印603の方向における複合体ウェブの伸張もまた有利である。得られる二次元伸張により、基材に両方向での永久伸びを生じさせ、基材の、ポリマー構造体614における交差点間に枕状構造を形成する。
【0144】
図22の複合体ウェブを得る他の態様としては、自身が弾性の基材610を用いることができる。かかる弾性基材は、ポリマー構造体614がそこに転写される前に、機械方向および/または1つ以上の異なる方向に伸張してもよい。ポリマー構造体を伸張した弾性基材610に形成した後、基材610を弛緩させて、弓形部分618を形成させてもよい。
【0145】
図21および22に示すような複合体ウェブは、例えば、使い捨て物品、おむつ、失禁用装具、ガウン、衣服、ろ過装置等の弾性コンポーネントとして有用である。
【0146】
図20のパターン化された凹部の一態様として、図21および22のポリマー構造体614は、図23に示すシステムおよび方法により形成してもよい。このシステムは、外部表面732を備えた形成ロール730を含んでいる。一連の凹部734は、形成ロール730の外部表面732に形成される。図23に示した一つの特徴はドクターブレード742が、ノッチ750を含むということであり、拭き取り後、溶融熱可塑性組成物の一部が、ドクターブレード742とロール730の界面を通過して、ロール730の周囲の一部周囲に延在する一連のストランド752においてロール730の外部表面732に残る。このようにして、ポリマー構造体614の形状に正確に対応するパターン化凹部を必要とすることなく、図21および22のクロスハッチパターンが得られる。
【0147】
図24に、本発明に関連して用いられるさらに他のシステムおよび方法を示す。このシステムは、外部表面832とそこに形成された凹部834を備えた形成ロール830を含んでいる。図16および17に関連して説明したのと同様のやり方で、システムは、ドクターブレードに加えて押出しダイとして機能するドクターブレード842を含んでいる。ドクターブレードは、第1の溶融熱可塑性組成物841が押出されるオリフィス843を含んでいる。溶融熱可塑性組成物841は、ロール830との界面に達するまで、ドクターブロック(doctor block)842の面844へと下方に流れる。このとき、溶融熱可塑性組成物841は凹部834を充填する。
【0148】
溶融熱可塑性組成物841の押出しに加えて、図24のドクターブロック(doctor block)842はまた、第2の溶融熱可塑性組成物861が形成ロール830の外部表面832に流れる任意のオリフィス863も含んでいる。第2の溶融熱可塑性組成物861は、ロール830が示した矢印の方向に回転するにつれて、略連続したストランド860の形態で提供されるのが好ましい。第2の溶融熱可塑性組成物861はまた、第1の溶融熱可塑性組成物841と同じ、または異なっていてもよい。
【0149】
他の態様としては、凹部834のサイズが制限されていたり、ロール面を越えて延在しているものが挙げられる(例えば、図23参照)。凹部834が図23に示すようにロール面を越えて延在している場合には、図24のシステムは、図21および22に示すようなポリマー構造体を形成する他のシステムおよび方法形態を提供する。図24のシステムの一つの潜在的な利点は、溶融熱可塑性組成物841および861を変えて、例えば、異なる特性を得られる複合体ウェブに提供できることである。
【0150】
図21のポリマー構造体614を形成するのに用いる方法に関わらず、ポリマー構造体614は、セグメント615と616の間の交差点での大きな塊となっている熱可塑性組成物のために、本明細書に記載したような異なる結合を示してもよい。大きな塊となっているこれらの領域は、基材610に確実に取り付けられている結合領域617(図21参照)を形成する。セグメント615および616は、基材610に確実に取り付けられていてもいなくてもよい。すなわち、分離領域であってもよい。分離領域は、ポリマー構造体のそこへの転写直後、基材に軽く取り付けられてもよいが、伸張またはその他物理的操作(例えば、曲げ、湾曲等)の後、基材610から取り外される。あるいは、分離領域は、ポリマー構造体614の基材への転写中に結合が形成されないよう、基材610と接触する前に溶融加工温度より低くなる熱可塑性組成物により形成されてもよい。
【0151】
図25A〜25Eに、異なるポリマー構造体に2種類の異なる熱可塑性組成物が、基材に転写される、または同じ熱可塑性組成物を基材の2つの異なる構造に適用される別の態様の複合体ウェブ構造を示す。これらの構成は、本発明の転写方法を用いて、あるやり方で基材の同じ領域に互いに重なる異なるポリマー構造体が提供されるのを例示するためのものである。一例において、ポリマー構造体の一つは、弾性挙動を示すが、他のものは示さない。
【0152】
2つの異なる構造体のみを各図においては示してあるが、3つ以上の異なるポリマー構造体を提供できるものと考えられる。同じく、図13に示すような表面フィーチャーを所望であればポリマー構造体に提供してもよい。さらに、各図には一組のみのポリマー構造体を示してあるが、各複合体網(wed)は、複数の同じ、または異なるポリマー構造体を含んでいてもよい。異なるポリマー構造体は、例えば、図15に示すステーションのような連続ステーションにより適用してもよい。
【0153】
図25Aは、基材910a上の第1のポリマー構造体914aと、基材910aと第1のポリマー構造体914aの両方に配置された第2のポリマー構造体924aとを示す。第2のポリマー構造体924aは、第1のポリマー構造体914aに取り付けても、所望であれば取り付けなくてもよい。
【0154】
図25Bは、基材910b上の第1のポリマー構造体914bと、基材910bと第1のポリマー構造体914bの両方に配置された第2のポリマー構造体924bとを示す。第2のポリマー構造体924bは、第1のポリマー構造体914bの上部表面に取り付けられるように図示されている。
【0155】
図25Cは、基材910c上の第1のポリマー構造体914cと、領域926cにおいて基材910cに取り付けられ、第1のポリマー構造体914c上に延在している第2のポリマー構造体924cとを示す。第2のポリマー構造体924cは、第1のポリマー構造体914cの上部表面から取り外されるように図示されている。
【0156】
図25Dに、基材910dに直接取り付けられた第1のポリマー構造体914dと、第1のポリマー構造体914dにのみ配置されている、すなわち、基材910d上の第1のポリマー構造体914dのフットプリント内にある第2のポリマー構造体924dとを示す。第2のポリマー構造体924dは、第1のポリマー構造体914dの上部表面に取り付けられるように図示されている。
【0157】
図25Eに、両者とも基材に取り付けられた第1のポリマー構造体914eと第2のポリマー構造体924eとが示されている。両構造とも、図25Eの領域928e内に通常配置されている分離部分を含んでいる。第1のポリマー構造体914eは、基材に取り付けられた部分と、基材から取り外された部分とを含んでいる。第1のポリマー構造体914eの分離部分は、通常、第2のポリマー構造体924eの一部の下に配置されている。第2のポリマー構造体924eも、基材に取り付けられた部分と、基材から取り外された部分とを含んでいる。第2のポリマー構造体924eの分離部分は、通常、第1のポリマー構造体914eの上に配置されている。
【0158】
基材上への非弾性または弾性熱可塑性ポリマー構造体の堆積に加えて、追加の材料を公知の方法を用いて基材の主面にコートすることもできる。かかる材料としては、例えば、米国特許第5,019,071号明細書(ベニーら(Bany et al.))、同第5,028,646号明細書(ミラーら(Miller et al.))および同第5,300,057号明細書(ミラーら(Miller et al.))に記載された接着剤または米国特許第5,389,438号明細書(ミラーら(Miller et al.))および同第6,261,278号明細書(チェンら(Chen et al.))に記載された粘着剤がある。
【0159】
封止要素およびシステム
当業界では、基材間に接続を与える多くの種類の構造および封止を与える要素の多くのシステムがあるが、改善された封止要素およびシステムが尚必要とされている。本明細書に記載したポリマー構造体および複合体ウェブを用いて、封止要素およびシステムを与えることができる。例えば、上述した通り、図12に示すような形成ツールにより与えられる、図13に示すようなポリマー構造体は、機械的締結システムに有用な表面フィーチャー352を与えることができる。さらに、図25Eに示すような特定の複合体ウェブ構造は、封止配向を与えるための、例えば、ファイバー、ループ等を、ポリマー構造体914eの分離部分間の固定材料により、機械的締結を与えることができる。更なる例証の封止要素およびシステムのいくつかを後述するが、本発明により考えられる封止要素およびシステムは、本明細書に記載した実施形態に限定されないものと考えられる。
【0160】
本明細書に記載された基材に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む複合体ウェブは、これらに限られるものではないが、封止要素を与えるポリマー構造体を備えた、低プロフィールの面内封止要素およびシステムをはじめとする封止要素およびシステムを与えることができ有利である。かかる要素は、例えば、ループ材料の繊維と係合する、本明細書に記載した押出しプロセスにより与えられるループ状材料と係合する、本明細書に記載した自己接合設計による等により、封止を行う。
【0161】
本発明の封止要素および封止システムは、一般的に、本明細書に開示されたようにして提供された複合体ウェブを含む。この複合体ウェブは、第1の主面を備えた基材と基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含む。かかるポリマー構造体は、本発明の封止システムの封止要素を提供する。本システムにおいて、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体は、基材の第1の主面の領域を占めている。ポリマー構造体により占められるかかる領域は、結合領域、すなわち取り付け領域を含み、ポリマー構造の熱可塑性組成物は、第1の主面に取り付けられている。ポリマー構造体により占められるかかる領域は、ポリマー構造体が基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域を少なくとも1つさらに含んでいる。
【0162】
封止要素および封止システムを提供する本発明の複合体ウェブは、任意で、既に本明細書に開示されたような材料を含んでいてもよい。例えば、基材の第1の主面は、1つ以上のポリマー構造体の熱可塑性組成物の溶融処理温度またはそれより低い溶融処理温度のポリマー材料を含んでいてもよい。複合体ウェブはまた、ポリマーフィルムの形態のポリマー材料も含んでいてもよい。
【0163】
さらに、本発明の封止要素およびシステムを形成するためのポリマー構造体の取り付けには、本明細書に開示された構造および方法が含まれる。例えば、本発明は、多孔性表面を含む第1の主面を有する基材を含む複合体ウェブであって、1つ以上のポリマー構造体の結合領域の熱可塑性組成物が、基材の多孔性部分の厚さの、例えば、少なくとも50%の深さまで、基材の多孔性の第1の主面に浸透する複合体ウェブを含む。基材の第1の主面は、さらに、1つ以上のポリマー構造体の熱可塑性組成物の溶融処理温度またはそれ以下の溶融処理温度を有する繊維、好ましくはポリマー繊維を含んでいてもよく、繊維の少なくとも数本の少なくとも一部が結合領域内の熱可塑性組成物に中に包み込まれている。実施形態としては、さらに、各ポリマー構造体、または1つ以上のポリマー構造体の少なくとも一部が、1つの片の完全に一体化された塊の熱可塑性組成物を含む、封止要素およびシステムを与える複合体ウェブが挙げられる。
【0164】
さらに、本発明の複合体ウェブとしてはまた、1つ以上のポリマー構造の熱可塑性組成物が、1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すような1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む実施形態もあると考えられる。さらに、本発明の複合体ウェブは、基材の第1の主面から向きがそれた上面を含む1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つを含み、上面はそこに形成された、そこから突出しているステムやピンのような表面フィーチャーを含む。
【0165】
本明細書において前に開示したような複合体ウェブを提供する方法はまた、本発明の封止要素およびシステムを提供する方法も与えるのにも役立つ。例えば、上述したような基材に取り付けられたポリマー構造体のような物品の取り付け方法が考えられる。この方法には、例えば、第1の主面を有する基材と、基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含む本明細書に開示されたような複合体ウェブを提供することが含まれ、1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が、基材の第1の主面の領域を占めており、1つ以上のポリマー構造体により占められた領域は、ポリマー構造体の熱可塑性組成物が好適なやり方で第1の主面に取り付けられている結合領域と、さらに、ポリマー構造が基材の第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含む。
【0166】
基材、熱可塑性材料、熱可塑性ポリマー構造を含む複合体ウェブの形成方法、ポリマー構造体のウェブ上での形状および付着について、封止要素およびシステムを提供するのに好適に説明する。さらに、ポリマー構造体封止要素は、本明細書に記載した好適なやり方で基材に取り付けてよい。封止要素を取り付けるのに有用な技術としては、例えば、親和性のある基材へ溶融させるのに十分な熱を保持する厚い領域を提供するグラビアロールにおいてセルを用いて封止要素を作成することが挙げられる。かかる方法の一例を、図12および15に関連させて説明する。基材表面が不織または織材料のような繊維系材料を含む場合には、この領域は基材へと流れて繊維を包み込み、様々な深さのグラビアセルを用いて結合領域および分離領域が得られる。他の可能な方法としては、溝がドクターブレードへと切断されて、グラビアセルと重なる構成においてグラビアロールに付着した溶融ポリマーのゾーンが得られる押出しプロセスが含まれる。かかる方法の一例を、図23に関連させて説明する。これによって、基材と封止要素の両方に十分な熱および流動性を保持するポリマーの厚い領域が与えられる。
【0167】
図26a〜26bに、分離末端領域26bを備えた楕円形状封止要素26aを含む本発明によるある複合体ウェブ構造を示す。図26aに、基材26cの第1の主面に取り付けられた楕円形状の封止要素26aを含む基材の平面図を示す。封止要素26aは、楕円形状の封止要素26aの分離領域26b間に延在する結合領域26dにおいて基材に取り付けられている。あるいは、楕円形状の封止要素26aを、結合領域26dにより互いに接続されていない分離された別個の封止要素として、基材26cの第1の主面に取り付けてもよいものと考えられる。さらに、楕円形状の封止要素26aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材26cの全表面または基材26cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材26cに取り付けてもよい。
【0168】
図26bは、図26aに示す線26b−26bに沿った単一の楕円形状要素26aの断面図である。図26bに、取り付け点26eで基材に浸透するのが好ましい封止要素26aの中央部分と、基材26cからは取り外された2つの部分26bとを示す。図示された封止要素26aの部分26bは、基材26cの第1の主面に片持ち状態にあり、位置合せされている。
【0169】
「片持ち状態にある」(およびこの変形)という用語は、基材上に突出している封止要素の部材または一部のことを意味し、この封止要素の部材または部分は一端でのみ支持されている。封止要素の分離され片持ち状態にある領域は、例えば、図26bに示すような基材の第1の主部分と位置合せされた配向を有している。すなわち、封止要素26aの分離され片持ち状態にある部分26bは、基材26cの表面に実質的に平行である。あるいは、分離され片持ち状態にある部分26bは、部材が基材の表面に実質的に平行でないやり方で配向されていてもよい。「片持ち状態にある」(およびこの変形)という用語を用いるとき、ポリマー構造体の片持ち状態にある部分が、片持ち状態にある基材表面と接触していないことを示唆することは意味していない。場合によっては、片持ち状態にある部分は、下にある基材表面と接触していてもよく(取り付けられてはいないが)、他の場合においては、片持ち状態にある部分は、下にある基材表面と接触していなくてもよい。
【0170】
図26bに示すように、断面図は、基材26cの第1の主面の表面の領域を占める楕円形ポリマー封止要素26aを示す。この要素は、基材26cの表面に取り付けられた結合領域26eと、基材26cに取り付けられていない分離領域26bとを含む。さらに、分離領域26bにおいて、図示されたポリマー封止要素は、基材26cの第1の主面に片持ち状態にあり、位置合せされている。
【0171】
図26に示したような封止要素は、封止要素が適切なサイズであるときは、ループ材料と係合可能であるのが好ましい。かかる封止要素は、一般的に、剪断抵抗、すなわち、2枚の基材間の滑り運動を制限する能力を有しているが、封止要素は強い剥離力は示さない。剪断抵抗と剥離特性の両方が増大した本発明の封止要素を作成するためには、ポリマー封止要素はバーブ構造を含んでいてよい。
【0172】
バーブ構造を含むポリマー封止要素の一例を図27a〜27bに示す。図27aは、バーブ構造27fを含む封止要素27aを含む基材の平面図である。封止要素27aは、少なくとも1つの分離領域27bを含み、結合領域27eで基材27cの第1の主面に取り付けられている。分離領域27bは、基材27cの第1の主面に片持ち領域にあり、基材27cの第1の主面の上に支持された自由端を有するステムとして特徴付けられてもよい。
【0173】
封止要素27aは、封止要素27a間に延在する結合領域27dにより互いに接続されている。あるいは、封止要素27aは、分離した別個の封止要素として、すなわち、結合領域27dにより相互接続せずに、基材27cの第1の主面に取り付けてもよいものと考えられる。さらに、封止要素27aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材27cの全表面または基材27cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材27cに取り付けてもよい。
【0174】
図27aに示すように、封止要素27aはそれぞれ、分離領域27bにバーブ構造体27fを含んでいる。あるいは、封止要素27aのいくつかは、分離領域27bのいずれかのみにバーブ構造27fを含んでいてもよいものと考えられる。さらに、特定の実施形態は、バーブ構造27fを有さない封止要素27aを含んでいてもよい。図27aに示すように、封止要素27aはそれぞれ、4つの別個の分離領域27bを含んでいる。あるいは、封止要素27aのいくつか、または全ては、5つ以上か、4つ未満の別個の分離領域27bを含んでいてよい。
【0175】
同様に、バーブ構造27fは、結合領域27eから分離領域27bの遠位近傍に図示されている。しかしながら、バーブ構造27fは、分離領域27bに沿った任意の点に位置していてよい、バーブ構造27fの位置は、分離領域27bによって異なり、バーブ構造27fの位置は封止要素27aによって異なるものと考えられる。
【0176】
本明細書から分かる通り、バーブは、第1の方向に外側へ延在する構造であり、第1の方向に垂直から、第1の方向に実質的に逆までの範囲にある第2の方向に実質的に延在する突出部を含んでいる。かかる要素は、ループ材料の繊維を係合するのに好適であり、例えば、バーブを含まない封止要素に比べて、増大した剥離および剪断特性を有する封止要素が与えられる。
【0177】
さらに、封止要素27aは、図27bに示すように片持ち状態にある分離領域27bを含んでいてもよい。かかる片持ち状態にある分離領域27bは、基材27cの第1の主面と位置合せされていてもいなくてもよい。図27bは、図27aの線27b−27bに沿った図27aの封止要素27aの断面図である。本実施形態において、要素27aの分離領域27bは片持ち状態にあり、基材表面27cとは位置合せされておらず、基材27cの表面から離れるように傾斜している。基材27cの第1の主面と位置合せされていない分離領域27bを提供するには、本明細書に記載したツールロールを用いて封止要素27aの形成を超えた更なる処理を必要とする。例えば、分離領域27bは、例えば、逆回転ロール、ブラシ、真空組立品等を用いて分離領域27bを操作することにより、形成される形状から変形させる必要はない。他の例において、基材27cを、封止要素27aを形成した直後に鋭角に覆うように向けてもよい。
【0178】
図28a〜28cに、バーブを含む封止要素を有する本発明の複合体ウェブの更なる実施形態を示す。図28aは、分離した別個の封止要素28aが取り付けられた第1の主面28cを含む基材の平面図である。封止要素28aは、バーブ構造28fを備えた分離領域28bを含む。図28aに示すように、封止要素28aは、基材28cの表面にわたって規則的な間隔を有している。しかしながら、図27aに示した実施形態に関連して記載した通り、封止要素28aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材の全表面28cまたは基材28cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材28cに取り付けてもよい。図28aの各要素28aは、図28bにその一つを拡大で示してあるが、分離領域28bにバーブ構造28fを含んでいる。あるいは、封止要素28aのいくつかは、分離領域28bのいずれかのみにバーブ構造28fを含んでいてもよいものと考えられる。さらに、特定の実施形態は、バーブ構造28fを有さない封止要素28aを含んでいてもよい。図28aおよび28bに示すように、封止要素28aはそれぞれ、4つの別個の分離領域28bを含んでいる。あるいは、封止要素28aのいくつか、または全ては、5つ以上か、4つ未満の別個の分離領域28bを含んでいてよい。同様に、図28bに示すように、バーブ構造28fは、結合領域28eに対して分離領域28bの遠位近傍に図示されている。しかしながら、バーブ構造28fは、分離領域28bに沿った任意の点に位置していてよく、バーブ構造28fの位置は、分離領域28b、封止要素28aによって異なるものと考えられる。
【0179】
本発明の複合体ウェブは、必要な封止要素の形状およびサイズに応じて、様々な特定の封止要件に適合可能である。図29および30に、例えば、数多くの様々な要件を満たす封止要素の様々な形状をはじめとする、本発明の複合体ウェブの特定の更なる予測される実施形態を示す。
【0180】
図29Aは、第1の主面29cと、結合領域29eに取り付けられた別個の封止要素29a(図29B参照)を含む基材の平面図である。本実施形態において、封止要素29aは、要素の結合領域29eの片側のみに少なくとも1つの分離領域29bを含む。分離領域29bは、タブのような単一の別個の領域を含んでいてもよいし、図29Bに示すような2つ以上の別個の部材を含んでいてもよい。
【0181】
図29Aに示すように、封止要素29aは、基材29cの表面にわたって規則的なパターンで規則的な間隔を有している。しかしながら、例えば、図27aに示した実施形態に関連して記載した通り、封止要素29aは、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン、基材29cの全表面または基材29cの一部のみに取り付けられた封止要素等、多数ある構成のうちいずれかで、基材29cに取り付けてもよい。
【0182】
さらに、図29Cに示す通り、封止要素29aは、図26および27に示した実施形態に関連して記載したように、封止要素29aの結合領域29e間に延在する結合領域29dにより互いに接続されていてもよい。
【0183】
図30に示す通り、さらに、本発明の封止要素は、封止要件および存在する任意の物理的制約に応じて、封止要素の結合領域の多数の側部に多数の分離領域を含んでいてもよいものと考えられる。例えば、図30の封止要素30aは、結合領域30cから延在している8つの別個の分離領域30bを含む。本発明の封止要素は、適宜、様々な形状およびサイズの多少の別個の分離領域を含んでいてもよい。
【0184】
図31a〜31bに、本発明の複合体ウェブの封止システムの更なる実施形態を示す。本実施形態は、スプリングタイプの係合部材を提供する可撓性の分離領域を含む熱可塑性ポリマー構造を有する封止要素を含む。図31aは、スプリングタイプの係合部材31jを与える熱可塑性ポリマー構造体を含む分離領域31bを有する別個の封止要素31aを含む基材31cの第1の主面の平面図である。本実施形態において、別個の封止要素31aは、熱可塑性ポリマー構造体が基材表面31cに取り付けられたベースを含む結合領域31eと、分離領域31bに1つ以上の片持ち状態にある部材を含む結合領域31eの片側に分離領域31bとを含む。分離領域31bの片持ち状態にある部材は、可撓性であるのが好ましく、さらにバーブ31fを含んでいてもよい。加えて、片持ち状態にある部材は、封止要件に応じて、基材31cの表面と位置合せされているか、または基材31cの表面に向かうか、離れるようにして傾斜していてもよい。
【0185】
図31aに示した封止要素に加えて、封止システムはさらに、図31bに図示する通り、1つ以上の開口部31mを含む補助基材31kを含んでいる。補助基材31kにある1つ以上の開口部31mは、開口部31mが、封止要素31aのスプリングタイプの係合部材31jを形成する1つ以上の熱可塑性ポリマー構造を受容し、スプリングタイプの係合部材31jが補助基材31kの1つ以上の開口部31m内に配置されているとき、補助基材31mの動きと、封止要素31aが取り付けられている基材31cの動きが、互いに制限できることができる限りは、例えば、丸穴、楕円形穴、矩形穴、スリット等のような任意の形状であってよい。
【0186】
例えば、図31bは、スプリングタイプの係合部材31jの受容部材を提供する補助基材31kにおける補助スロット開口部31mと係合された配向にある図31aのスプリングタイプの係合部材31jを示す。図31aの封止要素を係合するのに好適なその他の補助表面としては、例えば、ファイバーループにより形成された開口部が挙げられる。
【0187】
図32aおよび32bは、隆起部分とそれを取り囲む谷を含む基材の第1の主面を有する複合体ウェブを含む、本発明の他の予測される実施形態を示す。隆起部分は、例えば、リッジ(図示)、別個のピン等を含んでいてもよい。図32aに示す通り、基材32cの第1の主面は、隆起部分32nと、隆起部分32nの間に凹部または谷32pとを含んでいてもよい。図32aに、谷32pの表面から均一な高さhを有する隆起部分32nを示すが、本発明の実施形態はまた、不均一な高さの隆起部分32nと、取り囲む谷32pの表面に実質的に平行でない表面32oを有する隆起部分とを含んでいてもよいものと考えられる。図32aに示したような複合体ウェブを含むかかる構造は、記載した通りに、例えば、図6および7に関連して上記で開示した実施形態で記載したツールにより任意で形成されてもよい。
【0188】
図32は、隆起部分32nに取り付けられたポリマー構造体32rをさらに含む図32aの構造の図である。ポリマー構造体32rは、本明細書で述べたボンディングや取り付けのやり方を含む適切なやり方で隆起部分32nに取り付けてよい。さらに、ポリマー構造体32rは、これらに限られるものではないが、本明細書に開示した任意の構成の封止要素をはじめとする封止要素を含んでいてもよい。さらに、図32bには、ポリマー構造体32rが各隆起部分32nに取り付けられた実施形態を示したが、本発明では、全ての隆起部分32nがそこに取り付けられたポリマー構造体32rを含むわけではない実施形態も予測されるものと考えられる。
【0189】
さらに、ポリマー構造体は、基材表面32cの隆起部分32nに、例えば、規則パターン、不規則パターン、ランダムパターン等で取り付けられていてもよい。さらに、ポリマー構造32rは、取り囲む谷32pの表面に実質的に平行でない表面32oを有する隆起部分32rに取り付けられていてもよい。
【0190】
図33aおよび33bに、閉じた構成にある自己接合システムを提供する封止システムを示す。図33aに、基材33cに取り付けられた第1の封止要素33aを示す。封止要素33aは、結合領域33eと、結合領域33eの片側に分離領域33bとを含む。分離領域33bは、基材33cの第1の主面に片持ち状態にあり、好ましくは位置合せされて、片持ち状態にあるタブ構造が、基材33cの第1の主面の上で支持された分離領域33bに形成された単一部材33sを含む。
【0191】
封止要素33aは、成形して、基材33cにより片側に、そして分離領域33bにより逆側に結合されたポケットを形成するのが好ましい。ポケットの部材のx軸に沿った左への動きは、結合領域33eにより防止される。同様に、ポケットに完全に挿入された部材については、y軸に沿ったいずれかの方向における動きも同様に、結合領域33eにより制限される(結合領域33e近傍の部材の端部が結合領域33eと接触するためである)。
【0192】
図33bは、図33aの線33b−33bに沿った補助の第2の封止要素33a’と嵌合するときの図33aの断面図である。第2の封止要素33a’は、基材33c’の第1の主面に取り付けられており、分離領域33b’と結合領域33e’とを含む。分離領域33b’は、片持ち状態にあるタブ構造を提供し、結合領域33e’は、第1の封止要素33aにより形成された第1のポケットと同様のやり方で第2のポケットを形成する。図33bに示す通り、閉じた構成にあるとき、第1の封止要素33aの片持ち状態にあるタブは、第2の封止要素33a’の第2のポケットに配置されているのが好ましく、第2の封止要素33a’の片持ち状態にあるタブは、第1の封止要素33aの第1のポケットに配置されているのが好ましく、封止要素33aと33a’は自己嵌合配向で係合する封止システムが得られる。
【0193】
第1の封止要素、第2の封止要素、または両封止要素のいずれかの熱可塑性構造の結合領域は、ポケットの形成を支援する箱形結合領域またはU形結合領域のような任意の便利な形状としてよい。さらに、封止要素が、例えば、U形結合領域を含み、封止システムが閉じた構成にあるときは、第1の封止要素の片持ち状態にあるタブは、第2のポケット内に少なくとも部分的または実質的に完全に配置されていてもよい、または、第2の封止要素の片持ち状態にあるタブは、第1のポケット内に少なくとも部分的または実質的に完全に配置されていてもよい。
【0194】
さらに、図33の封止システムは、封止要素が両方とも同じ細長い卵形である封止システムを図示しているが、本発明ではまた、封止要素が様々な形状およびサイズであり、閉じた構成で配向したときに、要素が自己接合封止システムを必要とする限りは、第1の封止要素および第2の封止要素が必ずしも同じ形状および結合構成である必要がない封止システムも予測される。
【実施例】
【0195】
以下の実施例は、本発明の理解を高めるためのものである。実施例は本発明を限定するものではない。
【0196】
実施例1
図15に示すのと同様のシステムを用いて複合体ウェブを作成した。ギアポンプを備えた直径40mmの二軸押出し機を用いて、約246℃の溶融温度で溶融ポリプロピレンポリマー(7C05N、ハンツマン(Huntsman))をダイへ分配した。溶融ポリマーのフィルムを、加熱したドクターブレードおよび冷却した形成ロールの界面領域へと垂直下方へ押出すようにダイを配置した。
【0197】
ドクターブレードを、直線1インチ当たり93ポンド(直線1cm当たり163ニュートン)(溶融ポリマーにより、ベースフィルムの厚さを画定するブレードとロールの間にギャップを作成できる圧力)で形成ロールに押し付けた。ドクターブレードを246℃の温度に維持し、ロール内部に冷却油を循環させることにより、形成ロールを30℃の温度に維持した。
【0198】
形成ロールの外部表面を、コンピュータ制御のミリング機を用いて機械加工し、図10に示した凹部の形状と同様の、中心島を備えた一連の細長い楕円またはリング形凹部を与えた。しかしながら、凹部は一定の深さを有していた。ロール周囲に8つの凹部があった。凹部は、最も広い領域で、長さ8.825cm、幅2.00cmの楕円であった。各楕円の長軸を、機械方向(ダウンウェブ)に18度の角度で配向した。楕円は中心から中心までの間隔を12.1cmとなるように構成した。楕円凹部の全楕円の深さは0.80mm、これらの凹部の側部の半径は0.80mmであった。
【0199】
形成ロールの回転により、ドクターブレードが溶融ポリマーをこれらの凹部にすり込んで、ベースフィルム層(図17に図示)も形成された。ドクターブレードのすり込み操作後、すり込まれポリマーがポリプロピレン不織基材(BBA不織布(BBA Nonwovens)製の坪量が1平方メートル当たり27グラム(gsm)の製品(Product)C0075スタイル(Style)3320)と接触して、直線1インチ当たり14ポンド(25ニュートン/直線1cm)のニップ圧を用いて、コンフォーマルなバックアップロール(75ショアAのジュロメータ)に押し付けられるまで形成ロールを回転し続けた。
【0200】
楕円凹部にあるポリマーと不織基材の機械的結合が達成されたが、ベースフィルムと基材の間にはかかる結合は生じなかった。ベースフィルムと楕円フィーチャーの両方を形成するポリマーは、基材を形成ロールから離すと、形成ロールの表面からきれいに、実質的に完全に剥がれた。形成されたベースフィルムの厚さは0.051mmであり、楕円領域(基材と楕円領域の両方を測定)の厚さは0.83mmであった。
【0201】
実施例2
図15に示すのと同様のシステムを用いて複合体ウェブを作成した。ギアポンプを備えた直径40mmの二軸押出し機を用いて、約246℃の溶融温度でスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマー(クラトン(KRATON G−1657)からなる溶融ポリマーをダイへ分配した。溶融ポリマーのフィルムを、加熱したドクターブレードおよび冷却した形成ロールの界面領域へと垂直下方へ押出すようにダイを配置した。ドクターブレードを246℃の温度に維持し、ロール内部に冷却油を循環させることにより、形成ロールを30℃の温度に維持した。ドクターブレードを、直線1インチ当たり450ポンド(788ニュートン/直線1cm)の圧力で形成ロールに対して保持した。
【0202】
形成ロールの外部表面を、コンピュータ制御のミリング機を用いて機械加工し、ロール周囲に配置された一連の6つの異なる領域が得られるようにした。これらの領域はそれぞれ、幅方向(形成ロールの軸に平行)に一連の交差方向(CD)溝(凹部)を含んでいた。6つのパターンはそれぞれ30CD溝を有しており、それぞれ長さは9cm(ロール軸に平行な方向に)であった。
【0203】
6つのパターンの中で、領域1は幅1.241mm、深さ0.2769mmのCD溝、溝間の中心から中心の間隔が4.033mm(機械方向、すなわち交差方向の溝に垂直で測定)で機械加工された。領域2は、幅1.695mm、深さ0.1727mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。領域3は、幅1.645mm、深さ0.2007mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。領域4は、幅1.531mm、深さ0.2261mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。領域5は、幅2.387mm、深さ0.3023mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのロール軸に平行なCD溝を含んでいた。領域6は、幅2.195mm、深さ0.3531mm、中心から中心までの間隔が4.033mmのCD溝を含んでいた。
【0204】
ロールに形成されたCD溝に加えて、ドクターブレードを機械加工して、ポリマーの15本のストランドがロールの外部表面の機械方向(MD)に形成されるよう15のノッチを含めた(図23に図示)。ノッチは、幅方向に測定した中心から中心までの間隔が6.30mmの溝(幅0.135mm×深さ0.381mm)としてドクターブレードに形成された。
【0205】
ポリマー(クラトン(KRATON)G−1657)は、コンフォーマルなバックアップロールで形成されたニップ(75ショアAのジュロメータのゴムカバーを備えた鋼コア)で不織ポリプロピレン基材(BBA不織布(BBA Nonwovens)製の坪量27gsmで製品(Product)C0075スタイル(Style)3320)に転写された。バックアップロールのコアを5℃の温度で水を循環させることにより冷却した。形成ロールとバックアップロール間のニップにかけた圧力は、直線1インチ当たり14ポンド(25ニュートン/直線1cm)であった。溝とロール表面にあったポリマーは、基材を形成ロールから除去したときに、きれいに、実質的に完全に、形成ロールの表面から剥がれた(図15に図示)。
【0206】
6つのパターンのそれぞれに転写されたポリマーの量は異なるレベルの基材への浸透を示した。これを実証するように、領域3のパターンに対応する得られた複合体ウェブの領域は、MDストランド(ノッチの入ったドクターブレードにより形成された)がCDストランド(CD溝においてポリマーにより形成された)と交差する領域においてのみポリマーと基材の間に強固な結合を示した。これらの領域において、ポリマーは基材に浸透し、基材の繊維の多くを包み込んでいた。しかしながら、CDストランドおよびMDストランドのポリマーの残り、すなわち、交差部以外の部分においては、ポリマーは基材に強固な結合は形成しなかった。ポリマーによる基材への浸透はほとんど、あるいは全く見られなかった。
【0207】
領域3に対応する複合体ウェブの片をCD方向に伸張して(例えば、手で100%伸張)解放すると、図22に示すように、不織基材は、CDおよびMDストランドの交差部に対応するボンド点間に弓形部分を形成した。重いパターンについては、領域6(CD溝が大きい)のように、ポリマーは不織基材に浸透し、CDストランドの全長にわたって多くのファイバーを包み込んでいた。領域6に対応するウェブの片をCD方向に伸張して解放すると、領域3から伸張された複合体ウェブの試料に見られた通り、基材は弓形部分は形成しなかった。6つのパターンのそれぞれにより形成された複合体ウェブは、初期の伸張および弛緩の後、良好な弾性を示した。6つのパターンのそれぞれについて、CDストランドとMDストランド間の基材の大部分は実質的にポリマーを含まず、高通気性ウェブ(不織基材自身が高通気性であるため)が形成された。
【0208】
前述の特定の実施形態は本発明の実施の例証である。本発明は、本文書に記載に特定されていない要素や項目がなくても好適に実施される。全ての特許、特許出願および公報の全ての開示内容は、それぞれ参考文献として本文書に組み込まれる。本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明白であろう。本発明は本明細書に規定した例示のための実施形態に不当に限定されるものではないことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合体ウェブの製造方法であって、
外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、
前記熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に前記形成ツールの前記外部表面を維持する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上の溶融した前記熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した前記熱可塑性組成物の少なくとも一部を前記1つ以上の凹部に入れる工程と、
前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を基材に、前記基材の第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させることにより転写する工程と、
前記転写後に前記基材と前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を前記形成ツールから分離する工程と
を含み、前記基材の前記第1の主面に配置された前記熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含む複合体ウェブが形成される、複合体ウェブの製造方法。
【請求項2】
前記1つ以上の凹部の表面に近接する前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、堆積後、かつ、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と接触する前に、前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度より低くなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の凹部の表面から遠位にある前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と少なくとも接触するまで、前記溶融処理温度にまたはそれより高く保たれる請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ロール温度が、溶融した前記熱可塑性組成物が前記形成ツールの前記外部表面に供給される溶融熱可塑性組成物温度より摂氏20度以上低い請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物を前記形成ツールの前記外部表面とドクターブレードの間の界面に押出す工程を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物をドクターブレードに押出す工程を含み、溶融した前記熱可塑性組成物が、前記ドクターブレードの表面から前記ドクターブレードと前記ロールの前記外部表面の間の界面へ流れる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材の前記第1の主面が、多孔性表面を含み、前記転写工程が、前記基材の前記第1の主面の一部を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物に対して押し付ける工程をさらに含み、前記1つ以上の凹部の少なくともいくつかの凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が前記多孔性表面に浸透する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基材の前記多孔性表面が繊維を含み、さらに、前記転写工程が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物中に前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部を包み込む工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基材の前記第1の主面が繊維を含み、さらに、前記転写工程が、前記基材の前記第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物に対して押し付けることによって、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物中に前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部を包み込む工程をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー材料を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が伸張後に永久伸びを示すように配置された1つ以上のポリマー構造体を備えた前記複合体ウェブを伸張する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複合体ウェブを伸張して、1つ以上のポリマー構造体の1つ以上の少なくとも一部を前記基材の前記第1の主面から取り外す請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が弾性基材を含み、前記ウェブの前記第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させる前に前記弾性基材を伸張する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ワイピングにより、前記1つ以上の凹部外側の前記形成ツールの前記外部表面に前記溶融熱可塑性組成物の少なくとも一部が残る請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を堆積させる工程が、2種類以上の異なる溶融した熱可塑性組成物を前記形成ツールの前記外部表面に堆積させる工程を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の凹部の少なくともいくつかが、形成されたキャビティを含み、前記1つ以上の凹部により形成された前記1つ以上のポリマー構造体がその上面に配置された表面フィーチャーを含む請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記表面フィーチャーが、前記1つ以上のポリマー構造体と同時に形成される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域が、前記ポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面に取り付けられている結合領域と、前記ポリマー構造体が前記基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの分離領域が、前記基材の前記第1の主面の上に支持された自由端を含むステムを含み、前記自由端がループ材料の繊維を係合するように構成されている請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の凹部の表面から遠位にある前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、堆積後、かつ、前記基材の前記第1の主面と接触する前、前記溶融処理温度より低くなる請求項19〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記基材を前記形成ツールから分離した後、前記1つ以上のポリマー構造体で前記分離領域を変形する工程をさらに含む請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記分離領域が、前記変形後、前記基材の前記第1の主面と位置合せされない請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複合体ウェブの製造方法であって、
外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、
前記熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に前記形成ツールの前記外部表面を維持する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上の溶融した前記熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した前記熱可塑性組成物の一部を前記1つ以上の凹部に入れるとともに溶融した前記熱可塑性組成物の一部により前記形成ツールの前記外部表面上にベースフィルムを形成する工程と、
前記ベースフィルムおよび前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記形成ツールにあるようにしながら、前記基材の第1の主面を前記ベースフィルムと前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させることにより前記ベースフィルムと前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を基材に転写する工程と、
前記ベースフィルムと前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を前記転写後に前記形成ツールから分離する工程と
を含み、前記基材の前記第1の主面と前記1つ以上のポリマー構造体間に延在する前記ベースフィルムに配置された前記熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含む複合体ウェブが形成され、前記ベースフィルムの最大厚さが前記1つ以上のポリマー構造体の最大厚さより薄い、複合体ウェブの製造方法。
【請求項25】
前記1つ以上の凹部の表面に近接する前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、堆積後、かつ、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と接触する前に、前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度より低くなる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の凹部の表面から遠位にある前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と少なくとも接触するまで、前記溶融処理温度にまたはそれより高く保たれる請求項24〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ベースフィルムを形成する前記熱可塑性組成物が、堆積後、かつ、前記ベースフィルムを形成する前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と接触する前に、前記熱可塑性組成物の溶融処理温度より低くなる請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ロール温度が、溶融した前記熱可塑性組成物が前記形成ツールの前記外部表面に供給される溶融熱可塑性組成物温度摂氏20度以上低い請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物を前記形成ツールの前記外部表面とドクターブレードの間の界面に押出す工程を含む請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物をドクターブレードに押出す工程を含み、溶融した前記熱可塑性組成物が、前記ドクターブレードの表面から前記ドクターブレードと前記ロールの前記外部表面の間の界面へ流れる請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記基材の前記第1の主面が、多孔性表面を含み、前記転写工程が、前記ベースフィルムおよび前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記形成ツールにあるようにしながら、前記基材の前記第1の主面の一部を前記ベースフィルムおよび前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物に対して押し付ける工程をさらに含み、前記ベースフィルムの一部および前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が前記多孔性表面に浸透する請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記基材の前記多孔性表面が繊維を含み、前記転写工程が、前記1つ以上の凹部にある溶融した前記熱可塑性組成物により前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部を包み込む工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記ベースフィルムの少なくとも一部を除去する工程をさらに含む請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記基材の前記第1の主面に前記ベースフィルムを取り付ける工程をさらに含む請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ベースフィルムが、前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記基材の前記第1の主面に取り付けられない請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記基材の前記第1の主面に前記ベースフィルムを接着力により取り付ける工程をさらに含む請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記基材の前記第1の主面が、前記基材を前記ベースフィルムと接触させる前に配置された接着剤を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基材が、前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー材料を含む請求項24〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む請求項24〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が伸張後に永久伸びを示すように配置された1つ以上のポリマー構造体を備えた前記複合体ウェブを伸張する工程をさらに含む請求項24〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が弾性基材を含み、前記ウェブの前記第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させる前に前記弾性基材を伸張する工程を含む請求項24〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上の凹部の少なくともいくつかが、形成されたキャビティを含み、前記1つ以上の凹部により形成された前記1つ以上のポリマー構造体がその上面に配置された表面フィーチャーを含む請求項24〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記表面フィーチャーが、前記1つ以上のポリマー構造体と同時に形成される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1の主面を含む基材と、
前記基材の前記第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含み、
前記1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が、前記基材の前記第1の主面の領域を占めており、
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つのポリマー構造体により占められた領域が、前記ポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が前記第1の主面に取り付けられた結合領域と、前記ポリマー構造体が前記基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含み、
さらに、前記分離領域において、前記少なくとも1つのポリマー構造体が、前記基材の前記第1の主面に片持ち状態にあり、位置合せされている複合体ウェブ。
【請求項45】
前記分離領域が、前記基材の前記第1の主面の上に支持された自由端を含むステムを含み、前記自由端がループ材料の繊維を係合するように構成されている請求項44に記載の複合体ウェブ。
【請求項46】
前記基材の前記第1の主面が、多孔性の第1の主面を含み、前記ポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が、前記結合領域内の前記多孔性の第1の主面に浸透する請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項47】
前記基材の前記第1の主面が、前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー材料を含む請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項48】
前記基材の前記第1の主面が、前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマーフィルムを含む請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項49】
前記基材の前記第1の主面が、前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー繊維を含む請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項50】
前記基材の前記1の主面が繊維を含み、さらに、前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部が前記結合領域内で前記熱可塑性組成物に包み込まれている請求項44〜49のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項51】
前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が、前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すような1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む請求項44〜50のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項52】
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つが、前記基材の前記第1の主面から見て外方に向いた上面を含み、前記上面がそこに形成された表面フィーチャーを含む請求項44〜51のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項53】
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つが、前記基材の前記第1の主面から見て外方に向いた上面を含み、前記上面がそこから突出しているステムを含む請求項44〜51のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項54】
前記分離領域がバーブを含む請求項44〜53のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項55】
前記基材の前記第1の主面が、1つ以上の隆起部分とそれを取り囲む谷とを含み、前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つの前記結合領域が、前記1つ以上の隆起部分の1つに取り付けられている請求項44〜54のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項56】
前記少なくとも1つの分離領域が、前記結合領域から延在している3つ以上の別個の分離領域を含み、前記3つ以上の別個の分離領域が前記基材の前記第1の主面に片持ち状態にあるが、取り付けられていない請求項44〜55のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項57】
請求項44〜56のいずれか一項に記載の複合体ウェブと、
前記1つ以上のポリマー構造体の前記分離領域を受けることのできる1つ以上の開口部を含む補助表面とを含み、
閉じた構成において、前記基材の前記第1の主面が前記補助表面と向き合っており、
さらに、前記少なくとも1つのポリマー構造体の前記少なくとも1つの分離領域が、前記補助表面と前記基材の互いに対する動きが制限されるように、前記補助表面の前記1つ以上の開口部内に配置されている封止システム。
【請求項58】
前記補助表面の前記1つ以上の開口部が繊維ループを含む請求項57に記載の封止システム。
【請求項59】
前記少なくとも1つの分離領域が、前記基材の前記第1の主面の上に支持された自由端を含むステムを含み、前記封止システムが閉じた構成にあるときに、前記自由端が前記補助表面の前記1つ以上の開口部の1つの開口部内に配置されている請求項57〜58のいずれか一項に記載の封止システム。
【請求項60】
第1の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第1の封止要素と、
第2の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第2の封止要素とを含み、
前記第1の封止要素は、前記第1の基材の前記第1の主面の領域を占めており、前記第1の封止要素により占められた領域は、前記熱可塑性ポリマー構造体が前記第1の基材の前記第1の主面に取り付けられた結合領域と、前記熱可塑性ポリマー構造体が、前記第1の基材の前記第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含み、前記分離領域の前記熱可塑性ポリマー構造体の一部が、前記第1の基材の前記第1の主面の上に支持された第1の片持ちばりタブを含み、前記第1の封止要素の結合領域と前記第1の封止要素の前記片持ちばりタブと前記第1の基材の前記第1の主面とが第1のポケットを形成し、
前記第2の封止要素は、前記第2の基材の前記第1の主面の領域を占めており、前記第2の封止要素により占められた領域は、前記熱可塑性ポリマー構造体が前記第2の基材の前記第1の主面に取り付けられた結合領域と、前記熱可塑性ポリマー構造体が、前記第2の基材の前記第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含み、前記分離領域の前記熱可塑性ポリマー構造体の一部が、前記第2の基材の前記第1の主面の上に支持された第2の片持ちばりタブを含み、前記第2の封止要素の結合領域と前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブと前記第2の基材の前記第1の主面とが第2のポケットを形成し、
前記第1の封止要素の前記片持ちばりタブが、前記第2のポケットに配置され、封止システムが閉じた構成にあるとき、前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブが前記第1のポケットに配置されている封止システム。
【請求項61】
前記第1の封止要素の前記熱可塑性ポリマー構造体の前記結合領域が、U形結合領域を含み、前記封止システムが閉じた構成体にあるとき、前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブの少なくとも一部が前記U形結合領域内に配置されている請求項60に記載の封止システム。
【請求項62】
前記第1の封止要素の前記熱可塑性ポリマー構造体の前記結合領域が、U形結合領域を含み、前記封止システムが閉じた構成にあるとき、前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブの少なくとも一部が前記第1の封止要素の前記U形結合領域内に配置されており、
前記第2の封止要素の前記熱可塑性ポリマー構造体の前記結合領域が、U形結合領域を含み、前記封止システムが前記閉じた構成にあるとき、前記第1の封止要素の前記片持ちばりタブの少なくとも一部が前記第2の封止要素の前記U形結合領域内に配置されている請求項60に記載の封止システム。
【請求項1】
複合体ウェブの製造方法であって、
外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、
前記熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に前記形成ツールの前記外部表面を維持する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上の溶融した前記熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した前記熱可塑性組成物の少なくとも一部を前記1つ以上の凹部に入れる工程と、
前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を基材に、前記基材の第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させることにより転写する工程と、
前記転写後に前記基材と前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を前記形成ツールから分離する工程と
を含み、前記基材の前記第1の主面に配置された前記熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含む複合体ウェブが形成される、複合体ウェブの製造方法。
【請求項2】
前記1つ以上の凹部の表面に近接する前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、堆積後、かつ、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と接触する前に、前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度より低くなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の凹部の表面から遠位にある前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と少なくとも接触するまで、前記溶融処理温度にまたはそれより高く保たれる請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記ロール温度が、溶融した前記熱可塑性組成物が前記形成ツールの前記外部表面に供給される溶融熱可塑性組成物温度より摂氏20度以上低い請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物を前記形成ツールの前記外部表面とドクターブレードの間の界面に押出す工程を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物をドクターブレードに押出す工程を含み、溶融した前記熱可塑性組成物が、前記ドクターブレードの表面から前記ドクターブレードと前記ロールの前記外部表面の間の界面へ流れる請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材の前記第1の主面が、多孔性表面を含み、前記転写工程が、前記基材の前記第1の主面の一部を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物に対して押し付ける工程をさらに含み、前記1つ以上の凹部の少なくともいくつかの凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が前記多孔性表面に浸透する請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基材の前記多孔性表面が繊維を含み、さらに、前記転写工程が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物中に前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部を包み込む工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基材の前記第1の主面が繊維を含み、さらに、前記転写工程が、前記基材の前記第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物に対して押し付けることによって、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物中に前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部を包み込む工程をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基材が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー材料を含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が伸張後に永久伸びを示すように配置された1つ以上のポリマー構造体を備えた前記複合体ウェブを伸張する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複合体ウェブを伸張して、1つ以上のポリマー構造体の1つ以上の少なくとも一部を前記基材の前記第1の主面から取り外す請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が弾性基材を含み、前記ウェブの前記第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させる前に前記弾性基材を伸張する工程をさらに含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ワイピングにより、前記1つ以上の凹部外側の前記形成ツールの前記外部表面に前記溶融熱可塑性組成物の少なくとも一部が残る請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を堆積させる工程が、2種類以上の異なる溶融した熱可塑性組成物を前記形成ツールの前記外部表面に堆積させる工程を含む請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ以上の凹部の少なくともいくつかが、形成されたキャビティを含み、前記1つ以上の凹部により形成された前記1つ以上のポリマー構造体がその上面に配置された表面フィーチャーを含む請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記表面フィーチャーが、前記1つ以上のポリマー構造体と同時に形成される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つのポリマー構造体が占める領域が、前記ポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面に取り付けられている結合領域と、前記ポリマー構造体が前記基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含む請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの分離領域が、前記基材の前記第1の主面の上に支持された自由端を含むステムを含み、前記自由端がループ材料の繊維を係合するように構成されている請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の凹部の表面から遠位にある前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、堆積後、かつ、前記基材の前記第1の主面と接触する前、前記溶融処理温度より低くなる請求項19〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記基材を前記形成ツールから分離した後、前記1つ以上のポリマー構造体で前記分離領域を変形する工程をさらに含む請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記分離領域が、前記変形後、前記基材の前記第1の主面と位置合せされない請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複合体ウェブの製造方法であって、
外部表面を有する形成ツールであって、その外部表面に形成された1つ以上の凹部を含む形成ツールを用意する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上に溶融した熱可塑性組成物を供給する工程と、
前記熱可塑性組成物の溶融処理温度より低いロール温度に前記形成ツールの前記外部表面を維持する工程と、
前記形成ツールの前記外部表面上の溶融した前記熱可塑性組成物をワイピングして、溶融した前記熱可塑性組成物の一部を前記1つ以上の凹部に入れるとともに溶融した前記熱可塑性組成物の一部により前記形成ツールの前記外部表面上にベースフィルムを形成する工程と、
前記ベースフィルムおよび前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記形成ツールにあるようにしながら、前記基材の第1の主面を前記ベースフィルムと前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させることにより前記ベースフィルムと前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を基材に転写する工程と、
前記ベースフィルムと前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物を前記転写後に前記形成ツールから分離する工程と
を含み、前記基材の前記第1の主面と前記1つ以上のポリマー構造体間に延在する前記ベースフィルムに配置された前記熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体を含む複合体ウェブが形成され、前記ベースフィルムの最大厚さが前記1つ以上のポリマー構造体の最大厚さより薄い、複合体ウェブの製造方法。
【請求項25】
前記1つ以上の凹部の表面に近接する前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、堆積後、かつ、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と接触する前に、前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度より低くなる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上の凹部の表面から遠位にある前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が、前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と少なくとも接触するまで、前記溶融処理温度にまたはそれより高く保たれる請求項24〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ベースフィルムを形成する前記熱可塑性組成物が、堆積後、かつ、前記ベースフィルムを形成する前記熱可塑性組成物が前記基材の前記第1の主面と接触する前に、前記熱可塑性組成物の溶融処理温度より低くなる請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ロール温度が、溶融した前記熱可塑性組成物が前記形成ツールの前記外部表面に供給される溶融熱可塑性組成物温度摂氏20度以上低い請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物を前記形成ツールの前記外部表面とドクターブレードの間の界面に押出す工程を含む請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記形成ツールの前記外部表面に溶融した前記熱可塑性組成物を供給する工程が、溶融した前記熱可塑性組成物をドクターブレードに押出す工程を含み、溶融した前記熱可塑性組成物が、前記ドクターブレードの表面から前記ドクターブレードと前記ロールの前記外部表面の間の界面へ流れる請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記基材の前記第1の主面が、多孔性表面を含み、前記転写工程が、前記ベースフィルムおよび前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物が前記形成ツールにあるようにしながら、前記基材の前記第1の主面の一部を前記ベースフィルムおよび前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物に対して押し付ける工程をさらに含み、前記ベースフィルムの一部および前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物の一部が前記多孔性表面に浸透する請求項24〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記基材の前記多孔性表面が繊維を含み、前記転写工程が、前記1つ以上の凹部にある溶融した前記熱可塑性組成物により前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部を包み込む工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記ベースフィルムの少なくとも一部を除去する工程をさらに含む請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記基材の前記第1の主面に前記ベースフィルムを取り付ける工程をさらに含む請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ベースフィルムが、前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記基材の前記第1の主面に取り付けられない請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記複合体ウェブの前記1つ以上のポリマー構造体間の前記基材の前記第1の主面に前記ベースフィルムを接着力により取り付ける工程をさらに含む請求項24〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記基材の前記第1の主面が、前記基材を前記ベースフィルムと接触させる前に配置された接着剤を含む請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基材が、前記熱可塑性組成物の前記溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー材料を含む請求項24〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む請求項24〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が伸張後に永久伸びを示すように配置された1つ以上のポリマー構造体を備えた前記複合体ウェブを伸張する工程をさらに含む請求項24〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記熱可塑性組成物が、前記基材の前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すように1種類以上のエラストマーポリマー成分を含み、前記基材が弾性基材を含み、前記ウェブの前記第1の主面を前記1つ以上の凹部にある前記熱可塑性組成物と接触させる前に前記弾性基材を伸張する工程を含む請求項24〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上の凹部の少なくともいくつかが、形成されたキャビティを含み、前記1つ以上の凹部により形成された前記1つ以上のポリマー構造体がその上面に配置された表面フィーチャーを含む請求項24〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記表面フィーチャーが、前記1つ以上のポリマー構造体と同時に形成される請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1の主面を含む基材と、
前記基材の前記第1の主面に取り付けられた熱可塑性組成物の1つ以上のポリマー構造体とを含み、
前記1つ以上のポリマー構造体の各ポリマー構造体が、前記基材の前記第1の主面の領域を占めており、
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つのポリマー構造体により占められた領域が、前記ポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が前記第1の主面に取り付けられた結合領域と、前記ポリマー構造体が前記基材の前記第1の主面に取り付けられていない少なくとも1つの分離領域とを含み、
さらに、前記分離領域において、前記少なくとも1つのポリマー構造体が、前記基材の前記第1の主面に片持ち状態にあり、位置合せされている複合体ウェブ。
【請求項45】
前記分離領域が、前記基材の前記第1の主面の上に支持された自由端を含むステムを含み、前記自由端がループ材料の繊維を係合するように構成されている請求項44に記載の複合体ウェブ。
【請求項46】
前記基材の前記第1の主面が、多孔性の第1の主面を含み、前記ポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が、前記結合領域内の前記多孔性の第1の主面に浸透する請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項47】
前記基材の前記第1の主面が、前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー材料を含む請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項48】
前記基材の前記第1の主面が、前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマーフィルムを含む請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項49】
前記基材の前記第1の主面が、前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物の溶融処理温度以下の溶融処理温度を有するポリマー繊維を含む請求項44〜45のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項50】
前記基材の前記1の主面が繊維を含み、さらに、前記繊維の少なくとも数本の少なくとも一部が前記結合領域内で前記熱可塑性組成物に包み込まれている請求項44〜49のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項51】
前記1つ以上のポリマー構造体の前記熱可塑性組成物が、前記1つ以上のポリマー構造体が弾性挙動を示すような1種類以上のエラストマーポリマー成分を含む請求項44〜50のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項52】
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つが、前記基材の前記第1の主面から見て外方に向いた上面を含み、前記上面がそこに形成された表面フィーチャーを含む請求項44〜51のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項53】
前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つが、前記基材の前記第1の主面から見て外方に向いた上面を含み、前記上面がそこから突出しているステムを含む請求項44〜51のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項54】
前記分離領域がバーブを含む請求項44〜53のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項55】
前記基材の前記第1の主面が、1つ以上の隆起部分とそれを取り囲む谷とを含み、前記1つ以上のポリマー構造体の少なくとも1つの前記結合領域が、前記1つ以上の隆起部分の1つに取り付けられている請求項44〜54のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項56】
前記少なくとも1つの分離領域が、前記結合領域から延在している3つ以上の別個の分離領域を含み、前記3つ以上の別個の分離領域が前記基材の前記第1の主面に片持ち状態にあるが、取り付けられていない請求項44〜55のいずれか一項に記載の複合体ウェブ。
【請求項57】
請求項44〜56のいずれか一項に記載の複合体ウェブと、
前記1つ以上のポリマー構造体の前記分離領域を受けることのできる1つ以上の開口部を含む補助表面とを含み、
閉じた構成において、前記基材の前記第1の主面が前記補助表面と向き合っており、
さらに、前記少なくとも1つのポリマー構造体の前記少なくとも1つの分離領域が、前記補助表面と前記基材の互いに対する動きが制限されるように、前記補助表面の前記1つ以上の開口部内に配置されている封止システム。
【請求項58】
前記補助表面の前記1つ以上の開口部が繊維ループを含む請求項57に記載の封止システム。
【請求項59】
前記少なくとも1つの分離領域が、前記基材の前記第1の主面の上に支持された自由端を含むステムを含み、前記封止システムが閉じた構成にあるときに、前記自由端が前記補助表面の前記1つ以上の開口部の1つの開口部内に配置されている請求項57〜58のいずれか一項に記載の封止システム。
【請求項60】
第1の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第1の封止要素と、
第2の基材の第1の主面に取り付けられた熱可塑性ポリマー構造体を含む第2の封止要素とを含み、
前記第1の封止要素は、前記第1の基材の前記第1の主面の領域を占めており、前記第1の封止要素により占められた領域は、前記熱可塑性ポリマー構造体が前記第1の基材の前記第1の主面に取り付けられた結合領域と、前記熱可塑性ポリマー構造体が、前記第1の基材の前記第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含み、前記分離領域の前記熱可塑性ポリマー構造体の一部が、前記第1の基材の前記第1の主面の上に支持された第1の片持ちばりタブを含み、前記第1の封止要素の結合領域と前記第1の封止要素の前記片持ちばりタブと前記第1の基材の前記第1の主面とが第1のポケットを形成し、
前記第2の封止要素は、前記第2の基材の前記第1の主面の領域を占めており、前記第2の封止要素により占められた領域は、前記熱可塑性ポリマー構造体が前記第2の基材の前記第1の主面に取り付けられた結合領域と、前記熱可塑性ポリマー構造体が、前記第2の基材の前記第1の主面に取り付けられていない分離領域とを含み、前記分離領域の前記熱可塑性ポリマー構造体の一部が、前記第2の基材の前記第1の主面の上に支持された第2の片持ちばりタブを含み、前記第2の封止要素の結合領域と前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブと前記第2の基材の前記第1の主面とが第2のポケットを形成し、
前記第1の封止要素の前記片持ちばりタブが、前記第2のポケットに配置され、封止システムが閉じた構成にあるとき、前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブが前記第1のポケットに配置されている封止システム。
【請求項61】
前記第1の封止要素の前記熱可塑性ポリマー構造体の前記結合領域が、U形結合領域を含み、前記封止システムが閉じた構成体にあるとき、前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブの少なくとも一部が前記U形結合領域内に配置されている請求項60に記載の封止システム。
【請求項62】
前記第1の封止要素の前記熱可塑性ポリマー構造体の前記結合領域が、U形結合領域を含み、前記封止システムが閉じた構成にあるとき、前記第2の封止要素の前記片持ちばりタブの少なくとも一部が前記第1の封止要素の前記U形結合領域内に配置されており、
前記第2の封止要素の前記熱可塑性ポリマー構造体の前記結合領域が、U形結合領域を含み、前記封止システムが前記閉じた構成にあるとき、前記第1の封止要素の前記片持ちばりタブの少なくとも一部が前記第2の封止要素の前記U形結合領域内に配置されている請求項60に記載の封止システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図26a】
【図26b】
【図27a】
【図27b】
【図28a】
【図28b】
【図28c】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31a】
【図31b】
【図32a】
【図32b】
【図33a】
【図33b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図25E】
【図26a】
【図26b】
【図27a】
【図27b】
【図28a】
【図28b】
【図28c】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図30】
【図31a】
【図31b】
【図32a】
【図32b】
【図33a】
【図33b】
【公開番号】特開2011−1682(P2011−1682A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−177442(P2010−177442)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2006−508808(P2006−508808)の分割
【原出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177442(P2010−177442)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2006−508808(P2006−508808)の分割
【原出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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