説明

複合微粒子

【課題】従来にはない優れた特性が得られる新規複合微粒子を提供する。
【解決手段】球状シリコン微粒子分散液、溶媒、不飽和基を有する重合性単量体、重合開始剤、少なくとも水溶性高分子を含む分散安定剤を混合して反応液を調整する工程と、前記反応液を液滴化する工程と、前記液滴を重合する工程、を含む工程によって合成されることを特徴とする複合微粒子。前記水溶性高分子として、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状シリコン微粒子を有機微粒子の表面近傍に複合化することによって得られ、従来にはない優れた特性が得られる形状を有する複合微粒子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗料、プラスチック、ゴム、化粧品、紙などへの滑り性付与、分散性向上、光拡散機能付与を目的とした改質用添加剤として有機微粒子や球状シリコン微粒子が用いられている。従来、これらの微粒子の組成、粒子径、粒子形状などが検討されてきたが、このような検討だけでは得られる特性の幅は限られるため、新たな検討手法が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献1には複数の球状架橋有機ポリマー微粒子をそれより大なる球状架橋有機ポリマー粒子内部に島構造に分散させた海島構造粒子からなる光拡散剤が開示されている。この粒子は光学特性には優れるものの、他の特性については特に特徴はなかった。
【特許文献1】特開2006-084927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来にはない優れた特性が得られる形状を有する複合微粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは球状シリコン微粒子と有機微粒子の複合化について、特定の工程によって合成される有機微粒子が優れた特性を有することを見出し、前記課題を解決した。
本発明は、球状シリコン微粒子分散液、溶媒、不飽和基を有する重合性単量体、重合開始剤、少なくとも水溶性高分子を含む分散安定剤を混合して反応液を調整する工程と、前記反応液を液滴化する工程と、前記液滴を重合する工程、を含む工程によって合成されることを特徴とする複合微粒子である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の複合微粒子は互いに屈折率が異なる有機微粒子と球状シリコン微粒子が複合化しているため、粒子内で光をより様々な方向に散乱させることが可能であり、形状を調整できる。したがって、化粧料に添加すればソフトフォーカス効果を高めることができる。
また、球状シリコン微粒子が有機微粒子の表面に露出した形状を有しているため、化粧料の滑り性、伸展性を高め、使用感を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の複合微粒子は、球状シリコン微粒子、溶媒、不飽和基を有する重合性単量体、重合開始剤、水溶性高分子を含む分散安定剤を混合して反応液を調整する工程を含む。球状シリコン微粒子は、下記一般式(1)で表されるケイ素化合物を縮合させて製造されたものである微粒子である。
1Si(OR23 (1)
(一般式(1)中、R1はラジカル重合性不飽和結合を有さない有機基を表し、R2は水素または炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
一般式(1)で表されるケイ素化合物が有するR1は、例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基、デシル基などのアルキル基が挙げられる。また、一般式(1)で表されるケイ素化合物が有する水素原子以外のR2としては、例えば、メチル基、エチル基などが挙げられる。
【0008】
一般式(1)で表されるケイ素化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0009】
球状シリコン微粒子は、特開平1−217039号公報や特開平10−45914号公報に開示される方法等のように、前記一般式(1)で表されるケイ素化合物を加水分解することにより得られたシラノール溶液を縮合重合することにより球状シリコン微粒子分散液として得られ、さらにこれを乾燥することによって微粒子として得られる。
【0010】
球状シリコン微粒子の平均粒子径は、目的の用途によって異なるが、通常0.5μm〜10.0μmであり、好ましくは0.8μm〜5.0μmである。0.5μm未満であると、光の波長の一部よりも小さいため効率的に光を散乱できず、10.0μmを越えると粒度分布の揃った球状シリコン微粒子を製造することが難しい。球状シリコン微粒子の平均粒子径は、ケイ素化合物の種類、加水分解および縮合重合時に添加する酸とアルカリの種類および重量、縮合重合時の温度等により調整することができる。
なお、球状シリコン微粒子の平均粒子径には、レーザー測定原理を利用した測定装置で測定した体積平均粒子径を採用する。
【0011】
反応液に含まれる溶媒として、後述する不飽和基を有する重合性単量体と混和せず、得られる複合微粒子を溶解しないものが用いられる。通常は溶媒として水が用いられるが、前記球状シリコン微粒子分散液をそのまま球状シリコン微粒子および溶媒の一部として用いてもよい。これにより、球状シリコン微粒子の合成後の溶媒乾燥工程を省略でき、生産性を向上できる。
【0012】
不飽和基を有する重合性単量体として、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー、酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチル化о−フェニルフェノールアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル系モノマー、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのエチレングリコール系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モノマーなどが挙げられるが、不飽和基を有していれば上記単量体に限定されるものではない。これらの単量体は、用途に応じて単独または複数を組み合わせて用いることが可能である。
【0013】
不飽和基を有する重合性単量体として、前記単量体に加えて不飽和基を2個以上有する重合性単量体を用いることが好ましい。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエンなどの芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのモノマーは、用途に応じて単独または複数を組み合わせて用いることができ、粒子の硬度および耐溶剤性の調整等が可能である。好ましい使用量は、不飽和基を有する重合性単量体の総量100重量部に対して、通常0〜50重量部、好ましくは0〜20重量部である。
【0014】
重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、о−メトキシベンゾイルパーオキサイド、о−クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイルなどの有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられるが、前記重合開始剤に限定されるものではない。これらの重合開始剤は、用途に応じて単独または複数を組み合わせて用いることが可能である。重合開始剤の使用量は、不飽和基を有する重合性単量体の総量100重量部に対して、通常0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
【0015】
分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリアクリル酸塩などの水溶性高分子、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、リン酸三カルシウム、炭酸マグネシウムなどの難水溶性無機物が挙げられるが、本発明においては少なくとも水溶性高分子を含む必要がある。
また、水溶性高分子としてはポリビニルアルコールが好ましく、さらにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を組み合わせて使用することが好ましい。分散安定剤として界面活性剤や水溶性高分子を用いる場合、前記溶媒の一部または全部にあらかじめ溶解させておき、水溶液として用いることが好ましい。分散安定剤の使用量は、不飽和基を有する重合性単量体の総量100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜40重量部である。
【0016】
複合微粒子に占める球状シリコン微粒子の重量割合は0.5〜70.0%が好ましく、3.0%〜30.0%とすることがより好ましい。0.5%未満であると、球状シリコン微粒子の量が相対的に少ないため特性を発揮することが難しく、70.0%を越えると液滴分散時の粘度が上昇するため液滴の粒子径を制御することが難しく、液滴が不安定となる。
したがって、分散液の調製時において、溶媒を除いた部分における球状シリコン微粒子の重量割合を0.5〜70.0%とすることが好ましく、3.0%〜30.0%とすることがより好ましい。球状シリコン微粒子の量を調整することにより、球状シリコン微粒子の局在化の程度を調整することが出来る。
【0017】
本発明の複合微粒子は、球状シリコン微粒子、溶媒、不飽和基を有する重合性単量体、重合開始剤、水溶性高分子を含む分散安定剤を混合して反応液を調整する工程に引続き、前記反応液を液滴化する工程を含む。例えば、不飽和基を有する重合性単量体に重合開始剤を溶解させ、さらに球状シリコン微粒子分散液を添加して混合する。これを分散安定剤が入った溶液中に投入し、必要に応じてホモジナイザーなどを用いてせん断力をかけることにより、溶媒中に球状シリコン微粒子、不飽和基を有する重合性単量体および重合開始剤が分散した液滴を形成できる。
【0018】
前記液滴を重合する工程は、溶液を撹拌しながら加熱して重合反応を行う。重合温度は、不飽和基を有する重合性単量体や重合開始剤によるところであるが、通常は45〜90℃であり、好ましくは50〜85℃である。上記反応温度が45℃未満の場合は、重合が十分に進まないおそれがあり、90℃を超える場合は、高温であるため、重合反応の制御が困難となるおそれがある。
【0019】
複合微粒子の平均粒子径は、2.0μm〜50.0μmであることが好ましく、4.0μm〜40.0μmであることがより好ましい。2.0μm未満であると複合微粒子として得られにくくなり、50.0μmを越えると平均粒子径の制御が困難である。複合微粒子の平均粒子径は、ホモジナイザーのせん断力および稼動時間および分散安定剤の種類および重量等により調整できる。
なお、複合微粒子の平均粒子径には、レーザー測定原理を利用した測定装置で測定した体積平均粒子径を採用する。
【0020】
本発明により得られる複合微粒子の形状はSEMなどで確認でき、球状シリコン微粒子が表面に局在化した形状を有する微粒子を得ることが出来る。
【0021】
本発明により得られる複合微粒子は前記特徴的な形状に由来すると考えられる様々な特性を有し、塗料、プラスチック、ゴム、化粧品、紙などへの滑り性付与、分散性向上、光拡散機能付与を目的とした改質用添加剤など使用可能である。以下、光拡散機能を付与した化粧料への応用についてさらに詳しく記載する。
【0022】
化粧料中における前記複合微粒子の含有量は、剤型等により異なり特に制限されないが、0.1〜50重量%、好ましくは液状、クリーム状の化粧料であれば、1〜20重量%、パウダー等の固形の化粧料であれば2〜40重量%であることが望ましい。
複合微粒子の含有量は、上記範囲内であれば、小じわ等の目立ちを見え難くする効果に優れるとともに、使用感も良好であり好ましい。
また化粧料には、本発明の複合微粒子の光拡散性により小皺等を目立たなくするソフトフォーカス効果を損なわないものであれば、必要に応じて以下のような通常の化粧料に配合される成分を配合することができる。
【0023】
油剤は、化粧料に使用されているものであればよく、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス等の炭化水素油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン脂肪酸、合成脂肪酸等の高級脂肪酸、トリオクタン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸イソセチル等のエステル油、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類、アマニ油、綿実油、ヒマシ油、卵黄油、ヤシ油等の油脂類、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛等の金属石鹸、セチルアルコールステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
【0024】
油脂およびロウ類としては、例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ脂、牛脂、ゴマ油、小麦胚芽油、サフラワー油、シアバター、タートル油、椿油、パーシック油、ひまし油、ブドウ油、マカダミアナッツ油、ミンク油、卵黄油、モクロウ、ヤシ油、ローズヒップ油、硬化油、シリコーン油、オレンジラフィー油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、鯨ロウ、ホホバ油、モンタンロウ、ミツロウ、ラノリン等が挙げられる。
炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等が挙げられる。
【0025】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、オキシステアリン酸、リノール酸、ラノリン脂肪酸、合成脂肪酸が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水素添加ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルデカノール、イソステアリルアルコール、ホホバアルコール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。
ステロールとしては、例えば、レステロール、ジヒドロコレステロール、フィトコレステロール等が挙げられる。
【0026】
脂肪酸エステルとしては、例えば、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸デシル、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソオクタン酸グリセリン、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、リンゴ酸ジイソステアリルやイソステアリン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル等の環状アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0027】
金属石鹸としては、例えば、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、dl−ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリグリセリン、キシリット、マルチトール等が挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸、高級アルコール硫酸エステル、N−アシルグルタミン酸塩、リン酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤、ベタイン型、アミノ酸型、イミダゾリン型、レシチン等の両性界面活性剤、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド、酸化エチレン縮合物等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0029】
高分子化合物としては、例えば、アラビアゴム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、ゼラチン、セラック、ロジン、カゼイン等の天然高分子化合物、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、エステルガム、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース等の半合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド樹脂、シリコーン油、ナイロン粒子、ポリメタクリル酸メチル粒子、架橋ポリスチレン粒子、シリコーン粒子、ウレタン粒子、ポリエチレン粒子等の合成樹脂粒子等の合成高分子化合物が挙げられる。
【0030】
色材原料としては、例えば、酸化鉄、群青、コンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、マンガンバイオレット、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、雲母、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等の無機顔料、アゾ系、ニトロ系、ニトロソ系、キサンテン系、キノリン系、アントラキノリン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、フタロシアニン系、ピレン系等のタール色素が挙げられる。
【0031】
香料としては、例えば、ラベンダー油、ペパーミント油、ライム油等の天然香料、エチルフェニルアセテート、ゲラニオール、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート等の合成香料が挙げられる。
防腐・殺菌剤としては、例えば、メチルパラペン、エチルパラペン、プロピルパラペン、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、トコフェロール等が挙げられる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えば、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化鉄、微粒子酸化ジルコニウム等の無機系吸収剤、安息香酸系、パラアミノ安息香酸系、アントラニル酸系、サルチル酸系、ケイ皮酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系等の有機系吸収剤が挙げられる。
特殊配合成分としては、例えば、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン等のホルモン類、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛等の皮膚収斂剤、カンタリスチンキ、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、センブリエキス、ニンニクエキス、ヒノキチオール、塩化カルプロニウム、ペンタデカン酸グリセリド、ビタミンE、エストロゲン、感光素等の発毛促進剤、リン酸−L−アスコルビン酸マグネシウム、コウジ酸等の美白剤等が挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0034】
実施例1
球状シリコン微粒子分散液の調整
温度計・還流計および撹拌機を備えた反応容器に、イオン交換水2,700重量部と酢酸1.0重量部とを仕込み、撹拌して均一な溶液とした。撹拌しながら、これに塩酸分1ppmのメチルトリメトキシシラン1,360重量部を添加したところ、加水分解反応が進行し、シラノール溶液を得た。別に温度計、還流器および撹拌器を備えた反応容器に、前記シラノール溶液800重量部とイオン交換水1,000重量部を混合して、反応液とした。反応液の温度を40℃に設定し、20rpmで撹拌しながら、25%アンモニア水溶液を2.0重量部添加し、1分間撹拌した後、撹拌を停止して1時間静置して縮合反応を進行させた。この工程において得られた反応溶液を60目ろ布を通して粗大粒子をろ別し、白濁したシリコン微粒子分散液Aを得た。得られた微粒子を、レーザー粒子測定器(日機装社製 MICROTRAC MT−3000)で測定を行ったところ、平均粒子径が1.02μmであった。図1は、SEM(日本電子社製 JSM−6510LV)により得られた微粒子を10,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。写真より、シリコン微粒子は球状である。分散液を110℃で2時間乾燥したところ、不揮発分は7.4%であった。
【0035】
反応液の調製
反応容器にイオン交換水を1500重量部、分散安定剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名 PVA−217)の10%溶液を75重量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(日油社製、商品名 プロノン♯204)の1%溶液を7.5重量部添加し、均一になるよう撹拌を行った。
ホモミキサーを備えた別の容器に、重合性単量体としてメチルメタクリレート225重量部およびエチレンジメタクリレート25重量部、重合開始剤としてラウリルパーオキサイド2重量部添加し、ラウリルパーオキサイドが溶解するまでホモミキサーで撹拌を行った。ラウリルパーオキサイド溶解後、前記の球状シリコン微粒子分散液Aを865重量部、35%塩酸を7重量部とイオン交換水220重量部を添加し、ホモミキサーで20分間撹拌を行った後、前記反応容器に投入することによって反応液を調製した。
【0036】
反応液の液滴化
特殊機化工業社製ホモミキサーを使用して5,000rpmにて10分間撹拌することにより、反応液を液滴化した。
【0037】
液滴の重合
液滴分散を行った後、反応容器に撹拌機を備え付け、窒素気流下において撹拌しながら、65℃で40分間重合反応を行ったところ発熱し、温度が上昇した。発熱終了後、85℃で3時間熟成反応を行った後に冷却を行い、反応液を60目ろ布に通して粗大粒子をろ別してから遠心脱水を行い、湿ケーキを得た。これを80℃で1日間乾燥し、実施例1の複合微粒子を得た。
【0038】
複合微粒子の性状
レーザー粒子測定器(日機装社製 MICROTRAC MT−3000)を用いて測定した実施例1の複合微粒子の平均粒子径は9.8μmであった。そして、SEM(日本電子社製 JSM−6510LV)により実施例1の複合微粒子を観察した。
図2は、SEMで実施例1の複合微粒子を1,000倍率(二次電子モード)、図3は、5,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。図2および図3より、実施例1の複合微粒子は、有機ポリマー部分の表面に球状シリコン微粒子が局在化している。
【0039】
実施例2
反応液の調製
反応容器にイオン交換水を1500重量部、分散安定剤としてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名 PVA−217)の10%溶液を37.5重量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(日油社製、商品名 プロノン♯204)の1%溶液を5重量部添加し、均一になるよう撹拌を行った。
ホモミキサーを備えた別の容器に、重合性単量体としてメチルメタクリレート225重量部およびエチレンジメタクリレート25重量部、重合開始剤としてラウリルパーオキサイド2重量部添加し、ラウリルパーオキサイドが溶解するまでホモミキサーで撹拌を行った。ラウリルパーオキサイド溶解後、前記の球状シリコン微粒子分散液Aを865重量部、35%塩酸を7重量部とイオン交換水220重量部を添加し、ホモミキサーで20分間撹拌を行った後、前記反応容器に投入することによって反応液を調製した。
【0040】
反応液の液滴化
特殊機化工業社製ホモミキサーを使用して2,500rpmにて10分間撹拌することにより、反応液を液滴化した。
【0041】
液滴の重合
液滴分散を行った後、反応容器に撹拌機を備え付け、窒素気流下において撹拌しながら、65℃で40分間重合反応を行ったところ発熱し、温度が上昇した。発熱終了後、85℃で3時間熟成反応を行った後に冷却を行い、反応液を60目ろ布に通して粗大粒子をろ別してから吸引ろ過を行い、湿ケーキを得た。これを80℃で1日間乾燥し、実施例2の複合微粒子を得た。
【0042】
複合微粒子の性状
レーザー粒子測定器を用いて測定した実施例2の複合微粒子の平均粒子径は35.2μmであった。そして、SEMにより実施例2の複合微粒子を観察した。
図4は、SEMで実施例2の複合微粒子を2,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。図4より、実施例2の複合微粒子は、有機ポリマー部分の表面に球状シリコン微粒子が局在化している。
【0043】
実施例3
実施例2の反応液の調製において、球状シリコン微粒子分散液Aの添加量を380重量部、35%塩酸の添加量を3重量部、イオン交換水の添加量を100重量部とした以外は実施例2と同様に行い、実施例3の複合微粒子を得た。
レーザー粒子測定器を用いて測定した実施例3の複合微粒子の平均粒子径は29.3μmであった。そして、SEMにより実施例3の複合微粒子を観察した。
図5は、SEMで実施例3の複合微粒子を2,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。図5より、実施例3の複合微粒子は、有機ポリマー部分の表面に球状シリコン微粒子が局在化していた。
【0044】
比較例1
反応液の調製
反応容器にイオン交換水を1000重量部、分散安定剤としてリン酸三カルシウム10%溶液を400重量部およびリン酸エステル系界面活性剤10%溶液を4重量部添加し、均一になるよう撹拌を行った。
ホモミキサーを備えた別の容器に、重合性単量体としてメチルメタクリレート225重量部およびエチレンジメタクリレート25重量部、重合開始剤としてラウリルパーオキサイド2重量部添加し、ラウリルパーオキサイドが溶解するまでホモミキサーで撹拌を行った。ラウリルパーオキサイド溶解後、前記の球状シリコン微粒子分散液Aを865重量部とイオン交換水220重量部を添加し、ホモミキサーで20分間撹拌を行った後、前記反応容器に投入することによって反応液を調製した。
【0045】
反応液の液滴化
特殊機化工業社製ホモミキサーを使用して5,000rpmにて10分間撹拌することにより、反応液を液滴化した。
【0046】
液滴の重合
液滴分散を行った後、反応容器に撹拌機を備え付け、窒素気流下において撹拌しながら、65℃で40分間重合反応を行ったところ発熱し、温度が上昇した。発熱終了後、85℃で3時間熟成反応を行った後に冷却を行い、反応液を60目ろ布に通して粗大粒子をろ別してから吸引ろ過を行い、湿ケーキを得た。これを80℃で1日間乾燥し、比較例1の複合微粒子を得た。
【0047】
複合微粒子の性状
レーザー粒子測定器を用いて測定した比較例1の複合微粒子の平均粒子径は9.3μmであった。そして、SEMにより比較例1の複合微粒子を観察した。
図6は、SEMで比較例1の複合微粒子を3,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。実施例1〜3の複合微粒子と比較すると、比較例1の複合微粒子は、有機ポリマー部分に球状シリコン微粒子が存在しているが、表面には露出しておらず、内包された状態であった。
【0048】
微粒子の性状
実施例1〜3、比較例1で製造した微粒子の性状について、表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1および図1〜6より、分散安定剤として水溶性高分子を含むものを用いることにより、球状シリコン微粒子を複合微粒子の表面に露出させることが出来る。
【0051】
化粧料としての評価
下記の配合を行うことにより、油性コンパクトファンデーションを製造した。
カルナバロウ 4.0重量部
固形パラフィン 4.0重量部
セタノール 4.0重量部
ラノリン 7.0重量部
流動パラフィン 6.0重量部
ベヘニルアルコール 4.0重量部
酸化チタン 12.0重量部
酸化鉄 10.0重量部
実施例1の複合微粒子 40.0重量部
セリサイト 8.0重量部
【0052】
下記の配合を行うことにより、パウダーを製造した。
実施例1の複合微粒子 10.0重量部
固形パラフィン 5.0重量部
ワセリン 14.0重量部
流動パラフィン 40.0重量部
グリセリンモノステアレート 2.0重量部
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート 2.0重量部
精製水 24.0重量部
石鹸粉末 0.1重量部
硼砂 0.2重量部
【0053】
下記の配合を行うことにより、ローションを製造した。
(油相)ステアリン酸 2.0重量部
セチルアルコール 1.2重量部
ワセリン 5.0重量部
流動パラフィン 1.0重量部
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 3.0重量部
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸
エステル(4E.O.) 3.0重量部
(水相)プロピレングリコール 4.0重量部
トリエタノールアミン 1.0重量部
精製水 62.0重量部
実施例1の複合微粒子 4.5重量部
酸化チタン 0.2重量部
【0054】
実施例1の複合微粒子に代えて、比較例1の複合微粒子をそれぞれ用い、同様に油性コンパクトファンデーション、パウダー、ローションを調整した。
【0055】
20人のパネラーを用いて、各比較例の化粧料を用いて化粧した場合と比較して、実施例の化粧料を用いて化粧した際に小じわの目立ちにくさを改善できているのか、および自然な仕上がりであるか、および滑り性が優れているかを下記基準で評価した。
◎:16人以上が比較例に対して改善できていると評価した。
○:11〜15人が比較例に対して改善できていると評価した。
△:6〜10人が比較例に対して改善できていると評価した。
×:5人以下が比較例に対して改善できていると評価した。
評価結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
表3より、比較例1の複合微粒子を配合した化粧料に対して、実施例1の複合微粒子を配合した化粧料は、特に滑り性の良さの点で優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】SEMで実施例1の球状シリコン微粒子を10,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。
【図2】SEMで実施例1の複合微粒子を1,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。
【図3】SEMで実施例1の複合微粒子を5,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。
【図4】SEMで実施例2の複合微粒子を2,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。
【図5】SEMで実施例3の複合微粒子を2,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。
【図6】SEMで比較例1の複合微粒子を3,000倍率(二次電子モード)で観察した写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状シリコン微粒子分散液、溶媒、不飽和基を有する重合性単量体、重合開始剤、少なくとも水溶性高分子を含む分散安定剤を混合して反応液を調整する工程と、前記反応液を液滴化する工程と、前記液滴を重合する工程、を含む工程によって合成されることを特徴とする複合微粒子。
【請求項2】
前記水溶性高分子として、ポリビニルアルコールを用いることを特徴とする請求項1記載の複合微粒子。
【請求項3】
前記不飽和基を有する重合性単量体として、不飽和基を1個有する重合性単量体および不飽和基を2個以上有する重合性単量体を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の複合微粒子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の複合微粒子を含有することを特徴とする化粧料。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−53237(P2013−53237A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192328(P2011−192328)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【出願人】(592230542)ガンツ化成株式会社 (38)
【Fターム(参考)】