説明

資料提示装置

【課題】不使用時に視聴者のプレゼンターに対する視界を極力妨げることがないようにできるとともに、操作性を向上させた資料提示装置を提供する。
【解決手段】撮像カメラ17の一端部に撮像カメラ本体を装着して撮像カメラ本体部52とするとともに、他端部に撮像カメラの調整操作を行なうズームダイヤル58等を装着した操作部51としたから、撮像カメラのピント合わせやズーミング等の操作を撮像カメラ17の端部で行うことが可能となり操作性が向上する。また、支柱13の回動軸16の回動軸受55の部位を、操作部51の基端部に形成したから、撮像カメラ本体部51側の一端部までの距離が、操作部52を装着した他端部までの距離よりも長くなり、不使用時に水平姿勢の撮像カメラ17を回動させて、撮像カメラ本体51側が下方になる垂直姿勢にすることにより、プレゼンターに対する視聴者の視界を極力妨げることがないようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料の撮像画像をモニターやスクリーン等に表示させる資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の資料提示装置として、特開平8−111803号公報に開示されるように、先端にカメラを取りつけた支柱を立設させて支持する基部に対して、折り畳み可能な一対の足部を備えた画像入力装置が開示されている。この画像入力装置は、足部を支柱に沿って折り畳んだり、足部や支柱を基部から取り外したりして、持ち運びし易いようにしたものである。
【0003】
また、特開平10−191105号公報には、2個の支柱部材の端部に設けた関節部により連結して支柱を構成し、該支柱の先端にカメラヘッドを回動自在に取りつけた画像入力装置が開示されている。この画像入力装置は、カメラヘッドが特定の定形サイズの原稿撮影に適した高さ位置になるように、各関節部を構成するヒンジ部に複数の指標が設けられている。そして、各ヒンジにおいて同一の指標に合わせることで、カメラヘッドの高さを合わせることができるようにしたものである。
【0004】
しかしながら、上記特開平8−111803号公報に示された画像入力装置は、使用時には、取り外した支柱や足部を基部に取りつけたり、折り畳んだ一対の足部を展開しなければならない等、使い勝手がよくない。また、特開平10−191105号公報に示された画像入力装置は、カメラヘッドの高さを合わせるために、複数箇所のヒンジで指標を合わせる必要があり操作性がよくない。さらに複数の関節部を有するため、構造が複雑となる等の問題点がある。
【特許文献1】特開平8−111803号公報
【特許文献2】特開平10−191105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、不使用時にプレゼンターに対する視聴者の視界を極力妨げることがないようにできるとともに、操作性を向上させた資料提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の資料提示装置は、基台と、該基台から立設し、先端部を湾曲させて基台から離れる手前側に突出する支柱と、該支柱の先端に回動自在に軸支した撮像カメラ本体とからなり、該撮像カメラは、筐体の長手方向の一端部に撮像カメラ本体を装着するとともに、他端部に該撮像カメラ本体の操作部を装着したものであって、前記支柱に対する回動軸支部の部位を、前記筐体の長手方向の中央から片寄らせて、前記撮像カメラ本体を装着した一端部までの距離が、前記操作部を装着した他端部までの距離よりも長くなるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の資料提示装置は、請求項1に記載の構成において、前記支柱を、基台に対して手前側に傾動自在としたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の資料提示装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記筐体を長手方向で分割して、該長手方向の連結軸により相対回動自在に連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の資料提示装置によれば、撮像カメラの筐体の長手方向の一端部に撮像カメラ本体を装着するとともに、他端部に該撮像カメラ本体の操作部を装着したから、撮像カメラのピント合わせやズーミング等の操作を、該撮像カメラの端部で行うことが可能となり、従来のように基台等に配設した操作パネルに手を延ばして行なう必要がないから操作性が向上する。また、支柱に対する回動軸支部の部位を、筐体の長手方向の中央から片寄らせて、撮像カメラ本体を装着した一端部までの距離が、操作部を装着した他端部までの距離よりも長くなるようにしたから、不使用時に水平姿勢の撮像カメラを回動させて、撮像カメラ本体側が下方になる垂直姿勢にすることにより、プレゼンターに対する視聴者の視界を極力妨げることがないようにできる。これにより、例えば資料提示装置を利用した授業において教師と生徒とのアイコンタクトが妨げられることがない。
【0010】
請求項2に記載の資料提示装置によれば、支柱を基台に対して手前側に傾動自在としたから、水平姿勢の撮像カメラを回動させて、撮像カメラ本体側が下方になる垂直姿勢にして傾動させることにより、左右に突出する部分が無くなり、収納性を高めることができる。
【0011】
請求項3に記載の資料提示装置によれば、筐体を長手方向で分割して、該長手方向の連結軸により相対回動自在に連結したから、撮像カメラの姿勢に対応して撮像方向を適宜選択することができるとともに、撮像カメラの他端部でピント合わせやスーミング等の調整操作が可能となり、操作性を損なうことがない。
【実施例】
【0012】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、実施例に係る資料提示装置1の本体2とステージ100aを結合させた基本形態の斜視図である。本体2は、基台3、支柱13及び撮像カメラ17とから構成されている。基台3は、平面形状が矩形で正面4と背面5には曲成面がそれぞれ形成されている。正面4の下縁の直角の隅角部に図11に示すように、マグネット片6を貼付した位置決め部7が形成されている。
【0013】
また、基台3の内部には、制御回路ユニット8と錘9が装着されている。錘9は後述するように支柱13を前傾させたとき、基台3の背面5側が浮き上がるのを防止するものである。さらに、基台3の背面5には外部機器との電気的接続を確保するための各種の連結ソケット10等が配設されている。基台3の正面4側の曲成面の略中央部には回動軸部11が支承されている。回動軸部11の上面には、支柱立設部12が形成されている。
【0014】
支柱立設部12には、支柱13が挿し込まれて立設されている。支柱13は、中空であって内部にワイヤーハーネス(図示せず。)等を挿通出来るようになっている。支柱13には湾曲部14が形成されている。該湾曲部14の先端は、前記基台3の正面4から離れる手前側に突出する水平部15が形成されている。さらに該水平部15の先端には連結部15aが取り付けられている。該連結部15aの先端に中空の回動軸16が形成されている。該回動軸16には、撮像カメラ17が回動可能に取り付けられる。
【0015】
図2〜図4に示すように前記回動軸部11は、左右2個のアルミダイカスト製の部材21,22を合体させたものである。左側の部材21には、左側面に中空軸部23が形成されている。中空軸部23は、先端部に雄ネジ24が形成されている。該中空軸部23は、スペーサ25を嵌めて基台3の内部に固定したブラケット26の軸支孔27に挿通されている。中空軸部23の軸支孔27から突出する部分には、波ワッシャ28と平ワッシャ29を嵌めて、ナット30により両者をブラケット26に締め付けている。
【0016】
右側の部材22には、右側面に軸部31とバネ掛けピン32が形成されている。軸部31は、スペーサ33を嵌めて基台3の内部に固定したブラケット34の軸支孔35に挿通されている。また、バネ掛けピン32は、ブラケット34に軸支孔35と同心に形成した円弧孔36に挿通されている。さらに、軸部31の軸端には捩りバネ37を装着したバネ装着軸38が固定されている。
【0017】
捩りバネ37の一端のフック39は、バネ掛けピン32に掛けられている。他端のフック40は、ブラケット34のバネ掛け部41に掛けられている。この捩りバネ37は、回動軸部11の支柱立設部12に立設される支柱13が、前傾姿勢から起立する方向にトルクを付勢する。ブラケット34には、バネ掛けピン32が当接して支柱13の起立姿勢を規制するストッパ42が設けられている。
【0018】
図5は撮像カメラ17の斜視図である。撮像カメラ17は、長手方向の略中央部で分割された細長い操作部51と撮像カメラ本体部52とから構成されている。操作部51は、上下二つ割の円筒状の合成樹脂製の筐体53a,53bで構成されている。また、撮像カメラ本体部52も同様に上下二つ割の円筒状の合成樹脂製の筐体54a,54bから構成されている。
【0019】
回転軸支部51の下側の筐体53bの基端側の側面には、前記支柱13の水平部15の先端に取り付けた回動軸16が挿し込まれている。該回動軸16は、筐体53bに設けた回動軸受55にネジ止めする締着片56により、該回動軸受55に回動自在に軸支されている。そして、筐体53bには回動軸16の回動角度を90度に規制するストッパ(図示せず。)が設けられている。
【0020】
さらに、筐体53bと回動軸16間には、90度の回動毎に節度感を付与する節度機構(図示せず。)が形成されている。筐体53bの基端側の側端には、撮像カメラのピントやズーミング等の調整操作を行なうため、中心にオートフォーカスボタン57を組み込んだズームダイヤル58が調整回転可能に取り付けられている。さらに、ズームダイヤル58が取り付けられた側端とは反対側の側端には、連結軸支ブラケット59が取り付けられている。
【0021】
撮像カメラ本体部52の下側の筐体54bには、カメラ制御回路ユニット60が装着されている。そして、筐体54bの先端部の下面からは、レンズ鏡筒61が突出形成されている。筐体54bの基端側の側端には、連結軸支ブラケット62が取り付けられている。上記筐体53bの連結軸支ブラケット59と、筐体54bの連結軸支ブラケット62間には、中空の連結軸63が挿通され軸支されている。この連結軸63により、撮像カメラ本体部52は操作部51に対して回動可能に連結される。
尚、撮像カメラ17は、図7に示すようにズームダイヤル58に代えて、操作ノブ64等にすることもできる。
【0022】
前記基台3内に装着された制御回路ユニット8と、カメラ制御回路ユニット60間及びオートフォーカスボタン57を組み込んだズームダイヤル58等の電気的接続を確保するワイヤーハーネス等は、回動軸部11の中空軸部23、支柱13、中空の回動軸16及び連結軸63を通して配線される。
【0023】
上記構成の本体2は、図1及び図8に示す基本形態から、図9の撮像カメラ17の操作部51を回動軸16の回りで回動させて、水平姿勢から垂直姿勢に回動させた形態、及び図10の支柱13を前傾させた形態に変化させることができる。
【0024】
支柱13を前傾させる際には、基台3の内部に装着されている錘9作用により、基台3の背面5側が浮き上がることがない。そして、回動軸部11には波ワッシャ28と平ワッシャ29を介してナット30により、ブラケット26,34間に締め付けて制動力が作用している。また、回動軸部11の軸部31には、前傾した支柱13が起き上がる方向のトルクが捩りバネ37により付勢されている。
【0025】
従って、撮像カメラ17を取りつけた支柱13の回動モーメントと、ナット30の締め付け力及び捩りバネ37の付勢力とを調整して拮抗させることにより、支柱13を任意の前傾角度で停止させることができるいわゆるフリーストップ機構とすることができる。さらに、支柱13を前傾姿勢から起立姿勢に戻す際には、捩りバネ37の付勢力のアシストにより、支柱13を簡単に起立させることができる。
【0026】
図12〜図15は、上記本体2に連結して使用されるステージ100a〜100dを例示したものである。何れのステージ100a〜100dも上面に資料の載置面101が形成されている。また、各ステージ100a〜100dの前縁部には、基台3の位置決め部7に結合する被位置決め部材102が形成されている。被位置決め部材102は、直角の見当部103が形成されている。見当部103の一辺には、磁性片104が貼付されている。
【0027】
上記位置決め部7と被位置決め部材102は、マグネットの吸引力により結合する。このとき、基台3の直角の隅角部と見当部103が当接することにより、各ステージ100a〜100dの載置面101が、上記本体2の基本形態の際の撮像カメラ17の撮像範囲内に対応して、載置面101の中心部と撮像カメラ17の撮像範囲の中心部とが合致するように位置決めされる。
【0028】
図12のステージ100aは、載置面101をホワイトボード105としたものである。図13のステージ100bは、載置面101にバックライト照明106を設けたものである。図14のステージ100cは、ステージ部材107a,107bを蝶番(図示しない。)で連結して折り畳できる形態としたものである。図15のステージ100dは、光沢のある資料108である場合に、付属の反射防止シート109を被せるようにしたものである。
【0029】
上記位置決め部7と被位置決め部材102との結合は、雌雄の関係で結合する蟻ほぞ形の突条と蟻溝による嵌め合いで行なってもよい。さらに被位置決め部材102を各ステージ100a〜100dに対して、着脱可能として1個の被位置決め部材102を共通的に使用することもできる。
【0030】
上記実施例に係る資料提示装置1は、撮像カメラ17の筐体を長手方向の略中央部で分割して、その一端部に撮像カメラ本体を装着して撮像カメラ本体部52とするとともに、他端部に撮像カメラの調整操作を行なうズームダイヤル58等を装着した操作部51としたから、撮像カメラのピント合わせやズーミング等の操作を撮像カメラ17の端部で行うことが可能となり、従来のように基台等に配設した操作パネルに手を延ばして行なう必要がないから操作性が向上する。また、支柱13の回動軸16の回動軸受55の部位を、操作部51の基端部に形成したから、撮像カメラ本体部51側の一端部までの距離が、操作部52を装着した他端部までの距離よりも長くなり、不使用時に水平姿勢の撮像カメラ17を回動させて、撮像カメラ本体51側が下方になる垂直姿勢にすることにより、プレゼンターに対する視聴者の視界を極力妨げることがないようにできる。これにより、例えば資料提示装置を利用した授業において、教師と生徒とのアイコンタクトが妨げられることがない。
【0031】
また、支柱13を基台3に対して手前側に傾動自在としたから、水平姿勢の撮像カメラ17を回動させて、撮像カメラ本体51側が下方になる垂直姿勢にして傾動させることにより、左右に突出する部分が無くなり、収納性を高めることができる。撮像カメラ17の筐体を長手方向で分割して、該長手方向の連結軸63により相対回動自在に連結したから、撮像カメラ17の姿勢に対応して撮像方向を適宜選択できるとともに、撮像カメラ17の他端部でピント合わせ等の調整操作が可能となり、操作性を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施例に係る資料提示装置の基本形態を示した斜視図である。
【図2】回動軸部の分解斜視図である。
【図3】回動軸部の断面図である。
【図4】回動軸部の斜視図である。
【図5】撮像カメラ本体の斜視図である。
【図6】撮像カメラ本体の内部を示した斜視図である。
【図7】撮像カメラ本体の他の形態を示した斜視図である。
【図8】本体の1形態を示した斜視図である。
【図9】本体の1形態を示した斜視図である。
【図10】本体の1形態を示した斜視図である。
【図11】位置決め部と被位置決め部を示した要部の斜視図である。
【図12】ステージの1形態を示した斜視図である。
【図13】ステージの1形態を示した斜視図である。
【図14】ステージの1形態を示した斜視図である。
【図15】ステージの1形態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 資料提示装置
2 本体
3 基台
4 正面
5 背面
11 回動軸部
12 支柱立設部
13 支柱
14 湾曲部
15 水平部
16 回動軸
17 撮像カメラ
51 操作部
52 撮像カメラ本体部
53a,53b、54a,54b 筐体
55 回動軸受
57 オートフォーカスボタン
58 ズームダイヤル
59,62 連結軸支ブラケット
63 連結軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
該基台から立設し、先端部を湾曲させて基台から離れる手前側に突出する支柱と、
該支柱の先端に回動自在に軸支した撮像カメラとからなり、
該撮像カメラは、筐体の長手方向の一端部に撮像カメラ本体を装着するとともに、他端部に該撮像カメラ本体の操作部を装着したものであって、前記支柱に対する回動軸支部の部位を、前記筐体の長手方向の中央から片寄らせて、前記撮像カメラ本体を装着した一端部までの距離が、前記操作部を装着した他端部までの距離よりも長くなるようにしたことを特徴とする資料提示装置。
【請求項2】
前記支柱を、基台に対して手前側に傾動自在としたことを特徴とする請求項1に記載の資料提示装置。
【請求項3】
前記筐体を長手方向で分割して、該長手方向の連結軸により相対回動自在に連結したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の資料提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−194883(P2007−194883A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10782(P2006−10782)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】