説明

貯湯タンクユニット

【課題】容易に設置可能な貯湯タンクユニットを提供すること、貯湯タンクを容易に増設可能な貯湯タンクユニットを提供すること。
【解決手段】貯湯タンクユニット2は、1又は複数の貯湯タンク6と配管ユニット7とを、貯湯タンク用架台8に一体的に配置固定して構成され、配管ユニット7は、1又は複数の貯湯タンク6の下部に接続する給水配管13と、1又は複数の貯湯タンクの下部と加熱装置とを接続する第1加熱配管11と、加熱装置15,16と1又は複数の貯湯タンク6の上部とを接続する第2加熱配管12と、1又は複数の貯湯タンク6の上部を給湯栓26に接続する給湯配管14とを備え、配管ユニット7は、貯湯タンク用架台8に沿って水平に横切るように設置固定されると共に、配管ユニット7の一端部又は両端部に他の貯湯タンクユニットの配管ユニットと接続可能な継手部11f〜14fが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクユニットに関し、特に1又は複数の貯湯タンクと配管ユニットとを貯湯タンク用架台に一体的に配置固定したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商業施設、ホテルや総合病院等の大・中規模の各種建物に使用される種々の業務用給湯システムが実用に供されている。この種の業務用給湯システムには、多数の給湯箇所から同時にお湯が使用された場合であっても、この給湯負荷に余裕を持って対応する大型の特殊な給湯器が設置されている場合がある。
【0003】
しかし、大型の給湯器を設置した給湯システムでは、給湯器の最低作動水量が大きくなるので、給湯負荷が少ないと、給湯器が作動せずに十分に給湯できない虞がある。従って、最低作動水量が小さい複数の小型の給湯器を連結し、給湯負荷に応じて作動させる給湯器の個数を決定する給湯システムがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の給湯器が併設された連結給湯装置が開示されている。この連結給湯装置においては、複数のケーシングが相互に密接するように連結され、各ケーシング上に給湯器が並設状に夫々設置されている。連結されたケーシングには、外部の給水配管と出湯配管に対してフランジ部を介して夫々接続された共通出湯配管と共通給水配管とが架台を横断するように設けられ、これら共通配管から分岐した給水管と出湯管が各給湯器に接続される。
【0005】
ところで、業務用給湯システムとして、大型の給湯器を使用したシステム、複数の小型の給湯器を使用したシステムについて簡単に説明したが、これら以外にも、給湯器の容量を小さくする代わりに、大容量の貯湯槽を設置して湯水を貯湯する給湯システムもある。しかし、大容量の貯湯槽の設置には困難が伴うために、貯湯槽を小型化して分割した小型の複数の貯湯槽を設けた給湯システムが一般的に採用されている。
【0006】
複数の貯湯槽の接続に関して、例えば、特許文献2には、複数の貯湯槽の大部分が連結管で直列的に接続された直列接続構造体が開示され、熱交換器や電気ヒータで加熱された湯水が、循環ポンプの駆動により複数の貯湯槽を循環される。また、特許文献3には、複数の貯湯槽が並列接続された並列接続構造体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4020718号公報
【特許文献2】特開平6−265212号公報
【特許文献3】特開2006−308276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、大容量の貯湯槽の設置には困難が伴うので、特許文献2,3のように複数の小型の貯湯槽から組み立てる方式があるが、これら複数の貯湯槽を設置する場合、先ずは、各貯湯槽に対応する架台を夫々設置して、次に、各架台毎に貯湯槽を搬入して固定し、各貯湯層に複数の配管を夫々接続しなければならないので、配管接続の為の部材や部品が多くなり、比較的面倒な設置工事となり設置コストが増加してしまう虞がある。
【0009】
また、上記の特許文献2,3の複数の貯湯槽では、直列又は並列接続構造体を概略図で示しているに過ぎず、仮に既存の貯湯槽に新たな貯湯槽を増設して容量を増加させたい場合が生じても、上記の特許文献2,3の構成では、容易に貯湯槽を増設できないという問題がある。
【0010】
さらに、特許文献2の直列接続構造体は、一般的に複雑な構造となるので、簡単に組み立てられずに設置コストがかかるという問題がある。特許文献3の並列接続構造体は、熱源機ユニット側から各貯湯タンクへ流れる湯水の流量の抵抗値がバラつくと、各貯湯タンク内の湯水の温度がバラついてしまう。
【0011】
本発明の目的は、容易に設置可能な貯湯タンクユニットを提供すること、貯湯タンクを容易に増設可能な貯湯タンクユニットを提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の貯湯タンクユニットは、1又は複数の貯湯タンクと配管ユニットとを、貯湯タンク用架台に一体的に配置固定してなる貯湯タンクユニットであって、前記配管ユニットは、前記1又は複数の貯湯タンクの下部に接続する給水配管と、前記1又は複数の貯湯タンクの下部と加熱装置とを接続する第1加熱配管と、前記加熱装置と1又は複数の貯湯タンクの上部とを接続する第2加熱配管と、前記1又は複数の貯湯タンクの上部を給湯栓に接続する給湯配管とを備え、前記配管ユニットは、前記貯湯タンク用架台に沿って水平に横切るように設置固定されると共に、前記配管ユニットの一端部又は両端部に他の貯湯タンクユニットの配管ユニットと接続可能な継手部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項2の貯湯タンクユニットは、請求項1の発明において、複数の貯湯タンクを有し、前記給水配管と前記第1加熱配管と前記第2加熱配管と前記給湯配管とがヘッダー式配管であることを特徴としている。
【0014】
請求項3の貯湯タンクユニットは、請求項1の発明において、前記配管ユニットは、前記1又は複数の貯湯タンクの下側に設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項4の貯湯タンクユニットは、請求項1の発明において、前記配管ユニットは、前記1又は複数の貯湯タンクの背面側に設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、複数の配管をユニット化した配管ユニットを、1又は複数の貯湯タンクが取り付けられた貯湯タンク用架台に沿って水平に横切るように設置固定するので、配管接続の為の部材や部品を低減でき、配管の接続作業を簡略化することができ、貯湯タンクユニットの設置作業を簡略化することができる。従って、貯湯タンクユニットを簡単に設置することができ且つ設置コストを低減できる。
【0017】
また、配管ユニットの一端部又は両端部に他の貯湯タンクユニットの配管ユニットと接続可能な継手部が設けられているので、この継手部を介して貯湯タンクユニットを簡単に増設することができ、最大貯湯能力(最大給湯能力)を容易に増大することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、配管ユニットの各種配管は、ヘッダー式に構成されるので、各貯湯タンクへの湯水の流量の抵抗値を均等にすることができ、各貯湯タンクで貯湯される湯水の温度のバラツキを抑制することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、配管ユニットは、1又は複数の貯湯タンクの下側に設けられているので、1又は複数の貯湯タンクの下側を有効活用して省スペース化を測ることができる。また、1又は複数の貯湯タンクの背面側に新たに貯湯タンクを増設して、最大貯湯能力を容易に増大することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、配管ユニットは、1又は複数の貯湯タンクの背面側に設けられているので、高さの大きな貯湯タンクを設ける場合に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係る貯湯タンクユニットの概略構成図である。
【図2】貯湯タンクユニットの正面図である。
【図3】貯湯タンクユニットの側面図である。
【図4】貯湯タンクユニットの平面図である。
【図5】貯湯タンク用架台の平面図である。
【図6】部分的変更形態にかかる貯湯タンクユニットの概略構成図である。
【図7】部分的変更形態にかかる貯湯タンクユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
本実施例は、各種建物に使用される給湯システム1に本発明の貯湯タンクユニットを適用した場合の例である。
図1に示すように、給湯システム1は、大容量の湯水を貯留可能な貯湯タンクユニット2と、この貯湯タンクユニット2から循環される湯水を加熱可能な熱源機ユニット3と、貯湯タンクユニット2に上水を導入可能な給水系4と、貯湯タンクユニット2から外部に湯水を供給する給湯系5とを備えている。
【0024】
先ずは、貯湯タンクユニット2の概略について簡単に説明する。
図1に示すように、貯湯タンクユニット2は、複数(例えば、3台)の貯湯タンク6と、配管ユニット7とを備えている。各貯湯タンク6は、湯水を貯留可能な上下方向に比較的長いタンクであり、周囲を断熱材で覆ったものである。
【0025】
図1に示すように、配管ユニット7は、複数の貯湯タンク6の下部と第1,第2熱源機15,16とを接続する第1加熱配管11と、第1,第2熱源機15,16と複数の貯湯タンク6の上部とを接続する第2加熱配管12と、複数の貯湯タンク6の下部に接続する給水配管13と、複数の貯湯タンク6の上部を給湯栓26に接続する給湯配管14とを備えている。これら各種配管11〜14は、ヘッダー式配管となっており、各貯湯タンク6は、並列に接続されている。
【0026】
第1加熱配管11からは複数の第1加熱枝管11aが分岐され、これら第1加熱枝管11aは、各貯湯タンク6の下部から延びる第1加熱接続管11bに接続され、第2加熱配管12からは複数の第2加熱枝管12aが分岐され、これら第2加熱枝管12aは、各貯湯タンク6の上部から延びる第2加熱接続管12bに夫々接続されている。
【0027】
給水配管13からは複数の給水枝管13aが分岐され、これら給水枝管13aは、各貯湯タンク6の底部から延びる給水接続管13bに夫々接続され、給湯配管14からは複数の給湯枝管14aが分岐され、これら給湯枝管14aは、各貯湯タンク6の上部から延びる給湯接続管14bに夫々接続されている。
【0028】
次に、熱源機ユニット3について簡単に説明する。
図1に示すように、熱源機ユニット3は、第1熱源機15と、第2熱源機16と、循環加熱通路17と、循環ポンプ18等を備えている。第1,第2熱源機15,16(加熱装置に相当する)は、例えば、ガス給湯器から夫々構成され、内部に循環加熱通路17の一部を構成する加熱通路部を夫々備え、循環加熱通路17内を循環する湯水を加熱可能なものである。
【0029】
循環加熱通路17は、貯湯タンクユニット2の湯水が循環する通路であり、往き通路部17aと、戻り通路部17bとを有する。往き通路部17aの上流側は、貯湯タンクユニット2の第1加熱配管11に接続され、往き通路部17aの下流側は、第1,第2往き分岐通路部17c,17dに分岐されている。第1往き分岐通路部17cは、第1熱源機15の加熱通路部に接続され、第2往き分岐通路部17dは、第2熱源機16の加熱通路部に接続されている。往き通路部17aの途中部に、循環ポンプ18が設けられている。
【0030】
循環加熱通路17において、戻り通路部17bの上流側では、第1熱源機15の加熱通路部に接続された第1戻り分岐通路部17eと、第2熱源機16の加熱通路部に接続された第2戻り分岐通路部17fとが合流されている。戻り通路部17bの下流側は、貯湯タンクユニット2の第2加熱配管12に接続されている。
【0031】
尚、第1,第2熱源機15,16は、2台に限定する必要はなく、1台だけ設けても良いし、2台以上の複数台設けても良い。この場合、循環加熱通路17は、熱源機の設置数に応じて分岐通路部が形成される。また、第1,第2熱源機15,16は、ガス給湯器以外にも、ヒートポンプ式加熱装置、燃料電池発電装置等を採用しても良いし、これら以外にも種々の公知なものを採用可能である。
【0032】
次に、給水系4について説明する。
図1に示すように、給水系4において、給水通路21の下流端が、給水配管13に接続され、この給水通路21を介して上水源から上水を貯湯タンクユニット2の複数の貯湯タンク6に導入可能である。
【0033】
次に、給湯系5について説明する。
図1に示すように、給湯系5において、給湯通路23の上流通路部23aが給湯配管14に接続され、複数の貯湯タンク6内に貯留された高温の湯水(例えば、80〜90℃)を、給湯配管14を介して給湯通路23に供給することができる。給湯通路23は、高温の湯水が流れる上流通路部23a、水と高温の湯水が混合された混合湯水が流れる複数の下流通路部23bを有している。
【0034】
上流通路部23aの下流端が、複数の通路部23cに分岐されて混合弁24に夫々接続され、複数の下流通路部23bの上流端が混合弁24に夫々接続され、上水源に接続された複数の注水通路25が混合弁24に夫々接続されている。各下流通路部23bの下流端には、給湯栓26が夫々接続されている。混合弁24は、出湯温度が指令温度になるように、混合される水と高温の湯水の流量比が制御される。
【0035】
第1熱源機15の内部には、第1,第2熱源機15,16を制御可能な制御部27が設けられ、ユーザーが操作可能な操作リモコン28との間でデータ通信可能であり、ユーザーによる操作リモコン28のスイッチ操作により、目標給湯温度が設定されると、その目標給湯温度データが操作リモコン28から制御部27に送信される。
【0036】
複数の貯湯タンク6のうちの1つの貯湯タンク6には、湯水の温度を検知する湯水温度センサ29が設けられ、湯水の温度に基づく検出信号が第1熱源機15の制御部27に送信される。この湯水温度センサ29で検知される温度検知データと目標給湯温度データとに基づいて、熱源機ユニット3で湯水を加熱する加熱温度を決定する。
【0037】
そして、制御部27から制御信号がポンプ駆動回路18aに送信され、貯湯タンクユニット2から循環ポンプ18を介して、湯水が往き通路部17aを通り、第1,第2熱源機15,16に送られ加熱され、第1,第2熱源機15,16で加熱された湯水は、戻り通路部17bを通り、貯湯タンクユニット2の複数の貯湯タンク6に送られる。
【0038】
ここで、本発明の貯湯タンクユニット2の詳細な構成について説明する。
図2〜図5に示すように、貯湯タンクユニット2は、複数の貯湯タンク6と、配管ユニット7と、貯湯タンク用架台8と、ケーシング部材9とを備えている。貯湯タンクユニット2は、複数の貯湯タンク6と配管ユニット7とケーシング部材9とを貯湯タンク用架台8に一体的に配置固定してなる。
【0039】
次に、貯湯タンク6について説明する。
図2〜図4に示すように、貯湯タンク6は、タンク本体31と、このタンク本体31の周囲を覆う断熱材(図示略)と、タンク本体31の下部から下方に延びる複数の脚部32とを有している。タンク本体31の下側には、配管設置スペース33が設けられている。貯湯タンク6には、例えば、容量200Lのものが採用されるが、特にこの容量に限定する必要はない。複数の貯湯タンク6は、貯湯タンク用架台8を介して互いに連結固定されている。尚、図2の上下左右を上下左右として説明する。
【0040】
各タンク本体31の下部には、循環往き口と給水口とが開口され、循環往き口に第1加熱接続管11bの上端部が接続され、給水口に給水接続管13bの上端部が接続されている。各タンク本体31の上部には、循環戻り口と給湯口とが開口され、循環戻り口に第2加熱接続管12bの上端部が接続され、給湯口に給湯接続管14bの上端部が接続されている。
【0041】
各タンク本体31の上端部には、オートエアベント34が夫々装着されている。複数の貯湯タンク6のタンク本体31のうちの1つのタンク本体31には、オートエアベント34と共に加圧逃し弁35が設けられている(図1参照)。
【0042】
各第1加熱接続管11b、第2加熱接続管12b、給水接続管13b、給湯接続管14bの下端部には、配管ユニット7の各種配管11〜14から分岐する複数の枝管11a〜14aが接続可能な接続部11c〜14cが夫々設けられている。これら接続部11c〜14cは、タンク本体31の下端部近傍部に配置されている。尚、接続管11b〜14bに、開閉弁を夫々設けても良い。
【0043】
次に、貯湯タンク用架台8について説明する。
図2〜図5に示すように、貯湯タンク用架台8(以下、架台8という)は、水平フレーム41と、この水平フレーム41の前側約2/3部分から垂直に延びる垂直フレーム42と、水平フレーム41と垂直フレーム42との間に固定された1対の斜材43とから側面視逆T字形に構成されている。
【0044】
水平フレーム41は、前後方向に延び且つ左右方向に等間隔に配置された4つの型材41aと、これら4つの型材41aと直交する3つの型材41bとから、井桁状に組み合わせて格子状に構成されている。水平フレーム41の前後幅は、貯湯タンク6の前後幅よりも1.5倍程度大きく設定され、水平フレーム41の左右幅は、複数の貯湯タンク6からなる左右幅と同じ程度に設定されている。
【0045】
垂直フレーム42は、上下方向に延び且つ左右方向に等間隔に配置された4つの型材42aと、4つの型材42aと直交する3つの型材42bとから、井桁状に組み合わせて格子状に構成されている。垂直フレーム42の上下幅は、貯湯タンク6の上下幅より僅かに高く設定され、垂直フレーム42の左右幅は、水平フレーム41の左右幅と同じ程度に設定されている。
【0046】
1対の斜材43は、架台8の左右方向の両端部に配置され、水平フレーム41の後端部と垂直フレーム42の中段部下側寄り部分に夫々固定されることで、架台8を補強している。
【0047】
複数の型材41a,41b,42a,42bと1対の斜材43は、薄鋼製又はアルミ製のアングル材で夫々構成され、これら部材間は複数のビスで固定されている。尚、型材41a,41b,42a,42bと1対の斜材43は、貯湯タンク6の設置数に応じて数やサイズを適宜変更可能である。
【0048】
架台8の垂直フレーム42より前側部分には、型材41a,41bとから区画された複数のタンク設置スペース44が形成されている。架台8の垂直フレーム42より後側部分には、同様に区画されたタンク設置スペース44より小さい複数のタンク設置スペース45が形成されている。この架台8に貯湯タンク6を増設する場合は、貯湯タンク6より少ない容量の小型貯湯タンクを、貯湯タンク6と背中合わせとなるようにタンク設置スペース45に設置することで増設可能である。
【0049】
次に、ケーシング部材9について説明する。
図2〜図4に示すように、ケーシング部材9は、貯湯タンク6の周囲に設けられ、タンク本体31の外周面を覆い保護する為のパネル部材(図示略)が取付可能である。ケーシング部材9は、貯湯タンク6の外周側の4隅部に配設され且つ縦方向に延びる4つの縦支持部材46、4つの縦支持部材46の中段部下側寄り部分に固定された横支持部材47、4つの縦支持部材46の上端部に固定された天板48等から構成されている。
【0050】
横支持部材47は、後方に開放状の平面視コ字型に構成されている。ケーシング部材9の横支持部材47より上側部分において、縦支持部材46と横支持部材47には断面コ字型のパネル部材(図示略)が取り付けられる。横支持部材47より下側は、作業者が配管を接続するなどの作業を容易に行えるように開放状態に構成されている。尚、貯湯タンク6の背面側にもパネル部材を設けても良い。
【0051】
天板48は、平面視にて正方形状に構成されている。天板48の中央部には、タンク本体31の上端部に設けられたオートエアベント34が上方に突出している。天板48の後端部には、L字金具49が固定され、このL字金具49を介して垂直フレーム42の上端部に複数のビスで固定されている。貯湯タンク6の上部を天板48を介して固定することで、貯湯タンク6の耐震性を高めると共に捩れ剛性を高めることができる。
【0052】
次に、配管ユニット7について説明する。
図1〜図3に示すように、配管ユニット7は、第1,第2加熱配管11,12と、給水配管13と、給湯配管14とを備えてユニット化されている。配管ユニット7は、複数の貯湯タンク6の下側に、架台8に沿って水平に横切るように設置固定されている。具体的には、配管ユニット7は、上側から下側に向って順に給湯配管14、第2加熱配管12、第1加熱配管11、給水配管13が共通の鉛直面上に配設され、これら各種配管11〜14は、横方向に夫々延び、架台8に並列状に夫々支持されている。
【0053】
各種配管11〜14は、所謂ヘッダー式の構成を夫々有するものであり、各種配管11〜14(配管ユニット7)の両端部に夫々設けられ且つ他の貯湯タンクユニットの配管ユニットと接続可能な1対の継手部11f〜14fとを備えている。各種配管11〜14の長さは、1対の継手部11f〜14fが架台8の左右両端部から僅かに外側に突出する程度の同じ長さに設定されている。各種配管11〜14には、複数の枝管11a〜14aが選択的に接続可能な複数の枝管接続口11e〜14eが横方向に等間隔に夫々設けられている。尚、継手部11f〜14fは、両端部に限定する必要はなく、一端部に設けるだけでも良い。
【0054】
複数の継手部11f〜14fの大部分は、フランジで構成されている。第2加熱配管12の循環加熱通路17側の継手部12fと給水配管13の給水通路21側の継手部13fは、ユニオン継手で構成されている。各種配管11〜14の使用されない継手部11f〜14fや枝管接続口11e〜14eは、各種配管11〜14の内部の流路を塞ぐ為の盲蓋11g〜14g又はプラグで閉鎖されている。尚、全ての継手部11f〜14fをフランジで構成しても良い。
【0055】
各タンク本体31の下側において、配管設置スペース33には、縦方向に延びる支持部材54が貯湯タンク6毎に配設されている。複数の支持部材54は、架台8に夫々取り付けられている。配管ユニット7は、各種配管11〜14が複数の支持部材54に適宜の金具(例えば、U字金具)等により支持されている。
【0056】
第1,第2加熱枝管11a,12aと給水枝管13aと給湯枝管14aは、フレキシブル管で夫々構成されている。複数の枝管11a〜14aの貯湯タンク6側端部には、迅速継手11d〜14d(所謂クイックカップラー)が夫々設けられている。複数の枝管11a〜14aは、迅速継手11d〜14dを介して各接続部11c〜14dに着脱可能に夫々接続される。尚、複数の枝管11a〜14aは、特にフレキシブル管に限定する必要はなく、他の形状の配管を採用しても良い。迅速継手11d〜14dの代わりに、ユニオン継手を採用しても良い。
【0057】
第1加熱配管11の複数の枝管接続口11eのうち、各第1加熱接続管11bの接続部11cに比較的短距離で接続可能な枝管接続口11eに、各第1加熱枝管11aの端部が夫々接続されている。第2加熱配管12と給水配管13と給湯配管14も同様に、各第2加熱接続管12b、給水接続管13b、給湯接続管14bの接続部12d〜14dに比較的短距離で接続可能な枝管接続口12e〜14eに、第2加熱枝管12aと給水枝管13aと給湯枝管14aの端部が夫々接続されている。
【0058】
次に、本発明の貯湯タンクユニット2の作用及び効果について説明する。
商業施設、ホテルや総合病院等の各種建物に使用される給湯システム1の貯湯タンクユニット2を構築するために、所望の貯湯能力に応じて貯湯タンク6の設置数を算出し、この設置数に対応するサイズとなる架台8と配管ユニット7とを準備する。
【0059】
次に、上記の架台8を分解状態で各種建物の屋上等の設置台10に搬入し、架台8を組み立て、複数のボルト等により架台8の水平フレーム41の複数箇所を設置台10に固定する。次に、架台8の配管設置スペース33に配管ユニット7を配置して、架台8に沿って水平に横切るように各種配管11〜14を複数の支持部材54にU字金具により夫々設置固定する。
【0060】
次に、複数の貯湯タンク6を順次搬入し、架台8の複数のタンク設置スペース44に順に設置する。次に、各貯湯タンク6の周囲を囲うようにケーシング部材9を架台8に夫々組み付ける。このとき、ケーシング部材9の天板48の後端部を、L字金具49と複数のビスを介して架台8の垂直フレーム42の上端部に固定する。
【0061】
次に、貯湯タンク6毎に、複数の接続管11b〜14bの接続部11c〜14cと、各種配管11〜14の枝管接続口11e〜14eとを、複数の枝管11a〜14aを介して接続することで、貯湯タンクユニット2を構成する。尚、各種配管11〜14の使用されない継手部11f〜14fや枝管接続口11e〜14eには、配管内部の流路を塞ぐ為の盲蓋11g〜14g又はプラグが設けられる。
【0062】
そして、配管ユニット7の第1加熱配管11の継手部11fに、1階や地階等他の場所に設置された循環加熱通路17の往き通路部17aの上流側端部を接続し、第2加熱配管12の継手部12fに戻り通路部17bの下流側端部を接続し、給水配管13の継手部13fに、給水通路21の下流側端部を接続し、給湯配管14の継手部14fに、給湯通路23の上流側端部を接続することで、給湯システム1を構築する。
【0063】
このように、複数の配管11〜14をユニット化した配管ユニット7を、複数の貯湯タンク6が取り付けられた架台8に沿って水平に横切るように設置固定するので、配管接続の為の部材や部品を低減でき、配管の接続作業を簡略化することができ、貯湯タンクユニット2の設置作業を簡略化することができる。従って、貯湯タンクユニット2を簡単に設置することができ且つ設置コストを低減できる。
【0064】
また、配管ユニット7の両端部に他の貯湯タンクユニット2の配管ユニット7と接続可能な継手部11f〜14fが設けられているので、この継手部11f〜14fを介して貯湯タンクユニット2を簡単に増設することができ、最大貯湯能力(最大給湯能力)を容易に増大することができる。
【0065】
さらに、貯湯タンクユニット2を一体的にユニット化することで、いずれかの貯湯タンク6に不具合が発生した場合でも、正常な貯湯タンク6の貯留状態を維持させたまま、不具合のある貯湯タンク6のみを交換することができ、メンテナンスが容易になる。
【0066】
配管ユニット7の各種配管11〜14は、ヘッダー式に構成されるので、各貯湯タンク6への湯水の流量の抵抗値を均等にすることができ、各貯湯タンク6で貯湯される湯水の温度のバラツキを抑制することができる。
【0067】
配管ユニット7は、複数の貯湯タンク6の下側に設けられているので、複数の貯湯タンク6の下側を有効活用して省スペース化を測ることができる。また、複数の貯湯タンク6の背面側に新たに貯湯タンク6を設けて、最大貯湯能力を容易に増大することができる。
【0068】
次に、前記実施例を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記貯湯タンクユニット2の貯湯タンク6の設置数は、複数(実施例では3つ)に限定する必要はなく、1つ又は2つ又は4つ以上の貯湯タンク6から貯湯タンクユニット2を構成しても良い。この場合、配管ユニット7と貯湯タンク用架台8とケーシング部材9の各サイズは貯湯タンク6に合わせて適宜調整される。
【0069】
[2]図6に示すように、貯湯タンクユニット2Aにおいて、配管ユニット7Aの各種配管11A〜14Aの一方のフランジ状の継手部11Af〜14Afに対して、隣接する他の貯湯タンクユニット2Bの配管ユニット7Bにおける各種配管11B〜14Bの一方のフランジ状の継手部11Bf〜14Bfを当接して直接的に接続しても良い。この構成によると、複数の貯湯タンクユニット2A,2Bを互いに容易に接続可能なので、全体的の貯湯量を容易に増加させることができる。
【0070】
[3]図7に示すように、前記貯湯タンクユニット2,2A,2Bの配管ユニット7,7A,7Bは、1又は複数の貯湯タンク6の下側に設けられた構成に限定する必要はなく、1又は複数の貯湯タンク6の背面側に設けられた構成であっても良い。この構成によれば、貯湯タンクユニット2Cの配管ユニット7Cは、1又は複数の貯湯タンク6Cの背面側に設けられているので、タンク設置スペース44の面積を維持したまま、タンク本体31Cの下部を下方に延長することができ、高さの大きな貯湯タンク6Cを設ける場合に有利である。
【0071】
[4]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0072】
2,2A〜2C 貯湯タンクユニット
6,6C 貯湯タンク
7,7A〜7C 配管ユニット
8 貯湯タンク用架台
11,11A,11B 第1加熱配管
11f,11Af,11Bf 継手部
12,12A,12B 第2加熱配管
12f,12Af,12Bf 継手部
13,13A,13B 給水配管
13f,13Af,13Bf 継手部
14,14A,14B 給湯配管
14f,14Af,14Bf 継手部
15,16 第1,第2熱源機(加熱装置)
26 給湯栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の貯湯タンクと配管ユニットとを、貯湯タンク用架台に一体的に配置固定してなる貯湯タンクユニットであって、
前記配管ユニットは、前記1又は複数の貯湯タンクの下部に接続する給水配管と、前記1又は複数の貯湯タンクの下部と加熱装置とを接続する第1加熱配管と、前記加熱装置と1又は複数の貯湯タンクの上部とを接続する第2加熱配管と、前記1又は複数の貯湯タンクの上部を給湯栓に接続する給湯配管とを備え、
前記配管ユニットは、前記貯湯タンク用架台に沿って水平に横切るように設置固定されると共に、前記配管ユニットの一端部又は両端部に他の貯湯タンクユニットの配管ユニットと接続可能な継手部が設けられていることを特徴とする貯湯タンクユニット。
【請求項2】
複数の貯湯タンクを有し、
前記給水配管と前記第1加熱配管と前記第2加熱配管と前記給湯配管とがヘッダー式配管であること特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。
【請求項3】
前記配管ユニットは、前記1又は複数の貯湯タンクの下側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。
【請求項4】
前記配管ユニットは、前記1又は複数の貯湯タンクの背面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−108734(P2013−108734A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256555(P2011−256555)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】