説明

誤接続防止装置及びその使用方法

【課題】プラグに本願にいう誤接続防止装置を装着しておくことにより、誤接続状態が発生することを積極的に防止する。
【解決手段】筒状部材50のプラグ先端側には、筒状部材50の接続部への装着状態において、プラグの先端よりもプラグ先端側に突出すると共に、プラグの軸心に沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側へ向けて徐々に幅狭になるテーパー突出部53が設けられ、筒状部材50を挟持固定するC型固定部材80が、そのプラグ先端側に、プラグの軸心に沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側へ向けて徐々に幅狭になるテーパー形状部81を有すると共に、テーパー形状部81が拡径したときに、筒状部材50への挟持固定を解除するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグの接続部に、ホースが接続されるコネクタと当該コネクタの軸心方向に移動自在なスリーブ部材とを備えた継手部材を接続するホース接続構造に使用する誤接続防止装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス機器等に設けられるプラグは、当該プラグに継手部材が接続された正常接続状態で使用可能となるものであり、継手本体と一体に備えられているホースを介してガス機器等へ都市ガス等の燃料ガスが供給可能に構成されている。
以下、まず、当該技術の前提となる継手部材の構成、プラグの構成、プラグへの継手部材の接続動作、プラグから継手部材の分離動作を、図面に基づいて説明する。
【0003】
図11(a)は、プラグ40と継手部材20との非接続状態を示しており、図11(b)は、プラグ40と継手部材20との接続状態を示している。
尚、図11(b)では、ホース10、継手部材20、プラグ40に渡って流体流路22が形成され、ホース10側からガス機器(図示せず)の側への燃料ガスの供給が可能な状態となっている。この状態では、継手部材20は、その先端からの流体の流出が許容される開放状態となっている。
【0004】
(継手部材の構成)
図11(a)に示すように、継手部材20は、ホース10が接続されるコネクタ11と、コネクタ11に連結される筒状本体21と、筒状本体21の内側で軸心方向(図11(a)で矢印Xに沿う方向)に移動自在な作動部材33と、筒状本体21の外周部位で軸心方向に移動自在なスリーブ部材34と、筒状本体21の継手部材先端側(図11(a)で矢印Xの先端側)に位置されスリーブ部材34の内径面により軸径方向の位置が規制されるロック用ボール35と、当該ロック用ボール35を継手部材先端側から位置決めする先端部材24と、筒状本体21の継手部材基端側(図11(a)で矢印Xの基端側)の外周部位で筒状本体21に固定されているカバー部材23とを備えて構成されている。
【0005】
コネクタ11と作動部材33との間には、コネクタ11に対して作動部材33を継手部材先端側(図11(a)で矢印Xの先端側)に付勢する第1コイルバネ31が設けられ、カバー部材23とスリーブ部材34との間には、カバー部材23に対してスリーブ部材34を継手部材先端側に付勢する第2コイルバネ32が設けられている。
【0006】
スリーブ部材34は、継手部材20が閉止状態(図11(a)に示す状態)にある場合、その継手部材先端側(図11(a)で矢印Xの先端側)の端面が、先端部材24の端面と同じ位置となる引退位置に位置し、継手部材20が開放状態(図11(b)に示す状態)にある場合、その継手部材先端側の端面が、先端部材24に対して、継手部材先端側に突出する突出位置に位置する。
【0007】
スリーブ部材34の継手部材先端側(図11(a)で矢印Xの先端側)の部位には、ロック用ボール35を外径側部位に規制する第1規制面25が設けられ、当該第1規制面25より継手部材基端側(図11(a)で矢印Xの基端側)には、ロック用ボール35を内径側部位に規制する第2規制面26が設けられている。
ロック用ボール35は、スリーブ部材34が引退位置(図11(a)に示す状態)に位置する場合、ロック用ボール35とスリーブ部材34との位置関係から、第1規制面25により径方向位置を規制される。このとき、作動部材33は、継手部材先端側に位置して流体流路22が閉止され、流体流路22における燃料ガスの流通が禁止される。即ち、継手部材20は、閉止状態となる。
一方、ロック用ボール35は、スリーブ部材34が突出位置(図11(b)に示す状態)に位置する場合、ロック用ボール35とスリーブ部材34との位置関係から、第2規制面26により径方向位置を規制される。このとき、作動部材33は、継手部材基端側に位置して流体流路22が開放され、流体流路22における燃料ガスの流通が許容される。即ち、継手部材20は、開放状態となる。
以上の如く構成することにより、継手部材20は、その閉止状態と開放状態との間で、その内部を流れる燃料ガスの流れ状態を切替自在に構成されている。
【0008】
〈プラグの構成〉
プラグ40は、図11(a)に示すように、プラグ本体45と継手部材20が接続される接続部48とを備えて構成されており、当該接続部48の外周部位には、プラグ先端側からプラグ基端側の方向(図11(a)で矢印Xの方向)へ向けて、第1環状部41、ロック用ボール35を受け入れるロック溝部42、及び第2環状部43を順に備えている。接続部48の内部には、軸心方向(図11(a)で矢印Xに沿う方向)に沿って、プラグ先端側からプラグ基端側に亘って、内部流体流路46が設けられている。
図11(a)に示す例では、第1環状部41と第2環状部43とは同径に構成されており、ロック溝部42は、断面視において、プラグ40の軸径方向で径外から径内へ向けて徐々に幅狭となる略三角形状の溝として構成されている。
尚、当該プラグ40には、第2環状部43よりプラグ基端側において、第2環状部43より大径の大径部44が設けられている。
【0009】
〈プラグへの継手部材の接続動作〉
プラグ40への継手部材20の接続動作に際しては、作業者は、継手部材20のカバー部材23を保持し、プラグ40を継手部材20の内部へ進入させる。この状態で、継手部材20は、閉止状態(図11(a)に示す状態)にある。進入操作において、プラグ40のプラグ先端側(図11(a)で矢印Xの基端側)の端面47は、作動部材33の継手部材先端側(図11(a)で矢印Xの先側)の先端に当接し、作動部材33を継手部材基端側(図11(a)で矢印Xの基端側)へ押し込む。これにより、ホース10、継手部材20、及びプラグ40に亘って、流体流路22が形成される。
当該プラグ40の継手部材20への進入に伴って、ロック用ボール35がロック溝部42に嵌り込むと共に、ロック用ボール35によるスリーブ部材34の継手部材基端側(図11(a)で矢印Xの基端側)への位置保持が解除され、継手部材先端側に付勢されているスリーブ部材34が継手部材先端側へ突出する。
これにより、継手部材20は、図11(a)に示す閉止状態から図11(b)に示す開放状態へ切り替えられることとなる。
【0010】
〈プラグから継手部材の分離動作〉
プラグ40から継手部材20の分離動作に際しては、作業者は、継手部材20のスリーブ部材34を持って、このスリーブ部材34を継手部材基端側(図11(a)で矢印Xの基端側)に移動させる。移動前の状態において、継手部材20は、図11(b)に示す開放状態にある。移動操作において、作業者が、スリーブ部材34を、第2コイルバネ32の付勢力に抗して継手部材基端側に移動されることで、スリーブ部材34の第1規制面25が軸心方向(図11(a)で矢印Xに沿う方向)のロック用ボール35に相対する位置に移動し、ロック用ボール35がロック溝部42から脱離される。
これにより、スリーブ部材34が、ロック用ボール35により継手部材基端側に位置保持されて、継手部材20は、図11(b)に示す開放状態から図11(a)に示す閉止状態へ切り替えられることとなる。
【0011】
これまで説明したように、従来のガス機器(図示せず)等に設けられるプラグ40には、継手部材20を介してホース10が接続されることで、プラグ40に対して継手部材20が確実に接続され、ガス漏洩等を防止できる正常接続状態を実現できるようになっている。
【0012】
ここで、特許文献1に開示の技術では、プラグ40の接続部48に対し、ホース10が直接接続される誤接続状態を防止すべく、プラグ40の周囲を外囲する外囲部材を設けている。当該外囲部材は、ホース10がプラグ40に直接接続される際、ホース10の周囲をクリップにより挟持することを防止するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−063344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1に開示の技術では、プラグ40に対し直接ホース10が接続される誤接続状態において、当該ホース10をクリップにより挟持することは防止できる。しかしながら、プラグ40に対し直接ホース10が接続される誤接続状態において、クリップによりホース10が挟持されていない状態で、使用される虞があり、改善の余地があった。
【0015】
本発明は、ガス機器(図示せず)に設けられるプラグ40にホース10を接続する場合に、継手部材20を介して接続する正常接続状態と、ホース10が直接プラグ40に接続される誤接続状態とが発生する点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラグ40に本願にいう誤接続防止装置を装着しておくことにより、誤接続状態が発生することを積極的に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための誤接続防止装置は、
プラグの接続部に、ホースの一端に設けられる継手部材を接続する接続構造に使用する誤接続防止装置であって、その特徴構成は、
前記プラグの接続部に装着可能であると共に、複数の分割部材を一体化して構成される筒状部材が設けられ、
前記筒状部材のプラグ先端側には、前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記プラグの先端よりもプラグ先端側に突出すると共に、前記プラグの軸心に沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側へ向けて徐々に幅狭になるテーパー突出部が設けられ、
前記筒状部材を挟持固定するC型固定部材が、そのプラグ先端側に、前記プラグの軸心に沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側へ向けて徐々に幅狭になるテーパー形状部を有すると共に、前記テーパー形状部が拡径したときに、前記筒状部材への挟持固定を解除するように構成され、
前記筒状部材が前記プラグの接続部へ装着され、且つ前記C型固定部材により前記筒状部材が挟持固定される固定装着状態で、前記筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へ前記継手部材が挿入されるに伴って、前記継手部材により前記テーパー形状部が拡径して前記C型固定部材による前記筒状部材への挟持固定が解除された後、前記継手部材により前記テーパー突出部が拡径して前記筒状部材が複数の分割部材に分割され、前記固定装着状態が解除されると共に、前記筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へ前記ホースが挿入される場合にあっても、前記固定装着状態が維持されるように構成されている点にある。
【0017】
本発明の誤接続防止装置は、プラグに対する継手部材の接続を許容すると共に、プラグに対するホースの直接的な接続を禁止する筒状部材を設けると共に、当該筒状部材を挟持固定するC型固定部材を設けている点を特徴とする。
上記特徴構成によれば、筒状部材がプラグに装着されている状態、且つC型固定部材によりテーパー突出部が挟持固定された固定装着状態において、使用者が、筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へ継手部材を挿入すると、当該挿入に伴って、継手部材がテーパー形状部に当接しテーパー形状部が拡径し、C型固定部材による筒状部材への挟持固定が解除される。その後、継手部材がテーパー突出部に当接しテーパー突出部が拡径することで、筒状部材が複数の分割部材に分割され、筒状部材の接続部への固定装着状態が解除される。よって、使用者は、プラグに対し継手部材を良好に接続でき、正常接続状態にすることができる。
一方、使用者が、筒状部材のプラグ先端側からプラグ基端側へホースを挿入する場合、ホースはテーパー突出部及びテーパー形状部に当接することはなく、C型固定部材による筒状部材への挟持固定が維持され、筒状部材の接続部への固定装着状態が維持されることとなる。結果、ホースが直接プラグに接続されることを防止し、誤接続状態が発生することを積極的に防止できる。
【0018】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記テーパー突出部及び前記テーパー形状部のプラグ基端側の幅は、前記継手部材の外径よりも小さく、且つ前記ホースの外径より大きく構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、テーパー突出部及びテーパー形状部のプラグ基端側の幅は、継手部材の外径よりも小さく構成されているので、筒状部材に継手部材が挿入された場合、テーパー突出部及びテーパー形状部は継手部材により拡径される。これにより、C型固定部材による筒状部材の挟持固定が解除され、テーパー突出部が拡径して、筒状部材が複数の分割部材に分割し、筒状部材の接続部への固定装着状態が解除される。
また、テーパー突出部及びテーパー形状部のプラグ基端側の幅は、ホースの外径より大きく構成されているので、筒状部材にホースが挿入された場合、テーパー突出部及びテーパー形状部はホースにより拡径されることはない。このため、C型固定部材による筒状部材の挟持固定が維持されることとなり、筒状部材を構成する複数の分割部材が一体に維持され、筒状部材の接続部への固定装着状態が維持される。
【0020】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態、且つ前記C型固定部材により前記筒状部材が挟持固定されている状態において、
プラグ軸心方向において、前記テーパー形状部のプラグ基端側の端部は、前記テーパー突出部のプラグ先端側の端部よりも、プラグ先端側に設けられている点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、筒状部材に継手部材が挿入された場合に、最初に、テーパー形状部を拡径して、その後、テーパー突出部を拡径できる。これにより、C型固定部材による筒状部材の挟持固定を解除した後に、筒状部材を複数の分割部材に分割できる。
【0022】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
複数の前記分割部材のうち、一の分割部材に2つの切欠溝が設けられ、
複数の前記分割部材が前記筒状部材を形成し、前記C型固定部材が前記筒状部材を挟持固定している状態で、
前記C型固定部材のうち前記筒状部材の外径部位の周方向に沿う方向の両端部の夫々が、一の前記分割部材の2つの前記切欠溝の夫々に嵌り込むように構成されている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、一の分割部材の2つの切欠溝にC型固定部材の両端部を嵌り込ませるという比較的簡易な構成にて、複数の分割部材を一体に維持できる。
【0024】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記C型固定部材の前記両端部の夫々が2つの前記切欠溝に嵌り込んでいる状態において、前記両端部のうち前記切欠溝の内側へ突出している部位に、前記テーパー形状部を形成する点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、テーパー形状部は、複数の分割部材が筒状部材を形成している状態において、前記両端部のうち前記切欠溝の内側へ突出している部位、即ち、筒状部材の軸径方向で内側に設けることができる。
これにより、テーパー形状部は、継手部材の筒状部材への挿入により、継手部材が当接することとなり、良好に拡径される。
【0026】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記プラグの接続部は、前記継手部材が接続された場合に前記継手部材のロック用ボールが嵌り込むロック溝部を有し、
前記筒状部材は、前記プラグの接続部に装着している装着状態で、前記ロック溝部と嵌合する嵌合部を有する点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、筒状部材は、嵌合部がロック溝部に嵌合している状態で、プラグ軸心方向において、位置決めされることとなる。これにより、筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へホース及び継手部材が挿入された場合であっても、当該筒状部材を、プラグ軸心方向において、適切に位置決め固定できる。
【0028】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記筒状部材には、当該筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記プラグの接続部のプラグ先端側部位を外部へ開放する開口部が設けられている点にある。
【0029】
上記特徴構成によれば、筒状部材がプラグの先端部へ装着されている状態において、プラグの接続部のプラグ先端側部位を外部へ開放する開口部が設けられているので、筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へ継手部材を挿入し、筒状部材が複数の分割部材に分割したときに、継手部材とプラグの接続部との間に、他の部材が存在しない状態となるため、継手部材の挿入速度を遅くしたり、継手部材を一旦引き抜いたりすることなく、そのまま、プラグの接続部へ接続することができる。
即ち、上記特徴構成を採用することにより、筒状部材の分割部材への分割と、継手部材のプラグの接続部への接続とが、連続した1回の動作で実行できる。
【0030】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記開口部のプラグ軸径方向での幅が、前記ホースの外径よりも大きく、且つ、前記継手部材の外径より小さく構成されている点にある。
【0031】
上記特徴構成によれば、開口部のプラグ軸径方向での幅をホースの外径よりも大きく構成しているので、使用者が、筒状部材のプラグ先端側からプラグ基端側へホースを挿入しても、開口部にホースが嵌り込むことはない。これにより、使用者が、プラグにホースが接続されたと誤認することを防止できる。
また、開口部のプラグ軸径方向での幅を継手部材の外径よりも小さく構成しているので、継手部材の筒状部材への進入において、継手部材を開口部の手前にて筒状部材のテーパー突出部等に当接させて、筒状部材を複数の分割部材に分割できる。
【0032】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態で、前記筒状部材の前記開口部を閉止すると共に、前記筒状部材が前記プラグの接続部に装着されていない状態で、前記プラグの接続部の内部に設けられる内部流体流路を閉止する塵埃侵入防止蓋が設けられている点にある。
【0033】
上記特徴構成によれば、筒状部材がプラグの接続部へ装着されている場合には、塵埃進入防止蓋が筒状部材の開口部を閉止するので、筒状部材の内側のプラグの接続部の内部流体流路へ、塵埃が進入することを防止できる。
一方、筒状部材がプラグの接続部へ装着されていない場合でも、塵埃進入防止蓋は、プラグの接続部の内部流体流路を直接閉止するので、内部流体流路へ塵埃が進入することを防止できる。
即ち、上記塵埃進入防止蓋によれば、筒状部材がプラグへ装着されている場合、装着されていない場合の何れでも、プラグの接続部の内部流体流路への塵埃が進入することを防止できる。
【0034】
本発明の誤接続防止装置の更なる特徴構成は、
前記プラグには、前記接続部よりもプラグ基端側に、前記接続部よりも大径の大径部が設けられており、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記筒状部材のプラグ基端側端部と前記プラグの大径部との間に、間隙が設けられている点にある。
【0035】
上記特徴構成によれば、筒状部材が複数の分割部材に分割するときに、筒状部材のプラグ基端側端部がプラグの大径部に当接することを防ぐことができ、筒状部材の複数の分割部材への分割を容易にすることができる。
【0036】
上述の誤接続防止装置の使用方法の特徴構成は、
前記誤接続防止装置が、前記ガス機器の出荷時に取り付けられる点にある。
【0037】
上記特徴構成によれば、ガス機器の出荷時に誤接続防止装置が取り付けられるので、ガス機器を購入した使用者が、ガス機器の使用開始時において、ホースが直接プラグに接続されることを防止すると共に、継手部材をプラグに良好に接続することができる。
これにより、特に、誤接続状態が発生し易いガス機器の使用開始時において、誤接続の発生を良好に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態における誤接続防止装置の斜視図。
【図2】第1実施形態における誤接続防止装置をプラグに装着した場合におけるプラグへの継手部材の接続動作を示す斜視図。
【図3】第1実施形態における誤接続防止装置をプラグに装着した場合におけるプラグへの継手部材の接続動作を示す断面図。(b)は、テーパー形状部の断面図。
【図4】第1実施形態における誤接続防止装置をプラグに装着した場合におけるプラグへのホースの接続動作を示す断面図。
【図5】第2実施形態における誤接続防止装置の斜視図。
【図6】第2実施形態における誤接続防止装置をプラグに装着した場合におけるプラグへの継手部材の接続動作を示す斜視図。
【図7】第2実施形態における誤接続防止装置をプラグに装着した場合におけるプラグへの継手部材の接続動作を示す断面図。特に、(b)は、テーパー形状部の断面図。
【図8】第2実施形態における誤接続防止装置への塵埃侵入防止蓋の非装着状態及び装着状態を示す断面図。
【図9】第2実施形態における誤接続防止装置をプラグに装着した場合におけるプラグへのホースの接続動作を示す断面図。
【図10】第2実施形態における塵埃侵入防止蓋の非装着状態及び装着状態を示す断面図。
【図11】プラグと継手部材との非接続状態及び接続状態を示す一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ガス機器(図示せず)に設けられるプラグ40の接続部48に、ホース10の一端に設けられる継手部材20を接続する接続構造に使用する誤接続防止装置100の第1実施形態を、図面に基づいて説明する(図1〜図4参照)。
尚、プラグ40の構成、継手部材20の構成、プラグ40への継手部材20の接続動作、及びプラグ40からの継手部材20の分離動作のうち、背景技術において図11に基づいて説明したものと同様の構成、及び同様の動作については、同様の符号を付すこととし、その説明を割愛することがある。
【0040】
〔第1実施形態〕
本発明の誤接続防止装置100は、プラグ40に対する継手部材20の正常接続を許容すると共に、プラグ40に対するホース10の直接的な接続を禁止する筒状部材50を設けると共に、当該筒状部材50を挟持固定するC型固定部材80を備えている点を特徴とする。
以下では、まず、筒状部材50の構成、C型固定部材80の構成を順に説明した後、本発明の誤接続防止装置100の働きを説明する。
【0041】
〈筒状部材〉
筒状部材50は、図1、2、3に示すように、プラグ40の接続部48に装着可能であると共に、複数(第1実施形態の場合2つ)の分割部材70を一体化して構成されている。
図2、3に示すように、筒状部材50のプラグ先端側(図2、3にて矢印Xの基端側)には、筒状部材50の接続部48への装着状態において、プラグ40の先端よりもプラグ先端側(図2、3にて矢印Xの基端側)に突出すると共に、プラグ40の軸心Pに沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側の方向(図2、3で矢印Xの方向)に向けて徐々に幅狭になるテーパー突出部53が設けられている。
【0042】
筒状部材50は、図2、3に示すように、ガス機器(図示せず)の出荷時において、ガス機器のプラグ40の接続部48に装着されるものであり、接続部48への装着状態において、プラグ40の接続部48を覆う形状である。
説明を加えると、筒状部材50は、図3に示すように、プラグ基端側(図3で矢印Xの先端側)でプラグ40の大径部44に当接する当接部55と、プラグ40の接続部48の外径部位を覆う筒部57と、プラグ40の先端側を封止する封止部56とにより、プラグ40の接続部48を覆うように構成されている。これにより、筒状部材50の接続部48への装着状態において、筒状部材50は、ホース10が接続部48へ装着される誤接続状態となることを禁止する。
【0043】
筒状部材50は、図3に示すように、プラグ40の接続部48に装着している装着状態で、プラグ40のロック溝部42と嵌合する嵌合部54を有する。これにより、筒状部材50は、継手部材20及びホース10により、プラグ40の軸心P方向(図3で矢印Xに沿う方向)へ力が加えられた場合であっても、プラグ40に対して良好に位置決め固定される。
【0044】
先にも示したように、筒状部材50は、図1、2、3に示すように、複数の分割部材70から構成されている。
分割部材70の夫々は、連結部51を有すると共に当該連結部51に係合する被連結部52を有しており、一の分割部材70の連結部51が他の分割部材70の被連結部52に連結可能に構成されている。複数の分割部材70は、複数の分割部材70が連結することにより、プラグ40の接続部48を覆う筒状となる状態で、筒状部材50を形成する。
複数の分割部材70は、筒状部材50を形成している状態で、筒状部材50の外径部位の周方向に沿う形状のC型固定部材80により挟持固定されている(図1(b)参照)。
【0045】
複数の分割部材70のうち、図1、2に示すように、一の分割部材70には、2つの切欠溝71が設けられている。当該切欠溝71の夫々に、C型固定部材80のうち、筒状部材50の外径部位の周方向に沿う方向の両端部83の夫々が、嵌り込むように構成されている。これにより、C型固定部材80が、複数の分割部材70から成る筒状部材50を、より確実に挟持固定できる。
【0046】
〈C型固定部材〉
C型固定部材80は、図1(b)、図3(b)に示すように、筒状部材50を挟持固定している状態において、そのプラグ先端側(図1、3で矢印Xの基端側)に、プラグ40の軸心Pに沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側の方向(図1、3で矢印Xの方向)へ向けて徐々に幅狭になるテーパー形状部81を有すると共に、テーパー形状部81が拡径したときに、筒状部材50への挟持固定を解除するように構成されている。
【0047】
テーパー形状部81は、図1、2、3に示すように、筒状部材50の外径部位の周方向に沿う両端部83のうち、プラグ先端側(図1、2、3で矢印Xの基端側)に設けられている。
テーパー形状部81は、図1(b)、図2(a)、図3(b)に示すように、C型固定部材80が筒状部材50を挟持固定している状態で、筒状部材50の径方向で内側に突出する状態で設けられている。
【0048】
〈テーパー突出部とテーパー形状部との関係〉
図3(a)、図4(a)に示すように、C型固定部材80により筒状部材50が挟持固定された状態で、テーパー突出部53のプラグ基端側(図3、4で矢印Xの先端側)の幅(図3(a)左側の軸方向断面図で、L1)、及びテーパー形状部81のプラグ基端側の幅(図3(a)右側の軸直交方向断面図で、L2)は、継手部材20の外径(図3(a)左側の軸方向断面図で、L3)よりも小さく、且つホース10の外径(図4(a)左側の軸方向断面図で、L4)より大きく構成されている。
また、図3(a)に示すように、テーパー形状部81のプラグ基端側の端部は、テーパー突出部53のプラグ基端側の端部よりも、プラグ先端側(図3で矢印Xの先端側)に設けられている。
これにより、継手部材20が筒状部材50に挿入された場合、継手部材20は、テーパー形状部81に当接した後、テーパー突出部53に当接することとなる。一方、ホース10が筒状部材50に挿入された場合、ホース10は、テーパー形状部81に当接した後、テーパー突出部53に当接することはない。
【0049】
〈誤接続防止装置の機能〉
以上の如く構成することにより、本発明の誤接続防止装置100は、以下のように、働く。
図2、3に示すように、筒状部材50が接続部48へ装着された状態で、且つC型固定部材80により筒状部材50が挟持固定された固定装着状態で、筒状部材50にプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図2、3で矢印Xの方向)へ継手部材20が挿入されるに伴って、まず、継手部材20がテーパー形状部81に当接してテーパー形状部81が拡径することで、C型固定部材80による筒状部材50への挟持固定が解除される。その後、継手部材20がテーパー突出部53に当接しテーパー突出部53が拡径することで、筒状部材50が複数の分割部材70(第1実施形態では、2つ)に分割され、筒状部材50の接続部48への固定装着状態が解除される。結果、プラグ40の接続部48に継手部材20が正常に接続される正常接続状態となる。
一方、図4に示すように、筒状部材50にプラグ先端側からプラグ基端側へホース10が挿入される場合、ホース10はテーパー突出部53及びテーパー形状部81を拡径することはなく、C型固定部材80による筒状部材50への挟持固定が維持され、且つ筒状部材50の接続部48への固定装着状態が維持されるように構成されている。結果、プラグ40の接続部48にホース10が直接的に誤接続される誤接続状態を防止できる。
【0050】
以上の構成を有する誤接続防止装置100は、特に、ガス機器(図示せず)の出荷時において、プラグ40の接続部48に対して装着されることで、ガス機器の使用開始時において、プラグ40の接続部48へホース10を直接接続する誤接続状態を防止できる。
【0051】
〈プラグへの継手部材の接続動作〉
次に、本発明の誤接続防止装置100をプラグ40の接続部48に装着した状態における、プラグ40への継手部材20の接続動作について説明する。
図2(a)、図3(a)に示す接続状態に移行する前の状態において、筒状部材50は、プラグ40の接続部48に装着されている。当該装着状態において、筒状部材50は、接続部48を覆う状態となっており、接続部48に対し継手部材20が接続できない状態となっている。また、筒状部材50は、C型固定部材80に挟持固定されており、複数の分割部材70が一体に維持された固定装着状態となっている。
図2(b)、図3(b)に示す接続状態に移行する状態において、継手部材20が、筒状部材50のプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図2、3で矢印Xの方向)へ挿入されるに伴って、継手部材20が、C型固定部材80のテーパー形状部81に当接して、テーパー形状部81が拡径する。これにより、C型固定部材80は、その筒状部材50の外径部位の周方向に沿う方向の両端部83が、一の分割部材70の切欠溝71から外れる。結果、C型固定部材80による筒状部材50の挟持固定が解除される。
図2(c)、図3(c)に示す接続状態に移行する状態において、継手部材20が、筒状部材50のプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図2、3で矢印Xの方向)へ、更に挿入されるに伴って、継手部材20が、筒状部材50のテーパー突出部53に当接して、テーパー突出部53が拡径する。
この実施形態では、図2(c)、図3(c)から、図2(d)、図3(d)の間において、筒状部材50の複数の分割部材70への分割の状態によっては、継手部材20の挿入速度を遅くしたり、継手部材20を筒状部材50から一旦引き抜いたりした後、継手部材20をプラグ40のプラグ接続部48へ、再度挿入する必要が生じる場合もある。
図2(d)、図3(d)に示す接続状態に移行する状態において、継手部材20が、筒状部材50のプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図2、3で矢印Xの方向)へ、更に挿入されるに伴って、筒状部材50は、その構成部材である複数の分割部材70に分割され、複数の分割部材70は、プラグ40の接続部48から外れる。これにより、筒状部材50の接続部48への固定装着状態が解除される。
結果、プラグ40の接続部48に対し継手部材20が接続可能な状態となり、図2(e)、図3(e)に示すように、接続部48へ継手部材20が正常に接続される正常接続状態となる。
【0052】
〈プラグからの継手部材の分離動作〉
プラグ40からの継手部材20の分離動作については、上述した従来技術と変わるところはないので、その詳細な説明は割愛する。
【0053】
〈プラグへのホースの誤った直接接続動作〉
図4(a)に示す接続状態に移行する前の状態において、筒状部材50は、プラグ40の接続部48に装着されている。当該装着状態において、筒状部材50は、接続部48を覆う状態となっており、接続部48に対しホース10が接続できない状態になっている。また、筒状部材50は、C型固定部材80に挟持固定されており、複数の分割部材70が一体に維持された固定装着状態となっている。
図4(b)に示す接続状態に移行する状態において、プラグ先端側からプラグ基端側の方向(図4で矢印Xの方向)へ、ホース10が筒状部材50に挿入される場合、ホース10は、テーパー突出部53及びテーパー形状部81に当接することはない。これにより、筒状部材50は、プラグ40の接続部48への固定装着状態を維持し、ホース10の接続部48への接続を禁止する。
結果、ホース10がプラグ40の接続部48へ誤接続される誤接続状態が防止される。
【0054】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態にあっては、誤接続防止装置100の筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、プラグ40に継手部材20を接続する場合、筒状部材50へ継手部材20を挿入した後、継手部材20の挿入速度を遅くしたり、継手部材20を筒状部材50から一旦引き抜いたりした後に、再度挿入する必要が生じる場合があった。
当該第2実施形態にあっては、誤接続防止装置100の筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、筒状部材50への継手部材20の連続した1回の挿入動作により、筒状部材50の複数の分割部材70への分割と、プラグ40の接続部48への装着を実行できる点を、特徴とする。以下では、そのための構成を、図5〜10に基づいて説明する。
尚、背景技術、第1実施形態において、説明したものと同様の構成、及び同様の動作については、同様の符号を付すこととし、その説明を割愛することがある。
【0055】
〈筒状部材〉
図5(a)に示す第2実施形態の筒状部材50では、図1(a)に示す第1実施形態の筒状部材50の封止部56に替えて、開口部90が設けられている。
当該開口部90は、図7(a)に示すように、筒状部材50がプラグ40の接続部48へ接続している状態において、プラグ40の接続部48のプラグ先端側部位48aを、プラグ軸心方向でのプラグ先端側(図7(a)で矢印Xの基端側)の外方へ開放するように設けられている。
これにより、筒状部材50に継手部材20を挿入して、筒状部材50がプラグ40の接続部48への固定装着状態から非固定装着状態への移行時(図7(c)に示す状態から図7(d)に示す状態への移行時)において、プラグ40と継手部材20の間に、他の部材が存在しない状態となるから、継手部材20の挿入速度を遅くしたり、継手部材20を筒状部材50から一旦引き抜いたりすることなく、そのままプラグ40の接続部48の側へ移動させることができ、継手部材20をプラグ40の接続部48へ、連続した1回の挿入動作により接続できる。
【0056】
尚、当該開口部90のプラグ軸径方向(図9で矢印Xに直交する方向)の幅L1(この幅L1は、テーパー突出部53の最内径の幅と同一である)は、図9に示すように、ホース10の外径L4よりも大きく構成されている。これにより、ホース10が開口部90に嵌り込むことを防止して、使用者が、ホース10がプラグ40の接続部48へ装着されたと誤認することを防止している。
更に、開口部90のプラグ軸径方向(図9で矢印Xに直交する方向)の幅L1は、図7に示すように、継手部材20の外径L3よりも小さく構成されている。これにより、継手部材20の筒状部材50への進入において、継手部材20を開口部90の手前にて筒状部材50のテーパー突出部53に当接させて、筒状部材50を複数の分割部材70に分割している。
【0057】
また、開口部90のプラグ基端側(図9で矢印Xの先端側)のプラグ基端側端部90aは、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、プラグ40の第1環状部41のプラグ基端側部位41aと同一位置に設けられている。
これにより、筒状部材50へホース10が挿入されたときには、ホース10の先端部10aが開口部90のプラグ基端側端部90aに当接することで、ホース10が、プラグ40の接続部48へ嵌り込むことを防止できる。また、筒状部材50へ継手部材20が挿入されたときには、継手部材20が、開口部90のプラグ基端側端部90aに接触することを防止でき、継手部材20のプラグ40の接続部48側への移動を容易にする。
【0058】
更に、図7(a)に示すように、筒状部材50のプラグ40の接続部48への装着状態において、筒状部材50のプラグ基端側端部50aとプラグ40の大径部44との間には、間隙91が形成される。
当該間隙91は、筒状部材50に継手部材20を挿入して、筒状部材50がプラグ40の接続部48への固定装着状態から非固定装着状態への移行時(図7(c)に示す状態から図7(d)に示す状態への移行時)において、筒状部材50のプラグ基端側端部50aが、プラグ40の大径部44に当接しない程度の幅で、設けられる。
【0059】
上記第1実施形態では、図1に示すように、筒状部材50を形成する複数の分割部材70は、分割部材70の夫々が、連結部51を有すると共に当該連結部51に係合する被連結部52を有しており、一の分割部材70の連結部51が他の分割部材70の被連結部52に連結可能に構成されているものを示した。
当該第2実施形態においては、図5に示すように、分割部材70の夫々が、連結部51及び被連結部52に替えて、凸部92を有すると共に当該凸部92が嵌込する嵌込溝93とを有している。そして、一の分割部材70の凸部92が他の分割部材70の嵌込溝93に嵌り込むように構成されている。即ち、第2実施形態では、複数の分割部材70が筒状部材50を形成している状態において、凸部92が嵌込溝93に嵌り込んでいるのみであり、凸部92と嵌込溝93は連結されていない。これにより、筒状部材50の複数の分割部材70への分割を容易にしている。
上記凸部92のプラグ先端側には、プラグ基端側からプラグ先端側(図5で矢印Xの先端側)へ向けて、徐々に突出幅が減少する傾斜部位94が設けられている。当該構成より、複数の分割部材70が分割する際に、凸部92の嵌込溝93からの脱離を容易にしている。
【0060】
〈塵埃侵入防止蓋〉
以上の如く、筒状部材50に開口部90を形成すると、プラグ40の内部流体流路46に塵埃が侵入する虞がある。
そこで、当該第2実施形態においては、図5(b)に示すように、筒状部材50の開口部90を閉止する塵埃侵入防止蓋95が設けている。当該塵埃侵入防止蓋95は、図8に示すように、その外径L5が、開口部90のプラグ軸径方向の幅L1と略同一に構成されている。これにより、塵埃侵入防止蓋95は、開口部90に嵌り込んで、開口部90を閉止する。
塵埃侵入防止蓋95には、塵埃侵入防止蓋95をプラグ40と連結する連結紐95aと、当該塵埃侵入防止蓋95が開口部90を閉止している状態(図10(a)に示す状態)から開口部90を開放する状態(図10(b)に示す状態)へ移行させるべく、塵埃侵入防止蓋95を開口部90から引き抜くためのツマミ95bとが設けられている。
筒状部材50のプラグ先端側は、図10(a)に示すように、開口部90に塵埃侵入防止蓋95が嵌り込んでいる状態において、上記連結紐95a及びツマミ95bを配置可能な切欠部96が設けられている。
【0061】
さらに、塵埃侵入防止蓋95の内径は、プラグ40の接続部48の外径と略同等に構成されており、図10(c)(d)に示すように、筒状部材50がプラグ40の接続部48から取り外されている状態において、プラグ40の接続部48へ装着可能となっている。
【0062】
〈プラグへの継手部材の接続動作〉
次に、誤接続防止装置100をプラグ40の接続部48に装着した状態における、プラグ40への継手部材20の接続動作について説明する。尚、以下では、上記第1実施形態と同様の状態や動きについては、説明を割愛することがある。
図6(a)、図7(a)に示す接続状態に移行する前の状態において、筒状部材50は、プラグ40の接続部48に装着されている。
図6(b)、図7(b)に示す接続状態に移行する状態において、継手部材20が、筒状部材50のプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図6、7で矢印Xの方向)へ挿入されるに伴って、C型固定部材80による筒状部材50の挟持固定が解除される。
図6(c)、図7(c)に示す接続状態に移行する状態において、継手部材20が、筒状部材50のプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図6、7で矢印Xの方向)へ、更に挿入されるに伴って、継手部材20が、筒状部材50のテーパー突出部53に当接して、テーパー突出部53が拡径する。このとき、筒状部材50のプラグ基端側端部50aとプラグ40の大径部44との間に、間隙91が設けられていることにより、テーパー突出部53が拡径し易くなっている。
図6(d)、図7(d)に示す接続状態に移行する状態において、継手部材20が、筒状部材50のプラグ先端側からプラグ基端側の方向(図6、7で矢印Xの方向)へ、更に挿入されるに伴って、筒状部材50は、その構成部材である複数の分割部材70に分割され、複数の分割部材70は、プラグ40の接続部48から外れる。これにより、筒状部材50の接続部48への固定装着状態が解除される。このとき、筒状部材50に開口部90が設けられていることにより、継手部材20の挿入速度を遅くしたり、継手部材20を筒状部材50から一旦引き抜いたりすることなく、そのままプラグ40の接続部48へ向けて押し込むことができる。
結果、プラグ40の接続部48に対し継手部材20が接続可能な状態となり、図6(e)、図7(e)に示すように、接続部48へ継手部材20が、連続した1回の挿入動作により、正常に接続される正常接続状態となる。
【0063】
〈プラグからの継手部材の分離動作〉
プラグ40からの継手部材20の分離動作については、上述した従来技術と変わるところはないので、その詳細な説明は割愛する。
【0064】
〈プラグへのホースの誤った直接接続動作〉
図9(a)に示す接続状態に移行する前の状態において、筒状部材50は、プラグ40の接続部48に装着されている。
図9(b)に示す接続状態に移行する状態において、プラグ先端側からプラグ基端側の方向(図9で矢印Xの方向)へ、ホース10が筒状部材50に挿入される場合、ホース10は、その外径が筒状部材50の開口部90より小さく構成されているため、開口部90へ嵌り込むことがない。また、ホース10の先端部10aは、開口部90のプラグ基端側端部90aに当接して、プラグ40の第1環状部41のプラグ基端側部位41aより、プラグ基端側(図9で矢印Xの方向)へ進入することが防止される。
結果、ホース10がプラグ40の接続部48へ誤接続される誤接続状態が防止される。
【0065】
〔別実施形態〕
(1)上記第1、第2実施形態において、テーパー突出部53及びテーパー形状部81は、図3等に示すように、一定の割合で縮径する例を示したが、別に一定の割合で縮径するものでなくてもよい。
例えば、縮径する割合は、プラグ先端側からプラグ基端側の方向(図3で矢印Xの方向)へ向けて、徐々に大きくなるものであってもよい。
【0066】
(2)上記第1、第2実施形態において、筒状部材50は、2つの分割部材70により形成される例を示したが、2つ以上の分割部材70により形成することもできる。
【0067】
(3)上記第2実施形態では、図8において、塵埃侵入防止蓋95が開口部90へ嵌り込んでいる状態において、塵埃侵入防止蓋95のプラグ基端側端部95c(図8で矢印Xの先端側)が、開口部90のプラグ基端側端部90aに当接する状態を示した。
しかしながら、当該塵埃侵入防止蓋95は、開口部90の内部流体流路46へ塵埃が侵入することを防止する観点からは、開口部90へ嵌り込んでいれば良い。
説明を加えると、塵埃侵入防止蓋95のプラグ基端側端部95c(図8で矢印Xの先端側)が、開口部90のプラグ先端側端部90bに位置する状態であっても良い。
【0068】
(4)上記実施形態において、プラグ基端側からプラグ先端側(図5で矢印Xの先端側)へ向けて、徐々に突出幅が減少する凸部92の傾斜部位94は、一定の傾斜角度で突出幅が減少する形状であってもよいし、R形状を有するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の誤接続防止装置及びその使用方法は、プラグにホースが直接接続される誤接続状態を積極的に防止する誤接続防止装置及びその使用方法として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
X :矢印
P :プラグの軸心
10 :ホース
20 :継手部材
40 :プラグ
42 :ロック溝部
44 :大径部
48 :接続部
48a :接続部のプラグ先端側部位
50 :筒状部材
50a :筒状部材のプラグ基端側端部
51 :連結部
52 :被連結部
53 :テーパー突出部
54 :嵌合部
55 :当接部
56 :筒部
57 :封止部
70 :分割部材
71 :切欠溝
80 :C型固定部材
81 :テーパー形状部
83 :両端部
90 :開口部
90a :開口部のプラグ基端側端部
91 :間隙
95 :塵埃侵入防止蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグの接続部に、ホースの一端に設けられる継手部材を接続する接続構造に使用する誤接続防止装置であって、
前記プラグの接続部に装着可能であると共に、複数の分割部材を一体化して構成される筒状部材が設けられ、
前記筒状部材のプラグ先端側には、前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記プラグの先端よりもプラグ先端側に突出すると共に、前記プラグの軸心に沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側へ向けて徐々に幅狭になるテーパー突出部が設けられ、
前記筒状部材を挟持固定するC型固定部材が、そのプラグ先端側に、前記プラグの軸心に沿う断面視において、プラグ先端側からプラグ基端側へ向けて徐々に幅狭になるテーパー形状部を有すると共に、前記テーパー形状部が拡径したときに、前記筒状部材への挟持固定を解除するように構成され、
前記筒状部材が前記プラグの接続部へ装着され、且つ前記C型固定部材により前記筒状部材が挟持固定される固定装着状態で、前記筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へ前記継手部材が挿入されるに伴って、前記継手部材により前記テーパー形状部が拡径して前記C型固定部材による前記筒状部材への挟持固定が解除された後、前記継手部材により前記テーパー突出部が拡径して前記筒状部材が複数の分割部材に分割され、前記固定装着状態が解除されると共に、前記筒状部材にプラグ先端側からプラグ基端側へ前記ホースが挿入される場合にあっても、前記固定装着状態が維持されるように構成されている誤接続防止装置。
【請求項2】
前記テーパー突出部及び前記テーパー形状部のプラグ基端側の幅は、前記継手部材の外径よりも小さく、且つ前記ホースの外径より大きく構成されている請求項1に記載の誤接続防止装置。
【請求項3】
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態、且つ前記C型固定部材により前記筒状部材が挟持固定されている状態において、
プラグ軸心方向において、前記テーパー形状部のプラグ基端側の端部は、前記テーパー突出部のプラグ先端側の端部よりも、プラグ先端側に設けられている請求項1又は2に記載の誤接続防止装置。
【請求項4】
複数の前記分割部材のうち、一の分割部材に2つの切欠溝が設けられ、
複数の前記分割部材が前記筒状部材を形成し、前記C型固定部材が前記筒状部材を挟持固定している状態で、
前記C型固定部材のうち前記筒状部材の外径部位の周方向に沿う方向の両端部の夫々が、一の前記分割部材の2つの前記切欠溝の夫々に嵌り込むように構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項5】
前記C型固定部材の前記両端部の夫々が2つの前記切欠溝に嵌り込んでいる状態において、前記両端部のうち前記切欠溝の内側へ突出している部位に、前記テーパー形状部を形成する請求項4に記載の誤接続防止装置。
【請求項6】
前記プラグの接続部は、前記継手部材が接続された場合に前記継手部材のロック用ボールが嵌り込むロック溝部を有し、
前記筒状部材は、前記プラグの接続部に装着している装着状態で、前記ロック溝部と嵌合する嵌合部を有する請求項1〜5の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項7】
前記筒状部材には、当該筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記プラグの接続部のプラグ先端側部位を、プラグ軸心方向でプラグ先端側の外方へ開放する開口部が設けられている請求項1〜6の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項8】
前記開口部のプラグ軸径方向での幅が、前記ホースの外径よりも大きく、且つ、前記継手部材の外径より小さく構成されている請求項7に記載の誤接続防止装置。
【請求項9】
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態で、前記筒状部材の前記開口部を閉止すると共に、前記筒状部材が前記プラグの接続部へ装着されていない状態で、前記プラグの接続部の内部に設けられる内部流体流路を閉止する塵埃侵入防止蓋が設けられている請求項7又は8に記載の誤接続防止装置。
【請求項10】
前記プラグには、前記接続部よりもプラグ基端側に、前記接続部よりも大径の大径部が設けられており、
前記筒状部材の前記プラグの接続部への装着状態において、前記筒状部材のプラグ基端側端部と前記プラグの大径部との間に、間隙が設けられている請求項1〜9の何れか一項に記載の誤接続防止装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の誤接続防止装置の使用方法であって、
前記誤接続防止装置が、ガス機器の出荷時に取り付けられる使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−50204(P2013−50204A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7450(P2012−7450)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】