説明

触媒機能を有する物質を担持する木質系材料及び施工方法

【課題】 気化有機物による室内環境汚染を防止するため、注入よりも簡易な方法で、光触媒等雰囲気中の有機物を分解する機能を持つ物質を担持させた木質系材料を開発する。
【解決手段】
浸漬、塗布或いは噴霧によって木質系材料の表面及び/又は表層に光触媒等雰囲気中の有機物を分解する機能を持つ物質を担持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雰囲気中の有機物の分解に対して活性を有する木質系材料及び施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有害な気化有機物による屋内外環境汚染の問題が深刻化する中、光触媒による該有機物の分解作用が注目され、更に最近では光を必要としない触媒の開発もあって、各方面において実用化に向けた検討が活発化している。本発明者らは先に光触媒を注入した加工木材及び木材加工品の発明(特許第2920229号)を行ったが、近時更に塗装を主体とした簡易な方法によって同様の効果を有する木質系材料を得ることが可能なことを見出し、表面若しくは表層に触媒機能を有する物質を担持させた木質系材料を開発するに至った。
【特許文献1】 特許第2920229号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光触媒の注入に代わる、より簡易な方法で有害な気化有機物の分解作用を付与した木質系材料及び関連施工方法を開発する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、塗装を主体とした以下のごとき発明を行った。
(1)屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
(2)屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系合板又は木質系ボード。
(3)屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材、木質系建築外装材及び木質系家具。
(4)含水率2〜18%、好ましくは6〜8%とした加工木材又は木材加工品を、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
(5)含水率2〜18%、好ましくは8〜12%とした加工木材又は木材加工品に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
(6)含水率2〜18%、好ましくは8〜12%とした木質系合板又は木質系ボードを、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを該木質系合板又は木質系ボードに塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系合板又は木質系ボード。
(7)含水率20%以下、好ましくは18%以下とした木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材又は木質系建築外装材。
(8)含水率2〜18%、好ましくは6〜12%とした加工木材又は木材加工品に圧力を加え、表面を0.1〜1.5mm程度深さ方向に圧縮したものを、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面に及び/又は表層担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
(9)含水率2〜18%、好ましくは6〜12%とした木質系建築内装材又は木質系建築外装材に圧力を加え、表面を0.1〜1.5mm程度深さ方向に圧縮したものを、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材又は木質系建築外装材。
(10)含水率2〜18%、好ましくは8〜12%以下とした加工木材又は木材加工品に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
(11)含水率2〜18%、好ましくは8〜12%以下とした木質系合板又は木質系ボードに、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系合板又は木質系ボード。
(12)含水率18%以下、好ましくは12%以下とした木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具。
(13)既設建造物等に固定された状態にある加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系ボード、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に対し、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つを塗布及び/又は噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする施工方法。
(14)(1)〜(12)記載の、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒が光触媒、リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒であるか、若しくは前記各物質のうち少なくも一つを含むものであることを特徴とする加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系ボード、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具。
(15)(13)記載の、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質が光触媒及び/又はリン酸チタニア及び/又は酸化鉄及び/又は電荷移動型触媒であるか、若しくは前記各物質のうち少なくも一つを含むものであることを特徴とする施工方法。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、アルデヒド等の有害な気化有機物の分解作用を有する加工木材等、特に建築内装材の適用範囲が拡大し、シックハウス症候群等の予防に対する寄与が期待される
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第1の実施形態:第1の実施形態は、(1)〜(3)及び(14)に述べた如く、注入に代えて、加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系ボード、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具の表面及び/又は表層に、揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を担持させるものである。該触媒機能を有する物質は目的に適したものであれば特に制約されるものではないが、通常は光触媒、リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒のうち少なくも一つを含むものが用いられる。リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒は光の作用なしで触媒機能が発現することから、一般に無光触媒と呼ばれる。
【0007】
第2の実施形態:第2の実施形態は、(4)〜(7)及び(14)に述べた如く、含水率を調整した加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系ボード、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具を、揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つ、好ましくは水性懸濁液若しくは水性型塗料に浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つをハケ塗り又は/及びスプレーすることによって、表面及び/又は表層に該触媒機能を有する物質を担持させるものである。水性懸濁液若しくは水性型塗料を使用する場合、下地の含水率は低いほどよいが、実用的には2〜18%であれば差し支えなく、乾燥処理のエネルギー等を考慮した場合には8〜12%、更に好ましくは8%程度に調整される。下地の含水率が低いほど該懸濁液若しくは塗料の浸透深さは増大するので、実施時の含水率は表面損傷等の可能性にも配慮して決定される。合板の場合には、含水率は若干高くても浸透深さに対する影響は大きくなく、通常は平衡含水率(10〜12%)の状態で塗装される。浸漬は通常対象物の全面に対して施し、これによって処理対象物の乾燥・収縮による変形を軽減させる。該触媒機能を有する物質は、目的に適したものであれば特に限定されるものではないが、通常は光触媒、リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒のうち少なくも一つを含むものが用いられる。
【0008】
第3の実施形態:第3の実施形態は、(8)、(9)及び(14)に述べた如く、含水率を調整した加工木材、木材加工品、木質系建築内装材又は木質系建築外装材表面を加圧し、潰し加工した後、揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つをハケ塗り又は/及びスプレーすることによって、表面含浸の均一化を図るものである。加圧方法は特に限定されないが、通常はローラーによる方法が使用される。該触媒機能を有する物質は目的に適したものであれば特に限定されるものではないが、通常は光触媒、リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒のうち少なくも一つを含むものが用いられる。
【0009】
第5の実施形態:第5の実施形態は、(10)〜(12)及び(14)に述べたごとく、含水率を調整した加工木材、木材加工品、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具の表面に、揮発性有機物を分解する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つ、好ましくは水性型塗料によるハケ塗り及び/又はスプレー塗装を行うことによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させるものである。該触媒機能を有する物質、例えば光触媒の活性には種種のグレードがあり、通常は木質に対して過酷な作用を持たぬものが選択されるが、必要があれば下地木質に悪影響を及ぼすことを防ぐため、プライマー処理を行う。該触媒機能を有する物質は目的に適したものであれば特に限定されるものではないが、通常は光触媒、リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒のうち少なくも一つを含むものが用いられる。
【0010】
第6の実施形態: 第6の実施形態は、(13)及び(15)に述べた如く、既設建造物等に固定された状態にある加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に対し、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つ、好ましくは水性型塗料によるハケ塗り及び/又はスプレー塗装を行うことによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させる施工方法である。通常は水性型塗料が使用されるが、木質系材料の表面密度が高く、導管・仮導管が閉塞状態にある等の場合には、溶剤型塗料が使用される。この場合には、揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質が表面及び/又は表層に定着する過程で塗料中の溶剤自体が揮発性有機物となるため、施工後に十分な時間と通風とにより溶剤開放を行う必要がある。
【実施例】
【0011】
実施例1:含水率10%に乾燥した杉材(幅10cm×高さ10cm×厚さ1cm)を常温常圧下で光触媒懸濁液(酸化チタン粉末1wt%を含む)に5分間浸漬した後自然乾燥して含水率約12%とし、これを5cm角に裁断して試験体とした。別に4種の臭気源(a.タバコ吸殻3本分、b.猫尿5ml、c.市販ナチュラルチーズ5×4×0.5cm、d.薬用ホルマリン5ml)を用意し、各々を容積2lのポリエチレン袋に30分間封入した後内部の気体のみを各々容積2lのガラス容器に該試験体1と共に封入・密閉した。これを各臭気について3個作成し、各1個をそれぞれ A:「遮光」、B:「家庭用蛍光灯60w照射」、C:「屋内で入射太陽光に暴露」の条件下に1時間静置した後、容器内の臭気の残留状態を官能検査により比較した。その結果、A条件では4種の臭気とも残留、B条件ではb臭気のみが残留、C条件ではすべての臭気が感知されなかった。
【0012】
実施例2: ヒノキ材(細胞構造が緻密で気体を吸着し難い樹種)を含水率10%に乾燥し、幅10cm×高さ10cm×厚さ3mmの板状に切断して、これを実施例1と同じ光触媒懸濁液に常温・常圧下で5分間浸漬した後、自然乾燥して含水率10%としたものを検体とした。対象臭気モデルとしてメチルメルカプタン(ペット臭)及び硫化水素(光触媒により分解され難いとされるもの)を選び、財団法人日本食品センターに依頼して、公的基準に準拠した脱臭効果試験を行った。試験はにおい袋にメチルメルカプタンについては約50ml、硫化水素については約100mlを入れ、これに検体各1を加えてヒートシールしたものに空気3lを封入し、室温で検体中心部の強度が約1mw/cmになるよう紫外線照射を行い、所定時間経過後の残留ガス量を測定した。測定はガス検知管により行われ、結果は表1及び表2の通りである。なお、表中の対照品は通常のヒノキ材を検体と同様寸法に加工したものを、空試験はガスのみを使用したものである。(財団法人日本食品分析センター検査報告第506040552−001号:平成18年5月19日)
【表1】

【表2】

この結果は浸漬塗装により光触媒を担持したヒノキ材の脱臭効果、特にメチルメルカプタンに対する有効性を示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は先の注入による方法に比べてより簡易であって、コストの低減と共に適用範囲も拡大されるので、室内環境の汚染防止に広い応用が期待され、更には低品位木材の高付加価値化による地域林業の活性化・森林整備の促進にも繋がるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
【請求項2】
屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系合板又は木質系ボード。
【請求項3】
屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材、木質系建築外装材及び木質系家具。
【請求項4】
含水率2〜18%、好ましくは6〜8%とした加工木材又は木材加工品を、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
【請求項5】
含水率2〜18%、好ましくは8〜12%とした加工木材又は木材加工品に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうち少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
【請求項6】
含水率2〜18%、好ましくは8〜12%とした木質系合板又は木質系ボードを、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを該木質系合板又は木質系ボードに塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系合板又は木質系ボード。
【請求項7】
含水率20%以下、好ましくは18%以下とした木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材又は木質系建築外装材。
【請求項8】
含水率2〜18%、好ましくは6〜12%とした加工木材又は木材加工品に圧力を加え、表面を0.1〜1.5mm程度深さ方向に圧縮したものを、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面に及び/又は表層担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
【請求項9】
含水率2〜18%、好ましくは6〜12%とした木質系建築内装材又は木質系建築外装材に圧力を加え、表面を0.1〜1.5mm程度深さ方向に圧縮したものを、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材又は木質系建築外装材。
【請求項10】
含水率2〜18%、好ましくは8〜12%以下とした加工木材又は木材加工品に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする加工木材又は木材加工品。
【請求項11】
含水率2〜18%、好ましくは8〜12%以下とした木質系合板又は木質系ボードに、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系合板又は木質系ボード。
【請求項12】
含水率18%以下、好ましくは12%以下とした木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒の作用に耐久性を有するプライマー塗装を施し、その上に、該触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つに浸漬後引き上げて乾燥するか、又はこれらのうちの少なくも一つを塗布又は/及び噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具。
【請求項13】
既設建造物等に固定された状態にある加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系ボード、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具に対し、屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質を懸濁させた液体或いは該物質を含む水性型又は溶剤型塗料を用いて、これらのうちの少なくも一つを塗布及び/又は噴霧することによって、該触媒機能を有する物質を表面及び/又は表層に担持させることを特徴とする施工方法。
【請求項14】
請求項1〜請求項12記載の屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する機能を有する触媒が光触媒、リン酸チタニア、酸化鉄又は電荷移動型触媒であるか、若しくは前記各物質のうち少なくも一つを含むものであることを特徴とする加工木材、木材加工品、木質系合板、木質系ボード、木質系建築内装材、木質系建築外装材又は木質系家具。
【請求項15】
請求項13記載の屋内外雰囲気において揮発性有機物を分解する触媒機能を有する物質が光触媒及び/又はリン酸チタニア及び/又は酸化鉄及び/又は電荷移動型触媒であるか、若しくは前記各物質のうち少なくも一つを含むものであることを特徴とする施工方法。

【公開番号】特開2008−6797(P2008−6797A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203902(P2006−203902)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000100757)アイシーエス株式会社 (26)
【出願人】(597015519)
【Fターム(参考)】