説明

資料提示システム

【課題】資料提示装置によって撮影した画像を無線によって外部の画像出力装置に伝送するシステムにおいて、出力画像の安定性について、ユーザの好みに応じた設定を行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】資料提示装置は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像を無線によって順次送信する送信部とを備える。一方、画像出力装置は、資料提示装置から画像を無線によって順次受信する受信部と、受信された画像を出力する出力部と、無線の電波強度を測定する測定部とを備える。出力部は、電波強度とユーザによる操作に応じて設定された閾値とを対比して、電波強度が閾値よりも高い場合には受信部によって順次受信された画像を順次出力することで動画の出力を行い、電波強度が閾値以下の場合には既に受信された一の画像を連続的に出力することで静止画の出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料提示装置によって撮影した画像を出力するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資料提示装置によって撮影された画像を、無線によって外部の画像出力装置に伝送して表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
しかし、無線による通信では、混信や障害物の存在等によって電波強度や接続状態が変動する場合があった。電波強度や接続状態が変動すると、表示される画像にノイズが生じたり、画面が突然暗くなってしまうなど、出力される画像の表示状態が不安定になる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−262163号公報
【特許文献2】特開2008−271265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、資料提示装置によって撮影した画像を無線によって外部の画像出力装置に伝送するシステムにおいて、出力画像の安定性について、ユーザの好みに応じた設定を行うことが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]資料提示装置と画像出力装置とが無線によって接続される資料提示システムであって、前記資料提示装置は、画像を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された画像を前記無線によって順次送信する送信部と、を備え、前記画像出力装置は、前記資料提示装置から前記画像を前記無線によって順次受信する受信部と、前記受信部によって受信された画像を出力する出力部と、前記無線の電波強度を測定する測定部と、を備え、前記出力部は、前記電波強度と、ユーザによる操作に応じて設定された閾値とを対比して、前記電波強度が前記閾値よりも高い場合には、前記受信部によって順次受信された前記画像を順次出力することで動画の出力を行い、前記電波強度が前記閾値以下の場合には、既に受信された一の画像を連続的に出力することで静止画の出力を行う、資料提示システム。
【0008】
上記構成の資料提示システムでは、画像出力装置によって測定された電波強度と、ユーザによる操作に応じて設定された閾値とを対比し、電波強度が閾値よりも高ければ動画の出力を行い、電波強度が閾値以下であれば静止画の出力を行う。そのため、例えば、閾値を高く設定すれば、電波強度が低下した場合であっても、良好な電波状態で受信したノイズの少ない静止画を出力することができ、閾値を低く設定すれば、電波強度の悪化によって出力画像にノイズが生じたとしても、動画の出力を優先させることが可能になる。よって、上記構成の資料提示システムによれば、出力画像の安定性に関する設定をユーザの好みに応じて行うことが可能になる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の資料提示システムであって、前記画像出力装置は、更に、前記電波強度を表す電波強度情報を前記無線によって前記資料提示装置に送信する電波強度送信部を備え、前記資料提示装置は、更に、前記電波強度情報を前記画像出力装置から前記無線によって受信する電波強度受信部と、前記受信された電波強度情報に基づいて、前記電波強度に関する表示を行う電波強度表示部と、を備える、資料提示システム。
【0010】
このような資料提示システムであれば、画像出力装置側で測定した電波強度に関する表示を、ユーザが実際に操作を行う資料提示装置側で行うことができる。そのため、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0011】
本発明は、上述した資料提示システムとしての構成のほか、資料提示システムの制御方法や、資料提示システムを制御するためのコンピュータプログラムとしても構成することができる。コンピュータプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、メモリカード、ハードディスク等の種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】資料提示システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】資料提示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像出力装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】画像出力処理のフローチャートである。
【図5】電波強度情報を合成して表示した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.資料提示システムの概略構成:
B.資料提示装置の内部構成:
C.画像出力装置の内部構成:
D.画像出力処理:
E.変形例:
【0014】
A.資料提示システムの概略構成:
図1は、本発明の一実施例としての資料提示システム10の概略構成を示す説明図である。本実施例の資料提示システム10は、資料提示装置100と、画像出力装置200と、外部表示装置300とから構成されている。外部表示装置300としては、例えば、液晶ディスプレイやプロジェクタ、テレビモニタ等を適用することができる。本実施例の資料提示装置100は、カメラヘッド110によって撮影した資料STの画像を、無線によって画像出力装置200に伝送する機能を備えている。画像出力装置200は、資料提示装置100から無線を介して画像を受信すると、この画像を、アナログRGBインタフェースを介して接続された外部表示装置300に出力する。
【0015】
資料提示装置100は、机などに設置される本体102と、本体102から上側に伸びた支柱104と、支柱104の先端に取り付けられ、資料STの撮影を行うカメラヘッド110と、を備えている。本体102には、画像出力装置200との間で無線通信を行うためのアンテナ106が設けられている。アンテナ106は、外部に露出するように設けられていてもよいし、本体102内や支柱104内に設けられていてもよい。本体102には、無線通信時の電波強度を表示するための電波強度表示部108が設けられている。電波強度表示部108は、8つの発光ダイオードからなり、無線が接続されている場合には、その電波強度が8段階で表示され、無線が切断されている場合には、全ての発光ダイオードが消灯する。なお、電波強度表示部108の形態はこれに限られず、例えば、7セグメントディスプレイ等によって電波強度を表す数値をそのまま表示することとしてもよい。
【0016】
画像出力装置200は、資料提示装置100との間で無線通信を行うためのアンテナ202と、動作モード設定スイッチ204と、電波強度表示スイッチ206と、電波強度表示部208と、を備えている。動作モード設定スイッチ204は、ユーザの好みに応じて出力画像の安定性に関する設定を行うためのスイッチである。電波強度表示スイッチ206は、出力される画像に電波強度のレベルを重畳表示させるためのスイッチである。電波強度表示部208は、資料提示装置100の電波強度表示部108と同様に、8つの発光ダイオードからなり、電波強度を8段階で表示する。
【0017】
B.資料提示装置の内部構成:
図2は、資料提示装置100の内部構成を示すブロック図である。図示するように、資料提示装置100は、カメラヘッド110や、画像処理プロセッサ120、RAM125、無線通信モジュール130、DAC140、アナログRGB出力端子150、操作パネル160、サブマイコン170、電波強度表示部108を備えている。
【0018】
カメラヘッド110は、資料STを撮像するためのレンズユニット111と、レンズユニット111によって集光された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ112と、CCDイメージセンサ112から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログフロントエンド113と、CCDイメージセンサ112およびアナログフロントエンド113が動作するための基準パルスを出力するタイミングジェネレータ114と、を備えている。なお、CCDイメージセンサ112に替えて、CMOSイメージセンサを用いることも可能である。
【0019】
レンズユニット111は、複数のレンズから構成され、ズームレンズ118を備えている。カメラヘッド110内には、このズームレンズ118をテレ側およびワイド側に移動させて光学ズームを行うためのズームモータ115や、このズームモータ115を駆動するためのドライバIC116を備えている。ドライバIC116は、レンズ制御マイコン117に接続されており、このレンズ制御マイコン117からの指示に応じてズームモータ115に出力する信号の周波数や電圧を調整することによりズーム方向やズーム速度を制御する。
【0020】
アナログフロントエンド113から出力された画像信号は、画像処理プロセッサ120に入力される。画像処理プロセッサ120は、アナログフロントエンド113から画像を取得してRAM125内に一時的に記憶する。そして、このRAM125を作業領域として、取得した画像に対して種々の画像処理を施す。画像処理プロセッサ120が施す画像処理としては、例えば、ホワイトバランスの調整や、ガンマ補正、エッジ強調処理、などがある。画像処理プロセッサ120によって画像処理の施された画像データは、無線通信モジュール130に、所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で順次出力される。画像処理プロセッサ120から無線通信モジュール130に出力される画像データは、例えば、XGA(1024画素×768画素)の解像度を有し、画素毎に24ビット(R、G、Bのそれぞれについて各8ビットで計24ビット)のデータを有する非圧縮のデータである。
【0021】
無線通信モジュール130は、マイコンや無線通信用のICが組み込まれたハードウェアモジュールである。本実施例の無線通信モジュールは、WHDI(商標)(Wireless Home Digital Inter-face)という無線通信規格に基づいて、画像出力装置200との間の通信を行う。なお、無線通信規格としては、WHDIのほか、WirelessHD(商標)や、IEEE802.11g,n等の無線LAN規格を利用することも可能である。
【0022】
無線通信モジュール130は、画像送信回路132と強度情報受信回路134とを備えている。画像送信回路132は、画像処理プロセッサ120から入力された画像データを、WHDI規格に基づき、画像出力装置200に送信する機能を有する。一方、強度情報受信回路134は、画像出力装置200から無線を通じて電波強度を表す情報(以下、「電波強度情報」という)を受信する機能と、資料提示装置100と画像出力装置200との間の無線通信の接続状態を検出する機能とを備えている。強度情報受信回路134は、資料提示装置100と画像出力装置200とが無線によって接続されている場合には、「0」から「7」までの電波強度情報を画像出力装置200から受信する。強度情報受信回路134は、こうして画像出力装置200から受信した電波強度情報を、後述するサブマイコン170に出力する。また、強度情報受信回路134は、無線が切断されたことを検出した場合には、サブマイコン170に対して、無線が切断されたことを示す切断情報を出力する。
【0023】
画像処理プロセッサ120には、無線通信モジュール130以外にも、DAC140が接続されている。画像処理プロセッサ120は、このDAC140に対して、画像処理の施された画像を表すデジタル信号を出力する。DAC140は、このデジタル信号にD/A変換を施し、アナログRGB信号を生成する。生成されたアナログRGB信号は、アナログRGB出力端子150に出力される。つまり、本実施例の資料提示装置100は、無線を通じて画像を送信する機能に加え、アナログRGB出力端子150を介して資料提示装置100に直接接続された外部表示装置に対しても画像を出力することが可能になっている。なお、資料提示装置100は、アナログRGB出力端子150以外にも、例えば、DVI出力端子やビデオ出力端子、HDMI出力端子を備えていてもよい。
【0024】
資料提示装置100の本体102には、操作パネル160が備えられている。操作パネル160には、例えば、カメラヘッド110に光学ズームを行わせるためのズームボタンや、画像処理プロセッサ120によって実行する画像処理を選択するためのボタンなどが備えられている。操作パネル160には、サブマイコン170が接続されており、サブマイコン170は、操作パネル160から種々のボタン操作を受け付け、受け付けたボタンの操作に応じた信号を画像処理プロセッサ120やレンズ制御マイコン117に出力する。
【0025】
サブマイコン170には、更に、電波強度表示部108(図1参照)が接続されている。サブマイコン170は、無線通信モジュール130内の強度情報受信回路134から電波強度情報や切断情報を取得し、これらの情報に応じて、電波強度表示部108を構成する発光ダイオードの点灯制御を行う。例えば、サブマイコン170は、電波強度情報が取得されれば、その数値が大きくなるに連れ、発光させる発光ダイオードの数を増加させる。つまり、電波強度情報が「0」であれば、発光ダイオードを1つ点灯させ、電波強度情報が「7」であれば、8つの発光ダイオードをすべて点灯させる。また、切断情報が取得されれば、発光ダイオードをすべてオフにする。なお、サブマイコン170は、切断情報を取得した場合には、ユーザに注意を促すため、全ての(あるいは一部)の発光ダイオードを点滅させることとしてもよい。
【0026】
C.画像出力装置の内部構成:
図3は、画像出力装置200の内部構成を示すブロック図である。画像出力装置200は、無線通信モジュール210や、出力制御プロセッサ220、DAC230、アナログRGB出力端子240、サブマイコン250、電波強度表示部208を備えている。
【0027】
無線通信モジュール210は、資料提示装置100内の無線通信モジュール130と同様に、マイコンや無線通信用のICが組み込まれたハードウェアモジュールであり、資料提示装置100との間でWHDI規格に基づく無線通信を行う。
【0028】
無線通信モジュール210は、画像受信回路212と、電波強度測定回路214と、強度情報送信回路216と、を備えている。画像受信回路212は、資料提示装置100から送信された画像データを受信し、受信した画像データを、出力制御プロセッサ220に転送する機能を有する。電波強度測定回路214は、電波強度の測定や、無線の接続状態を監視する。電波強度測定回路214は、資料提示装置100と画像出力装置200とが無線によって接続されている場合には、測定した電波強度の程度を「0」から「7」までの数値で表す。「0」〜「7」の値は、数値が大きいほど電波強度が高いことを表す。なお、電波強度情報が「0」とは、無線が切断されていることを表しているわけではなく、電波強度が最も低い状態であることを表す。電波強度測定回路214は、この電波強度情報を、強度情報送信回路216とサブマイコン250とに出力する。また、電波強度測定回路214は、無線が切断されたことを検出した場合には、サブマイコン250に対して、無線が切断されたことを示す切断情報を出力する。強度情報送信回路216は、電波強度測定回路214から取得した電波強度情報を、無線を通じて資料提示装置100に通知する。
【0029】
出力制御プロセッサ220は、無線通信モジュール210から転送された画像データを受信し、受信した画像データをフレームバッファ225に一時的に記憶させる。フレームバッファ225に記憶された画像データは、所定のフレームレート(例えば、60フレーム/秒)で出力制御プロセッサ220に読み込まれて、DAC230に転送される。DAC230では、画像データが表す画像信号のD/A変換が行われて、アナログRGB信号が生成される。生成されたアナログRGB信号は、アナログRGB出力端子240を通じて、外部表示装置300に出力される。なお、画像出力装置200は、アナログRGB出力端子240以外にも、例えば、DVI出力端子やビデオ出力端子、HDMI出力端子を備えていてもよい。
【0030】
出力制御プロセッサ220は、内部の機能部として、出力画像切換部222と、電波強度重畳部224とを備えている。出力画像切換部222は、無線通信モジュール210によって測定された電波強度と、動作モード設定スイッチ204によってユーザから設定された動作モードとに応じて、外部表示装置300に出力する画像を、動画とするか静止画とするかを切り換える機能を有している。この出力画像切換部222による処理内容については後で詳しく説明する。電波強度重畳部224は、電波強度表示スイッチ206がオンにされた場合に、無線通信モジュール210から受信した画像データに対して、電波強度情報を合成する機能を有する。
【0031】
サブマイコン250には、動作モード設定スイッチ204や電波強度表示スイッチ206が接続されている。動作モード設定スイッチ204や電波強度表示スイッチ206による操作は、このサブマイコン250を通じて出力制御プロセッサ220に通知される。サブマイコン250は、動作モード設定スイッチ204によって動作モードが設定されると、設定された動作モードに応じた数値(閾値)を上述した出力制御プロセッサ220の出力画像切換部222に通知する。また、サブマイコン250は、無線通信モジュール210から取得した電波強度情報や切断情報を出力制御プロセッサ220に転送する。出力制御プロセッサ220の出力画像切換部222は、サブマイコン250から受信した閾値と電波強度情報とを比較することで、出力画像を動画とするか静止画とするかを切り換える。本実施例では、動作モードとして、「モーションモード」と、「ノーマルモード」と、「セーフモード」とが用意されている。動作モードがモーションモードに設定された場合には、閾値として「0」が出力画像切換部222に通知される。また、ノーマルモードに設定された場合には、「2」が通知され、セーフモードに設定されると、「4」が通知される。なお、本実施例では、動作モード設定スイッチ204によって閾値を3段階に切換可能としたが、より細かく閾値を指定可能としてもよい。
【0032】
サブマイコン250には、更に、電波強度表示部208が接続されている。サブマイコン250は、無線通信モジュール210から電波強度情報や切断情報を取得し、これらの情報に基づいて、資料提示装置100のサブマイコン170と同様に、電波強度表示部208を構成する発光ダイオードの点灯制御を行う。
【0033】
D.画像出力処理:
図4は、画像出力装置200の出力制御プロセッサ220によって実行される画像出力処理のフローチャートである。この画像出力処理は、画像出力装置200の動作中に常時繰り返し実行される処理である。
【0034】
この画像出力処理が開始されると、まず、出力制御プロセッサ220は、資料提示装置100から送信された画像データを、無線通信モジュール210の画像受信回路212から取得するとともに(ステップS10)、無線通信モジュール210の電波強度測定回路214からサブマイコン250を介して電波強度情報や切断情報を取得する(ステップS14)。更に、出力制御プロセッサ220は、サブマイコン250から、動作モード設定スイッチ204による設定に応じた閾値を取得する(ステップS14)。
【0035】
続いて、出力制御プロセッサ220は、サブマイコン250を通じて電波強度表示スイッチ206がオン状態であるかを判定する(ステップS16)。電波強度表示スイッチ206がオンであれば、出力制御プロセッサ220は、電波強度重畳部224によって、無線通信モジュール210から取得した画像データに対して、電波強度情報を合成する(ステップS18)。一方、電波強度表示スイッチ206がオフであると判定されれば、出力制御プロセッサ220は、ステップS18の合成処理をスキップし、電波強度情報の合成は行わない。
【0036】
図5は、電波強度情報を外部表示装置300の画面上に合成して表示した例を示す説明図である。図5に示した例では、電波強度情報の数値LVをそのまま画面の右下に合成して表示している。なお、電波強度の表示は、こうした数値に限られず、例えば、携帯電話の電波強度を示すマークや、目盛りやメータ等を表すグラフィカルな表示によって行うこととしてもよい。
【0037】
続いて、出力制御プロセッサ220は、出力画像切換部222によって、ステップS12で取得した電波強度情報が表す電波強度とステップS14で取得した閾値とを比較して、電波強度が閾値よりも高いか否かを判断する(ステップS20)。上述したように、本実施例では、電波強度は「0」から「7」までの値によって表され、閾値は、動作モード設定スイッチ204の切換によって、「0」、「2」、または、「4」のいずれかの値に設定される。かかる比較によって、電波強度が閾値よりも高いと判断されれば、出力画像切換部222は、ステップS10で取得した画像データ(あるいは、ステップS18で電波強度情報が合成された画像データ)をフレームバッファ225内に上書きし、フレームバッファ225内に既に記憶された画像データを更新する(ステップS24)。一方、電波強度が閾値以下であると判断されれば、出力画像切換部222は、フレームバッファ225の更新を停止する(ステップS22)。フレームバッファ225の更新が停止されれば、フレームバッファ225には、前回のステップS24の実行によって既に記憶された一の画像データがそのまま保持されることになる。なお、上記ステップS14において切断情報が取得された場合にも、上記ステップS20では、出力画像切換部222は、電波強度が閾値以下であると判断する。
【0038】
最後に、出力制御プロセッサ220は、所定のフレームレートに従ってフレームバッファ225から画像データを読み出し(ステップS26)、この画像データによって表される画像を、DAC230およびアナログRGB出力端子240を通じて、外部表示装置300に出力する(ステップS28)。以上で説明した画像出力処理によれば、フレームバッファ225内が更新されている状態であれば(つまり、電波強度が閾値よりも高ければ)、外部表示装置300には動画が出力され、フレームバッファ225内の更新が停止されていれば(つまり、電波強度が閾値以下であれば)、静止画が出力されることになる。
【0039】
以上、本発明に係る資料提示システム10の一実施例について説明した。本実施例の資料提示システム10によれば、静止画を出力するか動画を出力するかを決定するために電波強度と対比される閾値を、動作モード設定スイッチ204によって適宜設定することができる。そのため、出力画像の安定性に関する設定をユーザの好みに応じて行うことが可能になる。
【0040】
例えば、ユーザが、動作モードを「モーションモード」に設定すれば、閾値は「0」に設定されるため、画像出力装置200は、無線が切断される間際まで、資料提示装置100から受信した画像を動画として出力することになる。そのため、電波状況の悪化に伴って出力画像の品質が低下した場合であっても、動画が出力されることを優先させることが可能になる。この結果、例えば、動きのある資料のプレゼンテーションに適した出力を行うことが可能になる。
【0041】
これに対して、動作モードが「セーフモード」に設定されれば、閾値は、「4」に設定される。本実施例では、電波強度の最大値は、「7」であるため、セーフモードに設定された場合には、電波強度が不安定になると比較的すぐに、画像出力装置200からは静止画が出力されることになる。そのため、動作モードが「セーフモード」に設定されれば、電波環境が良好な状態で受信した画像に基づいて、品質の高い動画や静止画を出力することが可能になる。このように、「セーフモード」では、電波強度が不安定になると早期の段階で出力画像が動画から静止画に切り替わることになるので、動きの少ない資料のプレゼンテーションに適した出力を行うことが可能となる。なお、動作モードが、「ノーマルモード」に設定されれば、「モーションモード」と「セーフモード」の中間的な特性を有する出力を行うことができる。
【0042】
また、本実施例の資料提示システム10では、画像出力装置200によって測定された電波強度は、無線を通じて資料提示装置100に通知されて資料提示装置100に備えられた電波強度表示部108に表示される。そのため、ユーザは、手元の資料提示装置100を見るだけで、電波の状況を把握することができる。本実施例では、更に、画像出力装置200に備えられた電波強度表示部208にも電波強度が表示され、更に、電波強度表示スイッチ206の操作に応じて、外部表示装置300の画面上にも電波強度が表示可能である。そのため、電波の状況をどの様な状況でも容易に確認することが可能になる。なお、資料提示装置100の電波強度表示部108や、画像出力装置200の電波強度表示部208、画面上への電波強度の表示機能は、一部あるいは全てを省略することも可能である。
【0043】
E.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以下のような変形が可能である。
【0044】
・変形例1:
上記実施例では、無線の電波強度が低下した場合に、出力される画像を動画から静止画に切り換えている。これに対して、例えば、資料提示装置100の画像処理プロセッサ120は、画像出力装置200から通知された電波強度が低下した場合に、その低下量に応じて、画像出力装置200に伝送する画像データの解像度や色深度、フレームレートを低下させることとしてもよい。こうすることによって、画像データのデータ量を削減することが可能になるため、電波強度が低下した場合においても、動画の出力をできるだけ維持させることが可能になる。
【0045】
・変形例2:
上記実施例では、資料提示装置100の電波強度表示部108や画像出力装置200の電波強度表示部208、あるいは、出力画面上に、電波強度のレベルを表示した。これに対して、例えば、電波強度が閾値以下になった場合にのみ、電波強度表示部108や電波強度表示部208、あるいは画面上に、警告表示を行う構成としてもよい。こうすることにより、簡易な構成で電波強度が低下したことをユーザに知らせることが可能になる。
【0046】
・変形例3:
上記実施例では、画像出力装置200に備えられた動作モード設定スイッチ204によって、動作モードの設定を行うこととした。これに対して、動作モード設定スイッチは、資料提示装置100側に備えられていることとしてもよい。この場合、資料提示装置100は、動作モード設定スイッチによる設定操作をサブマイコン170によって検出し、設定された動作モードに応じた閾値を、無線通信モジュール130によって画像出力装置200に伝送する。このような構成であれば、動作モードの設定を資料提示装置100側で行うことができるため、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0047】
・変形例4:
上記実施例では、画像出力装置200と外部表示装置300とは別々の装置であることとしたが、画像出力装置200は、外部表示装置300内に組み込まれていてもよい。また、資料提示装置100内に備えられた無線通信モジュール130を、資料提示装置100から分離させて、別個の画像送信装置として構成してもよい。この場合、画像送信装置には、資料提示装置100から画像信号を、例えば、アナログRGBインタフェースやDVIインタフェースを通じて入力する。そして、画像送信装置は、資料提示装置100から入力された画像信号を無線によって画像出力装置200に伝送する。
【0048】
・変形例5:
上記実施例では、画像出力装置200は、出力画像を動画とするか静止画とするかを、出力制御プロセッサ220によって判断することとした。これに対して、このような判断は、サブマイコン250側で行うことも可能である。この場合、出力制御プロセッサ220は、サブマイコン250から判断結果の通知を受け、その通知に基づいて、フレームバッファ225を更新するか否かを決定する。
【符号の説明】
【0049】
10…資料提示システム
100…資料提示装置
102…本体
104…支柱
106…アンテナ
108…電波強度表示部
110…カメラヘッド
111…レンズユニット
112…CCDイメージセンサ
113…アナログフロントエンド
114…タイミングジェネレータ
115…ズームモータ
116…ドライバIC
117…レンズ制御マイコン
118…ズームレンズ
120…画像処理プロセッサ
130…無線通信モジュール
132…画像送信回路
134…強度情報受信回路
140…DAC
150…アナログRGB出力端子
160…操作パネル
170…サブマイコン
200…画像出力装置
202…アンテナ
204…動作モード設定スイッチ
206…電波強度表示スイッチ
208…電波強度表示部
210…無線通信モジュール
212…画像受信回路
214…電波強度測定回路
216…強度情報送信回路
220…出力制御プロセッサ
222…出力画像切換部
224…電波強度重畳部
225…フレームバッファ
230…DAC
240…アナログRGB出力端子
250…サブマイコン
300…外部表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料提示装置と画像出力装置とが無線によって接続される資料提示システムであって、
前記資料提示装置は、
画像を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された画像を前記無線によって順次送信する送信部と、を備え、
前記画像出力装置は、
前記資料提示装置から前記画像を前記無線によって順次受信する受信部と、
前記受信部によって受信された画像を出力する出力部と、
前記無線の電波強度を測定する測定部と、を備え、
前記出力部は、前記電波強度と、ユーザによる操作に応じて設定された閾値とを対比して、前記電波強度が前記閾値よりも高い場合には、前記受信部によって順次受信された前記画像を順次出力することで動画の出力を行い、前記電波強度が前記閾値以下の場合には、既に受信された一の画像を連続的に出力することで静止画の出力を行う、
資料提示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の資料提示システムであって、
前記画像出力装置は、更に、
前記電波強度を表す電波強度情報を前記無線によって前記資料提示装置に送信する電波強度送信部を備え、
前記資料提示装置は、更に、
前記電波強度情報を前記画像出力装置から前記無線によって受信する電波強度受信部と、
前記受信された電波強度情報に基づいて、前記電波強度に関する表示を行う電波強度表示部と、を備える、
資料提示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−155434(P2011−155434A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15032(P2010−15032)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】