説明

負荷時タップ切換器の電動操作機構

【課題】負荷時タップ切換器の電動操作時に、電動操作機構の回転機構部を露出させないようにする。
【解決手段】負荷時タップ切換器と連結される出力軸4と、出力軸に回転駆動力を与える電動機5と、この切換器を昇圧及び降圧方向に切り換えるための昇降圧切換スイッチ6と、切換器を手動で駆動するためのハンドル軸7と、タップ表示器7と、制御装置9とを備える。さらに、ハンドル挿入口11が開閉自在となるように設けられたシャッター20と、シャッターに連動して、電動機への回路を開閉する電動機開閉スイッチ24とを備える。シャッター20を作動させて挿入口11を開状態にさせることにより、スイッチ24が動作して電動機への回路が開になると共に、ハンドルの挿入口11への挿入が行え、ハンドルを挿入口11から引き出すとシャッターが作動して挿入口11を閉状態にさせることにより、スイッチ24が動作して電動機への回路が閉になるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動操作及び手動操作に対応させた負荷時タップ切換器の電動操作機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な負荷時タップ切換器の電動操作機構は、例えば、図4に示すように、箱体1に収容されて、負荷時タップ切換器を設けた図示しない変圧器のタンク側壁に取り付けられており、箱体1には扉2が開閉自在に取り付けられ、扉2には覗き窓3が設けられている。この電動操作機構は、例えば、図5に示すように、図示しない負荷時タップ切換器と連結される出力軸4と、出力軸4に回転駆動力を与える電動機5と、電動機5を操作して負荷時タップ切換器を昇圧及び降圧方向に切り換えるための昇降圧切換スイッチ6と、負荷時タップ切換器を手動で駆動するためのハンドル軸7と、タップ表示器8と、制御装置9とから主に構成されている。また、電動操作機構は、昇降圧切換スイッチ6により電動機5を強制的に動作、すなわち、電動操作させて負荷時タップ切換器を駆動させることができ、また、ハンドル軸7を手動操作しても負荷時タップ切換器を駆動させることができるように電気的及び機械的に構成されている(特許文献1参照)。なお、箱体1の前面には図5に示すように、電動機5等の回転機構部を覆うと共に、タップ表示器8の表示内容が見られるように矩形状の切抜部を設けて形成された保護パネル10と、昇降圧切換スイッチ6が取り付けられると共に、ハンドル軸7を操作するためのハンドル挿入口11が設けられた操作パネル12と、制御装置9が取り付けられた制御装置パネル13とが配置されている。
【0003】
活線状態での点検・保守等時に、扉2が開かれると、タップ切換信号が出力されても制御装置9に入力されなくなり、電動機5が動作しないようになっているが、点検・保守等のために、電動機5を強制的に動作させることができるようになっている。手動操作の際には、図示しないL字状のハンドルをハンドル挿入口11に挿入し、ハンドルがハンドル軸7に係止されると、電動機5が電気的に動作しないようにしている(特許文献2参照)。なお、ハンドルをハンドル軸7に係止させるために、ハンドル軸7の端部に凸部を形成させることもある。
【特許文献1】特開平11−97258号公報(図1ないし図4)
【特許文献2】特開2003−7550号公報(図1ないし図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハンドル挿入口11は、ハンドルが挿入し易いように比較的大きく開口され、また、ハンドル軸7の端部は、ハンドルがハンドル軸7に係止し易いようにハンドル挿入口11の近傍に延進されているので、電動操作の際に、作業者が誤って高速回転中のハンドル軸7に指を触れる虞があるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、電動操作時に回転機構部を露出させないようにした負荷時タップ切換器の電動操作機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、負荷時タップ切換器と連結される出力軸と、出力軸に回転駆動力を与える電動機と、電動機を操作して負荷時タップ切換器を昇圧及び降圧方向に切り換えるための昇降圧切換スイッチと、負荷時タップ切換器を手動で駆動するためのハンドル軸と、タップ表示器と、制御装置とを備えた負荷時タップ切換器の電動操作機構を対象とし、ハンドル挿入口が開閉自在となるように設けられたシャッターと、シャッターに連動して、電動機への回路を開閉する電動機開閉スイッチとを備え、シャッターを作動させてハンドル挿入口を少なくともハンドルが挿入できる位置まで開状態にさせることにより、電動機開閉スイッチが動作して電動機への回路が開になると共に、ハンドルのハンドル挿入口への挿入が行え、ハンドルをハンドル挿入口から引き出すとシャッターが作動してハンドル挿入口を閉状態にさせることにより、電動機開閉スイッチが動作して電動機への回路が閉になるようにしたものである。
【0007】
第2の発明は、シャッターは、開閉用操作レバーが設けられ、開閉用操作レバーによりハンドル挿入口を開状態にするようにしたものである。
【0008】
第3の発明は、シャッターは、シャッターを作動させてハンドル挿入口を開状態にさせることにより付勢したバネの力により、ハンドル7挿入口を閉状態にするようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、第1の発明によれば、ハンドル挿入口が開閉自在となるように設けられたシャッターと、シャッターに連動して、電動機への回路を開閉するスイッチとを備え、ハンドルをハンドル挿入口から引き出すとシャッターが作動してハンドル挿入口を閉状態にさせることにより、手動操作時以外はハンドル挿入口が閉じられているので、作業者は何の問題もなく電動操作することができる。
【0010】
第2の発明によれば、シャッターは、開閉用操作レバーが設けられたことにより、容易に開状態にさせられるので、この構成を簡素化することができる。
【0011】
第3の発明によれば、シャッターは、ハンドル挿入口を開状態にしたときに付勢されたバネの力により、常に元の位置に戻ろうとする力が働いているので、ハンドルがハンドル挿入口から引き出されると、ハンドル挿入口を自動的に閉状態にさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明に係わる負荷時タップ切換器の電動操作機構の一実施形態を示す概略構成図である。図2は、本発明に係わる負荷時タップ切換器の電動操作機構の一実施形態の要部前面を示す概略構成図で、(A)はハンドル挿入口の閉状態を示す概略構成図、(B)はハンドル挿入口の開状態を示す概略構成図である。図3は、本発明に係わる負荷時タップ切換器の電動操作機構の一実施形態の要部裏面を示す概略構成図で、(A)はハンドル挿入口の閉状態を示す概略構成図、(B)はハンドル挿入口の開状態を示す概略構成図である。
【0013】
図示するように、図4と同様に、箱体1に収容されて、負荷時タップ切換器を設けた図示しない変圧器のタンク側壁に取り付けられており、箱体1には扉2が開閉自在に取り付けられ、扉2には覗き窓3が設けられている。この電動操作機構は、負荷時タップ切換器と連結される出力軸4と、出力軸4に回転駆動力を与える電動機5と、電動機5を操作して負荷時タップ切換器を昇圧及び降圧方向に切り換えるための昇降圧切換スイッチ6と、負荷時タップ切換器を手動で駆動するためのハンドル軸7と、タップ表示器8と、制御装置9とから主に構成されている。また、電動操作機構は、昇降圧切換スイッチ6により電動機5を強制的に動作、すなわち、電動操作させて負荷時タップ切換器を駆動させることができ、また、ハンドル軸7を手動操作しても負荷時タップ切換器を駆動させることができるように電気的及び機械的に構成されている。なお、箱体1の前面には図1に示すように、電動機5等の回転機構部を覆うと共に、タップ表示器8の表示部が見られるように矩形状の切欠部を設けて形成された保護パネル10と、昇降圧切換スイッチ6が取り付けられ、また、ハンドル軸7を操作するためのシャッター20付きのハンドル挿入口11を設けた操作パネル12と、制御装置9が取り付けられた制御装置パネル13とが配置されている。
【0014】
操作パネル12の裏面には、ハンドル挿入口11が開閉自在となるように板状のシャッター20が近接状態で対向配置されている。シャッター20は、操作パネル12の裏面と近接状態を保持しつつ回動されるように、操作パネル12に裏面に直立して取り付けられたピン21に軸支されている。ピン21には、コイル状のバネ22が挿入されており、バネ22はその両端が適宜の長さの直線状部分を有し、一端22aは直線状に形成され、他端22bはリング状に形成されている。バネ22の一端22aは、シャッター20を回動させた際にバネ22を付勢するために、シャッター20の平坦部20aの端部に、操作パネル12と遠ざかる方向に延進して形成されたL字状の折曲部20bの内側面(バネ付勢面)に当接されている。バネ22の他端22bは、バネ22を付勢する際にバネ22を固定するために、操作パネル12の裏面に直立して取り付けられたピン23に挿入されている。
【0015】
操作パネル12の裏面にはまた、従来と同様に電動操作の際に、電動機5を動作させ、手動操作の際に、電動機5を動作させないための電動機開閉スイッチとして、例えば、マイクロスイッチ24が取り付けられており、マイクロスイッチ24のアクチュエータ24aの先端に回転自在に装着されたローラ24bが、シャッター20の回動位置に応じてシャッター20の折曲部20bの外側面(アクチュエータ駆動面)に当接して押され、また、折曲部20bの外側面(アクチュエータ駆動面)から解放されるようになっている。
【0016】
シャッター20には、その前面に棒状の開閉用操作レバー25が直立して取り付けられており、開閉用操作レバー25の取付位置は、ハンドル挿入口11の閉状態が確保されているシャッター20の位置から、図示しないハンドルをハンドル挿入口11に挿入するのに支障のないシャッター20の位置までとなる回動範囲が、ハンドル挿入口11の開口範囲以内になるようにしている。シャッター20にはまた、例えば、直角状の切欠部20cが設けられており、シャッター20が必要以上に開かないようにするために、その切欠部20cはピン23に突き当たるような形状になっている。
【0017】
このような構成において、電動操作の際には、図2(A)に示すように、ハンドル挿入口11はシャッター20により完全に閉状態が確保されている。この状態では、図3(A)に示すように、マイクロスイッチ24のローラ24bが、シャッター20の折曲部20bの外側面(アクチュエータ駆動面)に当接して押されているので、マイクロスイッチ24が動作して電動機5への回路が閉になり、作業者は何の問題もなく昇降圧切換スイッチ6により、電動操作することができる。
【0018】
手動操作の際には、図2(B)に示すように、開閉用操作レバー25を持って、図示しないハンドルをハンドル挿入口11に挿入するのに支障のない位置までシャッター20を回動させると、ハンドル挿入口11はシャッター20により開状態が確保されている。この状態では、図3(B)に示すように、マイクロスイッチ24のローラ24bが、シャッター20の折曲部20bの外側面(アクチュエータ駆動面)から解放されるので、マイクロスイッチ24が動作して電動機5への回路が開になる。その後、ハンドルをハンドル挿入口11に挿入し、ハンドルをハンドル軸7に係止する。
【0019】
手動操作終了の際には、開閉用操作レバー25を離すと、ハンドル挿入口11を開状態にするために、シャッター20を回動させたときにバネ22に付勢されたバネの力より、シャッター20の平坦部20aの端面がハンドルの軸方向に押さえることになる。この状態から、ハンドルをハンドル挿入口11から引き出すと、シャッター20の平坦部20aの端面がハンドルから解放される。シャッターは、付勢されたバネの力により、常に元の位置に戻ろうとする力が働いているので、シャッター11が作動してハンドル挿入口11が自動的に閉状態にされると共に、マイクロスイッチ24が動作して電動機5への回路が閉になる。すなわち、図2(A)に示す状態に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係わる負荷時タップ切換器の電動操作機構の一実施形態の内部構造を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係わる負荷時タップ切換器の電動操作機構の一実施形態の要部前面を示す概略構成図で、(A)はハンドル挿入口の閉状態を示す概略構成図、(B)はハンドル挿入口の開状態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係わる負荷時タップ切換器の電動操作機構の一実施形態の要部裏面を示す概略構成図で、(A)はハンドル挿入口の閉状態を示す概略構成図、(B)はハンドル挿入口の開状態を示す概略構成図である。
【図4】従来の一般的な負荷時タップ切換器の電動操作機構の外観図である。
【図5】従来の一般的な負荷時タップ切換器の電動操作機構の内部構造を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0021】
4 出力軸
5 電動機
6 昇降圧切換スイッチ
7 ハンドル軸
8 タップ表示器
9 制御装置
11 ハンドル挿入口
20 シャッター
22 バネ
24 電動機開閉スイッチ
25 開閉用操作レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時タップ切換器と連結される出力軸と、前記出力軸に回転駆動力を与える電動機と、前記電動機を操作して負荷時タップ切換器を昇圧及び降圧方向に切り換えるための昇降圧切換スイッチと、前記負荷時タップ切換器を手動で駆動するためのハンドル軸と、タップ表示器と、制御装置とを備えた負荷時タップ切換器の電動操作機構において、
前記ハンドル挿入口が開閉自在となるように設けられたシャッターと、
前記シャッターに連動して、前記電動機への回路を開閉する電動機開閉スイッチとを備え、
前記シャッターを作動させて前記ハンドル挿入口を少なくともハンドルが挿入できる位置まで開状態にさせることにより、前記電動機開閉スイッチが動作して前記電動機への回路が開になると共に、ハンドルの前記ハンドル挿入口への挿入が行え、
前記ハンドルを前記ハンドル挿入口から引き出すと前記シャッターが作動して前記ハンドル挿入口を閉状態にさせることにより、前記電動機開閉スイッチが動作して前記電動機への回路が閉になるようにした負荷時タップ切換器の電動操作機構。
【請求項2】
前記シャッターは、開閉用操作レバーが設けられ、前記開閉用操作レバーにより前記ハンドル挿入口を開状態にする請求項1に記載の負荷時タップ切換器の電動操作機構。
【請求項3】
前記シャッターは、前記シャッターを作動させて前記ハンドル挿入口を開状態にさせることにより付勢したバネの力により、前記ハンドル挿入口を閉状態にする請求項1及び2に記載の負荷時タップ切換器の電動操作機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−73564(P2006−73564A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251505(P2004−251505)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)