説明

設置型充電システム

【課題】コストを上昇させることなく、確実に制御ユニットに充電ユニットからのデータを受信させることができる設置型充電システムを提供する。
【解決手段】直流充電電力を用いて車両に搭載されたバッテリーを充電する設置型充電システム1であって、直流充電電力を生成する電源部2と、電源部2を構成する複数の充電ユニット3(CHG1〜9)と、制御ユニット(MCU)5と、制御ユニット5と複数の充電ユニット3との間でデータの送受信を可能にする第1CAN通信ライン6とを備え、充電ユニット3は、制御ユニット5から送信された制御指令データを受信して充電ユニット状態データを作成する一方、制御ユニット5は、複数の充電ユニット3を充電ユニットグループ4−1、4−2、4−3にグルーピングするとともに、制御指令データを送信するタイミングをずらすことにより、充電ユニット状態データを受信するタイミングをずらせることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリーを充電する設置型充電システムに関し、特に複数の充電ユニットを備えた設置型充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両外部から供給される電力を用いてバッテリーを充電する手法は、車両に搭載された車載充電器を用いる手法と、充電ステーション等にある設置型充電システムを用いる手法とに大別される。
このうち前者の手法においては、車載充電器と家庭用コンセントとを接続し、車載充電器により、例えばAC100VをDC200Vに変換し、DC200Vの充電電力で比較的ゆっくりとバッテリーを充電する。
一方、後者の手法においては、設置型充電システムにより、例えばAC200VをDC400Vに変換し、DC400Vの充電電力でバッテリーを急速充電する。
【0003】
設置型充電システムとしては、例えば、図5に示すように、1個の充電ユニット(CHG)103からなる電源部102と、充電ユニット103を制御する制御ユニット(MCU)105と、制御ユニット105と充電ユニット103との間でデータの送受信を可能にする第1CAN通信ライン106と、充電ガン(コネクタ)109を介して制御ユニット105と車両との間でデータの送受信を可能にする第2CAN通信ライン107と、充電開始等の操作を行うための液晶タッチパネルからなるI/F部108とを備えたものが知られている。
【0004】
この設置型充電システム100では、電源部102を構成する1個の充電ユニット103により交流の入力電力が直流の充電電力に変換されて、該充電電力が充電ガン109を介して車両に供給される。
この他、1個の充電ユニットからなる電源部を備えた設置型充電システムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0005】
また、近年では充電時間の短縮のために高出力化が求められており、高出力化を実現した設置型充電システムとしては、複数の充電ユニットにより電源部を構成したものが知られている。
この設置型充電システムでは、各充電ユニットから出力される直流電力を足し合わせたものを充電電力とすることで、高出力化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−95157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般に設置型充電システムでは、電源部の状態に関する車両側からの問い合わせに対して、CHAdeMO規格により定められた所定時間内に、電源部の状態に関するデータ(電源部状態データ)を車両側に送信することが義務付けられている。
【0008】
この点、複数の充電ユニットを備えた従来の設置型充電システムでは、まず、各充電ユニットが自己の状態(故障の有無等)に関する充電ユニット状態データを作成し、次いで、制御ユニットが各充電ユニットから充電ユニット状態データを受信し、受信した充電ユニット状態データに基づいて電源部状態データを作成して、該電源部状態データを車両側に送信している。
【0009】
しかしながら、従来の設置型充電システムでは、各充電ユニットから制御ユニットに一斉に充電ユニット状態データが送信されるので、制御ユニットは、一回の受信で全充電ユニットの充電ユニット状態データを受信することになり、充電ユニットの数によっては制御ユニットの処理能力を超えてしまうことがある。
制御ユニットの処理能力を超えてしまうと、制御ユニットはデータの受信に失敗する場合があり、その場合、制御ユニットは再度、全充電ユニットの充電ユニット状態データを受信しようとする。
このため、従来の設置型充電システムでは、CHAdeMO規格で定められた所定時間内に、車両への電源部状態データの送信を完了させることができなくなるおそれがあった。
【0010】
なお、処理能力の高い高価な制御ユニットを用いることで、一回の受信で全充電ユニットの充電ユニット状態データを受信することができるが、その場合は、コストアップといった新たな問題が生じてしまう。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、コストを上昇させることなく、確実に制御ユニットに充電ユニットからのデータを受信させることができる設置型充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る設置型充電システムは、交流入力電力に基づいて生成した直流充電電力を用いて車両に搭載されたバッテリーを充電する設置型充電システムであって、
交流入力電力に基づいて直流充電電力を生成する電源部と、電源部を構成する複数の充電ユニットと、複数の充電ユニットを制御する制御ユニットと、制御ユニットと複数の充電ユニットとの間でデータの送受信を可能にする第1CAN通信ラインと、を備え、
複数の充電ユニットの各々は、制御ユニットから送信された制御指令データを受信して、該充電ユニットの状態に関する充電ユニット状態データを作成する一方、
制御ユニットは、複数の充電ユニットを複数の充電ユニットグループにグルーピングするとともに、制御指令データを複数の充電ユニットグループのうち少なくとも1つの充電ユニットグループに送信するタイミングと、他の充電ユニットグループに送信するタイミングとをずらすことにより、複数の充電ユニットから充電ユニット状態データを受信するタイミングをずらせることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、制御ユニットに充電ユニット状態データを受信させるタイミングをずらしているので、制御ユニットが一度に受信する充電ユニット状態データの数を減らすことができる。
したがって、この構成によれば、処理能力の高い高価な制御ユニットを用いることなく、確実に制御ユニットに充電ユニットからのデータを受信させることができる。
【0014】
上記設置型充電システムは、制御ユニットが、制御指令データを送信するタイミングを充電ユニットグループごとにずらすことにより、充電ユニット状態データを受信するタイミングを充電ユニットグループごとにずらしていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、制御ユニットに充電ユニット状態データを受信させるタイミングを分散させることができる。
したがって、この構成によれば、制御ユニットが一度に受信する充電ユニット状態データの数をさらに減らすことができるので、より確実に制御ユニットに充電ユニットからのデータを受信させることができる。
【0016】
また、上記設置型充電システムは、制御ユニットと車両との間でデータの送受信を可能にする第2CAN通信ラインをさらに備え、
上記制御ユニットは、第2CAN通信ラインを介して車両から送信された車両側指令データを受信した後の所定時間内に、複数の充電ユニットから充電ユニット状態データを受信し、該充電ユニット状態データに基づいて電源部の状態に関する電源部状態データを作成し、車両への該電源部状態データの送信を完了させるように、制御指令データを送信するタイミングのずれ量を決めていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、例えばCHAdeMO規格で定められた所定時間内に、車両への電源部状態データの送信を確実に完了させることができる。
【0018】
上記設置型充電システムにおける充電ユニット状態データは、例えば、充電ユニットの故障情報を含むものとし、上記電源部状態データは、例えば、充電ユニットの故障情報に基づいて作成された電源部の故障情報を含むものとする。
【0019】
上記設置型充電システムにおける交流入力電力は、3相の交流電力であり、上記充電ユニットグループは、3相のうちの任意の1相の交流電力がそれぞれ入力される3つの充電ユニットから構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コストを上昇させることなく、確実に制御ユニットに充電ユニットからのデータを受信させることができる設置型充電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る設置型充電システムのブロック図である。
【図2】本発明における充電ユニットのブロック図である。
【図3】本発明に係る設置型充電システムの一連の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る設置型充電システムの起動時におけるタイミングチャートである。
【図5】従来の設置型充電システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る設置型充電システムの好ましい実施形態について説明する。
【0023】
[設置型充電システムの構成]
図1に、本発明の一実施形態に係る設置型充電システム1のブロック図を示す。
同図に示すように、設置型充電システム1は、複数(本実施形態では9個)の充電ユニット3(CHG1〜9)からなる電源部2と、各充電ユニット3を制御する制御ユニット(MCU)5と、制御ユニット5と各充電ユニット3との間でデータの送受信を可能にする第1CAN通信ライン6と、充電ガン(コネクタ)9を介して制御ユニット5と車両との間でデータの送受信を可能にする第2CAN通信ライン7と、充電開始等の操作を行うための液晶タッチパネルからなるI/F部8とを備えている。
【0024】
各充電ユニット3は、第1CAN通信ライン6に並列に接続されており、制御ユニット5により、それぞれ3個の充電ユニット3で構成された第1充電ユニットグループ4−1(CHG1〜3)、第2充電ユニットグループ4−2(CHG4〜6)、および第3充電ユニットグループ4−3(CHG7〜9)にグルーピングされている。
【0025】
電源部2に供給される入力電力は、3相の交流電力であり、各充電ユニットグループ4−1、4−2、4−3を構成する3個の充電ユニット3には、3相のうちの任意の1相の交流電力がそれぞれ入力される。例えば、4−1がU相、4−2がV相、4−3がW相というように入力される。
【0026】
図2に、充電ユニット3のブロック図を示す。
同図に示すように、充電ユニット3は、上記1相の交流電力を整流および平滑して直流電力を生成する整流平滑回路10と、該整流平滑回路10で生成された直流電力をスイッチ手段12a〜12dでスイッチングして充電電力となる直流電力に変換するDC/DCコンバータ回路11と、第1CAN通信ライン6を介して制御ユニット5との間でデータの送受信を行うとともに、スイッチ手段12a〜12dのデューティ比の制御を行う制御回路15とを備えている。
【0027】
整流平滑回路10は、ダイオードブリッジ回路16と、平滑コンデンサ17と、不図示の力率改善回路とを有している。
DC/DCコンバータ回路11は、IGBTやMOSFET等の4つのスイッチ手段12a〜12dからなるインバータ回路12と、トランスからなる昇圧回路13と、トランスの二次側に接続された出力回路14とを有している。
出力回路14は、ダイオードブリッジ回路18と、コイル19および平滑コンデンサ20からなるLCローパスフィルタと、数mΩのシャント抵抗21とを有している。
【0028】
また、充電ユニット3は、シャント抵抗21に流れる直流電流を検出する電流検出回路22と、LCローパスフィルタ経由後の直流電圧を検出する電圧検出回路23とを備えている。
【0029】
制御回路15は、第1CAN通信ライン6を介して制御ユニット5との間でデータの送受信を行う。
具体的には、制御回路15は、整流平滑回路10およびDC/DCコンバータ回路11の故障の有無を判断する故障診断機能を有しており、制御ユニット5から制御指令データを受信して充電ユニット3の状態に関する充電ユニット状態データを作成し、第1CAN通信ライン6を介して該充電ユニット状態データを制御ユニット5に送信する。
充電ユニット状態データには、充電ユニット3の識別情報(ID)、充電ユニット3の故障情報(故障コード)、電流検出回路22および電圧検出回路23で検出された電流値および電圧値に関する情報等が含まれる。
【0030】
再び図1を参照して、制御ユニット5は、第2CAN通信ライン7を介して車両との間でデータの送受信を行う。
具体的には、制御ユニット5は、各充電ユニット3から充電ユニット状態データを受信すると、該充電ユニット状態データに含まれる充電ユニット3の故障情報等に基づいて、電源部2の故障情報等を含む電源部状態データを作成し、第2CAN通信ライン7を介して該電源部状態データを車両に送信する。
【0031】
[設置型充電システムの動作]
次に、図3を参照して、設置型充電システム1の一連の動作について説明する。
【0032】
設置型充電システム1では、主電源がオンされると、制御ユニット5および各充電ユニット3が起動し、制御ユニット5により各充電ユニット3のグルーピングが行われる。このグルーピングに関しては後述する。
【0033】
グルーピングが完了すると、設置型充電システム1は「充電待機(S1)」の状態になり、「充電待機(S1)」の状態中にI/F部8に表示されている充電開始ボタンが押されると、設置型充電システム1は「充電開始(S2)」の状態になる。
【0034】
「充電開始(S2)」の状態になると、第2CAN通信ライン7を介して制御ユニット5と車両との間でデータの送受信が開始される。
具体的には、制御ユニット5は、車両から送信されたバッテリーの容量等を含むバッテリー状態データを受信し、該バッテリー状態データに基づいて車両との適合性を判断した後に、電源部2の故障情報等を含む電源部状態データを送信する。
車両は、電源部状態データを受信し、該電源部状態データに基づいて設置型充電システム1との適合性を判断した後に、充電を許可するための車両側指令データを制御ユニット5に送信する。
【0035】
制御ユニット5が車両側指令データを受信すると、設置型充電システム1は「コネクタロック(S3)」の状態になり、制御ユニット5の制御下で充電ガン(コネクタ)9を車両にロックするコネクタロック処理が行われる。
【0036】
コネクタロック処理が完了すると、設置型充電システム1は「絶縁チェック(S4)」の状態になり、短時間電圧を印加して充電ガン9にショート等が発生していないことを確認する絶縁チェック処理が行われる。
【0037】
絶縁チェック処理が完了すると、設置型充電システム1は「充電中(S5)」の状態になり、車両から送信された目標充電電流値に関する車両側指令データに基づく充電が行われる。
目標充電電流値に関する車両側指令データは、第2CAN通信ライン7を介して100msごとに制御ユニット5に送信される。
制御ユニット5は、車両側指令データを受信すると、該車両側指令値データに基づいて各充電ユニット3が出力する電流値に関する制御指令データを作成し、第1CAN通信ライン6を介して該制御指令データを各充電ユニット3に送信して、各充電ユニット3の出力電流を制御する。
【0038】
「充電中(S5)」の状態のときにI/F部8に表示されている充電停止ボタンが押されるか、車両から指定された充電時間がゼロになると、設置型充電システム1は「充電終了(S6)」の状態になり、充電終了処理が行われた後に「コネクタロック解除(S7)」の状態になる。
【0039】
「コネクタロック解除(S7)」の状態になると、制御ユニット5の制御下で充電ガン9のロックを解除するコネクタロック解除処理が行われ、設置型充電システム1は「充電停止(S8)」の状態になり、一連の動作が完了する。
【0040】
[制御ユニット−充電ユニット間のデータ通信]
次に、制御ユニット5−充電ユニット3間のデータ通信について具体的に説明する。
なお、本具体例では、電源部2を構成する9個の充電ユニット3は、充電ユニット(CHG1〜3)により構成された第1充電ユニットグループ4−1と、充電ユニット(CHG4〜6)により構成された第2充電ユニットグループ4−2と、充電ユニット(CHG7〜9)により構成された第3充電ユニットグループ4−3とにグルーピングされているものとする。
また、本具体例では、主電源がオンされてから200ms以内に、制御ユニット5で作成された電源部状態データが、第2CAN通信ライン7を介して車両に送信されなければいけないものとする。
【0041】
図4に、設置型充電システム1の起動時(主電源オン〜充電待機(S1))におけるタイミングチャートを示す。
同図に示すように、設置型充電システム1の主電源がオンされ、制御ユニット5および各充電ユニット3が起動し始めると、まず、各充電ユニット3の初期化が一斉に開始される。
【0042】
制御ユニット5は、各充電ユニット3の初期化が完了した後、各充電ユニット3に充電ユニット状態データを送信させるための制御指令データを作成し、該制御指令データを、第1CAN通信ライン6を介して各充電ユニット3に、充電ユニットグループ4−1、4−2、4−3ごとにタイミングをずらして送信する。
具体的には、制御ユニット5は、まず第1充電ユニットグループ4−1を構成する充電ユニット(CHG1〜3)に対して制御指令データを送信し、20ms経過後に第2充電ユニットグループ4−2を構成する充電ユニット(CHG4〜6)に対して制御指令データを送信し、さらに20ms経過後に第3充電ユニットグループ4−3を構成する充電ユニット(CHG7〜9)に対して制御指令データを送信する。
【0043】
制御指令データを送信するタイミングのずれ量は、第2CAN通信ライン7を介して車両から送信された車両側指令データを制御ユニット5が受信した後の所定時間(本具体例では200ms)内に、制御ユニット5が各充電ユニット3から充電ユニット状態データを受信して電源部状態データを作成し、車両への該電源部状態データの送信を完了させることができる値に設定されている。
例えば、各充電ユニット3が制御指令データを受信してから充電ユニット状態データを作成するのに必要な時間が90ms、制御ユニット5が最後(充電ユニット(CHG7〜9))の充電ユニット状態データを受信してから電源部状態データを作成するのに必要な時間が70msの場合、各充電ユニット3の初期化の時間を無視すると、制御指令データを送信するタイミングのずれ量は、(200ms−90ms−70ms)/(3(充電ユニットグループ数)−1)=20msとなる。
【0044】
各充電ユニット3は、制御指令データを受信すると充電ユニット状態データを作成する。
充電ユニット状態データは、作成された順に第1CAN通信ライン6を介して制御ユニット5に送信される。
すなわち、制御ユニット5は、まず第1充電ユニットグループ4−1を構成する充電ユニット(CHG1〜3)から充電ユニット状態データを受信し、20ms経過後に第2充電ユニットグループ4−2を構成する充電ユニット(CHG4〜6)から充電ユニット状態データを受信し、さらに20ms経過後に第3充電ユニットグループ4−3を構成する充電ユニット(CHG7〜9)から充電ユニット状態データを受信する。
【0045】
制御ユニット5は、すべての充電ユニット(CHG1〜9)から充電ユニット状態データを受信すると、受信した充電ユニット状態データに基づいて、電源部2の故障情報を含む電源部状態データを作成し、車両に送信する。
【0046】
なお、上記具体例では、設置型充電システム1の起動時(主電源オン〜充電待機(S1))における制御ユニット5−充電ユニット3間のデータ通信について説明したが、設置型充電システム1が他の状態の場合であっても、制御ユニット5は、制御指令データを充電ユニットグループ4−1、4−2、4−3ごとにタイミングをずらして送信する。
【0047】
結局、本実施形態に係る設置型充電システム1では、制御ユニット5が制御指令データを送信するタイミングを充電ユニットグループ4−1、4−2、4−3ごとにずらすことで、制御ユニット5が充電ユニット状態データを受信するタイミングを分散させることができる。
したがって、本実施形態に係る設置型充電システム1によれば、制御ユニット5が一度に受信する充電ユニット状態データの数を減らすことができる。
【0048】
これにより、本実施形態に係る設置型充電システム1では、一度に受信する充電ユニット状態データの数が制御ユニット5の処理能力を超えてしまうのを防ぐことができ、制御ユニット5は、第1CAN通信ライン6の所定の通信周期(本実施形態では、20ms)の間に、確実に充電ユニット状態データを受信することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る設置型充電システム1では、制御指令データを送信するタイミングのずれ量を、制御ユニット5が車両側指令データを受信してから所定時間内に、制御ユニット5が充電ユニット状態データに基づいて電源部状態データを作成し、該電源部状態データを車両へ送信することができる値に設定しているので、上記所定時間内に車両への電源部状態データの送信が完了しなくなるのを防ぐことができる。
【0050】
以上、本発明に係る設置型充電システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0051】
上記実施形態では、制御ユニット5が一度に3個の充電ユニット状態データを受信できる程度の処理能力を有しているので、充電ユニット状態データを受信するタイミングを充電ユニットグループ4−1、4−2、4−3ごとにずらしているが、制御ユニット5が一度に6個の充電ユニット状態データを受信できる程度の処理能力を有している場合は、2つの充電ユニットグループ(例えば、4−1と4−2)に送信するタイミングと、他の1つ充電ユニットグループ(例えば、4−3)に送信するタイミングとをずらしてもよい。
このように、制御ユニットの処理能力に応じて、各充電ユニットグループに送信するタイミングのずれ量の最適化を図ることで、車両への電源部状態データの送信時間に対する要求を満たしながらも、充電ユニットの設置可能台数の拡大を図ることができる。
【0052】
また、上記実施形態では、電源部2を9個の充電ユニット3で構成しているが、充電ユニット3の数は要求される充電電力に応じて任意に変更することができる。
なお、入力電力として3相の交流電力を用いる場合は、充電ユニット3の数は3の倍数であることが好ましく、各充電ユニットグループ(4−1〜4−n(n:2以上の整数))は3個の充電ユニット3で構成されていることが好ましい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、電源部2を構成する9個の充電ユニット3が、充電ユニット(CHG1〜3)で構成された第1充電ユニットグループ4−1と、充電ユニット(CHG4〜6)で構成された第2充電ユニットグループ4−2と、充電ユニット(CHG7〜9)で構成された第3充電ユニットグループ4−3とにグルーピングされているが、各充電ユニット3は第1CAN通信ライン6を介して並列に接続されているので、3個の任意の充電ユニット3により充電ユニットグループを作ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 設置型充電システム
2 電源部
3 充電ユニット
4−1、4−2、4−3 充電ユニットグループ
5 制御ユニット
6 第1CAN通信ライン
7 第2CAN通信ライン
8 I/F部
9 充電ガン
10 整流平滑回路
11 DC/DCコンバータ回路
12 インバータ回路
12a〜12d スイッチ手段
13 昇圧回路(トランス)
14 出力回路
15 制御回路
16 ダイオードブリッジ回路
17 平滑コンデンサ
18 ダイオードブリッジ回路
19 コイル
20 平滑コンデンサ
21 シャント抵抗
22 電流検出回路
23 電圧検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力電力に基づいて生成した直流充電電力を用いて車両に搭載されたバッテリーを充電する設置型充電システムであって、
前記交流入力電力に基づいて前記直流充電電力を生成する電源部と、
前記電源部を構成する複数の充電ユニットと、
前記複数の充電ユニットを制御する制御ユニットと、
前記制御ユニットと前記複数の充電ユニットとの間でデータの送受信を可能にする第1CAN通信ラインと、
を備え、
前記複数の充電ユニットの各々は、前記制御ユニットから送信された制御指令データを受信して、該充電ユニットの状態に関する充電ユニット状態データを作成する一方、
前記制御ユニットは、前記複数の充電ユニットを複数の充電ユニットグループにグルーピングするとともに、前記制御指令データを前記複数の充電ユニットグループのうち少なくとも1つの充電ユニットグループに送信するタイミングと、他の充電ユニットグループに送信するタイミングとをずらすことにより、前記複数の充電ユニットから前記充電ユニット状態データを受信するタイミングをずらせることを特徴とする設置型充電システム。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記制御指令データを送信するタイミングを前記充電ユニットグループごとにずらすことにより、前記充電ユニット状態データを受信するタイミングを前記充電ユニットグループごとにずらせることを特徴とする請求項1に記載の設置型充電システム。
【請求項3】
前記制御ユニットと前記車両との間でデータの送受信を可能にする第2CAN通信ラインをさらに備え、
前記制御ユニットは、
前記第2CAN通信ラインを介して前記車両から送信された車両側指令データを受信した後の所定時間内に、前記複数の充電ユニットから前記充電ユニット状態データを受信し、該充電ユニット状態データに基づいて前記電源部の状態に関する電源部状態データを作成し、前記車両への該電源部状態データの送信を完了させるように、
前記制御指令データを送信するタイミングのずれ量を決めていることを特徴とする請求項1または2に記載の設置型充電システム。
【請求項4】
前記充電ユニット状態データは、前記充電ユニットの故障情報を含み、
前記電源部状態データは、前記充電ユニットの故障情報に基づいて作成された前記電源部の故障情報を含むことを特徴とする請求項3に記載の設置型充電システム。
【請求項5】
前記交流入力電力は、3相の交流電力であり、
前記充電ユニットグループは、前記3相のうちの任意の1相の交流電力がそれぞれ入力される3つの前記充電ユニットから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の設置型充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81334(P2013−81334A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221039(P2011−221039)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】