説明

計量装置および計量装置におけるホッパゲートの駆動方法

【課題】簡潔な装置構成および制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができる計量装置およびホッパゲートの駆動方法を提供する。
【解決手段】ステッピングモータと、ステッピングモータによって駆動されるホッパゲートと、ホッパゲートの開度を検出するエンコーダと、エンコーダおよびステッピングモータに通信可能に接続された制御装置とを備え、制御装置は、エンコーダにより検出されたホッパゲートの開度が、予め設定された目標開度に一致しているか否かを判定し、一致していないと判定した場合にステッピングモータの回転を継続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置および計量装置におけるホッパゲートの駆動方法に関する。より詳しくは、ステッピングモータをホッパゲートの駆動手段に用いた計量装置および該計量装置におけるホッパゲートの駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステッピングモータをホッパゲートの駆動手段に用いた計量装置および該計量装置におけるホッパゲートの駆動方法に関する従来の技術として、例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1の計量装置では、操作者がゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定し、該設定されたゲートの動作変化に基づいてモータが制御される。設定は、ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを、被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに、パルス周期、パルス数、回転方向等に関して設定することにより行なわれる。
【0004】
ステッピングモータの駆動制御において、脱調に関連する従来の技術としては、例えば特許文献2乃至5がある。
【0005】
特許文献2に開示されたステッピングモータの脱調防止装置では、ステッピングモータの回転軸に回転方向の位置を検出する回転センサを取り付けると共に、コントローラと駆動回路との間に、回転センサからの検出位置とコントローラからの指令パルスに基づく指令位置との偏差を検出しその偏差がステッピングモータの同期運転可能な安定領域内に収まるように駆動回路を制御する制御回路が設けられている。
【0006】
特許文献3に開示されたステッピングモータの制御装置は、ステッピングモータの実際の作動位置を検出する位置検出手段と、目標動作位置と前記実際の作動位置との偏差を検出し、偏差がステッピングモータの安定点に基づいて決定される脱調防止許容値Aよりも小さい場合に、目標作動位置に対応する指令位置信号を発生するとともに、偏差が脱調防止許容値以上である場合に、実際の作動位置から脱調防止許容値を減じた位置に対応する指令位置信号を発生する指令位置信号発生手段と、指令位置信号に基づいて、指令位置信号で指令された位置までステッピングモータを駆動する駆動手段とを備える。
【0007】
特許文献4に開示されたステッピングモータ駆動回路は、入力されたパルス列信号に基づいて励磁ステップ角を制御すると共に励磁ステップ数を計数する励磁ステップカウンタとステッピングモータの回転角を検出するロータリーエンコーダの出力信号をカウントしてステッピングモータの実際の回転角を示すエンコーダカウント値を出力するエンコーダカウンタと、励磁ステップ数とエンコーダカウンタ値の両者を比較することにより、ステッピングモータの角度偏差を演算する角度偏差検出回路とを有する。
【0008】
特許文献5に開示されたステッピングモータの脱調検出装置は、脱調検出装置のアップ・ダウンカウンタにおいて、モータ軸の正方向への1回転の間に供給される指令パルスであるCWパルスの数をカウントする。モータ軸の原点位置センサの出力が出力される前にカウンタ値が予め設定されたCARRY値を超える場合には、脱調が発生したことを示すCARRY信号が脱調検出信号として出力される。モータ逆回転の場合には、CCWパルスの数が予め設定したプリセット値を越える場合には、脱調が発生したことを示すBORROW信号を出力する。原点位置センサとカウンタを用いるのみで、モータ軸の1回転毎にモータの脱調を検出できる。
【特許文献1】特許2681104号公報
【特許文献2】特開平8−182392号公報
【特許文献3】特開2002−84794号公報
【特許文献4】特開平10−243693号公報
【特許文献5】特開平9−93993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら特許文献1の構成では、脱調が発生した場合にゲートが本来あるべき位置にない場合があり、例えばゲートが十分に開かない場合には被計量物が完全に排出されずに残ってしまうなど、深刻な問題が発生する。計量装置のホッパゲートの駆動手段に特許文献2乃至5のような脱調に関連する技術を適用した場合には、装置構成や制御方法が複雑化するという問題が生じる。
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するためのものであり、ホッパゲートの駆動手段にステッピングモータを利用する計量装置において、簡潔な装置構成および制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができる計量装置およびホッパゲートの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、ホッパゲートの駆動制御における脱調の問題を解決すべく、鋭意検討した。その結果、以下の点に気づいた。
【0012】
ホッパゲートの駆動制御においては、ホッパゲートの開度(位置)によって、ホッパゲートを駆動するために必要なトルクが様々に変化する。従来の構成では、ホッパゲートの開度に応じて適切なトルクが実現されるように、予め制御パターン(例えば特許文献1のような、パルス周期とパルス数のパターン)が設定され、該設定されたパルスパターンによってステッピングモータが駆動されていた。かかる構成では、脱調がなく正常にホッパゲートが駆動されている限り、それぞれの開度に応じた適切なトルクが実現される。しかし、いったん脱調が発生してしまうと、各々の時点において、制御上想定されているホッパゲートの開度と、実際のホッパゲートの開度とに不一致が生じる。そうすると、制御上実現されるトルクと、実際に必要なトルクとに不一致が生じる。後者が前者を上回り、モータの回転遅れが累積すれば、実際の開度が目標開度よりも大幅に不足する場合も生じる。
【0013】
かかる問題を解決するために、従来から知られている脱調防止機構をホッパゲートの駆動手段へ組み込むこととしてもよい。しかしながら、その場合には装置構成や制御方法が複雑になるという別の問題が生じる。
【0014】
ステッピングモータを用いた一般的な制御では、各時点におけるモータの回転角を常時適切に制御する必要があるため、各時点において脱調が発生しないように制御する必要がある。従来の脱調防止機構でも、かかる一般的な制御を念頭に、ステッピングモータの制御が行なわれていた。
【0015】
一方、ホッパゲートの駆動では、開閉途中の各時点における実際の開度と制御上の開度とのずれは大きな問題とならない。それよりも、所定の開度へとホッパゲートをなるべく早く到達させることが技術上の最も大きな課題となる。ホッパゲートの駆動手段の持つかかる技術的な特徴を踏まえて検討した結果、本発明者は、例えばステッピングモータにエンコーダを装着した上で、予め設定された目標角度に到達するまでステッピングモータを回転し続けるようにしさえすれば、脱調が発生しても確実に目標開度へとホッパゲートを到達させることができることに気づいた。かかる構成では、予めステッピングモータの回転パターン(時間軸に沿ったモータの回転角度の変化パターン)が設定されている訳ではなく、脱調が発生してもパターンからのずれを考慮する必要がない。
【0016】
さらに、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御を行なうこととすれば、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。そのためには、例えばステッピングモータのトルクを調整するためのパラメータ(パルス周期、パルス周期の時間変化率、パルス周波数、パルス周波数の時間変化率、ホッパゲートの速度、ホッパゲートの加速度、電流、電流の時間変化率、電圧、電圧の時間変化率など)を、ホッパゲートの開度に対応づけて予めメモリ等に設定しておき、エンコーダにより読み出されたホッパゲートの開度に基づいて、適切なトルクが実現されるようにステッピングモータを制御すればよい。
【0017】
すなわち上記課題を解決すべく、本発明の計量装置は、ステッピングモータと、前記ステッピングモータによって駆動されるホッパゲートと、前記ホッパゲートの開度を検出するエンコーダと、前記エンコーダおよび前記ステッピングモータに通信可能に接続された制御装置とを備え、前記制御装置は、前記エンコーダにより検出された前記ホッパゲートの開度が、予め設定された目標開度に一致しているか否かを判定し、一致していないと判定した場合に前記ステッピングモータの回転を継続させるように構成されている。
【0018】
かかる構成では、モータが脱調しているか否かに関わらず(途中のプロセスを問わずに)、ホッパゲートが目標とする開度に到達することだけを目標にモータが駆動される。よって、簡潔な装置構成により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができる。
【0019】
「予め設定された目標開度」とは、ホッパゲートが開いてから閉じるまでの間における最大開度、すなわちホッパゲートの開閉時にどの程度の開度までホッパゲートを開くかの目標値を指す。ホッパゲートの駆動機構に従来の脱調関連技術を適用した場合、累積送出パルス数から到達しているべきゲートの開度を特定し、該開度とエンコーダにより検出された実際のゲートの開度とを比較し、該比較結果に基づいてモータを制御することが考えられる。この場合の該特定されたゲートの開度は、「予め設定された目標開度」には含まれない。
【0020】
「目標開度」は、ゲートを開いた状態におけるゲートの開度(1回の開閉でゲートを最大どの程度開くか)であって、ゲートを閉じた状態における開度(開度ゼロ)は含まない。
【0021】
計量装置は、操作者が該設定を変更できないように構成されていてもよいし、入力装置等を介して操作者が該設定を適宜変更できるように構成されていてもよい。
【0022】
上記計量装置において、前記制御装置は、前記ホッパゲートの開度に関するパラメータと前記ステッピングモータのトルクを調整するトルク調整パラメータとが互いに対応付けられてモータ駆動用データとして記憶されている記憶装置を備え、前記制御装置は、前記モータ駆動用データと前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度とに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動するように構成されていてもよい。
【0023】
かかる構成では、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御が行なわれるため、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。
【0024】
上記計量装置において、前記制御装置は、前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に基づいて前記モータ駆動用データを検索することで前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に対応するトルク調整パラメータを特定し、該特定されたトルク調整パラメータに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動するように構成されていてもよい。
【0025】
かかる構成では、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御が行なわれるため、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。
【0026】
上記計量装置において、前記ホッパゲートの開度に関するパラメータはホッパゲートの開度であってもよいし、ステッピングモータの回転角であってもよい。
【0027】
上記計量装置において、前記トルク調整パラメータは、パルス周期、パルス周期の時間変化率、パルス周波数、パルス周波数の時間変化率、ホッパゲートの速度、ホッパゲートの加速度、電流、電流の時間変化率、電圧、電圧の時間変化率よりなる群より取り出した少なくとも一つのパラメータを含んでもよい。
【0028】
上記計量装置において、前記エンコーダは前記ホッパゲートの開度を直接検出するように構成されていてもよいし、ステッピングモータの回転角を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されていてもよい。
【0029】
上記計量装置は、前記ステッピングモータの回転力を前記ホッパゲートの駆動力へと変換する動力伝達機構を備え、前記エンコーダは前記動力伝達機構を構成する部材の位置を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されていてもよい。
【0030】
上記計量装置は、前記モータ駆動用データの入力を受け付けて前記入力されたモータ駆動用データを前記記憶装置に記憶させるように構成された入力装置を備えてもよい。
【0031】
かかる構成では、モータ駆動用データを操作者が設定し変更できるため、例えばホッパゲートの種類が変更されたような場合でも、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御を行ない、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。
【0032】
上記計量装置は、前記予め設定された目標開度の入力を受け付け可能に構成された入力装置を備えてもよい。
【0033】
かかる構成では、目標開度を操作者において任意に設定できるため、被計量物の種類や量に応じてホッパゲートの最大開度を適切に調整できる。
【0034】
上記計量装置において、前記モータ駆動用データは、前記ホッパゲートの開方向駆動および閉方向駆動のそれぞれについて前記ホッパゲートの開度と前記トルク調整パラメータとが互いに対応付けられていてもよい。
【0035】
かかる構成では、簡潔な装置構成により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができるのみならず、ホッパゲートを閉じる際にステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実にホッパゲートを閉じることができる。
【0036】
また、本発明にかかる計量装置におけるホッパゲートの駆動方法は、ステッピングモータと、前記ステッピングモータによって駆動されるホッパゲートと、前記ホッパゲートの開度を検出するエンコーダと、を備えた計量装置におけるホッパゲートの駆動方法であって、前記エンコーダにより検出された前記ホッパゲートの開度が、予め設定された目標開度に一致しているか否かを判定し、一致していないと判定した場合に前記ステッピングモータの回転を継続させる。
【0037】
かかる構成では、モータが脱調しているか否かに関わらず(途中のプロセスを問わずに)、ホッパゲートが目標とする開度に到達することだけを目標にモータが駆動される。よって、簡潔な制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができる。
【0038】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法は、前記ホッパゲートの開度に関するパラメータと前記ステッピングモータのトルクを調整するトルク調整パラメータとを互いに対応付けてモータ駆動用データとして記憶するステップと、前記モータ駆動用データと前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度とに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動するステップとを有してもよい。
【0039】
かかる構成では、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御が行なわれるため、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。
【0040】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記ホッパゲートを駆動するステップは、前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に基づいて前記モータ駆動用データを検索することで前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に対応するトルク調整パラメータを特定し、該特定されたトルク調整パラメータに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動してもよい。
【0041】
かかる構成では、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御が行なわれるため、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。
【0042】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記ホッパゲートの開度に関するパラメータはホッパゲートの開度であってもよいし、ステッピングモータの回転角であってもよい。
【0043】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記トルク調整パラメータは、パルス周期、パルス周期の時間変化率、パルス周波数、パルス周波数の時間変化率、ホッパゲートの速度、ホッパゲートの加速度、電流、電流の時間変化率、電圧、電圧の時間変化率よりなる群より取り出した少なくとも一つのパラメータを含んでもよい。
【0044】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記エンコーダは前記ホッパゲートの開度を直接検出するように構成されていてもよいし、ステッピングモータの回転角を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されていてもよい。
【0045】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記計量装置は前記ステッピングモータの回転力を前記ホッパゲートの駆動力へと変換する動力伝達機構を備えるものであり、前記エンコーダは前記動力伝達機構を構成する部材の位置を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されていてもよい。
【0046】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記モータ駆動用データとして記憶するステップは、前記ホッパゲートの開方向駆動について前記ホッパゲートの開度と前記トルク調整パラメータとを互いに対応付けて記憶するものであってもよい。
【0047】
かかる構成では、モータ駆動用データを操作者が設定し変更できるため、例えばホッパゲートの種類が変更されたような場合でも、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御を行ない、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。
【0048】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法は、前記予め設定された目標開度の入力を受け付けるステップを有してもよい。
【0049】
かかる構成では、目標開度を操作者において任意に設定できるため、被計量物の種類や量に応じてホッパゲートの最大開度を適切に調整できる。
【0050】
上記計量装置におけるホッパゲートの駆動方法において、前記モータ駆動用データとして記憶するステップは、前記ホッパゲートの開方向駆動および閉方向駆動のそれぞれについて前記ホッパゲートの開度と前記トルク調整パラメータとを互いに関連付けて記憶するものであってもよい。
【0051】
かかる構成では、簡潔な制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができるのみならず、ホッパゲートを閉じる際にステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実にホッパゲートを閉じることができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明は、上記のような構成を有し、以下のような効果を奏する。すなわち、簡潔な装置構成および制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0054】
(第1実施形態)
[計量装置の全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態の組合せ秤の概略構成を示す。以下、図1を参照しつつ、本実施形態の組合せ秤100について説明する。なお、図1では一番左側のユニット取り付け口にのみユニットおよびホッパが取り付けられた状態を示している。
【0055】
図1に示すように、組合せ秤100は、略円筒形のボディ101と、ボディ101の上方中央に配設された平たい円錐状の形状を有する分散装置102と、分散装置102を取り巻くように配設された複数の直進フィーダ104と、それぞれの直進フィーダに対応して設けられた複数の供給ホッパ106および計量ホッパ108と、供給ホッパ106および計量ホッパ108の駆動部を収納したアクチュエータユニット110と、ボディ101を支える4本のフレーム112と、フレーム112を指示するベース114とを備えている。計量ホッパ108は、内側および外側に開閉可能な、2枚のホッパゲート11を備えている。
【0056】
ボディ101には、側面に複数のユニット取付口116が設けられ、アクチュエータユニット110はユニット取付口116にはめ込まれ、ネジなどで固定される。アクチュエータユニット110の、ボディ101の側面に露出する面には、ホッパ取付フック118が設けられており、これと計量ホッパ108の取付金具とが係合されることで計量ホッパ108がアクチュエータユニット110に保持される。
【0057】
アクチュエータユニット110の内部に、計量装置用ホッパゲート駆動機構10(図2参照)が配設されており、リンク機構13が、アクチュエータユニット110の外部に露出している。アクチュエータユニットの外壁面には、壁面を貫通するように溝が設けられており、該溝をリンク機構13のアームが貫通することで、リンク機構13のアームが揺動可能に構成されている。アクチュエータユニット110には、供給ホッパ106を駆動するための駆動機構も設けられている。供給ホッパ106についても計量ホッパ108と同様の計量装置用ホッパゲート駆動機構により駆動することとしてもよいことは言うまでもない。
【0058】
使用時においては、全てのユニット取付口116にアクチュエータユニット110が取り付けられ、それぞれのアクチュエータユニット110に供給ホッパ106および計量ホッパ108が1個ずつ取り付けられる。また、計量ホッパ108の下方には集合シュートが設けられる。
【0059】
[計量装置の全体動作]
被計量物は、組合せ秤100の上方に設けられた図示されない供給経路から分散装置102へと落下する。分散装置102は振動により被計量物を直進フィーダ104へと供給する。直進フィーダ104は振動により、被計量物を供給ホッパ106へと間歇的に供給する。供給ホッパ106は、所定のタイミングでホッパゲートを開いて被計量物を計量ホッパ108へと供給する。計量ホッパ108は供給ホッパ106から受け取った被計量物を計量し、計量値を図示されない制御部へと送信する。制御部は、計量値の合計が予め設定された目標重量よりも大きく、かつ該目標重量に最も近くなるような計量ホッパ108の組合せを演算により求め、該組合せに参加する計量ホッパ108のホッパゲートを開いて被計量物を排出する。計量ホッパ108の開閉は、アクチュエータユニット110に設けられた計量装置用ホッパゲート駆動機構10により行なわれる。
【0060】
[計量装置用ホッパゲート駆動機構の構成]
図2は、本発明の第1実施形態の計量装置用ホッパゲート駆動機構の概略構成を示すブロック図である。図2中、破線は信号授受の方向を指す。
【0061】
図2に示すように、計量装置用ホッパゲート駆動機構10は、入出力装置27(タッチパネル)と、入出力装置27からの入力を受け取りかつ入出力装置27へ出力データを送る制御装置21と、制御装置21からの制御信号を受け取るドライバ17と、ドライバ17によって回転が制御されるステッピングモータ15と、ステッピングモータ15の回転位置(回転軸の回転角度、すなわち回転軸が原点からどの程度ずれているか、以下「角度」と呼ぶ)を検出して制御装置21へと送るエンコーダ19と、ステッピングモータ15の回転軸に取り付けられてステッピングモータ15の回転力を伝達するリンク機構13(動力伝達機構)と、リンク機構13から伝達された駆動力によって開閉するホッパゲート11とを備えている。
【0062】
制御装置21は、CPU23と、タイマ24と、メモリ25(記憶装置)とを備えており、CPU23とタイマ24とは互いに通信可能に接続され、CPU23とメモリ25とは互いに通信可能に接続されている。CPUは入出力装置27、ドライバ17、エンコーダ19とも通信可能に接続されている。メモリには後述するテーブルデータ(モータ駆動用データ)が記憶されている。
【0063】
エンコーダ19はステッピングモータ15の角度を検出する。角度はホッパゲート11の位置(ホッパゲート11がどの程度開いているか、以下「開度」と呼ぶ)に対応する。よって、エンコーダ19は間接的にホッパゲートの開度を検出するものということができる。
【0064】
[計量装置用ホッパゲート駆動機構の動作]
1.テーブルデータの内容
図3は、本発明の第1実施形態のテーブルデータの一例を示す図である。図3に示すように、本実施形態のテーブルデータは、ステッピングモータ15の角度とステッピングモータ15を駆動する際に制御装置21がドライバ17へと出力するパルスの間隔(以下、パルス間隔)とが対になったデータである。本実施形態ではパルス間隔が、ステッピングモータ15のトルクを調整するためのパラメータ(トルク調整パラメータ)である。すなわち、パルス間隔の時間変化率によってステッピングモータの加速度が決定され、これによりステッピングモータのトルクも決定される。以下、角度が90度の時にホッパゲート11が全開となるものとして説明するが、角度とホッパゲート11の開度との具体的な対応関係は限定されないことは言うまでもない。
【0065】
図3に例示されているテーブルデータは、ホッパゲート11を開く際、角度が0度以上10度未満である場合にはパルス間隔を30msecとしてパルスが出力され、角度が10度以上40度未満である場合にはパルス間隔を20msecとしてパルスが出力され、角度が40度以上60度未満である場合にはパルス間隔を5msecとしてパルスが出力され、角度が60度以上90度以下である場合にはパルス間隔を25msecとしてパルスが出力されることを示す。一般的に、ホッパゲート11が開き始める際には、止まっているホッパゲート11の慣性に打ち勝つために大きなトルクが必要であり、パルス間隔は大きく設定される。また、ホッパゲート11が開き終わる直前には、動いているホッパゲート11を止めるために大きなトルクが必要であり、パルス間隔が大きく設定される。実際には、それぞれの角度においてホッパゲート11を駆動するのに必要なトルクに応じて、適宜パルス間隔が設定されればよい。
【0066】
なお、本実施形態では、ホッパゲート11を開く場合にだけ開度に応じたステッピングモータ15の制御が行なわれる。ホッパゲート11を閉じる場合には、例えば一定速度でステッピングモータ15を回転したり、スプリングの収縮力を用いるなど、周知の方法が利用できる。
【0067】
2.テーブルデータの設定
図4は、本発明の第1実施形態において制御装置21が実行するテーブルデータの設定プログラムの一例を示すフローチャートである。
【0068】
テーブルデータの設定が開始されると(スタート)、まず制御装置21により、0番目の角度として0度が設定され(ステップS101)、変数iに1が代入される。代入された値はメモリ25に記憶される(ステップS102)。
【0069】
次に、制御装置21は入出力装置27の画面上に、i番目の角度を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、0度から90度までの間の所定の角度を入力する。入力された角度はiと関連付けられてメモリ25に記憶される(ステップS103)。
【0070】
本実施形態のテーブルデータはホッパゲート11を開く場合に用いられるものであるから、iが大きくなると共に角度も大きくなる必要がある。そこで、i番目の角度の入力が終ると、制御装置21によりi番目の角度が(i−1)番目の角度以下であるか否かの判定が行なわれる(ステップS104)。
【0071】
ステップS104での判定結果がYESの場合には、制御装置21はステップS103(i番目の角度の入力)へと戻る。
【0072】
ステップS104での判定結果がNOの場合には、制御装置21は入出力装置27の画面上に、(i−1)番目の角度からi番目の角度までの間に制御装置21が出力すべきパルスのパルス間隔を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、所定のパルス間隔を入力する。入力されたパルス間隔はiと関連付けられてメモリ25に記憶される(ステップS105)。
【0073】
パルス間隔の入力が終ると、制御装置21によりi番目の角度が90度以上であるか否かの判定が行なわれる(ステップS106)。
【0074】
ステップS106での判定結果がNOの場合、制御装置21はiに1を加え(ステップS107)、ステップS103へと戻る。
【0075】
ステップS106での判定結果がYESの場合、制御装置21はi番目の角度に90度を代入し(ステップS108)、テーブルデータの設定を終了する(エンド)。
【0076】
以上のようなステップにより、図3に示したようなテーブルデータの入力が行なわれる。
【0077】
3.テーブルデータに基づくホッパゲートの駆動
図5は、本発明の第1実施形態において制御装置21が実行するホッパゲートの駆動プログラムの一例を示すフローチャートである。
【0078】
プログラムが開始されると(スタート)、まず制御装置21は入出力装置27の画面上に、ホッパゲート11をどの程度開くか(目標開度)を、開度に対応する角度(目標角度)として入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、0度から90度までの間の所定の角度を目標角度として入力する。制御装置21は入力された目標角度をメモリ25に記憶する(ステップS201)。
【0079】
目標角度の入力が完了すると、制御装置21により現在角度(変数)に0度が代入される。代入された値はメモリ25(あるいはCPUのバッファメモリ)に記憶される(ステップS202)。
【0080】
次に、制御装置21はメモリ25に記憶されたテーブルデータを検索して、現在角度に対応する開方向のパルス間隔データを読み込み(ステップS203)、読み込んだパルス間隔をタイマ24へセットする(ステップS204)。
【0081】
タイマ24はセットされたパルス間隔に基づいて経過時間をカウントする。制御装置21は、タイマ24と通信してパルス間隔が経過したか否かを判定する(ステップS205)。
【0082】
パルス間隔が経過すると、制御装置21はエンコーダ19から、その時点におけるモータの回転軸の角度を受け取って現在角度としてメモリ25(あるいはCPUのバッファメモリ)に記憶し(ステップS206)、現在角度が目標角度以上になっていないか判定する(ステップS207)。
【0083】
ステップS207での判定結果がNOの場合、ホッパゲート11はまだ目標開度に到達していないということになるので、ゲートが開く方向へモータが回転するようにパルスが出力され(ステップS208)、再びステップS203に戻る。
【0084】
ステップS207での判定結果がYESの場合、ホッパゲート11はすでに目標開度に到達したということになるので、制御装置21はホッパゲート11を開く動作を終了する(エンド)。
【0085】
[効果]
本実施形態では、エンコーダにより検出されたホッパゲートの開度が予め設定された目標開度に一致しているか否かが判定され(ステップS207)、一致していないと判定された場合にステッピングモータの回転が継続される(ステップS208)。かかる構成では、簡潔な装置構成および制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でもホッパゲートを確実に目標開度へと到達させることができる。
【0086】
メモリに記憶されているテーブルデータと、エンコーダによって検出されたホッパゲートの開度とに基づいて、ステッピングモータが制御される。すなわち、エンコーダによって検出されたホッパゲートの開度に基づいてテーブルデータを検索することでエンコーダによって検出されたホッパゲートの開度に対応するパルス間隔が特定され(ステップS203)、該特定されたパルス間隔に基づいてステッピングモータが制御される。テーブルデータには、ステッピングモータの角度(ホッパゲートの開度)に応じて必要なトルクが実現されるようにパルス間隔が設定されている(図3)。かかる構成では、脱調が発生した場合でも、実際のホッパゲートの開度に対応した適切なトルクが実現されるようにステッピングモータが制御される。よって、脱調が発生しても迅速かつ確実に、ホッパゲートを目標開度へと到達させることができる。
【0087】
入出力装置によりモータ駆動用データを操作者が適宜に設定し変更できるため、例えばホッパゲートの種類が変更されたような場合でも、ホッパゲートの開度(位置)に応じた適切なトルクが実現されるようにステッピングモータの制御を行ない、より迅速にホッパゲートを所定の開度へと到達させることができる。同様に入力装置により目標開度も操作者において任意に設定できるため、被計量物の種類や量に応じてホッパゲートの最大開度を適切に調整できる。
【0088】
[変形例]
テーブルデータは、ホッパゲートの開度に関するパラメータと、トルク調整パラメータとが含まれる。
【0089】
ホッパゲートの開度に関するパラメータとしては、角度(ステッピングモータの回転軸の回転角)の代わりに、開度(ホッパゲートの開度)が設定されてもよい。あるいは、最大角度や最大開度に対する割合(%)であってもよい。ホッパゲートの開度と対応関係を有するパラメータであれば、ホッパゲートの開度に関するパラメータとして用いる具体的なパラメータの種類は限定されない。
【0090】
トルク調整パラメータとしては、パルス間隔(パルス周期)の代わりに、パルス間隔(パルス周期)の時間変化率、パルス周波数、パルス周波数の時間変化率、ホッパゲートの速度、ホッパゲートの加速度、電流、電流の時間変化率、電圧、電圧などを用いてもよい。あるいは、これらのパラメータの最大値に対する割合などが用いられてもよい。ステッピングモータのトルクを調整できるパラメータであれば、トルク調整パラメータとして用いる具体的なパラメータの種類は限定されない。
【0091】
テーブルデータの構造は、ホッパゲートの開度とステッピングモータのトルクとを対応付けられる構造であれば特に限定されない。
【0092】
目標値(1回の開閉におけるホッパゲートの最大開度を設定するための値)は目標角度に限定されず、ホッパゲートの開度と対応関係を有するパラメータであればどのようなパラメータを用いて目標値が設定されてもよい。テーブルデータに含まれるパラメータと異なるパラメータを用いて目標値が設定されてもよい。
【0093】
エンコーダはステッピングモータの角度を検出する代わりに、ホッパゲートに取り付けられてホッパゲートの開度を直接的に検出してもよい。あるいは、リンク機構を構成する部材(例えばレバーなど)の位置を検出することで、間接的にホッパゲートの開度が検出されてもよい。ホッパゲートの開度を直接あるいは間接に特定できるものであれば、エンコーダを取り付ける具体的な位置やエンコーダによる検出の対象は限定されない。
【0094】
入出力装置27は必須要素ではなく、省略されてもよい。
【0095】
(第2実施形態)
第1実施形態はホッパゲートを開く際の制御を対象とするが、第2実施形態はホッパゲートを開く際に加え、閉じる際の制御をも対象とする点で異なる。
【0096】
計量装置の全体構成および全体動作については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する(図1参照)。また、第2実施形態の計量装置用ホッパゲート駆動機構の概略構成についても、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する(図2参照)。
【0097】
[計量装置用ホッパゲート駆動機構の動作]
1.テーブルデータの内容
図6は、本発明の第2実施形態のテーブルデータの一例を示す図である。図3に示すように、本実施形態のテーブルデータは、ゲートの駆動方向(開および閉)と角度とパルス間隔とが互いに対応付けられて一つの行をなすように構成されたデータである。以下、角度が90度の時にホッパゲート11が全開となるものとして説明するが、角度とホッパゲート11の開度との具体的な対応関係は限定されない。
【0098】
図6に例示されているテーブルデータは、ホッパゲート11を開く際、角度が0度以上10度未満である場合にはパルス間隔を30msecとしてパルスが出力され、角度が10度以上40度未満である場合にはパルス間隔を20msecとしてパルスが出力され、角度が40度以上60度未満である場合にはパルス間隔を5msecとしてパルスが出力され、角度が60度以上90度以下である場合にはパルス間隔を25msecとしてパルスが出力されることを示す。また該テーブルデータは、ホッパゲート11を閉じる際、角度が70度以上90度以下である場合にはパルス間隔を30msecとしてパルスが出力され、角度が20度以上70度未満である場合にはパルス間隔を20msecとしてパルスが出力され、角度が0度以上20度未満である場合にはパルス間隔を25msecとしてパルスが出力されることを示す。一般的に、ホッパゲートを動かし始める際には、止まっているゲートの慣性に打ち勝つために大きなトルクが必要であり、パルス間隔は大きく設定される。また、止める直前には、動いているホッパゲート11を止めるために大きなトルクが必要であり、パルス間隔が大きく設定される。実際には、それぞれの角度においてホッパゲート11を駆動するのに必要なトルクに応じて、適宜パルス間隔が設定されればよい。
【0099】
2.テーブルデータの設定
図7は、本発明の第2実施形態において制御装置21が実行するテーブルデータの設定プログラムの一例を示すフローチャートである。
【0100】
テーブルデータの設定が開始されると(スタート)、まず制御装置21により、0番目の角度として0度が設定され(ステップS301)、変数iに1が代入される。代入された値はメモリ25に記憶される(ステップS302)。
【0101】
次に、制御装置21は入出力装置27の画面上に、i番目の角度を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、0度から90度までの間の所定の角度を入力する。入力された角度はiと関連付けられてメモリ25に記憶される(ステップS303)。
【0102】
ステップS303で入力されるデータはホッパゲート11を開く場合に用いられるものであるから、iが大きくなると共に角度も大きくなる必要がある。そこで、i番目の角度の入力が終ると、制御装置21によりi番目の角度が(i−1)番目の角度以下であるか否かの判定が行なわれる(ステップS304)。
【0103】
ステップS304での判定結果がYESの場合には、制御装置21はステップS303(i番目の角度の入力)へと戻る。
【0104】
ステップS304での判定結果がNOの場合には、制御装置21は入出力装置27の画面上に、(i−1)番目の角度からi番目の角度までの間に制御装置21が出力すべきパルスのパルス間隔を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、所定のパルス間隔を入力する。入力されたパルス間隔はiと関連付けられてメモリ25に記憶される(ステップS305)。
【0105】
パルス間隔の入力が終ると、制御装置21によりi番目の角度が90度以上であるか否かの判定が行なわれる(ステップS306)。
【0106】
ステップS306での判定結果がNOの場合、制御装置21はiに1を加え(ステップS307)、ステップS303へと戻る。
【0107】
ステップS106での判定結果がYESの場合、制御装置21はi番目の角度に90度を代入し(ステップS308)、iに1を加える(ステップS309)。
【0108】
次に、制御装置21は入出力装置27の画面上に、i番目の角度を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、0度から90度までの間の所定の角度を入力する。入力された角度はiと関連付けられてメモリ25に記憶される(ステップS310)。
【0109】
ステップS310で入力されるデータはホッパゲート11を閉じる場合に用いられるものであるから、iが大きくなると共に角度も小さくなる必要がある。そこで、i番目の角度の入力が終ると、制御装置21によりi番目の角度が(i−1)番目の角度以上であるか否かの判定が行なわれる(ステップS311)。
【0110】
ステップS311での判定結果がYESの場合には、制御装置21はステップS310(i番目の角度の入力)へと戻る。
【0111】
ステップS311での判定結果がNOの場合には、制御装置21は入出力装置27の画面上に、(i−1)番目の角度からi番目の角度までの間に制御装置21が出力すべきパルスのパルス間隔を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、所定のパルス間隔を入力する。入力されたパルス間隔はiと関連付けられてメモリ25に記憶される(ステップS312)。
【0112】
パルス間隔の入力が終ると、制御装置21によりi番目の角度が0度以下であるか否かの判定が行なわれる(ステップS313)。
【0113】
ステップS313での判定結果がNOの場合、制御装置21はiに1を加え(ステップS314)、ステップS310へと戻る。
【0114】
ステップS313での判定結果がYESの場合、制御装置21はi番目の角度に0度を代入し(ステップS315)、テーブルデータの設定を終了する(エンド)。
【0115】
以上のようなステップにより、図6に示したようなテーブルデータの入力が行なわれる。
【0116】
3.テーブルデータに基づくホッパゲートの駆動
図8は、本発明の第2実施形態において制御装置21が実行するホッパゲートの駆動プログラムの一例を示すフローチャートである。
【0117】
プログラムが開始されると(スタート)、まず制御装置21は入出力装置27の画面上に、ホッパゲート11をどの程度開くか(目標開度)を、開度に対応する角度(目標角度)として入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、0度から90度までの間の所定の角度を目標角度として入力する。また、制御装置21は入出力装置27の画面上に、ホッパゲート11を開いた状態でどの程度維持するか(待機時間)を入力するように促する表示をし、操作者はこれを受けて入出力装置27を操作し、所定の時間(例えばmsec単位)を待機時間として入力する。制御装置21は入力された目標角度および待機時間をメモリ25に記憶する(ステップS401)。
【0118】
目標角度および待機時間の入力が完了すると、制御装置21により現在角度(変数)に0度が代入される。代入された値はメモリ25(あるいはCPUのバッファメモリ)に記憶される(ステップS402)。
【0119】
次に、制御装置21はメモリ25に記憶されたテーブルデータを検索して、現在角度に対応する開方向のパルス間隔データを読み込み(ステップS403)、読み込んだパルス間隔データをタイマ24へセットする(ステップS404)。
【0120】
タイマ24はセットされたパルス間隔データに基づいて経過時間をカウントする。制御装置21は、タイマ24と通信してパルス間隔が経過したか否かを判定する(ステップS405)。
【0121】
パルス間隔が経過すると、制御装置21はエンコーダ19から、その時点におけるモータの回転軸の角度を受け取って現在角度としてメモリ25(あるいはCPUのバッファメモリ)に記憶し(ステップS406)、現在角度が目標角度以上になっていないか判定する(ステップS407)。
【0122】
ステップS407での判定結果がNOの場合、ホッパゲート11はまだ目標開度に到達していないということになるので、ゲートが開く方向へモータが回転するようにパルスが出力され(ステップS408)、再びステップS403に戻る。
【0123】
ステップS407での判定結果がYESの場合、ホッパゲート11はすでに目標開度に到達したということになるので、制御装置21は待機時間をタイマ24へセットする(ステップS409)。
【0124】
タイマ24はセットされた待機時間に基づいて経過時間をカウントする。制御装置21は、タイマ24と通信して待機時間が経過したか否かを判定する(ステップS410)。
【0125】
待機時間が経過すると、制御装置21はメモリ25に記憶されたテーブルデータを検索して、現在角度に対応する閉方向のパルス間隔データを読み込み(ステップS411)、読み込んだパルス間隔をタイマ24へセットする(ステップS412)。
【0126】
タイマ24はセットされたパルス間隔に基づいて経過時間をカウントする。制御装置21は、タイマ24と通信してパルス間隔が経過したか否かを判定する(ステップS413)。
【0127】
パルス間隔が経過すると、制御装置21はエンコーダ19から、その時点におけるモータの回転軸の角度を受け取って現在角度としてメモリ25(あるいはCPUのバッファメモリ)に記憶し(ステップS414)、現在角度が0度以下になっていないか判定する(ステップS415)。
【0128】
ステップS415での判定結果がNOの場合、ホッパゲート11はまだ完全に閉じていないということになるので、ゲートが閉じる方向へモータが回転するようにパルスが出力され(ステップS416)、再びステップS411に戻る。
【0129】
ステップS415での判定結果がYESの場合、ホッパゲート11はすでに完全に閉じたということになるので、制御装置21はホッパゲート11を閉じる動作を終了する(エンド)。
【0130】
[効果]
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0131】
さらに本実施形態では、ホッパゲートを閉じる際に、エンコーダを用いてホッパゲートが閉じているか否かが判定され(ステップS415)、閉じていないと判定された場合にステッピングモータの回転が継続される(ステップS416)。かかる構成では、簡潔な装置構成および制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でもホッパゲートを確実に閉じることができる。
【0132】
また、本実施形態では、ホッパゲートを閉じる際にも、メモリに記憶されているテーブルデータと、エンコーダによって検出されたホッパゲートの開度とに基づいて、ステッピングモータが制御される。すなわち、エンコーダによって検出されたホッパゲートの開度に基づいてテーブルデータを検索することでエンコーダによって検出されたホッパゲートの開度に対応するパルス間隔が特定され(ステップS412)、該特定されたパルス間隔に基づいてステッピングモータが制御される。テーブルデータには、ステッピングモータの角度(ホッパゲートの開度)に応じて必要なトルクが実現されるようにパルス間隔が設定されている(図6)。かかる構成では、脱調が発生した場合でも、実際のホッパゲートの開度に対応した適切なトルクが実現されるようにステッピングモータが制御される。よって、脱調が発生しても迅速かつ確実に、ホッパゲートを閉じることができる。
【0133】
[変形例]
本実施形態でも第1実施形態と同様の変形例が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明に係る計量装置および計量装置におけるホッパゲートの駆動方法は、簡潔な装置構成および制御方法により、ステッピングモータに脱調が発生した場合でも確実に目標開度へと到達させることができる計量装置および計量装置におけるホッパゲートの駆動方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態の組合せ秤の概略構成を示す。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態の計量装置用ホッパゲート駆動機構の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態のテーブルデータの一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態において制御装置が実行するテーブルデータの設定プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態において制御装置が実行するホッパゲートの駆動プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態のテーブルデータの一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態において制御装置が実行するテーブルデータの設定プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態において制御装置が実行するホッパゲートの駆動プログラムの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0136】
10 計量装置用ホッパゲート駆動機構
11 ホッパゲート
13 リンク機構(動力伝達機構)
15 ステッピングモータ
17 ドライバ
19 エンコーダ
21 制御装置
23 CPU
24 タイマ
25 メモリ
27 入出力装置
100 組合せ秤
101 ボディ
102 分散装置
104 直進フィーダ
106 供給ホッパ
108 計量ホッパ
110 アクチュエータユニット
112 フレーム
114 ベース
116 ユニット取付口
118 ホッパ取付フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステッピングモータと、
前記ステッピングモータによって駆動されるホッパゲートと、
前記ホッパゲートの開度を検出するエンコーダと、
前記エンコーダおよび前記ステッピングモータに通信可能に接続された制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記エンコーダにより検出された前記ホッパゲートの開度が、予め設定された目標開度に一致しているか否かを判定し、一致していないと判定した場合に前記ステッピングモータの回転を継続させるように構成されている、計量装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ホッパゲートの開度に関するパラメータと前記ステッピングモータのトルクを調整するトルク調整パラメータとが互いに対応付けられてモータ駆動用データとして記憶されている記憶装置を備え、
前記制御装置は、前記モータ駆動用データと前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度とに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動するように構成されている、請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に基づいて前記モータ駆動用データを検索することで前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に対応するトルク調整パラメータを特定し、該特定されたトルク調整パラメータに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動するように構成されている、請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記ホッパゲートの開度に関するパラメータはホッパゲートの開度である、請求項2に記載の計量装置。
【請求項5】
前記ホッパゲートの開度に関するパラメータはステッピングモータの回転角である、請求項2に記載の計量装置。
【請求項6】
前記トルク調整パラメータは、パルス周期、パルス周期の時間変化率、パルス周波数、パルス周波数の時間変化率、ホッパゲートの速度、ホッパゲートの加速度、電流、電流の時間変化率、電圧、電圧の時間変化率よりなる群より取り出した少なくとも一つのパラメータを含む、請求項2に記載の計量装置。
【請求項7】
前記エンコーダは前記ホッパゲートの開度を直接検出するように構成されている、請求項1に記載の計量装置。
【請求項8】
前記エンコーダはステッピングモータの回転角を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されている、請求項1に記載の計量装置。
【請求項9】
前記ステッピングモータの回転力を前記ホッパゲートの駆動力へと変換する動力伝達機構を備え、
前記エンコーダは前記動力伝達機構を構成する部材の位置を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されている、請求項1に記載の計量装置。
【請求項10】
前記モータ駆動用データの入力を受け付けて前記入力されたモータ駆動用データを前記記憶装置に記憶させるように構成された入力装置を備える、請求項1に記載の計量装置。
【請求項11】
前記予め設定された目標開度の入力を受け付け可能に構成された入力装置を備える、請求項1に記載の計量装置。
【請求項12】
前記モータ駆動用データは、前記ホッパゲートの開方向駆動および閉方向駆動のそれぞれについて前記ホッパゲートの開度と前記トルク調整パラメータとが互いに対応付けられている、請求項1に記載の計量装置。
【請求項13】
ステッピングモータと、
前記ステッピングモータによって駆動されるホッパゲートと、
前記ホッパゲートの開度を検出するエンコーダと、を備えた計量装置におけるホッパゲートの駆動方法であって、
前記エンコーダにより検出された前記ホッパゲートの開度が、予め設定された目標開度に一致しているか否かを判定し、一致していないと判定した場合に前記ステッピングモータの回転を継続させる、計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項14】
前記ホッパゲートの開度に関するパラメータと前記ステッピングモータのトルクを調整するトルク調整パラメータとを互いに対応付けてモータ駆動用データとして記憶するステップと、
前記モータ駆動用データと前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度とに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動するステップとを有する、請求項13に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項15】
前記ホッパゲートを駆動するステップは、前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に基づいて前記モータ駆動用データを検索することで前記エンコーダによって検出された前記ホッパゲートの開度に対応するトルク調整パラメータを特定し、該特定されたトルク調整パラメータに基づいて前記ステッピングモータを制御することにより前記ホッパゲートを駆動する、請求項14に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項16】
前記ホッパゲートの開度に関するパラメータはホッパゲートの開度である、請求項14に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項17】
前記ホッパゲートの開度に関するパラメータはステッピングモータの回転角である、請求項14に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項18】
前記トルク調整パラメータは、パルス周期、パルス周期の時間変化率、パルス周波数、パルス周波数の時間変化率、ホッパゲートの速度、ホッパゲートの加速度、電流、電流の時間変化率、電圧、電圧の時間変化率よりなる群より取り出した少なくとも一つのパラメータを含む、請求項14に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項19】
前記エンコーダは前記ホッパゲートの開度を直接検出するように構成されている、請求項13に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項20】
前記エンコーダはステッピングモータの回転角を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されている、請求項13に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項21】
前記計量装置は前記ステッピングモータの回転力を前記ホッパゲートの駆動力へと変換する動力伝達機構を備えるものであり、
前記エンコーダは前記動力伝達機構を構成する部材の位置を検出することにより前記ホッパゲートの開度を間接的に検出するように構成されている、請求項13に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項22】
前記モータ駆動用データとして記憶するステップは、前記ホッパゲートの開方向駆動について前記ホッパゲートの開度と前記トルク調整パラメータとを互いに対応付けて記憶するものである、請求項14に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項23】
前記予め設定された目標開度の入力を受け付けるステップを有する、請求項13に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。
【請求項24】
前記モータ駆動用データとして記憶するステップは、前記ホッパゲートの開方向駆動および閉方向駆動のそれぞれについて前記ホッパゲートの開度と前記トルク調整パラメータとを互いに関連付けて記憶するものである、請求項13に記載の計量装置におけるホッパゲートの駆動方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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