説明

貯湯式給湯装置

【課題】水漏れ箇所が給湯側か給水側かを検出して報知する貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】貯湯タンク1上部から出湯して給湯する出湯管4と、この給湯の使用状態を検出する給湯フローセンサ10と、前記貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段23と、前記貯湯タンク1側面上下に複数設けられ貯湯温度を検出する貯湯温度センサ22と、該貯湯温度センサ22により貯湯タンク1内の残存熱量を検出する残存熱量検出部45と、前記貯湯タンク1及び給水管2及び出湯管4からの水漏れを検出する水漏れ検出手段40とを備えたもので、前記水漏れ検出手段40が水漏れを検出すると、残存熱量検出部45は給湯停止直後に検出した過去残存熱量Q1と、水漏れ検出後の現状残存熱量Q2とを比較し、現状残存熱量Q2が減少していれば、貯湯タンク1を含む給湯側の水漏れとして報知し、現状残存熱量Q2が変化していなければ、給水側の水漏れとして報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不測の事態である水漏れを確実に検出すると共に、水漏れが給湯側か給水側の報知を行い水漏れ修理が容易に行われるようにした貯湯式給湯装置。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の給湯装置では、貯湯タンクを収納した枠体の底部に漏れた水を貯水する水受け部と、この水受け部に貯水した漏れ水を検出するフロートスイッチとを備え、水漏れを検出して報知するものであった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3971247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、水漏れを検出し報知しても、水漏れ箇所は分からず、修理を依頼しても業者が修理に来る頃には、水漏れ箇所までの水位の水が抜けており、水漏れ箇所を見つけ出すためには、再び水を追加して水漏れさせた状態で見つけ出すものであり、結局大量の水が漏れてしまい極めて不経済であり、水漏れ箇所を発見することは極めて困難なものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するため、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯して給湯する出湯管と、この給湯の使用状態を検出する給湯フローセンサと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク側面上下に複数設けられ貯湯温度を検出する貯湯温度センサと、該貯湯温度センサにより貯湯タンク内の残存熱量を検出する残存熱量検出部と、前記貯湯タンク及び給水管及び出湯管からの水漏れを検出する水漏れ検出手段とを備えたものに於いて、前記水漏れ検出手段が水漏れを検出すると、残存熱量検出部は給湯停止直後に検出した過去残存熱量と、水漏れ検出後の現状残存熱量とを比較し、現状残存熱量が減少していれば、貯湯タンクを含む給湯側の水漏れとして報知し、現状残存熱量が変化していなければ、給水側の水漏れとして報知するものである。
【0006】
又請求項2では、請求項1のものに於いて、前記水漏れ検出手段は、貯湯タンクを覆った枠体底部に形成された水受け部に備えられたフロートスイッチで構成したものである。
【0007】
又請求項3では、請求項1のものに於いて、前記水漏れ検出手段は、給水バイパス管より市水側の給水管に備えられた給湯フローセンサで構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のようにこの発明によれば、水漏れ箇所が給湯側か給水側とある程度特定される為に、水漏れ箇所の発見も速く、しかも再現でも必要最小限の補水で済み、無駄な水の使用が避けられて極めて経済的であり、安心して使用出来るものである。
【0009】
又請求項2によれば、漏れた水を枠体底部の水受け部で着実に受け、そしてフロートスイッチの機械的スイッチで水漏れを確実に検出することが出来、長期に渡って安心して使用出来るものである。
【0010】
又請求項3によれば、別部品を追加することなく給湯フローセンサを給水管に備えるように位置を変更することで、容易に水漏れが検出出来、安価で済み極めて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の一実施形態の概略構成図
【図2】同一実施形態の電気回路のブロック図
【図3】同一実施形態の作動を説明するフローチャート
【図4】他の一実施形態を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次にこの発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク(ここではタンク容量370[L])、2は貯湯タンク1に市水を給水する給水管、3は給水管2に設けられ給水圧を減圧する減圧弁、4は貯湯タンク1上部から出湯する出湯管、5は出湯管4に設けられ過圧を逃がす過圧逃がし弁、6は減圧弁3の下流側の給水管2から分岐した給水バイパス管、7は出湯管4からの湯水と給水バイパス管6からの水とを混合する給湯混合弁、8は給湯混合弁7からの湯水を給湯する給湯管、9は給湯管8に設けられた給湯温度センサ、10は給湯管8を流れる流量を検出する給湯フローセンサ、11は給水温度を検出する給水温度センサ、12は給湯栓である。
【0013】
13は浴槽、14は貯湯タンク1内の上部に設けたふろ熱交換器、15は浴槽13とふろ熱交換器14とを浴槽水が循環可能に接続しているふろ循環回路、16はふろ循環回路15途中に設けられたふろ循環ポンプで、ふろ熱交換器14とふろ循環回路15とふろ循環ポンプ16とでふろ回路を構成している。
【0014】
17は浴槽13からふろ熱交換器14へ戻る浴槽水の温度を検出するふろ戻り温度センサ、18はふろ熱交換器14から浴槽13へ往く浴槽水の温度を検出するふろ往き温度センサ、19は浴槽13内の水位を圧力により検出する水位センサ、20は給湯管8から分岐されてふろ循環回路15へ接続された湯張り管、21は湯張り管20の開閉を行う湯張り電磁弁である。
【0015】
22は貯湯タンク1の側面上下に複数設けられ各部の貯湯温度を検出する貯湯温度センサであり、ここでは、貯湯温度センサ22aは30L、貯湯温度センサ22bは80L、貯湯温度センサ22cは130L、貯湯温度センサ22dは180L、貯湯温度センサ22eは230L、貯湯温度センサ22fは280L、貯湯温度センサ22gは330Lの容量の貯湯温度を検出するものである。
【0016】
23は貯湯タンク1内の湯水を加熱するヒートポンプ式の加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機24と、圧縮された高温冷媒と貯湯タンク1からの湯水とを熱交換する冷媒水熱交換器25と、冷媒水熱交換器25で放熱された冷媒を減圧する膨張弁26と、低温低圧の冷媒を蒸発される蒸発器としての空気熱交換器27とを冷媒配管28で環状に接続して構成され、一定の加熱能力で作動するように制御されるもので、貯湯タンク1下部から取り出した湯を加熱して貯湯タンク1上部に戻すようにしているため沸き上げる湯量を自在にコントロールできるものである。なお、29は空気熱交換器27に熱源となる外気を送風する送風ファンである。
【0017】
30は貯湯タンク1の下部と冷媒水熱交換器25の入口とを接続し、冷媒水熱交換器25の出口と貯湯タンク1の上部とを接続する加熱循環回路、31は冷媒水熱交換器25の入口側の加熱循環回路30に設けられ貯湯タンク1下部から取り出した湯水を冷媒水熱交換器25を介して貯湯タンク1上部に循環させる加熱循環ポンプ、32は冷媒水熱交換器25に流入する湯水の温度を検出する入水温度センサ、33は冷媒水熱交換器25から流出する湯水の温度を検出する沸き上げ温度センサ、34は外気温度を検出する外気温度センサである。
【0018】
35は給湯温度や各種必要な設定を行うためのリモートコントローラで、給湯設定温度やふろ設定温度を表示する表示部36と、給湯設定温度およびふろ設定温度を設定する温度設定スイッチ37と、浴槽13への所定湯量の湯張りに続いて所定の保温時間だけ保温運転を行わせるふろスイッチ38と、浴槽水を加熱する追い焚き動作を行わせる追い焚きスイッチ39とを備えている。
【0019】
40は貯湯タンク1を覆った枠体41底部に備えられた水漏れ検出手段で、枠体41内の貯湯タンク1や配管から漏れた水が溜まる凹状の水受け部42と、該水受け部42に溜まる漏れ水量が所定量に達することでONされるフロートスイッチ43とから構成されている。
【0020】
44はこのヒートポンプ式ふろ給湯機の作動を制御する制御手段で、予め作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、カウント機能を有し、給湯温度センサ9、給湯フローセンサ10、給水温度センサ11、ふろ戻り温度センサ17、ふろ往き温度センサ18、水位センサ19、貯湯温度センサ22a〜g、入水温度センサ32、沸き上げ温度センサ33、外気温度センサ34、水漏れ検出手段40にて検出される値が入力され、給湯混合弁7、ふろ循環ポンプ16、湯張り電磁弁21、圧縮機24、膨張弁26、送風ファン29、加熱循環ポンプ31の駆動を制御し、沸き上げ動作、給湯動作やふろ加熱動作等を制御するもので、リモートコントローラ35と通信可能に接続されているものである。
【0021】
制御手段44には、給湯フローセンサ10による給湯の停止を検出する毎に、貯湯温度センサ22a〜gで検出される各貯湯温度Ta〜gから給水温度センサ11で検出される給水温度tを差し引いた温度に、各貯湯温度センサ22a〜gが取り付けられている貯湯タンク1の容量Va〜gを掛けた総和、即ち{(Ta−t)×Va}+{(Tb−t)×Vb}+{(Tc−t)×Vc}+{(Td−t)×Vd}+{(Te−t)×Ve}+{(Tf−t)×Vf}+{(Tg−t)×Vg}=残存熱量Qで、この演算と順次変化する残存熱量Qを更新して最新のものを記憶しておく残存熱量検出部45が設けられ、この残存熱量検出部45は、水漏れ検出手段40が水漏れを検出した信号を受け、現状残存熱量Q2を演算し、そして記憶されている最新の過去残存熱量Q1と比較して、現状残存熱量Q2が減少していれば、貯湯タンク1を含む給湯側の水漏れとしてリモートコントローラ35の表示部36に「給湯側水漏れ」と表示して報知し、現状残存熱量Q2が変化していなければ、給水側の水漏れとして、表示部36に「給水側水漏れ」と表示して報知させるものである。
【0022】
次にこの一実施形態の給湯動作について説明する。
今給湯栓12が開かれ、給湯フローセンサ10が給湯開始と見なせる量以上の流量を検出すると、制御手段44は給湯温度センサ9で検出する給湯温度がリモートコントローラ35で設定した給湯設定温度となるように給湯混合弁7の開度を調節し、出湯管4からの湯と給水バイパス管6からの水とを混合して給湯設定温度の湯を給湯する。
【0023】
そして、給湯栓12が閉じられる等して給湯フローセンサ10が検出する流量が給湯停止と見なせる量未満の流量まで低下すると、制御手段40は給湯混合弁7の開度調節を終了し、給湯を終了する。
【0024】
又この時、給湯フローセンサ10の給湯停止の信号を受けて残存熱量検出部45は、残存熱量Qを現在の給水温度tと、各貯湯温度センサ22a〜gにより検出される各貯湯温度Ta〜gと貯湯容量から演算して求め、これを最新の残存熱量Qとして更新して記憶するものである。
【0025】
次に水漏れ時の作動について図3のフローチャートに従って説明する。
水漏れが発生しこれを水漏れ検出手段40が水漏れ有りで検出し(ステップS1)、YESではステップS2に進み残存熱量検出部45に水漏れしている現状残存熱量Q2を演算し、そしてステップS3でこの現状残存熱量Q2と給湯停止毎に演算し記憶された残存熱量Qの最新を過去残存熱量Q1として比較し、現状残存熱量Q2が減少していれば、YESでステップS4に進み貯湯タンク1を含む給湯側が水漏れしていると判断して、リモートコントローラ35の表示部36に「給湯側水漏れ」と表示して報知するものであり、又ステップS3で現状残存熱量Q2が減少していなければ、NOでステップS5に進み給水側が水漏れしていると判断して、リモートコントローラ35の表示部36に「給水側水漏れ」と表示して報知するものである。
【0026】
このように水漏れの検出後に、貯湯タンク1の残存熱量Qの状況によって、水漏れ箇所が給湯側か給水側かを容易に知ることが出来、極めて便利であり、しかも水漏れの補修も節水しながら簡単に行われて、経済的で利用勝手が良いものである。
【0027】
次に図4に示す他の実施形態を説明するが、前述した実施形態と同一部分は同一符号を付し説明を省略し、相違する部分のみを説明する。
46は給湯の終了後は、給水側100%開成とする給湯混合弁47に接続した給水バイパス管6より市水側の給水管2に備えられた給湯フローセンサで、給湯終了後には貯湯タンク1を含む給湯側及び給水側の水漏れを水流として検出する水漏れ検出手段として機能するものであり、水漏れ検出後に残存熱量検出部45で残存熱量Qの比較で、水漏れが給湯側か給水側かを報知するのは同じである。
【0028】
このように水漏れ検出手段を、従来の給湯フローセンサ46の取り付け位置を変えることで対応したことで、新たな部品の追加がなく、容易に水漏れが検出出来、安価で済み極めて経済的である。
【符号の説明】
【0029】
1 貯湯タンク
2 給水管
4 出湯管
10 給湯フローセンサ
22 貯湯温度センサ
23 加熱手段
40 水漏れ検出手段
45 残存熱量検出部
Q1 過去残存熱量
Q2 現状残存熱量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部に給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯して給湯する出湯管と、この給湯の使用状態を検出する給湯フローセンサと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク側面上下に複数設けられ貯湯温度を検出する貯湯温度センサと、該貯湯温度センサにより貯湯タンク内の残存熱量を検出する残存熱量検出部と、前記貯湯タンク及び給水管及び出湯管からの水漏れを検出する水漏れ検出手段とを備えたものに於いて、前記水漏れ検出手段が水漏れを検出すると、残存熱量検出部は給湯停止直後に検出した過去残存熱量と、水漏れ検出後の現状残存熱量とを比較し、現状残存熱量が減少していれば、貯湯タンクを含む給湯側の水漏れとして報知し、現状残存熱量が変化していなければ、給水側の水漏れとして報知する事を特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記水漏れ検出手段は、貯湯タンクを覆った枠体底部に形成された水受け部に備えられたフロートスイッチで構成した事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記水漏れ検出手段は、給水バイパス管より市水側の給水管に備えられた給湯フローセンサで構成した事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−64541(P2013−64541A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203316(P2011−203316)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)