設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造
【課題】屋上等に太陽光パネル、広告設備等の設置物を設置する場合には、防水性を損なうことなく設置物を確実に設置固定することが求められる。従来からこの様な設置物の設置には樹脂製や金属製の支持架台が用いられている。しかし従来の支持架台では、設置物を取り付ける剣先ボルト部が接着剤、溶接等で垂直方向に接合されるため、剣先ボルト部に対して横からの荷重が加わった場合、取付け部分が破壊してしまうおそれがある。そこで横からの荷重が加わっても破損しない支持架台を提供する。
【解決手段】下地の上に設置される設置物を固定するための設置物固定部1eを支持部1bに設けた設置物支持架台1において、その設置物固定部にはオネジ部が設けられ、このオネジ部に固定用ナット1dがねじ込まれている。
【解決手段】下地の上に設置される設置物を固定するための設置物固定部1eを支持部1bに設けた設置物支持架台1において、その設置物固定部にはオネジ部が設けられ、このオネジ部に固定用ナット1dがねじ込まれている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋上、ベランダ、屋根等に太陽光パネル、広告設備、フェンス等の設置物を設置するための設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上、ベランダ、屋根等には通常、防水層が設けられている。したがって、この防水層の上方に太陽光パネル、広告設備、フェンス等の設置物を設置する場合には、防水性を損なうことなく設置物を確実に設置固定することが求められる。従来からこの様な設置物の設置には樹脂製や金属製の設置物支持架台が用いられている。これらの設置物支持架台として、屋根に取り付けられる両足片とその上部で両足片を連結する上板を備え、その上板に各種設置物を取り付ける剣先ボルトが上向きに接合されているものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の設置物支持架台では、剣先ボルト部が接着剤、溶接等で垂直方向に接合されるため、上板に接合してある剣先ボルト部に対して横からの荷重が加わった場合、上板とボルト部の取付け部分に荷重が集中し、取付け部分が破壊してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、太陽光パネル等の設置物を設置するために、設置物を設置物支持架台に固定する固定部分の強度が充分であり特に横方向からの荷重に対して高い耐久性を有する設置物の設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した課題を達成するために以下の手段を講じた。
下地の上に設置される設置物を固定するための設置物固定部を支持部に設けた設置物支持架台において、その設置物固定部にはオネジ部が設けられ、このオネジ部に固定用ナット部がねじ込まれていることをその要旨とする。
この様に本発明は、設置物固定部に固定用ナットをねじ込むことで支持部と設置物固定部との接合部を補強するものである。
【0007】
本発明は下地の上側に配置される台座部と、前記台座部の下地側面と対向する上側面から前記下地側面に対し上方に設けられた支持部と、前記支持部の上端面から上方に向けて設けられると共に前記上端面に接する部分にオネジ部及び前記上端面に接する部分と対向する開放側端部に設置物が接続される設置物接続部が設けられた設置物固定部と、前記設置物固定部の前記オネジ部にねじ込まれている固定用ナット部とを備えた設置物支持架台である。
【0008】
さらに支持部の内側に抜け止め部を備え、設置物固定部は前記支持部の内側で前記抜け止め部と連結された連結部を備えることができる。そして、設置物固定部に設けられた設置物接続部とオネジ部と連結部は一軸に連結されている。また連結部が支持部の内側で抜け止め部と連結されることで設置物固定部の連結部が支持部の上端面から抜けることを防ぐことが出来る。
【0009】
また、抜け止め部はメネジが設けられると共に前記支持部の内側に連結することができる。そして設置物固定部の連結部にはオネジが設けられ、このオネジが抜け止め部に設けたメネジにねじ込まれるものとすることができる。
一方、設置物固定部をボルトとすることもでき、抜け止め部をボルト頭とし、ボルト軸に設けられたオネジをオネジ部とすることができる。この場合には設置物固定部であるボルトのボルト軸部のオネジに固定用ナットがねじ込まれることで支持部の上端面をボルト頭と固定用ナットで挟み込んで固定することが出来る。
【0010】
さらに設置物固定部の設置物接続部がネジ部を有するものとすることも出来る。
別の形態として、少なくとも台座部を熱可塑性樹脂組成物で被覆することができる。この構成によれば防水シートなどの防水層の上に設置物支持架台を設置し台座部と防水シートとを補強シートで覆う際に補強用シートと設置物支持架台の台座部を溶剤や熱によって溶融着することができ、設置物支持架台の設置部の防水性の向上を図ることが出来る。
【0011】
本発明の設置物支持架台の取り付け構造の一つは、下地の上に敷設された防水層と、前記防水層の上に設置されると共に少なくとも台座部を熱可塑性樹脂層で被覆した設置物支持架台と、前記台座部と前記防水層を覆う共に前記台座部の熱可塑性樹脂層に溶融着される補強シートとを備える設置物を設置するものである。
これによると、防水層の上から設置物支持架台を下地に固定できると共に設置物支持架台の設置部における防水性を維持することが出来る。
【0012】
また下地の上に断熱層および防水層を敷設した場合にも、下地の上に敷設される断熱層と、前記断熱層の上に敷設される防水層と、前記下地の上に設置された本発明における設置物支持架台とを備えた設置物支持架台の取り付け構造とすることができる。
これによると、支持部が防水層および断熱層を貫通することで設置物支持架台の台座部を断熱層の下であって下地の上に設置でき、設置物支持架台を下地に対して直接的に固定できる。したがって、この設置物支持架台は下地に対して安定的に固定され、さらにこれにより設置物を安定して固定することが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば設置物固定部にはオネジ部が設けられ、オネジ部に固定用ナットがねじ込まれている。そのため、設置物固定部は支持部に安定的に固定され、特に横からの荷重が加わった場合でも固定用ナットにより上端面と設置物固定部の取付け部に荷重が集中するのを防ぐことができ、横方向からの荷重に対し高い強度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の設置物支持架台の取り付け構造の実施形態を示した断面図である。
【図2】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した斜視図である。
【図3】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した側面図である。
【図4】本発明の設置物固定部の支持部への取付部分の実施形態を示した側面図である。
【図5】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図6】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図7】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図8】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図9】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図10】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図11】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図12】本発明の設置物固定部の実施形態を示した平面図である。
【図13】本発明の設置物支持架台に熱可塑性樹脂被覆層を設けた実施態様を示した断面図である。
【図14】本発明の設置物支持架台に設置物固定用のアングルを取り付けた斜視図である。
【図15】本発明の設置物支持架台に設置物固定用のアングルを取り付けた斜視図である。
【図16】断熱層を下地に敷設した場合の設置物支持架台の取り付け構造を示した断面図である。
【図17】断熱層を下地に敷設した場合の設置物支持架台の取り付け構造を示した断面図である。
【図18】押さえ用部材の実施形態を示す斜視図である
【図19】防水覆い部の実施形態を示す斜視図である
【図20】(20−1)実施例に係る設置物支持架台の側面図である。(20−2)比較例に係る設置物支持架台の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造についての実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
まず本発明の設置物支持架台の取り付け構造の第一の実施形態について図1によりその概要を説明する。これによると図1は躯体の上に防水層を設けその上に設置物を固定するための設置物支持架台を配置した設置物支持架台の取り付け構造である。
より具体的には、コンクリート系の躯体2に防水層である熱可塑性樹脂製防水シート3を敷設後に、設置物支持架台1を支持架台固定用ビス4で熱可塑性樹脂製防水シート3を貫通して躯体2に固定した設置物支持架台1の取り付け構造である。そして、この設置物支持架台の設置物固定部1eを介して設置物(図示せず)が設置される。
【0017】
図2、図3に本発明の設置物支持架台の実施形態を示す。下地の上側に設置される基盤となる台座部1aと、台座部1aの上端面より下地面側に対して上向きに設けられた支持部1bと、支持部1bの上端面1cに設置物固定部1eをさらに下地面側に対して上向きに設けている。そしてこの設置物固定部1eの上端面1cに接する部分にオネジ部33が設けられ、このオネジ部33に固定用ナット1dがねじ込められている。
【0018】
そして、固定用ナット1dは設置物固定部の開放側端部31からからねじ込まれ上端面1cと接する位置まで締め付けられていることが好ましい。このように固定用ナット1dが上端面1cと接する位置まで締め付けられていることで、特に横方向からの荷重にたして、強度が増し設置物を安定的に固定することが出来る。
【0019】
設置物固定部の開放側端部31には設置物を接続するための設置物接続部32が設けられている。この設置物接続部32は図2、図3に示すようなオネジを有するネジ部であってもよい。また、メネジを有するようなものでもよいし、フランジ状の接続部やレール状の接続部を設けることも出来る。接続部の形状によらず様々な設置物を設置できるという点からオネジを有するネジ部とすることが好ましい実施態様である。
また、設置物固定部1eには設置物接続部32とオネジ部33が設けられていればよいが、設置物接続部32がオネジを有する場合には図3の様に設置物接続部32とオネジ部33がネジを設けない部分を介して連結されていてもよいし、設置物接続部32とオネジ部33に連続したオネジを設けてもよい。
【0020】
ここで設置物固定部1eは支持部1bの上端面1cに設けられているが、図3のように設置物固定部1eと上端面1cの接する部分35が溶接や接着などによって固定されていてもよい。より強固に固定されるという点から溶接によって上端面1cに固定されていることが好ましい。そして、設置物固定部1eの開放側端部31からねじ込まれた固定用ナット1dが上端面1cの位置まで締め付けられて設置物固定部1eが支持部1bに強固に固定されている。
【0021】
また別の実施形態として、図4に示したように、設置物固定部1eが支持部1bの上端面1cを貫通した状態で、設置物固定部1eの一部が支持部の内側に配置されるものとすることが出来る。これにより設置物固定部が横からの荷重に対し高い強度を示すことが出来る。
これらによると、設置物固定部1eは設置物接続部32とオネジ部33と支持部1bの内側に配置される連結部34とを一軸に連結され、支持部1bの内側で連結部34と連結されると共に連結部34が支持部1bの上端面1cから抜けるのを防ぐ抜け止め部16をさらに備えるものである。
【0022】
ここで、連結部34は支持部1bの内側において抜け止め部16に連結されていればよい。また支持部1bの内側とは支持部1bの上端面1cを構成する天板部分や台座部の内側も含むものである。この様な抜け止め部16を備える実施態様を図5〜図11に例示し、以下、具体的に各実施態様について説明する。
【0023】
図5によると設置物固定部1eがボルトである実施態様が示されている。この場合には、設置物接続部32、オネジ部33、連結部34はボルト軸として1軸上に連結されている。そして、少なくとも設置物接続部32とオネジ部33にはオネジが設けられている。また本実施態様において抜け止め部16はボルト頭20であって、連結部34と支持部1bの内側で連結されている。また設置物固定部1eは支持部1bの上端面1cを貫通した状態で連結部34が支持部1bの内側に配置され、設置物固定部1bの開放側端部31から固定用ナット1dがねじ込まれている。この様に支持部1bの上端面1cを抜け止め部16であるボルト頭20と固定用ナット1dで挟み込んで締め付けることで、設置物固定部1eは支持部1bに固定されている。
【0024】
また、設置物固定部が長ネジボルトまたは両ネジボルト等の少なくともボルト軸の両側にネジ山を有する場合には、図6のように支持部1bの内側から連結部34に抜け止め部16として抜け止めナット21をオネジを有する連結部34にねじ込むことが出来る。この場合、設置物接続部32はボルト軸のオネジを有する部分であり、またボルト軸のオネジ部33には固定用ナット1dがねじ込まれている。
【0025】
また、図7(7−1)のように設置物固定部の下側端部35は支持部1bの底面1fに接していてもよいし、図7(7−2)のように支持部の底面1fが無い場合には台座部1aに接していてもよい。このように下側端部35が支持部1bの底面1fもしくは台座部1aに接することで、圧縮強度が増し設置物をより安定的に固定することが出来る。
さらに下側端部35が支持部1bの底面1fもしくは台座部1aに接する場合に、支持部の底面1fまたは台座部1aの上面にメネジ19(図示せず)を設け下側端部35のネジ部をねじ込むことでより強固に固定することができる。
【0026】
他の実施態様として図8のように、メネジ18を有する抜け止め部16が上端面1cと一体化した態様とすることも出来る。設置物固定部1eの連結部34にはオネジが設けられ、この連結部34が上端面1cと一体化された抜け止め部16のメネジ18にねじ込まれて固定されている。この場合、抜け止め部16のメネジ18は設置物固定部1eがねじ込まれる前において上端面1cから見て露出した状態となっている。
この様なメネジ18を有する抜け止め部16が上端面1cと一体化した態様としては、上端面1cを構成する支持部1bの天板にメネジ18を設けたものが挙げられる。
【0027】
またその上端面1cと一体化した抜け止め部16は、図8(8−1)のように設置物固定部1eの下側端部35が上端面1cを完全には貫通しない態様とすることが出来る。また、図8(8−2)のように下側端部35が上端面1cを貫通する態様であってもよく、さらに下側端部35が支持部1bの底面1fもしくは台座部1aに接することもできる。
この場合に、図9(9−1)、(9−2)に示した如く支持部の底面1fまたは台座部1aの上面にメネジ19を設け下側端部35に設けられたネジ部をねじ込むことでより強固に固定することができる。
【0028】
また図10(10−1)、(10−2)のように支持部1bの内部に支持部1bに連結された状態で抜け止め部16を設けることも出来る。そして、抜け止め部16にメネジ18を設ける場合には上端面1cにはそのメネジ18に対応する位置に開口部が設けられる。設置物固定部1eの連結部34にはオネジが設けられており、抜け止め部16のメネジ18に設置物固定部1eがねじ込まれており、オネジ部33には固定用ナット1dがねじ込まれ、上端面1cを固定用ナット1dと抜け止め部16で挟み込むことで強固に固定される。
【0029】
図10(10−2)にように、抜け止め部16は上端面1cと離れて設けることもできる。そして、抜け止め部16にメネジ18を設ける場合には上端面1cにはそのメネジ18に対応する位置に開口部が設けられる。さらに設置物固定部1eの連結部34にはオネジが設けられており、抜け止め部16のメネジ18に設置物固定部1eがねじ込まれており、上端面1cの開口部から設置物固定部1eの下側端部をねじ込むことで設置物固定部1eは支持部1bに固定される。
【0030】
さらにこれらの構成を組み合わせることもでき、例えば図11のように上端面1cにメネジ部を設けさらにボルト頭20を連結することもできる。
【0031】
また台座部1aと支持部1bは一体化していればよいが、それぞれを別部材としこれを接合することで一体化する場合には、支持部1bに設置物固定部1eを固定用ナット1dで固定後に台座部1aと一体化することが出来る。
【0032】
ここで、台座部1aは下地面等に設置される際の基礎となる接地部分である。したがって、その上に接続される支持部1bの径より大きい径であることが好ましい。また台座部1bの外形は下地面と対向する面(上面)から見て、三角形、四角形、等の多角形や円形や不定形であってもよいが、台座部にかかる荷重を分散することが出来る点から円形が好ましい。
【0033】
さらに台座部1aには下地に固定するための支持架台固定用ビスにより止め付けるための開口部を有することが好ましい。この開口部は複数個設置することが好ましく、2個〜8個が好ましく、4個〜6個がより好ましい。
【0034】
特に軽量気泡コンクリート(ALC)下地に対して、設置物支持架台を設置する場合には支持架台固定用ビス1本あたりの固定強度が充分でないために、複数の支持架台固定用ビスを設けることがより好ましく、台座部に設ける開口部を5個〜7個とすることが好ましい。
【0035】
台座部は合成樹脂製、金属製、木製等とすることが出来るが、強度と耐久性の面から金属製が好ましく、中でも鋼材がより好ましい。また、台座部1aの外形は50mm〜500mmが使用でき、金属製とする場合には使用する金属板の厚さは1.0mm〜20mmが好ましく、強度とコストを考慮すると、3.0mm〜10mmがより好ましい。
【0036】
支持部も台座部と同様に、金属製、木製等とすることが出来るが、台座部を金属製とすると溶接により一体化出来ることから金属製とすることが好ましい。また、台座部と支持部を一体に金属により成形してもよく、また、これらを合成樹脂によって一体に成形することもできる。
【0037】
ここで台座部1aは下地の上側に設置されるものであるが下地に直接設置されてもよいし、下地の上に防水シートや緩衝シート、断熱材、不燃ボード等を敷設した上に間接的に設置することも出来る。
【0038】
支持部1bの形状は円柱状、角柱状などの柱状形であることが好ましいが、その他の形状であっても設置物を支持するために台座部に設けられたものであればよい。また、支持部は1段でもよく多段構造であってもよい。
支持部1bの上端面1cは、三角形、四角形、等の多角形や円形や不定形であってもよいが、支持部にかかる荷重を分散することが出来る点から円形が好ましい。また、支持部は台座部の上面に接続されることから、支持部の径は台座部の径と同じか小さいことが好ましい。さらに、台座部には支持架台固定用ビスを貫通させる開口部を設けることがあるのを考慮すると、支持部の径は台座部の径よりも小さいことが好ましく、台座部の径に対する支持部の径を1/4〜3/4とすることがより好ましい。
【0039】
具体的には、支持部の径は20mm〜450mmが使用できる。また、厚さは1.0mm〜10mmが良く、強度とコストを考慮すると、3.0mm〜7.0mmがより好ましい。
【0040】
ここで支持部の高さは、設置物の固定位置により所望の高さとすることができる。すなわち、本発明の設置物支持架台では支持部が設置物の固定位置を調節する嵩上げ部を兼ねることができる。このように支持部が嵩上げ部を兼ねることで、設置物の高さを所望の位置とすることが出来るだけでなく、台座部は下地や躯体に対して強固に固定されるために、設置物を高い位置で固定しても設置物を安定して設置保持することが出来る。
また、設置物を固定するボルトのみを延長して高い位置で設置する場合にはボルトの耐力によって固定の安定性が左右されるが、支持部を嵩上げ部とすることで横方からの荷重に対しても強くなる。
【0041】
したがって支持部の高さは、任意に定めることが出来るが50mm〜300mmが好ましく、設置物の取付け作業性を考慮すると125mm〜250mmがより好ましい。特に、太陽光発電用パネルを設置する場合には、パネルの設置と共に電気配線が必要となり、これらの作業を高い位置で行えると作業性が良くなるために好ましい。
【0042】
そして支持部の上端面には設置物固定部が形成される。さらに設定物固定部は固定用ナットで支持部に固定されるため、設置物固定部を強固に固定するためには上端面は略平坦であることが好ましい。
上端面の径は設置物支持架台の径と同じであってよいが、支持部を多段構造とする場合等は上端面の径が支持部の径より小さくてもよい。また、上端面の径を支持部の径より大きくして、フランジ状とすることもできる。
ここで上端面の厚みは1.0mm〜100mmが好ましく、3.0mm〜50mmがさらに好ましい。特に、抜け止め部が上端面と一体化している場合には、上端面の厚みは厚い方が固定強度が増すために好ましく、さらに上端面にメネジを設けることができる。したがって、この場合の上端面の厚みは30mm〜80mmが好ましく、50mm〜70mmがさらに好ましい。
【0043】
設置物固定部は設置物を設置物支持架台と連結するために設けられている。したがって、強度の面から径が5mm〜30mmが好ましく、10mm〜24mmがより好ましい。
【0044】
設置物固定部は少なくとも支持部の上端面と接する部分にオネジを部と、開放側端部に設置物を接続するための設置物接続部を有している。設置物接続部にオネジを設ける場合には、設置物固定部は少なくともボルト軸を有するものとすることが出来る。そして、設置物固定部をボルトとした場合の態様を図12に例示した。
【0045】
図12(12−1)のような、ボルト軸21にボルト頭20を有する場合には、このボルト頭20を抜け止め部16とすることが出来る。そして、ボルト軸部21にはオネジが設けられ、開放側端部31側が設置物接続部32となり、ボルト頭20側がオネジ部33となる。ここで、ボルト頭が四角、六角、丸、ナベ、平、丸ヒラ、サラ、丸サラ等が使用でき、これら以外にもTボルト、アイボルト、チョウボルト、フックボルト等が用いられる。
【0046】
また、図12(12−2)のように、ボルト軸部21の両端部にメネジを設けることも出来る。この場合には一端側を設置物接続部32とし、他方をオネジ部33とするものである。そしてオネジ部33からさらに下側端部35側にオネジを設けることで連結部34においてメネジを有する抜け止め部16と連結することが出来る。
さらに、図12(12−3)にようにボルト軸部21の全長にわたりオネジを設けることも出来る。
【0047】
固定用ナットは設置物固定部にねじ込まれるものであるから設置物固定部に対応したメネジ部を有する。また、固定用ナットをねじ込むことで設置物固定部を支持部に固定し、設置物を設置物固定部に連結した状態で安定的に設置物を保持し特に横からの荷重に対する強度が要求される。そのため固定用ナットの外形における径は大きい方が好ましく支持部の上端面の径に対する固定用ナット外形の径は10%〜100%好ましく、強度とコストを考慮すると20%〜80%がより好ましく、30%〜60%がさらに好ましい。また固定用ナットの厚さは前記と同様の理由により2mm〜30mmが好ましく、5mm〜15mmがより好ましい。
【0048】
また固定用ナットの外形は、四角ナット、六角ナット、丸ナット、座付きナット、ツバ付きナット等を用いることが出来る。なかでも、外形が円柱形状である丸ナット等が好ましい。この構成によれば設置物固定部に対してあらゆる方向からの横荷重が加わった場合であっても、荷重が一点に集中せずに分散されるため設置物固定部の曲げ強度が高くなる。また、一般的な六角ナットのように角が存在しないため、仮に横方向からの荷重により設置物固定部が折れ曲がるのに伴って固定用ナットが傾倒した場合に、支持部の上端面と固定用ナットの接触部が固定用ナットの傾倒によっても傷付くおそれがない。
【0049】
ここで固定用ナットの締め付けトルクを一定とすることで、設置物を固定するためのボルトを溶接や接着により架台に連結した場合と比較して、支持部と設置物固定部の取り付け強度のバラツキが少なくなり、設置物を固定するに際し安定した固定強度が得られる。具体的には固定用ナット1dの締め付けトルクとしては40N・m〜70N・mが好ましい。
【0050】
また設置物支持架台には熱可塑性樹脂層により被覆することが好ましい。少なくとも台座部を熱可塑性樹脂層で被覆することで、防水層である熱可塑性樹脂製シートの上に設置物支持架台を設置し熱可塑性樹脂シートと台座部を補強シートで防水補強する場合に、補強シートと台座部に被覆された熱可塑性樹脂層との熱溶着等の溶着、接着を行いやすくなる。
【0051】
また、熱可塑性樹脂層で被覆することで設置物支持架台自体が腐食や劣化するのを防ぐことが出来る。したがって、設置物支持架台の全体を被覆することができ、また設置物固定部を除く台座部、支持部、固定用ナットを被覆することも出来る。さらに設置物固定部の固定用ナットとの接合部付近までを被覆することも出来る。具体的には、支持架台被覆樹脂層8は台座部から設置物固定部における固定用ナットの上部5mm〜10mm部分までを被覆することが出来る。このように設置物固定部まで被覆し設置物を固定する位置がこの被覆した部分に当たる場合には、この被覆部を切断して取り除くことで、設置物の固定を行うことが出来る。また、熱可塑性樹脂層による被覆層の上端部を液シーラー等で端末処理することがより好ましい。
【0052】
支持架台被覆樹脂層8の厚みは1mm〜10mmが好ましく、3mm〜7mmがより好ましい。被覆する熱可塑性樹脂は、補強シート5、熱可塑性樹脂製防水シート3と溶着し易いという点から同質又は同種の組成が好ましい。さらに具体的には塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
この様な支持架台被覆樹脂層は立体形状の設置物支持架台に対して被覆されるために、ディッピング加工により形成されることが好ましい。これにより設置物支持架台の形状に沿って支持架台被覆樹脂層を設けることができる。
【0054】
本発明の設置物支持架台を用いた設置物支持架台の取り付け構造の第一実施形態である図1について、さらに詳細に説明する。
【0055】
図1は本発明の設置物支持架台を屋上スラブ上に載置してある実施形態の一つである。コンクリート系の躯体2に防水層である熱可塑性樹脂製防水シート3を敷設後に、設置物支持架台を支持架台固定用ビス4で熱可塑性樹脂製防水シート3を貫通して躯体2に固定した設置物支持架台の取り付け構造である。
さらに図1においては補強シート5によって設置物支持架台の台座部1a、熱可塑性樹脂製防水シート3を加熱融着、溶剤溶着等で溶着して一体化し溶融着部端部をシール材6で封止した構造である。これにより設置物支持架台の設置部における防水性をより高めるという点から好ましい実施形態である。
【0056】
設置物支持架台は躯体に積層された防水層の上に設置されているが、躯体は特に限定されずコンクリート下地、金属下地、軽量発泡コンクリート(ALC)、鋼材等が用いられる。また、躯体と防水層の間に無機質板、モルタル材層等の他の層を積層しても良い。コンクリート下地や鋼材等の躯体自身に直接、設置物支持架台を設置することもできるが、既存の防水層の上から設置物を設置できるとの点からは防水層の上に設置物支持架台を設置することが好ましい。
【0057】
防水層は熱可塑性樹脂製シートが好ましく、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系、アクリル系等を使用することができる。防水シートを熱溶融着、溶剤溶着により接合し、また補強シートで補強し得るという点から塩化ビニル系樹脂製防水シートがより好ましい。
【0058】
熱可塑性樹脂製シートは単層でも良いが、寸法安定性、引張強度に優れるという点からガラスクロス、不織布等の基材層を積層した複層品が好ましい。基材層は最下層に設けても良いが熱可塑性樹脂層の中間に設けても良い。また熱可塑性樹脂層は一層であっても、複数の層であってもよく、それぞれの層の組成を異なるものとしてもよい。
【0059】
設置物支持架台は熱可塑性樹脂製シートの上に配置され、設置物支持架台の台座部に設けられた開口部からドリル等によって防水層(熱可塑性樹脂製シート)および躯体(コンクリート下地)に貫通する孔を設け、その穴に支持架台固定用ビスを回し入れることで設置物支持架台が躯体に固定される。また防水層および躯体に設けられた孔には、設置物支持架台固定用ビスを固定強度を高めるために、金属系アンカー、プラスチックアンカー等を挿入することができ、さらにその上からエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の接着剤を注入し、その後に支持架台固定用ビスを挿入することが好ましい。
【0060】
設置物支持架台の台座部の上面に露出する支持架台固定用ビス部分は液シーラーで処理を行ったり、台座部に設けた開口部の径より大きいシート状のパッチを接着等するなどの防水処理を行うことが出来る。
さらに補強シート5を使用することで、設置物支持架台が固定された部分の熱可塑性樹脂製防水シート3の防水性をより高めることができる。補強シートは台座部に設けられた支持架台固定用ビスの上面から台座部を覆うようにして台座部に溶着また接着されていてもよい。これにより台座部の上面に露出する支持架台固定用ビス部分の防水性を高めることが出来るために好ましい。さらに防水性の向上を図る目的で、補強シート5を台座部1aと熱可塑性樹脂製防水シート3に加熱融着、溶剤溶着等で溶着することがより好ましい。
【0061】
このように設置物支持架台の台座部と熱可塑性樹脂製防水シートを同時に覆う場合には補強シートをドーナツ形状とすることができる。すなわち、ドーナツ形状の中央開口部に支持部1bを通し、台座部1aと熱可塑性樹脂製防水シート3に加熱溶着、溶剤溶着等で溶着される。中央開口部の径は支持部1bの径よりも2mm〜10mm大きいことが好ましく、外形の径は台座部1aの径よりも80mm〜100mm大きいものが好ましい。
ここで、ドーナツ形状とは、上記のとおり補強シートの中央部に開口部を有しその開口部に設置物支持架台の支持部を通すことが出来ればよく、その外形は円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。また中央部に設けられた開口部も円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。
【0062】
補強シートの厚みは0.3mm〜3mmが好ましく、0.5mm〜2mmがよりこのましい。補強シート5の材質としては、支持架台被覆樹脂層8、熱可塑性樹脂製防水シート3と同質又は同種の溶着し易い樹脂が良く、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0063】
さらに補強シート5で台座部1a、熱可塑性樹脂製防水シート3を溶着し、一体化した後、溶着部端部をシール材6で防水処理を行うことが防水性をより高めるために好ましい。シール材6としては支持架台被覆樹脂層8、補強シート5、熱可塑性樹脂製防水シート3と同質又は同種の樹脂からなるシール材が良い。
【0064】
上記設置物支持架台に設置される設置物としては、太陽光パネル、広告設備、手摺、フェンス等の設置物があり、例として、太陽光パネルのアングル部分の設置に関する実施形態を図14、図15に示す。
【0065】
図14は上記設置物支持架台に太陽光パネルのアングル9が設置された実施形態である。アングル9は設置物固定部1eを通って、固定用ナット1dの直上に設置され、アングル固定用ナット10によって挟まれて固定される。前記アングル固定用ナット10には一般的な六角ナットを使用出来る。
また、図15は太陽光パネルのアングル9が設置物固定部1eの先端部に設置された実施形態であって、アングル9は設置物固定部1eを通って、アングル支持用ナット11で支持され、アングル固定用ナット10によって挟まれて固定される。前記アングル支持用ナット11、アングル固定用ナット10には一般的な六角ナットが使用出来る。このように、太陽光パネルのアングル9が設置物固定部1eの先端部に設置される場合、設置物固定部1eの曲げ強度を考慮すると、アングル9の取付け位置は固定用ナット1dより0(直上)〜35mm上とするのが好ましい。
【0066】
下地の上に断熱材等による断熱層を設けその外側に防水層を設ける断熱工法においては、図16、図17に示したような設置物支持架台の設置構造を取ることが出来る。
【0067】
図16、図17は本発明の設置物支持架台を断熱材12が存在する場合に屋上スラブ上に載置してなる他の実施形態である。これらによると、コンクリート系の躯体2に設置物支持架台を支持架台固定用ビス4で固定後、断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3を支持部1bと略同径でくり抜く等して、支持部1bが断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3を貫通した状態で敷設される。
このような構造とすることで設置物支持架台が下地に安定的に固定された断熱工法による防水層を得ることが出来る。
【0068】
さらに図16においては、断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3の浮きを効率的に防止するために、台座部1aより外側でドーナツ型の押さえ部材13を介して断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3を押さえ用ビス14で押さえつける。そして防水覆い部15を支持部1bを通して被せ、台座部1a、押さえ部材13、熱可塑性樹脂製防水シート3を加熱溶着、溶剤溶着等で溶着して一体化する。さらに、溶着部端部をシール材6で封止することができる。
【0069】
また図17においては、断熱材12の上から押さえ部材13を敷設し、断熱材12と押さえ部材13を覆うように熱可塑性樹脂製防水シート3を設置物支持架台の支持部1bを通して敷設し、熱可塑性樹脂製防水シート3の上から押さえ部材13、断熱材12、下地2を貫通するように押さえ用ビス14で固定する。そして、そして防水覆い部15を支持部1bを通して被せることでさらに防水性を高めることが出来る。図17ではさらに防水覆い部15の溶融着端部を溶着部端部をシール材6で封止している。
【0070】
断熱材12はポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、イソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム等が使用され、厚みは10mm〜200mmが好ましく用いられる。
【0071】
押さえ部材13を構成する材質としては金属、熱硬化性樹脂等が使用されるが、金属が使用される場合、金属表面に熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と同質又は同種の熱可塑性樹脂で被覆することが好ましく、これにより熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と溶着一体化することができる。
また、熱硬化性樹脂が使用される場合、熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と同質又は同種の溶着し易い樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と溶着一体化することができる。
図17においては塩化ビニル系樹脂製防水シートが用いられているため防水覆い部15は塩化ビニル系樹脂製であり、押さえ部材13は塩化ビニル系樹脂で被覆されている。
【0072】
押さえ部材13の一例を図18に示した。押さえ部材13はドーナツ形状であることが好ましく、押さえ部材13の中央部に開口部131を有しその開口部131に設置物支持架台の支持部を通すことが出来ればよく、押さえ部材13の外形は円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。また中央部に設けられた開口部131も円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。ここで、押さえ部材13がドーナツ形状等である場合において、中央の開口部の径は支持部1bの径よりも2mm〜10mm大きいのが好ましい。
また、押さえ部材13の外形は台座部1aの径よりも60mm〜120mm大きいのが好ましく、押さえ用ビス14が台座部1aよりも外側に打ち込める位置にビス穴を複数個設けてあり、厚みとしては1mm〜5mmが好ましい。
【0073】
押さえ部材はビスにより防水層(熱可塑性樹脂製防水シート)、断熱層を貫通して躯体(コンクリート下地)に固定することができる。この場合には、防水シート上の押さえ部材を配置し、押さえ部材の上面からドリル等で防水層、断熱層を貫通し、躯体に達する孔を設け、その穴に固定用のビスを回し入れることで押さえ部材が躯体に固定される。またこのようにして設けられた孔には、固定用のビスを固定強度を高めるために、金属系アンカー、プラスチックアンカー等を挿入することができ、さらにその上からエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の接着剤を注入し、その後に固定用のビスを挿入することが好ましい。
【0074】
また、押さえ部材13は断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3が風等で浮き上がるのを防止するものであるから、支持部の周囲を必ずしも連続で押さえるものでなくてもよい。すなわち、押さえ部材13は支持部の周囲を押さえるように複数の部分に分割されていてもよいし、その一部に不連続な部分があっても良い。
【0075】
防水覆い部の一例を図19に示した。防水覆い部15は設置物支持架台、押さえ部材13、熱可塑性樹脂製防水シート3を溶着一体化することで防水性をより高めるためのものである。防水覆い部15の材質としては支持架台被覆樹脂層13、押さえ部材、熱可塑性樹脂製防水シート4と同質又は同種の溶着し易い樹脂が良く、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0076】
ここで、防水覆い部15は筒部151と鍔部152とからなるハット型が好ましいが、少なくとも中央部に開口部153を有する鍔部152からなる。ここで、筒部151と鍔部152からなることで、防水覆い部と支持部との防水性をより向上させることができる。
筒部151の内径は支持部1bの径とほぼ同等であるのが好ましく、高さは40mm〜175mmが好ましい。鍔部の径は押さえ部材の径より80mm〜100mm大きいのが好ましい。防水覆い部の厚みは、0.3mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
【0077】
このように躯体の上に断熱層を設ける構造の場合に躯体の上方かつ断熱層の下に設置物支持架台を固定し断熱層、防水層を敷設することで非断熱同様の設置物支持架台の躯体(下地)への固定強度を得つつ断熱効果、防水性を得ることができる。
【0078】
すなわち躯体上に断熱材が存在する場合、断熱材上から設置物支持架台を固定すると、設置物の重量、風による圧縮力等で経年後、設置物支持架台下の断熱材が潰され、設置物支持架台にガタツキ等の不具合が生じる場合があるが、躯体の上方かつ断熱層の下に設置物支持架台を固定することでより強固に設置物支持架台を固定することができる。
【実施例】
【0079】
[実施例1]
本発明の設置物支持架台として、図20(20−1)のように設置物固定部をボルト軸とボルト頭で構成されたボルトとし、オネジを有するボルト軸に固定用ナットを上端面に接する位置までねじ込んで、設置物固定部を支持部に固定して本発明の設置物支持架台を得た。
【0080】
[荷重試験の試験方法]
得られた設置物支持架台をインストロン社製の万能試験機に固定し設置物固定部の上端面から2.5cmの位置を試験速度10mm/minで横向きの荷重をかけ、試験機のヘッドが5mm変位した時の荷重(KN)を測定した。そして、この耐荷重試験での結果を表1に示した。
【0081】
[比較例1]
図20(20−2)のような、設置物固定部を上端面に溶接により固定し、固定用ナットは用いない設置物支持架台を得た。そして、耐荷重試験での結果を表1に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
表1より実施例1の設置物支持架台は設置物固定部を溶接せずとも固定用ナット備えることで、設置物固定部を溶接で設置物固定部を固定した比較例1より約1.5倍の強度が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、設置物の設置の際、躯体に本発明の設置物支持架台を固定するだけであり、大掛かりな工事が必要なくなり、非常に簡易的で養生期間は必要なく、工期短縮が図れる。また、屋上で使用する場合、設置物支持架台自体は軽量のため、建物に与える負荷質量が少なく、耐震性の面から有利となる。防水性の面でも、設置物支持架台と防水シートを溶着して一体化しているため、非常に高い防水性能があり、設置物設置に伴う漏水事故の心配が無なくなる。
【符号の説明】
【0085】
1 設置物支持架台
1a 台座部
1b 支持部
1c 上端面
1d 固定用ナット
1e 設置物固定部
20 ボルト頭
32 設置物接続部
33 オネジ部
34 連結部
2 躯体
3 熱可塑性樹脂製防水シート
4 固定用ビス
5 補強シート
6 シール材
7 固定用ビス穴
8 支持架台被覆樹脂層
9 太陽光パネルのアングル
10 アングル固定用ナット
11 アングル支持用ナット
12 断熱材
13 押さえ用部材
14 押さえ用ビス
15 防水覆い部
16 抜け止め部
【技術分野】
【0001】
本発明は屋上、ベランダ、屋根等に太陽光パネル、広告設備、フェンス等の設置物を設置するための設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上、ベランダ、屋根等には通常、防水層が設けられている。したがって、この防水層の上方に太陽光パネル、広告設備、フェンス等の設置物を設置する場合には、防水性を損なうことなく設置物を確実に設置固定することが求められる。従来からこの様な設置物の設置には樹脂製や金属製の設置物支持架台が用いられている。これらの設置物支持架台として、屋根に取り付けられる両足片とその上部で両足片を連結する上板を備え、その上板に各種設置物を取り付ける剣先ボルトが上向きに接合されているものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−196422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の設置物支持架台では、剣先ボルト部が接着剤、溶接等で垂直方向に接合されるため、上板に接合してある剣先ボルト部に対して横からの荷重が加わった場合、上板とボルト部の取付け部分に荷重が集中し、取付け部分が破壊してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、太陽光パネル等の設置物を設置するために、設置物を設置物支持架台に固定する固定部分の強度が充分であり特に横方向からの荷重に対して高い耐久性を有する設置物の設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述した課題を達成するために以下の手段を講じた。
下地の上に設置される設置物を固定するための設置物固定部を支持部に設けた設置物支持架台において、その設置物固定部にはオネジ部が設けられ、このオネジ部に固定用ナット部がねじ込まれていることをその要旨とする。
この様に本発明は、設置物固定部に固定用ナットをねじ込むことで支持部と設置物固定部との接合部を補強するものである。
【0007】
本発明は下地の上側に配置される台座部と、前記台座部の下地側面と対向する上側面から前記下地側面に対し上方に設けられた支持部と、前記支持部の上端面から上方に向けて設けられると共に前記上端面に接する部分にオネジ部及び前記上端面に接する部分と対向する開放側端部に設置物が接続される設置物接続部が設けられた設置物固定部と、前記設置物固定部の前記オネジ部にねじ込まれている固定用ナット部とを備えた設置物支持架台である。
【0008】
さらに支持部の内側に抜け止め部を備え、設置物固定部は前記支持部の内側で前記抜け止め部と連結された連結部を備えることができる。そして、設置物固定部に設けられた設置物接続部とオネジ部と連結部は一軸に連結されている。また連結部が支持部の内側で抜け止め部と連結されることで設置物固定部の連結部が支持部の上端面から抜けることを防ぐことが出来る。
【0009】
また、抜け止め部はメネジが設けられると共に前記支持部の内側に連結することができる。そして設置物固定部の連結部にはオネジが設けられ、このオネジが抜け止め部に設けたメネジにねじ込まれるものとすることができる。
一方、設置物固定部をボルトとすることもでき、抜け止め部をボルト頭とし、ボルト軸に設けられたオネジをオネジ部とすることができる。この場合には設置物固定部であるボルトのボルト軸部のオネジに固定用ナットがねじ込まれることで支持部の上端面をボルト頭と固定用ナットで挟み込んで固定することが出来る。
【0010】
さらに設置物固定部の設置物接続部がネジ部を有するものとすることも出来る。
別の形態として、少なくとも台座部を熱可塑性樹脂組成物で被覆することができる。この構成によれば防水シートなどの防水層の上に設置物支持架台を設置し台座部と防水シートとを補強シートで覆う際に補強用シートと設置物支持架台の台座部を溶剤や熱によって溶融着することができ、設置物支持架台の設置部の防水性の向上を図ることが出来る。
【0011】
本発明の設置物支持架台の取り付け構造の一つは、下地の上に敷設された防水層と、前記防水層の上に設置されると共に少なくとも台座部を熱可塑性樹脂層で被覆した設置物支持架台と、前記台座部と前記防水層を覆う共に前記台座部の熱可塑性樹脂層に溶融着される補強シートとを備える設置物を設置するものである。
これによると、防水層の上から設置物支持架台を下地に固定できると共に設置物支持架台の設置部における防水性を維持することが出来る。
【0012】
また下地の上に断熱層および防水層を敷設した場合にも、下地の上に敷設される断熱層と、前記断熱層の上に敷設される防水層と、前記下地の上に設置された本発明における設置物支持架台とを備えた設置物支持架台の取り付け構造とすることができる。
これによると、支持部が防水層および断熱層を貫通することで設置物支持架台の台座部を断熱層の下であって下地の上に設置でき、設置物支持架台を下地に対して直接的に固定できる。したがって、この設置物支持架台は下地に対して安定的に固定され、さらにこれにより設置物を安定して固定することが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば設置物固定部にはオネジ部が設けられ、オネジ部に固定用ナットがねじ込まれている。そのため、設置物固定部は支持部に安定的に固定され、特に横からの荷重が加わった場合でも固定用ナットにより上端面と設置物固定部の取付け部に荷重が集中するのを防ぐことができ、横方向からの荷重に対し高い強度を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の設置物支持架台の取り付け構造の実施形態を示した断面図である。
【図2】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した斜視図である。
【図3】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した側面図である。
【図4】本発明の設置物固定部の支持部への取付部分の実施形態を示した側面図である。
【図5】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図6】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図7】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図8】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図9】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図10】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図11】本発明の設置物支持架台の実施形態を示した部分断面図である。
【図12】本発明の設置物固定部の実施形態を示した平面図である。
【図13】本発明の設置物支持架台に熱可塑性樹脂被覆層を設けた実施態様を示した断面図である。
【図14】本発明の設置物支持架台に設置物固定用のアングルを取り付けた斜視図である。
【図15】本発明の設置物支持架台に設置物固定用のアングルを取り付けた斜視図である。
【図16】断熱層を下地に敷設した場合の設置物支持架台の取り付け構造を示した断面図である。
【図17】断熱層を下地に敷設した場合の設置物支持架台の取り付け構造を示した断面図である。
【図18】押さえ用部材の実施形態を示す斜視図である
【図19】防水覆い部の実施形態を示す斜視図である
【図20】(20−1)実施例に係る設置物支持架台の側面図である。(20−2)比較例に係る設置物支持架台の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の設置物支持架台および設置物支持架台の取り付け構造についての実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
まず本発明の設置物支持架台の取り付け構造の第一の実施形態について図1によりその概要を説明する。これによると図1は躯体の上に防水層を設けその上に設置物を固定するための設置物支持架台を配置した設置物支持架台の取り付け構造である。
より具体的には、コンクリート系の躯体2に防水層である熱可塑性樹脂製防水シート3を敷設後に、設置物支持架台1を支持架台固定用ビス4で熱可塑性樹脂製防水シート3を貫通して躯体2に固定した設置物支持架台1の取り付け構造である。そして、この設置物支持架台の設置物固定部1eを介して設置物(図示せず)が設置される。
【0017】
図2、図3に本発明の設置物支持架台の実施形態を示す。下地の上側に設置される基盤となる台座部1aと、台座部1aの上端面より下地面側に対して上向きに設けられた支持部1bと、支持部1bの上端面1cに設置物固定部1eをさらに下地面側に対して上向きに設けている。そしてこの設置物固定部1eの上端面1cに接する部分にオネジ部33が設けられ、このオネジ部33に固定用ナット1dがねじ込められている。
【0018】
そして、固定用ナット1dは設置物固定部の開放側端部31からからねじ込まれ上端面1cと接する位置まで締め付けられていることが好ましい。このように固定用ナット1dが上端面1cと接する位置まで締め付けられていることで、特に横方向からの荷重にたして、強度が増し設置物を安定的に固定することが出来る。
【0019】
設置物固定部の開放側端部31には設置物を接続するための設置物接続部32が設けられている。この設置物接続部32は図2、図3に示すようなオネジを有するネジ部であってもよい。また、メネジを有するようなものでもよいし、フランジ状の接続部やレール状の接続部を設けることも出来る。接続部の形状によらず様々な設置物を設置できるという点からオネジを有するネジ部とすることが好ましい実施態様である。
また、設置物固定部1eには設置物接続部32とオネジ部33が設けられていればよいが、設置物接続部32がオネジを有する場合には図3の様に設置物接続部32とオネジ部33がネジを設けない部分を介して連結されていてもよいし、設置物接続部32とオネジ部33に連続したオネジを設けてもよい。
【0020】
ここで設置物固定部1eは支持部1bの上端面1cに設けられているが、図3のように設置物固定部1eと上端面1cの接する部分35が溶接や接着などによって固定されていてもよい。より強固に固定されるという点から溶接によって上端面1cに固定されていることが好ましい。そして、設置物固定部1eの開放側端部31からねじ込まれた固定用ナット1dが上端面1cの位置まで締め付けられて設置物固定部1eが支持部1bに強固に固定されている。
【0021】
また別の実施形態として、図4に示したように、設置物固定部1eが支持部1bの上端面1cを貫通した状態で、設置物固定部1eの一部が支持部の内側に配置されるものとすることが出来る。これにより設置物固定部が横からの荷重に対し高い強度を示すことが出来る。
これらによると、設置物固定部1eは設置物接続部32とオネジ部33と支持部1bの内側に配置される連結部34とを一軸に連結され、支持部1bの内側で連結部34と連結されると共に連結部34が支持部1bの上端面1cから抜けるのを防ぐ抜け止め部16をさらに備えるものである。
【0022】
ここで、連結部34は支持部1bの内側において抜け止め部16に連結されていればよい。また支持部1bの内側とは支持部1bの上端面1cを構成する天板部分や台座部の内側も含むものである。この様な抜け止め部16を備える実施態様を図5〜図11に例示し、以下、具体的に各実施態様について説明する。
【0023】
図5によると設置物固定部1eがボルトである実施態様が示されている。この場合には、設置物接続部32、オネジ部33、連結部34はボルト軸として1軸上に連結されている。そして、少なくとも設置物接続部32とオネジ部33にはオネジが設けられている。また本実施態様において抜け止め部16はボルト頭20であって、連結部34と支持部1bの内側で連結されている。また設置物固定部1eは支持部1bの上端面1cを貫通した状態で連結部34が支持部1bの内側に配置され、設置物固定部1bの開放側端部31から固定用ナット1dがねじ込まれている。この様に支持部1bの上端面1cを抜け止め部16であるボルト頭20と固定用ナット1dで挟み込んで締め付けることで、設置物固定部1eは支持部1bに固定されている。
【0024】
また、設置物固定部が長ネジボルトまたは両ネジボルト等の少なくともボルト軸の両側にネジ山を有する場合には、図6のように支持部1bの内側から連結部34に抜け止め部16として抜け止めナット21をオネジを有する連結部34にねじ込むことが出来る。この場合、設置物接続部32はボルト軸のオネジを有する部分であり、またボルト軸のオネジ部33には固定用ナット1dがねじ込まれている。
【0025】
また、図7(7−1)のように設置物固定部の下側端部35は支持部1bの底面1fに接していてもよいし、図7(7−2)のように支持部の底面1fが無い場合には台座部1aに接していてもよい。このように下側端部35が支持部1bの底面1fもしくは台座部1aに接することで、圧縮強度が増し設置物をより安定的に固定することが出来る。
さらに下側端部35が支持部1bの底面1fもしくは台座部1aに接する場合に、支持部の底面1fまたは台座部1aの上面にメネジ19(図示せず)を設け下側端部35のネジ部をねじ込むことでより強固に固定することができる。
【0026】
他の実施態様として図8のように、メネジ18を有する抜け止め部16が上端面1cと一体化した態様とすることも出来る。設置物固定部1eの連結部34にはオネジが設けられ、この連結部34が上端面1cと一体化された抜け止め部16のメネジ18にねじ込まれて固定されている。この場合、抜け止め部16のメネジ18は設置物固定部1eがねじ込まれる前において上端面1cから見て露出した状態となっている。
この様なメネジ18を有する抜け止め部16が上端面1cと一体化した態様としては、上端面1cを構成する支持部1bの天板にメネジ18を設けたものが挙げられる。
【0027】
またその上端面1cと一体化した抜け止め部16は、図8(8−1)のように設置物固定部1eの下側端部35が上端面1cを完全には貫通しない態様とすることが出来る。また、図8(8−2)のように下側端部35が上端面1cを貫通する態様であってもよく、さらに下側端部35が支持部1bの底面1fもしくは台座部1aに接することもできる。
この場合に、図9(9−1)、(9−2)に示した如く支持部の底面1fまたは台座部1aの上面にメネジ19を設け下側端部35に設けられたネジ部をねじ込むことでより強固に固定することができる。
【0028】
また図10(10−1)、(10−2)のように支持部1bの内部に支持部1bに連結された状態で抜け止め部16を設けることも出来る。そして、抜け止め部16にメネジ18を設ける場合には上端面1cにはそのメネジ18に対応する位置に開口部が設けられる。設置物固定部1eの連結部34にはオネジが設けられており、抜け止め部16のメネジ18に設置物固定部1eがねじ込まれており、オネジ部33には固定用ナット1dがねじ込まれ、上端面1cを固定用ナット1dと抜け止め部16で挟み込むことで強固に固定される。
【0029】
図10(10−2)にように、抜け止め部16は上端面1cと離れて設けることもできる。そして、抜け止め部16にメネジ18を設ける場合には上端面1cにはそのメネジ18に対応する位置に開口部が設けられる。さらに設置物固定部1eの連結部34にはオネジが設けられており、抜け止め部16のメネジ18に設置物固定部1eがねじ込まれており、上端面1cの開口部から設置物固定部1eの下側端部をねじ込むことで設置物固定部1eは支持部1bに固定される。
【0030】
さらにこれらの構成を組み合わせることもでき、例えば図11のように上端面1cにメネジ部を設けさらにボルト頭20を連結することもできる。
【0031】
また台座部1aと支持部1bは一体化していればよいが、それぞれを別部材としこれを接合することで一体化する場合には、支持部1bに設置物固定部1eを固定用ナット1dで固定後に台座部1aと一体化することが出来る。
【0032】
ここで、台座部1aは下地面等に設置される際の基礎となる接地部分である。したがって、その上に接続される支持部1bの径より大きい径であることが好ましい。また台座部1bの外形は下地面と対向する面(上面)から見て、三角形、四角形、等の多角形や円形や不定形であってもよいが、台座部にかかる荷重を分散することが出来る点から円形が好ましい。
【0033】
さらに台座部1aには下地に固定するための支持架台固定用ビスにより止め付けるための開口部を有することが好ましい。この開口部は複数個設置することが好ましく、2個〜8個が好ましく、4個〜6個がより好ましい。
【0034】
特に軽量気泡コンクリート(ALC)下地に対して、設置物支持架台を設置する場合には支持架台固定用ビス1本あたりの固定強度が充分でないために、複数の支持架台固定用ビスを設けることがより好ましく、台座部に設ける開口部を5個〜7個とすることが好ましい。
【0035】
台座部は合成樹脂製、金属製、木製等とすることが出来るが、強度と耐久性の面から金属製が好ましく、中でも鋼材がより好ましい。また、台座部1aの外形は50mm〜500mmが使用でき、金属製とする場合には使用する金属板の厚さは1.0mm〜20mmが好ましく、強度とコストを考慮すると、3.0mm〜10mmがより好ましい。
【0036】
支持部も台座部と同様に、金属製、木製等とすることが出来るが、台座部を金属製とすると溶接により一体化出来ることから金属製とすることが好ましい。また、台座部と支持部を一体に金属により成形してもよく、また、これらを合成樹脂によって一体に成形することもできる。
【0037】
ここで台座部1aは下地の上側に設置されるものであるが下地に直接設置されてもよいし、下地の上に防水シートや緩衝シート、断熱材、不燃ボード等を敷設した上に間接的に設置することも出来る。
【0038】
支持部1bの形状は円柱状、角柱状などの柱状形であることが好ましいが、その他の形状であっても設置物を支持するために台座部に設けられたものであればよい。また、支持部は1段でもよく多段構造であってもよい。
支持部1bの上端面1cは、三角形、四角形、等の多角形や円形や不定形であってもよいが、支持部にかかる荷重を分散することが出来る点から円形が好ましい。また、支持部は台座部の上面に接続されることから、支持部の径は台座部の径と同じか小さいことが好ましい。さらに、台座部には支持架台固定用ビスを貫通させる開口部を設けることがあるのを考慮すると、支持部の径は台座部の径よりも小さいことが好ましく、台座部の径に対する支持部の径を1/4〜3/4とすることがより好ましい。
【0039】
具体的には、支持部の径は20mm〜450mmが使用できる。また、厚さは1.0mm〜10mmが良く、強度とコストを考慮すると、3.0mm〜7.0mmがより好ましい。
【0040】
ここで支持部の高さは、設置物の固定位置により所望の高さとすることができる。すなわち、本発明の設置物支持架台では支持部が設置物の固定位置を調節する嵩上げ部を兼ねることができる。このように支持部が嵩上げ部を兼ねることで、設置物の高さを所望の位置とすることが出来るだけでなく、台座部は下地や躯体に対して強固に固定されるために、設置物を高い位置で固定しても設置物を安定して設置保持することが出来る。
また、設置物を固定するボルトのみを延長して高い位置で設置する場合にはボルトの耐力によって固定の安定性が左右されるが、支持部を嵩上げ部とすることで横方からの荷重に対しても強くなる。
【0041】
したがって支持部の高さは、任意に定めることが出来るが50mm〜300mmが好ましく、設置物の取付け作業性を考慮すると125mm〜250mmがより好ましい。特に、太陽光発電用パネルを設置する場合には、パネルの設置と共に電気配線が必要となり、これらの作業を高い位置で行えると作業性が良くなるために好ましい。
【0042】
そして支持部の上端面には設置物固定部が形成される。さらに設定物固定部は固定用ナットで支持部に固定されるため、設置物固定部を強固に固定するためには上端面は略平坦であることが好ましい。
上端面の径は設置物支持架台の径と同じであってよいが、支持部を多段構造とする場合等は上端面の径が支持部の径より小さくてもよい。また、上端面の径を支持部の径より大きくして、フランジ状とすることもできる。
ここで上端面の厚みは1.0mm〜100mmが好ましく、3.0mm〜50mmがさらに好ましい。特に、抜け止め部が上端面と一体化している場合には、上端面の厚みは厚い方が固定強度が増すために好ましく、さらに上端面にメネジを設けることができる。したがって、この場合の上端面の厚みは30mm〜80mmが好ましく、50mm〜70mmがさらに好ましい。
【0043】
設置物固定部は設置物を設置物支持架台と連結するために設けられている。したがって、強度の面から径が5mm〜30mmが好ましく、10mm〜24mmがより好ましい。
【0044】
設置物固定部は少なくとも支持部の上端面と接する部分にオネジを部と、開放側端部に設置物を接続するための設置物接続部を有している。設置物接続部にオネジを設ける場合には、設置物固定部は少なくともボルト軸を有するものとすることが出来る。そして、設置物固定部をボルトとした場合の態様を図12に例示した。
【0045】
図12(12−1)のような、ボルト軸21にボルト頭20を有する場合には、このボルト頭20を抜け止め部16とすることが出来る。そして、ボルト軸部21にはオネジが設けられ、開放側端部31側が設置物接続部32となり、ボルト頭20側がオネジ部33となる。ここで、ボルト頭が四角、六角、丸、ナベ、平、丸ヒラ、サラ、丸サラ等が使用でき、これら以外にもTボルト、アイボルト、チョウボルト、フックボルト等が用いられる。
【0046】
また、図12(12−2)のように、ボルト軸部21の両端部にメネジを設けることも出来る。この場合には一端側を設置物接続部32とし、他方をオネジ部33とするものである。そしてオネジ部33からさらに下側端部35側にオネジを設けることで連結部34においてメネジを有する抜け止め部16と連結することが出来る。
さらに、図12(12−3)にようにボルト軸部21の全長にわたりオネジを設けることも出来る。
【0047】
固定用ナットは設置物固定部にねじ込まれるものであるから設置物固定部に対応したメネジ部を有する。また、固定用ナットをねじ込むことで設置物固定部を支持部に固定し、設置物を設置物固定部に連結した状態で安定的に設置物を保持し特に横からの荷重に対する強度が要求される。そのため固定用ナットの外形における径は大きい方が好ましく支持部の上端面の径に対する固定用ナット外形の径は10%〜100%好ましく、強度とコストを考慮すると20%〜80%がより好ましく、30%〜60%がさらに好ましい。また固定用ナットの厚さは前記と同様の理由により2mm〜30mmが好ましく、5mm〜15mmがより好ましい。
【0048】
また固定用ナットの外形は、四角ナット、六角ナット、丸ナット、座付きナット、ツバ付きナット等を用いることが出来る。なかでも、外形が円柱形状である丸ナット等が好ましい。この構成によれば設置物固定部に対してあらゆる方向からの横荷重が加わった場合であっても、荷重が一点に集中せずに分散されるため設置物固定部の曲げ強度が高くなる。また、一般的な六角ナットのように角が存在しないため、仮に横方向からの荷重により設置物固定部が折れ曲がるのに伴って固定用ナットが傾倒した場合に、支持部の上端面と固定用ナットの接触部が固定用ナットの傾倒によっても傷付くおそれがない。
【0049】
ここで固定用ナットの締め付けトルクを一定とすることで、設置物を固定するためのボルトを溶接や接着により架台に連結した場合と比較して、支持部と設置物固定部の取り付け強度のバラツキが少なくなり、設置物を固定するに際し安定した固定強度が得られる。具体的には固定用ナット1dの締め付けトルクとしては40N・m〜70N・mが好ましい。
【0050】
また設置物支持架台には熱可塑性樹脂層により被覆することが好ましい。少なくとも台座部を熱可塑性樹脂層で被覆することで、防水層である熱可塑性樹脂製シートの上に設置物支持架台を設置し熱可塑性樹脂シートと台座部を補強シートで防水補強する場合に、補強シートと台座部に被覆された熱可塑性樹脂層との熱溶着等の溶着、接着を行いやすくなる。
【0051】
また、熱可塑性樹脂層で被覆することで設置物支持架台自体が腐食や劣化するのを防ぐことが出来る。したがって、設置物支持架台の全体を被覆することができ、また設置物固定部を除く台座部、支持部、固定用ナットを被覆することも出来る。さらに設置物固定部の固定用ナットとの接合部付近までを被覆することも出来る。具体的には、支持架台被覆樹脂層8は台座部から設置物固定部における固定用ナットの上部5mm〜10mm部分までを被覆することが出来る。このように設置物固定部まで被覆し設置物を固定する位置がこの被覆した部分に当たる場合には、この被覆部を切断して取り除くことで、設置物の固定を行うことが出来る。また、熱可塑性樹脂層による被覆層の上端部を液シーラー等で端末処理することがより好ましい。
【0052】
支持架台被覆樹脂層8の厚みは1mm〜10mmが好ましく、3mm〜7mmがより好ましい。被覆する熱可塑性樹脂は、補強シート5、熱可塑性樹脂製防水シート3と溶着し易いという点から同質又は同種の組成が好ましい。さらに具体的には塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
この様な支持架台被覆樹脂層は立体形状の設置物支持架台に対して被覆されるために、ディッピング加工により形成されることが好ましい。これにより設置物支持架台の形状に沿って支持架台被覆樹脂層を設けることができる。
【0054】
本発明の設置物支持架台を用いた設置物支持架台の取り付け構造の第一実施形態である図1について、さらに詳細に説明する。
【0055】
図1は本発明の設置物支持架台を屋上スラブ上に載置してある実施形態の一つである。コンクリート系の躯体2に防水層である熱可塑性樹脂製防水シート3を敷設後に、設置物支持架台を支持架台固定用ビス4で熱可塑性樹脂製防水シート3を貫通して躯体2に固定した設置物支持架台の取り付け構造である。
さらに図1においては補強シート5によって設置物支持架台の台座部1a、熱可塑性樹脂製防水シート3を加熱融着、溶剤溶着等で溶着して一体化し溶融着部端部をシール材6で封止した構造である。これにより設置物支持架台の設置部における防水性をより高めるという点から好ましい実施形態である。
【0056】
設置物支持架台は躯体に積層された防水層の上に設置されているが、躯体は特に限定されずコンクリート下地、金属下地、軽量発泡コンクリート(ALC)、鋼材等が用いられる。また、躯体と防水層の間に無機質板、モルタル材層等の他の層を積層しても良い。コンクリート下地や鋼材等の躯体自身に直接、設置物支持架台を設置することもできるが、既存の防水層の上から設置物を設置できるとの点からは防水層の上に設置物支持架台を設置することが好ましい。
【0057】
防水層は熱可塑性樹脂製シートが好ましく、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系、アクリル系等を使用することができる。防水シートを熱溶融着、溶剤溶着により接合し、また補強シートで補強し得るという点から塩化ビニル系樹脂製防水シートがより好ましい。
【0058】
熱可塑性樹脂製シートは単層でも良いが、寸法安定性、引張強度に優れるという点からガラスクロス、不織布等の基材層を積層した複層品が好ましい。基材層は最下層に設けても良いが熱可塑性樹脂層の中間に設けても良い。また熱可塑性樹脂層は一層であっても、複数の層であってもよく、それぞれの層の組成を異なるものとしてもよい。
【0059】
設置物支持架台は熱可塑性樹脂製シートの上に配置され、設置物支持架台の台座部に設けられた開口部からドリル等によって防水層(熱可塑性樹脂製シート)および躯体(コンクリート下地)に貫通する孔を設け、その穴に支持架台固定用ビスを回し入れることで設置物支持架台が躯体に固定される。また防水層および躯体に設けられた孔には、設置物支持架台固定用ビスを固定強度を高めるために、金属系アンカー、プラスチックアンカー等を挿入することができ、さらにその上からエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の接着剤を注入し、その後に支持架台固定用ビスを挿入することが好ましい。
【0060】
設置物支持架台の台座部の上面に露出する支持架台固定用ビス部分は液シーラーで処理を行ったり、台座部に設けた開口部の径より大きいシート状のパッチを接着等するなどの防水処理を行うことが出来る。
さらに補強シート5を使用することで、設置物支持架台が固定された部分の熱可塑性樹脂製防水シート3の防水性をより高めることができる。補強シートは台座部に設けられた支持架台固定用ビスの上面から台座部を覆うようにして台座部に溶着また接着されていてもよい。これにより台座部の上面に露出する支持架台固定用ビス部分の防水性を高めることが出来るために好ましい。さらに防水性の向上を図る目的で、補強シート5を台座部1aと熱可塑性樹脂製防水シート3に加熱融着、溶剤溶着等で溶着することがより好ましい。
【0061】
このように設置物支持架台の台座部と熱可塑性樹脂製防水シートを同時に覆う場合には補強シートをドーナツ形状とすることができる。すなわち、ドーナツ形状の中央開口部に支持部1bを通し、台座部1aと熱可塑性樹脂製防水シート3に加熱溶着、溶剤溶着等で溶着される。中央開口部の径は支持部1bの径よりも2mm〜10mm大きいことが好ましく、外形の径は台座部1aの径よりも80mm〜100mm大きいものが好ましい。
ここで、ドーナツ形状とは、上記のとおり補強シートの中央部に開口部を有しその開口部に設置物支持架台の支持部を通すことが出来ればよく、その外形は円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。また中央部に設けられた開口部も円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。
【0062】
補強シートの厚みは0.3mm〜3mmが好ましく、0.5mm〜2mmがよりこのましい。補強シート5の材質としては、支持架台被覆樹脂層8、熱可塑性樹脂製防水シート3と同質又は同種の溶着し易い樹脂が良く、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0063】
さらに補強シート5で台座部1a、熱可塑性樹脂製防水シート3を溶着し、一体化した後、溶着部端部をシール材6で防水処理を行うことが防水性をより高めるために好ましい。シール材6としては支持架台被覆樹脂層8、補強シート5、熱可塑性樹脂製防水シート3と同質又は同種の樹脂からなるシール材が良い。
【0064】
上記設置物支持架台に設置される設置物としては、太陽光パネル、広告設備、手摺、フェンス等の設置物があり、例として、太陽光パネルのアングル部分の設置に関する実施形態を図14、図15に示す。
【0065】
図14は上記設置物支持架台に太陽光パネルのアングル9が設置された実施形態である。アングル9は設置物固定部1eを通って、固定用ナット1dの直上に設置され、アングル固定用ナット10によって挟まれて固定される。前記アングル固定用ナット10には一般的な六角ナットを使用出来る。
また、図15は太陽光パネルのアングル9が設置物固定部1eの先端部に設置された実施形態であって、アングル9は設置物固定部1eを通って、アングル支持用ナット11で支持され、アングル固定用ナット10によって挟まれて固定される。前記アングル支持用ナット11、アングル固定用ナット10には一般的な六角ナットが使用出来る。このように、太陽光パネルのアングル9が設置物固定部1eの先端部に設置される場合、設置物固定部1eの曲げ強度を考慮すると、アングル9の取付け位置は固定用ナット1dより0(直上)〜35mm上とするのが好ましい。
【0066】
下地の上に断熱材等による断熱層を設けその外側に防水層を設ける断熱工法においては、図16、図17に示したような設置物支持架台の設置構造を取ることが出来る。
【0067】
図16、図17は本発明の設置物支持架台を断熱材12が存在する場合に屋上スラブ上に載置してなる他の実施形態である。これらによると、コンクリート系の躯体2に設置物支持架台を支持架台固定用ビス4で固定後、断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3を支持部1bと略同径でくり抜く等して、支持部1bが断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3を貫通した状態で敷設される。
このような構造とすることで設置物支持架台が下地に安定的に固定された断熱工法による防水層を得ることが出来る。
【0068】
さらに図16においては、断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3の浮きを効率的に防止するために、台座部1aより外側でドーナツ型の押さえ部材13を介して断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3を押さえ用ビス14で押さえつける。そして防水覆い部15を支持部1bを通して被せ、台座部1a、押さえ部材13、熱可塑性樹脂製防水シート3を加熱溶着、溶剤溶着等で溶着して一体化する。さらに、溶着部端部をシール材6で封止することができる。
【0069】
また図17においては、断熱材12の上から押さえ部材13を敷設し、断熱材12と押さえ部材13を覆うように熱可塑性樹脂製防水シート3を設置物支持架台の支持部1bを通して敷設し、熱可塑性樹脂製防水シート3の上から押さえ部材13、断熱材12、下地2を貫通するように押さえ用ビス14で固定する。そして、そして防水覆い部15を支持部1bを通して被せることでさらに防水性を高めることが出来る。図17ではさらに防水覆い部15の溶融着端部を溶着部端部をシール材6で封止している。
【0070】
断熱材12はポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、イソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム等が使用され、厚みは10mm〜200mmが好ましく用いられる。
【0071】
押さえ部材13を構成する材質としては金属、熱硬化性樹脂等が使用されるが、金属が使用される場合、金属表面に熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と同質又は同種の熱可塑性樹脂で被覆することが好ましく、これにより熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と溶着一体化することができる。
また、熱硬化性樹脂が使用される場合、熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と同質又は同種の溶着し易い樹脂が好ましく、熱可塑性樹脂製防水シート3、防水覆い部15と溶着一体化することができる。
図17においては塩化ビニル系樹脂製防水シートが用いられているため防水覆い部15は塩化ビニル系樹脂製であり、押さえ部材13は塩化ビニル系樹脂で被覆されている。
【0072】
押さえ部材13の一例を図18に示した。押さえ部材13はドーナツ形状であることが好ましく、押さえ部材13の中央部に開口部131を有しその開口部131に設置物支持架台の支持部を通すことが出来ればよく、押さえ部材13の外形は円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。また中央部に設けられた開口部131も円形であることを要せず四角、六角等の多角形であってもよい。ここで、押さえ部材13がドーナツ形状等である場合において、中央の開口部の径は支持部1bの径よりも2mm〜10mm大きいのが好ましい。
また、押さえ部材13の外形は台座部1aの径よりも60mm〜120mm大きいのが好ましく、押さえ用ビス14が台座部1aよりも外側に打ち込める位置にビス穴を複数個設けてあり、厚みとしては1mm〜5mmが好ましい。
【0073】
押さえ部材はビスにより防水層(熱可塑性樹脂製防水シート)、断熱層を貫通して躯体(コンクリート下地)に固定することができる。この場合には、防水シート上の押さえ部材を配置し、押さえ部材の上面からドリル等で防水層、断熱層を貫通し、躯体に達する孔を設け、その穴に固定用のビスを回し入れることで押さえ部材が躯体に固定される。またこのようにして設けられた孔には、固定用のビスを固定強度を高めるために、金属系アンカー、プラスチックアンカー等を挿入することができ、さらにその上からエポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系等の接着剤を注入し、その後に固定用のビスを挿入することが好ましい。
【0074】
また、押さえ部材13は断熱材12、熱可塑性樹脂製防水シート3が風等で浮き上がるのを防止するものであるから、支持部の周囲を必ずしも連続で押さえるものでなくてもよい。すなわち、押さえ部材13は支持部の周囲を押さえるように複数の部分に分割されていてもよいし、その一部に不連続な部分があっても良い。
【0075】
防水覆い部の一例を図19に示した。防水覆い部15は設置物支持架台、押さえ部材13、熱可塑性樹脂製防水シート3を溶着一体化することで防水性をより高めるためのものである。防水覆い部15の材質としては支持架台被覆樹脂層13、押さえ部材、熱可塑性樹脂製防水シート4と同質又は同種の溶着し易い樹脂が良く、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
【0076】
ここで、防水覆い部15は筒部151と鍔部152とからなるハット型が好ましいが、少なくとも中央部に開口部153を有する鍔部152からなる。ここで、筒部151と鍔部152からなることで、防水覆い部と支持部との防水性をより向上させることができる。
筒部151の内径は支持部1bの径とほぼ同等であるのが好ましく、高さは40mm〜175mmが好ましい。鍔部の径は押さえ部材の径より80mm〜100mm大きいのが好ましい。防水覆い部の厚みは、0.3mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
【0077】
このように躯体の上に断熱層を設ける構造の場合に躯体の上方かつ断熱層の下に設置物支持架台を固定し断熱層、防水層を敷設することで非断熱同様の設置物支持架台の躯体(下地)への固定強度を得つつ断熱効果、防水性を得ることができる。
【0078】
すなわち躯体上に断熱材が存在する場合、断熱材上から設置物支持架台を固定すると、設置物の重量、風による圧縮力等で経年後、設置物支持架台下の断熱材が潰され、設置物支持架台にガタツキ等の不具合が生じる場合があるが、躯体の上方かつ断熱層の下に設置物支持架台を固定することでより強固に設置物支持架台を固定することができる。
【実施例】
【0079】
[実施例1]
本発明の設置物支持架台として、図20(20−1)のように設置物固定部をボルト軸とボルト頭で構成されたボルトとし、オネジを有するボルト軸に固定用ナットを上端面に接する位置までねじ込んで、設置物固定部を支持部に固定して本発明の設置物支持架台を得た。
【0080】
[荷重試験の試験方法]
得られた設置物支持架台をインストロン社製の万能試験機に固定し設置物固定部の上端面から2.5cmの位置を試験速度10mm/minで横向きの荷重をかけ、試験機のヘッドが5mm変位した時の荷重(KN)を測定した。そして、この耐荷重試験での結果を表1に示した。
【0081】
[比較例1]
図20(20−2)のような、設置物固定部を上端面に溶接により固定し、固定用ナットは用いない設置物支持架台を得た。そして、耐荷重試験での結果を表1に示した。
【0082】
【表1】
【0083】
表1より実施例1の設置物支持架台は設置物固定部を溶接せずとも固定用ナット備えることで、設置物固定部を溶接で設置物固定部を固定した比較例1より約1.5倍の強度が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明によれば、設置物の設置の際、躯体に本発明の設置物支持架台を固定するだけであり、大掛かりな工事が必要なくなり、非常に簡易的で養生期間は必要なく、工期短縮が図れる。また、屋上で使用する場合、設置物支持架台自体は軽量のため、建物に与える負荷質量が少なく、耐震性の面から有利となる。防水性の面でも、設置物支持架台と防水シートを溶着して一体化しているため、非常に高い防水性能があり、設置物設置に伴う漏水事故の心配が無なくなる。
【符号の説明】
【0085】
1 設置物支持架台
1a 台座部
1b 支持部
1c 上端面
1d 固定用ナット
1e 設置物固定部
20 ボルト頭
32 設置物接続部
33 オネジ部
34 連結部
2 躯体
3 熱可塑性樹脂製防水シート
4 固定用ビス
5 補強シート
6 シール材
7 固定用ビス穴
8 支持架台被覆樹脂層
9 太陽光パネルのアングル
10 アングル固定用ナット
11 アングル支持用ナット
12 断熱材
13 押さえ用部材
14 押さえ用ビス
15 防水覆い部
16 抜け止め部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地の上側に配置される台座部と、
前記台座部の下地側面と対向する上側面から前記下地側面に対し上方に設けられた支持部と、
前記支持部の上端面から上方に向けて設けられると共に前記上端面に接する部分にオネジ部及び前記オネジ部と対向する開放側端部に設置物と接続される設置物接続部が設けられた設置物固定部と、
前記設置物固定部の前記オネジ部にねじ込まれている固定用ナット部と、
を備えた前記下地の上に前記設置物を設置するための設置物支持架台。
【請求項2】
前記支持部の内側に抜け止め部をさらに備え、
前記設置物固定部は前記支持部の内側で前記抜け止め部と連結された連結部を備え前記設置物接続部と前記オネジ部と前記連結部が一軸に連結されている請求項1に記載の設置物支持架台。
【請求項3】
前記連結部はオネジが設けられ、前記抜け止め部はメネジが設けられると共に前記支持部の内側に固定され、前記連結部のオネジが前記抜け止め部のメネジにねじ込まれている請求項2に記載の設置物支持架台
【請求項4】
前記設置物固定部がボルトであって、前記抜け止め部が前記ボルトのボルト頭でありボルト軸に設けられたオネジが前記オネジ部である請求項2に記載の設置物支持架台。
【請求項5】
少なくとも前記台座部が熱可塑性樹脂層で被覆されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持架台。
【請求項6】
下地の上側に敷設された防水層と、
前記防水層の上に設置される請求項5に記載の設置物支持架台と、
前記設置物支持架台の台座部の上面から防水層を貫通して下地に対してビス止めを行う支持架台固定用ビスと、
前記台座部と前記防水層を覆う共に前記台座部の熱可塑性樹脂層に溶融着される補強シートと、
を備えた前記下地の上に前記設置物を設置するための設置物支持架台の取り付け構造。
【請求項7】
下地の上側に敷設される断熱層と、
前記断熱層の上側に敷設される防水層と、
前記下地の上に設置される請求項1〜5いずれか1項に記載の設置物支持架台と、
前記設置物支持架台の台座部の上面から下地に対してビス止めを行う支持架台固定用ビスと、
を備え前記設置物支持架台の支持部が前記断熱層および前記防水層を貫通されている設置物を設置するための設置物支持架台の取り付け構造。
【請求項1】
下地の上側に配置される台座部と、
前記台座部の下地側面と対向する上側面から前記下地側面に対し上方に設けられた支持部と、
前記支持部の上端面から上方に向けて設けられると共に前記上端面に接する部分にオネジ部及び前記オネジ部と対向する開放側端部に設置物と接続される設置物接続部が設けられた設置物固定部と、
前記設置物固定部の前記オネジ部にねじ込まれている固定用ナット部と、
を備えた前記下地の上に前記設置物を設置するための設置物支持架台。
【請求項2】
前記支持部の内側に抜け止め部をさらに備え、
前記設置物固定部は前記支持部の内側で前記抜け止め部と連結された連結部を備え前記設置物接続部と前記オネジ部と前記連結部が一軸に連結されている請求項1に記載の設置物支持架台。
【請求項3】
前記連結部はオネジが設けられ、前記抜け止め部はメネジが設けられると共に前記支持部の内側に固定され、前記連結部のオネジが前記抜け止め部のメネジにねじ込まれている請求項2に記載の設置物支持架台
【請求項4】
前記設置物固定部がボルトであって、前記抜け止め部が前記ボルトのボルト頭でありボルト軸に設けられたオネジが前記オネジ部である請求項2に記載の設置物支持架台。
【請求項5】
少なくとも前記台座部が熱可塑性樹脂層で被覆されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の支持架台。
【請求項6】
下地の上側に敷設された防水層と、
前記防水層の上に設置される請求項5に記載の設置物支持架台と、
前記設置物支持架台の台座部の上面から防水層を貫通して下地に対してビス止めを行う支持架台固定用ビスと、
前記台座部と前記防水層を覆う共に前記台座部の熱可塑性樹脂層に溶融着される補強シートと、
を備えた前記下地の上に前記設置物を設置するための設置物支持架台の取り付け構造。
【請求項7】
下地の上側に敷設される断熱層と、
前記断熱層の上側に敷設される防水層と、
前記下地の上に設置される請求項1〜5いずれか1項に記載の設置物支持架台と、
前記設置物支持架台の台座部の上面から下地に対してビス止めを行う支持架台固定用ビスと、
を備え前記設置物支持架台の支持部が前記断熱層および前記防水層を貫通されている設置物を設置するための設置物支持架台の取り付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−92629(P2012−92629A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242930(P2010−242930)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
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