説明

複合窓

【課題】 外召合框の室内面の部分においても結露水の発生を防止することができ、またクレセント受けの位置調整の構造も簡単なものとなり、さらに木との美観の調和も容易に行うことができる複合窓を提供すること。
【解決手段】 引違窓であって、内障子1が室外側框10と、その室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材11と、前記室外側框10に固着されたガラス12からなり、外障子2が室外側框20と、その外召合框20Cを除き室外側框20の室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材21と、前記室外側框に固着されたガラス22からなっている。そして前記外召合框20Cは、その室内面に結露防止材として合成樹脂のスペーサが取付けられ、結露水の発生を防止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ木複合サッシ等の複合窓に関し、特に結露対策を充実させた複合窓に関する。
【背景技術】
【0002】
障子の室外側をアルミ形材で構成し、室内側をアルミ形材に天然木等の木と複合させた複合窓が従来から知られている。
複合窓は、アルミ形材の耐久性、耐候性に加えて、天然木の質感を感じ取ることができ、室内の家具との調和を図ることができるという特徴がある。
また、室外側のアルミ形材はその熱伝導率は大きいが、室内側の木の熱伝導率が小さく、このような構成から、室内側の暖められた空気が外気で冷されたアルミ形材によって結露することがなく、有効な結露対策を施した断熱サッシとなっている。
【0003】
しかし、従来の多くの複合窓においては、アルミ形材の室内面の全てに天然木等の木が貼られているわけではなく、非特許文献1のように外障子の外召合框が室内側に臨んでいる室内面は、アルミ形材のままであった(図10参照)。
このような複合窓では、前記外召合框の室内面から結露水が発生するという問題点があり、また、外召合框の室内面と木との美観の調和が必要になるという問題もあった。
【0004】
一方、非特許文献2に係る複合窓のように、外障子の外召合框の室内面にも天然木等が配置されている従来例も存在していた(図11参照)。
しかし、外召合框の室内面には、クレセント受けが取付けられるため、木を加工する必要があるが、内外障子の設置調整に伴うクレセント受けの調整部分の加工に手間とコストがかかるという問題点があった。
【非特許文献1】2004−2005住宅ウインドウ商品カタログアルミ複合窓エピソード 2004年9月 YKKAP株式会社
【非特許文献2】サッシ3(丸付数字)ピュアウッド/サーマル2(ローマ数字)総合カタログ 2004年10月 トステム株式会社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願では外召合框の室内面の部分においても結露水の発生を防止することができ、またクレセント受けの位置調整の構造も簡単なものとなり、さらに木との美観の調和も容易に行うことができる複合窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、内障子が室外側框とその室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材と前記室外側框に固着されたガラスからなり、外障子が室外側框とその外召合框を除く室外側框の室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材と前記室外側框に固着されたガラスからなる複合窓において、前記外障子の外召合框の一部であって、且つ、その室内面が結露防止材により形成されていることを特徴とする複合窓とした(請求項1の発明)。
前記結露防止材は、室外側のアルミ形材等の熱伝導率に比較して熱伝導率が小さい材質のものであれば良く、代表例は合成樹脂である。
このような結露防止材は、前記外障子の外召合框に取付けられる室内側框材としてではなく、外召合框の一部として構成されているので、クレセント受けの位置調整の構造も外召合框を使用することで簡単なものとなる。また、結露水の発生を防止することができる。
【0007】
前記結露防止材は合成樹脂であることが望ましい(請求項2の発明)。
合成樹脂の熱伝導率は、アルミ形材等の室外側框に比較して小さく(概ね1/1000程度とされている)、室内の水蒸気を含んだ空気がこの結露防止材に接触しても結露水が発生し難くなることの他、成形が容易等のメリットもある。
【0008】
前記結露防止材は、室内側框材と美観の共通性があることが望ましい。
例えば、室内側框材と同様に木目調に模様、色彩が付けられていたり、室内側框材と略同一の色彩が付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、木等が貼られていない外障子の外召合框の室内面においても結露水の発生を防止することができ、しかもクレセント受けの位置調整の構造も外召合框を使用することで簡単なものとなり、さらに木との美観の調和も容易に行うことができる複合窓を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る複合窓の実施形態を図面に基いて説明する。
図1は複合窓の正面図、図2は同中央断面図、図3は同中央横断面図、図4は複合窓の外障子の斜視図、図5及び図6は複合窓の室外側框に対する室内側框材の取付方法の説明図、図7は複合窓の内外召合框の要部横断面図、図8は複合窓の排水構造の要部を示した切欠斜視図、図9は同排水構造の作用説明図である。
これらの各図において、同一の構成は同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
図1〜図4に図示したように実施形態の複合窓は、引違窓であって、内障子1が室外側框10と、その室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材11と、前記室外側框10に固着されたガラス12からなり、外障子2が室外側框20と、その外召合框20Cを除き室外側框20の室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材21と、前記室外側框20に固着されたガラス22からなっている。
そして前記外召合框20Cは、その室内面に結露防止材として合成樹脂のスペーサ201が取付けられ、結露水の発生を防止している。
なお、前記外召合框20Cの室内面200の一部であって、前記スペーサ201が取付けられていない部分(後述の閉鎖片203)で発生する結露水、前記ガラス12、22の室内面に発生する結露水等は、後述の複合窓の排水構造によって室外に排出される。
【0012】
前記内障子1及び外障子2が共通する構成については、内障子1を外障子2に代表させて説明する。
前記内障子1の室外側框10は上下框10A、10D、戸先框10B及び内召合框10Cから構成され、複層ガラス12がシーリングにより前記室外側框10に納められている。
前記室外側框10の各框10A〜10Dに対して室内側框材11を構成する上下框材及び左右の竪框材11A〜11Dがそれぞれ着脱自在に取付けられている。
即ち、図5に示したように、室外側框10の上下框10A、10Dに対し室内側框材11の上下框材11A、11Dがそれらの裏面に固定されるフック枠部110及び上下框10A、10Dに取付けられた緩衝材6を介して着脱自在に取付けられ、また図6に示したように、戸先框10B及び内召合框10Cに対し、室内側框材11の左右竪框材11B、11Cがそれらの裏面に固定された係合部111及び止着部112を介して着脱自在に取付けられている。
【0013】
図3及び図4に示したように、前記外障子2の外召合框20Cには、室内側框材21の竪框材は取付けられておらず、外召合框20Cそれ自体が戸先框20B及び竪框材21Bと略同一の見付け巾に成形され、前記戸先框20Bの竪框材21Bに対応する室内面200に前記スペーサ201の取付枠202が形成されている。
この取付枠202は、前記排水構造を構成する排水路3の一端側を閉鎖する閉鎖片203と、室内面200を画する室内面片204からなり、これら閉鎖片203と室内面片204とにより前記スペーサ201が圧着されて取付けられ、中空部205が形成されている(図7参照)。
なお、図4には図示されていないが、外召合框20Cの上下端部には蓋が設けられている。
【0014】
前記スペーサ201は塩化ビニル等の合成樹脂で成形され、図7に示したように前記取付枠202に圧着可能な圧着部201aと室内面部201bからなり、外召合框20Cの上下方向に沿って通材により構成されている。
合成樹脂は概ねその熱伝導率が、アルミニウムに比較して小さく(約1/1000程度とされている)、室内の水蒸気を含んだ空気が前記スペーサ201に接触しても結露水が発生し難くなっている。
前記スペーサ201、その他の結露防止材は外召合框20Cの室内面200に接着剤を介して接着してもよい。
【0015】
前記外召合框20Cに取付けられているクレセント受け8は、図3のように、基端部80が室内面片204とその内側の固着片81間に挿入されてネジ等で止着可能になっており、クレセント受け8の位置調整の構造も外召合框20Cを使用することで簡単なものとなっている。
【0016】
前記排水構造は、前記各室外側框10、20を構成する各下框10A、20Aの室内面に沿って配置される排水路3と、この排水路3の少なくとも一端側であって、且つ、前記各室外側框10、20の竪框を構成する戸先框10B、20B又は/及び内召合框10Cに形成された排水開口4と、この排水開口4に通された前記排水路3の端部が前記戸先框10B、20B又は/及び内召合框10Cに臨むことにより形成される排水流下路5から構成されている。
ここでも前記内障子1の排水構造を外障子2の排水構造に代表させて説明する。
【0017】
前記内障子1の排水路3は、前記ガラス12の室内面等で発生して流下してくる結露水を受けるもので、図2及び図8に示したように室外側框10の下框10Aの室内面の上部に沿って取付けられて、室内側框材11の下框材11Aを安定的に取付けるための緩衝材6により構成されている。
該緩衝材6は、室外側框10の戸先框10B及び内召合框10C間に延在する長尺状のもので、前記下框10Aの室内面上部に係止される係止部60と、前記下框材11Aの上部に当接される当接部61と、当接部61の上端から前記係止部60の上端にかけて、カーブが付けられて略L字状に形成された排水部62からなる。
かかる緩衝材6は、防水性を備えていればどのような材質のものでもよく、例えばゴム、塩化ビニル、その他の合成樹脂等から構成されている。
前記緩衝材6は、その係止部60が前記下框10Aの室内面の上部から水平方向に突出して形成されている取付ヒレ10aに圧着され(図9参照)、係止部60の上端60a、即ち、排水部62の下端が下框10Aの室内面の上端10bと略同一の平面をなすように取付けられている。
前記緩衝材6の各端部63はそれぞれ排水開口4から戸先框10B及び内召合框10C(以下、戸先框10B等ともいう)の内側に臨むように配置されている。
なお、前記緩衝材6の各端部63をさらに戸先框10B等の内側に向って延在させ、戸先框10B等の一部に当接させるようにしてよい(図8参照)。
【0018】
前記排水開口4は、前記緩衝材6の結露水等を前記排水流下路5に向けて引入れる開口であって、前記戸先框10Bと竪框材11B間の上下方向に沿って形成される隙間9、内召合框10Cと竪框材11C間の上下方向に沿ってに形成される隙間9を、それぞれ竪框緩衝材10Eにより前記緩衝材6の当接部61の上端に接する位置まで塞ぐことにより形成される(図8参照)。
【0019】
前記排水流下路5は、前記排水開口4から前記緩衝材6の端部63に流れてきた結露水等を木材の竪框材11B等に濡れさせることなく下方に流下させるもので、前記緩衝材6の端部63が臨む戸先框10B等と竪框材11B等の間の隙間9により形成される。
また前記緩衝材6の端部63を戸先框10B等の一部に当接させ、且つ、前記係止部60が前記戸先框10B等の面等に略接するように配置するようにして形成してもよい。
【0020】
前記排水流下路5からの結露水は、後述するように複合窓の下枠に形成された排水孔等を介して室外に排水される(図9参照)。
【0021】
前記外障子2の排水路3、排水開口4及び排水流下路5は、上記内障子1の排水路3、排水開口4及び排水流下路5と略同一に形成されているが、その外召合框20Cには、排水開口4及び排水流下路5が形成されていない。即ち、外障子1の排水路3の一端は外召合框20Cの閉鎖片203によって塞がれているので、ガラス面からの結露水等は排水路3から戸先框20Bの排水開口4に向って流出する。
【0022】
次に図9に基づいて前記排水構造の作用を説明する。
図9の下部図、即ち、要部縦断面図に示したように、前記内障子1のガラス面に発生した結露水等は、前記ガラス12の室内面の下端のシール部12Aから緩衝材6に流下し、左右何れかの排水開口4に流下する。
その際、前記緩衝材6の当接部61が下框材11Aに対する堤防となり、天然木等の結露水の影響を避けることができる。
図9の上部図、即ち、要部横断面図に示したように、前記排水開口4から流下する結露水等は、前記緩衝材6の一端側から排水流下路5となる前記戸先框10Bの側面に導かれて下方に流下する。
そして、図9の下部図のように、下枠、レールなどに形成された排水孔から外部に排出される。
【0023】
以上のように構成された複合窓では、次のように効果を奏する。
1. 天然木等の木材の室内側框材が取り付けられていない外障子の外召合框にも、結露対策が講じられている構成となっている。即ち、外障子の外召合框の一部であっても前記スペーサ201により結露水の発生を未然に防ぐ工夫が施されている。また、前記外召合框20Cの室内面200であって前記閉鎖片203の室内面で発生する結露水は排水路3により排水される。
2. 前記スペーサ201を内外障子1、2の各框材の色彩に統一したり、さらに内外障子1、2の各框材と同様な木目模様とすることで、内外障子1、2の全体的な美観の共通性を図ることができる。
3. 傷が付き易い天然木等の室内側框材11の各框材11A〜11Dが全て交換可能になっている。
4. ガラス12は室外側框10に固着されているのでガラス12を外さずに室内側框材11の各框材11A〜11Dを交換できる。
5. 前記上下框材11A、11Dの裏面に固定されるフック枠部110を利用し、また左右框材11B、11Cの裏面に固定された係合部111及び止着部112を利用することにより、アルミ形材の室外側框10と木材の室内側框材11間に隙間9を形成することができ、断熱性能の向上が図られている。
6. 室内側框材11の各框材11A〜11Dがそれぞれ隣接する突合部は「あいじゃくり」となっており、各隣接個所に隙間ができてもその裏側が見えないようになっている。
7. 上下框材11A、11Dの端部を斜め加工とすることで左右の竪框材11B、11Cとの隙間を目立たないようにしている、等の特徴を備えている。
8. 排水構造において緩衝材6を排水路に兼用させることで、ガラスビードによるガラス納めの複合窓に加え、特にシーリングによるガラス納めの複合窓に適した排水構造となっている。
9. 前記緩衝材6の当接部61が天然木等の下框材に対する保護部となり、天然木等の結露水の影響を避けることができる。
10. 前記緩衝材6の端部63の排水部62が前記戸先框10B等の竪框の側面等に接触している場合には、結露水が竪框に導かれて下方に流下することから、天然木等に対する結露水の影響を避けることができると共に、迅速に排水させることができる。
【0024】
上記実施形態では排水路3として緩衝材6を用いたが、この緩衝材6に兼用させることなく緩衝材と同様なアタッチ材を排水路3としてもよい。
【0025】
上記実施形態では、内外障子からなる引違窓の構成例を説明したが、これに限定されるものではなく上げ下げ窓等でもよい。
前記各障子1、2の各ガラス12、22は複層ガラスが用いられているが、これに限定されるものではなく単体のガラス板でもよい。
また、前記複層ガラス12、22は室外側框10、20にシーリングされているが、ガラスビードを用いるガラス納めでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】複合窓の正面図、
【図2】図2は同中央断面図、
【図3】図3は同中央横断面図、
【図4】複合窓の外障子の斜視図、
【図5】複合窓の室外側框に対する室内側框材の取付方法の説明図、
【図6】複合窓の室外側框に対する室内側框材の取付方法の説明図、
【図7】複合窓の内外召合框の要部横断面図、
【図8】複合窓の排水構造の要部を示した切欠斜視図、
【図9】同排水構造の作用説明図、
【図10】従来の複合窓の中央横断面図、
【図11】従来の複合窓の中央横断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 内障子 10 室外側框
11 室内側框材 12 ガラス
10A 下框 10B 戸先框
10C 内召合框 10D 上框
10a 取付ヒレ 10b 上端
11A〜11D 各框材
2 外障子 20 室外側框
21 室内側框材 22 ガラス
20A 下框 20B 戸先框
20C 外召合框
3 排水路
4 排水開口
5 排水流下路
6 緩衝材 60 係止部
61 当接部 62 排水部
60a 上端 63 端部
7 クレセント
8 クレセント受け 80 基端部
81 固着片

9 隙間
110 フック枠部 111 係合部
112 止着部

200 室内面 201 スペーサ
202 取付枠 203 閉鎖片
204 室内面片 205 中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内障子が室外側框とその室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材と前記室外側框に固着されたガラスからなり、外障子が室外側框とその外召合框を除く室外側框の室内側面に取付けられた天然木等の木材の室内側框材と前記室外側框に固着されたガラスからなる複合窓において、
前記外障子の外召合框の一部であって、且つ、その室内面が結露防止材により形成されていることを特徴とする複合窓。
【請求項2】
前記結露防止材は合成樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合窓。
【請求項3】
前記結露防止材は、室内側框材との美観の共通性を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−132041(P2007−132041A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324795(P2005−324795)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】