説明

警報器

【課題】出荷時から設置時までの間における警報器の電力消費を抑制することができる警報器を提供すること。
【解決手段】監視領域における異常発生を検出して警報を行う警報器1であって、煙検出部20と、この煙検出部20による検出動作を制御するための制御部59であって、煙検出部20を、監視領域における異常発生を検出する通常監視モードと、当該通常監視モードよりも電力消費を低減させた低電力モードとに切り替える制御部59と、通常監視モードにおいて実行可能な所定機能の開始指示をユーザから受け付けるための点検スイッチ54と、当該警報器に取り外し可能に取り付けられる保持体80であって、点検スイッチ54を当該点検スイッチ54が押圧された状態で保持するための保持体80とを備える。制御部59は、点検スイッチ54が押圧された状態においては、煙検出部20を低電力モードとし、点検スイッチ54の押圧が解除された状態においては、煙検出部20を通常監視モードとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域における火災発生やガス漏れ等の異常を検出して警報を発する警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視領域に設置され、この監視領域で発生した各種の異常を検出して警報を発する警報器が広く利用されている。例えば、一般ビル、地下街、オフィス、あるいは、一般住宅において、ガスを検出してガス漏れ警報を発するガス警報器や、煙を検出して火災警報を発する火災警報器が利用されている。このような警報器においては、一般に、監視領域への設置時や定期点検時に、その警報機能の正常性を点検するための点検機能が設けられている。
【0003】
具体的には、警報器の筐体の内部に点検スイッチが設けられており、筐体の操作面には点検スイッチを押圧するための操作ボタンが設けられている。そして、操作面の操作ボタンを押圧することで点検スイッチを押圧すると、所定の点検機能が起動される。この点検機能では、警報器内部のブザーが鳴動され、あるいは、音声による警報音が出力されると共に、警報ランプが点灯し、これらブザー、音声警報の内容、あるいは、警報ランプの正常性等が確認できる。
【0004】
あるいは、このような点検機能を備えた警報器において、特に天井面等の比較的高所に設置される警報器の点検操作を容易化するため、点検スイッチを下方から操作するための操作ヒモを設けたものが提案されている。例えば、特許文献1(特開2003−36488号公報)の図6には、従来例として、引き紐204でレバー208を変位させることにより、押釦203aを押圧して動作確認用のスイッチ203作動させるようにした火災感知器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−36488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の警報器においては、点検スイッチの操作手段として、操作面の操作ボタンと操作ヒモのいずれか一方のみを備えて構成されており、例えば、操作ボタンを有する警報器を天井面等に設置した場合には点検操作を行うことが困難になり、警報器の設置位置が制約を受ける場合があった。
【0007】
このような問題を解決するためには、操作ボタンと操作ヒモとを単に両方設ければよいとも考えられる。しかし、操作ヒモの要否に関らず警報器に操作ヒモを予め取り付けるため、警報器のコスト上昇を招いていた。
【0008】
また、操作ボタンを容易に操作できる程度の高さに警報器を設置する場合は操作ヒモが不要となる。この場合、誤って操作ヒモに物を引っ掛けることによる誤動作等を防止するために当該操作ヒモを取り外すことが望ましいが、そのためには警報器を分解する必要があった。さらに、警報器を分解せずに操作ヒモの着脱を行えるような着脱構造を設けた場合、当該着脱構造が警報器の外表面上に露出していると、外部からの接触により着脱構造を介して操作ボタンを誤作動させてしまう可能性もあった。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、出荷時から設置時までの間における警報器の電力消費を抑制することができる、警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の警報器は、監視領域における異常発生を検出して警報を行う警報器であって、前記監視領域における異常発生を検出する検出手段と、前記検出手段による検出動作を制御するための制御手段であって、前記検出手段を、前記監視領域における異常発生を検出する通常監視モードと、当該通常監視モードよりも電力消費を低減させた低電力モードとに切り替える、制御手段と、前記通常監視モードにおいて実行可能な所定機能の開始指示をユーザから受け付けるためのスイッチと、当該警報器に取り外し可能に取り付けられる保持手段であって、前記スイッチを当該スイッチが押圧された状態で保持するための保持手段と、を備え、前記制御手段は、前記スイッチが押圧された状態においては、前記検出手段を前記低電力モードとし、前記スイッチの押圧が解除された状態においては、前記検出手段を前記通常監視モードとする。
【0011】
請求項2に記載の警報器は、請求項1に記載の警報器において、前記ユーザによって押されることで前記スイッチを押圧する連係手段であって、その一部が当該警報器から外部に露出するように配置された連係手段を備え、前記保持手段によって前記スイッチが押圧された状態で保持されている場合には、前記制御手段が前記検出手段を前記低電力モードとすることにより、前記連係手段の前記一部がユーザによって押された場合においても、前記スイッチによる前記所定機能の開始指示の受け付けを不能とする。
【0012】
請求項3に記載の警報器は、請求項1又は2に記載の警報器において、前記スイッチは、前記検出手段を点検するための点検機能の開始指示をユーザから受け付けるための点検スイッチである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の警報器によれば、指示手段が押圧状態にある間は、制御手段は検出手段の検出動作を停止させ、指示手段の押圧状態が解除された場合に、検出手段に検出動作を行わせる。これにより、コネクタによって電池と警報器とを接続するタイプの警報器においても、出荷時から設置時までの間における警報器の電力消費を抑制することができる。また、指示手段の押圧状態の維持及び解除を、保持手段の着脱によって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1に係る警報器の取り付け状態における側面図である。
【図2】図1の警報器の平面図であり、図2(a)は警報器の正面図、図2(b)は警報器の背面図である。
【図3】図1の警報器1の分解斜視図である。
【図4】警報器1の電気的構成を概念的に示すブロック図である。
【図5】取付孔120の近傍の拡大斜視図である。
【図6】図2のA−A矢視断面図であり、図6(a)は点検スイッチ54の非押圧状態、図6(b)は点検スイッチ54の押圧状態を示す図である。
【図7】掛止部62の形状の他の例を示した拡大斜視図である。
【図8】掛止部62の形状の他の例を示した拡大斜視図である。
【図9】本実施の形態2に係る警報器1を設置面から見た背面図である。
【図10】取付孔120の近傍の拡大斜視図である。
【図11】図9のD−D矢視断面図である。
【図12】制御部59による処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る警報器の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
〔I〕各実施の形態の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態は、監視領域における異常発生を検出して警報を行う警報器に関するものである。ここで、具体的な監視領域は任意であり、例えば、一般住宅の台所や寝室等の各部屋や、オフィスの各部屋において、天井や壁面等に配置することができる。また、異常検出対象は任意であり、例えば、煙を検出して火災警報を発すること、ガスを検出してガス漏れ警報を発すること、又は、一酸化炭素(CO)を検出して不完全燃焼警報を発することができる。以下の実施例では、火災、ガス漏れ、及び、不完全燃焼を検出する複合タイプのガス火災警報器に本発明を適用した場合について説明する。
【0017】
ここで、各実施の形態における警報器は、当該警報器に対する指示を行うための指示手段を備えることを前提としている。この指示動作の具体的内容は任意であるが、例えば、警報器の機能の点検(試験)を行うための点検動作の起動と停止との切替や、設定内容や電池電圧の如き警報器の各種状態を音声や表示にて出力させるための指示動作等が該当する。以下では、指示手段として、点検動作を起動するための点検手段を設けた例について説明する。この点検手段にて起動される点検動作の具体的内容は任意であり、例えば、所定の音声をスピーカを介して出力すると共に警報ランプを意図的に点滅又は点灯させることで、これらスピーカや警報ランプの正常性等を確認することができる。なお、動作の切替とは、二つの動作間の切替に限らず、複数の動作を同時に起動あるいは停止させることも含む。例えば、点検手段が操作された場合、点検機能を実施することに加えて、警報出力の停止、異常検出のための閾値の変更、異常検出に関する履歴情報の出力、警報出力の停止操作に関する履歴情報の出力、他の警報器における点検動作の実行、及び、警報音の音量の変更を行うことができる。
【0018】
ここで、警報器の特徴の一つは、1つの点検手段の操作を、操作面に設けた操作ボタンと、警報器から垂下する操作ヒモとの、いずれを用いても行うことができる点にある。このため、操作ヒモによる操作は、点検手段を直接的に操作するのではなく、操作ボタンを操作することによって間接的に点検手段を操作するようにしている。すなわち、操作ヒモを操作することで、操作ボタンが操作され、操作ボタンが押圧される。特に、操作ヒモの操作方向と、操作ボタンの操作方向との相違を解消するため、各々の操作方向に沿った動作を回転動作によって連係する連係手段を設けている。従って、警報器の外部から、操作ボタンを押して点検手段を起動することができると共に、操作ヒモを引っ張ることで点検手段を起動することができる。
【0019】
また、警報器の異なる特徴の一つは、操作ヒモと連係手段との取付部を筐体の内部に配置すると共に、操作ヒモと連係手段との着脱を筐体の外部から容易に行うことができるように、筐体に取付孔を設けた点にある。連係手段が筐体の外部に露出していないので、外部からの連係手段への接触による誤動作を防止することができる。また、警報器の購入後に操作ヒモを取り付ける必要性が生じた場合でも、極めて容易かつ確実に操作ヒモを取りつけることができる。
【0020】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
以下、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0021】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。図1は実施の形態1に係る警報器の取り付け状態における側面図、図2は図1の警報器の平面図であり、図2(a)は警報器の正面図、図2(b)は警報器の背面図であり、図3は図1の警報器の分解斜視図である。警報器の設置対象は任意であるが、本実施の形態1においては、警報器1は、図1に示すように天井Cに取り付けベース2を介して取り付けられているものとする。なお、以下の説明においては、天井Cに近接する方向を上方、上方と反対方向を下方、警報器1において天井Cに対向する面を上面、上面と反対面を下面と称する。この警報器1は、図1〜3に示すように、筐体10の内部に、煙検出部20、第1基板30、中ケース40、第2基板50を、重合状に収容して構成されている。
【0022】
筐体10は、警報器1の基本構造体であり、例えば樹脂から形成されるものであって、表ケース11と裏ケース12とを相互に組み合わせて構成されている。表ケース11には、複数の煙流入口13及び複数のガス流入口14が設けられている。複数の煙流入口13は、警報器1の外部からの煙を筐体10の内部に侵入可能とする開口部で、これら煙流入口13を介して筐体10の内部に侵入した煙の濃度が煙検出部20において公知の方法にて測定されることで、火災の有無が判定される。また、複数のガス流入口14は、警報器1の外部からのガスを筐体10の内部に侵入可能とする開口部で、これらガス流入口14を介して筐体10の内部に侵入したガスのうち、メタンが公知の方法にて測定されることで、ガス漏れの有無が判定され、一酸化炭素が公知の方法にて測定されることで、不完全燃焼の有無が判定される。
【0023】
また、図2に示すように、表ケース11には、火災警報、ガス漏れ警報や電源の状態等を表示するための表示部110、及び、後述するスピーカ56からの音響出力を警報器1の外部に放出するためのスピーカ孔15が設けられている。
【0024】
また、図3に示すように、裏ケース12には、その上面(設置対象である天井Cに対向する面。以下、「設置面」)から下面に至る複数の電源端子16が設けられている。そして、図1に示す取り付けベース2に対して、この電源端子16を係脱自在に係止させることで、警報器1を設置対象に取り付けることができると共に、この警報器1に対する電力供給を行うことができる。この電源端子16は、その下端において、後述する第2基板50の電源端子53に接続される。また、図2に示したように、裏ケース12の設置面には、取付孔120が設けられている。取付孔120は、後述する操作ヒモ70を後述する操作部材60に取り付ける際に、当該操作ヒモ70を筐体10の内部に挿通させるための開口である。取付孔120の構造、及び、操作ヒモ70の着脱の詳細については後述する。
【0025】
図3に戻り、煙検出部20は、監視領域における火災の発生を検出する火災検出手段であり、特許請求の範囲における検出手段に対応する。具体的には、煙検出部20は、煙流入口13から流入した煙の濃度を検出し、その濃度に応じた数値を示す検出信号を後述する制御部59に出力する。なお、煙の濃度の検出方法は公知の技術であるので説明を省略する。
【0026】
第1基板30は、各種電気素子を実装するための回路基板であり、ここでは、上述した煙検出部20、及び、表示部110が実装されている(表示部110は図3において図示を省略する)。
【0027】
中ケース40は、筐体10の外形に略対応する円形板である。この中ケース40の内部に、煙検出部20及び第1基板30を収容することができる。
【0028】
第2基板50は、各種電気素子を実装するための回路基板であり、ここでは、ガスセンサ51、接続端子52、電源端子53、及び、点検スイッチ54が実装されている。
【0029】
ガスセンサ51は、監視領域におけるメタンガスや一酸化炭素を検出するガス検出手段であり、特許請求の範囲における検出手段に対応する。ガスセンサ51は、メタンガスや一酸化炭素を検出すると、その濃度に応じた数値を示す検出信号を後述する制御部59に出力する。メタンガスや一酸化炭素の具体的な検出方法は任意であり、公知の方法を採用できる。
【0030】
接続端子52は、第1基板30と第2基板50とを相互に電気的に接続するための接続手段である。電源端子53は、裏ケース12の電源端子16に接触することにより、第2基板50に対する電力中継を行う。
【0031】
点検スイッチ54は、警報器1における動作を切替えるためのもので、特許請求の範囲における指示手段に対応する。具体的には、点検スイッチ54は、プッシュスイッチとして構成されており、その先端部が第2基板50に向けて押圧されることでONされると、このON状態が後述する点検処理部59cにて検知され、所定の点検動作が起動される。
【0032】
(警報器1の電気的構成)
次に、警報器1の電気的構成について説明する。図4は、警報器1の電気的構成を概念的に示すブロック図である。警報器1は、上述したように、第1基板30と第2基板50とを備え、第1基板30には、煙検出部20、及び、表示部110が実装されており、第2基板50には、ガスセンサ51、及び、点検スイッチ54が実装されている。さらに、第2基板50には、スピーカ56、記憶部57、表示出力部58、及び、制御部59が実装されている。なお、これら第1基板30と第2基板50とに対する実装構成は任意に変更できる。
【0033】
スピーカ56は、警報音を出力する警報音出力手段である。また、記憶部57は、各種処理に必要なデータ及び本発明に係るプログラムの如き情報を記憶する手段である。この記憶部57は、例えば、RAM(Random Access Memory)の如き書き換え可能な記憶手段を用いて構成される。また、表示出力部58は、制御部59からの指示に応じて、表示部110の出力制御を行う。
【0034】
制御部59は、警報器1における各種の制御を行うものであり、特許請求の範囲における制御手段に対応する。この制御部59の具体的構成は任意であるが、例えば、記憶部57に記憶されたプログラムを呼出して解析・実行するCPU(Central Processing Unit)として構成することができる。本実施例において、この制御部59は、検出処理部59a、警報処理部59b、及び、点検処理部59cを備えて構成されている。
【0035】
検出処理部59aは、煙検出部20及びガスセンサ51から入力された検出値に基づいて火災発生等の有無を判断する処理部である。
【0036】
また、警報処理部59bは、検出処理部59aからの警報信号に基づき、スピーカ56や表示部110によって火災発生等の警報を行わせる処理部である。
【0037】
また、点検処理部59cは、点検スイッチ54が操作された場合、当該操作の方法に応じて、点検動作と、当該点検動作以外の所定の動作とを実行するための所定の処理を行う手段である。概略的には、点検処理部59cは、点検スイッチ54の操作方法に応じて、点検の開始や警報出力の停止を行う。例えば、通常監視状態において点検スイッチ54が押圧された場合には所定の点検処理を開始し、警報出力中に点検スイッチ54が押圧された場合には警報出力を停止する。ただし、この点検処理自体は従来と同様に行なうことができるので、その説明を省略する。
【0038】
(点検スイッチ54について)
次に、点検スイッチ54の操作構造について説明する。図5は取付孔120の近傍の拡大斜視図、図6は図2のA−A矢視断面図であり、図6(a)は点検スイッチ54の非押圧状態、図6(b)は点検スイッチ54の押圧状態を示す図、図7及び図8は掛止部62の形状の他の例を示した拡大斜視図である。上述のように、第2基板50には、点検スイッチ54が設けられている。この点検スイッチ54は、第2基板50の下面側に設けられ、下方に向けて突出するように配置されている。この点検スイッチ54が、表ケース11から第2基板50に向かう向きB(図6(b)内の矢印Bで示す向き)に押圧されることで、当該押圧状態が制御部59によって検知される。図6(b)内に矢印Bで示した向きBは、特許請求の範囲における所定の向きに対応している。
【0039】
(点検スイッチ54について−操作部材60)
ここで、点検スイッチ54の近傍には、操作部材60が設けられている。操作部材60は、外部からの操作によって点検スイッチ54を動作させるためのもので、特許請求の範囲における連係手段に対応する。具体的には、操作部材60は、操作部61、掛止部62、及び、支持部63を備えている。
【0040】
操作部61は、点検スイッチ54に当接し、当該点検スイッチ54を動作させるためのもので、特許請求の範囲における当接部に対応している。この操作部61は略平板状に形成されている。また、操作部61において点検スイッチ54と対向する面には、点検スイッチ54と当接する当接片61aが延設されている。操作部61は、点検スイッチ54と対向し、且つ、当該点検スイッチ54の押圧方向と略直交するように配置されている。また、操作部61において点検スイッチ54と対向しない面は、表ケース11に形成された開口部111を介して筐体10の外部に露出され、筐体10の外部から当該操作部61を操作可能となるように配置されている。
【0041】
掛止部62は、後述する操作ヒモ70を掛止させ、当該操作ヒモ70に対する操作を操作部材60に伝達させるためのものであり、筐体10の外表面から外側に露出することのないよう、当該筐体10の内部に配置されている。掛止部62の具体的な形状は任意であるが、例えば、操作部61と略直交する方向に沿って当該操作部61の周縁部から延設されている略棒状体として形成することができる。掛止部62と操作部61とは、相互に一体に形成してもよく、あるいは、それぞれ個別に形成されているものを連結してもよい。
【0042】
掛止部62の先端部には、スリット62aが設けられている。スリット62aは、操作ヒモ70を掛止するためのものであり、特許請求の範囲における溝に対応している。スリット62aの具体的な形状は任意であるが、例えば、図5に示したように、筐体10の外周と略平行な方向に沿ったスリット62aを、互いに対向している2枚の略平板によって形成してもよい。あるいは、図7や図8に示したように、筐体10の外周と略直交する方向に沿ったスリット62aを、略U字状の溝や、互いに対向している2枚の略平板によって形成することもできる。このスリット62aの少なくとも一方の端部は開放端となっている。また、スリット62aの間隙の幅は、操作ヒモ70の外径よりも大きく、後述する固定端71の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、スリット62aの開放端から操作ヒモ70を当該スリット62aに挿通させることができると共に、当該スリット62aによって固定端71を掛止させることができる。
【0043】
支持部63は、操作部材60の回動動作の支点となる部分である。支持部63の具体的な構成は任意であるが、例えば、図6に示したように、操作部61の周縁における略突起体として支持部63を設けることができる。この支持部63を、警報器1の内部構造、例えば、筐体10と煙検出部20とによって狭持させることで、当該支持部63を筐体100に対して固定し、当該支持部63を支点として操作部材60を回動させることができる。
【0044】
なお、操作部材60の材料は任意であるが、上述のように支持部63を支点として当該操作部材60を回動させるため、少なくとも操作部61と支持部63との結合部分については、弾性を有する材料、例えばプラスチック等の樹脂やアルミニウム等の金属を用いることが望ましい。
【0045】
(点検スイッチ54について−操作ヒモ70)
また、図6に示すように、操作部材60には、操作ヒモ70が掛止されている。この操作ヒモ70は、操作部材60を介して点検スイッチ54を動作させるためのもので、特許請求の範囲における操作手段に対応する。具体的には、操作ヒモ70の一端部に、当該操作ヒモ70よりも外径の大きい固定端71(例えば、結び目等)が形成されており、掛止部62のスリット62aによって当該固定端71が掛止されている。操作ヒモ70は、掛止部62から取付孔120を介して筐体10の外部に引き出されており、筐体10の外部において当該操作ヒモ70を操作可能となっている。なお、操作ヒモ70の材質や形状は任意であるが、例えば、ナイロンを用いて構成し、警報器1から点検者の近傍位置に至るに十分な長さに形成することができる。
【0046】
(取付孔120の構造の詳細)
上述のように、取付孔120は、操作部材60に対する操作ヒモ70の着脱を行う際に当該操作ヒモ70を筐体10の内部に挿通させるための開口として、裏ケース12に設けられている。具体的には、図5、図7、又は図8に示すように、取付孔120は、掛止部62から筐体10の外部に至るように設けられた開放空間であって、第1の空間120aと第2の空間120bとを有している。
【0047】
第1の空間120aは、筐体10の外部からスリット62aの開放端まで操作ヒモ70の固定端71を挿通可能とするために設けられているものであり、具体的には、少なくとも固定端71の外径よりも大きい外径を有する開口として、スリット62aの開放端と筐体10の外部とを連通させるように裏ケース12に設けられている。
【0048】
第2の空間120bは、操作ヒモ70をスリット62aの開放端から当該スリット62aの間隙に挿通可能とするために設けられているものであり、具体的には、少なくとも操作ヒモ70の外径よりも大きい外径を有する開口として、操作ヒモ70の長手方向に略直交する方向に沿うように、且つ、スリット62aに沿うように、裏ケース12に設けられている。
【0049】
上記の第1の空間120aと第2の空間120bとが一体となって、取付孔120を構成している。なお、これらの第1の空間120a又は第2の空間120bのいずれか一方が他方を包含するように取付孔120を形成してもよい。
【0050】
(操作ヒモ70の着脱)
次に、操作部材60に対する操作ヒモ70の着脱について説明する。上述のように、操作ヒモ70は、掛止部62に掛止されることで操作部材60に取り付けられ、取付孔120から筐体10の外部に引き出されている。具体的には、操作ヒモ70を操作部材60に取り付ける場合、まず操作ヒモ70の固定端71を、裏ケース12に設けられている取付孔120の第1の空間120aを介して、筐体10の内部にあるスリット62aの開放端まで挿通させる。続いて、操作ヒモ70を第2の空間120bに挿通させることで、当該操作ヒモ70をスリット62aの間隙に挿通させる。これにより、操作ヒモ70の固定端71は、掛止部62によって掛止される。以上のように、筐体10を何ら分解することなく、当該筐体10の内部にある操作部材60に対して極めて容易に操作ヒモ70を取り付けることが可能である。
【0051】
(点検スイッチ54の操作)
次に、上述の操作構造を用いた点検スイッチ54に対する操作について説明する。点検スイッチ54を操作する方法としては、操作部61を押圧する方法、及び、操作ヒモ70を引っ張る方法の二通りの方法がある。
【0052】
操作部61の押圧により点検スイッチ54を操作する場合には、操作者は表ケース11の外部側から操作部61を向きBに押圧する。操作部61は、支持部63を支点として向きBに回動し、操作部61における当接片61aが点検スイッチ54に当接する。点検スイッチ54に当接した当接片61aが、点検スイッチ54を向きBに押圧することにより、当該押圧状態が制御部59によって検知される。
【0053】
操作ヒモ70を引っ張ることにより点検スイッチ54を操作する場合には、操作者は、所定の向きに操作ヒモ70を引っ張る。操作者が操作ヒモ70を引っ張る向きは任意であるが、例えば、図6(b)に示すように、警報器1が設置されている天井Cから下方に向かって引っ張ることができる。上述のように、操作ヒモ70は取付孔120を介して、筐体10の内部にて掛止部62に掛止されている。この場合、操作ヒモ70を下方に引っ張ると、当該操作ヒモ70は取付孔120の周縁を支点として掛止部62を上方に動作させる。これに伴って、掛止部62に連結されている操作部61が支持部63を支点として向きBに回動し、操作部61における当接片61aが、点検スイッチ54を向きBに押圧することにより、当該押圧状態が制御部59によって検知される。
【0054】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、操作ヒモ70を所定の向きに引っ張ることによって、掛止部62を動作させ、操作部61を支持部63を支点として向きBに回動させ、点検スイッチ54を押圧可能としている。これにより、操作部61を押圧するだけでなく、操作ヒモ70を引っ張ることによっても、点検スイッチ54を押圧することができる。また、操作ヒモ70によって掛止部62を動作させるためには、取付孔120を介して操作ヒモ70を掛止部62に掛止させればよいので、掛止部62に対して極めて容易に操作ヒモ70を取り付けることが可能である。さらに、掛止部62が筐体10の外部に露出していないので、外部からの当該掛止部62への接触による点検スイッチ54の誤動作を防止することができる。
【0055】
また、取付孔120として、筐体10の外部からスリット62aまで固定端71を挿通可能とする第1の空間120aと、操作ヒモ70をスリット62aに挿通可能とする第2の空間120bを設けたので、操作ヒモ70の一端に設けられた固定端71をスリット62aに挿通させることで、筐体10を何ら分解することなく、筐体10の内部にある掛止部62に対する操作ヒモ70の着脱を極めて容易に行うことができる。
【0056】
また、操作部61において点検スイッチ54と対向しない面は、表ケース11に形成された開口部111を介して筐体10の外部に露出され、筐体10の外部から当該操作部61を操作可能となるように配置されているので、操作部61を直接押圧することによっても、点検スイッチ54を操作することができる。
【0057】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、保持手段を備えた形態である。
【0058】
なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0059】
(本実施の形態2に係る警報器の概要)
まず、本実施の形態2に係る警報器の概要を説明する。従来、一般住宅等に設置される電池駆動型の警報器において、ユーザによる電池の組み込み作業や交換作業を不要とするために、メーカ側で電池を警報器に組み込み、電池の電極と警報器の電源端子との間に絶縁体を挟みこんだ状態で出荷し、当該警報器の設置時にその絶縁体を取除くことにより電池から警報器に電力を供給し、当該警報器による監視動作を開始させる警報器が提案されている。
【0060】
しかし、電池と警報器との間に絶縁体を挟みこむ方式は、コネクタによって電池と警報器とを接続する形式の警報器には適用することができなかった。そこで、本実施の形態2に係る警報器は、メーカ出荷時の初期設定時から、所定の保持手段によって操作部材60を介して点検スイッチ54が押圧されている間は、電力消費を抑制した低電力モードを維持し、保持手段が取除かれ、点検スイッチ54の押圧状態が解除された場合に、監視動作を開始させる。以下、上述の保持手段の構成、及び、当該保持手段の着脱による警報器の動作について説明する。
【0061】
(保持手段の構成)
図9は本実施の形態2に係る警報器1を設置面から見た背面図、図10は取付孔120の近傍の拡大斜視図、図11は図9のD−D矢視断面図である。なお、図9から図11は、保持手段が取り付けられている場合の警報器を示している。警報器に保持手段が取り付けられているのは、メーカ出荷時からユーザによる警報器設置時までの間であり、その間は操作ヒモ70を操作部材60に取り付けておく必要は無いことから、図9から図11においては操作ヒモ70を図示していない。
【0062】
(裏ケース12)
図9から図11に示すように、本実施の形態2に係る裏ケース12には、後述する保持体80を保持するための保持部17が設けられている。保持部17の具体的な構成は任意であるが、例えば、保持体80を差込可能な差込穴として、取付孔120の近傍における裏ケース12の側面に設けることができる。
【0063】
(保持体80)
保持体80は、操作部材60の操作部61によって点検スイッチ54が押圧されている状態で当該操作部材60を保持するためのものであり、特許請求の範囲における保持手段に対応している。保持体80の形状や材料は任意であるが、例えば、弾性材料(例えば、プラスチック等の樹脂やアルミニウム等の金属)を用いて、略U字状の曲面を有するフィルムとして形成することができる。この保持体80の一端を保持部17に差込み、他端を取付孔120を介して掛止部62の近傍において操作部材60に当接するように設置した場合(例えば、当該他端をスリット62aに差し込んだ場合)、当該保持体80の弾性力によって操作部材60が押圧され、操作部材60が支持部63を支点として回動し、操作部61の当接片61aから点検スイッチ54に対して向きBに押圧力が加えられる。このように、保持体80を設置することで、点検スイッチ54を押圧状態とすることができる。一方、保持体80を取り外した場合には、点検スイッチ54の押圧状態が解除される。また、保持部17は裏ケース12の外側に露出しており、掛止部62は取付孔120を介して筐体10の外部からアクセスが容易な位置に配置されているので、当該保持部17及び掛止部62に対して極めて容易に保持体80の着脱を行うことができる。
【0064】
(制御部59の動作)
実施の形態1において説明したように、制御部59は、警報器1における各種の制御を行う。ここでは、制御部59によって実行される制御のうち、メーカの工場出荷時における初期設定から、ユーザによる当該警報器1の設置及び監視動作開始に至る流れについて説明する。図12は制御部59による処理の流れを示したフローチャートである。
【0065】
まず、所定の入力操作によって初期化処理が行われると(ステップSA−1)、制御部59は検出処理部59aによって通常の監視動作を行わせる(ステップSA−2)。この通常の監視動作中に、所定時間以上(例えば、3秒以上)点検スイッチ54が押圧された状態となった場合(ステップSA−3、Yes)、制御部59は低電力モードへの移行指示があったと判定し、電力消費を低減させた低電力モードへと、当該警報器1を設定する(ステップSA−4)。本実施の形態2に係る警報器1においては、警報器1に保持体80が設置されることにより、点検スイッチ54の押圧状態が維持され、警報器1が低電力モードへと移行される。なお、低電力モードにおける具体的な設定としては、例えば、CPUにおけるクロック発振動作の停止等を設定することができる。警報器1は、この低電力モードの状態でユーザへと出荷される。
【0066】
低電力モードの間、制御部59は、点検スイッチ54の押圧状態を確認し(ステップSA−5)、当該押圧状態が維持されている場合には(ステップSA−5、Yes)、低電力モードを維持する(ステップSA−6)。一方、点検スイッチ54の押圧状態が解除された場合(ステップSA−5、No)、制御部59は、通常の監視動作への移行指示があったものと判定し、検出処理部59aに検出処理を行わせる監視動作へと警報器1を移行させる(ステップSA−7)。本実施の形態2に係る警報器1においては、警報器1に設置されている保持体80を取り外すことにより、低電力モードにある当該警報器1の点検スイッチ54の押圧状態が解除される。なお、通常の監視動作においては、検出処理部59aは火災発生、ガス漏れ発生、及び、不完全燃焼発生の検出処理を行い、火災発生等を検出した場合には警報処理部59bによって警報処理を行わせる。また、点検処理部59cは、点検スイッチ54が操作された場合、当該操作の方法に応じて点検動作等の処理を行う。これらの処理は従来と同様に行わせることができるので、その説明を省略する。
【0067】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、点検スイッチ54が押圧状態にある間は、制御部59は低電力モードを維持し、点検スイッチ54の押圧状態が解除された場合に、検出処理部59aに検出処理を行わせる監視動作へと警報器1を移行させる。これにより、コネクタによって電池と警報器とを接続するタイプの警報器においても、出荷時から設置時までの間における警報器1の電力消費を抑制することができる。また、点検スイッチ54の押圧状態の維持及び解除を、保持体80の着脱によって行うことができる。
【0068】
また、弾性材料によって略U字状に形成した保持体80をの一端を保持部17に差込み、他端を操作部材60に当接するように設置することで、操作部材60を介して点検スイッチ54を押圧できるようにしたので、極めて容易に保持体80の着脱を行うことができ、点検スイッチ54における押圧状態の維持及び解除を容易に行うことができる。
【0069】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0070】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0071】
(支持部63について)
上記の各実施の形態においては、支持部63は操作部61の周縁に設けられた略突起体であり、筐体10に固定されていると説明したが、支持部63を軸体として形成し、筐体10に設けた所定の軸受によって当該支持部63を保持させるようにすることもできる。これにより、支持部63を回動軸として操作部材60を回動させることができる。
【0072】
〔IV〕付記
上述した課題を解決し、目的を達成するために、付記1に記載の警報器は、監視領域における異常発生を検出して警報を行う警報器であって、前記異常発生を検出する検出手段と、前記検出手段を収容する筐体と、当該警報器に対する指示を行うためのもので、前記筐体に設けられ、所定の向きに押圧される指示手段と、前記指示手段に当接する当接部と、当該当接部に連結されている掛止部と、を有する連係手段と、前記掛止部に着脱可能に掛止され、前記連係手段を介して前記指示手段を前記所定の向きに押圧するための操作手段と、を備え、前記掛止部を前記筐体の内部に配置すると共に、前記筐体には当該筐体の外部から前記掛止部に前記操作手段を着脱自在とするための取付孔を設けたこと、を特徴とする。
【0073】
また、付記2に記載の警報器は、付記1に記載の警報器において、前記操作手段は、紐状体に形成され、前記掛止部によって掛け止められる固定部を当該紐状体の一端に備え、前記掛止部は、前記紐状体を挿通可能、且つ、前記固定部を掛止可能な、所定幅の溝として形成され、前記取付孔は、前記掛止部から前記筐体の外部に至るように設けられた開放空間であって、当該筐体の外部から前記溝の開放端に前記固定部を挿通可能な第1の空間と、前記開放端から前記紐状体の長手方向に直交する方向に沿って当該紐状体を挿通可能な第2の空間とを有すること、を特徴とする。
【0074】
また、付記3に記載の警報器は、付記1又は2に記載の警報器において、前記当接部の一部を前記筐体の外部に露出させ、当該筐体の外部から当該当接部の一部を操作可能としたこと、を特徴とする。
【0075】
また、付記4に記載の警報器は、付記1から3のいずれか一項に記載の警報器において、前記検出手段による検出動作を制御するための制御手段と、前記筐体の外側に着脱自在に配置されるもので、前記連係手段を、前記当接部によって前記指示手段が押圧されている状態で保持するための保持手段と、を備え、前記制御手段は、前記指示手段が押圧されている状態の場合には、前記検出手段の検出動作を停止させ、前記指示手段が押圧されない状態となった場合に、前記検出手段に検出動作を開始させること、を特徴とする。
【0076】
また、付記5に記載の警報器は、付記4に記載の警報器において、前記保持手段は、略U字形状の弾性体であり、当該保持手段の一端は前記筐体に固定され、他端は前記連係手段に当接し、前記当接部を介して前記指示手段を押圧する向きに当該連係手段を押圧すること、を特徴とする。
【0077】
付記1に記載の本発明によれば、操作手段を引っ張ることによって掛止部を動作させ、掛止部の動作に伴って当接部を動作させ、指示手段を押圧可能としている。これにより、当接部を押圧するだけでなく、操作手段を引っ張ることによっても、指示手段を押圧することができる。また、操作手段によって掛止部を動作させるためには、取付孔を介して操作手段を掛止部に掛止させればよいので、掛止部に対して極めて容易に操作手段を取り付けることが可能である。さらに、掛止部が筐体の内部に配置されており、外部に露出していないので、外部からの当該掛止部への接触による指示手段の誤動作を防止することができる。
【0078】
また、付記2に記載の本発明によれば、取付孔として、筐体の外部から掛止部の溝の開放端まで操作手段の固定部を挿通可能とする第1の空間と、操作手段である紐状体を溝に挿通可能とする第2の空間を設けたので、紐状体の一端に設けられた固定部を溝に掛止させることで、筐体を何ら分解することなく、筐体の内部にある掛止部に対する操作手段の着脱を極めて容易に行うことできる。
【0079】
また、付記3に記載の本発明によれば、当接部において指示手段と対向しない面は、筐体に形成された開口部を介して当該筐体の外部に露出され、筐体の外部から当該当接部を操作可能となるように配置されているので、当接部を直接押圧することによっても、指示手段を操作することができる。
【0080】
また、付記4に記載の本発明によれば、指示手段が押圧状態にある間は、制御手段は検出手段の検出動作を停止させ、指示手段の押圧状態が解除された場合に、検出手段に検出動作を行わせる。これにより、コネクタによって電池と警報器とを接続するタイプの警報器においても、出荷時から設置時までの間における警報器の電力消費を抑制することができる。また、指示手段の押圧状態の維持及び解除を、保持手段の着脱によって行うことができる。
【0081】
また、付記5に記載の本発明によれば、弾性材料によって略U字状に形成した保持手段の一端を筐体に固定し、他端を連係手段に当接するように設置することで、連係手段を介して指示手段を押圧できるようにしたので、極めて容易に保持手段の着脱を行うことができ、指示手段における押圧状態の維持及び解除を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
この発明に係る警報器は、監視領域における火災発生やガス漏れ等の異常を検出して警報を発する警報器に適用でき、特に、警報器に対して操作ヒモを容易に脱着させることができ、操作ボタンと操作ヒモとのいずれを用いても点検操作を行うことができ、外部からの接触による誤作動を防止することができる、警報器に有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 警報器
2 取り付けベース
10 筐体
11 表ケース
12 裏ケース
13 煙流入口
14 ガス流入口
15 スピーカ孔
16、53 電源端子
17 保持部
20 煙検出部
30 第1基板
40 中ケース
50 第2基板
51 ガスセンサ
52 接続端子
54 点検スイッチ
56 スピーカ
57 記憶部
58 表示出力部
59 制御部
59a 検出処理部
59b 警報処理部
59c 点検処理部
60 操作部材
61 操作部
61a 当接片
62 掛止部
62a スリット
63 支持部
70 操作ヒモ
71 固定端
80 保持体
110 表示部
111 開口部
120 取付孔
120a 第1の空間
120b 第2の空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における異常発生を検出して警報を行う警報器であって、
前記監視領域における異常発生を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出動作を制御するための制御手段であって、前記検出手段を、前記監視領域における異常発生を検出する通常監視モードと、当該通常監視モードよりも電力消費を低減させた低電力モードとに切り替える、制御手段と、
前記通常監視モードにおいて実行可能な所定機能の開始指示をユーザから受け付けるためのスイッチと、
当該警報器に取り外し可能に取り付けられる保持手段であって、前記スイッチを当該スイッチが押圧された状態で保持するための保持手段と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチが押圧された状態においては、前記検出手段を前記低電力モードとし、前記スイッチの押圧が解除された状態においては、前記検出手段を前記通常監視モードとする、
警報器。
【請求項2】
前記ユーザによって押されることで前記スイッチを押圧する連係手段であって、その一部が当該警報器から外部に露出するように配置された連係手段を備え、
前記保持手段によって前記スイッチが押圧された状態で保持されている場合には、前記制御手段が前記検出手段を前記低電力モードとすることにより、前記連係手段の前記一部がユーザによって押された場合においても、前記スイッチによる前記所定機能の開始指示の受け付けを不能とする、
請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記スイッチは、前記検出手段を点検するための点検機能の開始指示をユーザから受け付けるための点検スイッチである、
請求項1又は2に記載の警報器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−109782(P2013−109782A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−47823(P2013−47823)
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2011−141372(P2011−141372)の分割
【原出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】