説明

診断システム、ネットワーク機器及び診断プログラム

【課題】ネットワーク上の機器同士の間で発生した接続障害を容易に診断できる診断システムを提供する。
【解決手段】
AV機器20は、作成プログラム231により、自身のIPアドレス及びネットワークアドレスと、同一サブネット上に属する他の機器のMACアドレスを含む他機情報とを備えるネットワーク機器情報を作成する。そして、ネットワーク機器情報と診断プログラム232とをUSBメモリ装置30に書き込む。ユーザは、AV機器20との間で何らかの接続不要が発生したパーソナルコンピュータ(PC)にUSBメモリ装置30を装着し、PCに診断プログラムをインストールする。診断プログラムは、ネットワーク機器情報と、PCの所在情報や識別情報を用いて、PCとAV機器20との間の接続状態を診断し、診断結果を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断システムに関し、さらに詳しくは、ネットワークに接続可能なコンピュータ機器と、ネットワークに接続可能なAV機器等の家電機器に代表されるネットワーク機器とを備えた診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内LAN(Local Area Network)等のネットワークでは、ネットワークの自動構築が可能なプロトコルを実装する機器同士が、ユーザがIPアドレスの設定等をすることなく自動的に相互接続できるようになっている。このようなネットワークの自動構築が可能なプロトコルの代表としてUPnP(Universal Plug and Play)プロトコルがある。UPnPプロトコルは、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:以下、PCという)だけでなく、AV機器等の家電機器にも実装されており、PCと家電機器とをネットワーク接続できる。
【0003】
UPnPプロトコルを実装する機器(以下、UPnP機器という)がネットワークに接続されたとき、UPnP機器は、同じサブネット上の他の機器に、自身のIP(Internet Protocol)アドレス等の識別情報をマルチキャストして自分がネットワークに接続した旨を告知する(アドバタイズメント)。他のUPnP機器は、マルチキャストされた識別情報を受け、新たに接続されたUPnP機器を認識する。新たに接続されたUPnP機器はさらに、UPnPプロトコルに基づく探索処理(M-Search)を実行することで、他のUPnP機器のIPアドレスやMAC(Media Access Control)アドレス識別情報を取得して他のUPnP機器を認識する。
【0004】
このように、UPnP機器は、ユーザがIPアドレスの設定等をすることなくホームネットワークに自動接続でき、ネットワーク上のUPnP機器は、同一サブネット上の他のUPnP機器を互いに認識できる。そのため、ユーザは何ら設定することなく、PC等のUPnP機器を用いて、ネットワーク上の他のUPnP機器を制御することができる。
【0005】
しかしながら、なんらかの障害により、ネットワーク上で既に起動しているUPnP機器が他の特定のUPnP機器を認識しない場合がある。このような場合に、その障害の要因を容易に解析できる方が好ましい。
【0006】
特開2005−354342号公報では、ネットワーク障害の原因解析を行う技術が開示されている。この文献では、ネットワーク障害が発生したときに、ネットワーク経由でブロードバンドルータが保持する障害情報を取得してTV装置に表示するとしている。しかしながら、この文献には、ホームネットワーク上の特定の機器同士の接続状態に関する障害の解析を行う方法は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−354342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ネットワーク上の機器同士の間で発生した接続障害を容易に診断できる診断システムを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明による診断システムは、ネットワークに接続されたネットワーク機器及びコンピュータ機器を備える。ネットワーク機器は、書込手段を備える。書込手段は、ネットワーク機器の所在情報を、ネットワーク機器及びコンピュータ機器に着脱可能な記憶媒体に書き込む。コンピュータ機器は、読出手段と、制御手段とを備える。読出手段は、コンピュータ機器に装着された記憶媒体から情報を読み出す。制御手段は、診断プログラムを実行する。診断プログラムは、記憶媒体から読み出されたネットワーク機器の所在情報に基づいて、コンピュータ機器とネットワーク機器との接続状態を診断する診断ステップと、診断した結果を通知する通知ステップとを制御手段に実行させる。
【0010】
この場合、コンピュータ機器は、記憶媒体を介してネットワーク機器の所定情報を取得でき、診断プログラムを用いてコンピュータ機器とネットワーク機器との接続状態について容易に診断できる。
【0011】
好ましくは、書込手段はさらに、ネットワーク機器と同じサブネットに属する1又は複数の他の機器の識別情報を含む他機情報を記憶媒体に書き込む。診断ステップは、コンピュータ機器の識別情報が他機情報に含まれるか否かを判断する。
【0012】
この場合、コンピュータ機器は、ネットワーク機器がコンピュータ機器を認識しているか否かを判断できる。
【0013】
好ましくは、ネットワーク機器はさらに、記憶手段を備える。記憶手段は、診断プログラムを記憶する。書込手段はさらに、診断プログラムを記憶媒体に書き込む。制御手段は、読出手段により読み出された診断プログラムを実行する。
【0014】
この場合、コンピュータ機器に診断プログラムがなくても、ネットワーク機器内に格納された診断プログラムを記憶媒体を介してコンピュータ機器に読み取ることで、コンピュータ機器とネットワーク機器との接続状態を容易に診断できる。
【0015】
本発明によるネットワーク機器及び診断プログラムは、上述の診断システムに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による診断システムを構成するパーソナルコンピュータの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態による診断システムを構成するAV機器の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1及び図2に示すパーソナルコンピュータ及びAV機器のネットワーク上での接続関係の一例を示す図である。
【図4】図2に示したAV機器の動作の詳細を示すフロー図である。
【図5】図4の動作により作成されるネットワーク機器情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図1に示したパーソナルコンピュータの動作の詳細を示すフロー図である。
【図7】図6の動作でパーソナルコンピュータのディスプレイに表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
[全体構成]
図1及び図2を参照して、コンピュータ機器及びネットワーク機器は、ネットワークを介して互いに接続可能な機器であり、たとえば、UPnPプロトコルが実装されたUPnP機器である。UPnP機器は、たとえば、コンピュータやAV機器、家電機器等である。以降、コンピュータ機器をパーソナルコンピュータ(PC)とし、ネットワーク機器をAV機器として説明するが、コンピュータ機器及びパーソナル機器は互いにネットワーク接続できるものであればよい。
【0019】
図1及び図2にPC10及びAV機器20の機能ブロック図を示す。PC10及びAV機器20はともにUPnPプロトコルを備え、メディアサーバやメディアレンダラ、コントロールポイントとして機能する。
【0020】
図1を参照して、PC10は、汎用のコンピュータであり、制御部であるCPU(Central Processing Unit)110と、メモリ120と、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)130と、ネットワークを介して他の機器と通信するための通信部140と、ディスプレイ150とを備える。PC10はさらに、コネクタ160を備える。コネクタ160は、PC10に着脱可能な記憶媒体であるUSB(Universal Serial Bus)メモリ装置30が差し込まれる。HDD130には、UPnPプロトコルが格納されている。通信部140は、1つのネットワークインタフェースを含んでいてもよいし、複数のネットワークインタフェース、たとえば、有線及び無線のネットワークインタフェースを含んでいてもよい。
【0021】
図2を参照して、AV機器20は、CPU210と、メモリ220と、HDD230と、通信部240とを備える。AV機器20はさらに、USBメモリ装置30を差し込むコネクタ260を備える。HDD230には、PC10と同様に、UPnPプロトコルが格納されている。HDD220にはさらに、ネットワーク機器情報作成プログラム(以下、単に作成プログラムという)231と、診断プログラム232とが格納されている。診断プログラム232はたとえば、VBScript(Visual Basic Script:商標)やJava(商標)Scriptといったスクリプト言語で記述されたスクリプトであってもよいし、Flash(商標)ファイル等であってもよい。
【0022】
[動作概要]
PC10やAV機器20等のUPnP機器は、家庭内LAN等の同じサブネットに接続されたとき、UPnPプロトコル内のSSDP(Simple Service Discovery Protocol)に基づくディスカバリ(Discovery)処理により、同じサブネット上の他のUPnP機器の所在情報であるIPアドレス及びネットワークアドレスや、識別情報であるMACアドレスを取得する。これらの情報により、UPnP機器であるPC10は、同じサブネット上の他のUPnP機器であるAV機器を認識できる。
【0023】
しかしながら、PC10がネットワークに接続されたAV機器20を認識できない場合がある。このような接続障害が生じる原因のいくつかの例を以下に述べる。
【0024】
PC10とAV機器20との接続障害の原因の1つとして、PC10とAV機器20とが通信不能であることが考えられる(原因1)。たとえば、PC10とAV機器20との間に介した機器(スイッチやルータ等)に何らかの原因がある場合、通信不能が発生する。
【0025】
また、接続障害の原因の他の例として、PC10とAV機器20とが異なるサブネットに属していることが考えられる(原因2)。たとえば、図3に示すように、スイッチ60にPC10と、UPnP機器70と、有線ルータ50と、無線ルータ80とが接続されているサブネット90を想定する。有線ルータ50はインターネット等の外部ネットワーク40と接続されている。
【0026】
ここで、無線ルータ80にAV機器20が接続された場合、AV機器20はサブネット90と異なるサブネット100に属することになる。UPnPプロトコルのディスカバリ処理は原則として同じサブネット上の他のUPnP機器に対して告知及び探索を行うものであるため、AV機器20が告知を行ってもPC10には届かない。したがって、AV機器20がPC10と異なるサブネットに属する場合、PC10はAV機器20を認識できない場合がある。
【0027】
接続障害の原因のさらに他の例として、AV機器20はPC10を認識しているにもかかわらず、PC10がAV機器20を認識していない場合もある(原因3)。この場合、PC10の設定に何らかの問題があると推定できる。
【0028】
本実施の形態による診断システムでは、AV機器20がネットワークに接続されたとき、AV機器20は、作成プログラム231を実行して、自身がディスカバリ処理で認識した他のUPnP機器の所在情報及び識別情報を含むネットワーク機器情報を作成する。ここでいう所在情報は、UPnP機器のIPアドレスとUPnP機器が属するサブネットのネットワークアドレスを含む。また、識別情報はUPnP機器のMACアドレスである。AV機器20は、ネットワーク機器情報を、診断プログラム232とともに、USBメモリ装置30に書き込んでおく。
【0029】
PC10がネットワークに接続したはずのAV機器20を認識できないとき、ユーザは、AV機器20のコネクタ260からUSBメモリ装置30を取り外す。そして、取り外したUSBメモリ装置30をコネクタ160を介してPC10に装着する。このとき、USBメモリ装置30内の診断プログラム232がPC10のメモリ120にロード(読み出し)され、制御部であるCPU110で実行される。診断プログラム232が起動したPC10は、ネットワーク機器情報と、自身の接続状態に関する情報とを用いて、ネットワーク機器情報との間で発生した接続障害の原因が上述の原因1〜3に該当するか否かを判断する。
【0030】
以下、AV機器20及びPC10の動作の詳細を説明する。
【0031】
[AV機器20の動作]
ネットワーク上に新たに接続されたAV機器20は、図4に示す起動処理を実行する。AV機器20は初めに、UPnPプロトコルに基づいて、アドレッシング(Addressing)処理を実行して自身のIPアドレスと、自身が接続されたサブネットのネットワークアドレスとを取得する(S1)。ステップS1では、AV機器20は初めに、図示しないDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバにDHCPメッセージを送信する。DHCPサーバは、DHCPメッセージに応答して、AV機器20に割り当てるIPアドレスをAV機器20に通知する。このとき、DHCPサーバは、ネットワークアドレスもAV機器20に通知する。AV機器20は、通知を受けた後、通知されたIPアドレスの使用をDHCPサーバに通知する。以上の方法により、AV機器20は、自身のIPアドレスと、ネットワークアドレスとを取得する。なお、本例では、AV機器20は、DHCPサーバを利用してIPアドレスを取得したが、AV機器20がAutoIP機能を備え、AutoIP機能に基づいてIPアドレスを決定してもよい。
【0032】
続いて、AV機器20は、UPnPプロトコルに基づいて、ディスカバリ処理を実行し、同じサブネットに属する他のUPnP機器のIPアドレス及びMACアドレスを取得する(S2)。ステップS2では、AV機器20は初めに、SSDPに基づいて、同一サブネット上に既に起動している他のUPnP機器を探索する。具体的には、AV機器20はSSDPに準拠した探索要求(M-Search)をマルチキャストする。同一サブネット上で既に起動している他のUPnP機器は、マルチキャストされた探索要求に応答して、自身のIPアドレス及びMACアドレスを特定するための情報をAV機器20に送信する。AV機器20は、他のUPnP機器からの応答に基づいて他のUPnP機器のIPアドレス及びMACアドレスを取得する。
【0033】
UPnPプロトコルに基づくアドレッシング処理及びディスカバリ処理を実行した後、AV機器20は作成プログラムを実行して図5に示すネットワーク機器情報を作成する(S3)。ネットワーク機器情報は、所在情報として、AV機器20自身のIPアドレスと、AV機器20が属するサブネットのネットワークアドレスを含む。ネットワーク機器情報はさらに、他機情報を含む。他機情報には、ディスカバリ処理により取得した同一サブネット上の他のUPnP機器の識別情報(MACアドレス)が含まれる。ディスカバリにより他のUPnP機器のMACアドレスを複数取得した場合は、取得した複数のMACアドレスが他機情報に含まれる。なお、他の情報、たとえば、AV機器20自身のMACアドレスや他のUPnPのIPアドレスがネットワーク機器情報に含まれていてもよい。
【0034】
ネットワーク機器情報を作成後、AV機器20は作成プログラムに基づいて、ネットワーク機器情報と診断プログラム232とをUSBメモリ装置30に書き込む(S4)。
【0035】
[PC10の動作]
PC10もAV機器20と同様に、ディスカバリ処理により同一サブネット上の他のUPnP機器を認識する。PC10がディスカバリ処理によりAV機器20を正常に認識していれば、たとえば、ディスプレイ150上にAV機器20を示すアイコン等が表示される。しかしながら、何らかの原因により、PC10がAV機器20を認識せず、ディスプレイ150上にAV機器20に関する情報が表示されない場合がある。
【0036】
このような接続障害が生じた場合、ユーザは、AV機器20のコネクタ260からUSBメモリ装置30を外し、PC10のUSBコネクタ160に取り付ける。図6を参照して、PC10はUSBメモリ装置30の装着を検知したとき(S11でYES)、USBメモリ装置30内の診断プログラム232を読み出してメモリ120に格納する(S12)。そして、診断プログラム232をCPU110で実行する。この動作により、PC10は接続障害の診断装置として機能し、診断処理(S13〜S17)を実行する。診断処理では、接続障害の原因が上述の原因1〜3に該当するか否かを判断する。
【0037】
初めに、PC10は、接続障害の原因が、上述の原因1に該当するか否かを判断する。PC10はUSBメモリ装置30内のネットワーク機器情報を読み出す(S13)。そして、HDD130及び230に予め格納されているpingプログラムを用いて、PC10がAV機器20に通信できるか否かを診断する(S14)。具体的には、PC10は、USBメモリ装置30内のネットワーク機器情報内のAV機器20のIPアドレスを利用して、AV機器20宛にICMP(Internet Control Message Protocol)エコー要求を送信する。PC10は所定時間内にICMPエコー応答を受信したか否かを判断する。PC10がICMPエコー応答を受けた場合は、原因1は接続障害の原因ではないと推定される。一方、PC10がICMPエコー応答を受けなかった場合、原因1は接続障害の原因の1つに推定され得る。PC10は判断結果(ICMPエコーを受けたか否か)をメモリ120に格納する。
【0038】
なお、PC10が複数のネットワークインタフェースを有する場合、たとえば、PC10が有線及び無線のネットワークインタフェースを有する場合、各ネットワークインタフェースごとにIPアドレスを有する。この場合、各ネットワークインタフェースのIPアドレスに対してICMPエコー要求を送信する。そして、いずれかのIPアドレスからICMPエコー応答を受けたとき、原因1は接続障害の原因ではないと判断し、いずれのIPアドレスからもエコー応答を受けなかったとき、原因1は接続障害の原因の1つに推定される。
【0039】
続いて、PC10は、接続障害の原因が、上述の原因2に該当するか否かを判断する(S15)。PC10は、自身が起動するときにDHCPサーバから受信しメモリ120に格納している自身の所在情報のうち、自身が属するサブネットのネットワークアドレスを読み出す。そして、ネットワーク機器情報内のネットワークアドレスと比較する。両者が一致する場合は、PC10とAV機器20とが同一サブネットに属するため、原因2は該当しない。一方、両者が異なる場合、原因2が接続障害の原因の1つとして推定され得る。
【0040】
PC10が複数のネットワークインタフェースを有する場合、各ネットワークインタフェースのネットワークアドレスに対してステップS15の処理を実行する。そして、いずれかのネットワークアドレスがネットワーク機器情報内のネットワークアドレスと一致するとき、接続障害の原因として原因2は該当しないと判断し、いずれのネットワークアドレスもネットワーク機器情報内のネットワークアドレスと一致しないとき、原因2が接続障害の原因の1つと推定する。
【0041】
続いて、PC10は、接続障害の原因が、上述の原因3に該当するか否かを判断する(S16)。PC10は、HDD130又はメモリ120に記憶された自身の識別情報であるMACアドレスを読み出す。そして、ネットワーク機器情報内の他機情報を読み出し、他機情報が自身のMACアドレスと一致するMACアドレスを含んでいるか否かを判断する。他機情報が自身のMACアドレスを含む場合、AV機器20がディスカバリ処理によりPC10を認識しているため、原因3が接続障害の原因として推定され得る。PC10は判断結果をメモリ120に格納する。
【0042】
PC10が複数のネットワークインタフェースを有する場合、PC10は、各ネットワークインタフェースごとにMACアドレスを有する。この場合、PC10はステップS16において、他機情報が、自身が持つ複数のMACアドレスのいずれかを含んでいるか否かを判断する。いずれかを含んでいれば、原因3が接続障害の原因として推定される。
【0043】
PC10は、ステップS14〜S16の診断を実行した後、各ステップの診断結果を通知する(S17)。具体的には、PC10は、判断結果を図7に示すようにディスプレイ150に表示する(S17)。図7では、ステップS14でICMPエコー応答があったと判断され、ステップS15でネットワークアドレスが一致したと判断され、ステップS16でネットワーク機器情報がPC10のMACアドレスを含んでいたと判断された場合の診断結果である。この診断結果の場合、AV機器20はPC10と通信可能であり、同じサブネットに属し、PC10を認識しているため、PC10に何らかの原因がある、つまり、上述の原因3が接続障害の原因と推定できる。
【0044】
このように、本実施の形態による診断システムでは、特定のUPnP機器の間で接続障害が生じた場合、たとえば、上述のとおりPC10とAV機器20との間で接続障害が生じた場合、ネットワーク機器情報をAV機器20で作成し、ネットワーク機器情報を診断プログラム232とともにUSBメモリ装置30を介してPC10に読み込ませることで、PC10とAV機器20との接続状態を容易に診断でき、接続障害の原因をある程度絞り込んで推定することができる。
【0045】
なお、上述の実施の形態では、ステップS14〜S16で原因1〜原因3について全て判断したが、いずれか1つの原因を判断してもよい。また、ステップS14でICMPエコー応答を受けた場合のみステップS15に進み、ステップS15でネットワークアドレスが一致した場合のみステップS16に進んでもよい。
【0046】
上述の実施の形態では診断プログラムはAV機器20に格納されており、ネットワーク機器情報とともにUSBメモリ装置30を用いてPC10に書き込むとしたが、診断プログラム232がPC10に予め格納されていてもよいし、インターネット上の図示しないサーバから診断プログラムをダウンロードしてもよい。ただし、AV機器20に予め診断プログラム232が格納されていれば、上述のとおり、USBメモリ装置30をPC10に装着すれば、診断プログラムをPC10に書き込むことができる。そのため、サーバから診断プログラムをダウンロードする等の煩雑な作業を回避できる。
【0047】
また、上述の実施の形態では、PC10及びAV機器20と着脱可能な記憶媒体をUSBメモリ装置30としたが、USBメモリ装置30の代わりに、たとえば、CD−ROMやDVD、フラッシュメモリ等の他の記憶媒体を用いてもよい。
【0048】
上述の実施の形態では、診断結果をディスプレイ150に表示したが、診断結果を他の方法により通知してもよい。たとえば、音声や警告音等で通知してもよい。
【0049】
上述の実施の形態では、ネットワーク機器をAV機器とし、コンピュータ機器をPCとして接続したが、コンピュータ機器はAV機器やUPnPプロトコルを実行した家電機器であってもよいし、ネットワーク機器がPCであってもよい。要するに、ネットワーク機器及びコンピュータ機器は、互いにネットワーク接続可能な機器であればよい。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 パーソナルコンピュータ
20 AV機器
30 USBメモリ装置
110,210 制御部(CPU)
120,220 メモリ
130,230 ハードディスクドライブ
140,240 通信部
150 ディスプレイ
160,260 コネクタ
231 ネットワーク機器情報作成プログラム
232 診断プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されたネットワーク機器及びコンピュータ機器を備えた診断システムであって、
前記ネットワーク機器は、
前記ネットワーク機器の所在情報を、前記ネットワーク機器及び前記コンピュータ機器に着脱可能な記憶媒体に書き込む書込手段を備え、
前記コンピュータ機器は、
前記コンピュータ機器に装着された前記記憶媒体から情報を読み出す読出手段と、
診断プログラムを実行する制御手段とを備え、
前記診断プログラムは、
前記記憶媒体から読み出された前記ネットワーク機器の所在情報に基づいて、前記コンピュータ機器と前記ネットワーク機器との接続状態を診断する診断ステップと、
前記診断した結果を通知する通知ステップとを前記制御手段に実行させることを特徴とする診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載の診断システムであって、
前記書込手段はさらに、前記ネットワーク機器と同じサブネットに属する1又は複数の他の機器の識別情報を含む他機情報を前記記憶媒体に書き込み、
前記診断ステップは、前記コンピュータ機器の識別情報が前記他機情報に含まれるか否かを判断することを特徴とする診断システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の診断システムであって、
前記ネットワーク機器はさらに、
前記診断プログラムを記憶する記憶手段を備え、
前記書込手段はさらに、前記診断プログラムを前記記憶媒体に書き込み、
前記制御手段は、前記読出手段により読み出された診断プログラムを実行することを特徴とする診断システム。
【請求項4】
ネットワークに接続可能なネットワーク機器であって、
診断プログラムを記憶する記憶手段と、
前記ネットワークに接続されたときの前記ネットワーク機器の所在情報と、前記診断プログラムとを、前記ネットワーク機器及びネットワークに接続可能なコンピュータ機器に着脱可能な記憶媒体に書き込む書込手段を備え、
前記診断プログラムは、
前記ネットワーク機器の所在情報に基づいて、前記コンピュータ機器と前記ネットワーク機器との接続状態を診断する診断ステップと、
前記診断した結果を通知する通知ステップとを前記コンピュータ機器に実行させることを特徴とするネットワーク機器。
【請求項5】
ネットワークに接続されたネットワーク機器によって、前記ネットワーク機器及びネットワークに接続可能なコンピュータ機器に着脱可能な記憶媒体に書き込まれた前記ネットワーク機器の所在情報に基づいて、前記コンピュータ機器と前記ネットワーク機器との接続状態を診断する診断ステップと、
前記診断結果を通知する通知ステップとを前記コンピュータ機器に実行させる診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−181995(P2010−181995A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23325(P2009−23325)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】