説明

貯湯式給湯装置

【課題】蛇口を設けても使い勝手や美観を大きく損なうことがなく、容易に設置可能な貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】
給湯接続口部13から分岐され段差凹み部11にて前方に突出して設けられた給湯蛇口20と、給湯蛇口20に対応した位置の上端から切り欠いて設けられた切り欠き部21を有し、段差凹み部11を覆う前カバー16と、切り欠き部21の給湯蛇口20よりも上部を閉塞する補助板23とを具備し、補助板23の一端側に前カバー16の切り欠き部21近傍に設けられた係止部26と係合する係合部28を設けると共に、補助板23の他端側にフレーム部14と前パネル10の間に挟み込んで固定する固定部27を設け、給湯蛇口20の付け根部分を前カバー16および補助板23にてに隠蔽した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯装置においては、特許文献1に示すように、器具外装体内に断熱材で包まれた貯湯タンクを配置し、器具全面下方には段差凹み部が設けられ、段差凹み部の天面から給水管接続口部と給湯管接続口部が露出し、それをカバーによって隠しているものである。
【0003】
そして、給水管接続口部や給湯管接続口部には小径の水抜き栓が設けられていることが一般的であり、貯湯式給湯装置の周囲に水道蛇口が設けられていない場合に、水抜き栓を開放することで給水または給湯を行うことも可能なものであった。
【0004】
また、特許文献2のように、ガス給湯機などにおいては、給湯管途中から分岐して水道蛇口を設け、屋外で給水または給湯を行えるようにしたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−144438号公報
【特許文献2】特開平07−158976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、水抜き栓は一般に小径であるため、一般的な水道蛇口として用いるのには十分な流量を得ることができないもので、特許文献2のように、給水管接続口部および給湯管接続口部の水抜き栓の代わりに水道蛇口を設ければ十分な流量を得ることができる。
【0007】
しかし、貯湯式給湯装置の段差凹み部付近に水道蛇口を設けると、配管接続部分付近のカバーをすることができなくなるため、美観を大きく損ねてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、蛇口を設けても使い勝手や美観を大きく損なうことがなく、容易に設置可能な貯湯式給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンクからの湯を給湯する給湯管と、前記貯湯タンクを収容し、前面下部に設けられた段差凹み部を有した形状で、少なくとも前パネルを着脱可能に構成された外装体と、前記段差凹み部の天部に設けられたフレーム部と、前記フレーム部下面に露出し前記給水管と外部配管とを接続する給水接続口部と、前記フレーム部下面に露出し前記給湯管と外部配管とを接続する給湯接続口部とを備えた貯湯式給湯装置において、前記貯湯式給湯装置は、前記給湯接続口部から分岐され前記段差凹み部にて前方に突出して設けられた給湯蛇口と、前記給湯蛇口に対応した位置の上端から切り欠いて設けられた切り欠き部を有し、前記段差凹み部を覆う前カバーと、前記前カバーの切り欠き部の前記給湯蛇口よりも上部を閉塞する補助板とを具備し、前記補助板の一端側に前記前カバーの切り欠き部近傍に設けられた係止部と係合する係合部を設けると共に、前記補助板の他端側に前記フレーム部と前記前パネルの間に挟み込んで固定する固定部を設け、前記給湯蛇口の付け根部分を前記前カバーおよび前記補助板にてに隠蔽した。
【0010】
また、前記給水接続口部から分岐され前記段差凹み部にて前方に突出して設けられた給水蛇口を備え、前記前カバーは、前記給湯蛇口と前記給水蛇口に対応した位置の上端から切り欠いて設けられた切り欠き部を有し、前記補助板は、前記前カバーの切り欠き部の前記給湯蛇口および前記給水蛇口よりも上部を閉塞する構成とし、前記補助板は、前記前カバーの切り欠き部近傍に設けられた係止部と係合する係合部と、前記補助板の他端側に前記フレーム部と前記前パネルの間に挟み込んで固定する固定部とが設けられ、前記給湯蛇口および前記給水蛇口の付け根部分を前記前カバーおよび前記補助板にて隠蔽した。
【0011】
また、前記切り欠き部は前記給湯蛇口に対応する部位と前記給水蛇口に対応する部位の間に前記カバーが上側に延出された岬状部を設け、前記補助板は前記給湯蛇口に対応する部位と前記給水蛇口に対応する部位を下端から切り欠いて設けられた切り込み部を設けると共に、前記給湯蛇口に対応する部位と前記給水蛇口に対応する部位との間に補助板が下側に延出された延出部を設け、前記岬状部に前記係止部を設けると共に、前記延出部に前記係合部を設けた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、給湯蛇口あるいは給水蛇口を露出させて設けて使い勝手を確保でき、蛇口を露出させたまま配管接続部分のカバーを簡単に取り付けることができると共に、蛇口の付け根付近をきれいに隠蔽することができるため美観を大きく損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置の外観斜視図
【図2】同一実施形態の断面図
【図3】同一実施形態の前カバーおよび補助板を外した状態を説明する斜視図
【図4】同一実施形態の組み付け状態を説明するための図
【図5】同一実施形態のA−A断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置について図面に基づいて説明する。
1は熱源(図示せず)で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1の外周を覆う断熱材、3は貯湯タンク1下部に給水する給水管、4は貯湯タンク1上部から給湯する給湯管、5は貯湯タンク1を支える支持脚、6は天板7、側板8、底板9、前パネル10、段差凹み部11より構成され貯湯タンク1を収容する外装体である。
【0015】
前記段差凹み部11の天面には、給水管3を外部配管と接続するための給水接続口部12と、給湯管4を外部配管と接続するための給湯接続口部13とが固定されたフレーム部14が設けられている。
【0016】
15は側板8の下端から支持脚5および段差凹み部11の側面を覆う側面カバー、16は段差凹み部11の正面を覆う前カバーで、側面カバー15の前端部には、前カバー16の両側部のツメ17を引っ掛ける穴部18が設けられているものである。
【0017】
19は前カバー16から露出するように設けられた給水蛇口、20は前カバー16から露出するように設けられた給湯蛇口で、給水蛇口19は給水接続口部12から分岐して設けられ、給湯蛇口20は給湯接続口部13から分岐して設けられている。
【0018】
21は、前カバー16の給水蛇口19および給湯蛇口20に対応した位置の上端から切り欠いて、給水蛇口19に対応する位置と給湯蛇口20に対応した位置の間に前カバー16が上側に延出された岬状部22を有した切り欠き部である。この切り欠き部21は、給水蛇口19および給湯蛇口20に対応する部位がそれぞれU字状に形成されているものである。
【0019】
23は給水蛇口19および給湯蛇口20よりも上部の切り欠き部21の開口を閉塞する補助板で、24は、補助板23の下端から給水蛇口19および給湯蛇口20に対応した位置を切り欠いて設けられ、給水蛇口19および給湯蛇口20に対応する部位との間に補助板23の下側に延出された延出部25を有した切り込み部である。この切り込み部24は、給水蛇口19および給湯蛇口20に対応する部位がそれぞれ半円状に形成されているものである。
【0020】
前カバー16の岬状部22の先端には、補助板23と係合するための係止部26としてのネジ穴が設けられ、補助板23の上端の一側には、フレーム部14と前パネル10との間に挟み込んで固定する固定部27としてのネジ穴が設けられ、補助板23の延出部25の先端には、前カバー16の岬状部22先端の係止部26と係合する係合部28としてのネジ穴が設けられている。
【0021】
そして、補助板23の延出部25の係合部28と前カバー16の岬状部22の係止部26とをネジ穴位置を合わせ、また、フレーム部14のネジ穴と前パネル10のネジ穴位置に合わせて補助板23の固定部27のネジ穴位置を合わせ、化粧ネジ29、30によってそれぞれ係合・固定されるものである。
【0022】
この貯湯式給湯装置の設置時において、設置作業者は前カバー16の切り欠き部21の岬状部22が給水蛇口19と給湯蛇口20の間に位置するように斜め下方向から前カバー16の上端が前パネル10とフレーム部14との間に差し込むと同時に、前カバー16の左右両端のツメ17を側面カバー15の前縁の穴部18に引っ掛け、仮固定する。
【0023】
そして、補助板23の切り込み部24の延出部25が給水蛇口19と給湯蛇口20の間に位置させて補助板23の下端を給水蛇口19および給湯蛇口20の前端側に位置させ、補助板23の上端を前パネル10と前カバー16との間に斜め下方向から差し込み、補助板23の延出部25の係合部28のネジ穴と、前カバー16の岬状部22の係止部26のネジ穴位置を重ね、化粧ネジ29をねじ込んで固定する。
【0024】
次に、前パネル10のネジ穴、補助板23の固定部27のネジ穴、フレーム部14のネジ穴位置を重ね、化粧ネジ30でねじ込んで、前パネル10と補助板23とをフレーム部14に共締め固定している。さらに、前パネル10の下端と、前カバー16の上端とを重ね合わせてフレーム部14に共締めして固定し、前パネル10、前カバー16、補助板23とを容易かつ強固に取り付け固定することができる。
【0025】
このようにして、貯湯式給湯装置に給水蛇口19および給湯蛇口20を内蔵させて設けても、給水蛇口19および給湯蛇口20のハンドルやホース接続部が装置外に露出して蛇口の使い勝手を確保できると共に、前カバー16および補助板23は簡単に取り付け固定することができ、給水蛇口19および給湯蛇口20の付け根部分は前カバー16および補助板23によって隠すことができ、しかも、給水蛇口19および給湯蛇口20の付け根部分の開口を小さくすることが可能で、蛇口付近の美観を保つことができて、貯湯式給湯装置の外観を損ねることがない。
【0026】
さらに、貯湯式給湯装置に給水蛇口19または給湯蛇口20を内蔵させたことで、屋外で気軽に水または湯を使うことができるようになると共に、従来必要であった屋外用の水栓柱といった給水設備をなくすことができるものである。
【0027】
また、水抜き栓あるいはエア抜き栓を設けなくとも給湯蛇口20を水抜き栓あるいはエア抜き栓として利用可能で、蛇口のハンドルによって開栓、閉栓操作が容易で、かつ、開口が大きいため、貯湯タンク1または配管の排水または貯湯タンク1の水張りが迅速に行える利点も有する。
【0028】
なお、上記実施形態では給水蛇口19と給湯蛇口20を両方内蔵した構成を説明したが、給湯蛇口20のみを内蔵し、給水蛇口19を設けない構成としても良い。その場合、前カバー16の切り欠き部21および補助板23の切り込み部24の形状は単なるU字状とするようにし、補助板23の係止部26および固定部27は補助板23の切り込み部24を挟んだ両端に設け、前カバー16の係合部28は補助板23の係止部26に対応する位置の切り欠き部21の一側に設けるようにしても良いものである。
【0029】
また、補助板23の係止部26および前カバー16の係合部28は、ネジ固定以外の形態でも良いもので、例えば前カバー16に係合部28としての差し込み部を開設し、補助板23に係止部26としての爪部を設け、差し込み部に爪部を差し込んで係合・固定するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 貯湯タンク
3 給水管
4 給湯管
6 外装体
10 前パネル
11 段差凹み部
12 給水接続口部
13 給湯接続口部
14 フレーム部
16 前カバー
19 給水蛇口
20 給湯蛇口
21 切り欠き部
22 岬状部
23 補助板
24 切り込み部
25 延出部
26 係合部
27 固定部
28 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンクからの湯を給湯する給湯管と、前記貯湯タンクを収容し、前面下部に設けられた段差凹み部を有した形状で、少なくとも前パネルを着脱可能に構成された外装体と、前記段差凹み部の天部に設けられたフレーム部と、前記フレーム部下面に露出し前記給水管と外部配管とを接続する給水接続口部と、前記フレーム部下面に露出し前記給湯管と外部配管とを接続する給湯接続口部とを備えた貯湯式給湯装置において、
前記貯湯式給湯装置は、前記給湯接続口部から分岐され前記段差凹み部にて前方に突出して設けられた給湯蛇口と、前記給湯蛇口に対応した位置の上端から切り欠いて設けられた切り欠き部を有し、前記段差凹み部を覆う前カバーと、前記前カバーの切り欠き部の前記給湯蛇口よりも上部を閉塞する補助板とを具備し、
前記補助板の一端側に前記前カバーの切り欠き部近傍に設けられた係止部と係合する係合部を設けると共に、前記補助板の他端側に前記フレーム部と前記前パネルの間に挟み込んで固定する固定部を設け、前記給湯蛇口の付け根部分を前記前カバーおよび前記補助板にてに隠蔽したことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記給水接続口部から分岐され前記段差凹み部にて前方に突出して設けられた給水蛇口を備え、
前記前カバーは、前記給湯蛇口と前記給水蛇口に対応した位置の上端から切り欠いて設けられた切り欠き部を有し、
前記補助板は、前記前カバーの切り欠き部の前記給湯蛇口および前記給水蛇口よりも上部を閉塞する構成とし、前記補助板は、前記前カバーの切り欠き部近傍に設けられた係止部と係合する係合部と、前記補助板の他端側に前記フレーム部と前記前パネルの間に挟み込んで固定する固定部とが設けられ、
前記給湯蛇口および前記給水蛇口の付け根部分を前記前カバーおよび前記補助板にて隠蔽したことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記切り欠き部は前記給湯蛇口に対応する部位と前記給水蛇口に対応する部位の間に前記カバーが上側に延出された岬状部を設け、
前記補助板は前記給湯蛇口に対応する部位と前記給水蛇口に対応する部位を下端から切り欠いて設けられた切り込み部を設けると共に、前記給湯蛇口に対応する部位と前記給水蛇口に対応する部位との間に補助板が下側に延出された延出部を設け、
前記岬状部に前記係止部を設けると共に、前記延出部に前記係合部を設けたことを特徴とする請求項2記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−132620(P2012−132620A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285269(P2010−285269)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】