説明

資料提示装置

【課題】黒色はより黒くしかも黒浮きが防止でき、白色はより白く背景以外の文字等とのコントラスト差のはっきりした常に良好なコントラストを有する画像を表示できる資料提示装置を提供する。
【解決手段】ステップS34では、設定された明度以下と判定した無彩色画像の区画を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が7割以上であるかを判定する。肯定判定であれば、ステップS35で被写体の背景が黒色と判定し、画像データに対して通常よりも10%暗くなるように明度を下げるように制御する。ステップS40では、設定された明度以上と判定した無彩色画像の区画を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が7割以上であるかを判定する。肯定判定であれば、ステップS42で被写体の背景が白色と判定し、画像データに対して通常よりも20%明るくなるように明度を上げるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像素子により撮像した画像を、モニターやスクリーン等に表示装置に表示させる資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プレゼンテーション等の資料の提示には、コピー紙のようなモノクロ原稿が用いられることが多い。モノクロ原稿は、例えば手書き原稿や、PPC紙全体に画像や文字が細かく書かれたもの、或いは白紙の特定領域に画像や文字が記載されたもの等いろいろである。このため、特開2002−165128号公報に、原稿の白色部分と黒色部分のとの面積比率が様々に相違する場合でも、文字や画像が表示された部分とそれ以外の背景部分との各輝度信号レベルの差に基づいて、絞り手段を制御してガンマ補正を行い、常に良好なコントラストを有する画像を表示するようにした画像入力装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、上記画像入力装置は、絞り手段を直接制御するという機構的な構成及びガンマ補正のガンマレジスタ等を備える必要がある等、経済性や使い勝手の面で問題がある。
【特許文献1】特開2002−165128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、画像データを処理するというソフト的手段により、黒色はより黒くしかも黒浮きが防止でき、白色はより白く背景以外の文字等とのコントラスト差のはっきりした常に良好なコントラストを有する画像を表示できる資料提示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するための請求項1に記載の資料提示装置は、被写体を撮像素子により撮像する画像撮像部と、撮像された画像を画像データとして生成する画像データ生成部と、該画像データを画像信号として出力する画像出力部と、該画像出力部が出力する画像信号に基づいて、画像を表示する表示装置とからなる資料提示装置であって、前記画像データ生成部は、前記画像撮像部が撮像する画像データの1フレーム分を順次格納して更新する記憶手段と、該記憶手段に格納された画像データの1フレーム分の撮像画面を所定の区画に分割する撮像画面分割手段と、分割された各区画に無彩色フィルターを掛けて、無彩色画像データの区画を検出する無彩色画像区画検出手段と、無彩色画像データとして検出された区画の明度が低明度に設定された明度以下である区画数を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が所定割合以上である場合は、被写体の背景が黒色と判定する黒背景色判定手段と、無彩色画像データとして検出された区画の明度が高明度に設定された明度以上である区画数を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が所定割合以上である場合は、被写体の背景が白色と判定する白背景色判定手段と、被写体の背景が黒色と判定された場合には、画像データの明度を所定明度下げ、被写体の背景が白色と判定された場合には、画像データの明度を所定明度上げる明度制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の資料提示装置によれば、撮像された被写体の背景色が、黒色であると判定された場合には、撮像画像の明度を所定明度下げ、被写体の背景色が白色であると判定された場合には、撮像画像の明度を所定明度上げるようにしたから、画像データを処理するというソフト的手段により、黒色はより黒くしかも黒浮きが防止でき、白色はより白く背景以外の文字等とのコントラスト差のはっきりした常に良好なコントラストを有する画像を表示できる。
【実施例】
【0007】
本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は、資料提示装置1の概略斜視図である。資料提示装置1は、資料載置台を兼ねる基台2と、該基台2に傾動自在に立設されたアーム3の先端に取り付けられたカメラヘッド4と、基台2の資料載置面5を照明するライト6から構成される。カメラヘッド4は、自動焦点式のCCDカメラを備えている。カメラヘッド4は、撮像画像を図示しないテレビ、プロジェクタ、LCD等の外部表示装置に出力する。
【0008】
資料提示装置1の基台2の前縁部には、操作部7が配設されている。該操作部7には、上記ライト6のオン・オフ、CCDカメラの絞り、ズーム、フォーカス調整等を行なう各種の操作ボタンが備えられている。
【0009】
図2は、資料提示装置1の内部構成を示した概略のブロック図である。内部構成は、画像撮像部11、画像データ生成部12、画像データ出力部13及び画像データ表示装置14等から構成されている。画像撮像部11は、レンズやCCD等から構成されている。画像データ出力部13は、上記画像データ生成部12が生成した画像データを画像データ表示装置14へ出力して表示する。
【0010】
前記画像データ生成部12の概略構成は、図3に示すように記憶手段21と、撮像画面分割手段22と、無彩色画像区画検出手段23と、黒色背景色判定手段24と、白色背景色判定手段25及び明度制御手段26から構成されている。
【0011】
資料提示装置1の上記画像撮像部11、画像データ生成部12、画像データ出力部13及び画像データ表示装置14等は、マイクロコンピュータにより所定の制御プログラムにより制御される。図4は、上記画像生成部12の画像生成処理の概略内容を示したフローチャートである。処理がスタートすると、ステップS31で撮像画像データの1フレーム分がSD・RAMに所定時間毎に更新されて記憶される。ステップS32では、この1フレーム分の撮像画面を16×16=256区画に分割する。続くステップS33では、分割された各区画に無彩色フィルターを掛けて、無彩色画像データの区画を検出する。
【0012】
ステップS34では、無彩色画像データとして検出された区画の明度が、低明度に設定された明度以下(画像データのダイナミックレンジの10%以下)であるかを判定するとともに、設定された明度以下と判定した無彩色画像の区画を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が70%以上であるかを判定する。肯定判定であれば、ステップS35で被写体の背景が黒色と判定しフラグ1をアクティブにする。そして、ステップS36へ進み、現在のズーム倍率が望遠側である場合には、フラグ3をアクティブにする。
【0013】
続くステップS37では、フラグ1及びフラグ3が共にアクティブであるかを判定する。肯定判定であれば、ステップS38で黒紙のような特定の被写体が撮像されているとして、画像データに対して通常よりも10%暗くなるように明度を下げるように制御する。この明度制御により、黒色の被写体の黒が正確に再現され、黒浮きを防止できるとともに、背景以外の部分とのコントラスト差がはっきりして見易い画像を表示できる。
【0014】
一方、上記ステップS34で否定判定の場合は、ステップS41へ進む。ステップS41では、無彩色画像データとして検出された区画の明度が、高明度に設定された明度以上(画像データのダイナミックレンジの20%以上)であるかを判定するとともに、設定された明度以上と判定した無彩色画像の区画を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が70%以上であるかを判定する。肯定判定であれば、ステップS42で被写体の背景が白色と判定しフラグ2をアクティブにする。そして、ステップS43へ進み、現在のズーム倍率が望遠側である場合には、フラグ3をアクティブにする。
【0015】
続くステップS44では、フラグ2及びフラグ3が共にアクティブであるかを判定する。肯定判定であれば、ステップS45で白紙に文字が印刷されているような特定の被写体が撮像されているとして、画像データに対して通常よりも20%明るくなるように明度を上げるように制御する。この明度制御により、白ベースの白がより鮮やかに再現され、背景以外の文字等とのコントラスト差がはっきり現れて見え易くなるとともに、見た目の印象が強い画像を表示できる。
【0016】
上記ステップS37、ステップS41及びステップS44での判定が否定判定である場合は、何れもステップS51で、風景や写真のような一般的な被写体が撮像されているとして、通常の明るさ制御を行なう。これにより、色や明るさのバランスが取れた画像を表示できる。
【0017】
上記したように、撮像された被写体の背景色が、黒色であると判定された場合には、撮像画像の明度を10%下げるようにし、被写体の背景色が白色であると判定された場合には、撮像画像の明度を20%明度上げるようにしたから、画像データを処理するというソフト的手段により、黒色はより黒くしかも黒浮きが防止でき、白色はより白く背景以外の文字等とのコントラスト差のはっきりした常に良好なコントラストを有する画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】資料提示装置の概略の斜視図である。
【図2】資料提示装置の内部構成を示した概略のブロック図である。
【図3】画像データ生成部の概略の構成を示したブロック図である。
【図4】画像データ生成部の処理の概略を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0019】
1 資料提示装置
11 画像撮像部
12 画像データ生成部
13 画像データ出力部
14 画像データ表示装置
21 記憶手段
22 撮像画面分割手段
23 無彩色画像区画検出手段
24 黒色背景色判定手段
25 白色背景色判定手段
26 明度制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像素子により撮像する画像撮像部と、撮像された画像を画像データとして生成する画像データ生成部と、該画像データを画像信号として出力する画像出力部と、該画像出力部が出力する画像信号に基づいて、画像を表示する表示装置とからなる資料提示装置であって、
前記画像データ生成部は、
前記画像撮像部が撮像する画像データの1フレーム分を順次格納して更新する記憶手段と、
該記憶手段に格納された画像データの1フレーム分の撮像画面を所定の区画に分割する撮像画面分割手段と、
分割された各区画に無彩色フィルターを掛けて、無彩色画像データの区画を検出する無彩色画像区画検出手段と、
無彩色画像データとして検出された区画の明度が低明度に設定された明度以下である区画数を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が所定割合以上である場合は、被写体の背景が黒色と判定する黒背景色判定手段と、
無彩色画像データとして検出された区画の明度が高明度に設定された明度以上である区画数を計数して、全体区画数に対する割合を求め、その割合が所定割合以上である場合は、被写体の背景が白色と判定する白背景色判定手段と、
被写体の背景が黒色と判定された場合には、画像データの明度を所定明度下げ、被写体の背景が白色と判定された場合には、画像データの明度を所定明度上げる明度制御手段と、
を備えることを特徴とする資料提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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