説明

貯湯式給湯システム

【課題】給湯混合弁の故障時でも、給湯設定温度に近い温度で給湯できる貯湯式給湯システムを提供する。
【解決手段】給湯温度の異常を検知したときに給湯混合弁52における湯と水との混合比率を判定し、判定された混合比率において給湯混合弁52からの給湯温度が給湯設定温度となる貯湯温度Tを算出し、貯湯槽2に貯湯される湯温を算出された貯湯温度Tに調節して、その後に貯湯槽2から出湯される湯と水とを給湯混合弁52で混合された後の給湯温度が給湯設定温度となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の貯湯式給湯システムは、例えば下記の特許文献1〜3に開示されているように、ヒートポンプやガスエンジン等の熱源部によって加熱された高温湯を貯湯槽に貯湯しておき、貯湯槽に貯湯された高温湯自体を出湯するか、或いは、貯湯槽に貯湯された高温湯を熱交換媒体として給水回路からの給水を前記高温湯によって間接加熱して出湯し、貯湯槽から出湯される湯と上水道などに接続された給水回路からの給水とをマイコン制御される給湯混合弁にて混合することによって、混合後の給湯温度が予めユーザーによって設定された給湯設定温度となるように構成されている。
【0003】
この貯湯式給湯システムでは、給湯混合弁の異常によって予期せぬ高温水が給湯されてしまうことを阻止するために、従来より様々な提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、給湯混合弁からの給湯温度の異常を検知する異常検知手段を設けて、該異常検知手段により異常と判断されたときには、貯湯槽内の貯湯温度を給湯設定温度に設定することで、給湯混合弁からの給湯温度を少なくとも給湯設定温度よりも低温となるようにする技術が開示されている(特許文献1の段落番号0020参照)。
【0005】
また、特許文献2には、入水路からの給水が給湯混合弁を迂回するためのバイパス流路と、このバイパス流路を開閉する高温回避弁(バイパス弁)とを設けておき、高温回避弁によりバイパス流路を開放することで、給湯混合弁を介さずに、貯湯槽から出湯される湯と十分な量の給水とを混合させ、給湯混合弁の異常時や停電時においても、高温の湯が給湯されることがないようにした技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、給湯温度の異常を検知したときに熱源部を停止したまま貯湯槽の下部の比較的低温の湯水を貯湯槽の上部へ循環供給することで、貯湯槽の上部に貯湯されている高温湯の温度を低下させるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−90965号公報
【特許文献2】特開2006−125655号公報
【特許文献3】特開2007−240091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1〜3のいずれも、予期せぬ高温水が給湯されてしまうことを阻止し得るものではあるが、給湯混合弁からの給湯温度が、ユーザーによって設定された給湯設定温度となることは保証されず、給湯設定温度よりも低いぬるま湯を給湯させるものであった。すなわち、給湯混合弁の故障の多くは弁体等の摺動部品が固着してしまうことにより生じるが、貯湯槽からの湯の混合比率が最も大きい固着位置でも給湯温度が給湯設定温度以下となるように設定しているため、湯の混合比率が少ない固着位置での故障の場合には、給湯設定温度と実際の給湯温度との差が大きくなってぬるま湯の給湯しかできなくなり、貯湯槽内に高温水が存在するにもかかわらず、シャワー等にも使用できない程度のぬるい湯温の給湯になってしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、給湯混合弁の故障時でも、給湯設定温度に近い温度で給湯できる貯湯式給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0011】
すなわち、本発明は、熱源部と、熱源部で加熱された湯を貯湯する貯湯槽と、該貯湯槽から出湯される湯と水とを混合して給湯する給湯混合弁と、混合後の給湯温度が給湯設定温度となるように前記給湯混合弁を制御する混合弁制御手段と、前記給湯混合弁からの給湯温度の異常を検知する異常検知手段とを備えた貯湯式給湯システムにおいて、前記異常検知手段が給湯温度の異常を検知したときに給湯混合弁における湯と水との混合比率を判定する判定手段と、該判定手段により判定された混合比率において給湯混合弁からの給湯温度が前記給湯設定温度となる貯湯温度を算出する貯湯温度算出手段と、前記貯湯槽に貯湯される湯温を前記貯湯温度算出手段によって算出された貯湯温度に調節する貯湯温度調節手段とを備えることを特徴とするものである(請求項1)。
【0012】
かかる本発明の貯湯式給湯システムによれば、通常時は、熱源部で加熱された高温湯(例えば80℃以上)が貯湯槽に供給され、該高温湯は比重が軽いため貯湯槽の上部側から貯湯されていき、貯湯槽の下部側には比較的低温の湯が貯湯された状態となる。貯湯槽の上部に貯湯された高温湯自体を出湯するか、或いは、貯湯槽に貯湯された高温湯を熱交換媒体として給水回路からの給水を前記高温湯によって間接加熱して出湯し、出湯された湯を混合弁制御手段によって制御される給湯混合弁において給水回路からの水と混合させることによって、ユーザー或いはメーカーによって予め設定された給湯設定温度で給湯混合弁から給湯栓やその他適宜の給湯対象へ給湯される。実際の給湯温度と給湯設定温度との差が所定温度以上離れている状態が所定時間以上継続するなど所定の判定基準に基づき、異常検知手段が給湯混合弁からの給湯温度の異常を検知すると、給湯混合弁が故障して所定の混合比率位置で固着してしまっている可能性が高いため、その異常検知時の給湯混合弁における湯と水との実際の混合比率を判定手段によって判定し、判定された混合比率において給湯混合弁からの給湯温度が給湯設定温度となる貯湯温度を貯湯温度算出手段で算出して、貯湯槽に貯湯される湯温を貯湯温度調節手段により算出された貯湯温度に調節する。これにより、異常検知後は、貯湯槽には、算出された貯湯温度の湯が貯湯されることとなるため、該貯湯槽から出湯される湯が、故障して固着した給湯混合弁で給水回路からの水と混合されると、給湯設定温度に近い温度の給湯がなされるようになる。なお、異常検知手段によって異常を検知したときはアラーム表示等によりユーザーに異常発生を警告して、給湯混合弁の交換や修理を促すことが好ましい。
【0013】
上記判定手段は、給湯混合弁で混合される湯と水のそれぞれの温度及び混合後の給湯湯温に基づいて混合比率を判定する構成とすることが好ましいが、給湯混合弁へ供給される湯と水のそれぞれの流量に基づいて混合比率を判定するように構成することもできる。
【0014】
上記貯湯温度算出手段によって算出される貯湯温度は、給水回路からの給水の温度、給湯設定温度、並びに、判定手段によって判定された混合比率に基づいて算出することができ、配管構成等による熱損失をも考慮して算出することも可能である。また、貯湯槽に貯湯された高温湯を熱交換媒体として給水回路からの給水を前記高温湯によって間接加熱して出湯するシステム構成の場合は、出湯湯温と貯湯温度との関係を試験により求めておき、該試験データに基づいて貯湯湯温を校正することも可能である。
【0015】
上記貯湯温度調節手段は、熱源部の出力を調節することによって熱源部から供給される湯温を貯湯温度算出手段によって算出された貯湯温度に調節するものが好ましく、かかる構成によれば、従来の貯湯式給湯システムの配管構成をそのまま利用し、制御方法を変更するのみで本発明を構成できる。しかし、本発明はかかる構成に限定されるものではなく、例えば、熱源部で加熱された湯に、制御された量の水を混合させることによって、貯湯槽へ貯湯される湯温を調節するように構成することも可能である。
【0016】
上記本発明の貯湯式給湯システムにおいて、給湯混合弁からの給湯に水を供給混合するための流路を開閉する高温回避弁と、前記異常検知手段が異常を検知したときに前記高温回避弁を開成制御するとともに前記貯湯温度算出手段によって算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後に前記高温回避弁を閉成制御する高温回避弁制御手段とをさらに備えることができる(請求項2)。この高温回避弁の基本的構成は上記特許文献2にも記載されているものであるが、本発明の特徴は、高温回避弁制御手段によって、貯湯温度算出手段によって算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後に前記高温回避弁を閉成制御する点にある。かかる特徴により、異常検知後貯湯槽から出湯される湯の温度がまだ高温であるうちは高温回避弁を開成しておくことにより高温湯が給湯されてしまうことを確実に阻止しつつも、貯湯槽内の上部の高温湯がある程度出湯されるか或いは給水回路からの給水との熱交換により温度低下して、算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後に高温回避弁を閉成することによって、算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後は自動的に給湯設定温度での給湯が行われるようになる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る貯湯式給湯システムによれば、実際の給湯温度と給湯設定温度との差が所定温度以上離れている状態が所定時間以上継続するなど所定の判定基準に基づき、異常検知手段が給湯混合弁からの給湯温度の異常を検知すると、その異常検知時の給湯混合弁における湯と水との実際の混合比率を判定手段によって判定し、判定された混合比率において給湯混合弁からの給湯温度が給湯設定温度となる貯湯温度を貯湯温度設定手段で算出して、貯湯槽に貯湯される湯温を貯湯温度調節手段により算出された貯湯温度に調節することが可能となり、これにより、異常検知後は、貯湯槽には、算出された貯湯温度の湯が貯湯されることとなるため、該貯湯槽から出湯される湯が、故障して固着した給湯混合弁で給水回路からの水と混合されることにより、給湯設定温度に近い温度の給湯を行うことができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に係る貯湯式給湯システムによれば、異常検知後貯湯槽から出湯される湯の温度がまだ高温であるうちは高温回避弁を開成しておくことにより高温湯が給湯されてしまうことを確実に阻止しつつも、貯湯槽内の上部の高温湯がある程度出湯されるか或いは給水回路からの給水との熱交換により温度低下して、算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後に高温回避弁を閉成することによって、算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後は自動的に給湯設定温度での給湯を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る貯湯式給湯システムの全体概略構成図である。
【図2】同貯湯式給湯システムの給湯温度の異常検知時の制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯システムを模式的に示し、該貯湯式給湯システムは、ヒートポンプやガスエンジンなどにより構成される外部熱源1(熱源部)と、該外部熱源1によって加熱された湯を貯湯する貯湯槽2と、貯湯槽2内の湯水を底部から取り出して頂部に戻す間に外部熱源1によって加熱するための蓄熱循環回路3と、外部から水道水等を給水する給水回路4と、貯湯槽2から供給される湯を用いて給湯栓(図示せず)に給湯する給湯回路5と、貯湯槽2から供給される湯を追い焚き熱源とする風呂追い焚き回路6と、給湯回路5から分岐して浴槽に給湯するための風呂落とし込み給湯回路7と、貯湯式給湯システムの作動制御を行うマイコン等からなるコントローラ(図示せず)とを備えている。
【0022】
外部熱源1は、コントローラによって貯湯槽2への出湯温度を調節制御できるように構成されている。この外部熱源1には、貯湯槽2の底部からの入水温度を検出する入水温度センサ(図示せず)と、貯湯槽2の頂部への出水温度を検出する出水温度センサ(図示せず)とが設けられている。
【0023】
貯湯槽2は密閉式に構成され、その側部には少なくとも頂部位置を含む高さ方向の複数箇所に配設された複数の温度センサ21からなる残湯水量センサが設けられ、各高さ位置における貯湯の湯温を検出できるように構成されており、これにより、貯湯槽2内の上部側から貯湯される高温湯の湯量を検出できるようになっている。
【0024】
蓄熱循環回路3は、この貯湯槽2の底部から貯湯槽2内部の比較的低温の湯水を取り出し、外部熱源1を通過して貯湯槽2の頂部に戻すように配設されている。貯湯槽2の底部と外部熱源1との間の蓄熱循環回路3には循環ポンプ31が介装されている。なお、外部熱源1の作動開始直後は外部熱源1から比較的低温の湯が供給されるが、かかる低温湯を貯湯槽2の頂部に供給すると貯湯槽2の上部側の高温湯が温度低下してしまうため、外部熱源1からの湯温が所定温度以上となるまでは蓄熱循環回路3の下流側に三方切換弁32を介して接続したバイパス路33を通って貯湯槽2の底部に外部熱源1からの湯を供給するように構成している。
【0025】
給水回路4は、その上流端が外部の水道管等に接続され、主給水路41と混水用給水路42とに分岐されている。主給水路41は、下流端が貯湯槽2の底部に接続されており、貯湯槽2内の湯が頂部から出湯されるに伴って貯湯槽2の底部に対し水道水が給水されるように構成されている。混水用給水路42は、給湯回路5の後述の給湯混合弁52に対し給水可能に接続されている。なお、主給水路41と混水用給水路42との分岐部よりも上流側で給水回路4には減圧弁43、逆止弁44及び給水回路4により給水される水の温度を検出する給水温度センサ45が設けられている。
【0026】
給湯回路5は、上流端が貯湯槽2の頂部に接続されて下流端側が給湯栓まで延びるように接続された給湯路51と、この給湯路51の中途部に設けられた給湯混合弁52と、給湯混合弁52の下流側位置に配設された給湯水量センサ53、給湯温度センサ54及び給湯水量調整弁55と、給湯混合弁52の上流側位置に配設されて貯湯槽2から出湯された直後の湯温を検出する出湯温度センサ58とを備えている。給湯混合弁52は、給湯路51の上流側から供給される湯と、混水用給水路42から供給される給水とを制御された混合比率で混合(混水)させることにより、ユーザーによってリモコン等によって設定された給湯設定温度に温調した上で、給湯栓に給湯するものである。上記の給湯温度センサ54は、温調後に最終的に給湯される湯の温度を検出してコントローラに出力するようになっており、この給湯温度センサ54からの出力に基づいて給湯混合弁52がコントローラによりフィードバック制御されるようになっている。
【0027】
また、混水用給水路42と、給湯混合弁52の下流側の給湯路51とを接続するバイパス流路56と、該バイパス流路56を開閉する電磁開閉弁からなる高温回避弁57とが設けられており、該高温回避弁57が開かれることによって給湯混合弁52からの給湯に高温出湯回避に十分な量の水を供給混合することができるようになっている。該高温回避弁57もコントローラによって制御されるようになっており、該コントローラが高温回避弁制御手段として機能する。なお、高温回避弁57は、通電により閉成制御され、非通電時に開成制御されるように構成されており、これにより停電時に自動的に開成されることで、停電時に高温の湯が給湯栓に給湯されることを防止している。
【0028】
風呂追い焚き回路6は、追い焚きポンプ61を作動させることにより浴槽(図示せず)内の湯水を追い焚き循環路62を通して熱交換器63との間で循環させ、この熱交換器63での液−液熱交換により追い焚き加熱するようになっている。熱交換器63の熱源側には、給湯混合弁52の上流側で給湯路51から分岐した熱源供給路64を通して貯湯槽2の頂部から出湯される高温湯が風呂追い焚き加熱用熱源として追い焚き熱源用ポンプ66によって供給され、液−液熱交換により温度低下した湯が逆止弁65を経て貯湯槽2の底部に循環供給するようになっている。なお、追い焚き循環路62には、水位センサ62a、水流スイッチ62b、風呂戻り温度センサ62c及び追い焚き温度センサ62dが設けられている。
【0029】
風呂落とし込み給湯回路7は、上記した給湯混合弁52の下流側の給湯路51と追い焚き循環路62とを接続して給湯混合弁52からの給湯を追い焚き循環路62に注湯する落とし込み給湯路71と、水量センサ72と、注湯電磁弁73と、落とし込み温度センサ74と、水量調整弁75とを備えている。
【0030】
以上の各回路3〜7の運転作動は、リモコンからの入力設定信号や操作信号の出力や、種々の温度センサや水量センサ等からの検出信号の出力を受けて、コントローラにより作動制御されるようになっている。以下、本発明の特徴的な制御について詳細に説明する。
【0031】
本実施形態に係る貯湯式給湯システムでは、本願出願人が上記の特許文献1にも開示した技術と同様に、リモコンで設定された給湯設定温度と、給湯温度センサ54による検出温度とに基づいて、これらの温度の差が例えば10℃以上である状態が所定時間継続したことを条件にコントローラが給湯温度の異常として検知するように構成されており、かかるコントローラによって給湯混合弁52からの給湯温度の異常を検知する異常検知手段(湯水混合異常検出手段)が構成されている。なお、この異常検知手段は、後述の判定手段によって判定される混合比率が、所定温度以上の高温出湯が予想される比率である場合に異常と検知するように構成しても良い。
【0032】
当該異常検知手段によって給湯温度の異常が検知されると、コントローラは、通常の高温湯(例えば80℃以上)の貯湯制御を中断し、図2に示す異常検出時制御による中温湯(例えば60℃程度)の貯湯制御を開始する。この異常検出時制御が開始されると、まず、出湯温度センサ58、給水温度センサ45及び給湯温度センサ54の各検出値に基づいて、給湯混合弁52における湯と水との混合比率を算出判定する(ステップS1)。かかる判定を行うコントローラによって、異常検知手段が出湯温度の異常を検知したときに給湯混合弁52における湯と水との混合比率を判定する判定手段が構成されている。
【0033】
次に、コントローラは、算出された混合比率と、給水温度センサ45の検出値と、給湯設定温度とに基づき、上記混合比率で給水路42からの給水と混合したときに給湯設定温度となるような湯の温度を算出する(ステップS2)。かかる算出を行うコントローラによって、上記判定手段により判定された混合比率において給湯混合弁52からの給湯温度が給湯設定温度(例えば42℃)となる貯湯温度T(例えば60℃程度)を算出する貯湯温度算出手段が構成されている。
【0034】
次に、貯湯槽2の上部の高温湯が消費されるまでの間に比較的高温の給湯がなされてしまうことを回避するために、コントローラは高温回避弁57を開成制御して(ステップS3)、十分な量の給水を給湯路51に供給し、給湯温度を比較的低温に維持する。なお、高温回避弁57は、高温出湯異常が検知されたときに直ちに開成制御されるものであればよく、上記ステップS3の処理をステップS1の処理の前に実行してもよい。
【0035】
この状態で貯湯槽2の上部に貯湯されている高温湯の湯量が一定以下に減るまで、例えば、残湯水量センサを構成する最も上側の温度センサ21をも高温を検出しなくなるまでは、外部熱源1による貯湯運転を行わず、高温回避弁57の開成状態を維持するのでこのとき給湯栓を開いても低温のぬるま湯が給湯される。
【0036】
貯湯槽2内の高温湯の湯量が一定以下に減ったことを残湯水量センサにより検知すると(ステップS4)、コントローラは、ステップS2で算出した貯湯温度Tによる外部熱源1の運転を開始する(ステップS5)。より具体的には、外部熱源1からの出湯温度が貯湯温度Tとなるようにコントローラが外部熱源1の出力を制御し、これにより、貯湯温度Tの中温湯が外部熱源1から貯湯槽2の頂部に供給され、貯湯槽2内に貯湯されていく。このとき、貯湯槽2の上部にわずかに高温湯が残存していても、中温湯と混合することによって高温湯は拡散されることとなる。かかる外部熱源1の出力制御を行うコントローラによって、外部熱源1から貯湯槽2に貯湯される湯温を貯湯温度Tに調節する貯湯温度調節手段が構成されている。
【0037】
次に、貯湯温度Tの中温湯が予め設定された湯量だけ貯湯槽2の上部に貯湯されると(ステップS6)、コントローラは高温回避弁57を閉成制御するとともに(ステップS7)、外部熱源1の運転を一旦停止し(ステップS8)、これにより異常検出時制御が終了する。なお、高温回避弁57は、貯湯槽2内に高温湯が残存し、高温出湯の虞がある間は開成状態に維持されるとともに、貯湯槽2内の高温湯が消費され、高温出湯の虞が無くなった以降はいつでも閉じて良いので、上記ステップS7の処理をステップ4の処理の直後に実行しても良い。
【0038】
その後は、給湯混合弁52の修理・交換がなされる迄は、中温湯の貯湯運転制御を続行し、貯湯槽2内の中温湯の残量が少なくなれば外部熱源1を運転して中温湯を貯湯するようにする。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。例えば、上記実施形態では、貯湯槽2に貯湯された高温湯乃至中温湯自体を貯湯槽2の頂部から出湯するものを例示したが、貯湯槽2に貯湯された湯を熱交換媒体として給水路から供給される給水を貯湯槽2内の熱交換配管に流通させて加熱し、この加熱された湯を出湯する貯湯式給湯システムに適用することも可能である。また、外部熱源1としては、出湯温度を可変できるものであればどのようなものであってもよい。また、外部熱源1として出湯温度を可変できないものを採用する場合でも、外部熱源1と貯湯槽2との間の循環路に制御された量の給水を混合することによって算出された貯湯温度Tでの貯湯を行うように構成しても良い。また、熱源1として、貯湯槽2に付設された内蔵式の熱源を用いても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 熱源部
2 貯湯槽
52 給湯混合弁
57 高温回避弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源部と、熱源部で加熱された湯を貯湯する貯湯槽と、該貯湯槽から出湯される湯と水とを混合して給湯する給湯混合弁と、混合後の給湯温度が給湯設定温度となるように前記給湯混合弁を制御する混合弁制御手段と、前記給湯混合弁からの給湯温度の異常を検知する異常検知手段とを備えた貯湯式給湯システムにおいて、
前記異常検知手段が給湯温度の異常を検知したときに給湯混合弁における湯と水との混合比率を判定する判定手段と、該判定手段により判定された混合比率において給湯混合弁からの給湯温度が前記給湯設定温度となる貯湯温度を算出する貯湯温度算出手段と、前記貯湯槽に貯湯される湯温を前記貯湯温度算出手段によって算出された貯湯温度に調節する貯湯温度調節手段とを備えることを特徴とする貯湯式給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の貯湯式給湯システムにおいて、給湯混合弁からの給湯に水を供給混合するための流路を開閉する高温回避弁と、前記異常検知手段が異常を検知したときに前記高温回避弁を開成制御するとともに前記貯湯温度算出手段によって算出された貯湯温度での貯湯槽への貯湯がなされた後に前記高温回避弁を閉成制御する高温回避弁制御手段とをさらに備えることを特徴とする貯湯式給湯システム。

【図1】
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【図2】
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