説明

貯湯式熱交換器

【課題】隙間腐蝕や沸騰音の発生を防止した貯湯式熱交換器を提供する。
【解決手段】温水を貯湯する外缶28と内缶29とからなる温水缶体27と、この温水缶体27の中央の中空部を燃焼室30とするように温水缶体27の底部にバーナ部26を備えたもので、前記温水缶体27の下端でバーナ部26の熱気が当たる部分には、内缶29に連接した内缶リング31を備えると共に、この内缶リング31の下部でバーナ部26へ向かって上部を張り出して段部33を形成した仕切り板34とを備え、更にこの仕切り板34の段部33上下には、バーナ部26からの熱気を遮る第1断熱材35と第2断熱材36とを備え、この第1、第2断熱材35、36のバーナ部26側にはリング状の第3断熱材37を設けたことにより、隙間腐蝕や沸騰音を確実に防止することが出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、温水缶体に貯湯した温水を下部に備えたバーナ部で加熱して、給湯や温水暖房を行う貯湯式熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、温水缶体の下部にバーナ部が臨む燃焼室を形成し、この燃焼室を断熱材で覆うと共に、燃焼室の上端と温水缶体の下端との間にも断熱材を備えて、局部的な異常高温を防止するものであった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−197071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、特に温水缶体の下端には溶接部分があり、この部分が過熱されると隙間腐蝕や沸騰音の発生と言う不具合となるので、火炎の接触や熱伝達で高温となりやすい温水缶体の下端の断熱には、特別な構成や断熱材の配置などの工夫が必要であるが、何もされていないのが実状であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、温水を貯湯する外缶と内缶とからなる温水缶体と、この温水缶体の中央の中空部を燃焼室とするように温水缶体の底部にバーナ部を備えたものに於いて、前記温水缶体の下端でバーナ部の熱気が当たる部分には、内缶に連接した内缶リングを備えると共に、この内缶リングの下部でバーナ部へ向かって上部を張り出して段部を形成した仕切り板とを備え、更にこの仕切り板の段部上下には、バーナ部からの熱気を遮る第1断熱材と第2断熱材とを備え、この第1、第2断熱材のバーナ部側にはリング状の第3断熱材を設けたものである。
【発明の効果】
【0006】
以上のようにこの発明によれば、バーナ部からの熱気が当たる温水缶体の下端には、内缶リングと仕切り板とで挟み込まれて固定された第1断熱材と、仕切り板とバーナカバーとで挟み込まれて固定された第2断熱材と、この第1、第2断熱材の前に備えられた第3断熱材とからなるので、熱気が直接温水缶体下端の溶接部分に当たることで発生していた隙間腐蝕や沸騰音を確実に防止することが出来、更に第1、第2断熱材はそれぞれ仕切り板で固定されているので、強固で温水缶体下端の断熱が良好に行われると共に、熱気をスムーズに上方へ誘導することが出来、常に良好な加熱を得ることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の貯湯式熱交換器に使用される燃焼装置の説明図。
【図2】同燃焼装置を使用した貯湯式熱交換器の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次にこの発明の貯湯式熱交換器に使用される燃焼装置を図1で説明する。
1は有底円筒状の気化筒で、その内部を燃料の気化可能温度まで加熱するシーズヒータ2が埋設されており、気化させた燃料と燃焼用空気とを予め混合して予混合気とするもので、該気化筒1の底部には気化筒1の温度を検知するポットサーミスタ3が設けられ、該ポットサーミスタ3が検知する温度が所定温度に保持されるようにシーズヒータ2の通電制御を行うものである。
【0009】
4はノズルホルダーで、気化筒1内に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気口5と、二次空気を供給するための二次空気用口6が設けられ、前記燃焼用空気口5の内部には燃料を噴出する燃料供給用ノズル7を配設し、その燃焼用空気口5を気化筒1の側壁の下方に形成してある差込口8に差し込んで固定し、前記燃料供給用ノズル7を気化筒1内に臨ませてあるものである。
【0010】
9はバーナ取付台で、板状の取付面の略中央に通気孔10を形成し、その通気孔10の近くに該通気孔10に比べて小径でノズルホルダー3の二次空気用口5と接続する二次空気孔11が形成されている。
【0011】
12は有底円筒状のバーナケースで、気化筒1を内設してその開口部分がバーナ取付台9の通気孔10の下部に位置するようにバーナ取付台9にねじ(図示せず)にて固定し、さらに気化筒1とバーナ取付台9との間にポットパッキン(図示せず)を介在させて密着させて固定するものである。
【0012】
13は有底円筒状のバーナヘッドで、バーナ取付台9の通気孔10の上部に底面側を上にして上面として配設され、その周壁には炎孔14が略等間隔に複数形成されているものである、
15は整流筒で、中央の開口部分が下方に向かって一体絞りされて形成されているものである。
【0013】
16はバーナヘッドリングで、バーナヘッド13の周囲下方よりリング状に炎孔14を覆うように配設したもので、バーナ取付台9にバーナヘッド13と共にねじにて固定され、バーナヘッド13の炎孔14に形成される炎により加熱されることで気化筒1のヒートバックを取るものである。
【0014】
17はバーナカバーで、一端を熱交換器(図示せず)と連通させ、他端にはバーナヘッド13が筒内略中央に位置するようにバーナヘッド13と気化筒1が取り付けられたバーナ取付台9が取り付けられるもので、バーナヘッド13より噴き出す予混合気を点火する点火プラグ18と、炎の状態を検知するフレームロッド19とがバーナカバー17内に臨むように固定されている。
【0015】
20は定油面器で、オイルフィルタ21を通過してきた燃油を一定量貯油するもので、油量ポンプ22により連絡バイブ23を介して燃料供給用ノズル7の先端から気化筒1内に燃油を噴出するものである。
24は送風機で、燃焼用空気口5からノズルホルダー4に、又二次空気用口6からバーナケース12内に空気を供給するものである。
【0016】
次にこの燃焼装置の燃焼動作について説明する。
まず燃焼装置の運転開始の操作をすることにより、シーズヒータ2が通電され気化筒1が予め設定した気化可能温度である所定温度まで昇温する。
【0017】
そして気化筒1が設定温度に達するとこれをポットサーミスタ3が検知し、気化筒1内に燃料供給用ノズル7から燃料を噴射して瞬時に気化させると共に、ノズルホルダー4の燃焼用空気口5から気化筒1内に燃焼用空気が供給されることにより、燃料の気化ガスと燃焼用空気が気化筒1内で予め混合されて予混合気となる。
【0018】
この予混合気が気化筒1内を上昇して、整流筒15からバーナヘッド13内へ流入し、そしてバーナヘッド13側壁に形成した炎孔14より噴き出す。
そして、点火プラグ18により点火動作を行うと、炎孔14より噴き出していた予混合気が着火して、バーナヘッド13側壁から横方向に炎を形成して燃焼するものである。
【0019】
次にこの燃焼装置を貯湯式熱交換器25のバーナ部26として使用した状態を示す図2について説明する。
27は温水を貯湯する外缶28と内缶29とを溶接して形成した温水缶体で、この温水缶体27の中央の中空部を燃焼室30とするように温水缶体27の底部にバーナ部26を取り付けるものである。
【0020】
31は内缶29下端に連接した小段部32を有した内缶リングで、この内缶リング31の下部でバーナ部26へ向かって上部を張り出して段部33を形成した仕切り板34とは、一端を前記小段部32に差し込まれた第1断熱材35を挟み込んで固定するもので、仕切り板34は更に下方のバーナカバー17の上面とでも第2断熱材36を挟み込んで固定しているものであり、更にこの第1、第2断熱材35、36のバーナ部26側には、バーナ部26からの熱気を遮るように第3断熱材37がリング状に立設して備えられている。
【0021】
次にこの貯湯式熱交換器25の作動について説明すれば、上記したようにバーナ部26が燃焼することで、バーナヘッド13の炎孔14から勢い良く火炎が形成され発生した熱気は、下方から温水缶体27を加熱しようとして、該温水缶体27下端の溶接部分に入り込もうとするが、ここには既に内缶リング31と仕切り板34とに挟み込まれて固定した第1断熱材35及び、仕切り板34とバーナカバー17とに挟み込まれて固定した第2断熱材36が備えられているので、熱気は温水缶体27下端の溶接部分に入り込むことはなく、隙間腐蝕や沸騰音を確実に防止することが出来るものである。
【0022】
更に第1、第2断熱材35、36のバーナ部26側には、第3断熱材37がリング状に立設されているので、熱気はこの第3断熱材37に誘導案内されて、温水缶体27の下部から順に効率良く加熱して、瞬時に温水缶体27内の温水を高温に昇温することが出来、この高温水を給湯や風呂或いは暖房に使用するものである。
【符号の説明】
【0023】
26 バーナ部
27 温水缶体
28 外缶
29 内缶
30 燃焼室
31 内缶リング
33 段部
34 仕切り板
35 第1断熱材
36 第2断熱材
37 第3断熱材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する外缶と内缶とからなる温水缶体と、この温水缶体の中央の中空部を燃焼室とするように温水缶体の底部にバーナ部を備えたものに於いて、前記温水缶体の下端でバーナ部の熱気が当たる部分には、内缶に連接した内缶リングを備えると共に、この内缶リングの下部でバーナ部へ向かって上部を張り出して段部を形成した仕切り板とを備え、更にこの仕切り板の段部上下には、バーナ部からの熱気を遮る第1断熱材と第2断熱材とを備え、この第1、第2断熱材のバーナ部側にはリング状の第3断熱材を設けた事を特徴とする貯湯式熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−32882(P2013−32882A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169463(P2011−169463)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】