説明

触感提示装置、触感提示システム及び触感提示方法

【課題】ユーザに対して足裏の触感により自然な形で情報伝達を行う。
【解決手段】ユーザの足裏に配置される複数の振動パネル102と、ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定する歩行認識部124と、歩行認識部124によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、所定の振動パターンに基づいて複数の振動パネル102を振動させるテクスチャ再現部126と、を備える。これにより、ユーザに対して足裏の触感により自然な形で情報伝達を行うことが可能な触感提示装置を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触感提示装置、触感提示システム及び触感提示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、足裏に刺激を与えることを想定した技術が知られている。例えば下記の特許文献1、特許文献2には、靴、あるいは靴の中敷きに埋め込まれた振動モータによって、ユーザの足裏のツボを刺激するシステムが記載されている。また、特許文献3には、足裏の複数の部位に振動刺激を与えて使用者の姿勢を判断することを想定した技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−52273号公報
【特許文献2】特開2000−316602号公報
【特許文献3】4特開2009−106392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された技術は、単にユーザの足裏の刺激をすることを目的とするものであり、足裏からの触感を用いてユーザに情報を提示することは想定していない。また、特許文献3に記載された技術は、足裏の複数の部位に振動刺激を与えた時の腰の加速度の変化に基づいて使用者の姿勢を判断するものであり、やはり足裏からの触感を用いてユーザに情報を提示することは想定していない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ユーザに対して足裏の触感により自然な形で情報伝達を行うことが可能な、新規かつ改良された触感提示装置、触感提示システム及び触感提示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザの足裏に配置される複数の振動部と、ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定する接地判定部と、前記接地判定部によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、所定の振動パターンに基づいて前記複数の振動部を振動させる振動制御部と、を備える、触感提示装置が提供される。
【0007】
また、前記所定の振動パターンは、位置情報に基づいて決定された振動パターンであってもよい。
【0008】
また、携帯型情報端末と通信可能な通信モジュールを備え、前記所定の振動パターンは、前記携帯型情報端末から送信された情報に基づいて設定されるものであってもよい。
【0009】
また、前記携帯型情報端末は、位置検出機能を備え、前記通信モジュールは前記携帯型情報端末の現在位置に応じて決定された前記情報を受信し、受信した前記情報に基づいて前記所定の振動パターンが設定されるものであってもよい。
【0010】
また、ユーザの足裏に配置される押下スイッチ又は加速度センサを備え、前記接地判定部は、前記押下スイッチ又は加速度センサの出力に基づいてユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定するものであってもよい。
【0011】
また、前記所定の振動パターンは、足裏が地面に接地したことが判定された場合に、前記複数の振動部を所定時間の間振動させる第1のパターン、前記複数の振動部をランダムに振動させるう2のパターン、前記複数の振動部を足の前側から後ろ側に向けて順次に振動させる第3のパターン、前記複数の振動部を所定の微小時間振動させることを複数回繰り返す第4のパターン、前記複数の振動部の全てを振動させない第5のパターンの少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、現在位置を検出する位置検出部と、地図情報を保存する地図情報データベースと、前記地図情報の中の所定の領域に対してテクスチャ情報を指定するテクチャ指定部と、前記位置検出部で検出された現在位置と、前記テクスチャ指定部で指定された前記テクスチャ情報に基づいて、現在位置でのテクスチャ情報を判定するテクチャ判定部と、前記現在位置でのテクスチャ情報を送信するテクスチャ情報送信部と、を有する携帯型情報端末と、ユーザの足裏に配置される複数の振動部と、ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定する接地判定部と、前記携帯型情報端末から送信された前記テクチャ情報を受信するテクスチャ情報受信部と、前記接地判定部によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、前記テクチャ情報に基づく所定の振動パターンにより前記複数の振動部を振動させる振動制御部と、を有する触感提示装置と、を備える、触感提示システムが提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定するステップと、前記接地判定部によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、所定の振動パターンに基づいてユーザの足裏に配置される複数の振動部を振動させるステップと、携帯型情報端末から送信された位置情報に基づいて、前記所定の振動パターンを設定するステップと、を備える触感提示方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザに対して足裏の触感により自然な形で情報伝達を行うことが可能な触感提示装置、触感提示システム及び触感提示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る基本的なハードウェア構成を示す模式図である。
【図2】インソール及び基板が靴に収納される際のいくつかの例を示す模式図である。
【図3】インソールがユーザに与える振動パターンの例をいくつか示す模式図である。
【図4】ユーザの歩行動作と同期して振動が提示される手順の概略を示す模式図である。
【図5】携帯型情報端末を通じて、ユーザに体感される地面のテクスチャが変更される様子を示す模式図である。
【図6】本実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】ユーザの歩行を認識し、これに応じて地面のテクスチャを再現する手順を示すフローチャートである。
【図8】ユーザの足が地面に接地したことを判断する手法を示す特性図である。
【図9】ユーザが携帯型情報端末を用いて、地図上の任意の領域に特定のテクスチャを与える手順を示すフローチャートである。
【図10】携帯型情報端末を所持するユーザの位置情報から、ユーザのインソールの振動に適用すべきテクスチャを判定する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本実施形態の概略について
2.本実施形態に係る触感提示システムの具体的構成について
【0018】
[1.本実施形態の概略について]
現代の滑らかに舗装された道路を歩いている限りでは気付きにくいことであるが、人間が安全にバランスを保って二足歩行を行う上で、足裏を通して知覚される地面の形状やテクスチャは重要な役割を果たしている。人間の足裏は、多数の神経が集まっていることから触覚に対して非常に敏感であり、こうした事実を利用すれば足裏への触覚刺激の付与をベースとした有効な情報提示装置が構築できる。しかしながら、現実に足裏が情報提示のチャネルとして活用されている例は、駅のホームに設置されている点字ブロックなど、ごく僅かな例しか存在しない。
【0019】
本実施形態では、人間の足裏感覚に着目して、足裏に刺激を与えることにより、足裏に対し多様な種類の触覚を提示できるシステムを提示する。システムを構成する中心的なコンポーネントは複数の振動パネルを内蔵したインソールであり、例えばマイコン制御によって様々に異なるパターンの振動刺激をユーザの足裏に与えることができる。振動が与えられるタイミングはユーザの歩行動作と同期され、ユーザはあたかも特殊なテクスチャ(感触)を持った地面の上を歩いているような感覚を得ることができる。
【0020】
ユーザは携帯型情報端末を使い、目的地までの正常な経路において、体感される地面のテクスチャを特殊なものに変更することによって、目的地に続く正しいルートから外れていないかどうかを常に確認しながら歩くことができる。
【0021】
図1は、本実施形態に係る基本的なハードウェア構成を示す模式図である。中心となるコンポーネントは、靴底などに収納されるインソール100であり、人間の足の形状に合わせて配置された複数の振動パネル102と、ユーザの歩行を認識するためのスイッチ104及び加速度センサ106を2枚のゲルシートで挟み込んだ構造となっている。振動パネル102は、樹脂(プラスチック)製の板に振動モータが装着されて構成される。
【0022】
各振動パネル102は、導線によって基板110に接続され、基板110上には各振動パネル102の駆動モータの動作を制御するマイコン112、電源を供給するバッテリー114、及び無線通信用の無線通信モジュール116が設置されている。
【0023】
図2は、インソール100及び基板110が靴に収納される際のいくつかの例を示す模式図である。図2(A)に示すように、インソール100は靴の内部(靴底)に挿入され、基板110は靴ひもに結びつけるなどの形で靴の外部に固定される。また、図2(B)に示すように、特製の靴を用いた場合は、インソール100は靴の内部(靴底)に挿入され、基板110をヒールの中に内蔵することもできる。また、図2(C)に示すように、小型のバッテリー114を使用するなどの工夫によって、基板110自体をインソール100と一体に構成し、両者をともに靴底へ配置することも可能である。
【0024】
無線通信によって、基板110の無線通信モジュール116は、外部の携帯型情報端末200から命令を受け取る。携帯型情報端末200にはGPSが搭載されており、ユーザの現在位置に応じて与える振動のパターンを変更するようにマイコン112に要請する。
【0025】
図3は、インソール100がユーザに与える振動パターンの例をいくつか示す模式図である。図3において、6つの振動パネル102の位置を“1”〜“6”の各数字で表すものとする。本システムを用いて、インソール100によりユーザの足裏上の特定の部位に振動を与えると、ユーザはその部分のインソール100の形状が変化して圧力が増しているような感覚、すなわちその部分が地面に対して沈み込んでいく最中であるかのような感覚を得る。このことを利用して、様々な地面の感触を振動パターンによってユーザに与えることが可能になる。
【0026】
図3に示す各振動パターンは、いずれもユーザの足が地面に接触する短いタイミングで振動パネル102に対して与えられる。例えば、図3(B)に示すように、足裏の全体に対して比較的長い時間振動を与えた場合、ユーザはまるで足が時間をかけて地面に沈み込んでいくような感触、つまり柔らかい地面を踏んだ時に近い感触を得る。図3(B)の例では、インソール100の面内の比較的広い範囲に配置された、“1”,“2”,“4”,“6”の位置の振動パネル102に対して、比較的長い時間の振動を与えるものとする。なお、図3(B)の場合に、6つの全ての振動パネル102に振動を与えても良い。
【0027】
図3(B)の場合において、振動を与える時間を短くしていくと、ユーザの受け取る感触は次第に固い地面を踏んだときの感触に近づいていく。ユーザに固い床の感触を認識させるためには、図3(A)に示すように、各振動パネル102を振動させないようにする。
【0028】
また、図3(C)に示すように、乱雑な順序で各振動パネル102に振動を与えた場合、ユーザは足裏のバラバラな位置が次から次へと接地していく感触、つまり凹凸のある地面を踏んだかのような感触を得る。この場合、例えば図3(C)に示すように、“2”→“4”→“6”→“3”→“5”→“1”の順で複数の振動パネル102に対してジグザグ状に順次に振動を与えるようにする。
【0029】
また、図3(D)に示すように、足裏の後方から前方にかけて振動を与える位置を移動させていくと、ユーザは足の後方が先に接地し、そこから遅れて足の前方が接地していく感覚、つまり下り坂を下っているかのような感触を得る。この場合、例えば図3(D)に示すように、“6”→“5”→“4”→“3”→“2”→“1”の順で、複数の振動パネル102に対して後方から前方にかけて順次に振動を与えるようにする。
【0030】
また、図3(E)に示すように、足裏の全面に対して、短い時間間隔で振動パネル102を複数回振動させると、ユーザは地面が振動しているような感触(地震による揺れが発生しているような感触)を得る。図3(E)の例では、インソール100の面内の比較的広い範囲に配置された、“1”,“2”,“4”,“6”の4つの振動パネル102を短い時間で何度も振動させている。なお、図3(E)の場合に、6つの全ての振動パネル102に振動を与えても良い。
【0031】
図4は、ユーザの歩行動作と同期して振動が提示される手順の概略を示す模式図である。まずユーザの靴底が地面に触れる瞬間(ステップS10)を、インソール100内に設置されたスイッチ104と加速度センサ106の双方を使って検出する(ステップS12,S14)。そして、その瞬間に合わせ、マイコン112から図3のいずれかの振動パターンによる振動の実行指令が出され(ステップS16)、各振動パネル102が、マイコン112からの指令に応じたパターンで振動する(ステップS18)。これにより、各振動パネル102の振動のタイミングが歩行動作と同期されるため、ユーザは、靴の中に振動を発生させるインソール100が埋め込まれているという感覚ではなく、地面の物理的性質よる感覚が足裏に与えられている感覚を得る。
【0032】
また、本実施形態では、図5に示すように、携帯型情報端末200を通じて、ユーザに体感される地面のテクスチャを変更する。携帯型情報端末200のタッチパネル式の表示画面220上には地図が表示され、ユーザは地図上で指先を使って(一般的なペイントソフトと同じように)色を塗ることにより、用意されている複数のテクスチャのそれぞれが適用される領域を指定することができる。携帯型情報端末200は、GPS(Global Positioning System)を用いてリアルタイムでユーザの位置を認識し、それに応じて適用すべきテクスチャの種類をマイコン112に伝達する。例えば、図5において、ユーザは表示画面220に表示された経路Aと経路Bとで異なるテクスチャを指定することができる。
【0033】
これにより、ユーザは街で目的地に向かう際などに、目的地までの道に特定のテクスチャを割り当てることによって、目的地への正しいルートから外れていないかを、携帯型情報端末200の画面を確認することなく認識することができる。特に、GPS付きの携帯電話等においては、ノイズ等により表示画面を十分に認識することができない場合が想定される。また、人混みの中などにおいても表示画面を十分に認識することができない場合が想定される。本実施形態によれば、このような場合においても、足裏の感触により正規のルートから外れていないかを確実に認識することが可能である。
【0034】
[2.本実施形態に係る触感提示システムの具体的構成について]
次に、上述した概略構成を実現するための具体的構成について説明する。図6は、本実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。図6に示すように、本実施形態のシステムは、振動パネル102を備えるインソール100と、携帯型情報端末200とを有して構成される。なお、以下の説明では、インソール100と基板110とは一体に構成されているものとする(図2(C)参照)。
【0035】
インソール100は、上述のように、振動パネル102、スイッチ104、加速度センサ106を備える。また、インソール100は、テクスチャ情報受信部122、歩行認識部124、テクチャ再現部126、及びテクスチャ情報データベース128を備える。上述したようにインソール100はマイコン112及び無線通信モジュール116(図6において不図示)を備えており、テクスチャ情報受信部122、歩行認識部124、テクチャ再現部126、及びテクスチャ情報データベース128はこれらの構成要素から構成されることができる。
【0036】
また、携帯型情報端末200は、テクスチャ情報送信部202、テクスチャ判定部204、地図情報データベース206、テクスチャ指定部208、及びGPS受信部210を備える。携帯型情報端末200としては、例えばGPS機能付きの携帯電話端末を用いることができる。また、携帯型情報端末200とインソール100との間の通信は、例えば無線LANによる通信を用いることができる。図6に示すインソール100と携帯型情報端末200の各機能ブロックは、回路(ハードウェア)、またはCPUなどの中央演算処理装置とこれを機能させるためのソフトウェア(プログラム)によって構成することができる。
【0037】
本実施形態のシステムでは、図6に示す構成により、以下に説明する動作が実現される。最初に、図7に基づいて、ユーザの歩行を認識し、これに応じて地面のテクスチャを再現する手順について説明する。先ず、ステップS20では、インソール100の歩行認識部124がスイッチ104及び加速度センサ106の状態を常に監視する。
【0038】
次のステップS22では、ユーザの歩行に伴い、歩行認識部124によりスイッチ104の押下げが認識される。次のステップS24では、加速度センサ106により検出された加速度に基づいて、歩行認識部124により加速度の急激な+方向への変位が確認される。
【0039】
次のステップS26では、ステップS22及びS24に基づいて、歩行認識部124がユーザの足が地面に接地したと判断する。次のステップS28では、テクスチャ再現部126が、テクスチャ情報データベース128に保存されているテクスチャを再現するため、各振動パネル102を振動させるための信号を各振動パネル102へ送信する。
【0040】
図8は、ステップS26において、ユーザの足が地面に接地したことを判断する手法を示す特性図である。ここで、図8は、インソール100が装着された足が地面に着いた場合に、スイッチ104の出力と加速度センサ106の出力が時間の経過に応じて変化する様子を示している。スイッチ104の出力は、スイッチ104に圧力がかけられたときにハイになるものとする。また、加速度センサ106は、例えば、微小時間(0.01秒〜0.05秒程度)毎に加速度を変化量を出力するものとすることができる。
【0041】
図8に示すように、インソール100が装着された足が地面に着くと、スイッチ104が押し下げられて、スイッチ104の出力がローからハイに切り換わる。そして、このタイミングでは、下に向かって移動していた足が地面に接地するため、加速度センサ106の出力が急激にプラス(+)方向へ変位する。なお、ここでは加速度の+方向を上方向とする。従って、ステップS22においてスイッチ104押下げが認識され、ステップS24において加速度の急激な+方向への変位が確認された場合は、ステップS26にてユーザの足が地面に接地したものと判断される。
【0042】
足が地面に接地した後、再び足が地面から離れてスイッチ104の出力がハイからローに切り換わると、接地の判定がリセットされる。従って、接地している間(スイッチ104の出力がハイの間)に再度加速度がプラス方向に変化したとしても、接地判定は行われず、振動パネル102が再び振動を行うことはない。
【0043】
また、図8に示すように、スイッチ104の押下げよりも微小時間(0.05秒)程度前に加速度の急激な変化が検出された場合も、歩行として認識されて、ステップS26にてユーザの足が地面に接地したものと判断される。
【0044】
なお、ユーザの足が地面に接地したことを判断する手法は、図8の手法に限定されるものではない。本実施形態ではスイッチ104と加速度センサ106の双方の出力を用いて接地を判断しているが、いずれか一方のみを用いて接地を判断しても良い。
【0045】
以上のような動作により、ユーザの足が地面に接地した際に、テクスチャに応じた振動を振動パネル102に与えることができ、テクスチャに応じた感触をユーザに与えることが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態では、複数の振動パネル102を設けて、各振動パネル102のオン/オフを制御することにより図3に示す各テクスチャを実現するが、各振動パネルの波形(振幅、周波数)を制御するようにしても良い。
【0047】
次に、携帯型情報端末200を用いて、ユーザが正常な経路を歩いている場合に特定の触感を足裏に与えるシステムについて説明する。このシステムでは、ユーザが正常でない経路を歩いている場合には、特定の触感が足裏に与えられないため、ユーザは正常な経路の道から外れたことを足裏の触感から認識することが可能である。
【0048】
このシステムでは、先ず、ユーザにより地図上の所望の領域に特定のテクスチャが与えられる。図9は、ユーザが携帯型情報端末200を用いて、地図上の任意の領域に特定のテクスチャを与える手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS30では、ユーザが携帯型情報端末200の表示画面220に表示された地図上において、特定のテクスチャを適用する範囲を指定する。本実施形態では、携帯型情報端末200の表示画面220がタッチパネル式の画面で構成されるものとし、ユーザは画面上で範囲を指定することができる。タッチパネル式の表示画面220は、ユーザによる入力のインターフェースとして機能し、指定された範囲を取得する。また、マウス、操作ボタン等の入力デバイスにより範囲を指定してもよい。次に、携帯型情報端末200のテクスチャ情報指定部208が、ユーザによって入力された範囲を取得し、地図情報データベース206に対して、地図上の領域とユーザから指定された特定のテクスチャとを関連付けた情報を保存する。
【0049】
以上の処理により、ユーザは、地図上において特定のテクスチャを適用する範囲を指定して地図情報データベース206に保存することができる。ユーザは、例えば、図5の経路Aにおいて図3(B)のテクチャを適用し、経路Bにおいて図3(C)のテクスチャを適用することを指定することができる。
【0050】
次に、図6のシステムにおいて、携帯型情報端末200を所持するユーザの位置情報から、ユーザのインソール100の振動に適用すべきテクスチャを判定する手順について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0051】
先ず、ステップS40では、GPS受信部210がユーザの現在位置を取得する。次のステップS42では、テクスチャ判定部204が、地図情報データベース206を参照して、ユーザの現在位置に割り当てられているテクスチャを判定する。
【0052】
次のステップS44では、テクスチャ情報送信部202が、ユーザの現在位置に割り当てられているテクスチャの情報を送信する。次のステップS46では、インソール100のテクスチャ情報受信部122が、テクスチャ情報送信部202から送信されたテクスチャ情報を受信する。次のステップS48では、テクスチャ情報受信部122が、テクスチャ情報データベース128に対して、適用すべきテクスチャの情報を保存させる。
【0053】
図10の処理によれば、インソール100のテクスチャ情報受信部122に対して、現在位置に応じたテクスチャを送信することにより、テクスチャ情報データベース128に保存されているテクスチャ情報がユーザの位置に応じて変更される。
【0054】
上述したように、テクスチャ再現部126では、テクスチャ情報データベース128に保存されているテクスチャを再現するため、各振動パネル102を振動させるための信号を送信する。従って、テクスチャ情報データベース128に保存されているテクスチャ情報がユーザの位置に応じて変更されると、テクスチャ再現部126では、変更されたテクスチャを再現するため、各振動パネル102を振動させるための信号を送信する。従って、ユーザの位置に応じて足裏に与えられるテクスチャを変更することが可能となる。
【0055】
これにより、ユーザは、例えば図5に示す経路Bで図3(C)のテクスチャを指定していた場合は、図3(C)のテクスチャによる凹凸の感触が足裏に感じられなくなった場合は、歩行中に経路Bから外れてしまったことを認識することができる。
【0056】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0057】
100 インソール
102 振動パネル
116 無線通信モジュール
124 歩行認識部
126 テクスチャ再現部
200 携帯型情報端末
210 GPS受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの足裏に配置される複数の振動部と、
ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定する接地判定部と、
前記接地判定部によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、所定の振動パターンに基づいて前記複数の振動部を振動させる振動制御部と、
を備える、触感提示装置。
【請求項2】
前記所定の振動パターンは、位置情報に基づいて決定された振動パターンである、請求項1に記載の触感提示装置。
【請求項3】
携帯型情報端末と通信可能な通信モジュールを備え、
前記所定の振動パターンは、前記携帯型情報端末から送信された情報に基づいて設定される、請求項1に記載の触感提示装置
【請求項4】
前記携帯型情報端末は、位置検出機能を備え、
前記通信モジュールは前記携帯型情報端末の現在位置に応じて決定された前記情報を受信し、受信した前記情報に基づいて前記所定の振動パターンが設定される、請求項3に記載の触感提示装置。
【請求項5】
ユーザの足裏に配置される押下スイッチ又は加速度センサを備え、
前記接地判定部は、前記押下スイッチ又は加速度センサの出力に基づいてユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定する、請求項1に記載の触感提示装置。
【請求項6】
前記所定の振動パターンは、足裏が地面に接地したことが判定された場合に、前記複数の振動部を所定時間の間振動させる第1のパターン、前記複数の振動部をランダムに振動させるう2のパターン、前記複数の振動部を足の前側から後ろ側に向けて順次に振動させる第3のパターン、前記複数の振動部を所定の微小時間振動させることを複数回繰り返す第4のパターン、前記複数の振動部の全てを振動させない第5のパターンの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の触感提示装置。
【請求項7】
現在位置を検出する位置検出部と、地図情報を保存する地図情報データベースと、前記地図情報の中の所定の領域に対してテクスチャ情報を指定するテクチャ指定部と、前記位置検出部で検出された現在位置と、前記テクスチャ指定部で指定された前記テクスチャ情報に基づいて、現在位置でのテクスチャ情報を判定するテクチャ判定部と、前記現在位置でのテクスチャ情報を送信するテクスチャ情報送信部と、を有する携帯型情報端末と、
ユーザの足裏に配置される複数の振動部と、ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定する接地判定部と、前記携帯型情報端末から送信された前記テクチャ情報を受信するテクスチャ情報受信部と、前記接地判定部によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、前記テクチャ情報に基づく所定の振動パターンにより前記複数の振動部を振動させる振動制御部と、を有する触感提示装置と、
を備える、触感提示システム。
【請求項8】
ユーザの足裏が地面に接地したか否かを判定するステップと、
前記接地判定部によりユーザの足裏が地面に接地したことが判定された場合に、所定の振動パターンに基づいてユーザの足裏に配置される複数の振動部を振動させるステップと、
携帯型情報端末から送信された位置情報に基づいて、前記所定の振動パターンを設定するステップと、
を備える触感提示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−62298(P2011−62298A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214503(P2009−214503)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】