説明

販売促進ツール生成装置

【課題】 コンセプトやイメージといった抽象的な内容から、具体的な販促ツール(コンテンツ)のデザインや版下のデザインを決定する販売促進ツール生成装置を提供する。
【解決手段】 顧客の抽象的な要求から具体的な販促ツールのデザインや版下のデザインを決定するために、第1記憶部5に格納されているプログラムに従って顧客端末4と通信を行い顧客端末4からの要求に応じて販促ツールを生成する制御部6と、顧客端末4から送られた抽象的な意味を持つキーワードから具体的なデザイン等を決定する具体化処理部7と、キーワードに応じた版下のデザイン等を格納する第2記憶部8と、を少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンフレットやポスター等の販売促進ツールを生成する販売促進ツール生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷会社では、会社案内などのパンフレットや商品案内などのポスター等の販売促進ツール(以下、販促ツールという)を作成する場合、まず依頼者からの要望に応じてデザイナが販促ツールのコンテンツをデザインし、そのデザインに基づいて印刷会社が版下を生成して、必要な部数の販促ツールを生産(印刷)している。
【0003】
また、近年では、コンピュータを利用することによって、版下を生成する組版作業等の作業時間が短縮されるようになってきている。
特許文献1には、顧客自身が印刷会社等のコンピュータを利用することによって、速やかにパンフレットを作成できるパンフレット作成システムについて開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、文書データ素材を編集し、印刷用や電子配信用のコンテンツを制作するシステムにおいて、デザイナと顧客とが、直接組版工程に関与することが可能なシステムについて開示されている。
【特許文献1】特開2002−109318号公報
【特許文献2】特開2003−044585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、依頼者はデザインの専門家でない場合が多いため、所望の販促ツールに対するコンセプトやイメージといった抽象的な内容から、具体的な販促ツール全体のデザインや版下のデザインを決定するためのプロセス(例えば、デザイナとの打ち合わせ)に時間やコスト等を費やさなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、コンセプトやイメージといった抽象的なキーワードを指定するだけで、具体的な販促ツールのデザインを決定することができる販売促進ツール生成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、抽象的な概念を表わす1又は2以上のキーワードを記憶するキーワード記憶手段と、前記キーワードと該キーワードに対応するデザイン情報とを関連づけて記憶するデザイン情報記憶手段と、通信可能に接続された顧客端末からの要求に応じて、前記キーワード記憶手段から前記キーワードを取得し、前記顧客端末に表示するための表示データを生成し、前記顧客端末に対して送信する表示データ送信手段と、該表示データ送信手段によって送信された表示データに基づいて選択され、前記顧客端末から送信される1又は2以上の選択済みキーワードを受信するキーワード受信手段と、該キーワード受信手段によって受信した選択済みキーワードに基づいて、前記キーワードからキーワード候補を抽出するキーワード候補抽出手段と、該キーワード候補抽出手段によって抽出されたキーワード候補に対応するデザイン情報を前記デザイン情報記憶手段から取得し、該デザイン情報に基づいて版下を生成する版下生成手段と、を備える。
【0008】
請求項1に記載の発明によると、前記顧客端末から所望の前記キーワードを選択すると、キーワード候補抽出手段によって、デザイン情報記憶手段に格納されている前記キーワードからキーワード候補が抽出され、前記版下生成手段によって版下が生成されるので、選択した前記キーワードが表わす抽象的な概念から具体的にデザインされた版下を取得することが可能となる効果を奏する。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記デザイン情報記憶手段に格納されている前記キーワードについて、所定の相対関係を定めた相対情報を記憶する相対情報記憶手段を更に備え、前記キーワード候補抽出手段は、前記相対情報記憶手段から相対情報を取得し、該相対情報に基づいて、前記選択済みキーワードによって定まる範囲を決定し、該決定した範囲内の前記キーワードを抽出することを特徴とする発明である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記キーワードは、レイアウト、レイアウトバランス、掲載する写真のいずれか1つ以上を備える前記デザイン情報に対応する第1のキーワードと、配色に関する情報、文字の書体に関する情報、背景写真に関する情報のいずれか1つ以上を備えるデザイン情報に対応する第2のキーワードとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の発明である。
【0011】
請求項2及び3に記載の発明によっても、請求項1に記載の発明と同様に、前記顧客端末から所望の前記キーワードを選択すると、キーワード候補抽出手段によって、デザイン情報記憶手段に格納されている前記キーワードからキーワード候補が抽出され、前記版下生成手段によって版下が生成されるので、選択した前記キーワードが表わす抽象的な概念から具体的にデザインされた版下を取得することが可能となる効果を奏する。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によると、コンセプトやイメージといった抽象的なキーワードを指定するだけで、具体的な販促ツールのデザインを決定できる販売促進ツール生成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図1から図9に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る販売促進ツール生成システムの構成の概要を示す図である。
【0014】
同図に示すように、本実施例に係る販売促進ツール生成システムは、要求に応じて販促ツールを生成するサーバ1と、サーバ1と例えばLAN(Local Area Network)を介して通信可能に接続され、販促ツールを生成するために必要なデータを格納するデータベース2と、インターネット3を介してサーバ1と通信可能に接続される複数の顧客端末4とを備えている。
【0015】
サーバ1は、インターネット3を介して送られてくる任意の顧客端末4からの要求に応じて、販促ツールを生成するための所定の画面を生成し、生成した画面データをインターネット3を介して顧客端末4に送信して表示させる。
【0016】
また、サーバ1は、顧客端末4からの要求に応じて、データベース2から必要なデータを検索し、1つ又は2以上の版下のデザインを生成し、顧客端末4に送信して表示させる。
【0017】
データベース2は、1又は2以上のデータベースから成り、例えば、抽象的なイメージを表すキーワード(文字列)とそのキーワードに対応する複数のデザインとを格納し、サーバ1からの要求に応じてサーバ1にデータを送信する。
【0018】
顧客端末4は、例えばWebブラウザ等を使用してサーバ1と通信を行い、サーバ1から送られてくるデータに基づいてWebブラウザに表示が行なわれ、顧客は、表示画面に応じて所定の操作を行ない、サーバ1に指示を行なう。
【0019】
同図に示すデータベース2は、LAN等のネットワークを介してサーバ1と接続しているが、この構成に限定するものではない。例えば、サーバ1の内部にデータベース2を備えるようにしてもよく、インターネット3を介してサーバ1とデータベース2とが通信可能な状態に接続してもよい。
【0020】
また、サーバ1と顧客端末4とは、インターネット3によって通信可能に接続されているが、この構成に限定するものではなく、例えば専用線によって接続されていてもよい。
図2は、本発明の実施例に係るサーバ1及びデータベース2の構成の概要を示すブロック図である。
【0021】
同図に示すサーバ1は、サーバ1を構成する各要素を制御するためのプログラムと販促ツールを生成するためのプログラムとを少なくとも格納する第1記憶部5と、第1記憶部5に格納されているプログラムの命令に従ってサーバ1を構成する各要素を制御し、さらに顧客端末4と通信を行って顧客端末4からの要求に応じて販促ツールを生成する処理を行なう制御部6と、制御部6からの指示に応じて、顧客端末4から送られた抽象的な意味を持つキーワードから具体的なデザイン等を決定する具体化処理部7と、抽象的な意味を持つキーワードに応じた版下のデザイン等を格納する第2記憶部8と、インターネット3を介して顧客端末4から送られるデータの入力を制御する送信入力制御部9と、制御部6の指示に応じて、インターネット3を介して顧客端末4に所定のデータを送信する出力制御部10と、を少なくとも備えている。
【0022】
第1記憶部5は、例えばサーバ1に備える磁気記録装置によって構成される。また、制御部6、入力制御部9、及び出力制御部10は、サーバ1が備える図示しないCPUが第1記憶部5に格納されているプログラムに従って処理を行なうことによって実現される。また、具体化処理部7についても、サーバ1が備える図示しないCPUが第1記憶部5に格納されているプログラムに従って処理を行なうことによって実現される。第2記憶部8は、データベース2によって構成される。
【0023】
上述のように、制御部6及び具体化処理部7における処理は、共に図示しないCPUが第1記憶部5に格納されているプログラムに従って行なう処理であるが、以下の説明においては、処理内容を明確にするために、処理の主体は制御部6又は具体化処理部7として説明することとする。
【0024】
ここで、本実施例に係るサーバ1は、一般的に使用されている情報処理装置によって実現することが可能である。すなわち、データを記憶するための記憶装置と、記憶装置に格納されているプログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)と、ネットワークと通信可能の接続するためのネットワーク接続装置と、情報処理装置に対してデータを入力するための入力装置(例えば、キーボードやマウス)と、表示モニタにデータを出力するための出力装置と、これらの装置間でデータの通信を行うためのバスとを少なくとも備えている情報処理装置によってサーバ1が構成される。
【0025】
したがって、同図に示す制御部6及び具体化処理部7は、情報処理装置に備わる記憶装置である第1記憶部5に格納されているプログラムに従って、上述のCPUが処理を行なうことによって実現することが可能である。
【0026】
また、入力制御部9及び出力制御部10は、上述のCPUが、第1記憶部5に格納されているプログラムに従って、情報処理装置に備わるネットワーク装置を制御することによって実現することが可能である。
【0027】
以下に、本発明に係る実施例として、会社案内のパンフレットを生成する処理について説明する。
図3は、本発明に係る第1の実施例のサーバ1による処理の概要を示すフローチャートである。
【0028】
会社案内のパンフレットを依頼する顧客が、顧客端末4上の例えばWebブラウザを用いてサーバ1にアクセスすると、サーバ1に備わる入力制御部9が、制御部6に通知し、サーバ1が備える制御部6(以下、単にサーバ1という)が、販促ツールを生成する処理を開始する。
【0029】
制御部6(を構成するCPU)は、第1記憶部5の所定のアドレスに格納されているコンセプト用キーワード及びイメージ用キーワードを読出し、所定のフォーマットでWebブラウザに表示させるためのデータを生成して、要求のあった顧客端末4に送信して表示させる(ステップS301)。
【0030】
ここで、顧客端末4上のWebブラウザに表示させるためのデータ形式としては、例えばXML(eXtensible Markup Language)やHTML(Hyper Text Markup Language)等を使用すればよい。
【0031】
また、コンセプト用キーワードとは、販促ツール(本実施例では、パンフレット)のデザインによって表現したいコンセプトに関する抽象的な概念をキーワードとしたものであり、例えば、専門性、独創性、成長性、安定性、技術力、研究・開発力、販売力、収益力、発想力、経営力等を使用する。
【0032】
イメージ用キーワードとは、パンフレットのデザインによって表現したいイメージに関する抽象的な概念をキーワードとしたものであり、例えば、カラフル、モノトーン、明るい、真面目、派手、爽やか、日本的、国際的、現代的、未来的、控えめ等を使用する。
【0033】
顧客によって、顧客端末4上に表示されたコンセプト用キーワード及びイメージ用キーワードからそれぞれ3つのキーワードが選択され、サーバ1に送信されると、制御部6は、処理をステップS302に移行する。
【0034】
ステップS302において、制御部6は、具体化処理部7に対して、顧客端末4から送られたコンセプト用キーワード及びイメージ用キーワードに基づいて、第2記憶部8に格納されているデザインから1又は2以上の候補を抽出(決定)する処理を行わせる。
【0035】
具体化処理部7によるデザイン候補の抽出処理が完了すると、制御部6の処理がステップS303に移行し、抽出したデザイン候補を所定のフォーマットでWebブラウザに表示させるためのデータを生成し、顧客端末4に送信して表示させる。
【0036】
顧客端末4のWebブラウザにデザイン候補が表示されると、顧客は、表示に応じて所望のデザインを選択することとなる。そして、顧客によって、所望のデザインが選択されると、Webブラウザによって、選択されたデザインの情報がサーバ1に送られることとなる。
【0037】
サーバ1は、選択されたデザインの情報を受信すると、処理をステップS304に移行し、第1記憶部5の所定のアドレスに格納されている企業スローガン及び掲載したい内容の選択項目を読出し、所定のフォーマットでWebブラウザに表示させるためのデータを生成して、要求のあった顧客端末4に送信して表示させる。
【0038】
顧客が、顧客端末4に従って企業スローガン及び掲載したい内容の選択項目から所望の1又は2以上の項目を選択すると、選択された情報がサーバ1に送られる。
選択された情報をサーバ1が受信すると、処理をステップS305に移行し、ステップS304にて選択された掲載したい内容の各項目について文章の入力画面を表示させるデータを生成して、要求のあった顧客端末4に送信して表示させる。
【0039】
顧客端末4のWebブラウザに、掲載したい内容の各項目について文章の入力画面が表示されると、顧客は、表示に応じて各項目に文書を入力してデータをサーバ1に送信する。
【0040】
顧客端末4からデータを受信すると、制御部6は、処理をステップS306に移行し、ステップS303の処理によって選択されたデザイン、選択された企業スローガン及び掲載したい内容に基づいて版下を生成する処理を行なう。
【0041】
すなわち、ステップS303の処理において、顧客が選択したデザインに基づいて、スローガン及び掲載したい内容(ステップS305において顧客端末4より入力された文章)を組み込むことにより、版下が生成されることとなる。
【0042】
ステップS306において、版下の生成処理が完了すると、生成された版下をWebブラウザに表示させるためのデータを生成して、要求のあった顧客端末4に送信して表示させることとなる(ステップS307)。
【0043】
以上の説明において、本実施例では、販促ツールのデザイン及びそのコンテンツの構成を表現する抽象的なキーワードとして、コンセプト用キーワード及びイメージ用キーワードを使用したが、これに限定されない。すなわち、販促ツールの種類に応じて、使用者が適宜、適当と思われる販促ツールのデザイン及びそのコンテンツの構成を表現する抽象的なキーワードを決めればよい。
【0044】
また、本実施例においては、コンセプト用キーワード及びイメージ用キーワードからそれぞれ3つのキーワードを顧客に選択させるようにしているが、これに限定するわけではなく、1又は2以上のキーワードを顧客に選択させるようにしてもよい。
【0045】
以下、図4から図7に、図3に示したデザイン候補の決定処理(ステップS302)において使用するデータベース2の概念及び構成を示し、さらに、図10にデザイン候補の決定処理の詳細を示す。
【0046】
図4は、コンセプト用キーワードの相対的な関係を示すコンセプトスケールの例を示す図である。
同図に示すコンセプトスケールは、第1記憶部5の所定のアドレスに格納される各コンセプト用キーワードの相対関係をxy座標上に示したものであり、横軸の両端には、対極的な概念(又は観念)を想起させると思われるコンセプト用キーワード「人」及び「物」を配し、横軸の両端についても対極的な概念(又は観念)を想起させると思われるコンセプト用キーワード「技術」及び「発想」を配している。
【0047】
また、同図に示す本実施例に係るコンセプトスケールは、サーバ1での処理の実現を容易とするために、横軸及び縦軸の座標を10から−10としている。すなわち、同図における座標(10,0)には「人」を配し、座標(−10,0)には「物」が配されている。同様に、座標(0,10)には「技術」が配され、座標(0,−10)には「発想」が配されている。
【0048】
さらに、上述の「人」、「物」、「技術」及び「発想」以外のコンセプト用キーワードについても、同図の記号AからNに示す領域に配されている。例えば、記号Aが示すコンセプト用キーワード「IT」は、座標(3,0)に配されている。
【0049】
また、本実施例で使用するコンセプト用キーワードは、抽象的な概念(又は、観念)を表すキーワードであるので、所定の領域を有している。例えば、「IT」Aは、領域11を有している。
【0050】
なお、本実施例では記載しないが、領域11内にさらに当該領域11のコンセプト用キーワードに類似すると思われるキーワードを配してもよい。この場合、例えば、後述する式(1)から(3)で表わされるコンセプト領域内に含まれる領域11内にさらに配されたコンセプト用キーワードに類似するキーワードの抽出が可能となり、より詳細な(又は、一定の幅を持ったキーワードの)分類の抽出が可能となる。
【0051】
本発明に使用するデータベース2は、以上に説明したコンセプトスケールに配されたコンセプト用キーワードと、パンフレットのデザインにおけるレイアウト、レイアウトバランス及び掲載する写真とを関連づけることによって構築することができる。
【0052】
以上に示したコンセプトスケールには、1つの領域11に1つのコンセプトスケールのみを配しているが、これに限定されない。例えば、1のコンセプト用キーワードにおける領域11内に、そのコンセプト用キーワードに類似すると思われる類似コンセプト用キーワードを複数配してもよい。
【0053】
また、同図に示したコンセプトスケールにおけるコンセプト用キーワードの配置は、これに限定されるものではなく、コンセプトスケールの設計者が、適当と思われる位置に適宜配置すればよい。
【0054】
図5は、図4に示したコンセプトスケールに基づいてコンセプト用キーワードとデザインとを関連づけた例を示している。
同図に示すコンセプトスケール表12は、コンセプト用キーワードと、図4に示したコンセプトスケール上の座標と、コンセプト用キーワードに対応するパンフレットのレイアウト情報と、コンセプト用キーワードに対応するレイアウトバランス情報と、パンフレットに掲載する写真の画像データ(又は、画像データが格納されているアドレス)とによって構成されている。
【0055】
ここで、同図に示すコンセプトスケール表には、領域名が記載されているが、これは図4に示したコンセプトスケール上に示された記号(AからN)との対応関係を明確にするために示したものであり、本実施例に係るコンセプトスケール表として使用しなくてもよい。
【0056】
図6は、イメージ用キーワードの相対的な関係を示すイメージスケールを示す図である。
同図に示すイメージスケールは、図4に示したコンセプトスケールと同様に、第1記憶部5の所定のアドレスに格納される各イメージ用キーワードの相対関係をxy座標上に示したものであり、横軸の両端には、対極的な概念(又は観念)を想起させると思われるイメージ用キーワード「成熟」及び「若い」を配し、横軸の両端についても対極的な概念(又は観念)を想起させると思われるイメージ用キーワード「カラフル」及び「モノトーン」を配している。
【0057】
また、同図に示す本実施例に係るイメージスケールは、サーバ1での処理の実現を容易とするために、横軸及び縦軸の座標を10から−10としている。すなわち、同図における座標(10,0)には「成熟」を配し、座標(−10,0)には「若い」が配されている。同様に、座標(0,10)には「カラフル」が配され、座標(0,−10)には「モノトーン」が配されている。
【0058】
さらに、上述の「成熟」、「若い」、「カラフル」及び「モノトーン」以外のイメージ用キーワードについても、同図の記号AからNに示す領域に配されている。例えば、記号Aが示すイメージ用キーワード「真面目」は、座標(0,0)に配されている。
【0059】
また、本実施例で使用するイメージ用キーワードは、抽象的な概念(又は、観念)を表すキーワードであるので、所定の領域を有している。例えば、「真面目」Aは、領域13を有している。
【0060】
なお、本実施例では記載しないが、領域13内にさらに当該領域13のイメージ用キーワードに類似すると思われるキーワードを配してもよい。この場合、例えば、後述する式(4)から(6)で表わされるイメージ領域内に含まれる領域13内にさらに配されたイメージ用キーワードに類似するキーワードの抽出が可能となり、より詳細な(又は、一定の幅を持ったキーワードの)分類の抽出が可能となる。
【0061】
本発明に使用するデータベース2は、以上に説明したイメージスケールに配されたイメージ用キーワードと、パンフレットのデザインにおける配色、文字の書体及び背景写真とを関連づけることによって構築することができる。
【0062】
以上に示したイメージスケールには、1つの領域11に1つのイメージスケールのみを配しているが、これに限定されない。例えば、1のイメージ用キーワードにおける領域13内に、そのイメージ用キーワードに類似すると思われる類似イメージ用キーワードを複数配してもよい。
【0063】
また、同図に示したイメージスケールにおけるイメージ用キーワードの配置は、これに限定されるものではなく、イメージスケールの設計者が、適当と思われる位置に適宜配置すればよい。
【0064】
図7は、図6に示したイメージスケールに基づいてイメージ用キーワードとデザインとを関連づけた例を示している。
同図に示すイメージスケール表12は、イメージ用キーワードと、図6に示したイメージスケール上の座標と、イメージ用キーワードに対応するパンフレットの配色に関する情報と、パンフレットに掲載する文字の書体に関する情報と、パンフレットに背景写真の画像データ(又は、画像データが格納されているアドレス)とによって構成されている。
【0065】
ここで、同図に示すイメージスケール表には、領域名が記載されているが、これは図6に示したイメージスケール上に示された記号(AからN)との対応関係を明確にするために示したものであり、本実施例に係るイメージスケール表として使用しなくてもよい。
【0066】
図8は、図5に示したコンセプトスケール表(コンセプト用キーワードが「IT」の場合)、及び図7に示したイメージスケール表に基づいて生成されたパンフレット(パンフレットの表紙)の例を示している。
【0067】
図8に示すパンフレットは、模様領域15及び16と、文字領域17と、写真領域18とから構成されている場合の例を示している。
模様領域15及び16、文字領域17、及び写真領域18の配置は、コンセプトスケール表に示したレイアウト情報によって決定される。また、各領域の大きさ(パンフレットに対する各領域の占有率)は、コンセプトスケール表に示したレイアウトバランス情報によって決定される。
【0068】
また、レイアウト情報によって決められた写真領域に、どのような写真が格納されるかは、コンセプトスケール表に示した写真情報によって決定される。
文字領域17の文字の書体は、イメージスケール表に示した文字の書体情報によって決定され、模様領域15及び16、文字領域17、写真領域18、及び背景色のそれぞれの色彩(カラートーン)については、イメージスケール表に示した配色情報によって決定される。
【0069】
図9は、図3に示したデザイン候補を決定する処理(ステップS302)の詳細な処理を示すフローチャートである。
制御部6は、顧客端末4から送信されたコンセプト用キーワードを受信すると、処理をステップS1001に移行し、コンセプト領域を算出する処理を行なう。例えば、図4に示すように顧客が「品質」、「専門性」、及び「発想」の3つのキーワードを選択した場合には、実線の太字で囲まれた領域内がコンセプト領域となる。
【0070】
また、コンセプト領域は、例えば、横軸をx軸とし縦軸をy軸とした場合に3つの不等式によって表すことが可能であるので、制御部6は、上述の「品質」、「専門性」、及び「発想」の3つのキーワードに対応する座標を第2記憶部に格納されたコンセプトスケール表から読出し、3つの不等式を求めることによって、コンセプト領域を決定することができる。下記に示す式(1)から(3)は、上述の「品質」、「専門性」、及び「発想」の3つのキーワードに対応する座標から求められた不等式であり、この場合のコンセプト領域を表している。
【0071】
5X−9Y+61≧0 ・・・ (1)
14X+5Y+50≧0 ・・・ (2)
19X−4Y−40≦0 ・・・ (3)
ステップS1001の処理によって、コンセプト領域が算出されると、制御部6は処理をステップS1002に移行し、コンセプト領域内に配されたコンセプト用キーワードを抽出する処理を開始する。
【0072】
まず、ステップS1002において、制御部6は、第2記憶部の所定のアドレスに格納されているコンセプトスケール表から座標情報を読出す。
座標情報が読み出されると、ステップS1003において、ステップS1001の処理によって求められた3つの不等式に座標情報を順次代入し、真か偽かを判別する。式(1)から(3)の全てについて真が成り立つ場合には、コンセプト領域内であると判断し、該当する座標情報に対応するコンセプト用キーワードをコンセプトスケール表から読出して第2記憶部の所定の領域に一時記憶し(ステップS1004)、ステップS1005に処理を移行する。
【0073】
また、制御部6は、ステップS1003において、読み出した座標情報が、コンセプト領域内でないと判断した場合にも、ステップS1005に処理を移行する。
ステップS1005において、制御部6は、コンセプトスケール表から全ての座標情報を読み出したかチェックを行ない、まだ全ての座標情報を読み出していない場合には、ステップS1002に処理を移行し、ステップS1002からステップS005の処理が繰り返されることとなる。
【0074】
この時、全ての座標情報を読み出したかを判断するためには、例えば、コンセプトスケール表の最後には、必ず情報の終わりを示すコード(例えば、Null文字等の特殊文字)を格納し、制御部6は、このコードを読み出した場合に、全ての座標情報の読出しが完了したと判断させればよい。
【0075】
以上の処理によって、顧客端末4から送信されたコンセプト用キーワードによって形成されるコンセプト領域内のコンセプト用キーワードが抽出され、制御部6は、ステップS1006に処理を移行する。
【0076】
ステップS1006において、制御部6は、顧客端末4から送信されたイメージ用キーワードに基づいてイメージ領域を算出する処理を行なう。例えば、図6に示すように顧客が「カラフル」、「安価」、及び「軽快」の3つのキーワードを選択した場合には、実線の太字で囲まれた領域がイメージ領域となる。
【0077】
また、イメージ領域は、例えば、ステップS1001と同様に、横軸をx軸とし縦軸をy軸とした場合に3つの不等式によって表すことが可能であるので、制御部6は、上述の「カラフル」、「安価」、及び「軽快」の3つのキーワードに対応する座標を第2記憶部に格納されたイメージスケール表から読出し、3つの不等式を求めることによって、イメージ領域を決定することができる。下記に示す式(4)から(6)は、上述の「カラフル」、「安価」、及び「軽快」の3つのキーワードに対応する座標から求められた不等式であり、この場合のイメージ領域を表している。
【0078】
X− Y+10≧0 ・・・ (4)
4X−3Y+30≦0 ・・・ (5)
3X− Y+20≧0 ・・・ (6)
ステップS1006の処理によって、イメージ領域が算出されると、制御部6は処理をステップS1007に移行し、イメージ領域内に配されたイメージ用キーワードを抽出する処理を開始する。
【0079】
まず、ステップS1007において、制御部6は、第2記憶部の所定のアドレスに格納されているイメージスケール表から座標情報を読出す。
座標情報が読み出されると、ステップS1008において、ステップS1006の処理によって求められた3つの不等式に座標情報を順次代入し、真か偽かを判別する。式(4)から(6)の全てについて真が成り立つ場合には、コンセプト領域内であると判断し、該当する座標情報に対応するイメージ用キーワードをイメージスケール表から読出して第2記憶部の所定の領域に一時記憶し(ステップS1009)、ステップS1010に処理を移行する。
【0080】
また、制御部6は、ステップS1008において、読み出した座標情報が、イメージ領域内でないと判断した場合にも、ステップS1010に処理を移行する。
ステップS1010において、制御部6は、イメージスケール表から全ての座標情報を読み出したかチェックを行ない、まだ全ての座標情報を読み出していない場合には、ステップS1007に処理を移行し、ステップS1007からステップS1010の処理が繰り返されることとなる。
【0081】
この時、全ての座標情報を読み出したか判断するためには、例えば、ステップS1005と同様に、イメージスケール表の最後には、必ず情報の終わりを示すコード(例えば、Null文字等の特殊文字)を格納し、制御部6は、このコードを読み出した場合に、全ての座標情報の読出しが完了したと判断させればよい。
【0082】
以上の処理によって、顧客端末4から送信されたイメージ用キーワードによって形成されるイメージ領域内のイメージ用キーワードが抽出されることとなる。
制御部6は、ステップS1001からステップS1005の処理によって抽出して第2記憶部の所定のアドレスに格納したコンセプト用キーワードを順次読出し、コンセプトスケール表を参照して該当するコンセプト用キーワードに対応する「レイアウト」、「レイアウトバランス」、及び「写真」に基づいて図8に示したようなパンフレットのデザイン画像データを生成する。
【0083】
そして、生成されたデザイン画像データのそれぞれを、ステップS1006からステップS1010の処理によって抽出したイメージ用キーワードに対応する「配色」、「文字の書体」、及び「背景写真」(図7を参照)に基づいて変更したデザイン画像データを生成する。
【0084】
例えば、図4に示すように、顧客がコンセプト用キーワードとして「品質」、「専門性」、及び「発想」の3つのキーワードを選択した場合には、ステップS1001からステップS1005の処理によって、コンセプトスケール表から、「品質」(図4に示す記号F)、「専門性」(図4に示す記号H)、「発想」、「アイデンティティ」(図4に示す記号G)、「実行力」(図4に示す記号K)、及び「経営力」(図4に示す記号L)が抽出され、第2記憶部に格納されることとなる。
【0085】
また、図6に示すように、顧客がイメージ用キーワードとして「カラフル」、「安価」、及び「軽快」の3つのキーワードを選択した場合には、ステップS1006からステップS1010の処理によって、イメージスケール表から、「カラフル」、「安価」(図6に示す記号E)、及び「軽快」(図6に示す記号H)が抽出され、第2記憶部に格納される。
【0086】
そして、制御部6は、コンセプトスケール表を参照し、キーワード「品質」、「専門性」、「発想」、「アイデンティティ」、「実行力」、及び「経営力」に対応する「レイアウト」、「レイアウトバランス」、及び「写真」に基づいてパンフレットのデザイン画像データを生成する。
【0087】
さらに、生成したそれぞれのデザイン画像データを元に、イメージスケール表における「カラフル」、「安価」、及び「軽快」に対応する「配色」、「文字の書体」、及び「背景写真」のデザイン画像データを生成する。従って、この例では、合計18通りのデザイン画像データ(デザイン候補)が生成されることとなる。
【0088】
以上に説明した処理によって、顧客は作成したい販促ツールのコンセプトや、イメージ等の抽象的なキーワードを選択することによって、その具体的なデザインを生成することが可能となり、従来のように、デザインを決めるためのデザイナ等と打ち合わせによる時間、コストを削減することが可能となり、さらに、迅速かつ容易に所望の販促ツールを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例に係る販売促進ツール生成システムの構成の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係るサーバ及びデータベースの構成の概要を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る実施例のサーバによる処理の概要を示すフローチャートである。
【図4】図3に示した本実施例に係るデザイン候補の決定処理において使用するデータベースの概念(コンセプトスケール)を示す図である。
【図5】図4に示したコンセプトスケールに基づいてコンセプト用キーワードとデザインとを関連づけた例を示す図である。
【図6】図3に示した本実施例に係るデザイン候補の決定処理において使用するデータベースの概念(イメージスケール)を示す図である。
【図7】図6に示したイメージスケールに基づいてイメージ用キーワードとデザインとを関連づけた例を示す図である。
【図8】図5に示したコンセプトスケール表、及び図7に示したイメージスケール表によって生成されたパンフレットの例を示している。
【図9】図3に示したデザイン候補を決定する処理の詳細な処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1 ・・・ サーバ
2 ・・・ データベース
3 ・・・ インターネット
4 ・・・ 顧客端末
5 ・・・ 第1記憶部
6 ・・・ 制御部
7 ・・・ 具体化処理部
8 ・・・ 第2記憶部
9 ・・・ 入力制御部
10 ・・・ 出力制御部
11 ・・・ 領域
12 ・・・ コンセプトスケール表
13 ・・・ 領域
14 ・・・ イメージスケール表
15 ・・・ 模様領域
16 ・・・ 模様領域
17 ・・・ 文字領域
18 ・・・ 写真領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽象的な概念を表わす1又は2以上のキーワードを記憶するキーワード記憶手段と、
前記キーワードと該キーワードに対応するデザイン情報とを関連づけて記憶するデザイン情報記憶手段と、
通信可能に接続された顧客端末からの要求に応じて、前記キーワード記憶手段から前記キーワードを取得し、前記顧客端末に表示するための表示データを生成し、前記顧客端末に対して送信する表示データ送信手段と、
該表示データ送信手段によって送信された表示データに基づいて選択され、前記顧客端末から送信される1又は2以上の選択済みキーワードを受信するキーワード受信手段と、
該キーワード受信手段によって受信した選択済みキーワードに基づいて、前記キーワードからキーワード候補を抽出するキーワード候補抽出手段と、
該キーワード候補抽出手段によって抽出されたキーワード候補に対応するデザイン情報を前記デザイン情報記憶手段から取得し、該デザイン情報に基づいて版下を生成する版下生成手段と、
を備えることを特徴とする販売促進ツール生成装置。
【請求項2】
前記デザイン情報記憶手段に格納されている前記キーワードについて、所定の相対関係を定めた相対情報を記憶する相対情報記憶手段を更に備え、
前記キーワード候補抽出手段は、前記相対情報記憶手段から相対情報を取得し、該相対情報に基づいて、前記選択済みキーワードによって定まる範囲を決定し、該決定した範囲内の前記キーワードを抽出することを特徴とする請求項1に記載の販売促進ツール生成装置。
【請求項3】
前記キーワードは、レイアウト、レイアウトバランス、掲載する写真のいずれか1つ以上を備える前記デザイン情報に対応する第1のキーワードと、配色に関する情報、文字の書体に関する情報、背景写真に関する情報のいずれか1つ以上を備えるデザイン情報に対応する第2のキーワードとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の販売促進ツール生成装置。
【請求項4】
通信可能に接続された顧客端末からの要求に応じて、抽象的な概念を表わす1又は2以上のキーワードを記憶するキーワード記憶部から所定の前記キーワードを取得し、
該取得した前記キーワードを前記顧客端末に表示するための表示データを生成して前記顧客端末に対して送信し、
該送信した表示データに基づいて選択され、前記顧客端末から送信される1又は2以上の選択済みキーワードを受信し、
該受信した選択済みキーワードに基づいて、前記キーワードからキーワード候補を抽出し、
該抽出したキーワード候補に対応するデザイン情報を、前記キーワードと該キーワードに対応するデザイン情報とを関連づけて記憶したデザイン情報記憶部から取得し、該取得したデザイン情報に基づいて版下を生成することを特徴とする販売促進ツールの生成方法。
【請求項5】
通信可能に接続された顧客端末からの要求に応じて、抽象的な概念を表わす1又は2以上のキーワードを記憶するキーワード記憶部から所定の前記キーワードを取得するキーワード取得処理と、
該取得した前記キーワードを前記顧客端末に表示するための表示データを生成して前記顧客端末に対して送信する表示データ送信処理と、
該送信した表示データに基づいて選択され、前記顧客端末から送信される1又は2以上の選択済みキーワードを受信するキーワード受信処理と、
該受信した選択済みキーワードに基づいて、前記キーワードからキーワード候補を抽出するキーワード候補抽出処理と、
該抽出したキーワード候補に対応するデザイン情報を、前記キーワードと該キーワードに対応するデザイン情報とを関連づけて記憶したデザイン情報記憶部から取得し、該取得したデザイン情報に基づいて版下を生成する版下生成処理と、
をコンピュータに行なわせることを特徴とする販売促進ツールの生成のためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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