説明

角度検出装置及びその検出装置を備えた像振れ補正装置

【課題】反射型の光センサを用い、像振れ補正用の頂角プリズムその他の揺動部材の角度検出を高精度に行えるようにする。
【解決手段】支点部36を中心として正逆に揺動可能な頂角プリズム33を含む揺動部材と、揺動部材を揺動可能に保持する固定フレーム34と、曲面状の反射面81,82を有して揺動部材の部位に固定された測距用反射部8と、反射面81,82に向けて光を投射すると共に反射面81,82からの反射光を受けて揺動部材の揺動角に対応する信号を出力する角度センサ4a,4bとを備える。角度センサ4a,4bは反射型の光センサであり、測距用反射部8の反射面81,82は、揺動部材の角変位量に対して角度センサ4a,4bとの距離が一定の比率で変化するよう形状設定されるか、あるいは揺動部材の角変位量に対して角度センサ4a,4bの出力が一定の比率で変化するよう形状設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は角度検出装置に係わり、特に撮影レンズを透して撮像素子に被写体像を結像する撮像光学系において、被写体像の振れを補正するべく揺動される頂角プリズムの揺動角検出に用いて好適な角度検出装置と、これを備えた像振れ補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画や静止画を撮影するカメラなどの撮像光学系において、撮像素子に結像される被写体像の振れを補正するべく、撮影レンズの光軸方向に沿って3つの頂角プリズムを並べ、このうち2つを光軸に平行な軸線回りに頂角の向きが可変とされる揺動可能な可動プリズムとし、それらの揺動による光束偏向により撮影者の手振れなどに起因する被写体像の振れを補正できるようにした像振れ補正装置が知られている。
【0003】
ここに、その種の像振れ補正装置では、揺動可能な頂角プリズム(可動プリズム)をマグネットと駆動コイルとにより構成される磁気回路の電磁力によって揺動させることが通例であるところ、可動プリズムの角度検出には磁気回路を構成するマグネットの磁気を検出するホール素子(磁気センサ)が用いられ、これによる磁電変換作用により可動プリズムの角度検出を行うようにしている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−93124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、可動プリズムの角度検出に磁気センサ(主としてホール素子)を用いるものによれば、可動プリズムに一体として組み付けられるマグネットの磁束だけでなく、そのマグネットと共に駆動用磁気回路を構成する固定側の駆動コイルによる磁束がホール素子に作用し、そのホール素子による高精度な角度検出に影響を及ぼす虞があった。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は反射型の光センサを用い、像振れ補正用の頂角プリズムその他の揺動部材の角度検出を高精度に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、
支点部35,36を中心として正逆に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を揺動可能に保持する固定フレーム34と、
曲面状の反射面81を有して前記揺動部材の部位に固設された測距用反射部8と、
反射面81に向けて光を投射すると共に反射面81からの反射光を受けて前記揺動部材の揺動角に対応する信号を出力する角度センサ4a,4bとを備え、
角度センサ4a,4bは、測距用反射部8の反射面81に対向する位置で固定フレーム34に取り付けられた反射型の光センサであり、
測距用反射部8の反射面81は、前記揺動部材の角変位量に対して角度センサ4a,4bから投射される光の経路上での角度センサ4a,4bとの距離が一定の比率で変化するよう形状設定されていることを特徴とする角度検出装置を提供する。
【0008】
尚、反射面81には、支点部35,36を基準円の中心とするインボリュート曲線あるいはサイクロイド曲線に沿う輪郭を有する曲面が適用される。
【0009】
又、本発明は、
支点部35,36を中心として正逆に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を揺動可能に保持する固定フレーム34と、
曲面状の反射面82を有して前記揺動部材の部位に固設された測距用反射部8と、
反射面82に向けて光を投射すると共に反射面82からの反射光を受けて前記揺動部材の揺動角に対応する信号を出力する角度センサ4a,4bとを備え、
角度センサ4a,4bは、測距用反射部8に対向する位置で固定フレーム34に取り付けられた反射型の光センサであり、
測距用反射部8の反射面82は、前記揺動部材の角変位量に対して角度センサ4a,4bの出力が一定の比率で変化するよう形状設定されていることを特徴とする角度検出装置を提供する。
【0010】
加えて、前記揺動部材は、撮影レンズ21,22,23の光軸k上にあって、頂角の向きが光軸kに平行する支点部35,36の軸線回りに変化させられる頂角プリズム32,33を有し、
測距用反射部8と角度センサ4a,4bは、支点部35,36の軸線に直交する方向で対向配置されていることを特徴とする角度検出装置を備えた像振れ補正装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る角度検出装置によれば、揺動部材を揺動可能に保持する固定フレームに角度センサ(反射型光センサ)が固定され、揺動部材にはその角変位量に対して光センサとの距離が一定の比率で変化するよう形状設定された反射面を有する測距用反射部が固設されることから、光センサの出力に基づいて反射面までの距離を検知し、その距離に対応する揺動部材の揺動角を迅速かつ正確に検出することができる。
【0012】
更に、反射面の形状が、揺動部材の揺動中心を基準円の中心とするインボリュート曲線あるいはサイクロイド曲線に沿う輪郭を有する曲面とされる態様では、反射面と光センサとの距離を揺動部材の角変位量に対して誤差なく定率変化させることができ、しかもインボリュート曲面型では既存の工具を用いて容易に形成することができる。
【0013】
又、揺動部材の角変位量に対してセンサ出力が一定の比率で変化するよう形状設定された反射面では、光センサの出力特性に合わせた高精度の角度検出が可能となる。
【0014】
加えて、揺動部材が撮影レンズの光軸に平行な軸線回りに揺動する撮像光学系像触れ補正用の頂角プリズムを有するものであって、測距用反射部と光センサが頂角プリズムの揺動軸線に直交する方向で対向配置されているものでは、角度検出用の光が頂角プリズムを透過して撮像光学系に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の適用例として像振れ補正機能を有する撮像装置を示す構成図
【図2】像振れ補正装置を構成する頂角プリズムの斜視分解図
【図3】像振れ補正装置の縦断面図
【図4】本発明に係る角度検出装置を像振れ補正装置に適用した例を示す説明図
【図5】測距用反射部と角度センサの配置部分を示す部分拡大図
【図6】頂角プリズムが正側に揺動された状態を示す説明図
【図7】頂角プリズムが負側に揺動された状態を示す説明図
【図8】本発明に係る角度検出装置を構成する測距用反射部の実施形態を示す拡大図
【図9】角度センサの出力特性の一例を示すグラフ
【図10】測距用反射部の反射面の変形例を示す部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき本発明に係る角度検出装置の一実施形態を説明する。先ず、図1に本発明に係る角度検出装置の適用例として、像振れ補正機能を有する撮像装置(例えば、ビデオカメラ)を示す。
【0017】
図1において、1はカメラ本体、2はカメラ本体1に含まれるレンズ鏡筒であり、そのレンズ鏡筒2内には撮影レンズとして、前玉レンズ21、変倍レンズ22、及びフォーカスレンズ23などが配置されている。このうち、変倍レンズ22とフォーカスレンズ23は、各々その光軸k方向に移動可能とされており、その両者22,23の間には透過光量を調整するためのアイリス24が設けられている。又、フォーカスレンズ23の後方には、当該フォーカスレンズ23により結像される光像(被写体像)を光電変換する撮像素子25が設けられている。
【0018】
一方、レンズ鏡筒2の一端(被写体側)には、撮影者の手振れなどに起因する像振れを補正するための像振れ補正装置3が装着されている。この像振れ補正装置3は、上記撮影レンズ(前玉レンズ21、変倍レンズ22、フォーカスレンズ23など)の光軸k方向に沿って配列する3つの頂角プリズム31,32,33を具備してなるものであり、その一つ31は固定部材として筒状の固定フレーム34の枠体34a(図3参照)に固定され、他の二つ32,33は揺動部材の主要構成体として縁枠32a,33aと共に固定フレーム34にて揺動可能に保持されている。特に、固定フレーム34には、光軸kに平行する二つの支軸35,36(支点部)が設けられており、その支軸35,36を中心に頂角プリズム32,33および縁枠32a,33aが光軸kと直交する面内で正逆に揺動可能とされている。
【0019】
図1において、37,38は揺動部材としての頂角プリズム32,33を揺動させるための駆動コイルであり、この駆動コイル37,38は支軸35,36に近接して固定フレーム34に取り付けられている。又、頂角プリズム32,33の縁枠32a,33aには、駆動コイル37,38に対応してその内側となる位置にそれぞれヨーク32b,33bを介して磁石32c,33cが固設されている。更に、固定フレーム34には、頂角プリズム32,33に対応してその揺動角を検出するための角度センサ4a,4bが設けられている。そして、係る像振れ補正装置3によれば、角度センサ4a,4bにより頂角プリズム32,33の揺動角を検出しながら、駆動コイル37,38に駆動電流を供給することにより、頂角プリズム32,33を正逆に揺動せしめて撮影者の手振れなどに起因する像振れ(撮像素子25に結像される被写体像の振れ)を補正することができる。尚、頂角プリズム32,33の揺動により像振れが補正される原理については、特許文献1などに記載されるよう公知であるから、ここでの説明を省略する。
【0020】
ここに、カメラ本体1には、その縦振れ量(図1の上下方向の振れ量)を検出するための振動センサ5a、カメラ本体1の横振れ量(図1の図示面直角方向の振れ量)を検出するための振動センサ5b、それら振動センサ5a,5bや角度センサ4a,4bから検出信号が入力される制御部6(CPU)、及び制御部6からの制御信号に基づいて駆動コイル37,38への通電量を制御するプリズム駆動回路7が内蔵され、これによりカメラ本体1の縦振れ量および横振れ量に応じて頂角プリズム32,33の揺動角変位が行なわれ、以って像振れの補正が可能とされている。
【0021】
次に、像振れ補正装置3の構造を詳述すると、上記頂角プリズム31,32,33はいずれもガラスや合成樹脂から形成される透明な光束偏向用光学部品であり、図2から明らかなように各々その頂角側が薄く、頂角とは反対側が厚い偏平な板状とされている。このうち、固定部材としての頂角プリズム31は、その頂角が被写体側からみて例えば左下に向けられた状態で固定される。
【0022】
又、揺動部材としての頂角プリズム32,33は、それぞれ頂角がY軸方向(上下方向)とX軸方向(水平方向)に向けられた状態を初期位置として、その頂角の向きが支軸35,36の軸線回りに変化するよう支軸35,36を中心に正逆に揺動可能とされている。加えて、頂角プリズム32,33は、各々その外周部に固定される縁枠32a,33aを含み、その縁枠32a,33aを介して上記固定フレーム34に揺動可能に保持される。
【0023】
図2および図3から明らかなように、縁枠32a,33aは頂角プリズム32,33を抱き込むC字形の腕部32a,33aと、その腕部32a,33aの中央部分に一体的に連なる円筒状のボス部32a,33aとを有する。そして、そのボス部32a,33a内に軸受32d,33dが嵌合され、その軸受32d,33dに揺動中心となる支軸35,36が通される構成とされている。
【0024】
尚、上記ヨーク32b,33bは、ボス部32a,33aの外周に接着剤などにて固着されており、そのヨーク32b,33bの外周に磁石32c,33cが固着されている。特に、磁石32c,33cは、頂角プリズム32,33の揺動方向一端側の表面磁極がN極、他端側の表面磁極がS極とされている。又、ボス部32a,33aの各一端には、図3に示されるよう座板32e,33eが取り付けられており、その座板32e,33eに後述する測距用反射部が取り付けられる構成とされている。
【0025】
一方、図3から明らかなように、固定フレーム34は、着脱自在な前後一対の枠体34a,34bを有する筒形であり、その両者34a,34bの間に二つの小片状の蓋部材34c,34dが相対向して装着される構成とされている。そして、それら蓋部材34c,34dに駆動コイル37,38が固定され、その駆動コイル37,38により磁石32c,33cが取り囲まれるようになっている。特に、蓋部材34c,34dには、上記測距用反射部に近接して、それぞれ上記角度センサ4a,4b(図2、図3には示されない)が取り付けられ、それら角度センサ4a,4bにより頂角プリズム32,33の揺動角が検出可能とされている。すなわち、角度センサ4a,4bと、これに対応する測距用反射部は、本発明に係る角度検出装置を構成する。尚、頂角プリズム32の揺動角を検出する角度検出装置と、頂角プリズム33の揺動角を検出する角度検出装置は、いずれも同一の構成であるから、以下ではその一方(頂角プリズム33に対応する角度検出装置)のみ図示してその構成を説明する。
【0026】
図4において、8は上記の測距用反射部であり、その外周部分は例えばアルミニウム材料からなる鏡面仕上げされた反射面81とされている。特に、反射面81は角度センサ4bの出力特性に対応して形状設定されるものであり、本例ではその形状が支軸36を基準円の中心とするインボリュート曲線に沿う輪郭を有する凸面状の曲面(インボリュート曲面)とされている。尚、測距用反射部8は支軸36に隣接して座板33eに固定され、その反射面81は支軸36の軸線に対して平行している。
【0027】
一方、角度センサ4bは、測距用反射部8の反射面81に対向して固定フレーム34の蓋部材34dに取り付けられている。蓋部材34dには固定フレーム34の内側に向けて延びるアーム部材34dが一体に形成されており、そのアーム部材34dの先端に角度センサ4bが固定されている。ここに、係る角度センサ4bは、反射面81に向けて光を投射する図示せぬ発光素子と反射面81からの反射光を受ける受光素子とを備える反射型の光センサであり、測距用反射部8とは支軸36の軸線に直交する方向で対向している。したがって、反射面81に投射される角度センサ4bからの光が頂角プリズム33を透過せず、これにより図1に示した撮像素子25に結像される被写体像への影響が防止可能とされている。
【0028】
そして、上記のような角度検出装置によれば、角度センサ4bと反射面81との距離、詳しくは、図5のように角度センサ4bから投射される光の経路上での角度センサ4bと反射面81との距離Rから頂角プリズム33の揺動角を正確に検出することができる。
【0029】
ここに、本例によれば、頂角プリズムが図4に示す初期位置にあって、図4の反時計回りを正(+)の揺動、時計回りを負(−)の揺動とし、頂角プリズム33を図6のように正側に揺動させた場合に角度センタ4bと反射面81との距離Rが大きくなり、逆に頂角プリズム33を図7のように負側に揺動させた場合に角度センサ4bと反射面81との距離Rが小さくなるようにしてある。特に、本例によれば、反射面81が上記のようなインボリュート曲面とされていることから、頂角プリズム33の角変位量に対して角度センサ4bと反射面81との距離Rが一定の比率で変化する。
【0030】
具体的には、図8のように頂角プリズムが正逆に角度αずつ揺動するとき、角度センサと反射面81との距離R−3、R−2、R−1、R、R、R、Rが定量ずつ増減する。例えば、頂角プリズム33が図4に示す初期位置にあるときの角度センサ4bと反射面81との距離Rを1mmとして、頂角プリズム33を正逆に1度ずつ揺動させた場合、下表1に示すよう角度センサ4bと反射面81との距離が例えば0.1mmずつ増減することとなる。尚、頂角プリズム33の角変位量に対して角度センサ4bと反射面81との距離が一定の比率で変化するような反射面81の形状には、上記のようなインボリュート曲面のほか、サイクロイド曲面(支軸36を基礎円の中心とするサイクロイド曲線に沿う曲面)が挙げられる。
【0031】
【表1】

そして、上記のような角度検出装置によれば、角度センサ4bの出力(相対光電流)に基づいて反射面81までの距離を検知し、その距離に対応する頂角プリズム33の揺動角を検出しながら、その出力を図1に示した制御部6にフィードバックして頂角プリズム33の角変位量を制御することができる。
【0032】
尚、上記のように、頂角プリズム33の角変位量に対して角度センサ4bと反射面81との距離が一定の比率で変化する場合において、角度センサ4bの出力が反射面81との距離に応じて一定の比率で変化するのであれば、複雑な演算を行わずして頂角プリズム33の動作制御を高速で行うことができるものの、角度センサ4bとして用いられる汎用の反射型光センサは、一般にその出力が距離に応じて一定の比率で変化せず、例えば図9に示されるような出力特性(距離−相対光電流特性)を有するものであるから、その種のセンサが用いられた場合に角度検出に時間がかかることが懸念される。
【0033】
すなわち、角度センサ4bとして、図9のような出力特性を有する反射型光センサが用いられる場合、その出力特性を現す曲線Cの近似式を図1に示す制御部6の記憶領域に格納しておけば、角度センサ4bの出力(相対光電流)から反射面81までの距離を算定し、その距離に対応する頂角プリズム33の揺動角を導き出すことができるが、これでは演算処理にかかる時間に起因して制御動作が遅延し、適正な像振れ補正が行えなくなる虞がある。
【0034】
そこで、本発明は他の実施形態として、角度センサ4bに対向する反射面の曲面形状を工夫し、頂角プリズム33の角変位量に対して角度センサ4bの出力が一定の比率で変化するようにしている。具体的には、角度センサ4bとして、図9に示されるような曲線Cで現される出力特性を有する反射型光センサが用いられる場合、測距用反射部8には、図10に示されるような形状の反射面82を有するものが用いられる。
【0035】
図9および図10を基に反射面82の説明をすれば、係る反射面82は、図9に示されるような出力特性を有する角度センサ4bに対応し、例えば頂角プリズム33が初期位置(角変位量=0)にあるときの角度センサ4bとの距離が1.5mm、頂角プリズム33が正側に10度揺動したときの角度センサ4bとの距離が3.0mm、頂角プリズム33が負側に10度揺動したときの角度センサ4bとの距離が1.0mmとなるような形状に設定される。つまり、反射面82は、頂角プリズム33の角変位量に対して角度センサ4bの出力が図9に示される直線Lに沿って一定の比率で変化するよう、角度センサ4bとの距離が、頂角プリズム33の角度αに対応する直線L上の相対向電流Ldと同じ値の曲線C上での相対向電流Cdに対応するD(mm)となるような形状に設定される。
【0036】
そして、このような形状の反射面82によれば、頂角プリズム33の角変位量に対して角度センサ4bの出力を図9の直線Lの如く一定の比率で変化させることができるので、複雑な演算を行わずして角度センサ4bの出力に対応する頂角プリズム33の角度を正確に検出し、その揺動制御を高速で行なうことが可能となる。尚、係る反射面82によれば、角度センサ4bからの光が直角に入射しないものの、その入射角は大きく、しかも角度センサ4bとの距離は極短い範囲内で変化するだけであるから、角度センサ4bによる受光量の低減による検出誤差は許容範囲内に収めることができる。
【0037】
以上、本発明に係る角度検出装置の実施形態を説明したが、反射面81,82は凸曲面とされることに限らず、凹曲面でもよい。更に、測距用反射部8は、揺動部材と別部材とされることに限らず、揺動部材と一体に形成されるものでもよい。又、上記例では像振れ補正装置を構成する頂角プリズムへの適用例を説明したが、本発明に係る角度検出装置は、頂角プリズム32,33に限らず、その他の揺動部材の角度検出にも好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
21 前玉レンズ(撮影レンズ)
22 変倍レンズ(撮影レンズ)
23 フォーカスレンズ(撮影レンズ)
32,33 頂角プリズム(揺動部材)
34 固定フレーム
35,36 支軸(支点部)
4a,4b 角度センサ(反射型光センサ)
8 測距用反射部
81,82 反射面
k 撮影レンズの光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支点部を中心として正逆に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を揺動可能に保持する固定フレームと、
曲面状の反射面を有して前記揺動部材の部位に固設された測距用反射部と、
前記反射面に向けて光を投射すると共に前記反射面からの反射光を受けて前記揺動部材の揺動角に対応する信号を出力する角度センサとを備え、
前記角度センサは、前記測距用反射部の反射面に対向する位置で前記固定フレームに取り付けられた反射型の光センサであり、
前記測距用反射部の反射面は、前記揺動部材の角変位量に対して前記角度センサから投射される光の経路上での前記角度センサとの距離が一定の比率で変化するよう形状設定されていることを特徴とする角度検出装置。
【請求項2】
支点部を中心として正逆に揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材を揺動可能に保持する固定フレームと、
曲面状の反射面を有して前記揺動部材の部位に固設された測距用反射部と、
前記反射面に向けて光を投射すると共に前記反射面からの反射光を受けて前記揺動部材の揺動角に対応する信号を出力する角度センサとを備え、
前記角度センサは、前記測距用反射部に対向する位置で前記固定フレームに取り付けられた反射型の光センサであり、
前記測距用反射部の反射面は、前記揺動部材の角変位量に対して前記角度センサの出力が一定の比率で変化するよう形状設定されていることを特徴とする角度検出装置。
【請求項3】
前記反射面は、前記支点部を基準円の中心とするインボリュート曲線あるいはサイクロイド曲線に沿う輪郭を有する曲面であることを特徴とする請求項1記載の角度検出装置。
【請求項4】
前記揺動部材は、撮影レンズの光軸上にあって、頂角の向きが前記光軸に平行する前記支点部の軸線回りに変化させられる頂角プリズムを有し、
前記測距用反射部と前記角度センサは、前記支点部の軸線に直交する方向で対向配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の角度検出装置を備えた像振れ補正装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−150056(P2011−150056A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9852(P2010−9852)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)