説明

試験装置および試験方法

【課題】被試験体に対する必要な試験結果を得られるようにする。
【解決手段】被試験体Wを低速で振幅の大きい加振をする一の加振機10と、被試験体Wを高速で振幅の小さい加振をする他の加振機20とを有し、一の加振機10および他の加振機20が互いに直列されると共に被試験体Wを一の加振機10と他の加振機20との間に直列させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験装置および試験方法に関し、特に、被試験体を加振する試験に適する試験装置および試験方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
被試験体を加振する試験に適する試験装置および試験方法としては、従来から種々の提案がある。
【0003】
その中で、たとえば、特許文献1には、直線状に伸縮する油圧シリンダ(アクチュエータ)を駆動し、被試験体を任意の加振特性で加振する振動/加振試験機、すなわち、試験装置の提案が開示されている。
【0004】
それゆえ、この直線状に伸縮する油圧シリンダを有する試験装置にあっては、また、この試験装置を利用する試験方法にあっては、直線状に伸縮する油圧シリンダの特性からして、低速で振幅の大きい周波数の振動で被試験体を加振できる。
【0005】
また、特許文献2には、加振機が電磁加振機からなる提案が開示されている。それゆえ、この加振機が電磁加振機からなる提案にあっては、電磁加振機の特性からして、高速で振幅の小さい周波数の振動で被試験体を加振できる。
【0006】
その結果、上記した従来の提案によれば、被試験体に対して、低速で振幅の大きい周波数の振動で加振する試験と、高速で振幅の小さい周波数の振動で加振する試験とを行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−184158号公報
【特許文献2】特開平8−152391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した特許文献に開示の提案によれば、被試験体を低周波領域と高周波領域とで加振する試験を行え、その結果を得ることも可能になるが、被試験体の態様によっては、些かの不具合があると指摘される可能性がある。
【0009】
すなわち、被試験体が、たとえば、車両に搭載される流体圧緩衝器とされる場合には、この流体圧緩衝器に対する振動試験にあっては、実際に車両が走行する場合の振動を再現できることが好ましい。
【0010】
つまり、被試験体たる流体圧緩衝器に、別々ではなく、同時に低周波領域の振動を加振しつつ高周波領域の振動を加振する必要があるが、これまでに、この要請に応えられる提案はなかった。
【0011】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたもので、被試験体に対する必要な試験結果を得られる試験装置および試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するため、この発明による試験装置の構成を、被試験体を加振する一の加振機と、上記被試験体を加振する他の加振機とを有し、上記一の加振機および上記他の加振機が互いに直列されると共に上記被試験体を上記一の加振機と上記他の加振機との間に直列させてなるとする。
【0013】
そして、この発明による試験方法の構成を、被試験体を加振する一の加振機と上記被試験体を加振する他の加振機とを互いに直列させると共に、この直列された上記一の加振機と上記他の加振機との間に上記被試験体を直列させるとする。
【0014】
それゆえ、この発明にあっては、互いに直列された一の加振機と他の加振機との間に被試験体を直列させた状態下に両加振機を駆動して被試験体を加振するから、被試験体を所定の振動特性となる複数の振動に加振できる。
【0015】
すなわち、一の加振機が、たとえば、電磁加振機からなり、他の加振機が、たとえば、直動型のアクチュエータを有してなるとき、一の加振機によって被試験体を高速で振幅の小さい周波数領域の振動に加振でき、併せて、他の加振機によって被試験体を低速で振幅の大きい周波数領域の振動に加振できる。
【0016】
そして、この発明にあっては、互いに直列された一の加振機と他の加振機との間に被試験体を直列させ、また、この状態下に両加振機を駆動して被試験体を加振するから、一の加振機と他の加振機と重ねるように直列させ、その上に被試験体を直列させるようにする場合に比較して、上方の加振機の自重に対向して下方の加振機の推力を増大させる必要をなくして、被試験体に対する低周波領域から高周波領域となる幅広い領域での加振入力を実現できる。
【0017】
なお、一の加振機および他の加振機のいずれか一方の加振機の駆動を停止する場合には、選択された加振機の駆動で選択された加振機における振動特性で被試験体を加振できる。
【発明の効果】
【0018】
その結果、この発明によれば、被試験体に対する必要な試験結果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明による試験装置を示す概念図である。
【図2】この発明による試験装置の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による試験装置について説明することで、この試験装置を利用する試験方法についても併せて説明する。
【0021】
図1は、この発明による試験装置の概念を示すもので、被試験体Wを加振する一の加振機10と、被試験体Wを加振する他の加振機20とを有し、一の加振機10および他の加振機20が互いに直列されると共に被試験体Wを直列させてなる。
【0022】
このとき、図1(A)において、一の加振機10は、基台部Bに載置されてこの基台部Bに連結され、この一の加振機10に被試験体Wの図中で下端部となる基端部が連結され、この被試験体Wの図中で上端部となる先端部に他の加振機20が連結され、この他の加振機20が基台部Bに対向する固定部たる天蓋部Rに垂下されてこの天蓋部Rに連結されている。
【0023】
そして、上記の基台部Bと天蓋部Rとは、図1(A)中に二点鎖線図で示し、図1(B)では図示しないが、縦に延びる柱などからなる連結部Jで一体に連結される。
【0024】
一方、この発明による試験装置は、図1(B)において、基台部Bに他の加振機20が連結され、この他の加振機20に被試験体Wが上方から連結され、この被試験体Wに上方から一の加振機10が連結され、この一の加振機10が天蓋部Rに連結されてなる。
【0025】
以上のように、この発明の試験装置およびこの試験装置を利用する試験方法にあっては、一の加振機10および他の加振機20が互いに直列されると共に、この直列される一の加振機10と他の加振機20との間に被試験体Wを直列させるから、一の加振機10および他の加振機20が同時に駆動するとき、被試験体Wを所定の振動特性となる両加振機10,20からの複数の振動に加振できる。
【0026】
そして、この発明の試験装置およびこの試験装置を利用する試験方法にあっては、一の加振機10が、たとえば、電磁加振機からなり、他の加振機20が、たとえば、直動型のアクチュエータからなるとき、一の加振機10によって被試験体Wを高速で振幅の小さい周波数の振動に加振でき、他の加振機20によって被試験体Wを低速で振幅の大きい周波数の振動に加振できる。
【0027】
また、この発明の試験装置およびこの試験装置を利用する試験方法にあっては、互いに直列された一の加振機10と他の加振機20との間に被試験体Wを直列させると共に、この状態下に両加振機10,20を駆動して被試験体Wを加振するから、一の加振機と他の加振機と重ねるように直列させ、その上に被試験体を直列させるようにする場合に比較して、他の加振機20の自重に対向して一の加振機10による推力を増大させる必要をなくして、被試験体Wに対する低周波領域から高周波領域となる幅広い領域での加振入力を実現できる。
【0028】
ちなみに、この発明の試験装置およびこの試験装置を利用する試験方法にあっては、一の加振機10および他の加振機20のいずれか一方の加振機の駆動を停止する場合には、選択された一の加振機10あるいは他の加振機20の駆動で選択された一の加振機10あるいは他の加振機20における振動特性で被試験体Wを加振できる。
【0029】
ところで、被試験体Wについてだが、この発明が意図するところでは、基本的には、任意に構成されていて良いが、具体的には、軸線方向に長さを有する、すなわち、被試験体Wが軸線方向にこの軸線方向を横切る方向となる幅方向あるいは径方向よりも寸法を大きくする長さを有する、たとえば、棒状体あるいはこの棒状体より太径となる柱状体とされる。
【0030】
このとき、被試験体Wたる棒状体や柱状体は、一端部から他端部にかけて徐々に、つまり、リニアに、あるいは、一端部側と他端部側との間に段差を有して径を変化させるものであっても良い。
【0031】
また、特に、被試験体Wの振動に対する吸収能力などを試験することを鑑みると、被試験体Wとしては、たとえば、上端側部材と下端側部材とでテレスコピック型に形成されると共に流体圧を利用して伸縮作動する流体圧シリンダ、すなわち、シリンダが挙げられ、したがって、以下には、被試験体Wがシリンダからなるとして説明する。
【0032】
図2は、前記した図1(A)に示すところを具体化した試験装置を示し、この試験装置は、一の加振機10と、他の加振機20とを有すると共に、被試験体Wに作用する荷重を検出するロードセルS1と、被試験体Wの伸縮ストロークを検出するストロークセンサS2とを備えてなる。
【0033】
そして、図示しないが、この試験装置は、上記のロードセルS1およびストロークセンサS2からの信号を入力する制御装置を有し、この制御装置は、ロードセルS1およびストロークセンサS2から入力される信号を所定の処理をした信号にして、この信号を一の加振機10における制御部および他の加振機20における制御部に出力する。
【0034】
ちなみに、一の加振機10の制御部および他の加振機20における制御部は、制御装置からの信号を受けて一の加振機10および他の加振機20を駆動させると共に、その駆動の状況を信号にして制御装置に出力する。
【0035】
ところで、被試験体Wは、図示するところでは、シリンダからなり、一端側部材たるシリンダ体1と、このシリンダ体1内に入出可能に収装される他端側部材たるロッド体2とを備えてなり、シリンダ体1内の圧力室への作動油で代表される作動流体による流体圧の給排で伸縮可能とされている。
【0036】
一方、一の加振機10は、図示するところでは、電磁加振機からなり、基台部Bに載置されてこの機台部Bに連結される本体部11と、この本体部11の軸芯部に上下動可能に、すなわち、シリンダの伸縮方向となる上下方向に上下動可能に設けられる連結部材12とを有してなる。
【0037】
そして、この一の加振機10は、本体部11内にコイル(図示せず)を有し、このコイルの軸芯部に鉄芯に相当する上記の連結部材12が附勢バネ(図示せず)の附勢下に上下動可能に収装されてなる。
【0038】
そしてまた、この一の加振機10にあって、連結部材12は、チャック構造に形成されて、シリンダの一端部、すなわち、シリンダ体1の下端部を分離可能に把持する。
【0039】
なお、図示するシリンダは、シリンダ体1の下端に取付ブラケット1aを有するので、この取付ブラケット1aを連結部材12に分離可能に連結させることで、連結部材12がシリンダにおけるシリンダ体1の下端部を保持するとしても良い。
【0040】
それゆえ、この電磁加振機からなる一の加振機10にあっては、コイルに通電されるとき、連結部材12が図中で上下動し、シリンダにおけるシリンダ体1を上下方向に振動させる。
【0041】
このとき、この一の加振機10は、電磁加振機からなるから、被試験体Wたるシリンダにおけるシリンダ体1を高速で振幅の小さい周波数の振動で加振できる。
【0042】
次に、他の加振機20は、図示するところでは、たとえば、直動型の流体圧アクチュエータ、すなわち、流体圧シリンダ(図示せず)を有し、この流体圧シリンダは、後述する連結部30に連結される。
【0043】
ちなみに、他の加振機20が有する直動型の流体圧アクチュエータたる流体圧シリンダは、この種の流体圧シリンダと同様に構成されるのはもちろんであり、また、この流体圧シリンダを伸縮作動させる制御部は、図示などしないが、流体圧源を有する他に流体圧源と流体圧シリンダとの間における作動流体の往復を可能にする通路や作動流体の往復を制御する方向切換弁など有してなる。
【0044】
それゆえ、この他の加振機20は、流体圧シリンダに接続される制御部(図示せず)の制御で、流体圧シリンダを伸縮作動させ、被試験体Wたるシリンダにおけるロッド体2をシリンダ体1に対して入出させるように振動する。
【0045】
そして、この他の加振機20にあっては、流体圧シリンダの作動時の特性から、その作動時には、シリンダにおけるロッド体2を低速で振幅の大きい周波数の振動で加振する。
【0046】
ちなみに、図示しないが、この他の加振機20がモータを搭載する場合には、この他の加振機20は、モータと、モータの回転運動を上下方向の直線運動に変換する運動変換機構と、モータの回転を減速して運動変換機構に伝達する減速装置とを備えて構成されれば良く、運動変換機構としては、クランク機構、ラックアンドピニオン等を用いれば良い。
【0047】
また、この他の加振機20における制御部(図示せず)には前記した制御装置からの信号が入力され、この制御装置からの信号が入力された制御部は、この他の加振機20に相応の作動をさせると共に、この他の加振機20の作動状況を上記の制御装置に入力するのは、前記した通りである。
【0048】
ところで、連結部30は、被試験体Wたるシリンダにおけるロッド体2の図中で上端部となる基端部を分離可能に連結させると共に、上方の他の加振機20に連結される。
【0049】
連結部30とロッド体2の基端部との連結構造については任意の構造が選択されて良いが、図示するところでは、ロッド体2が上端に取付ブラケット2aを有するので、この取付ブラケット2aを連結部30に分離可能に連結させることで、連結部30がシリンダにおけるロッド体2の基端部を保持するとしても良い。
【0050】
このとき、この連結部30と上方の他の加振機20との間には、ロードセルS1が配設され、このロードセルS1は、被試験体Wたるシリンダにおけるロッド体2に作用する荷重を検出する。
【0051】
そして、ロードセルS1が検出した検出値たる信号については、ストロークセンサS2が検出した検出値たる信号と同様に、図示しない制御装置に入力され、この制御装置は、この入力された信号に基づいて、前記した一の加振機10および他の加振機20における制御部に、一の加振機10および他の加振機20の作動を制御する信号を出力する。
【0052】
なお、上記荷重検出手段は、ロードセルS1に限られず、他の荷重を検出することができるセンサを用いることができる。
【0053】
また、一の加振機10および他の加振機20における振動の振幅については、制御装置が一の加振機10および他の加振機20を駆動する駆動指令から把握できるようになっている。
【0054】
しかしながら、図示しないが、別途、一の加振機10および他の加振機20における振動の振幅を検出するストロークセンサを設けて、このストロークセンサが出力する信号を制御装置に入力して一の加振機10および他の加振機20における振幅を検知するようにしても良い。
【0055】
以上のように構成されたこの発明による試験装置にあっては、以下のようにして、被試験体Wたるシリンダに振動を与える。
【0056】
先ず、被試験体Wたるシリンダが下方の一の加振機10と上方の他の加振機20との間に介装された状態で取付けられる。
【0057】
ちなみに、シリンダをこの試験装置へ取付ける際は、他の加振機20を収縮させることで、被試験体Wの一の加振機10へ連結が可能になる。
【0058】
そして、被試験体Wが一の加振機10に連結された後に、他の加振機20を伸長させることで、被試験体Wへの他の加振体20の連結が可能になる。
【0059】
このとき、一の加振機10が床などの固定部に一体的に設けられる基台部Bに連結されると共に、他の加振機20が基台部Bに連結部Jを介して一体とされる天蓋部Rに連結されるから、この他の加振機20,被試験体Wたるシリンダおよび一の加振機10からなる直列体が転倒する危険が回避される。
【0060】
次に、被試験体Wたるシリンダに振動を与える試験方法について説明すると、制御装置は、一の加振機10でシリンダにおけるシリンダ体1に振動を与えるように制御すると共に、他の加振機20でシリンダにおけるロッド体2に振動を与えるように制御する。
【0061】
すなわち、前記したように、電磁加振機からなる一の加振機10で被試験体Wたるシリンダに振動を与えるから、シリンダにおけるシリンダ体1は、一の加振機10による高速で振幅の小さい周波数の振動に加振される。
【0062】
そして、流体圧シリンダを有する他の加振機20は、流体圧シリンダで被試験体Wたるシリンダに振動を与えるから、シリンダおけるロッド体2は、他の加振機20による低速で振幅の大きい周波数の振動に加振される。
【0063】
なお、他の加振機20側では、荷重が作用している状況を実現する、すなわち、シリンダにおけるロッド体2が荷重作用で振動するのと同様に振動させるべく方向切換弁が切換制御される。
【0064】
そして、方向切換弁の具体的な切換制御にあっては、流体圧シリンダにおける圧力室内の圧力を圧力センサ等で検出し、この検出された圧力室内の圧力の値をフィードバックとして制御装置で方向切換弁のソレノイドをフィードバック制御してやるようにすれば良い。
【0065】
この場合、この試験装置および試験方法では、シリンダにおけるロッド体2に実際と同様の状況の振動を与えることができ、また、その振動の調節は、上記方向切換弁の制御によって容易に行える。
【0066】
シリンダにおけるロッド体2は、自由端となり、ロッド体2自体も振動可能になっているから、他の加振機20が与える振動を荷重による振動に見立てることができ、シリンダを実際に利用する状態と同じ状態を作りだすことができる。
【0067】
そして、この試験装置に取付けられたシリンダにおける振動吸収力を計測するには、一の加振機10を駆動してシリンダにおけるシリンダ体1に振動を与えると共に、他の加振機20を駆動してシリンダにおけるロッド体2に振動を与え、ロードセルS1およびストロークセンサS2がそれぞれ検出したシリンダにおける振幅とシリンダに作用している荷重とを得る。
【0068】
ここで、制御装置は、ストロークセンサS2で検出したストロークと、上記シリンダに作用している荷重を演算処理してシリンダの変位/荷重特性を得る。
【0069】
また、制御装置は、ストロークセンサS2で検出したストロークを微分してストローク速度を得ることができるように設定されており、これにより、この試験装置にあっては、シリンダの変位/荷重特性を計測するだけでなく、速度/荷重特性の試験をも行える。
【0070】
さらに、他の加振機20にあって、振動の振幅を変更することで、荷重の変更と見立てられるので、荷重の変化に対するシリンダの反力特性を計測することも可能になる。
【0071】
したがって、この発明による試験装置およびこの試験装置を利用する試験方法にあっては、被試験体Wたる、たとえば、流体圧緩衝器を実際の使用環境と同じ条件で試験することが可能になる。
【0072】
この点について、従来の提案による場合にも、いわゆる二基の加振機を重ねるよう直列させ、この直列された加振機に被試験体を連結すれば、低周波と高周波の振動を加振する試験を行えると言い得るが、この場合には、上方となる加振機の自重に対向して下方となる加振機による推力を増大させる必要を生じ、試験装置の構成を複雑にしたり、必要な試験結果を得るについて、複雑な制御が必要になるなどの不具合を招く不利がある。
【0073】
これに対して、この発明では、直列される一の加振機10と他の加振機20との間に被試験体Wを直列させてなるとするから、上記の不具合を招くことがなく、実際の使用環境に即した試験を簡単に行えることになる。
【0074】
ちなみに、この発明による試験装置およびこの試験装置を利用する試験方法にあっては、一の加振機10および他の加振機20のいずれか一方の加振機の駆動を停止する場合には、選択された加振機の駆動で選択された加振機における振動特性で被試験体Wを加振できる。
【0075】
前記したところでは、他の加振機20が流体圧アクチュエータを有してなるとしたが、シリンダにおけるロッド体2に振動を与えるのみであれば、流体圧以外のアクチュエータを有するとしても良い。
【0076】
そして、前記したところでは、試験装置がいわゆる縦置き型とされてなるとしたが、この発明が意図するところからすると、試験装置がいわゆる横置き型とされても良く、また、試験方法がいわゆる横向きで実践されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
流体圧を利用して伸縮作動するシリンダを被試験体にして、このシリンダについての実際の使用環境に即した試験を行うのに向く。
【符号の説明】
【0078】
1 シリンダ体
2 ロッド体
10 一の加振機
11 本体部
12 連結部材
20 他の加振機
30 連結部
S1 ロードセル
S2 ストロークセンサ
B 基台部
J 連結部
R 天蓋部
W 被試験体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体を加振する一の加振機と、上記被試験体を加振する他の加振機とを有し、
上記一の加振機および上記他の加振機が互いに直列されると共に上記被試験体を上記一の加振機と上記他の加振機との間に直列させてなることを特徴とする試験装置。
【請求項2】
上記一の加振機は、電磁加振機からなると共に、上記他の加振機は、流体圧アクチュエータを有してなる請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
上記一の加振機は、基台部に連結され、この一の加振機に上記被試験体が連結され、この被試験体に上記他の加振機が連結され、この他の加振機は、上記基台部に対向する天蓋部に連結されてなる請求項1または請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
被試験体を加振する一の加振機と上記被試験体を加振する他の加振機とを互いに直列させると共に、この直列された上記一の加振機と上記他の加振機との間に上記被試験体を直列させることを特徴とする試験方法。
【請求項5】
上記一の加振機は、電磁加振機からなると共に、上記他の加振機は、流体圧アクチュエータを有してなる請求項4に記載の試験方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−202724(P2012−202724A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65124(P2011−65124)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)